[資料] 共同海損と海上保険 (2)
その他のタイトル General Average and Marine Insurance (II)
著者 亀井 利明
雑誌名 關西大學商學論集
巻 14
号 2
ページ 156‑184
発行年 1969‑06‑25
URL http://hdl.handle.net/10112/00021216
〔 資 料 〕
共 同 海 損 と 海 上 保 険
(2)亀 井 利 明
v
共同海損の精算
1.
精 算 の 原 則
現実的共同危険が航海団体を脅威するとき,その危険を回避する異常かつ 任意の処分を行なったために生起した損害および費用は共同海損を構成する。
共同海損を構成した場合,その損害は利害関係者によって共同分担しなけれ ばならない。これが共同海損の精算である。
共同海損の精算を支配する原則は,航海団体の構成員がその構成員中のあ る者の損害によって共同危険を免れたのであるから,その危険を免れた利益 の割合に応じて損害を分担するとともに,損害を受けた者(分担請求権者)
もまたその損害を分担し,他の構成員と同一の地位に置くということである。
すなわち,それは衡平を基盤とする損害の共同分担原理である。この点につ き ,
Y.A.R.,B条は「共同海損たる犠牲および費用は以下に規定する基礎 により,各種の分担利益によって負担される」ときわめて簡単に規定してい る 。
共同海損を精算するためには,一方において共同海損の額,すなわち共同 海損賠償額
(amountsmade good)を決定するとともに,他方においてこれ を分担する財産の額,すなわち共同海損分担価額
(contributoryvalues)を決 定しなければならない。そして,前者の総額を後者の総額で除して共同海損 分担率を求め,これを各々の分担価額に乗ずれば,各利益の分担額が算出さ れ,各利害関係人の醸出すべき額が確定されることになる。
これを判りやすく例をあげていえば次のとおりである。いま船舶
Aと積荷
B,C,Dが海上を航行中荒天に遭遇し,船脚軽減の目的で積荷
Bの全部が投
荷されたとする。船舶
Aの価額を
100,積荷
Bを
20,Cを
30,Dを
50とする。
共同海損賠償額総額……•………·……… •20 共同海損分担価額総額
100+20+30+50=200共同海損分担率
20+2oox100 = 10%A
の 分 担 額
Cの 分 担 額
Dの 分 担 額
10ox10%
30XlQ%
50xl0%
: ] B
の分担請求額
= 5 B
の 分 担 額
2ox10% = 2以上のような比例分担が精算の基本的考え方であるが,問題はこのように 簡単ではなく,共同海損賠償額および共同海損分担価額の決定をいかなる標 準で行なうかということが,まづ第一に困難な問題となる。これはいわば評 価の問題であるから,時および地が問題となる。
共同海損賠償額(以下損害額という)および共同海損分担価額(以下分担 価額という)の決定につき
Y.A.R.,G条第
1項は次のごとく規定している。
「共同海損は損失
(loss)および分担 (contribution)のいずれについても航海終了の時および地の価額を基礎として精算される」
これはいわゆる終航地主義といわれる規定であり,一般に合理的なものと されている。けだし,航海団体の利害はその航海の最終結果いかんによって 決せらるもので,航海団体は航海の始期より終期まで一つの統一体を構成し ているのであるから,共同海損によって保存された財産の分担は,当該財産 が航海の終りにおいて残存することを条件とし,終航地における残存価額を 限度とすべきものだからである。かくて,分担額はもちろん,損害額も終航 地を基準として決定されることになる。
問題は終航地,すなわち航海
(adventure)終了の時および地とは何かである。これは一般に航海団体が終局的に分離する時および地と解釈されている。
しかし,それは航海の態様によって考えていかねばならぬ問題で,以下,① 単純航海,②複雑航海,⑧航海廃止の場合に分つて考えていこう。
(1)
単純航海の場合
船舶および全積荷が同一の仕向港に向つて航海する場合である。たとえば,
船舶が
A港において全積荷を積込み,
B港において全積荷を陸揚げする場合 がその例で,
B港が航海終了の地である。航海終了の時はいうまでもなく,
B
港にて積荷の陸揚げを完了した時である。
( 2 ) 複雑航海の場合
これは定期船による個品運送の場合の航海である。すなわち,積荷が各地 において積込まれ,各地において陸揚げされていくような航海である。この ような場合においても,一定の航路を往復する往復航海の場合と,一定の航 路を環状に航行する環状航海の場合とがありうる。前者の場合には形式的に 終航地を決定することができるが,後者の場合にはそれができない。しかし,
かりに形式的に終航地が決定されたとしても,その終航地は航海団体の終局 的分離地とはいえない。そこで,複雑航海における終航地をいかに考えるベ・
きかという重大問題に直面する。この点につき,
Y.A.R. Iまなんらの規定 を設けていない。そのため,大体三つの見解が対立している。
そのーは,共同海損行為が行なわれた時に船舶上にあつた積荷が,それぞ れの寄航港において陸揚げされ,最後の積荷が船舶より荷卸された時および 地を共同海損精算の基礎とするものである。その二は,共同海損行為が行な われた時に,船舶上にあつた積荷が最初に陸揚げされた時および地を共同海 損精算の基礎とするものである。その三は,共同海損行為が行なわれた時に 船舶上にあった積荷が,それぞれの寄航港で陸揚げされたとき,積荷につい てはそれぞれの陸揚げの時および地を共同海損精算の基礎とし,船舶につい ては,最後の積荷の陸揚げの時および地を共同海損精算の基礎とするもので ある。
以上の三説中理論上第二説が正当である。けだし,共同海損行為が行なわ れた時において航海団体を構成する利益のうち,一部の利益でも航海団体か ら分離するときに,その航海団体は解体したと見るべきであり,事後新しい 航海団体の結成があると考えるのが妥当だからである。ちなみに,最初の積 荷が陸揚げされたとき,新らしい積荷がその港で積込まれることもあるべく,
そのかぎりにおいて,新しい航海団体の発足とみるのが正当である。また,
共同海損行為の後,最初に陸揚げされた積荷は,その後に生じた共同海損を
共同海損と海上保険(2)
分担するいわれがない。かくて,第一説および第三説は採用できない。しか し英国の精算人の取扱いは第三説であるが,それはあくまで便宜主義である。
(3)
航海廃止の湯合
船舶の損傷修繕の事情によって航海が廃止ないし打切られる場合がある。
この湯合には,航海団体は航海廃止の時および地において終局的に解体する。
したがって,その時および地が共同海損精算の基礎とされる。
以上のように,損害額および分担額の決定は終航地とされ,それが共同海 損精算の基礎とされる。しかし,共同海損の精算は終航地で行なわなければ ならないということはない
(G条
2項 ) 。 終航地で精算することが不便なこ ともあり,精算を行なう場所の選定は船主に一任され,かつ精算人の選定も また船主の自由に委ねられている。
2.
共同海損賠償額
共同海損として賠償されるべき損害および費用は,共同海損行為の直接的 結果たるものにかぎられるが,その範囲および価額については,
Y.A. R.の数字規定に定められている。共同海損犠牲については価額決定がやっかい な問題となるが,共同海損費用については現実に支出した金額が明白である ため格別論及する必要がない。そこで以下,積荷,船舶,運賃について犠牲 損害の額の決定についてーベつしよう。
( 1 ) 積荷の犠牲損害額の決定 ( 1 6 条 )
積荷の犠牲損害額の決定は陸揚げ終了の日の市価を基準としてなされる。
そして,この場合の市価は,通常支出を要する費用(たとえば陸揚げ費用,
諸掛,諸掛輸入税,向払運賃等)であつても犠牲に供せられたために,支出 を要しないものを差し引いた正味価額
(netvalue)が採用される。Y. A. R. 1 6条第 1項によれば,積荷の共同海損賠償額は,船舶からの荷
卸の最終の日
(thelast day of discharge of the vessel)における市価または航
海が原仕向地以外の地で終了した場合には,その航海終了
(the termination of the adventure)の際の市価に基づき積荷所有者の被った損害額であるとし
ている。この場合,被害積荷の損害額は鑑定人
(surveyor)の認定した損害率(allowance)を市価に乗じてえた金額とされるのであるが,これは必ずしも利
害関係者の合意をえるとはかぎらない。
もし,合意がえられなかったならば,売却処分によつて損害額を決定する 方式が採用される。この場合,旧
Y.A.R.では英国海上保険法第
7I条第
3項に規定する比例算定方式を採用していたが,現在の
Y.A.R.第
16条第
2項は,海上保険の
Salvageloss方式にならい,差額算定方式を採用している。いまこれを数式で示せば以下のとおりである。
正味正品市価
(net sound value)………
S正味損品市価
(net damaged value)=正味売得金
(netproceedsof sale) •··· D .......... ;..................................... A
共同海損賠償額=損害額
A=Sx S‑D s
(旧規則)
A=S‑D
(現行規則)
以上の二つの公式によって求められる
Aは,数学上同一結論になるのであ るが,実際に計算する場合,市価変動の要因によって相当異なったものとな る。旧規則の公式では
S‑Ds
という損害率を用い,市価変動の要因を除去し,
公平な共同海損賠償額を算定している。ところが,現行規則では,市価変動 による積荷所有者の損得はあっても,実損害の近似値が求められ,精算が簡 便となる長所がある。
(2)
船舶の犠牲損害額の決定
(18条 ,
13条 )
船舶の犠牲損害額の決定は,航海終了の時ならびに地において船舶の損傷 を原状に回復するに要する費用である。損傷が修繕されない場合の共同海損 賠償額は,修繕費見積額を越えない妥当な減価額
(reasonable depreciation)である
(18条
1項)。 これは犠牲損害が分損に止まる場合であるが,全損と なった場合には,修繕費を中心として損害額を決定することができない。そ の場合には,終航地における船舶の無損傷状態の見積価額から単独海損見積 額を控除した金額が,損害額とされる
(18条
2項)。
ところで,船舶の犠牲損害額の決定に当たっては損傷の修繕費が基準とさ
れるのであるが,修繕に当たって船舶の古い部分や,古い属具が新しいもの
に取り換えられ,その結果として船舶が原状回復を越えて改良されることが ある。この場合には,価値増加部分は損害額ではなく,修繕費から控除しな ければならない。この点につき,
Y.A.R.第
13条第
1項は「共同海損賠償 額を決定するに当たり,共同海損として認めらるべき修繕費は,旧材料また は旧部分が新換された場合には,新旧交換控除
(deductionsin respect of "new for old)を以下のとおり行なう」と規定し,第
2項以下にその詳細を規定し ている。
(3)
運賃の犠牲損害額の決定
(15条 )
後払運賃の場合にほ,積荷の到着数量によって運賃が支払われるというの が原則である。この原則が必ずしも守られていないことはすでに述ぺたとお りである。しかし,ここではこの原則が守られていると仮定するならば,積 荷の到着数量が減少すると運賃の損失が生じる。これが共同海損行為による 場合,すなわち,運賃損失の原因が積荷の喪失または損傷であって,これが 共同海損として容認される湯合にかぎって,その運賃損失も共同海損として 賠償される
(15条
1項)。
このように共同海損として賠償される運賃から,犠牲によって運賃取得者 が支出を免れた諸経費を控除することは衡平の見地からして当然である
(15条 2項)。 その経費の主なものほ積荷の陸揚諸費用である。
3.
共同海損分担価額
(17条 )
共同海損行為の結果として損害を被った者は,航海団体の他の構成員に対 し,損害の賠償,すなわち分担を請求することができる。このような分担関 係にあるものは船舶,積荷,運賃であることはいうまでもないが,積荷に類 似するものとされる郵便物,旅客の手荷物および身廻品は通常,船荷証券を
もって運送されないため,分担関係から除外される
(17条
2項)。
かかる分担関係を精算するに当たって基準とされる価額が共同海損分担価
額である。これはまた共同海損負担価額ともいわれる。共同海損分担価額は
共同海損賠償額と同様に航海終了時の正味価額
(Actualnet value)とされる
が,もし,この価額に犠牲に供された財産の共同海損賠償額が含まれていな
共同海損と海上保険(2)(亀井)
いときには,これを加算するものとされている
(17条
1項)。
(1)
積荷の分担価額
Y.A.R.
は航海終了時の現実の正味価額を積荷の分担価額とするのであ るから,共同海損行為後の航海で新たな事故によって積荷が減失すれば,そ の積荷ほ航海終了時に現実に正味価額を有しないのであるから,共同海損の 分担を免れることになる。また,積荷に損害があれば,現実の損害額に応じ て分担価額は減額されることになる。
航海終了時の正味価額とは,仕向港到着時または航海の途中打切の場合は,
その中間港到着時の総価額
(grossvalue)から,陸揚費,関税,着払運賃等 の諸費用を控除した価額である。つまり,それは正味正品市価である。しか し,損傷状態にて到着した積荷の場合,単独海損には正味損品市価を意味す る。ところが,犠牲損害を被って到着した積荷については,その積荷の正味 損品市価に犠牲損害額(共同海損賠償額)を加算した価額が共同海損分担価 額とされる。その理由は,犠牲損害を被った者が,その犠牲損害が完全に分 担されてしまうとすれば,共同海損の衡平の理念にもとるからである。換言 すれば,賠償される犠牲損害もまた当然共同海損を分担すべきであるという のが加算の根拠である。
積荷について注意すべきは,
Y.A.R.第
19条である。本条は無断で積込 んだ積荷または不正表示の積荷の損害は,共同海損として賠償されないが,
かかる積荷も救助された湯合には,共同海損を分担しなければならない旨を 規定している (1項)。 また,船積のとき,その現実の価額より低い価額で 不正な申告をした積荷については,共同海損賠償額の決定に当たっては,申 告価額を用いるが,共同海損分担価額の決定に際しては,現実の価額を用い ることになる
(2項)。
(2)
船舶の分担価額
船舶の分担価額は,航海終了時における船舶の無損傷状態,あるいは損傷
状態における現実の評価額である。一定の時および地における船舶の現実価
額を決定することはきわめて困難である。実務上は経験を積んだ鑑定人の船
価鑑定書に委ねられる場合が多い。ただ,一般論的にいえることは,航海終
了時の正体価額を基準とし,この価額から共同海損行為以後要した修繕費
(単独海損)を控除し,これに船舶の共同海損賠償額を加算したものが船舶 の分担価額である。
(3)
運賃の分担価額
運賃の分担価額は,航海終了によって収得さるべき純運賃が基準となる。
すなわち,共同海損行為の時から陸揚終了までの間に要した航海費用,港費 および陸揚費用等を総運賃から控除し,これに運賃の共同海損賠償額を加算 したものが運賃の分担価額である。いうまでもなく,共同海損を分担すべき 運賃ほ,航海完了の場合に始めて収得されるものでなければならない。
4.
共同海損分担額に対する保証
共同危険に対処する処分として共同海損行為が行なわれ,それによって,
犠牲損害または費用損害が生じる。この損害額を集計して共同海損賠償額の 総額とし,これを各利益について精算のうえ分担させなければならない。こ の場合の基礎をなすのが共同海損分担価額である。共同海損を精算し分担す るに当たっては,まず共同海損分担率を算定する。すなわち,共同海損賠償 額の総額を,共同海損分担価額の総額で除して共同海損分担率を求める。こ の比率を船舶,積荷,運賃それぞれの共同海損分担価額に乗じてえた額が,
それぞれの利益の共同海損分担額である。これを決定することを共同海損の 精算というのであるが,精算の結果は共同海損精算書
(Statementof General Average)に詳細を記載し,これに基づいて船主が決済を行なうわけである。ところが,共同海損の精算には相当の日数を要するため,精算完了のうえ 共同海損分担額の授受をすることはすこぶる困難である。さらにまた,船主 の有する共同海損債権を保全するため荷主に対し留置権を行使して,共同海 損分担額の確定まで積荷の引渡しを延期することもまた荷主に多大の不便を 与え,実際問題としてできることではない。そこで船主は共同海損保全のた めの保証を求めることになる。すなわち,船主は積荷を引渡す際に,共同海 損盟約書
(GeneralAverage Bond),共同海損供託金
(GeneralAverage Depo‑sit)
または共同海損分担保証状
(GeneralAverage Guarantee)を微収する。
共同海損と海上保険(2)(亀井)
これらの書類の詳細については次項で取り扱うが,
Y.A.R.では,共同 海損分担額に対する保証については,積極的な規定を設けていない。ただ,
Y.A.R.
第22 条においては,共同海損供託金の取扱いについて一定の要件 を定めている。すなわち,供託金は船主のために指名されたー名,および供 託者のために指名された一名との二名の代表者の連名で,銀行預金として保 管すべきこと,供託金の利息についてほ,現実に収入した金額を各供託者に 供託金額に応じて割当て,これをそれぞれの供託者の受取勘定に計上するこ
とを規定している。
Y.A.R.
第22 条は単に共同海損の場合のみならず,救助料(
salvagechar‑ ges)および特別費用 (specialcharges)の場合をも規定している。これは共同海損とはならないが,それに類似した取扱いをなす必要がある場合を予想し て規定したものである。すなわち,任意救助の場合の救助報酬は共同海損で はないが,分担関係は発生する。しかも,この場合には共同海損とは異り,
救助作業が完了した地の価額によって分担される。特別費用についてもまた,
共同海損の事故に関連して要した各種の費用の中に,共同海損として容認さ れないが,その費用によって利益を受けた一部の関係者に分担させねばなら ない湯合が生じる。
V I
共同海損の取扱以上共同海損の基礎につき
Y.A.R.全般にわたって解説したのであるが,現実に共同海損が発生した場合,船主,荷主,保険者間に相当複雑な事務取 扱の問題が生じるので,本項においてはこの問題を簡単に解説することにし
よう。
1.
船 主 の 取 扱
海難に遭遇したため船舶および積荷に対して取られた救助処置が,共同海 損成立要件を具備しているかぎり,当然共同海損を成立させて差し支えない。
しかし,それを実際に共同海損として処理するかどうかは船主の決定にまつ
のである。船主が共同海損として処理することを決定した場合には,①精算
共同海損と海上保険
人を選任し,R共同海損成立事実を荷主に通知し,⑧共同海損分担額に対す る保証の請求が,まず第一になされる。
共同海損分担額に対する保証は共同海損盟約書
(GeneralAverage Bond)を 通じて求められる。共同海損盟約書は荷主が船主に対して共同海損分担額の 支払,供託金の預託または保険者の共同海損分担保証状
(Letterof Guaran‑tee)
の提供を確約した契約書である。これは船主側の用意した書式,たとえ ば
Lloyd'sAverage Bondなどを用い,これに積荷の明細を表示して,荷主 の署名を求めるわけである。
共同海損犠牲や共同海損費用が少額で,到着価額が大である場合にほ,供 託金や保証状の提供を求めないで,共同海損盟約書だけですます場合もある が,この場合には,共同海損盟約書に第三者の
Witnessとして保険者の連署 を求めることがある。
現在においては共同海損分担額の保証として供託金の払込みを要求するこ とは少なく,大低の場合は保険者の発行する共同海損保証状
(L/G)を徴収する。この場合には船主は共同海損を荷主に通知した共同海損通知書
(General Average Declaration Letter)の中にその旨記載せねばならない。共同海損保 証状は保険者が荷主に代って共同海損分担額の支払を確約する契約書である。
保険者の発行する共同海損保証状には.無制限保証状
(UnlimitedGuarantee)と保険金額制限保証状
(LimitedGuarantee)の二種類がある。前者は積荷の 共同海損分担価額が,保険金額を超過しても保険者は分担額の全額を支払う ことを保証するに対し,後者は共同海損分担価額の保険金額に対する割合で もって分担額を支払うことを保証している。たとえば,保険金額
1,000の積 荷が精算人の評価により共同海損分担価額
1,500とされ,それに基づき要求 される共同海損分担額が
300であったとすれば,
300をそのまま保証するのが
1,000
無制限保証状であり, 300X~=200を保証するのが保険金額制限保証状
1,500である。船主としてはもちろん前者を求める。
船主はこのような保証を求めるとともに,共同海損精算時の共同海損分担
価額決定の参考とするため積荷の,正味到着価額を申告させる積荷価額申告
書
(ValuationPaper)の提出を求める。正味到着価額 (netarrived value)は
共同海損と海上保険(2)
積荷到着時の卸売市場価額
(arrivedmarket value)から陸揚費用,輸入税等を控除したもので,いわば本船上の到着価額ということになる。しかし,卸 売市湯価額を求めることが困難な場合には
C.I.F.valueを正味到着価額とし て記載せしめるのである。
次に,船主ほ代船輸送による船舶,積荷の分離を避けるため,船貨不分離 協定書
(Non‑SeparationAgreement)に署名を求める。すなわち共同海損が 発生し,避難港で船舶を修繕する場合,その修繕の完了をまって原船舶で最 終目的港までの航海を再開するよりも,代船輸送を行なった方が時間的にも 有利で,また余分な費用を節約できると判断できる場合に,船貨不分離協定 書に署名を求め,代船輸送をするのである。船貨不分離協定書はこのような 場合に,積荷があたかも原船舶に積込まれて,最終目的港まで運送される場 合と同一の地位におく効果を有し,積荷が原船舶から陸揚げされ,修繕が完 了し,出航準備が整うまでの間に要した費用および犠牲を共同海損として容 認し,荷主もその分担責任を負うことを約束した協定書である。
以上述べた,共同海損盟約書,共同海損保証状,積荷価額申告書,船貨不 分離協定書は,共同海損通知書を荷主に発送する際にその提出が明示され,
その提出と引き換えに積荷が荷主に引渡される。
他方,船主は
Surveyorを指定し,関係者の利益を代表して事故の詳細を調査し,船体積荷の現状を検査する,いわゆる
GeneralSurveyを行ない,
一連の技術的な事務を処理していくことになる。
2.
荷 主 の 取 扱
本船入港前に共同海損通知書が船主から送付され,同書にて提出を要求さ れた書類を作成しなければならない。この書類は前述したとおりであるが,
これら以外に通常,仕切状
(Invoice)の提出をしなければならない。これら の書類を一括して船主に提出して,荷主は荷受けの準備をすることになる。
荷主が船主に提出しなければならない書類を作成するに当たって,必然的
に保険者に請求しなければならないものがある。それはいうまでもなく共同
海損保証状である。これを請求するに当たって,荷主は共同海損通知書,仕
切状,保険証券等を保険者に提出しなければならない。船主が共同海損保証 状でほ満足せず,共同海損供託金の支払いを求めている場合には,荷主は保 険者に対してその支払いの請求をしなければならない。その場合には,必要 書類中に共同海損供託金領収書
(GeneralAverage Deposit Receipt)が加わ
ってくる。
以上の手続ほ貨物の損傷の有無に関係なく行なわなければならない。積荷 に損傷のある場合には,さらに通常の保険金請求の場合と同様な手続が必要 となる。すなわち,その損害が単独海損であろうと,共同海損であろうと,
精算の際に重要な要素となるので,船主側の
Surveyorとは別にSurveyorを 任命し,積荷の現状を検査しなければならない。もちろん,これは船主側の
Surveyorに対し, JointSurveyを依頼する形もありうるだろう。荷主は
SurveyReportに基づき,通常の保険金請求手続を取ることになるが , この場合単独海損たると共同海損たるとは別段の相違がない。ただ,保 険者としては,共同海損損害犠牲を荷主に直接填補し,後日共同海損精算書 に基づき船主より回収を受けるのである。つまり,荷主の航海団体に対して 有する共同海損分担請求権に対し,保険者が代位する形となる。この場合,
荷主は保険者の要求する権利移転書
(Letterof Transfer)を提出しなければ ならない。
3.
保 険 者 の 取 扱
保険者の取扱は以上の説明の中に含まれているが,なお,若干追加せねば ならないことがある。それは共同海損分担保証状の発行に関連してである。
保険者が無制限保証状を発行した場合,荷主から念書ないし裏付保証状
(Co‑ unter G:uarantee)を取り付けねばならない。保険者は無制限保証状によって.
船主に対し共同海損分担額については無制限に支払うことを保証している。
ところが,保険金額を超過した分担価額に対する共同海損分担額は,荷主の
負担に属するのであるから,保険者としては荷主に対する自己の責任以上の
保証をしていることになる。そのため,保険者としてほ,後日荷主に対して
返還を求めねばならない場合がでてくる。そこで,保険者は無制限保証状と
引換えに,荷主に自己負担額が生じた場合には,保険者に対してその支払い を確約する旨の裏付保証状を徴収し,もって回収の保証とするのである。
通常の海上保険契約においては,保険者は共同海損を填補する。船舶保険 の場合でも貨物保険の場合でも,保険者は共同海損犠牲を直接填補し,代位 求償をなす共同海損分担額についてほ,共同海損精算の結果をまって最終的 に回収する。この間において,保険者は船主,荷主,共同海損精算人に対し て各種の交渉をなさねばならないが,これは完全に実務の領域に属する。
4.
略 式 精 算
共同海損の精算はきわめて複雑な作業を伴う。すなわち,事実関係に関す るばく大な資料,証憑書類を蒐集調査し,さらに
Y.A.R.ゃ,法律の適用 をしなければならない。そのため,共同海損および海上保険の実際に通暁し た共同海損精算人に精算を依嘱する。共同海損精算人は精算事務を行ない,
共同海損精算書を作成するわけであるが,この書類が一巻の書となることが 珍しくない。しかも,その作成が通常
1年から
3年の日数を必要とする。し たがって,精算料を始め各種の経費がかかってくる。
そこで,共同海損となる費用や損害が大きくなく,小口の積荷が運送され ている場合には,共同海損所定の手続を取ると,かえって費用と手数とがか かるので,略式精算がなされる。これは精算人に依嘱しないで,船主または 保険者がその事務をとる。そしてこの場合,正式の共同海損精算に準拠する こともあれば,そうでない場合もある。たとえば,積荷の共同海損分担額に ついては船主が負担し,船舶の共同海損分担額についてほ,保険者から填補 を受けるというように処理されることがある。
VII 共同海損と英国海上保険法
I
共同海損損害と保険者の責任
共同海損
(general average)という語は,共同海損分担請求権
(claimto general average contribution)を与える各種の損害の意味に用いられるとともに,共同海損分担額
(generalaverage contribution)の意味にも使用される。
前者の意味に使用する場合には,共同海損損害
(generalavel'.age loss)という 語が用いられる。
英国海上保険法第
66条第
1項においては「共同海損損害とは共同海損行為 によって生じる損害または共同海損行為の直接の結果として生じる損害をい ぅ。共同海損損害は共同海損犠牲の外に共同海損費用を含む」と規定してい る。そして,同条第 2項では共同海損の成立要件ないし共同海損行為の意義 につき,
Y.A.R.,A条と大同小異の規定を設けている。
すべての共同海損行為は現実に払われる犠牲であって,ある場合にはその 犠牲自体が直接損害となるが,他の場合には直接損害とはならず,将来の費 用を招くに過ぎない。前者が共同海損犠牲であり,後者が共同海損費用であ る。共同海損犠牲は共同安全を確保するために,危険状態に際してなされね ばならないが,共同海損費用は危険状態終了後に支出される。金銭が危険に 際して支出されねばならないという理由はどこにもない。
共同安全を達成するために故意に生ぜしめられた損害は,そのお蔭で助か った財産の価額(共同海損分担価額)に比例して共同分担
(generalcontribu‑ tion)によって補償されねばならない。かくて,航海団体構成員中のある者が共同安全のため犠牲を払い,費用を支出したことによって生じた損害を補償 するために,航海団体構成員全体が負担する分担金が共同海損分担額である。
この点につき,英国海上保険法第
66条第 3項は「共同海損損害がある場合に ほ,その損害を負担した者は海法に定められた条件に従って,他の利害関係 者から一定割合の分担額を請求する権利がある。この分担額を共同海損分担 額という」と規定している。
ところで,共同海損の成立および分担は海上保険契約の存否にかかわらず なされるもので,本来,共同海損と海上保険とは別個の存在である。共同海 損の法によって決定された当事者の損害およびその分担額が保険者の責任と なっても,それは海上保険法や契約によってそうなるだけのことである。英 国海上保険法第
66条第
1項ないし第
3項は海上保険に関する規定でほなく,
共同海損それ自体に関する規定である。
現在,いずれの国の法律においても,共同海損に対して保険者の責任を認
共同海損と海上保険(2)(亀井)
めているが,それは保険者の負担する危険(被保険危険)によって生じたも のでなければならないことはいうまでもない。この点につき,英国海上保険 法第
66条第
6項は「明示の特約がないかぎり,保険者は被保険危険を避ける ため,またはこれを避けることに関連して損害が生じたのでなければ,共同 海損損害または分担額についてその責に任じない」と規定している。
この規定は,共同海損損害および共同海損分担額を,いずれも海上危険に よる損害とみなした規定である。すなわち,共同海損行為は,その性質上必 然的に普通の海上危険をその回避目的として伴うものであるから,両者を分 離して観察せず,専ら一個の海上危険とみなして保険者の責任を決定しよう
とするものである。しかしながら,これらの損害は厳密にいうと,海上危険 による損害というよりもむしろ,その海上危険についてなされた損害防止行 為によって生じた損害といわねばならない。けだし,たとえば船長が投荷を した場合,利害関係者はいわば第三者の行為によって,投荷という損害防止 行為をしたことになるからである。
共同海損損害を被った当事者は,他の当事者に対して,分担請求権
(right of Contribution)を有している。他方,共同海損を被った当事者は,保険者 に対して保険金請求権を有している。したがって,彼は他の当事者から共同 海損分担額を徴収して,自分自身の分担額を保険者に請求してもよいが,ま た共同海損損害の全部を直接保険者に請求してもよい。後者の場合には,保 険者は代位によって他の当事者に対して請求する権利を取得する。共同海損 費用の場合には,前者の方法が共同海損犠牲の場合には後者の方法が一般に 採用されている。
この点について,英国海上保険法第
66条第
4項は次のように規定している。
「保険証券に明示の特約がある場合を除き,被保険者が共同海損費用を支 出した場合には被保険者ほ,この費用損害のうち自己の負担に帰する部分に ついて保険者から回収することができる。共同海損犠牲の場合には,被保険 者は分担の義務を有する他の当事者に対して分担請求権を行使せず,損害の 全額について保険者から回収することができる」
では一体なにゆえ共同海損費用と共同海損犠牲とを区別して取り扱うのか。
この点について明確な説明がなされていないが,
Gowは犠牲損害が保険の目 的に現実に生じた損害であるに反し,費用損害は保険の目的に現実の損害を 生じたのでないから,その保険の目的の保険者に費用損害の全額を負担させ ることができないからであると述べている。この説明はいうまでもなく理論 的ではない。結局,両者の取扱上の相違は慣習から生じたものとせざるをえ ない。
かくて,英国海上保険契約上,保険者の責任として議論さるべき問題は,
共同海損犠牲と共同海損分担額の問題となる。
2.
保 険 者 の 代 位
一方において共同海損が成立し,他方において保険者の損害填補責任が発 生した湯合,一応別々の処理がなされる。保険者は海上保険契約に基づき,
犠牲損害を填補すべく,保険金の支払いを行なえば,彼は被保険者の有する 分担請求権に代位する。保険者が分担請求権を取得することは法律上当然の ものであり,特に譲渡行為を必要としない。換言すれば,保険者は損害填補 の時から,共同海損債権者としての被保険者の地位を継承するに至るわけで ある。ところが,英国海上保険法第
79条第
1項の規定によれば,保険者の代 位権取得を損害填補の時とせず,損害発生の時
(thetime of the casualty ca‑ using the loss)すなわち共同海損分担請求権発生の時としている。
保険者が支払った保険金の額より,保険者の代位する共同海損分担請求金 額の方が大きいという場合が生じる。これは協定された保険価額と,共同海 損精算に当たって採用された共同海損分担価額が,必ずしも一致しないため に往々発生する。かかる場合には,保険者は自己の支払った保険金の限度内 に制限され,その差額まで代位することができない。この点に関しては,英 国海上保険法第
79条第
2項に明記されている。
3.
共同海損分担額と保険者の責任
共同海損の分担責任は普通法上の責任であって,海上運送契約に基づいて
発生する責任である。このような責任のため被保険者が共同海損を分担した
共同海損と海上保険(2)(亀井)
場合には,その分担額は第三者が行なった処分,すなわち,損害防止行為に より保険の目的に生じた費用ともいうべきものである。換言すれば,それほ 海上危険によって間接的に生じた費用損害で,いわゆる間接損害の一形態で ある。したがって,海上保険の大原則たる直接損害填補の原則からすれば,
共同海損分担額は保険者の責任外の損害ということになる。
しかしながら,各国の法律は直接損害填補の原則の例外として,共同海損 分担額を保険者填補すべきものと規定している。けれども,共同海損分担額 の本質を一種の損害防止費用とみるならば,保険者がそれを填補しても当然 ということになる。いずれにしても,共同海損分担額は被保険利益論の立場 からすれば,一種の責任利益であるから,その損害を填補するということに
より,海上保険契約に責任保険契約の性格を導入する結果となる。
英国海上保険法第
66条第
5項によれば,「保険証券に明示の特約がある場合 を除き,被保険者が保険の目的について共同海損分担額を支払ったか,また は支払う責を負うときは,被保険者はこれを保険者から回収することができ る」と規定されている。
航海団体の構成員たる被保険者達の共同海損分担額は,犠牲または費用に よって助かった自己の財産の価額に正確に比例している。この財産の価額は,
いわゆる共同海損分担価額であって,終航地の市価を基準として決定される。
しかるに,海上保険契約において,被保険者を保護している金額は保険金額 であって,それは発航地の市価を基準として協定された保険価額(海上保険 なるゆえ全部保険を前提)である。ゆえに,共同海損分担価額と保険金額・と は一致せず,単独海損が生じていないかぎり,前者の方が後者より大きくな るのが普通である。共同海損分担価額は,共同海損精算の基準となる価額で あり,保険金額は保険者の損害填補の基準となる価額である。したがって,
共同海損分担価額によって算出された共同海損分担額の全額を,保険者は支 払う義務がない。共同海損分担価額に対する保険金額の割合を,共同海損分 担額に乗じた金額を保険金として支払えばよいのである。すなわち,以下の とおりである。
保険金=共同海損分担額
x共同海損分担価額 保 険 金 額
共同海損と海上保険(2)(亀井)
いま,第V項
1で掲げた例示を再び利用するとして,積荷
Cの保険金額を20とするならば, Cの保険者が Cに対して支払う保険金は, 3
x‑‑20=2とな
30
り
,
3と
2との差額の
1ほ被保険者の自己負担となる。
この点に関して,英国海上保険法第
73条第
1項において詳細に規定されて いる。いま,これを要約すると以下のとおりである。
① 共同海損分担価額の全額について保険がつけられている場合(共同海 損分担価額=保険金額)には,共同海損分担額の全額が保険金として支払わ れる。
② 共同海損分担価額の全額について保険がつけられていない場合(共同 海損分担価額>保険金額)には,共同海損分担額の填補につき一部保険の方 式を用いる。
⑧ 共同海損分担価額を決定する際に,単独海損が控除されている。この 単独海損につき保険者が填補責任を負うかぎり,その金額を保険金額から控 除して,①②の方式を用いる。
VII[
共同海損と貨物保険 1 .
Memorandum clause英文海上保険証券が用いられた場合の貨物保険における共同海損の取扱い を一べつしよう。英文海上保険証券において共同海損に触れているのは,
Memorandum clauseだけである。 Memorandumclauseによると,①穀物,
魚類,塩,果実,穀粉および種子の分損を填補しない。R砂糖,煙草,大麻,
亜麻および皮革についてほ 5%未満の分損を填補しない。⑧その他の貨物に ついては
3%未満の分損を填補しないものとしている。この例外をなしてい るのが,
unlessgeneral or the ship be stranded, sunk or burntの文言であ って,共同海損の場合と船舶が座礁したか,沈没したか,大火災にかかった 場合を例外とするのである。
Memorandum clause
は保険料の節約および性質損害の混入を排除するた
め分損の全部またほ一部を保険者免責としたのである。
Memorandumclauseの第一条項は裏面から眺めれば,保険者は共同海損でない分損
(averageun‑・共同海損と海上保険(2)(亀井)
less general)
を填補するということである。共同海損でない分損とは,英国 海上保険法の保険証券の解釈に関する規則第
13条によれば,共同海損以外の 保険の目的の分損を意味し,特別費用を含まないので ある。他方,英国海上 保険法第
64条によって,分損を単独海損共同海損,救助料および特別費用に 分類されている。救助料と特別費用は,英国海上保険法第
76条第
2項により
Memorandum clauseとは無関係に保険者に填補責任がある。したがって,
Average unless generalは結局単独海損の意味になる。
かくて,
Memorandumclauseの第一条項は単独海損不担保(freefrom par‑ ticular average)であって,共同海損については保険者填補責任を負う。もちろん,この場合の共同海損は共同海損犠牲と共同海損分担額を意味する。
Memorandum clause
の第二条項および第三条項は,
5%または
3%未満 の分損を填補しないが,共同海損はその例外の一つとされている。したがっ て,共同海損については免責歩合の適用なく填補されるに対して,単独海損 についてほ船舶の座礁,沈没,大火災の場合を除いて免責歩合が適用される。
ここで一つ注意すべきことは,免責歩合に達したかどうかを決定するに当た って,共同海損を単独海損に加算してはならないということである。この点 については,英国海上保険法第
76条第
3項に明文の規定が設けられている。
Memorandum clause
~ま,今日そのままの形で使用されることはまれであ
って,その第
1条項から発展した
F.P.A.clause,第
2および第3条項から発 展した
W.A.clauseが使用されている。2.
協会貨物約款中の損害填補範囲に関する約款
英文海上保険証券の規定を基礎として,個々の実際的取引に即応するため,
Institute Cargo Clauses (F.P.A., W.A., All Risks)
の三つのうちのいずれか が使用される。これらの三つはいずれも統一的包括約款で,その各々の第
5条ほ損害填補範囲に関する約款である。すなわち,
F. P.A. clause, Average clause, (W. A.clauseといってもよい),
AllRishks clauseである。F.P.A. clauseは Warrantedfree from Particular Average unless the vessel or craft be stranded, sunk or burnt