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事例 A 恵子さん

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 資料1

(4)

事事例A:偽陽性リスクのあるAIシステムを利用したがん細胞転移の判定(1/2) 恵子さん(53歳)は、乳がんと診断され、手術を受けることになった。乳房にあ る腫瘍から腋の下のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移する際、最初に行きつくリン パ節である“センチネルリンパ節”にがんがあるかないかで、リンパ節の切除(郭 清)の必要性が判断される。リンパ節生検にあたり、恵子さんは、主治医からAIシ ステムの利用を提案された。 主治医によると、術前のリンパ節生検によって得られた細胞から病理医ががん細 胞を発見できる割合は73.2%だという。そのため、偽陰性(がん細胞がないという 誤った結果)という結果のためにがんを見落としてしまう可能性もそれなりにある。 しかし、このAIシステムでは、がん細胞を発見できる割合は92.4%ということだ。 リンパ節生検によって得られた細胞を画像検索してがん細胞を発見する仕組みだが、 AIシステムの方が病理医よりも高い精度となっている。ただし、92.4%の中には、 偽陽性(がん細胞があるという誤った結果)も含まれ、その割合は定かになってい ないため、偽陽性を除いたものが73.2%より精度が高いかどうかは判明していない と説明を受けた。

事事例A:偽陽性リスクのあるAIシステムを利用したがん細胞転移の判定(2/2) とはいえ、病理医が減少するなか、このAIシステムの導入は医療界でも歓迎され ているようで、この病院では積極的にAIシステムを活用する方針だという。主治医 は、「もし偽陽性だったら、切除しなくて良いリンパ節を取っちゃう可能性はあり ますが、転移見落としのリスクよりはましでしょう」と提案してきた。 恵子さんは、AIシステムへの抵抗はないが、だからといってリンパ節切除後の後 遺症を考えると、偽陽性ならいいやとは思えない。AIシステムの結果を病理医が ちゃんと点検してくれるのかが心配になっている。 みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 A 恵子さん

乳がん これから手術

セン がんがあ AⅠ ムの利用

主治医

人間の病理医 73.2% A  シ 92.4

A Ⅰ  で診断 し てみ ま せ ん か ? が ん 細胞 を 見つけ ら れ る 確率

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 A 恵子さん (53歳)

乳がん これから手術

AⅠ

がんを見つけられる確率

人間の病理医 AⅠ シス テ ム 73.2 92.4 が ん を 見つけ ら れ る 確率は 人間 よ り 高いが 、 異常のな い部分 ま で拾 っ て し ま う 可能性が あ る 。 偽陰性  「 がんがあるの 見落 す可能性 」 偽陽性  「 がんがないの する可能性

(5)

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 A 恵子さん (53歳)

乳がん これから手術

偽陰性、 偽陽性、 どち スク 病理医が 不 足 し てい る の で、 AⅠ  が 診断 し て く れ る と ありが た い 。 がん を 見落 と す よ り いい 。 不必要な リ ン パ節郭清 を し て、 リ ン パ浮腫な ど の 後遺症 に な や ま された く な い 。 病理医 も ち ゃ ん と 診て く れ る ?

恵子さん

病院側

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 A 恵子さん (53歳)

乳がん これから手術

こ の事例の ポ イ ン ト AⅠは 、病理医 代われ か。 偽陽性 不要な パ節郭清は 避け い。 あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

(6)

事事例B:世界中から治療薬を探し出すAIシステムによるセカンドオピニオン(1/2) 由美子さん(63歳)は、ここ数ヵ月疲労が取れず、歯茎から出血するようになり、 歯科を受診したところ、ある病院の総合内科を紹介された。そこで検査を受けたと ころ、血液疾患の可能性を指摘され、さらに血液内科を紹介された。血液内科で 精密検査を受けたところ、急性骨髄性白血病と診断されて治療が始まったが、標準 的な治療法では効果が出なかった。 医師から「稀な白血病の診断に、米国で開発されたAIシステムが使われるように なりました。このAIシステムで調べれば、あなたの白血病の詳しいタイプが判明す るかもしれません。ただし、AIシステムがあなたに合うと判断した治療薬について、 私の知識や情報が十分でない場合や、それを試していただけない場合もあることに ついて、あらかじめ了承してもらえないでしょうか?」と言われた。 更に詳しく説明を受けると、そのAIシステムによって珍しい白血病の型が確定し、 最善の治療薬を使った治療を実施でき、寛解(症状がおさまって体調が穏やかにな る状態)に持ち込めた患者もいるそうだ。しかし、その割合は決して高くないとい う。例えば、AIシステムの提示した治療薬が日本では承認されていないため、治療 の開始に至らなかった患者もいるという。

事事例B:世界中から治療薬を探し出すAIシステムによるセカンドオピニオン(2/2) また、治療薬を求めて渡米して治療を受けたものの、治療の甲斐なく亡くなった 患者もいると聞かされた。日本で使える治療薬が少ないせいだけでなく、AIシステ ムが日本人のデータを十分学習していない可能性もあるようだ。 もしAIシステムがすぐには試せないような治療薬を示してきたとき、由美子さん は自分がどのように考えたらよいか、どのような心境になるのかはわからなかった。 しかし、主治医がAIシステムを使用することについて意思表示を求めているので、 このようなAIシステムを利用すべきかどうか戸惑っている。 みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん

急性骨髄性 白血病

前か 疲れが取れない 血液内科で精密検査

歯科医院で総合内科受診 を勧 総合内科で 血液疾患 指摘

歯茎か 出血

血液内科医

急性骨髄性白血病で す 。 ま ず は 標準的な 治療か ら 。

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん (63歳)

急性骨髄性 白血病 (詳細なタイプ不明)

標準的治療では 効果が見 れなか メリカ AⅠ シス

由美子さん血液内科医

AⅠ

(7)

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん (63歳)

急性骨髄性 白血病 (詳細なタイプ不明)

血液内科医

この AⅠ シ ス テ ム は 希少な 白血病の診断 に 使われて い ま す 。あな た の白血病 のタ イ プ が わ かる か も し れま せ ん 。 ただ し 、 AⅠ があ な た に 合 う と 判 断 し た 薬 でも、 必 ず し も使え る と は限 りま せ ん 。

由美子さん

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん (63歳)

急性骨髄性 白血病 (詳細なタイプ不明)

寛解 患者

AⅠ シス テ ム を 利 用 する メ リ ッ ト 希少な白血病の が判明 最適な治療薬 選択

AⅠ 割合は 少ない

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん (63歳)

急性骨髄性 白血病 (詳細なタイプ不明)

し か し 、 ア メ リ カ で開発 さ れ た A Ⅰ であ る た め 日本人の 十分 学習 いなか 渡米 治療 効果がなか

提示 治療薬が 日本では 認可 れていない

AⅠ とい う こ と も …

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 B 由美子 さん (63歳)

急性骨髄性 白血病 (詳細なタイプ不明)

こ の事例の ポ イ ン ト あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

AⅠは 担えるか。 AⅠの 新し い「希望」 の向 合い方

(8)

事事例C:AIアプリによる「早期発見」が無駄に(1/2) 大輔さん(43歳)は、足の裏にこれまでなかったほくろがあることに気づき、新 しくできたものであることが気になった。そこでネットで調べたところ、ほくろの 病変を解析できるアプリがあることがわかり、ダウンロードした。アプリの説明を 読むと、「診断ではありません」と書いてあるが、アプリの解説に沿って写真を撮 影すると97%の的中率で「①あなたのほくろは正常であり、医師の詳しい助言を求 める必要がありません」か「②あなたのほくろは異常です。医師の診察を受けてく ださい」のいずれかの結果が出るという。 早速写真を撮影してみたところ、②の結果が出てしまった。驚いた大輔さんは、 早速、皮膚科を受診して事の顛末を医師に話した。医師は「アプリの結果は信用で きませんよ」と言いながらも丁寧に診察したが、生検を行わずに「異常なほくろに は見えない」と判断した。 大輔さんは、その結果に安心して数週間を過ごしていたが、ある日、靴下に血液 のしみがついていることに気づいた。異常なほくろではないと言われていたので、 さらに数ヵ月放置したが、頻繁に出血するようになった。

事事例C:AIアプリによる「早期発見」が無駄に(2/2) そこで、もう一度、皮膚科を受診したところ、「悪性の疑いが強いので、切除し て病理検査に回す」と言われた。主治医は、「あの時点のほくろの状態は、多数の 皮膚がんの症例を見てきた医師でも、生検にまわす判断はしないと思います」と述 べた。 大輔さんは、主治医がアプリの結果を信用してくれれば、もっと早く発見できた のにとショックを受けている。

事例 C 大輔さん

ほくろから 皮膚がんを疑う

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

でなか 足の裏 発見 早速 ダ ウ ン ロ ー ド し て調べてみ よ う

大輔さん

こん な と こ ろ に ほく ろ が あ っ た か な ? 気にな る … … 。

ネットで調べたら、 ほくろの病変を 解析できる アプリを見つけた。

事例 C 大輔さん (43歳)

ほくろから 皮膚がんを疑う

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

ア プ リ で写真 を 撮 っ てみ た と こ ろ 、 表 示 された結 果

医師の診察を 受けてください。

あなたの ほくろは 異常です。

<アプリによる説明文> これは診断ではありません。 撮影後の結果は 「あなたのほくろは正常で、 医師の助言は不要です」か 「あなたのほくろは異常です。 医師の診察を受けてください」 のどちらか。 的中率は97%です。

(9)

事例 C 大輔さん (43歳)

ほくろから 皮膚がんを疑う

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

ア プ リ の結果な ど 信用で き ま せ ん よ 。 異常な ほ く ろ に は 見 えませ ん 。

皮膚科 受診 て、診断 受け 丁寧な診察は が、 生検は 行われなか

皮膚科医

大輔さん

事例 C 大輔さん (43歳)

ほくろから 皮膚がんを疑う

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

出血 てい が、 数カ月 出血 返すので再 受診 悪性の疑いがあ 切除 て病理検査

異常なほ では ない 言われてい ので あの時点のほ く ろ の状態では 、 皮膚が ん 専門医で も 生検 し な か っ た と 思い ま す 。

皮膚科医

事例 C 大輔さん (43歳)

ほくろから 皮膚がんを疑う

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

こ の事例の ポ イ ン ト アプ 使 意味がなか のか。 最初の診断の 主治医が 信用 ていれば あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

(10)

事事例D:離島医療を支えるAIソフトウェアのメンテナンス(1/2) 直樹さん(35歳)は、長い間、離島で暮らしている。ある日、皮膚にできたでき ものが気になり、島で唯一の診療所を受診した。医師は「私は皮膚や病理について 詳しくないのですが、このような離島だとさまざまな患者さんを診ないといけない ので、皮膚病変の診断を支援するAIソフトウェアを導入しています」と説明したの で、男性はAIソフトウェアによる診断を依頼した。その結果、悪性ではないとの結 果が出たので、男性は安心して帰宅した。 ところが、それから1年ほどして咳が止まらなくなり、島を離れて大きな病院で検 査を受けたところ、肺に腫瘍が見つかった。しかもそれは原発の肺がんではなく、 皮膚がん(=冒頭の「できもの」)の肺転移であることがわかった。島の診療所で AIソフトウェアによる診断を受けたときには悪性ではないと言われたと伝えると、 病院の医師は「AIソフトウェアも精度がさまざまです。精度の高い高価なソフト ウェアを導入したり、定期的なアップデートをしたりする作業などが必要になりま すが、離島の診療所ではそれができなかったのでしょう」と言われた。

事事例D:離島医療を支えるAIソフトウェアのメンテナンス(2/2) 島に帰り、診療所の医師に病院での診断結果を伝えると、「私の手に負えない専 門的な診断だったので、病院を紹介すべきでした。AIソフトウェアがなければ病院 を紹介していたのですが、便利なソフトウェアが入ったことに安心して、判断を委 ねてしまったのです。申し訳ありません」と謝られた。 彼は、長年、島に貢献してきてくれた先生を責める気持ちにはなれなかったが、 もっとAIソフトウェアの維持や管理に予算を投じることはできなかったのかとやり 場のない怒りを覚えた。

事例 D 直樹さん 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

皮膚 発見 離島で唯一の診療所 受診

離島の医師

直樹さん

AⅠ

でき も の が 気にな り ま す 。 皮膚は 専門では な いので、 AⅠ で診断 し ま し ょ う 。

厚生労働科学研究費補助金療におけるAI関連技

離島

結果は 悪性では あり ま せ ん 。

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

肺に腫 瘍 が あ り ま す が 肺が んでは な く 、 皮膚が ん に よ る 肺転移で す 。

年後、咳が止 本州の大 な病院 受診 腫瘍がみつか

大きな病院の医師

でき もの 皮膚がん

(11)

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

AⅠ と い っ て も 精度は さ ま ざ ま で、 精度が 高 い ソ フ ト は 高価で す し 、 定期的な ア ッ プ デ ー ト 作業が 、 離島の診療所では で き な か っ た のでは ?

大きな病院の医師

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

離島 て、 診療所の医師 診断の

直樹さん

便利な AⅠ ソ フ ト に 判断 を 委ねて し ま い ま し た が 、 自 分の手 に 負 え な ければ 病 院を紹 介 す べ き で した 。 申 し 訳あ り ま せ ん 。

離島の医師

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

直樹さん

もっ と AⅠ ソフ ト ウ ェ ア の 維持や管理のあ り 方 を 改 善 す べきで は …

離島の診療所の医師 を 責め る 気持 ち に は な ら な いが

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

こ の事例の ポ イ ン ト あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

AⅠ ムの導入 医師の少ない地域の医療の質 高め か。 AⅠシ 持・管

(12)

事事例E:ステージIVでの選択肢、「AIで調べておきました」(1/2) 達也さん(32歳)は、会社のなかでも最も忙しい部署に勤務している。自分の健 康を顧みる余裕のない日々を送っていたところ、吐き気を催し、それが数週間にわ たって続くだけでなく、次第に嘔吐することも増えていった。そのため、心配に なって会社の診療所を受診したところ、大きな病院での精密検査を受けるように言 われた。 病院でさまざまな検査を受けた結果、ステージ4の膵臓がんであることがわかった。 主治医は「当院ではAIシステムで患者さんの治療方法の選択をおこなっています。 あなたの症状や検査データをすべてシステムに入力したところ、外科手術ではなく、 3つの抗がん剤の組み合わせによる治療が最善であるとの結果が出ました。その内容 に従って今後の治療をおこなっていきます」と言われた。AIシステムで自動的に治 療方法を決めることに不安を訴えると、医師からは「このAIシステムは、これまで の大勢の患者さんの経験を参考にして、予後が最も長くなる選択肢を自動的に計算 して提示できるので、人間が考えるよりはるかに最善の治療を示してくれるので す」と言われた。

事事例E:ステージIVでの選択肢、「AIで調べておきました」(1/2) 主治医は、AIシステムについてかなり噛み砕いて丁寧に説明してくれ、達也さん に少しでも情報提供したいと考えて治療法の選択肢も調べてくれたようである。こ の結果を自分の人生の選択肢の一つとして参考にするようにと言ってくれた。達也 さんは、残された時間をどのように過ごすべきなのかを医師と一緒にゆっくり考え たいと思っていたが、主治医がそのことよりもAIシステムの利用に関心をもってい るように見えて、悲しくなった。

事例 E 達也さん サラリーマン

膵臓がん ステージ4 これから治療

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

多忙 わめ、 健康 ない 吐き 気(数週間)+ 嘔吐 会社の診療所へ 大 き い病院へ 行って く だ さ い 。

産業医達也さん

事例 E 達也さん (32歳) サラリーマン

膵臓がん ステージ4 これから治療すいぞう

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

A Ⅰ で調べて おき ま し た 。

主治医

AⅠ 種類の抗がん剤 手 術 治療方法

効果

4 の膵臓がん 見つか

(13)

事例 E 達也さん (32歳) サラリーマン

膵臓がん ステージ4 これから治療すいぞう

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

この A Ⅰ シス テ ム は 、 人間が 考 え る よ り は る か に 最善の治療 を 示し て く れ るの で す 。

主治医

こ 人 は

A Ⅰ で決め る の が 不安で す 。

これまでの大勢の患者さんの経験を参 考にして、予後が最も長くなる選択肢 を自動的に計算して提示できるので。

達也さん

事例 E 達也さん (32歳) サラリーマン

膵臓がん ステージ4 これから治療すいぞう

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

残 さ れ た 人 生 を ど う過 ご し たら い い のか、先生 と 一 緒 に よ く 話 し 合い た か っ た けれ ど 、先生は AⅠ  シ ステ ム の利用 に ば か り 関心が あ る よ う に 感 じ た な あ。悲 し いな あ。

達也さん

事例 E 達也さん (32歳) サラリーマン

膵臓がん ステージ4 これから治療すいぞう

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

こ の事例の ポ イ ン ト AⅠ 利用 関す 同意のない 医師が善意で調べてい AⅠ 利用す 医療者 求め か。 あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

(14)

事事例F:「AI技術を用いた最先端の検診」での見落とし 久美子さん(55歳)は、両親が共に肺がんで亡くなった経験があるため、早期発 見の大切さを痛感していて、40歳を過ぎてからは毎年、胸部CTによる肺がん検診 を受けてきた。3年前には、ある雑誌で「AI技術を用いた最先端の検診」の広告を 見つけ、ある病院の検診センターで検診を受けるようになった。 久美子さんは、今年もAIによる検診を受け、異常所見が指摘されなかったので安 心していたのだが、検診の半年後ぐらいから咳が続くようになった。「半年前に受 けた検診で異常がなかったのだから風邪か何かだろう」と思って放置していたとこ ろ、日を追って咳がひどくなり、痰も絡み、時折血が混じるようになった。 さすがに気になって、後日、検診センターの紹介で呼吸器内科を受診したところ、 進行期の肺がんであると診断された。AIシステムによる検診を受けて正常と言われ ていたことを医師に話すと、主治医から「横隔膜に重なる部分にがんができていて、 こういう部分にできる肺がんを想定した学習をAIがしていない限り、肺がんを指摘 することは難しいだろう」と言われた。 久美子さんは、健康管理に努力し、お金もかけてきたのに、「AI技術を用いた最 先端の検診」でも見落としがあることに怒りとむなしさを覚えた。

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 F 久美子 さん (55歳)

進行期の肺がん

以来、A Ⅰ検

3年前、 雑誌で 「A 技術 最先端検診」 を発

久美子さん久久美子さん

両親共 に 肺 が ん で亡 く な っ てい る か ら 自分も気をつ け な き ゃ 。 AⅠ

40歳以降、 毎年胸部CT 肺がん検診 受診

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 F 久美子 さん

進行期の肺がん

が、 半年後 いか 咳が続

久美子さん

今年 AⅠ 検診 受け が、 異常は 指摘 れなか 半年前の検診で 異常な し だ っ た の だ か ら 風邪かな に か だ ろ う 。 その ま ま 半年ほ ど 放置 し た と こ ろ ……

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 F 久美子 さん (55歳)

進行期の肺がん

紹介先の呼吸器内科 受診

咳がひ 血液の混 痰が出 本当は 肺がん

呼吸器内科医

進行期の肺が ん で す 。

(15)

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 F 久美子 さん (55歳)

進行期の肺がん

呼吸器内科医

AⅠ に よ る 検診では 正 常 だ っ た のに… 横隔膜の重な る 部分 に が ん が できて い た 。 AⅠ が 学習 し ていな ければ 見つけ る こ と は 難 し い。

久美子さん

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 F 久美子 さん (55歳)

進行期の肺がん

こ の事例の ポ イ ン ト あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

最先端A Ⅰで 学習不足 がんの見落 があ お金 や労力 かけ 早期発見で なか への 怒り なし

(16)

事事例G:AIソフトウェアが提案する手術への不安 健一さん(54歳)は、背中の痛みや足に電気が走るような痛み(電撃痛)などの 症状が続いたので受診したところ、医師から腰部MRI検査によって5番目の腰椎骨と 仙椎骨の間にヘルニアがあり、それが仙椎神経の根元を圧迫していると指摘された。 そこで、神経の圧迫を解消するための手術を勧められた。 腰椎ヘルニアの手術は危険を伴うと聞いたことがあるので、リスクについて質問 したところ、医師から詳しく説明を受けた。そのうえで、「この手術はAIソフト ウェアの判断で手術の内容を決めて計画を立てるので比較的安全です。AIソフト ウェアが3次元の画像を見せてくれます。実際に、この1年間で30例の手術をおこ なってきました」と説明を受けた。 健一さんは、手術の内容は、医師が考えて決めるものだと思っていたので、AIソ フトウェアが手術の内容を提案すると聞いてとても不安になったが、医師は全く意 に介さない様子である。医師に勧められるとおり、ここで手術を受けるかどうか、 悩んでいる。

事例 G 健一さん (54歳)

腰椎ヘルニア

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

整形外科 受診

背中の痛み、 電気が走 痛み (電撃痛) が続いてい 背中や足の 痛みが つ ら い 。

健一さん

事例 G 健一さん

腰椎ヘルニア

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神経の圧迫 を 解消 す る た め 手術 を し ま し ょ う

医師

MRI検査で5個目の腰椎骨 仙椎骨の間 ヘルニ が見つか

仙椎骨腰椎骨

脊柱

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事例 G 健一さん (54歳)

腰椎ヘルニア

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AⅠソ フ ト が 手術計画 を 立て る ので安全で す よ 。

手術のリスクについて質問

腰椎ヘル ニ ア の 手術は 危険が あ る と聞 き ま し た が …

健一さん

医師

(17)

事例 G 健一さん (54歳)

腰椎ヘルニア

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AⅠ が 3次元画像で 手術計画 を 示 す 1年間で30例の 手術 を し ま し た か ら 安心 し て く だ さ い。

医師

AⅠ

事例 G 健一さん (54歳)

腰椎ヘルニア

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手術の内容は 先生が 考 え て 決め る のでは な い のか…。 こ の ま ま 手術 を 受けて いいの だ ろ う か …

健一さん

AⅠ 事例 G 健一さん (54歳)

腰椎ヘルニア

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こ の事例の ポ イ ン ト AⅠ が提案 手術内容 どのよ に受 める 医師の勧め 手術 受け か。 あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

(18)

事事例H(共通):移植用臓器の提供先決定にAIはどう介在するべきか 日本では臓器移植を待つ患者の人数に比べ、提供される臓器が少ないことが指摘 されている。そのため、臓器ごとに医学的要件で移植希望者の順位が決められてお り、臓器移植ネットワークのコンピュータにドナーの医学的データを入力すると、 臓器ごとに優先順位の高い候補者が選ばれる仕組みとなっている。 具体的には、血液型、サイズ、臓器の摘出から移植(血流再開)までに許される 時間、医学的緊急度、術式、年齢、施設の所在地、待機時間など様々な条件を加味 して優先順位が決められている。 しかし、こうした条件の下で臓器移植を行っても、残念ながら強い拒絶反応が出 るなどの理由で患者が亡くなるケースもある。そのため、臓器提供者が現れたとき に、貴重な臓器が正常に機能し、健康状態を回復できそうな患者を選別できるかど うかは大きな問題になっている。 そこで、患者の状態や提供者の年齢、臓器の大きさなどのデータから、移植手術 後の入院中に死亡する割合、予後や拒絶の可能性を予測するAIシステムが開発され、 臓器の提供先の優先順位を決定する計画が進められている。移植用臓器の提供先決 定にもAIシステムが関与してよいのだろうか?

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事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

者さん 提供 臓器が不足

日 本の臓器移植の現状

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事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

臓器 優先順位の基準があ

〈心臓の場合〉

医学的緊急度

年齢ABO式血液型 (待機中で上記以外の状態)

ステ 1

(補助人工心臓装着中、 人工呼吸管理を受けている、 ICU等重症室収容など)

ステ 2

順位 60歳 未満 60歳 以上 一致 適合

1 2 3 4 5 6 7 8

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事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

生着 ない があ

条件 に 合わせて移植 を し て も …… 患者 (レ シピ エ ン ト ) 提供者 (ド ナ ー )

臓器

拒絶反応

(19)

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事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

AⅠ

AⅠ が予後 や拒絶の可能性 予測 AⅠ 優先順位 決定

・患者の状態 ・年齢 ・臓器の大 き さ

INPUT Bさん2 Cさん3 Dさん4 Aさん1

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事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

こ の事例の ポ イ ン ト 移植臓器が生着 すい 提供者 AⅠ が予測。 移植す 患者の 優先順位 AⅠに あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

(20)

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(22)

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(23)

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みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

者さん 提供 臓器が不足

日 本の臓器移植の現状

2 みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

臓器 優先順位の基準があ

〈心臓の場合〉

医学的緊急度

年齢ABO式血液型 (待機中で上記以外の状態)

ステ 1

(補助人工心臓装着中、 人工呼吸管理を受けている、 ICU等重症室収容など)

ステ 2

順位 60歳 未満 60歳 以上 一致 適合

1 2 3 4 5 6 7 8 3

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

生着 ない があ

条件 に 合わせて移植 を し て も …… 患者 (レ シピ エ ン ト ) 提供者 (ド ナ ー )

臓器

拒絶反応

4

資料2.3

(26)

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

AⅠ

AⅠ が予後 や拒絶の可能性 予測 AⅠ 優先順位 決定

・患者の状態 ・年齢 ・臓器の大 き さ

INPUT Bさん2 Cさん3 Dさん4 Aさん1   5

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

事例 共通 移植用臓器の 提供先を どのように 決めるか

こ の事例の ポ イ ン ト AⅠ が移植臓器が 生着 すい提供者 予測。 移植す 患者の優先順位 AⅠ が決めて あな た は 、 ど う 思い ま す か ?

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(27)

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

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皮膚 発見 離島で唯一の診療所 受診

離島の医師

直樹さん

AⅠ

でき も の が 気にな り ま す 。 皮膚は 専門では な いので、 AⅠ で診断 し ま し ょ う 。

厚生労働科学研究費補助金療におけるAI関連技

離島

結果は 悪性では あり ま せ ん 。

  9

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

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肺に腫 瘍 が あ り ま す が 肺が んでは な く 、 皮膚が ん に よ る 肺転移で す 。

年後、咳が止 本州の大 な病院 受診 腫瘍がみつか

大きな病院の医師

でき もの 皮膚がん

  10

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

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AⅠ と い っ て も 精度は さ ま ざ ま で、 精度が 高 い ソ フ ト は 高価で す し 、 定期的な ア ッ プ デ ー ト 作業が 、 離島の診療所では で き な か っ た のでは ?

大きな病院の医師   11

事例 D 直樹さん (35歳) 離島で生活

皮膚がん 肺転移あり

みんなで考える医療AⅠ検討会 厚生労働科学研究費補助金「医療おけ関連技術の利活用倫理的法的社会的課題の研究」

離島 て、 診療所の医師 診断の

直樹さん

便利な AⅠ ソ フ ト に 判断 を 委ねて し ま い ま し た が 、 自 分の手 に 負 え な ければ 病 院を紹 介 す べ き で した 。 申 し 訳あ り ま せ ん 。

離島の医師   12

参照

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