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態に導かず,主体的に職業選択させることを明らかにしている

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46  尚 学 討 究 第6 0 巻 第 1 号

態に導かず,主体的に職業選択させることを明らかにしている

O

こうした過去 の研究が指摘してきている親の影響には様々な要因があり,それら要因の聞に どのような関係があるか明確にする必要がある。また,まだ指摘されてきてい ない要因もあるかもしれない。大学生の職業選択に及ぼす親の影響にはどのよ うな要因がありうるかここで整理しておくことにしよう。

親の影響の最も端的に現れた場合は,おそらく親の職業をそのまま受けつぐ 場合であろう。親の職業を継がせたいと思うのであれば,親の職業についてほ しいと大学生に明確に伝える必要がある(鹿内, 2 0 0 7 )  

0

この場合,直接言葉 で伝えることによって,親が子に影響を与えることになる

O

親の仕事をそのまま継承する割合は,実際には 10% 程度である(小川・田中,

1 9 7 9 ,  1 9 8 0 ) 。ただ,親の仕事と似た仕事につく割合となると 20% から 70% と 高くなる(小川・田中, 1 9 7 9 ,  1 9 8 0 ) 。内容が似ている仕事を選ぶ場合であれば,

家庭の中で,仕事で起きた出来事を親が話したり,仕事の不満をもらしたりす るのを聞いて,間接的に親の仕事の内容を知ることも影響するであろう。

さらに間接的に,仕事に対する親の姿勢を子供がそれとなく見ることも,大 学生の職業選択に影響を与えることがある(鹿内, 2 0 0 7 ) 。池田 ( 2 0 0 2 ) の自 由記述による大学生の回答の中にもそうした事例を見出すことができる。

高校生の頃,父親の生活環境を見て,休みがあったり白出な時間を楽しんでい たりという姿をけ常で見ているうちに,それが白分の将来を考える上でのきっ かけとなった( 1 年止に男子)。

これは,親が働く姿が大学生に良い影響を与えた例であるが,池田 ( 2 0 0 2 ) に よれば,これとは正反対の次のような事例も見られた,という

O

高校生の頃。不況・不景気と言われるようになってから父親がとても毎日忙し そうになり大変そうにもなった。それまでは,休みも多かったりしたのに変わっ てしまった。そういう面を見ることにより,将来は安定的な生活を望むように なった( 1 年生,男子)。

こうした事例は,家庭における広い意味での親子聞のコミュニケーションが大

学生の職業選択に影響を与えたものと言えよう。

(3)

大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 47 

この他,親の職業や仕事が世間からどのように見られているか,あるいは,

親が安定して高い給料を他の親と比べ得ているか,などといった情報も大学生 の職業選択に影響しているかもしれない。こうしたことがらの多くは,家庭の 外で得られる情報であろう。大学生の時期は親から精神的に自立していく時期 であり(高橋, 2 0 0 8 ) ,育ってきた家庭環境を客観視できるようになる時期でも ある。とすれば,こう L た情報も彼らの職業選択に影響している可能性がある。

このように考えてくると,大学生の職業選択に及ぼす親の影響として,親と のコミュニケーション,親の養育態度,および親の職業の性質といった要因を あげることができるかもしれない。そこで,本研究では,大学生が白らの考え に従って職業を選択しようとする意思や動機にこれらの要因がどの程度影響す るかを,それら要因の影響の大きさを測定することによって,比較してみるこ とにした。さらに,これらに加え,自分自身が望む職業の性質が職業選択に与 える影響の強さも測定してみる。そして,親の影響の強さが職業選択に及ぼす 影響を,白分白身が望む職業の性質が職業選択に与える影響の強さとも比べる。

本研究の目的は,職業選択に及ぼす親の要因のうち,大学生の職業選択にどの 要因が実際にどの程度影響しているのかを探索的に調べることである

O

本研究では,親との H 常的なコミュニケーションの中で,大学生の将来に対 して彼らの親がどのような態度をとっているか,親の職業や仕事を大学生がど の程度認知しているか,親の職業や仕事が世間的にどのように評価されている か,および,将来日分がつきたい職業の世間的な評価,以上 4 つを親の影響と 考え,原因側の要因とした。これらが原因となり,結果として進路選択過程 ( c a r e e r  c h o i c e  p r o c e s s ) に関する自己効力(属瀬, 1 9 9 8 ) に変化を及ぼすモ デルを仮定し,パスの強さを測定した。

ここでいう自己効力とは,何らかの課題を自ら遂行し解決できるという感覚 あるいは自信 (Bandura , 1 9 7 7 ) を指す。自己効力は人の感じ方を指しており,

課題遂行に必要な技能を持ちあわせているかどうかとは直接関係がない(贋瀬,

1 9 9 8 ) 。大学生が職業を選ぶ際の白己効力を結果側の要岡と仮定し,大学生の

職業選択行動の違いを説明する研究が80年代から活発に行われてきている。こ

(4)

48  尚 学 討 究 第6 0 巻 第 1 号

の辺りの経緯については,楠奥 ( 2 0 0 6 ) ,鹿瀬(1 9 9 8 ) ,浦上(1 993 , 1995 ,  1 9 9 6 )   などに詳しい。贋瀬 ( 1 9 9 8 ) によれば,進路に関する白己効力は,進路選択に 関する白己効力,すなわち,進路を決める前に,事務職,技術職といったよう な一定の職種の職業を実行できる自信があるかどうかに関する自己効力,進路 選択過程に関する自己効力,すなわち職業を選んで、いく過程を最後までやり遂 げる自信があるかどうかに関する自己効力,そして,進路適応に関する自己効 力,すなわち,進路を決めた後で,実際に選んだ職業に適応し満足できる自信 があるかどうかに関する白己効力に分けることができるという

O

本研究の目的 に最も関係の深い臼己効力は 2 番目の進路選択過程に関する白己効力と考え られる

O

以後,本研究では進路選択過程に関する白己効力」を簡単に白己 効力と呼ぶことにする。

素朴に;考えるなら,職業選択の結果は,卒業時に就職先を見つけていたか否 か,あるいは,どのような就職先を得たかといったようなことがらであるかも しれない。本研究では,そうしたことがらを職業選択行動の結果と考えるので はなく,進路選択過程に関する自己効力を職業選択行動の結果と仮定した。こ れは次の二つの理由による。第一に,進路指導やキャリア支援の現場では,就 職活動の動機を高める指導や助言がなされており(浦上, 1 9 9 6 ) ,自己効力を 結果と考えることで,進路指導やキャリア支援に直接応用の利く成果を期待で

きるためである

O

第二に,これまで述べてきたような親の影響は,就職先を決める時点より前 の,大学に入った早い時期に,大学生の職業選択行動をすでに方向づけており,

動機の高さを示す自己効力を測定する方が妥当と考えられるためである。ベ ネッセ教育研究開発センター ( 2 0 0 8 )

3)

によれば,大学卒業後の進路を考え始 めた時期は,まだ考えていないと回答した者を除いた総数のうち, 36.9% がん 学入学以前, 32.2% がん学 1 , 2 年生のときであった。池田 ( 2 0 0 2 ) の調査で

3  )留学や社会人経験のない1 8 歳から 2 4 歳までの大学 1 , 2 ,  3 ,  4 年生に対しイン

ターネットトムで、行った調査で,有効回答の待られた人数は4 0 7 0 人(うち男子大学

牛 2 4 3 9 人,女子大学性 1 6 3 1 人)であった。

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大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 51 

丈であった。被験者は質問群①と同じ尺度の上で評定を行うよう求められる。

次に,被験者は質問群③の質問に答えるよう言われる。質問群③は,両親の 職業に備わっている条件・属性に関する質問からなっていた。質問丈は「安定

した会社・勤め先である~ ,高い給与・ボーナスがある~, ~昇進の可能性があ る~, ~休日の数・時聞が短い~, ~仕事仲間とよい人間関係が保たれている~, ~勤 め先の世間での評判が良い~, ~仕事そのものが社会の役に立っている~

, 通 勤 の便が良い』の 8 文であった。被験者は質問群①,②と同じ尺度上で評定する

ように求められる

O

続いて,被験者は質問群④に回答するよう言われる。質問群④は,被験者が

将来つく職業に求める条件・属性に関する質問からなっていた。質問丈は~安 定した会社・勤め先である~, ~高い給与・ボーナスがある~

,昇進の可能性が

ある~, ~休日の数・時聞が短い~, ~仕事仲間とよい人間関係が保たれている~

, 

『勤め先の世間での評判が良い~, ~仕事そのものが社会の役に立っている~, ~通

勤の使が良い」の 8 丈であった。尺度の目盛りは,これまでとは異なり,左か

ら順に『とても求める~, ~求める~, ~やや求める~, ~どちらでもない~

, や や

求めない~, ~求めない~, ~まったく求めない』となっていた。被験者は 7 点尺

度の上で評定するよう求められる。

最後に,被験者は質問群⑤に回答する。質問群⑤は,進路選択過程に関する 自己効力を去す質問文からなっていた。質問文は以下の 1 1 文であった。すなわ

ち~臼分の能力を正確かっ客観的に評価できる~

,白分の望むライフスタイ

ルにあった職業を探せる~

,本当に好きな職業に進むために,白分から進んで

両親と話し合いができる~ ,自分の理想の仕事を思い浮かべることができる~

, 

『自分の才能を,最も生かせると思う職業分野を選べる~, ~両親が勧める仕事

であっても,自分の適性や能力にあってないと感じるものであれば断ることが

できる~ ,自分の将来設計にあった職業を探せる~, ~将来どのような生活がし たいか,いつもはっきりさせておきたいと思う~

,自分の興味・能力に合うと

思える職業を選べる~, ~両親が賛成 L ない就職先であっても選択できる~, ~大

学の就職係を探し,それを利用する方が良いと,よく感じる』であった。尺度

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52  尚 学 討 究 第6 0 巻 第 1 号

の目盛りは,左から )11貢に『とても白信がある~, ~臼信がある~, ~やや臼イーがあ る~, ~どちらでもない~, ~やや自信がない~, ~白信がない~

, ま っ た く 自 信 が ない」となっていた。被験者は 7 点尺度上で評定するよう言われる

O

結果と考察

探索的因子分析 ①,②,③,④,⑤の質問群それぞれについて,反復主同 子法, (共通性の初期値はすべて SMC) を用い,同子抽出をおこなった後,ス クリープロット基準に従い因子を抽出し,エカマックス回転をおこなった。そ の結果,① 2 因子(累積寄う率4 1 . 8%) ,② 2 因子(累積寄与率4 4 .4%) ,③ 2  因子(累積寄与率30.1%) ,④ 2 因子(累積寄与率29.7%) ,⑤ 2 因子(累積寄

与率40.7%) が見出された。①の 2 因子を「助言者としての親~, ~監督者とし ての親」と解釈した。②の 2 因子を『親の仕事へのあこがれ~, ~親の仕事の話 題性』と名づけた。③の 2 因子を『親の職場で、の処遇~

,親の職場で、の評判」

と命名した。④の 2 因子を自分が「職場に求める条件~

,職場の評判」と解釈

した。さらに,⑤の 2 因子を『自分の能力に対する自信~, ~両親からの自立」

とした。

検証的因子分析 探索的因子分析の結果をもとに検証的因子分析を行った。

その際,探索的肉子分析で抽出された閃子との相関係数が . 4 0 未満であった尺 度は,検証的岡子分析を行う前にすべて削除した。質問群⑤については,岡子 聞に有意な相関が認められた ( r =  . 3 8 3 , ρ<  . 0 0 1)ため,さらに 2 次の因子 分析まで行い,その結果見出された 2 次の因子を「白己効力」因子と名づけた。

図 1 に,質問群①の検証的因子分析の結果を示す。適合度指標を見ると,

AGFI 

. 9 7 8 ,  CFI 

. 9 9 4 ,  RMSEA 

. 0 3 1 となっており,良い適合度を示

している O パス係数は~監督者としての親』から『両親は,生き方を考える

ときの 1 つのモデルになっている』へのパス係数が 2 % 水準で有意である以外,

すべて .01% 水準で、有志で、あった。

同 2に質問群②に対する検証的岡子分析の結果を示す。適合度指標を見ると,

AGFI 

. 9 9 8 ,  CFI 

1 .   0 0 0 ,  RMSEA 

. 0 0 0 となっており,適合度は高い。

(9)
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大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 57 

質問群①の因子『助言者としての親』から⑤の「白己効力』因子へのパスの パス係数は . 1 9 5 (.1% 水準で、有意)であったのに対し監督者としての親」

から「白己効力」因子へのパスのパス係数一 . 1 1 3 ( 1 2 S ) であった。この結果は,

親が,彼らの子供である大学生の側に立ち助言者としての役割を果たすことが,

彼らの自己効力を高めることを示唆している。

質問群②の肉子『親の仕事へのあこがれ」から⑤の『自己効力」岡子へのパ スのパス係数は一 . 0 8 1 ( 1 2 S ) であったのに対し親の仕事の話題性」から「白 己効力』因子へのパスのパス係数は . 3 8 4 (.1% 水準で有意)であった。「親の 仕事の話題性」に分類された尺度の意味から考えて,子供である大学生に,親 の仕事の内容を親自身から直接的あるいは間接的に伝えられていると, (評定 的な仕事の内容は親自身あまり言わないであろうから)それが大学生の自己効 力を高めることにつながることを上記の結果は示している

O

質問群③の因子『親の職場での処過』から⑤の『自己効力』因子へのパスの パス係数は .118 (5 %水準で有意)であったのに対し親の職場の評判」か ら「自己効力」因子へのパスのパス係数は . 1 2 5 (5  %水準で有意)であった。

親の仕事の給料が高かったり,巷間言われる一流企業に親が勤めていたりする ことも大学生の自己効力を高めることが,わずかながらあるようである。

質問群④の閃子(大学生が)

~職場に求める条件』から⑤の『白己効力」閃

子へのパスのパス係数は . 0 7 7

(ns) であったのに対し~職場の評判」から『白

己効力」因子へのパスのパス係数は . 2 4 8 (.1% 水準で有意)であった。探索的

因子分析の結果を解釈する際に,仕事や職場に関する比較的具体的なことがら

を去す質問をまとめて「職場に求める条件」とし,また,比較的抽象的な質問

群を「職場の評判」としていた。被験者の多くは 1 年生であり具体的な職場に

対するイメージをもっていなかったのであろう

O

これが,職場の具体的なこと

がらを問う質問群である『職場に求める条件』から『自己効力』へ至るパスの

パス係数が有意ではなく,逆に抽象的なことがらを問う質問群である『職場の

評判』から『白己効力』へ至るパスのパス係数が有意となった理由と考えられ

る。就職を控えた上級生であれば,具体的な職場に対するイメージも明確になっ

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大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 59 

結果を眺めてみると,質問群①の因子『助言者としての親~, ~監督者として

の親」から⑤の「白己効力』へのパスのパス係数は,全被験者の場合と似てい

るのが見てとれる。男子大学生の場合~助言者としての親」→『自己効力」

が . 1 7 8(5  %水準で有意),

~監督者としての親』→『自己効力」が .120

( n s )   であった。また,女子大学生の場合助言者としての親』→『自己効力』が . 2 4 5

(1%水準で有意),

~監督者としての親』→『白己効力』が .106

( n s ) であっ た。男子大学生も久子大学生も助言者的な立場を取る親の存在が,彼らの自己 効力を高める可能性が示唆される

O

質問群②の因子『親の仕事へのあこがれ~, ~親の仕事の話題』から『白己効

力」へのパスのパス係数も全被験者の場合とほぼ同様であった。男子大学生の

場合~親の仕事へのあこがれ』から「自己効力」へのパスのパス係数が .063

( n s )   , 

『親の仕事の話題』から『自己効力」へのパス係数が . 2 6 6 ( n s ) であった。一

方,女子大学生の場合~親の仕事へのあこがれ』から『自己効力』へのパス

のパス係数が一 1 3 2 ( n s )   , 

~親の仕事の話題」から「白己効力」へのパス係数

が.4 3 5 ( 1   %水準で有意)であった。女子大学生には,親の仕事の世間的な評 判を気にする傾向が認められる。

質問群③の因子『親の職場での処過~, ~親の職場での評判』から⑤の『自己

効力』へのパスのパス係数も全被験者の場合と同様であった。パス係数は,男 子大学生の場合親の職場での処遇』→『自己効力』が . 1 1 9 ( n s )   , 

~親の職

場の評判」→「白己効力』が . 1 1 7 ( n s ) で あ っ た 。 女 子 大 学 生 の 場 合 親 の 職場で、の処遇」→『白己効力」が 1 0 9( n s )   , 

~親の職場の評判」→「臼己効力』

が. 1 3 5   ( n s ) であった。

質問群④の因子(大学生の)

~職場に求める条件~, ~職場の評判」から「白

己効力」へのパスのパス係数は,全被験者の場合と少し異なる傾向を示した。

男子大学生の場合職場に求める条件』から『自己効力』へのパスのパス係 数が .208 ( n s )   ,また『職場の評判』から『自己効力』へのパス係数が . 1 3 8 ( n s )   であった。前者は,全被験者の場合よりも絶対値で見て数字の上では大きく,

後者は小さくなっている。これに対し,女子大学生の場合~職場に求める条件』

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大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 61 

る範囲内であった。このことは,どの母集同に対しでも同じモデルが適用でき ることを示す。これを踏まえ,多母集団分析を行ったところ,いずれも良好な 適合度指標が得られた(①→⑤: AGFI 

. 8 9 1 ,  CFI 

. 9 3 4 ,  RMSEA 

. 0 4 0 ;  

② → ⑤ :   AGFI 

. 9 2 6 ,  CFI 

. 9 8 6 ,  RMSEA 

. 0 1 9  ;③→⑤:  AGFI =  . 9 0 4 ,  CFI 

. 9 6 1 ,  RMSEA 

. 0 3 1 ; ④→⑤:  AGFI=.917 ,  CFI=.970 ,  RMSEA 

. 0 2 8 ) 。多母集団分析の結果得られたパス係数および z 値を,表 1 の「どちらの親の意見を参考にするか』の欄に示す。

質問群①の因子『助言者としての親~, ~監督者としての親』から⑤の「白己

効力』へのパスのパス係数は,被験者の性別で分けた多母集同分析の結果,お よび全被験者の結果と似ているのが分かる。父親の意見を参考にするとした被 験者の場合助言者としての親」→「白己効力』が . 1 7 9(  5  %水準で有意),

~監

督者としての親』→『自己効力」が .119 ( n s ) であった。また,母親の意見

を参考ムにするとした被験者の場合~助言者としての親』→『自己効力』が .235

(1%水準で、有意),

~監督者としての親」→「自己効力」が .127

( n s ) であっ た。助言者的な立場を取っていれば,父親の意見であっても母親の意見であっ ても彼らの自己効力を高めることにつながると言えるかもしれない。

質問群②の因子『親の仕事へのあこがれ~, ~親の仕事の話題』から『自己効 力」へのパスのパス係数は,父親の場合~親の仕事へのあこがれ』から『白

己効力」へのパスのパス係数が . 2 2 6( n s ) , 

~親の仕事の話題」から『自己効力」

へのパス係数が.4 7 6(5 

%水準で有意)となっていた。また,母親の場合~親

の仕事へのあこがれ』から『白己効力』へのパスのパス係数が一 . 1 6 0( n s ) , 

~親

の仕事の話題」から「自己効力」へのパス係数が . 3 1 0(1  %水準で、有意)であっ た。父親の仕事にせよ,母親の仕事にせよ,親の仕事の世間的な評判を大学生 は気にする傾向がある。

質問群③の因子『親の職場での処過~, ~親の職場での評判』から⑤の『自己

効力』へのパスのパス係数は,被験者の性別で分けた多母集団分析および全被

験者の場合と同様であった。パス係数は,父親の場合~親の職場での処遇」

→『自己効力」が . 1 8 4 (5  %水準で有意),

~親の職場の評判』→『自己効力」

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62  尚 学 討 究 第 6 0 巻 第 1 号

が . 1 2 4 ( n s ) であった。母親の場合親の職場で、の処遇」→『白己効力』が . 0 9 0 ( n s ) , 

~親の職場の評判」→「自己効力」が 116

( n s ) であった。父親から助 言を得ている場合,職場でその父親がどのような待遇を受けているかが大学生 の自己効力に影響する。

質問群④の因子(大学生の)

~職場に求める条件~, ~職場の評判」から『自

己効力」へのパスのパス係数は,父親の場合, (大学生が)

~職場に求める条件』

から『白己効力」へのパスのパス係数が . 2 1 1 ( n s ) , (大学生が求める)

~職場

の評判」から「白己効力」へのパス係数が . 1 2 6

(ns) であった。母親の場合~職

場に求める条件』から『白己効力」へのパスのパス係数が . 0 3 5 ( n s ) , 

~職場

の評判」から「自己効力」へのパス係数が . 2 9 7 (.1% 水準で有意)であった。

母親に日ごろ助言を求める大学生が求職する│祭,求める職場の評判を気にする 傾向がある。これは,おそらく一般的に言って母親の仕事が父親の仕事ほど世 間的な評価を受けておらず,大学生が求める職場の一般的で世間的な評価をあ てにせざるをえないためであろう。

「どちらの親の意見を参考にするか』の最右欄に父親の場合と母親の場合の 聞のパス係数の一対比較を表す z 値を示す。これら z 値はいずれも有意ではな

く,明確な傾向はとくにうかがえなかった。

被験者を 4 群に分けた多母集団分析 これまでの多母集団分析と同様にし

て,まず母集団別に共分散構造分析を行い,パス係数を求めた

o

l::lごろ父親の

助言を聞くと回答した男子大学生は1 2 5 名,母親に助言を求めるとした男子大

学生は 1 1 6 名であった。また,日ごろ父親の助言を聞くと回答した女子大学生

は5 5 名,母親に助言を求めるとした女子大学生は 1 2 9 名であった。女子大学生

が父親の意見を参考にする場合の人数が少ないのが見てとれる。 4 群聞の等比

率に関するカイ 2 乗検定を行ったところ 4 群聞に有意な人数の差が認められ

た (x

2

2 0 . 6 4 , ρ<.0001) 。女子大学生が父親の意見を参考にする場合以外

の 3 群の人数がほとんど同じであることから,この差は久子大学生が父親の志

見を参考にする場合の人数に起閃していると考えられる

O

女子大学生は父親と

のコミュニケーションが少なく,父親を遠いところから見ているのかもしれな

(19)
(20)
(21)

大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 65 

③の因子守見の職場で、の処遇」から「臼己効力』へのパス,および『親の職 場の評判』へのパスは,どの場合についても . 1 前後の正の値をとっているのが 見てとれる。これら数値も,質問群①→⑤と│司様,全被験者の場合と数字の上 ではあまり変わらない。

質問群④の因子(大学生が)

~職場に求める条件』から⑤の『自己効力」へ

のパスのパス係数は,全被験者の場合 . 0 7 7 ( n s ) であるが,男子大学生が父 親に助言を求める場合には一 . 3 1 6 (ρ<  . 0 5 ) に,会;子大学生が父親に助言を求 める場合,こちらは有意ではないが 2 1 2 となる。また,④のもう一つの因子『職 場の評判』から『白己効力』へのパスのパス係数は,全被験者の場合が . 2 4 8 ( n s )  

であるのに対し,男子大学生が父親に助言を求める場合が . 0 1 3 ( n s ) ,女子大 学生が父親に助言を求める場合が . 4 2 6 (ρ<  . 0 5 ) であった。

表 5 のパス係数の対の右に z 値を示す。 z 値はパス係数の対の一対比較の結 果である。これらの値のうち,質問群②の因子『親の仕事へのあこがれ」から

『自己効力」へのパス係数の宇対比較では,男子大学生→父親は女子大学生→

父親よりも 5% 水準で、有意に高く ( z = 2 . 3 8 3 ) ,男子大学生→父親は男子大学 生→母親よりも 5% 水準で有意に高かった ( z = 2 . 2 1 9 ) 0   R ごろ父親に意見を 求める男子大学生は父親の仕事にあこがれを抱くが,父親に意見を求める女子 大学生はあこがれを抱かない傾向がある。また,男子大学生は母親の仕事より

も父親の仕事にあこがれを抱くことが多い。

質問群④の因子『職場に求める条件』から「臼己効力』へのパス係数の一対 比較では,男子大学生→父親は女子大学生→父親よりも 1% 水準で有意に高 かった ( z =2. 7 l 0 ) 0  

総合的考察

本研究の個々の分析の巾で得られた解釈結果をもとに,大学生が親と H 常的

にどのようにコミュニケーションを L ,そこからどのように進路選択に対する

自己効力を高め,彼らの就職活動に活かしているか推察してみることにしよう。

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66  尚 学 討 究 第6 0 巻 第 1 号

大学生の側に立ち助言者としての役割を親が果たすことが大学生の臼己効力 を高める可能性が示唆された。これは男子大学生であっても女子大学生であっ ても│司じであった。また,助言者的な立場をとる限り,父親であっても母親で あっても大学生の自己効力を高める可能性があった。主体的に職業選択させる ために,親がん学生の職業選択に干渉しすぎないこと (Lopez &  Andrews ,  1 9 8 7 ) や親が彼らの自立を助けようとすること (Guay , Seneca   , l G a u t h i e r ,  & 

Ferne   , t 2 0 0 3 ) が指摘されてきている。本研究の結果は,こうした指摘とも一 貫する。

父親であれ母親であれ,親がどのように仕事をしているかを家庭の中で話題 にすることも,大学生の白己効力を高めることにつながっていた。この結果は 池田 ( 2 0 0 2 ) の観察を支持している。とくに女子大学生の場合,こうした傾向 が顕著になった。

本研究の分析では,親が一流企業に勤めていたり,まわりの大学生の親の給 料と比べ自分の親の給料が高かったりすることも,大学生の自己効力感を高め ることにわず、かながら結びついていた。女子大学生に限定すると,親の仕事の 世間的な評判を気にする傾向はより強くなった。

世間的な評判が良く,社会の役に立っている会社に入りたいという思いも,

大学生の自己効力を高めることにつながっていた。職場の評判を気にするこう した大学生の傾向は,やりがいのある仕事をしたいと彼らが漠然と考えている ことに起因するのであろう。

普段父親から助言を得ている大学生に限れば,父親の仕事の世間的な評判を 比較的気にしていた。これは,おそらく父親の職場に関する情報も父親から多 く得ており,そうした豊富な情報を精椴にしようとして,父親の仕事の世間的 な評判をそれらに加えようとするためであろう

O

普段母親から助言を得ている大学生は,大学生自身が求める職場の評判を気

にしていた。これは,おそらく母親の仕事の評判は,自分が仕事を選ぶ際の参

考にはあまりならず,もっぱら職場の一般的な評判をあてにせざるをえないた

めであろう。

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大学生の職業選択に及ぼす親の影響の強さ 67 

女子大学生は,男子大学生よりも,彼女らが求める職場の評判を気にする傾 向が認められた。父親の意見を参考にするとした女子大学生は,他の三つの場 合よりもきわた、って少なかった。母親の意見を参考にするとした女子大学生は 多くいたが,彼女らが母親の仕事を見てもあまり参考ーにならなかったと推察さ れる。女子大学生の身の回りには,彼女らのロールモデルとなる人聞が少ない のかもしれない。もしそうなら,職場の世間的な評判が彼 k らの白己効力を高 めることにつながっていたとしても不思議ではない。

進路選択過程に関する白己効力に及ぼすさまざまな要因がこれまで指摘され てきており,そうした諸要因を体系的に説明することが求められている(康瀬,

1 9 9 8 ) 。親の影響もそうした要因の宇つである。共分散構造分析モデルを活用 することで,そうした要請に答えることができることを本研究は示唆している。

もちろん研究者が仮説を何らもたないところから何かを発見できるわけではな

い。どのような統計分析法も子段にすぎない。就職を控えた,あるいは就職先

をすでに見つけた大学生に対し聞き取り調査を行うなどして質的な分析を事前

に行っておくことがこれまで以上に求められるであろう

O

(24)

68  尚 学 討 究 第 6 0 巻 第 1 号

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参照

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