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平成24年度 修士論文

小規模店舗集積領域の時系列変化の要因分析

       一下北沢を対象として一

首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域

   11886442 松川 優    指導教員 吉川徹

(2)

6枚梗概

(3)

首都大学東京大学院建築学域 平成24年度修土論文梗概

小規模店舗集積領域の時系列変化の要因分析

一下北沢を対象として一

11886442 松川 優 指導教員 吉川 徹

1. はじめに

1.1背景と目的

 再開発事業による大型商業施設建設や、郊外を中心とした大規模 ショッピングセンターの進出などにより、駅前商業店舗の衰退や空 洞化の問題が表面化している。その一方で駅直近の大規模に整備さ れた商葉集積だけではなく、その界隈の比較的小規模な商業店舗の 広がりにより賑わいをみせている地域がある。近年の首都圏の居住 志向に関するアンケ…トUでは、吉祥寺・下北沢・高円寺・自由が 丘などの地域が上位に示さオ1ノており、ニオi、ら地域は後者の特徴に当 てはまる。地域住民のみならず来街者を惹きつける要因の一 つは、

商業店舗が作り出す都市空間であると考えられる。

 そ二で本研究では、小規模商業店舗の広がりが見られる地域にお いて、各々の店舗が持つ領域とその領域が連結して形成される集積 領域に着目して都市空間の分析を行う。特に集積領域の連結性とそ の時系列変化を把握することで、商業店舗の誘導や住宅街と商業空 間の関わり方、計画や規制の壷)り方など都市政策への示唆を得るこ

とを本研究の目標とする。

1.2 既往研究と本研究の立ち位置

 小規模商業店舗の広がりの形成過程の研究はいくつか見られる。

脅木健2リまメッンユデ…タや、ある単位で集計された統計デ…タ松 とを絹いた時系列の記述分析で、商業店舗の広域的および長期的な 変化を捉えた。また稲坂他州は商業集積形成過程の分析のため、店 舗からバッファを作成し、経年的な変化の可視化を行い、さらに円 統計を用いて広域的な商業集積拡大方向の分析手法提案と可視化を 行っているコ広域的な都市空間の分析であれぱこのような方法は妥 当であると考えられる。しかし、小規模商業店舗の広がりの形成過 程に影響を及ぼすと予想される、擬覚的な店舗間の連結性を考慮す 居ためには、ヒューマンスケールでの都市空間分析が求められ、そ のためにはより詳細な手法が好ましいと考えられる。また関口他51 による経年的に店舗出店範囲や業種変遷を分析した研究があるが、

それぞれの店舗闘また業種間での連結性や領域の議論の観点からは 具体的な指標を用いて論じられているわけではない。

 これを受けて本研究では、店舗が作り出す領域について視認可能 かという観点から分析を進め、調査地域の鎮域の時系列変化と業種 毎の領域の連結性響の把握から形成要因を探っていく(図1)。

2.研究方法 2.1対象地域概要

 分析対象地として、次の理由から東京都世間谷区下北沢地域を選 定した(図2)。下北沢の特徴として50m2未満の小零細店舗が多く集 まっている地域であることが挙げられ、多くの既往研究舳舳により 駅から300−400mまでの範囲に、駅からの距離に関わらず商店が地域 全体に分布していることが確認されている、従って駅を中心として 商業地が形成されているものの、商店は駅からの距離のみを重視し て立地しておらず、分析にあたって距離抵抗を考える必要が少ない。

また徒歩移動を中心とした都市構造になっており、来街者が自費ヨに 散策を楽しみながら店舗を回る行動を想定し易い。

 さらに大規模な再開発が行われていないこと、小規模店舗が基本 であり出店費用を比較的抑えることができ店舗の入れ替わりに抵抗 が少ないことから、時系列変化を調査することが可能と考えられる。

2.2店舗調査概要

 本研究で利用する商業店舗データは、1988年から2(〕10年までσ)2 年毎の職業別電話帳を使用し、駅からの距離300−400mに概ね含まれ る世嗣谷区北沢2丁目の商業店舗の住所・職業分類・店舗名を抽出 し作成した。この抽出に際しては2008年の生活シーン別索引を基本 とし、そ二から来街者が直接商品またはサービスを享受できる職業 分類を定めて全353業種のデータを得た(表1)。

2.3領域の定義・抽出方法

 都市空間の賑わいは多様な要素で構成されているが、本研究では 商業店舗から溢れる視覚的た情報が大きな要因の一つであると仮定 し、抽出した商業店舗データを基にそれぞれの店舗から視認に関す

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既往および本研究のスケールイメージ  図2.対象地域

(4)

る属性を持った領域を作成して、その領域の連破りを分析する。

 領域を作成する方法は次の通りとする。まず商業店舗データと平 成18年度建1物現況図とをG1SソフトArcGISを用いて統合する。そ の後Googleストリートビューを用いて、店鏑の間口面の情報を建物 外形線上に与え、間口からその店舗が襖認できる領域をバッファと して作成する。このバッファから道路上の部分を抽出し、隣接した 建物で複認不可能な艶麗を修正し領域を得る。バッファの半径は国 土交通省のサインのガイドライン州を参考に10mとした、これより、

この領域内では少なくとも1店舗が10m以内に視認できる。

3.立地分析 3.1全業種立地点

 調査から得られた全店舗データにより、下北沢に広がる商業空聞 を概観する。対象地域の建物総数は791地点である。商業店舗が立 地した総店舗立地点数は1988年では231地点であり、調査開始牢か ら下北沢ではほぼ全域に店舗が広がっている二とが把握できる(図 3)。経年変化を観察すると、2002年まで総店舗立地点数は269地点 まで増加していき、その後2010年の253地点まで減少している。立 地点を確認すると、1988年には立地が少なかった北側の住宅部分へ

η侵入や、南側の駅から一』番遠い場所の密度の増加が確認できる。

3.2職業分類毎の概観

 概観された商業空間内でも職業分類毎に分布は異なると予想され る。そこで調査対象の全353業種から生活シーン別索引を参考にして、

薬種形態が似ているものを整理し中分類を作成した(図4)。

 経年変化を追うと、美容室やエステをまとめた「美容系店舗」や 宝石やアクセサリ…などの「アクセサリ…店」や日用雑貨や輸入雑 貨の「雑貨店」などが店舗立地点数を増加させている。下北沢はた びたび雑誌などで取り上げられており、若者を中心として来街者を 対象とした店舗が増加していると考えることができる。

 大きく減少しているのは、「喫茶系店舗」と食料品を扱う「食品店」

である。喫茶店はファストフードやファミリーレストラン店と、食 品店はスーパー一などとの競合により減少したと考えられる。

 その他の中分類は経年的に見て、年により増減はあるものの1988 年から2010年での立地点数の大きな増減は見られない。

4.代表的な職業中分類の分析

 以上の概況を踏まえ、2010年の店舗で比較的立地点数が近い、居 酒屋やスナックを中心とした「飲料中心型店舗」、「美容系店舗」、古 着屋や洋品店などを中心とした「服店」の3申分類(以下、代表的 中分類と呼ぶ)の立地や領域を比較分析する。図5に1988年、1996年、

2002年、2010年の代表的中分類の立地と領域の時系列変化を示す。

4,1領域の時系列変化

 【飲料中心型店舗】1988年、小田急小田原線の南側に多くの店舗が 立地し、領域の重なりの濃い部分が多くなっている。また北側には 駅前に連なりを見せている場所と、分散している場所が確認される。

経年的に見ると北側では徐々に分散していた店舗が減少していく。

領域から外れた店舗立地点の撤退また領域の端点になっている店舗 が撤退している様子が目立つ。南側では店舗が限られた街路に集積

してゆく領域の変化が観測される。

 【美容系店舗い988牢の立地点は44地点であり、20IO年の75地 点まで増加する。1988年では下北沢全域に散らばった印象を与える。

その後大きく増加していくが集積せず、全域に分散立地していく様

図3 全業種立地占・1988年と2010年の比靭

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図4.中分類立地点数の時系列変化 子が観測される。

 【服店】立地点数は1988年から徐々に増加し2004年にピークを迎 え、その後減少している。1988年の駅北側は比較的駅に近い位置に 大きく集中している領域があり、南側は分散している。経年的には、

北側で住宅地の方に広がっていく領域変化が見られ、南側で分散し ていた領域が連結され、固まりになっていく様・子が確認される。

4.2領域数の分析

 各店舗の領域が結合したものは、視覚的に連結した一つの領威で あると判断できる。その基本的性質を把握するため、代表的中分類 毎の立地点数と領域数(図6)と、1領域当たりの店舗数(図7)を

(5)

1988       1996      2002       2010

飲料中心型店舗

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図。代表的中分割飲料中心型店舗美容系麟販店〕の立地占と領域の縣列変化1。・・⑪

(6)

計測した。

 領域数は、ある一定の店舗立地点数までは増加するが、密度が高 くなると、領域が結合し始めて減少すると考えられる。また店舗立 地点数が減少する場合、一定以上の店舗立地点数がある場合は領域 数に変化は起こらないが、一定の店舗立地点数以下になった場合は、

領域が分断さオユて領域数が増加すると考えられる。ただu苫舗立地 点が分散している場合は店舗立地点数と領域数の増減は一致する。1 領域当たりの店舗数は、億が高くなるほど1つの領域を形成する店 舗数が増加し、視覚的な連結性が強いと半1蜥される。

 飲料中心型庸舗の立地点数は80地点程度で安定して推移している。

1領域当たりの店舗数の推移で特徴的な点は1992−1994年にかけて大 きく値が下がっていることである二領域の連結性を保っていた複数 の店舗が同時期に撤退した二とにより、視覚的連結性が失われたと 判断される。1994年以降は多少の増減はあるものの、1領域当たり の店舗数は安定している。

 美容系店舗は2000年まで立地点数は増加傾向である。それに歩調 を揃えて1998年まで1領域当たりの店舗数は増加し、領域の視覚的 連結性が高まってゆくが、1998−2000年にかけて分散傾向に転じる二

とが確認できる。

 服店は1992年から2002年まで立地点数は約90地点と変化しない が、1996−1998年にかけて領域数が大きく減少して1領域当たりの店 舗数が増加しており、この間の立地点の変化が領域の連結性を高め

る方向にあったことが分かる。

 代表的中分類間で比較すると、1領域当たりの店舗数の値は常に美 容系店舗が最も小さく、視覚的連緒性が弱いことが分かる。1988年

と1992年を除き、服店が最も連結性が高いことが分かる。飲料中心 型店舗は旦992年、美容系店舗は1998年、服店は2004年がそれぞれ 経年的に見て、視覚的連結性が最も高くなっている時期である。

4.3形成店舗数の比較

 1領域当たりの店舗数の推移をさらに詳細に観察するため、個々の 領域を形成している店舗数(以下、形成店舗数と呼ぶ)の構成比を

求めた(図8)。

 代表的中分類の中では、飲料中心型店舗が形成店舗数1の割合が 小さく、形成店舗数2の割合は常に最も大きい。このことは、孤立

.した店舗は少ないが、比較的小規模なまとまりで点在している場所 が多い二とを意味している。

 美容系店舗では徐々に形成店舗数の多い割合が増加しており、こ れには店舗立地点数の増加が大きく影響していると思われる。

 服店は形成店舗数1の割合が最も大きく、形成店舗数2が最も少 ない。形成店舗数が高い領域も存在していることから、大きくまと まった部分と分散した部分が明確に分かれている。

4,4 重複部分の比率

 複数の店舗の領域が重複している部分は、その業種の雰囲気が色 濃い街となっている。これを把握するため、領域の面積を基に重な り方の経年変化を求める。各店舗からの領域の面積の和を領域延べ 面積(A+B)、結合された領域の面積を領域純面積(C)とし、

(A+8)ノC(以下、重複比と呼ぶ)を求めた(図9)。

 重複比が大きいほど、雰魍気が色濃い領域が形成されている二と を示す。服店が最も重複比が大きく、飲料中心型店舗が中間、美容 系店舗が最も小さく雰囲気が希薄である。飲料中心型店舗は1領域

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図6、立地点数と領域数

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図7.1領域当たりの店舗数

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図7.1領域当たりの店舗数

図8.形成店舗数の構成比

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図9.重複比および領域面積概要因

当たりの店舗数が降下ないしは横ばいであるにも関わらず重複比が やや増加傾向にあり、次第に集積が濃厚になりつつあることが判断

される。一方で服店では最近6年間は重複比が減少傾向にある。

(7)

5.領域形態分析 5.1領域の形態変化

 さらに、領域の形態変化を微細に把握するために、出店と撤退す る店舗立地点の領域の状況を詳細に分析する。lOmに設定した領域 の図を見ると、さらに広い範囲で領域が弱く連結している可能性も 考えらオ1、る。よって本章では渡辺地川の研究を参考にして、lOmの 外側にさらに20mの視認可能距離を定めた。この既往研究では、約 10mを境に看板に対する注視回数が減少し、概ね20mまで確保され ると示されており、2つの距離帯では視覚的な連絡性の強弱が異なっ ていると考えられるコこれによって連結された領域では、20m以内 に少なくとも1店舗が存在する。

   ・撤退の店舗立地点の状況を、図10の細分類によって把握 する。A「孤立」は、前年の領域とは全く異なる地点に出店・撤退を する場合である。B「密集」は、前年の領域の中に完全に含まれた地 点に出店する場合であり、撤退時は対象店舗が撤退しても領域が分 断されず周辺の店舗によって保たれる地点である。C r結合拡大」は、

  ・撤退に伴い領域の大きさに変化が起こるものである。Cに関  _      _一__         20㈹〕     __

遠して、CCとCDが考えられる。CCは、出店によって2頗域が結 ばれる場合であり、撤退時は領域が分断される地点である。CDは、

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図10.出店・撤退形態の細分類

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服店 図11.出店形態細分類

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        服店

(8)

Cの外側の20m以内に連結する領域が存在する場合である。D「視 認可能領域」は鎮域から20m以内に立地するものである。関連して DDは、領域と領域の間それぞれ20n1以内に領域が形成されるもの である。また立地が「道路沿い」(以下、沿い)か「角地」なのかを 区別する、さらに2領域の結合に関連するCC・CD・DDに関しては、

結合される領域同士が直線的な位置関係にある「直線」か、視界が 遮られる位置関係にあるr屈蜘かを区別する。

 まず生年の出店地点数は、飲料中心型店舗が70地点、美容系店舗 が101地点、服店が1H地点であ!)、服店が最も新規出店地点が多い。

出店地点の状況(図11)の比率を見ると、A「孤立」が高いのは飲 料中心型店舗と美容系店舗で、服店は低い。B r密集」は飲料中心型 店舗が高く、美容系店舗が低い。C「結合拡大」・CC・CDとD r視 認可能領域」・DDは領域を広げる分類とまとめることができ、服店 が約70%と最も高く、飲料中心型店舗は約60%と最も小さい、

 飲料中心型店舗は2000年頃から孤立の出店が減少し、密集や領域 を拡大させる分類の比率が増加している。美容系店鏑は1990−1994 年まで孤立の出店比率が特に高く、その後も継続的に他よりも高い。

服店は生年にわたって領域を拡大させる分類の比率が高い。

 次に撤退(図12)を確認する。撤退地点数は飲料中心型店舗が78 地点、美容系店舗が70地点、服店が114地点にある。美容系店舗と 服店は増加傾向である。分類の比率を見ると、A「孤立」はすべて約 20%である、B「密集」は服店が最も高い。C「結合拡大」・CC・CDとD「襖 認可能領域」・Dl)の領域が縮小するものの、比率は飲料中心型店舗 が長毛)高く、美容系店舗と服店は同程度である。飲料中心型店舗は 密集の撤退が最も小さい。美容系は鎮域が縮小する形態変化が増加 傾向にある。服店は全牢にわたって密集の撤退の比率が高い。

5,2分散比

 以上に述べた出店・撤退が、どの程度既存の領域から分散してい るのかを分析する。視認距離を10mとした場合の孤立店舗の一部が、

その外側に20mの距離を新たに想定したことでD「視認可能領域」

妄)るいはI)I)に分類される。そこで0とDDの地点数の穐dとA「孤立」

の地点数aの比により、視認可能距離を20mに仲はすことによって 減少した孤立店舗地点数の比を求めた(図13)。この値が高いほど、

より既存の領域に近い地点での店舗の出店・撤退が多い。出店の場合、

飲料中心型店舗は0.36、美容系店舗はO.57となるのに対して、服店 は1,43であり、より既存領域の近くに出店している。撤退の場合、

飲料中心型店舗は0,53、美容系店舗は0.38、服店は0.75であり、服 店を含めて孤立性の高い立地の店舗が撤退している。

5.3 「沿い」「角地」と「直線」「屈曲」

 角地は視認(1)観点からは重要性が高い地点と考えられるので、そ の状況を分析する。生年の店鏑の総立地320地点の内、沿いは214 地点、角地が106地点であり、比は211である。出店・撤退(図14)

に限ると比は概ね7:3である。撤退の場合、飲料中心型店舗と服店 は同様に7:3であるが、美容系店舗は角地の撤退比率がやや高い。つ ぎに、2領域をつなぐCC・CD・DDのみに着目すると(図15)、全 分類よりも角地の比率が大きくなる。また、角地の結合方法を圭1ヒ較 すると「屈曲」の方が割合が高い。

 以上より、角地は領域を連結する際に重要な役割を果たしている ことが考えられる。これは、角地が沿いに比べて多方向からの視認 が可能なことと関連していると推測される、」

骨、

飲料中心型店舗 美容系店舗 一  服』苫

図13.孤立店舗地点数と分散比

美容系店錆一

II一一絈p地

…■沿い

図14.立地点状況

   1地点〕

________Q5ヰー一一一一一一一一一一一一 …一一一一一一一一一山

__、_Q0仁___I、、_、、I..一___一_

垂江

≡      沿い…角地て沿い 角地…

…       美容素店舗 …  服店  1

麗屈曲 8直線

図15.領域の結合分類別地点数 6.総括及ぴ今後の課題

 本研究では、店舗が形成する視覚的な鎮域に着目し、時系列変化 及び形態変化の分析を行った。

 下北沢には多くの店舗により商業空間が形成されているが、領域 の時系列変化を職業分類毎に分析する二とで特徴的な傾向が確認さ れた。飲料中心型店舗は小規模なまとまりで点在する傾向と多数の 店舗で集積していく傾向が見られた。美容系店舗は店舗立地点数が 増加しても分散していく傾向が見られた。服店は視認領域の拡大や 連結性が最も見られた。分析の結果から出店・撤退と視覚的な領域 が関連していることが示唆され、連結性を高める店舗立地として掲 地の重要性が確認された。

 今後の課題として、対象地域と分析期間を増やし、より詳細で汎 用性のある知見を得ることが必要である。また職業別電話帳に掲載 されない店舗の把握や来街者の行動を実地調査することで、より現 実的な都市空間分析を行うことが可能となろう。

参考文献

1)株式会宇土角川マガジンズ「東京ウォ…カー・」5号r2012年住みたい街・伺二人でよかっ ! ランキング』.2012.2.2S

2)青木はるひ他;商業集積拡大の仕組みに関する定量的百珊究一広域渋谷間を対象として.ミロ 本建築学会学術講演梗概簾,P−1,293−294.2007

3)稲坂晃義他「都市空間における商業策積形成過稚の分析刊土1その1成長過縦による地域 分類」日.狂建築学会学術講演梗概.集,F−1.8⑪5−806,2⑪07

引 稲腹晃義他 「繭裟集積肱メこσ)方1白1oり分析手法一とその可観fヒ」 日客建築学会副一画系論文集1 75(650).889_896.2010

5j関1i達也他「何11宅地演出型商業集積リ)形成過程とぞσ)要因に関する研究1原宿地域・奇 μ」地域・代官11雌城を事例とした時空間分桝」部市計画論文集{47),301−306.2012

6)高橋弘明他r商業集積地における鮎方肯の回遊行動と店舗σ)ひしめき合いとの関係につい ての研究 下北沢駅周辺地域を事例として」日本建築学会学術講演梗概集、

P_1,1281_1282.2005

7)高山幸太郎他r媚薬集検地における空間の「奥行」に関守る研究1ド北沢を対象として」

都市書;側学会論文集(3打フ9−84.2002

8)李東勲「地域型商業地における映鏑の立地状況に閲する研究・Nヒ沢の季1例」日本建築 学会計測系論文集73(625j.619−624.2008

9)羽賀止手i]他1 微地形が小売り商店立地分布に与える影響1卜北沢を対象としたケー・・スス タディ」郷市計圃論文集46(い.55−62.2011−04−25

10)国土交通省12007〕公共交通機関の旅客施設に関する移動等P1滑化整備ガイドライン,

P,58

川渡辺聡他r商業地街路における歩行省の看板注視傾向に関する研究銀座中央逓りにお ける歩行実験の分析」〔本建築学会計画系論文集(574〕,l13−120.2003−i2−30

(9)

目次

第1章

  1.1   1.2   1.3

はじめに 研究の背景 研究の目的

既往研究と本研究の立ち位置

第2章研究方法

  2.1対象地域概要   2.2店舗調査概要

  2.3領域の定義・抽出方法

6 7 8

第3章立地分析

  3.1全業種立地点   3.2職業分類毎の概観

10 11

第4章代表的職業中分類の分析   4.1領域の時系列変化    4.1,1飲料中心型店舗    4.1.2 美容系店舗    4.1.3 服店

  4.2領域数の分析    4.2.1概要    4.2.2 分析結果   4.3形成店舗数の比較   4.4重複部分の比率   4.5小括

13 14 16 18

20 21 22 23 24

第5章 領域形態分析   5.1領域の形態分析    5.1.1弱い連結性    5.1.2 形態の細分類    5.1.3 出店の場合    5.1.4 撤退の場合   5.2分散比

   5.2.1分散比概要    5.2.2分散比分析結果   5.3 r沿い」とr角地」

  5,4出店・撤退地点のr沿い」とr角地」

  5,5 r直線」とr屈曲」

  5.6小括

26 27 28 29

30 31 32 33 34 35

第6章 総括及び今後の課題   6.1総括

  6.2今後の課題

37

第7章 参考文献及び付録

(10)

第1章 はじめに

1.1 1.2 1.3

研究の背景 研究の目的

既往研究と本研究の立ち位置

(11)

第1章 はじめに

1.1研究の背景

再開発事業による大型商業施設建設や、郊外を中心とした大規模ショッピングセン ターの進出などにより、駅前商業店舗の衰退や空洞化の問題が表面化している。

 その一方で駅直近の大規模に整備された商業集積だけではなく、その界隈の比較的 小規模な商業店舗の広がりにより賑わいをみせている地域がある。

 近年の首都圏の居住志向に関するアンケート1)では、吉祥寺・下北沢・高円寺・自 由が丘などの地域が上位に示されており、これら地域は後者の特徴に当てはまる。地 域住民のみならず来街者を惹きつける要因の一つは、商業店舗が作り出す都市空間で あると考えられる。

 行政や商店会、市民団体などが商店の空洞化に対して対策を講じている地域が見ら れるが、全てがうまくいっているわけではない。例えば行事やイベントごとだけでは なく、建築的な視点または都市計画的な視点から、居住志向アンケートで上位に挙げ

られた地域を検証することも必要であろう。

妻1居住志向に関するアンケート

【2012年】

住んでよかった街   順位   住みたい街 吉祥寺

中野 三鷹 浅草 立川 西荻窪 八王子 赤羽 荻窪 池袋

1 2 3 4

5 6 7 8 9 10

吉祥寺 下北沢 中野

高円寺中目黒

恵比寿 三鷹 池袋 新宿

【2011年(参考)】

住んでよかった街   順位 中野

高円寺

池袋練馬

新宿

1盤一葛西

目黒 立川

住みたい街 1   吉祥寺 2   下北沢 3   恵比寿 4   自由が丘 5   新宿 6   池袋 7   浅草 8   中目黒 9   代官山 10   中野

大規模ショッピングセンターと小規模商業店舗

(12)

第1章はじめに

1.2 研究の目的

 背景から本研究では、小規模商業店舗の広がりが見られる地域において、各々の店 舗が持つ領域とその領域が連結して形成される集積領域(図1)に着目して都市空間 の分析を行う。

 ここで言う店舗の領域とは例えば、古着屋が集まってつくる古着を買い回る街の形 態であったり、キャバクラや風俗店などが集まり独特の雰囲気を出している地域を領 域として表現する。

 特に、集積領域の連結性とその時系列変化を把握することで、商業店舗の誘導や住 宅街と商業空間の関わり方、計画や規制のあり方など都市政策への示唆を得ることを 本研究の目標とする。

I

   ●  ■  一     、

〃 一1 、

、      〃  、 一 一

図1 店舗領域と集積領域のイメージ

(13)

第1章はじめに

1.3 既往研究と本研究の立ち位置

 小規模商業店舗の広がりの形成過程の研究はいくつか見られる。青木地2〕はメッシュデー タや、ある単位で集計された統計データなどを用いた時系列の記述分析で、商業店舗の広域 的および長期的な変化を捉えた。

 また稲坂他3〕4〕は商業集積形成過程の分析のため、店舗からバッファを作成し、経年的な 変化の可視化を行い、さらに円統計を用いて広域的な商業集積拡大方向の分析手法提案と可 視化を行っている。広域的な都市空間の分析であればこのような方法は妥当であると考えら

れる。

 しかし、小規模商業店舗の広がりの形成過程に影響を及ぼすと予想される、視覚的な店舗 闇の連結性を考慮するためには、ヒューマンスケールでの都市空間分析が求められ、そのた めにはより詳細な手法が好ましいと考えられる(図2)。

 また関口他5〕による経年的に店舗出店範囲や業種変遷を分析した研究があるが、それぞれ の店舗間また業種間での連結性や領域の議論の観点からは具体的な指標を用いて論じられて いるわけではない。

 これを受けて本研究では、店舗が作り出す領域について視認可能かという観点から分析を 進め、調査地域の領域の時系列変化と業種毎の領域の連結性等の把握から形成要因を探って

いく。

         広域な店舗な分析 店舗プロット

      (クランピング法・メッシュ解析)

/ 

/   

/       、    \

         ネットワークの考慮 道路ネットワーク

        (移動時間・距離のバッファ)

ノ    、  、

/         、     \

ヒューマンスケール 店舗間の連続性

(視覚的な情報)

図2 既往および本研究のスケールイメージ

(14)

第2章 研究方法

2.1 2.2 2.3

対象地域概要 店舗調査概要

領域の定義・抽出方法

(15)

第2章 研究方法

2.1対象地域概要

 分析対象地として、以下の理由から東京都世田谷区下北沢地域を選定した(図3)。

①50m2未満の小零細店舗が集積

 店舗面積が小さいことより、出店・撤退する際に多額の費用を用意する必要が少ない。つ まり出店・撤退することに抵抗が小さく、店舗変更など移り変わりを調査するのに適してい

る。

②既往研究6〕7〕8〕9)により駅から300−400mまでの範囲に店舗が立地

 下北沢は商業店舗や景観などに関する多くの既往研究がなされており、駅から300−400m までの範囲に駅からの距離に関わらず地域全体に分布していることが確認されている。従っ て駅を中心として商業地が形成されているものの、商店は駅からの距離のみを重視して立地 しておらず、分析にあたって距離抵抗を考える必要が少ない。

③都市構造

 下北沢は徒歩移動を中心とした都市構造になっており、来街者が自由に散策を楽しみなが ら店舗を回る行動を想定し易い。

④再開発の有無

 下北沢は駅の地下化などの整備が計画されているものの、本研究の調査年までは大規模な 再開発が行われておらず、道路や建物もほぼ変化していないことを前提として調査すること が可能である。よって時系列変化を調査することが可能である。

図3 対象地域概要

(16)

第2章 硫究方法

2.2 店舗調査概要

 本研究で利用する商業店舗データは、1988年から2010年までの2年毎の職業別電話帳 を使用し、駅からの距離300−400mに概ね含まれる世田谷区北沢2丁目の商業店舗の住所・

職業分類・店舗名を抽出し作成した。

 この抽出に際しては2008年の生活シーン別索引を基本とし、そこから来街者が直接商品 またはサービスを享受できる職業分類を定めて全353業種のデータを得た(表2)。

 職業別電話帳では、1つの店舗が複数の職業分類に掲載が可能である。つまりこの調査で 得られる店舗数データは1つの店舗が重複して集計されている場合がある。

 また各年代により店舗名が変化しているものが確認された。しかし、どの店舗名が同じ経 営者で運営されているものなのか判断が難しい。

 そこで本研究では、店舗数ではなく、どこに各々の属性を持つ店舗が存在していたのかを 示す店舗の地点数を把握する。さらに1つの店舗が複数の職業分類に掲載している場合は、

複数の属性を持つものとする。

 また店舗が1階ではないものについては、店舗情報が地表階にあふれ出しているとして、

階数の区別は付けいないこととした。

表2 生活シーン別索引概要

お買物・ショップ コンビニ・スーパー・ショップ 荻汐ド隣・ツ様モール;彰ヨ泌該 調潔轡 亜ン黒ス樗荻 梁一減一ス妻荻・マーケット デイ黒あ夢ジ終ショ淡プ 泰減一ド

書庫

吉本

種苗商

釜花唐

造花・装飾・花環

おしやれ 洋服 洋品唐(練迷用品)

洋品唐(婦炎用品)

洋服唐

化粧・美容・髪 玉ス茅泰イ以ク獄磨ジ 継粧品販売

ネ約レ城塞彰 日焼獄核目シ 美容院

たべる・のむ グルメ 居酒屋

飲食麿 喫茶店・甘味処 π家系ク融一公

など など 菊フエ       稼婆

(17)

第2章研究方法

2.3 領域の定義・抽出方法

 都市空間の賑わいは多様な要素で構成されている。例えば商業店舗の連なりや、その店舗 を訪れる人々による混み具合、また音やにおいなども賑わいをつくりだしているものであろ う。その申でも本研究では、商業店舗から溢れる視覚的な情報が大きな要因の一つであると 仮定し、抽出した商業店舗データを基にそれぞれの店舗から視認に関する属性を持った領域 を作成して、その領域の連なりを分析する。

 領域を作成する方法は次の通りとする。

①商業店舗データと平成18年度建物現況図とをGISソフトArcGISを用いて統合する。

②Goog1eストリートビューを用いて、店舗の間口面の情報を建物外形線上に与える。

  (建物及び間口面は調査期間で大きな変化がないと見なし、統一してある)

③間口からその店舗が視認できる領域をバッファとして作成する。

④このバッファから道路上の部分を抽出し、隣接した建物で視認不可能な範囲を修正し領域 を得る。

 ただしバッファの半径は国土交通省のサインのガイドライン10)を参考に10mとした。

 「遠くから視認する吊下型等の誘導サインや位置サインなどは20m以上、近くから視認す る自立型や壁付型等の案内サインなどは4−5m以下、案内サインの見出しなどは10m程度 に視距離を設定することが一般的である」として、視距離が10m以内であれば、商店のディ スプレイも認識しやすいと思われる。

 これより、この領域内では少なくとも1店舗が10m以内に視認できる。

本研究では、1つの建物に1つでも店舗入っていた場合は領域を形成する。つまり複数の テナントがある場合でも、単独の店舗と同様の領域を形成する。また経年的なデータにより どの店舗がどの位置のテナントに入っているか判断が困難なため、1つの建物に対して共通 の間口を設定してある。

口■ロロロロ口①店舗情報

□口[コ■口

③視認領域

□■■口□□ [コ[コ ②間口情報

④領域修正

図4 領域作成手順

(18)

第3章 立地分析

3.1全業種立地点 3.2職業分類毎の概観

(19)

第3章 立地分析

3.1全業種立地点

 調査から得られた全店舗データにより、下北沢に広がる商業空間を概観する。

 対象地域の建物総数は791地点である。商業店舗が立地した総店舗立地点数は1988年 では231地点であり、調査開始年から下北沢ではほぼ下北沢全域に店舗が広がっているこ とが把握できる(図5)。ただし、北側の調査範囲の中心部分や南側部分には店舗が存在して いない地域が確認できる。

 経年変化を観察すると、2002年まで総店舗立地点数は269地点まで増加していき、その 後2010年の253地点まで減少している。全体として地点数は増加傾向であり、賑わいを 表す領域が広がっている、また賑わいが濃密になっていると言うことができる。

 バブル崩壊後も商業店舗の地点数は増加しているが、これは駅前や既に商業テナントとし て賑わいのある地点の賃料の増加を避ける店舗が、新たな地点に出店していった可能性など が考えられる。

 立地点を確認すると、駅前の部分やメインとなる商店街部分では1988年でおおよそ立地 が確認される。1988年と2010年の立地点について比較を行うと、1988年には立地が少 なかった北側の住宅部分への侵入や、南側の駅から一番遠い場所の密度の増加が確認できる。

(地点〕

1 . ■^

OOON寸OOOON寸OOOO

雰  8  雰  雷  雷  雷  昌  昌  8  8  8  昌1年)

国1!即年

図5 上図、経年的総店舗立地点数 下図、全業種立地点1988年と2010年の比較

o

㌧、

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■1明岬.コ□rO年醐業■

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禛Rロ10缶      ■コ010年明由         .

参照

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