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書評 : 「スノーボールアース : 生命大進化をもた らした全地球凍結」

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書評 : 「スノーボールアース : 生命大進化をもた らした全地球凍結」

著者 道林 克禎

雑誌名 静岡地学

巻 89

ページ 39‑40

発行年 2004‑06‑13

出版者 静岡県地学会

URL http://doi.org/10.14945/00025020

(2)

8 9

( 2 0 0 4 )

「スノ問問削・ボールアース生命大進化をもたらした全地球凍結j ガブ

1 )

エル@ウォーカー著,渡会圭子訳, ) 

1 1

上紳一監修 早川書房,

1

900

円ート税,

ISBN4‑15‑208550‑9 

はない,しかし,小説でもない,多くの方に読んでもらい介し

能できる物語である.スノーボールアースあるいは全球凍結(全地球凍結),

2 0

世紀末に もなお渦中にあるこ について,

7

億年前の氷河期が地球全体 あり生物進化に決定的な影響を与え

きする機会は増えるばかりである.

くすほどの氷の世界(スノーボールアース:

1 9 9 8

8

月に雑誌サイエンス

で された. 日 本では,

2 0 0 0

年日経サイエンスの

4

月号にスノーボールアースを檎舞台に担ぎ出した張本人ポール@

ホフマンらによる解説記事の翻訳版が掲載された.その後ラ川上紳ー!岐阜大学助教授@

大学助教授らによって

2000

年の科学(岩波書庖)

5

月号に小特集が組まれヲこの学説は国内に広く紹 介された.大学人として恥をさらすのだ、が,私はサイエンスではなく,この科学の小特集によってス ノーボールアースを知孔現代にもこのような学説が存在していることに感動した,そして,日経サ イエンスのホフマンの解説を読みヲ宿アフリカの大露頭の写真に魅了された.それからラ昨年川上助 教授による一般向け単行本として

f

全地球凍結

J

(集英社新書)が出版されラ最近では NHK

f

地球大進化」の第

2

集として

5

月1

5

日に「全球凍結jが放映されたのは記憶に新しい.現在も NHK特集の大判の解説本が書屈に積み上がつでいる.もはやスノーボールアースは になってし

まったような錯覚である.そうなのかもしれない,そうでないかもしれない.

るにせよ,スノーボールアース仮説は,現代地質学において最も過激で魅力的な仮説で あることは間違いない。この学説を取りまく状況はかつてプレートテクトニクス説が登場した

6 0

年 代 に近いのかもしれない.多くの若手@中堅研究者にとってプレートテクトニクス説は仮説ではな く定説として学んだ、.私は上田誠世による「新しい地球観

J

(岩波新書)を読んでプレートテクトニ クス説誕生時の熱い息吹を知り,現在進行形でこの学説に立ち会えなかったことをとても残念に思っ た.

1 9 9 0

年代はじめにプレートテクトニクス説を拡張したプルームテクトニクス説が登場した.これ もまた壮大で魅力的な学説でありヲ研究分野として密接に関係しているけれども,スノーボールアー ス仮説ほどの思い入れはなかった気がする.それはなぜか?スノーボールアース仮説は約7億年前の 事件であり,それをひもといたのは地質学,しかも昔ながらの汗を流して露頭を記載するフィールド サイエンスとしての地質学だからである@自分と似たような研究者が途方もないアイデアを出した事 に対する畏敬と嫉妬の入り交じったような感覚を経験したのは初めてだった.本書はヲポール@ホフ マンがいかにしてこの大胆不敵なアイデアに到達したのか,そしてラこの学説を広めていったのかに ついて実に生々しく語られている.地質学の躍動感を読んでもらえることを願う.

欧米にはサイエンスライターという職業集団がいる.学位をもって科学記事や一般向け科学啓蒙書

‑39‑

(3)

〉ているライターである@本書の著者ガブリエル@ウォーカーもサイエンスライターでありヲ学 イ立をもちながら科学啓蒙雑誌ニュー@サイエンテイストの編集をしていた@本書はスノーボールアー ス仮説を柱とした一つの地質学史を教科書のような記述ではなし当時の研究者の生き様を物語にし ている点でも魅力的である@またヲプロの翻訳者による は滑らかで読みやすし時にはっとさせ られる表現がある@例えばラ地質年代という地質学では当たり前に使われている時間スケールについ て警「底知れず深遠な概念の基礎

J

と表現し,

r

時間の深みのそれほど遠くまで見ると9 めまいを起こ しそうな気がしてくる」との見解を紹介し,

r

地質学者なら誰でも,その職業上,これほど重要なこ とは他にないと直感的にわかっている j と結んでいる@これらは地質学者自身ではなかなか書けない はなかろうか.最後にポール@ホフマンを偉大なる人物のように祭り上げている点は鼻につく がヲそれを除けば多くの読者に地質学の魅力を感じ取ってもらえると期待している.

道林克禎(静岡大学@理学部@地球科学教室)

‑40‑

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