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[共同研究] 確認的因子分析における検査尺度構成 序言

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(1)

[共同研究] 確認的因子分析における検査尺度構成  序言

その他のタイトル [JOINT STUDY] Construction of test scales in confirmatory factor analysis

著者 辻岡 美延

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 6

号 1

ページ 1‑4

発行年 1975‑01‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00023190

(2)

〔共同研究〕

確認的因子分析における検査尺度構成

報 告 者 辻 岡 美 延

1 .  

問題と方法・・.....................................................................・辻岡美延...

—習性水準尺度を出発尺度とする検査尺度構成について一一

2 .  

項目分析のための相関係数…...................................................•••藤村和久・・・ 15

—多分相関および多系列相関について—―-

3 .  

因子分析における因子数の決定•…...………... ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東 村 高 良

・ ・ ・ 3 5

—Scree 基準の客観化のためのコンビュータ・プログラムー

4 .  

斜交因子解のための

R o t o p l o t

法...………藤村和久

・ ・ ・ 4 6

5 .  

斜交軸回転による因子構造の交叉妥当化・………••山本吉廣 ···53 一親子関係診断テストについての一結果ー一

6 .  

因子的真実性の原理による項目分析•••••••………••清水和秋···67 一社会的態度測定における一結果ー一

7 .  

人格診断におけるモデル得点と反モデル得点……••••………・・・・・辻 岡 美 延

・ ・ ・ 8 3

(3)

序 言

ここでいう心理検査尺度とは主として項目群によって構成された質問紙法に対して呼称された,

たとえぼ性格検査,興味検査,態度測定などの尺度をさす。最近ではこのような広義の人格測定 に関する必要性がとみに高まりつつある。例えば「生きがい」や「生き方」の研究など,人はい かなるものを生き甲斐とし,いかなる生き方を欲するかなどの問題はひとり心理学の問題にとど まらず,社会学,政治学,経営学,教育学などの重要課題となりつつある。しかしながら,今日 の多くの研究にみられるように,基礎的方法論をふまえない評論的アプローチは,結局,一時的 な流行にとどまり,問題の科学的根本的な解決を得ずしてやがては消滅する運命をたどることに なろう。

このように本来多次元的で,多様性にとむ複雑な事象の解析には,因子分析法を含む多変量解 析

( m u l t i v a r i a t ea n a l y s i s )

の技法を用いずして, 少数の決定因を独立変数的にランダムに採 用する演繹法的研究は事象を散発的に解釈するにとどまり,全体事象を帰納的に理論化すること には不適当であると思われる。われわれの立場も最終的にはモデル化による演繹法的理論化へ進 むことを志向するものであるが,最初の出発点におVゞては,まず多次元的な決定因を見出すこと が先決問題であると考える。 このような

e x p l o r a t o r y

な研究段階においても,またモデル化に おける

c o n f i r m a t o r y

な研究段階においても, 広義の多変量解析法の適用は今日必須の要件と なりつつある。

このためには,まずわれわれは種々の領野における人間行動の決定因の探索を出発点とし,こ こで得られた知見を積み重ねて全体を再構成すると'It'.>ぅ方策を立てねばならない。この再構成の 手続としてもまた多変量解析が役立つ。何んとなれば最終的なモデル構成においては「外的基 準」たる歴史的文化的価値との関連がとりあつかわれなければならないからである。

われわれは現時点において,人間行動の諸々の領野,とくに人格面における,能力,性格,興 味,適性,社会的態度,人間関係等々の安定した次元を確立して,まずその測定評価のための具 体的手段を準備しなければならない。何んとなればそれなくしては,それらの全体を総合化する 出発点に立つことすら不可能であるからである。

そこでわれわれの研究室では,このための基礎的総合的研究の出発点として,決定因の探索と その確立,さらに可能ならばその閉ざされた領域内での理論化(モデル化)を目指して研究方法 の総合的開発を志ざすこととした。

幸いなことに,因子分析法乃至は多変量解析の書物はここ四,五年の間に本邦においても応用 数学畑の人々により,また,特に因子分析法に関しては,心理学畑からは芝,池田氏らのすぐれ た著作を得て,大いに助けられる所があった。しかしながら,これらの著作はもっばらその基本 理論の紹介に焦点がおかれ,実際にそれを応用して行く段階になると,最も大切なキーポイント で難問題に遭遇し,心理検査尺度構成のための具体化とは多少離れた所で理論や方法が述べられ

‑ 2 ‑

(4)

ている。そして,これらのすぐれた著作がもう少しソフトな形で実質科学の実際問題の解決を指 向しようとしていないのは因子分析法を単に探索的な研究道具と考えるか,更により高度な確認 的な研究技法と考えるかの違いにもよるものであり,また一つには項目分析や尺度構成という目 的のために書かれた書物ではないということにも帰因すると考えられる。

例えば,上記の因子分析法の書物において,因子分析における因子数の決定の背景となる「基 礎理論」については書かれているが,実際的には,具体的にどのようにして因子数を決定するの かについては何事もふれられてはいない。因子数は後の分析結果に重要な影響を与えるので,ぃ わば最も緊要事である。 それにも拘らず, その「解決策」がない。 これに答えたものが東村の

S c r e e  T e s t

および

S c r e eGraph

の電算プログラムの論文である。

因子分析は相関行列を出発点として開始される。それにも拘らずその基礎となる相関係数のプ ログラムは

P e a r s o n

による積率相関のプログラムしか用意されていない。テトラコリック相関 は精度の悪い

c o s i n e

予法しかなく,電算機時代というのに精度の高いものがない。それに応え たのが藤村の四分,九分相関である。九分相関

( n i n e ‑ f o l dc o r r e l a t i o n )

や三系列相関

( t r i s e r i a l c o r r e l a t i o n )

のプログラムにいたっては筆者らによって開発されなければならぬほど,自明の簡 単な事柄が何ら手づけられぬまま放置されて来たのである。

本邦における因子分析は浅野氏と松浦氏の書物の一部を除いてほとんど斜交因子分析について ほふれる所がない。直交主義が流行している。数学的には直交も斜交も同じ一次独立な因子空間 を記述することを可能にするものであるが,実質科学における諸概念はほとんど直交ではない。

例えば眼前の紙箱

( b o x )

のタテ,ョコ,高サは互いに直交しており, 概念的には直交であるが,

現象界の母集団においては三者間には高い相関があり,斜交である。なんとなれば,とてつもな く長くて幅の広い箱というものはもはや箱ではなく建物である。このように本来的に相関的な諸 概念間の構造や機能を分析するためには斜交因子分析が最も妥当な方法であり,山本が後述する ように,種々の異った被験者集団からの分析結果の交叉妥当化を求めるためにも,斜交因子分析 の技法は必須のものとなってくる。 このための

White

らの

Promax

法のプログラムは松浦氏 によって紹介されているが,

C a t t e l l

の所で開発された

R o t o p l o t

法は本邦ではまだ利用されて いない。これについては,藤村らが幾度の改良を加えて発表する。

また,この斜交因子分析にひきついで行われる項目分析については,辻岡と

C a t t e l l

が提唱し た因子的真実性の原理にもとづく精密な項目分析法のプログラムについては清水がこれを開発し,

社会的態度測定に応用した。おそらく,本邦において,このような精密理論にもとづく態度測定 法を構成したのは清水の研究が初めてであろうと考えられる。

因子分析が帰納的にデータ分析を終えた場合,その測定領域のモデル化のためには,第七節で 述べるモデル得点と反モデル得点が計算され,測定につきまとう誤差因子乃至は独自因子の大き さが計測されなければならない。 これは辻岡による心理測定論への新しい

a p p r o a c h

であり,

コンヒ゜ュータ一時代において初めて到達された測定の一義性

( u n i v o c a l i t y )

の問題やコンヒ゜ュー

(5)

タ・シミュレーションの問題と関連する極めて重要且興味深い問題である。この点についてほ東 村が内田・クレペリン検査に関して既に「心理学研究」にその見事な成果を発表し,また,清水 が近く社会的態度測定についても発表する予定であるのでここではふれなかった。これらの諸技 法は次の図式に総括され,また点線の枠組で分括されるような諸々の方法論を構成する。

まず第一の①の枠でかこまれた部分は通常の共通因子分析

( c o m ‑

の技法である。 ここでの特色は,

p a c k a g e

によってデータから最終的に

Promax

法の斜交因子解が 得られ,それが

R o t o p l o t

法によってグラフ表示されて結果が出て

m o n ‑ f a c t o r   a n a l y s i s )  

この

くるという所であり,

遂行されるのである。第二の③は①で得られた斜交因子解を更に磨 出し(後述)するためのもので,この部分は場合により省略されて もよい。⑤の部分は二次因子分析であるが手続としては図式のよう に一次因子分析の途中へもどることとなるので特別のプログラムは 必要としない。④の部分は所謂尺度構成のための因子推定値と項目 分析に該当する部分であり因子推定値はまた⑤のモデル構成からコ ンヒ゜ュータ・シミュレーションヘ,そのためのモデル得点,反モデ ル得点の算出へと導かれる。そして最終的には個人診断のための分 析的総合評価

( a n a l y t i c a l ‑ s y n t h e t i ce v a l u a t i o n )

のための⑥のプ これが一つのプログラム

p a c k a g e

によって

② 

ログラムヘと結合される。これらの一部については,後の節で,更 に検討する予定である。

これらの図式のいずれかのJレープを循環する度に,その研究領域 についての知見は一段ずつ明確にその姿をあらわすことになる。こ こで述べた方法論のすべてほ,林氏の言をかりれば外的基準のない 場合のデータ解析に該当する。一方われわわは応用学乃至は規範学 の観点から,これらの内的整合性を持った知見は外的基準との対比

において整理されなければならない。この問題についてはここでは取扱わなかったが一部分東村

F i g .  

0‑1  因子分析的研究の

ためのコンビュータ プログラム概観

によって既に着手され,次の発表ではこの問題の理論化をはかりたいと考えている。

われわれの方法論が,既に多くの諸先輩によって開発された技法やそのためのプログラムの仲 間入りをさせて戴き多くの研究者の用に役立てば幸いである。 これらの諸先輩の名をここに列ね て敬意を表しつつ序言とする。芝祐順,浅野長一郎,池田央,松浦義行,三砦武,

C a t t e l l ,C o o l e y   and L o h n e s ,  H o r s t ,  K a i s e r ,  W h i t e ,  H o u s e h o l d e r

ら, このほかにも数えあげられないほどわ れわれは多くの人々の業績に負う所が大である。ここに厚く御礼申し上げる。

尚以下のすべての論文を作成するにあたり論文末尾の研究担当者が研究を主として分担したが,

内容についての文責は辻岡にある。 ( 辻 岡 美 延 )

‑ 4 ‑

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