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低学年理科における製作教材の開発と実践(1) 

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

低学年理科における製作教材の開発と実践(1) 

−VTRによる追跡研究−

著者 米田 秀俊

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 3

ページ 65‑72

発行年 1980‑03‑08

その他のタイトル Development of Handicraftical Science Learning in Childfood

URL http://hdl.handle.net/10105/4662

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VTRによる追跡研究‑

米 田 秀俊(付属小学校)

Development of Handicraftical Science Learning in Child food

Hidetoshi Komeda (A ttached Elementary School ofNara Kyoiku University )

Abstract

As an example of handicraftical science learning in the elementary school, we tried to make the

"Yazirobei (balance toy)" by our students in various shapes.

Using the equipment of VTR, this process of learning was recorded and analyzed. We shall have many good suggestions of leading for students in such learning.

Key words:

Handicraftical science learning Equipment of vtr

I.研究員的

低学年の子どもは未分化であり、自然を客観的に見たり論理的に思考することは出来ない。

ところが、 10年はど前、系統化の波に乗って作られた現行の学習指導要領や教科書では、低学 年の理科でも実験や観察が矯小化され、分析的に取り上げられて、多くの内容を理屈っぽく学 習させるようになっている。そのため、子どもたちにとっては面白くない理科、教師にとって は教えにくい理科となった。

来年度から実施される新学習指導要領の低学年理科では、自然の事物・現象に直接はたらき かける活動が特に重視されている。活動のなかでは"動くおもちゃ"のような物を作る教材(製 作教材)が大きく取り上げられるようになった。大変結構なことである。低学年の子どもは、

聞いて理解するよりも具体物で遊び、絶えず身体を動かして、見たり、触ったり、作ったりし ながら理解するものである。

このように、低学年の子どもの活動としては、製作教材は大きな意味をもつ。製作活動は、

子どもが生き生きと主体的に取り組み、製作に没頭できる。そして、作りながら考え、考えな

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米田秀俊

と指導内容や方法をどのようにすればよいかを実践を通して明らかにしていきたい。

II.研究方法

1.教材研究(製作教材の開発)

低学年の製作教材としては、新学習指導要領に1年「風やゴムで動くおもちゃ」2年「おも りで動くおもちゃ」などが取り上げられている。新教科書には、各社それぞれの作品がのせら れているので、これらを実際に製作しながら、次の観点から子どもに作らせてよいかどうか検 討していく。また、独自に新教材の開発にも取り組む。

○指導のねらいに合っているか。

○単純で作りやすいか。

○創意工夫の余地はあるか。

○材料が身近かに集められ、豊富に使えるか。

○子どもに興味や関心がもたれるか。

なお、教材検討や開発のために、県下の低学年担任教師による同好会「低学年理科おもちゃ 作りの会」を発足し、研究を進める。

2.指導法の研究

今回の研究では、2年生の松村学級(33名)でおもりで動くおもちゃ「やじろべえ」の授業 を通して明らかにしたい。従来のやじろべえの指導では、うでの長さや聞き方、おもりの重さ などについて、教師があれこれと分析的に考えさせることが多く、子どもが主体的に取り組む 時間が不足していたように思う。そこで、子どもが生き生きと主体的に取り組めるために、次 のようなことに留意して授業をする。

○いろいろな材料が自由に使える。

○子どもが自由に活動できる。

〇時間を十分にとる。

そして、やじろべえがうまく立つまでの実態を捕らえるために、教師は出来るだけ指導の前 面に出ないよう配慮する。

また、テレビで授業を録画し、ひとりひとりの子どもの活動分析や作品の評価を中心に追跡 研究をする。

III.研究結果

1.教材研究

「低学年理科おもちゃ作りの全」を昨年6月に発足、月1回、土曜日の午後例会をもって、

1、2年の新教科書に出ているおもちゃを製作し検討している。新教科書にあるものや開発し た動くおもちゃで、製作教材の素材として取り上げてよいものには次の図のようなものがある。

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米田秀俊

2.やじろべえの授業 −VTRをもとに再現−

(1)第1回目の授業(40分)理科室

視点 自分で材料を選び、うまく立つやじろべえが作れるかどうかを見る。

④ 授業のあらまし

最初示範用のやじろべえをいろいろなところに立たせて子ども に興味と作る意欲をもたせ、

T「これは何ですか」

C「やじろべえ」

T「きょうは、やじろべえをみんなで作りましょう」

といって、やじろべえの仕組みと材料の説明を簡単にする。早く 作りたい気持ちが子どもの顔に現れる。やじろべえは、どんなと

ころにも立って、落ちそうで落ちないところに面白味がある。

製作に必要な材料や道具として次のものを用意した。

○教師……竹ひご、針金、油ねんど、発泡スチロール、サツマイモ、工作用紙、セロ ハンテープ、ペンチ、はさみ、カッターなど。

○子ども……はさみ、のり、セロハンテープ、色えんぴっなど。

いよいよ製作にはいる。各自が思い患いに材料を取りに来る。竹ひごだけ持っていってまた 足りない部分を取りに来る子もいる。材料が揃った者から作り始める。驚いたことに竹ひごや 油ねんどを指で折ったりちぎったりしないで、はさみで切っている子がいる。女子に多い。ま た、2本のうでの長さは全く同じでないと立たないように思って、竹ひごの長さを揃えるのに 一生懸命になっている者もいる。

5、6分して、作ったやじろべえをスタンドに立たせた男の子が「出来た、出来た。」と大喜 びである。しかし、その後が続かない。やじろべえの格好はしているけれども立たせるとひっ

くり返えって下に落ちる。足が長かったり、頭(胴)が重かったり、うでが開きすぎたり、池 ねんどが抜け落ちたりしている。隣の子のを見たりして何とか立たせたい一心である。

やがて立っやじろべえが増えてきた。その都度みんなに紹介し     図 3 てやる。指先に立てて、やじろべえをゆらせて遊ぶ子も出てくる。

なかなか立たなかった女の子のも時間の終わり頃には出来た。そ こで、出来たやじろべえをみんなで見せ合い家に持って帰らせる。

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⑧ 子どもたちが作ったやじろべえ(一例)

図 4

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発泡スチロ_ル

(2)第2回目の授業(80分)理科室

視点 やじろべえの製作や遊びで工夫がなされるかどうかを見る。

④ 授業のあらまし

授業の初めに、前時やじろべえを作るのに困ったことを聞くと、

○竹ひごを同じ長さに揃えるのがむずかしかった。

○針金を発泡スチロールにさしたが、くるくるまわってやじろべえが落ちてしまう。

○針金にさした油ねんどが抜けてよく落ちる。

などが出た。池ねんどが落ちないようにするには、子どもたちはねん どをきっく押さえる。ねんどを冷やして堅くする。針金の先を曲げる などを考えたが、針金にわゴムを巻きっけてもよいことを教えた。ま た、うでにする竹ひごの長さが同じでないといけないかについては、

短いほうにおもりのねんどを多くするとよいと答える者もいた。

前時と材料は同じであるが、前と違ったやじろべえを工夫して作ろ

うということで製作に取りかかった。前時での経験がものをいって仕

事がどんどん進む。この時間には、やじろべえのうでの長さを変えた

り4本にしたり、小さなやじろべえを作ったり、やじろべえを2段、

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米田秀俊

⑧ 子どもたちが作ったやじろべえ(一例)

親子やじろべえ

回転やじろべえ

③ 子どもが家で作ったやじろべえ(一例)

竹ひご

紙袋に砂を 入れる

④ 子どもの日記から

やじろべえ       っついともみ りかのべんきょうの時間やじろべえを作りました。まえまではへんなつり合わない やじろべえだったけど、このごろつり合うきれいなやじろべえを作れるようになりま した。まえほうでの長いのとみじかいのでおちましたが、長いのとみじかいのでも立 ちました。うでのみじかい方にねんどを多くつけて長いほうにすこしっけました。立 つかなっとわたしはひやっとしました。立ちました。

こんどは、うでをいっしょの長さにしてねんどを多いのとすくないのとするとおち てつぶれてしまいました。

「わぁ、ねて立ってる。」

かみでっくると、ねて立ちました。もっとくふうして、めずらしいやじろべえをい っぱい作ってみよう。

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やじろべえ      西川としひろ ぼくは、うでが1本ずつのしかたたないとおもっていたけど、ぼくはおもいきって うでを2本ずつつけてみたらたちました。こんどは、うでの長さをちがうようにして もたちました。それでぼくは、みじかいほうにねんどを多くつけて長いほうに少なく つけました。どこにこまったかというのは、おもりがとれないようにくふうしました。

それからいちどやったときに前にこけたので、前へたおれないようにくふうしました。

⑥ 授業後の調査(32名)

○ やじろべえ作りは、たのしかったですか。

・たのしかった(28名) ・ふつう(4名) ・たのしくなかった(0名)

○ ねんどをどうしてうでにつけましたか。

・おもりがないと立たないから  ・おもりのかわり  ・うまく立つため

・ねんどがないと、あたまがおもくなってひっくりかえるから

○ 右のえのように、やじろべえがかたむいています。どうしたらまっすぐ立ちますか。

・¢)にねんどをつける。(13名)

・㊦のねんどをとる。(9名)

・ねんどを同じ大きさにする。(5名) ・うでの長さ を同じにする。(2名) ・㊦のおもりを上にあげる。

(1名) ・㊦のおもりを多くする。(1名)

・(彰のぼうをみじかくする。(1名)

○・やじろべえを作ってどんなことがわかりましたか。

・やじろべえは一本足でも立つ。 ・うでを上にあげたら立たない。 ・作り方がわ かった。 ・やじろべえの立たせ方がわかった。 ・親子やじろべえができた。 ・う での長さがちがっても立っ。 ・どこでも立つ。  ・油ねんどのおちないしかたがわかっ た。など

Ⅳ.考察と今後の課題 1.教材研究

おもちゃ作りの会は、毎回の参加者は少ないが定着してきた。今までに製作した作品の数も 増えてきている。前掲図の動くおもちゃは、いずれも子どもが興味をもって取り組めるもので ある。特にやじろべえは製作教材として通したものといえる。

今後はさらに動くおもちゃの開発と、笛、糸でんわ、まめ電球などの他の製作教材にも研究 を広めていきたい。

2.授業研究

子どもに豊富な材料で自由に活動させると、のベ120分の長い時間だったが大変興味をもって、

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米田秀俊

通して理解したようである。また、やじろべえの遊び方にも興味を示した。

しかし、やじろべえのうでの長さは同じでないといけないように思っている子がかなりいた。

また、1本足や4本足などのやじろべえを作る子が少なかった。これは最初の教師が示したや じろべえの形に影響されているのかもしれない。

教師としては、おもり(垂心)が支点より下にくればどんな形のものでも立つことや、変わ ったやじろべえを作ることが出来るように助言する必要があろう。また、教師は子どもたちが 主体的に取り組める場を設定してやることが重要であり、そのような場では子どもたちは生き 生きとして自分の能力を十分に発揮し、より深く事象を認識していくものと思う。来年度も続

いて他の製作教材について、実践を通して開発していきたい。

参考文献

(1)文部省(1978):小学校指導書理科編

(2)奈良教育大学付属小(1969):価値ある教材とその授業

(3)小学校1、2年新理科教科書(大日本、東書、啓林、教育出版、学図)

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参照

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