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初等理科視聴覚教材の作製

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Academic year: 2021

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(1)

初等理科視聴覚教材の作製

著者 永田 四郎

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 3

ページ 59‑63

発行年 1980‑03‑08

その他のタイトル Making Audio‑Visual Teaching Materials for Elementary Science

URL http://hdl.handle.net/10105/4661

(2)

永田四郎(理科教育教室)

Making Audio‑Visual Teaching Materials for Elementary Science Sh iro NAGATA (Department of Science Education )

Abstract

For the elementary science, some audio‑visual teaching materials were made by author and our students. These materials are slides for projector, transparencies and materials for OHP, 8 mm sound films and video tapes.

We hope this kind of study will continue.

Key words:

Audio‑visual teaching material Elementary science

はじめに

ここにいう初等理科は、小学校理科と幼稚園の自然領域とを含めたものである。

現在、小学校や幼稚園では視聴覚教育はよく普及していて、かなりの数量の視聴覚教具が備 えられているが、初等理科の教育ではあまり活用されていないように見られる。

初等理科にどのように視聴覚教育を導入したらよいか、教育効果をあげるための視聴覚教具 の用い方はどうか、そのための教材作製はどうか、このような考究と実践が必要である。

筆者の研究室では数年来、上のような観点に立って学生とともに取り組んできた。ここに今 までの経過とその成果の概要を報告する。

I.経過と方法

視聴覚教具として、通常のスライドプロゼクタ一、 OHP オーバー‑ッドプロゼクタ‑)、

8mm撮影機と映写機(サウンド) 、ビデオカメラとVTR ビデオテープレコーダ‑)とモニ ターテレビを使用した。

視聴覚教材作製の一般的な手順は、 (丑各種視聴覚教具の構造、使用法の学習(診既成の視聴 覚教材の視聴と批評討議(卦教材内容の研究決定 ④作製に必要な材料の準備 ⑤教材作製作 業、⑥編集 ⑦試視聴 ⑧修正、補遺 ⑨完成と進められた。

2‑4名が組んで一つの題材に取り組み、 ⑦の段階では皆に視聴してもらい意見を求める。

(3)

これらの研究、作業は昭和52年度こ、ろから毎年、筆者の担当する理科教育法や理科教育実 験および卒業研究の一部で実施し、筆者の指導のもとで関係学生の協力を得て進められた。

2.成果と検討

(り スライド教材の作製

35mm カラーリバーサルフィルムを使用し、約20分間でまとまるように編集させた。

ナレーションも加え、音声と音楽を混ぜてカセットテープに録音させた。

(a)四季の星座と星座物語り.11

各季節のおもな星座を実写した。次の良好なスライドを得た。

おおぐま座(北斗七星)、LL座、うしかい座、はくちょう座、わし座、こと座、さそり座、

てんぴん座、いて座、ぎょしゃ座、ベルセウス座、カシオペア座、おおいぬ座(シリウス)、

オリオン座、ふたご座、おうし座(すぼる)、冬の大三角、夏の大三角。

また、北天の星の日周運動、満月、半月、木星も実写した。

星座物語りは次の四つをまとめた。このためのスライドは実写とともに、人、動物等が記入 されている印刷写真の中から適当なものを選び接写し編集した。

○おおぐま座とこぐま座

○おりひめ星とひこ星

○秋の夜空

○オリオン座

これらの星座にまっわる神話を中心として平易な解説をカセットテープに録音した。約20分〜

30分のもので、小学校中・高学年向である。

①思ったより椅麗に撮れた。特にカラー撮影であるので星の色がよく分る。いろいろな色の 星があることを子どもに分らせるのによい。

②実写はやはり迫力がある。どこで、いっ、どんなにして撮ったかも話し、星や星座の話を しながらスライドを映写すれば、子どもは感動するであろう。

③星や星座は夜に見られるので学習しにくいが、昼間教室で学習するのにはスライドを用い るのは効果的な良い方法である。

⑨撮影者には、星が見える夜を待つ根気と、好条件の時機を逃がさない実行力が必要である。

また撮影技術の研究習得が大切で、広角レンズ、望遠レンズも備えたい。撮影時のデータを残 しておく。

(b)草花と草花あそび 21

幼稚園児と小学校低学年児童を対象にして作った。子どもの身辺でよく見られる花と、それ を用いた子どものあそびをカラーリバーサルフィルムで撮った。草花の他、花壇の花、庭先の 木に咲く花なども含まれている。

次の7題で各20分〜30分にまとめた。

○のはらであそぼう  ○はるののはら  ○はるのかだん

○なっのあそび  ○なっのくさばな  ○あきのあそび

○あきのくさばな

(4)

それぞれに、音楽入りのお話しをカセットテープに録音してある0

CD花のカラースライドは映写するとまことに美しく、見るだけでも楽しい。幼児も印象的に 感じ取るであろう。

⑧花のスライドを多数作っておくと、幾通りものまとめ方ができる。しかし何れの場合も、

ねらい、配列、お話しをはっきりと決めて映写し、無秩序にばらばら映すのは避けるべきであ る。

③花の名前はごく普通のものに限る。花の実際の大きさを示すために比較物を並べて撮る。

花だけでなく、蜂や蝶、虫もいっしょに写したいし、まわりの様子も入れたい。

④あそびは、できるだけ実物を使って子どもたちに見せてやる。

(2)OH P教材の作製

一般に用いられているOHP用のトラペンシート教材の他に、OHPの強力な光を利用した 視覚的あそびの教材も作った。後者は幼児向のものである。

(a)トランペンシートの作製

初等理科の内容をねらったが、出来上ったものは中学校、高等学校理科的のものが多かった。

3枚ぐらいのシートを重ねて合成分解映写用法によるものが大部分である。分りやすく、印象 的で、色彩に富んだ作図を求め、また、カラーペンの他に、細いカラー接着テープや、偏光シ ートも用い、いろいろな作製技術の習得につとめた。一部の作品を除き目新しさがない。今一 段の工夫が必要である。

この作業は理科教育法Ilの講義の一部で実施し、各人が自分の作品を皆の前で投映、解説し、

これを皆で批評した3)。

筆者が作った星座のシート(4ね、授業に使ってみて非常に良い。これは不透明の薄紙に星座の 星の孔をあけ、孔の大小で星の明るさを区別してある。この紙の下には透明シートが重ねてあ り、これには上の紙の星孔に対応して星座の形や名前などが記入してある。まず星孔による光 点を投映し、星座を見つけさせる。分らない時は上の紙をはぎあげ、下の透明シートの図、文

字と対応させて知る。この操作を何回か繰返すと大低の子どもが星座が分るようになる。

この様なシート作製は容易であるが、作製のための星座原図を準備しておく必要がある。

(b)OHP利用視覚教材の作製(5)

幼児向きに種々考案作製した。カラーシート各色やカラーペン各色で、できるだけ美しく、

幼児に親しまれる様な図面や形を作った。

形はめ、形造り、色重ね、2色シートの交互使用で動く動物など、極めて面白い作品ができ た。主としてOHPの資料面(ステージ)で操作するので、皆の前で幼児にさせて投映してあ そべる。また明宝でできるので幼児の管理もしやすい。このようなOHP利用のあそびをもっ と幼児教育に取り入れたいものである。

(3)8ミリ教材の作製

理科教育実験の一部と卒業研究の一部で実施した。8ミリカラーサウンドフィルムを使用し た。先づ映像のみで撮影し、これを編集し、それを映写しつつ画面に応じて音声と音楽を入れ

(5)

た。いわゆるアフレコである。同時録音も一部は入れてある。

(a)秋の野山

大学の近くの秋の風景を撮影した。秋の草、木、花、葉、実などで約20分にまとめてある。

作製者の一人が、自らギターをひきながらナレーションを入れ、秋の趣を出している。気楽に 見られる作品である。

(b)冬を越す植物

いろいろの植物がどんなにして冬を越し春を待っているかを葉、つぼみ、根などの様子から 捉えて、約20分にまとめてある。解説と音楽を入れてある。

(C)さくら(6,

卒業研究の作業とした。大学構内のさくらを中心として、つぼみから花になるまで約半月間 連続撮影した。また、大阪造幣局など名所のさくら、奈良八重桜、図鑑所載の有名な桜(複写)、

花の構造、桜前線などで構成してある。音楽と説明が入れてあり約40分かかる。

(d)きく(7)

卒業研究の作業である。当初はきくの酋づくりから始め、育ててゆく過程と開花、展示へと 進める予定であったが、時機を失し、結局きくの花が中心となった。各所の菊花展の他に、K 小学校の菊の展覧会も撮影した。この小学校では5、6年生全員が一鉢ずつ菊を育て、それを展 示していた。先生の話など同時録音が入っている。

(e)奈良の鹿

理科教育実験の作業で進めた。奈良公園の鹿の生態、鹿の管理、角切りの行事などで編集し た。極めていい作品が完成された。

①スライドに比べて8ミリなりの良さがある。特にサウンドの場合は活気が出る。

④最初の撮影計画がよく出来ていないと、フイルムの無駄使いになり経費がかかる。前述の

(C)さくらの場合がそうであった。

③編集には長時間を要した。最初に十分研究して、撮影の順序と内容を決めておき、編集の 手間を省く配慮が必要である。

④撮影技術を習得する必要があるが、フイルムを現像してから結果、調子が分るので、撮影 時の状況と結びつけにくい。最も多いミスは空をバックにした逆光撮影であった。

(4)VTR教材の作製

前述8ミリに対し、同じ動画を得るにもVTRは機材が大きく重く、機動性に欠けるので、

室内での教材作製に重点をおいた。最初はオープンリールの編集装置のあるビデオレコーダー を使用していたが、後に携帯用カセットテープ用レコーダーを用いた。

何れの場合も、先づ画面のみで撮り、後でこれを再生しその画面を見ながら音声と音楽を入 れた。このアフレコ方式が簡便のようである。

作製した教材は次のようである。

(a)やじろべえ風向計

やじろべえの原理を応用した、風に動き易いかわいらしい風向計の作り方と、これを用いた 実験で、独創的でおもしろい。

(b)化学実験器具の扱い方(7、

(6)

初等理科で用いる基本的な器材の扱い方を平易に説明する。

(C)顕微鏡の使い方

小学校高学年ぐらいを対象にして、顕微鏡の基本的操作を示してある。

(d)電流計の使い方

初等理科の程度で、電流計の正しい使い方を分りやすく示してある。

何れも約20分でまとめてある。

①8ミリに比べて機動性はおとるが、録画して直後に再生でき、し直しもできる点が便利で ある。しかし8ミリの様につなぎ替えができない(そのための装置がない場合)。この特徴を教 材作製に活かすべきである。

②高級な編集装置は一般にはなかなか使いこなせない。簡単な編集装置のあるビデオコーダー や携帯カセットビデオコーダーが使いやすく、これで大低のビデオ教材は作れると思う。携帯 用のものでも案外きれいに写り、取扱いも最も便利である。

③vTR機材は一般的に構造が複雑で、取扱いが面倒である。そのため慣れるまで時間がか かるが、慣れるとまことに便利な視聴覚器具である。

各種の視聴覚教具が作られ、学校教育の中に取り入れられているが、今後更にこの傾向は増 すと見られる。これらの器材を用いた効果的な視聴覚教育は現在まだ十分でないと思う。今後、

ハードウェアとソフトウェアの研究が望まれる。

ここには、特にソフトウェアの作製に重点を置いた取り組の一端を栢介したが、このことは 今後も更につづけるつもりである。

参考文献

(1)野 村 真寿美:小学校における天文教材の研究,奈良教育大卒業論文(1979)

(2)米 沢 知栄子二草花あそび,奈良教育大卒業論文(1980)

(3)永 田 四 郎:理科教育での視聴覚教具の活用(2)大学授業での実施例,

奈良教育大教育工学センター研究報告第1号(1978)

(4)永 田 四 郎:オーバーヘッドを用いた天体指導,理科の教育25巻2号(1976)

(5)和 泉 敦 子:幼稚園におけるOHP利用とそのTPの自作,奈良教育大卒業論文(1978)

(6)居 倉 裕 子:理科教育における視聴覚器具の利用,奈良教育大卒業論文(1980)

(7)田 中 詩 子:初等教育における視聴覚教育機器の利用,奈良教育大卒業論文(1980)

(8)永 田 四 郎・梶 本 かがり:理科教育での視聴覚教具の活用(11vTRソフトウェアの試作,

奈良教育大閉回路テレビ室年報No.5(1977)

参照

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