• 検索結果がありません。

ドイツ金融システムの 1 特徴

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ドイツ金融システムの 1 特徴"

Copied!
18
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

6 6

ドイツ金融 シス テムの 1 特徴

商業銀行 機 能 と信 認 支持 を中心 に‑

大矢 繁夫

(小樽商科大学)

1.は じ め に

ドイツの金融 システムはユニバーサルバ ンクの存在によって特徴づけら れる。ユニバーサルバ ンクは、投資銀行 ・証券会社の模能と商業銀行の機 能を併せ もち、産業企業 と強い結びつ きを形成すると理解 されてきた。す なわち、前者の機能か らもたらされる、銀行による株式保有、寄託株の議 決権代理行使、監査役の派遣 を通 じて、 また後者の機能である融資 を通 じ て、ユニバーサルバ ンクは産業企業 との緊密な関係 を作 りだ して きた、と い うのであるO しか しなが ら近年、 ドイツで も、グローバルな競争下で、

銀行 と産業企業 との緊密な関係 も、株式持合いの解消に示 されるように大 きく変化 しつつあるとい う。そ してこのような指摘 はかな り一般的 となっ ているI)C

ここでは、このような指摘 を肯定的に受けとめて、この間題 にこれ以上 は立ち入 らない。 というのは、ここでの関心は、上記の 「株式保有、寄託 株の議決権代理行使、監査役派遣」お よび 「融資」 という銀行が産業企業 と結びつ く諸手段その ものにではな く、いわばこれら諸手段の背後 にあっ て、これらを成 り立たせ、支えているようなシステムに向けられているか らである。 このシステム とは、「株式保有、寄託株の議決権代理行使、監 査役派遣」、すなわち投資銀行機能 と関るもの としては株価動向に影響力

(2)

ドイツ金融システムの1特徴

6 7

をもつ証券信用 システムを考 え、他方での 「融資」、すなわち商業銀行機 能に関るものとしては信用創造のシステムを考える。本報告ではこのうち 後者 を取 りあげてゆ くこととする2)。以下、信用創造ない し貸出 ・預金創 造 システムの一般的特質 とその ドイツにおける展開を追い、それと関って 表われる ドイツ的特徴 を探 ってゆ く。

2.

貸 出 ・預金創 造 システ ム と信 認

投資銀行や証券会社の機能は、抽象的に、企業証券の発行 と流通に関る ものといえるが、これに対置 される商業銀行機能は、やは り抽象的にいえ ば 「融資」 ということになる。そ して、この 「融資」 を成立 させ、支えて いるのが貸出 ・預金創造のシステムといえるC この点をもう少 し詳 しくみ ておこう。

わが国では、通常、商業銀行の固有業務 として、預金 ・貸出 ・為替の

3

業務が挙げられる。為替業務 は、隔地間の資金の支払い ・決済 を担 うので あ り、 したがって振替決済システムを顧客へ提供 している、 と&.ることが で きる。 この商業銀行の

3

つの業務 を統合的に捉えて、商業銀行の特質を 表現 しようとすれば、次の ようにい うことがで きる。庁 盲 わち√高菜銀行 は、預金 を吸収 し、それを支払準備 としつつ、貸出を自己宛債務の形式 を もってなす (あるいは、貸出を自己宛債務の形式でな し、この債務支払い の準備 として預金 を吸収する、ない し中央銀行か ら借 り入れる)、そ して、

このことが可能 となるのは、自らが有する振替決済 システムによって支払 い ・決済を処理するからである、LとD商業銀行 はか くして貸出能力を手に 入れ、借 り手企業に対 して能動的力 を発揮 して優位 に立つ ことがで きる。

商業銀行の「融資」は、このような内容 を背後にもつ。

以上のことは、貸出を通 じて預金通貨 を創 り出す、または預金取扱銀行

(3)

68

がマネーサプライを生み出す、 とい うようにも表現で きるOそ してこのよ うな銀行の機能は、銀行顧客が支払い ・決済に預金通貨 をそのままの形態 で用いる、 ということを前提 にして成 り立っているD もし、預金通質 ( 大部分)がそのままの形態で利用 されるのでな く、預金払い出 しによって 現金 (現代では中央銀行券) として銀行 システムの外部 に流出 し、銀行は それに応 じるべ く現金 を準備 として保有せねばならない とい う事態 な ら ば、上記の銀行機能は成 り立たない。しとい うのは、いうまで もな く銀行は、

全体 として、預金払い出 しに応 えうるベースマネーをはるかに超えて、貸 出によって預金通貨 を創 り出 しているからである。

か くして、銀行顧客にとって、支払い ・決済に現金 を用いる必要がな く、

預金通貨の振替で事が足 り、預金通貨はそのようなものとして利用 され続 けるという信認が、上記の銀行機能にとって決定的なのである。貸出 ・預 金創造 システムは、 自身への この ような信認 を前提 に して成 り立 ってい る。

ところで、このような銀行 システム‑の信認は、特別の事情下にな くと も、次のような場合を考えるとき、それは自ずか ら希薄化 し、 したがって 信認不安が内包 されて くるとみることがで きるOそれは、まず第 1に、上 記のような銀行 システムが効率的に働 くときである。具体的には、ベース マネーを "檀" とした預金通貨の膨張が より大 きくなるときである。 とい うのは、一朝事あるときに預金通貨の払い戻 しに応 じうる量は、‑社会的 にベースマネーの量に限 られるか らである。効率的に、ベースマネーの量 をはるかに超えた預金が創 り出されるその程度 に応 じて、信認の基礎が希 薄化 してゆ くと考えることがで きる。 といって も、 もちろん、創造 された 預金 と対 をな して増大 した銀行資産が実体経済に根拠 をもつ「優良資産」で あれ ば、中央銀行 は事後的にこれに対 して流動性 を供給 し、 したが って、

この分 については、創造 された預金の払い出 しに銀行 は応 じうる (しか し

(4)

ドイツ金融 システムの

1

特徴 69

この場合で も、預金払 い出 しが一挙大量化するときは中央銀行 も現実には これに対応 しきれない と思 われる

)

。か くして、貸 出 ・預金創造 によって 生 じた銀行資産の質が何 よ りも重要 となって くる。しか し、一般 に、 この 銀行資産には、中央銀行が流動性 を供給 しえない質の ものが相 当入 り込 ん でいる、 とい うことが問題なのである。

上記の ことは、銀行 システムが通常 に展開す るなかで、信認の希薄化 ・ 不安が内包 されて くるとい うことだが、次の場合 もまた、同 じ事が生 じる

と理解で きる。それは、貸出 ・預金創造のシステムが外延的に、 とりわけ 国境 を越 えて拡大 してゆ く場合である。 これは、銀行顧客が国境 を越 えて 拡がっている事態であ り、 このような預金者 にとっては銀行経営の内実が 掴みに くい ものとなるか らである。銀行が国境 を越 えて貸出 ・預金創造 を 展開するその程度が強ければ、それだけ、預金者 には、銀行の公式デ ィス

クロージャーを超 えた内実 についての情報が疎遠 なもの となるだろう。

3.

ドイ ツに お け る貸 出 ・預 金 創 造 シス テ ムの展 開

上 にみて きた整理 にもとづいて、次 に、 ドイツにおける銀行 システムへ の信認希薄化の状況をフォロー しておこう。

しか しここで、信認希薄化ない し不安定化についてその実際の程度 を測 ろうとい うのではない。既述の ように、貸出 ・預金創造の システムは、預 金者の信認 を前提 として成 り立っていた。そ してこの信認は、このシステ ムが効率的に働 く (貨幣乗数が高い) とともに、 また、外延的に拡大する (国境 を越 えて展 開す る) とともに、脆 く不安定な性格 を帯 びてこざるを えない、 とい うことであったOつま り、貸出 ・預金創造のシステムは、そ の前提 をなす信認 について、自らの展 開の うちにそれの希薄化 ・不安定化 の基礎 をっ くり出 してゆ く、 とい うことなのである。 ここでは、このよう

(5)

7 0

な把握 にもとづいて、貸出 ・預金創造のシステムが効率的お よび外延的に 展開 している現在の姿 をみておこうというのである。

このような観点か ら、 ドイツにおける

M2/

マネタリーベース とい う貨 幣乗数について、計数の連続性が保たれる最近の年次について取 り出す と、

2 0 0 0

年末

7. 2、2 0 01

年末

1 0. 2、2 0 0 2

5

月末

1 0. 5

となる。比較の意味でユー ロエ リア全体の

M2/

マネタリーベースをみると、同時期でそれぞれ

6 . 5

7

.4

、7 . 7( 2 0 0 2

6

月末) となる3)。ドイツの方が貨幣乗数が高 く、貸出 ・ 預金創造が より効率的に展開 していることが窺える。

しか し、先に指摘 したように、貸出 ・預金創造が効率的に展開 したとし て も、真 に信認不安定性が内包 されて くるか否かは、この とき膨 らんだ銀 行資産の質如何 とい うことであった。この点か ら、ブンデスバ ンクが事後 的に流動性 を供給 しうる銀行資産

( TB

等、手形、債券)の資産総額 に占 める比率 をとってみると (貯蓄銀行、信用協同組合 を除 く「信用銀行」ベー ス)

、2 0 0 2

5

月で

1 4. 0%

となる。比較のために、 日本 において 日銀 による 流動性供給の対象 となる銀行資産 (割引手形 と公社債)の資産総額に占め る比率 をみると

( 2 0 0 2

3

月、全国銀行ベース)

、1 9. 7%

となる4)。上記 し たような意味 をもつ銀行資産の質 とい う点では、 ドイツのほうが

6

ポイン

トほど劣 っている。

次 に、貸出 ・預金創造のシステムが国境 を越えて外延的に拡大する、 と いうことを ドイツの銀行 についてみておこう。 ドイツの銀行の貸出 ・預金 創造 によって生み出された預金通貨が、 どの程度国境 を越 えて保有 されて いるか という問題である。

この点について、 ドイツの銀行 に対する非銀行の要求払預金保有 を内外 のシェアに分けて追 うと、外 国保有分 は

4‑7%

で推移 し、残 りの

9 0%

上が国内保有分である5)

. ECB

は、ユーロ導入直前の98年末 において、一 般 にユーロエ リアの金融機関の業務 はなお ドメスティックな性格 を強 く有

(6)

ドイツ金融システムの1特徴

71

していると指摘 しているが、その傾 向は、 ドイツの銀行 において もその後 大 きく変化 していない ことが窺 える6). ドイツ以外の国の非銀行が ドイツ の銀行 に保有する要求払預金は、比率的にそれほど大 きくなっていないの である。結局、今の ところ、 ドイツの銀行 は外 国非銀行 に対 して貸出 ・預 金創造のシステムを大 きく拡大 し、それだけこのシステムは信認の基礎 を 弱めている、 というよういえない。

以上では、銀行 による貸出 ・預金創造のシステムは、効率的および外延 的に展開すればそれだけ自らへの信認の基礎 を弱めて しまう、 という把握 にもとづいて、 ドイツの銀行 についてその展 開を追 ってみた。貸出 ・預金 創造のシステムは、その展開のうちに信認の基礎 を脆 くする、 とい うこと は、このシステムは本来的に信認不安定性 を内包 している ということであ る。 このことか ら、 このシステムの信認 を外部か ら支 える諸方策が必然的 となる。次 に、この信認支持の問題 を取 りあげる。

4.

信認支持の方策 預金保護について‑

貸出 ・預金創造 システムに対する信認 を外部か ら支 える方策 としては、

預金保護 と銀行監督 を挙 げることがで きるが、 ここでは、前者について ド イツの実態 を追い、「ドイツ的特徴」を探 ってみる。しか しそれに先立って、

預金保護や銀行監督 とい う方策が信認の支えとして どの ような位置づけを もっているか、あ らか じめ簡単 に整理 しておこう。

信認の危機が現実化 し、銀行 システムが崩壊するのは、端的には、預金 引出 しの殺到 ・取付 によってである。 このことが生 じるのは、第 1に、銀 行経営の失敗か ら債務超過等銀行破綻が明 らか となった とき、またはその 恐れがあるとき、そ してこのことが他の銀行へ伝染 してゆ く恐れがあると き、といえる。また第 2に、このような銀行破綻の確かな根拠がな くとも、

(7)

72

信認不安が醸成 され、強 まり、預金引 き出 しの殺到が起 こることもあ りえ る。

上記の ような信認危機の現実化、銀行 システム崩壊の危機 に対抗 して、

信認 を支えるべ く諸方策が次の ように位置づいて くる。 まず、銀行経営の 失敗 を回避 し,その健全性 を確保するために銀行監督が存在す るOそ して、

銀行監督だけでは、銀行経営の健全性 と銀行 システムへの信認が十分得 ら れない場合のために、破綻銀行への預金等債権 を保護するとい うことによ って、預金取付 に至るような信認危機 を防ごうとす るD また、上の第

2

ケースでは、中央銀行が、銀行が債務超過でないケース を前提 として、流 動性供給 を行 う。おお まかに、 この ような諸方策によって銀行 システム‑

の信認が支持 されている、 といえるだろう7。以下では、具体的に、 ドイ ツにおける預金保護 を追 うことにす る。

ドイ ツで は

1998

8

1日に 「預 金 保 障 お よ び投 資 家 補 償 法

fi r ) ] a g e T I S i c h e r un gs ‑Anl e g e r e nl S C h 云 di gu n g s g e s e l

Zが施1'lJされたC これは、預 金保 障 と投資家保護 に関す るEC指令 と調和 Lた法的預金保護 スキームを ドイツへ導入 した、 とい うことであった。 この措置以前には、種々のカテ ゴリーの銀行が、 自発的な預金保護 スキームを運営 していたが、98年以降 は、上記の法的保護スキームが この 自発的スキームと共存するのであるQ 従前からの 自発的預金保護スキームは、公的支持 に頼 ることな しに、銀行 業の信認を守るのに十分であ り、銀行 システム安定 に大 きな役割 を演 じて きた、 と評価 されるo この 自発的保護 スキームのポジテ ィブな面が評価 さ れ、98年の法的保護スキーム導入後 も、自発的スキームが維持 され続 けた、

とい うわけである。ドイツでは、現在 もなお、98年の法的保護の範囲を超 えて、全体 として高い預金保護が続 け られているのである。以下、民間の 預金取扱機 関=銀行 セクターにおける預金保護の概要 を示 してお くと次の

ようになる8)。

(8)

ドイツ金融システムの

1

特徴

7 3

法的保護

(1 9 98

年導入)

・預金の

90%

(最大

2

万ユー ロまで)お よび投資 ビジネスか ら生 じる 債権の9

0%

(最大

2

万ユーロまで) を法的に保護

・上記預金 ・債権 は、ユーロもしくは

EEA

通貨延 に限 られる

・保護 される預金者 ・債権者 は、主に個人であ り、金融機関、公共団 体、中 ・大規模の法人企業は対象外

・ドイツ銀行補償機構 (ドイツ銀行家協会が設立)が基金の管理 と運 営 を行 う

自発的保護

( 1 966

年 開始、75/76年改訂)

・法的保護 によってカバーされない預金 に対 して、預金者につ き当読 機関の責任資本の3

0%

までを保護

・通貨の種類 に関わ らず、要求払預金、定期預金、貯蓄預金、登録倭 券が保護

・保護 される預金者 ・債権者は、個人のほか、全ての ノンバ ンク、辛 業会社、公共団体 を含む

・ドイツ銀行家協会の預金保証基金が運営

以上の ような現在の ドイツの預金保護スキームを、ブンデスバ ンクは次 の ように評価 している。「法 的な預金補償 と自発的な預 金保護 の結合 は, 預金損失 に対する包括的で よく設計 された保護の レベルが、将来、 ドイツ の信用機関が支払不能なった とき預金者 に与えられるとい うことを保証す る。それは、 ドイツの銀行 システムの安定 に対する公衆の信頼 を、数lo草 にわたって発展する信頼 を、維持するのに役立つだろ う」 9)と。

5.

む す び

ドイツ金融 システムの最近の特徴 を、商業銀行機能 に即 して追 ってみ よ

(9)

7 4

うと した。それ は、 まず貸 出 ・預 金創 造 システ ムの一般 的特 質 をつ か まえ た うえで、 ドイツにお けるその展 開 を追 い、そ して必然 的 に要請 される こ の システムへの信認支持 の概 要 を明 らか にす る、 とい うもの となった0

この信 認支持 のあ り方 につ いて、 ブ ンデ スバ ンクは、「ドイツで は、信 用協 同組合 や貯蓄銀行 、商業銀行 の預金者 は、一般的 に、事実上完全 に保 護 されている」1 0 )と自信 の ほ どをみせ てい る。他 方、 この ような高度の預金 保 護 は銀行のモ ラルハ ザ ー ドを引 き起 こす とい う問題 について は、 ブ ンデ スバ ンク も十分 な認識 を示 しつつ、 しか し、高度 な預金保護 に よって銀行 システムの信認 を守 る ことの方 をよ り重要 とす る立場 を取 っている ように 見受 け られ る。ここには、銀行 システ ムへ の信認 とい うこ とに対す る よ り セ ンシテ ィブな態度 が みて とれ る。それは、 ドイツの金融 システ ムにお け る 1 つ の特 徴 とみ る こ とが で きるQなお、 も しこの よ うな銀 行 システム 、 貸 出 ・ 預金創造 システ ム‑ の信認 支持 が不十分 であ るな らば 、 この システ ムその もの を否定す る ような議論が生 じて くるだろ う1 日O

[ 注]

1 )相沢 ( 2 0 0 2 ) 、星野 ( 2 0 0 2 ) 、『日本経済新聞』 6月 2 7 日 、7 月1 6 日参照。

2) 証券信用システムに関 しては大矢 ( 2 0 0】 ) を参照。

3)De uT s c heBunde s ba nkMont hl yRe po T l 各号及び Eur opeanCent r a lBa nk ,Mo J 7 ( DI Y BuL L e t L ' n 各号によるO

4)Deul s cheBu nde s ba nkBa nke ns E at L s T j k, J t J ) i2002 ,全国銀行協会ホームページ ( ht t p: / / www. z engi n kyD. Or JP / ) による。

5)De u E s c beBu l 7 de s b a n kBa nke DS t a t i s

E

j k, J uJ i2 002 による0 6)Eur ope a nCe nt , alBa nk ( 1 999) 参照。

7)この他に、例えば 「 日銀特融」のように中央銀行が「 最後の貸 し手」として登場す るケースがあるが、このような「 事後的セーフティネット」についてはここでは 触れない0

8) ドイツの金融機関全体にわたる預金保護の詳細=こついては、大矢 ( 2 0 0 2 ) を参照D

(10)

ドイツ金融 システムの 1特徴

75 9)De ut s c h eBu nd e s ba nk ( 200 0).

1 0)De ut s c h eBu nd e s ba nk ( 1 99 2)

参照。

ll )

民 間銀行の信用創造 システムを否定す る議論 は、地域通貨論やナローバ ンク論 の中に見出 される。ナローバ ンク論 については、吉 田

( 1 993)

、建部 (

1 99 7)

参照。なお、信用創造否定論 と してのナ ローバ ンク (プラス金融仲介機 関) シ ステムについては、例 えば、「中央銀行 :通貨 ・預金通貨 の発行 、A銀符 ( 済専 門銀行) :

1 00%

の準備保有、要求払預金の振替決済のみで一切 の貸付 は しない、B銀行 (金融仲介機 関) :預金 の振替決済 を しない」とい う型が純粋 な もの として想定 される。その場合の預金通貨の創造、金融仲介、預金の振替 決済の成 り行 きは次の ようになるだろ う

① 中央銀行が

B

銀行へ貸 し付 け

、B

銀行 はそれを

A

銀行で保有

中央銀行 A銀行 B銀行

A

銀預金 中央銀 預金

( 参B

銀行 は企業 甲へ貸付

(彰企業甲は企業乙へ支払い

B

銀預金

A

銀預金 中央銀か ら

A

銀行 B銀行の借用金

中 預 央 金 銀

中央銀 預金

甲預金 甲への

貸付

中央銀か ら の借用金

参考文献】

相沢幸悦

( 2 0 02)

「ドイツの経済政策理念 と証券市場改革」、『証券経済研究』第

38 号

大矢繁夫

( 20 0 1 )

Fドイツ .ユニバ ーサルバ ンキ ングの展 開』 (北大図書刊行会)

( 2 002)

銀行 システム と信認支持」、会計検査 院 F会計検査研究』第

26 号

建部正義

( 1 9 97)

貨幣 ・金融論の現代 的課題』 (大月書店)

星野 郁 ( 20 02)

岐路 に立つ ドイツの企業統治

証券経済研究』第

38 号

吉 田

( 1 9 93)

金融 システムの安定性 とナローバ ンク論

金融

』 (

to月)

De u t s c heBu t Z de s b a n kBa L ke L 7 S t a t J ‑ s t i k

De ut s c h eBu nd e s ba n k ( 1 992), ' ' De pos i tp

ro

t e c t i ons c he me si nt heFe d e r a lRe pu bl i c

(11)

7 6

0fGe ml a ny日, Mo nt h l yRe po T fo ft h e De u L s c heBu nd e s b a n k, J u l y・

( 2 00 0)," Dep os i tpr o t e c t i ona ndi nv e s t o rc o mpe ns a t io ni nGe

rm

a ny

''

De u L S C h eBu n de s b a nkMo nE hJ yRe po r t , J u 】 y.

Eur op ea nCen【 r aLBank ( 1 999)," Ba nki ngi nt hee ur oa r e a: s t r uc t ur a lf e a t ur e sand t r e n d",Mo nd l l yBu I J e t

j

n , Ap

ri1

≪ コメン ト① ≫

岩見 昭三 (奈良産業大学) 1.銀行に対する信認の不安定化

①貨幣乗数の高 さの絶対的水準、あるいは傾向的上昇のいずれを信認不安定化の 根拠 にしてお られるのかoa)貨幣乗数が高い、ない し上昇傾向にある、のいずれの 場合で も、これは大矢先生が主張 されてお られるように貸出 ・預金創造 システムが 効率的に機能 していることを意味 し、このシステムの不安定性が増大するか否かは 別の次元の契機 (マクロ的経済状況、貴会運用先の経営状況,貸出審査 システムの 不完全性等)で説明すべ きではないか。③ 中央銀行から流動性 を供給 され うる資産 の保有割合の高低 を、銀行 に対する信認の指標 とするのは適切かC ドイツの場合, 他の金融楼関に対するインターバ ンク資産が多いことを特徴 としてお り、これは価 格、金利 リスクを伴 うとはいえ基本的に流動化可能であるか ら、少な くともこの イ ンターバ ンク資産 を含めて流動性 と信認 を論ずべ きではないか。④外国の非銀行が ドイツの銀行に保有す る要求払預金が増大することも信認不安定化の可能性 として 挙 げておられるが、貸出 ・預金創造の システムの不安定化 は、マクロ的経済状況、

資金運用先の経営状況等によるのか基本的原因であ り、運用先の所在地が匡l境の内 か外かは二次的問題ではないか。ノ、フル崩壊期の 日本のようにl司内であって も信認 か不安定化する事実 を見るとき、匡l境 を越えることを外延的 として信認不安定化の 一根拠 とするのは問題ではないかC

2.

現在の金融携関の経営悪化 との関係

貸出 ・預金創造 とい う商業銀行機能に即 して信認不安定化の根拠 を説 こうとして お られるが、この論理 と現在の ドイツ金融機関の経営悪化 とはどのような関係 にあ るのか。 コメルツ銀行の事例 に見 られるように、ユニバーサ ルバ ンクとしての、 と くに投資銀行業務の不振が大銀行の経営悪化の原因 となっている側面が大 きいこと を考 えると、報告での商業銀行機能における信認不安定化の原理的可能性が、 どの ようなメカニズムで現在の大銀行 ない し各種銀行の経営悪化 として現実化 している

(12)

ドイツ金融 システムの 1 特徴 7 7 か という媒介的な論理が必要ではないか。

3. 各金融機関グループの個別的分析の必要性

ドイツの上位 5 大銀行の全金融機関の総資産 に占めるシェアは 2 0 01 年現在約 2 0%

にす ぎず、残 りの 8 0% は貯蓄銀行 グループ、信用協 同組合グループ、抵当銀行、特 殊機能銀行等が占めている。 これ らの各 グループとも利 ざやの低下 と経営悪化 に苦 しんでいるが、その原因は一様ではない。たとえば、抵当銀行 グループは、自治体 ない し政府系金融機 関向け貸出を 1 9 9 0 年代以降ユ ーロ発足直後 まで拡大 して きた が、近年伸 び悩み外 国向け貸出に活路 を見出そ うとしている。 しか し、十分な成果 を挙げ られず苦境 に陥っている。他方、大銀行のコメルツ銀行 は投資銀行業務の不 振が経営悪化の重要な一因となっている。各銀行 グループのこう した経営悪化の直 接 的原因を整理 した うえで、 これ と報告での商業銀行の貸出 ・預金 システムに内在 する信認不安定化の原理的可能性 との関連 を、各銀行 グループごとに明 らかにす る 必要があるのではないか。

4.預金保護スキームと信認不安定化 との関連

報告では、 ドイツでは 「 全体 として高い預金保護が続けられている」 として、預 金保護スキームに高い評価 を下 されていたが、これ と信認不安定化の原理的可能性 とは如何 なる関連 にあるのか。預金保護制度が整備 されるほど、信認不安定化は現 実化せず、逆の弊害つ ま りモ ラルハザー ドの危険性が増大 しないか。 とい うのは、

預金の安全性が保証 されるほ ど,預金者か らの金融機関選別のインセ ンティブが低 下 し、それが金融機関間の競争 を阻害 し、 この結果、各金融機関は リスク意識 を希 薄化 させた資産運用行動に走 り、実際 これが現在の各金融機関グループの経営悪化 の重要な一因 となっているのではないか。 とすれば、現在の ドイツの金融機関の リ スクは、信認不安定化 とい うよりも、む しろモラルハザー ドとい う形態で現実化す る可能性のほ うが高いのではないか。

≪岩見昭三氏の コメン トへの回答≫

1.①後者 を考 えている。②貨幣乗数の高 まりは、創造 された預金の払い出 しに対

して即時に応 じうるベースマネーが相対的に少 ないことを意味する。 この点でシ

ステムの不安定性 といっている。 ご指摘の「 マ クロ的経済状況、資金運用先の経

営状況、貸出審査 システムの不完全性等」が この不安定性 を現実的な もの とする

と考 えている。③ ご指摘 に異論 はない。個別銀行 に対する信認 は、その銀行が全

体 として どの程度の流動的資産 を保有 しているかによる。 この点か らすれば、問

題 とすべ き銀行資産は「 現金残高」、「中央銀行等への預金」、報告で取 りあげたい

(13)

78‑

くつかの流動的資産、そ してインターバ ンク資産 ということになる。 しか し、報 告で問題 と したのは、信用創造 によって増大 した銀行資産の うち、中央銀行が流 動性 を供給で きる資産はどの程度あるか とい うことであ り、中央銀行が追加的に ベースマネーを供給 しうる資産を追った、とい うことである。④創造 された預金 の保有が クロスボー ダーに拡がっているという点は、システム不安定化 にとって は二次的ではないか とい うことだが、そ うか もしれない。② で も述べ たが、「マ クロ的経済状況、資金運用先の経営状況等」は、信認不安定化 を現実化する「 引 き 金」であ り、クロスボーダーに拡がる預金保有 も信認の基礎 を脆 くする面をもつ、

という認識である。

2.ご指摘のように、報告では「 信認不安定化の原理的可能性」を考えてみた という ことであ り、このことが各種個別銀行の信認破綻 ( 預金流出 ・取 り付 け)をどの ように現実化 させるか とい う問題は、各種銀行の経営実態やマ クロ的経済状況の 分析が必要 となる。 このような問題の分析は今後の課題 とさせていただきたい。

3.2 の問題 をさらに具体化 したご質問 ・指摘 と受け とめるo各銀行 グループの経 営悪化の要因を分析 し、各銀行 グループが どのような局面 にあるかを把握 し、そ れ と信用創造 システム との相互的影響 を検討 し、そ して今後の金融 システムのあ り方 を ドイツに即 して考察するという課題 は、ぜ ひ取 り組んでゆ きたい と考 えるD 4. 報告 は、貸出 ・預金創造 システムはその展 開の うちに自身に対する信認の基礎

を脆 くする、この点か らこのシステムは本来的に信認不安定性 を内含するといえ るのでないか、そ してこのことか ら、このシステムの信認 を外部か ら支える諸方 策、例 えば預金保護は必然 となる、 ドイツではこの手当てが万全だ、 という趣 旨 であった。 ご指摘のように、この預金保護 とモラルハザー ドは トレー ドオフの関 係 にある。そ して ドイツでは、この ことを認めつつ、預金保護の方によりセ ンシ ティブな対応 を取 っているようだ、 というのである。私 自身 もこうい う対応の方 が適切 と思 う。モラルハザー ドに対 しては、 もう少 し行政的な監視や措置 を講 じ ればよい と思 うO より恐れるべ きことが、銀行 とい う信認のシステムが内含 して いる本質的脆 さだと思 う。

≪ コメン ト(参≫

紺井 博則 ( 国華院大学)

大矢氏の今 日のご報告は、 ドイツ型のユニバーサルバ ンクの構成要素の うち、商 業銀行機能、ない しは 「 信用創造 システム」にもっぱら焦点 をあて、 しか も銀行 と 産業 とを結合 させている様 々な手段の「 背後」にあって、 これ らを成立 させている

「システム」その ものを抽出 したい とい うのがね らいであった と思 う。本来であれ

(14)

ドイツ金融 システムの

1特徴

7 9 ば ドイツ型のユニバーサルバ ンクを成立 させている もう一つの要素、すなわち大矢 氏の言 う 「 証券信用システム」の今 日的展 開について もお聞 きしたい ところである が、本 日の報告 に沿って以下の諸点 を質問 させて頂 きたい。

まず第 1に、本 日の報告では 「 信認」への不安の根拠 として貸出 ・預金創造 ( 伝 用創造)の拡張 を位置づけてお られる。 しか し、原理的な商業銀行の信用創造の問 題 を金融 システムの不安定性の根拠 と直結 させていることに問題 はないであろ う か。社会的再生産の進行、景気変動 といったマクロ経済的条件が介在するのではな いのか。また個別的な銀行経営の収益力などの不安 に基づ く 「 信認」の問題次元 と、

金融 システム全体の 「 信認」の問題は区別すべ きではなかろうかQ ちなみに、我が 国の銀行 システムの収益性 ・安定性 と、ヨーロッパのそれ とを比べると、前者が個 別銀行 ごとの性差が少 ないためにシステム全体へめ リス クを抱 えているのに対 し て、後者の場合は個別銀行毎のこの点でのバ ラツキが大 きいことがシステム全体の リスクを分散 させているという指摘 もある。 この点 も踏 まえてお答 え頂ければ幸い である。

第 2 に、「 信認支持」の方策 と して、 ドイツの預金保護の実情 について詳 しく紹 介 された点は大いに参考 になった。 とくに、 ドイツの場合、個人の預金保護 につい て実に手厚い対応が準備 されているのに驚いた とい うのが率直 な感想であ り、かか る政策の思想的バ ックボー ンの所在 にも興味がある。 さて、我が国では、商業銀行 業務 と投資銀行 ・証券業務が分離 されて きたこともあって、預金者保護 と投資家保 護の根拠 をかな り厳密 に区別 して きた と考 えられる ( アメリカのグラスス ・ティー ガル法 も同様 と思われる)が、ユニバーサルバ ンキング、ない し兼営銀行 システム を探 って きた ドイツの場合、その二つの保護の両立はどの ように考えられて きたの か。ご教示願いたい。

・最後 に、報告の最後で、商業銀行の信用創造の 「 不安定性」が システムその もの の否定論 と結びつ く例 としていわゆる 「ナローバ ンク」の存在 に言及 されていたよ うに聞いたが、報告者 もその ような議論の方向性 を是 とされているのか どうかお伺 い したい。

≪紺井博則氏のコメン トへのl引答≫

1.金融 システムの不安定性 にはマクロ経済的条件が介在するのではないか という

ご指摘 は、その とお りだ と思 う。信用創造 によって膨 らんだ預金の引出 しに対 し

てす ぐに応 じうるのは、社会的にはベースマネーの量であ り、 ここにすでに不安

定性が艦胎すると考 えられるが、預金 と同時に増大 した銀行資産の質が「 優良」で

あれば、中央銀行が これに対 して流動性 を供給 しうる。この場合は、不安定性は

(15)

8 0

除去 されることになる。 しか し、銀行資産全体が 「 優良」であるわけでな く、 し か もその部分 をさらに劣化 させ る要因 として、社会的再生産や景気の悪化 という ことが挙 げられる。個別銀行 ごとの性差 とシステム全体への リスクということの 関係 については、 今後, そういう観点か らも日独 を比較 したいと考 える。

2.1 9 98 年の「 預金保障及び投資家補償法」による法的保護は、預金者お よび投資家 の債権 を覆 うものである。ただ しこれは、預金 ・債権の 90% (2 万ユーロまで) とい う狭い範囲の ものである。 これ とは別途 に存在す る ドイツ固有の「自発的保 護スキーム」は預金取扱金融機 関だけの ものであ り、 この機関に対する預金 ・債 権 は事実上無制限に保護 される。しか もこの場合の、保護 される預金 ・債権 とは、

銀行の B/ S の「 対顧客負債」で示 される項 目であ り、各種預金 と登録銀行貯蓄証券 だけということになっている。 また、預金 を取 り扱 わない純粋 な「 証券会社」に対 する投資家債権の保護は、上記の法的スキームによるだけである。 ここには自発 的保護スキームは存在 しないD以上の点か らすると、 ドイツで も、やは り預金者 保護 と投資家保護の間には大 きな差異が存在するといえる。

3. 今後の金融 システムのあ り方 と関わってナローバ ンクをポシテ ィフ' にみている のか とい う点については、 まだ結論 をもっていないO報告では、ナローバ ンクは 信認不安 ・信用創造否定 とい う文脈のなかに位置づ くと指摘 したかった。ただ、

最近の、銀行会計 ・財務 に透明性 を求める見識の高 まりや、そ して預金通貨の創 造 とい うことの公共性 に鑑みれば、ナローバ ンク論は銀行のあ り方に関わる議論

として今後 も検討 され続けると思われる。

≪質疑応答≫

深町 郁禰 ( 九州大学)

信認の希薄化 と信用創造 との関係 は ? 貸出 ・預金創造 システムは、預金者の信 認 を前提 として成 り立 っていたO「この信認 は、このシステムが効率的に働 く ( 貨 幣乗数が高い) とともに、 また外延的に拡大する ( 国境 を超 えて展開する) ととも に、脆 く不安定 な性格 を帯 びてこざるをえない とい うことであった。 」そこで、① 信用創造が拡大することによって、社会における信認は希薄化する、 というように 一義的にとらえてよろ しいですか。( 参この信用の希薄化論の展開は、 ドイツにおけ る「 預金保護」 ( 法的保護、 自発的保護) との間にどういう関係があるのですか。

[ 答]

( 丑「 岩見氏の コメン トへの回答 1 」及び「 紺井氏の コメン トへの回答 1 」をご参照下

さいQなお、 信認の不安定化 については、 結局は預金 とともに膨 らんだ銀行資産の質

(16)

ドイツ金融 システムの 1特徴 81 がポイン トだと考えるが、しか し一般 に、この質は当初か ら不十分 さを免れず、ここ にやは り信認の基礎の希薄化が窺えるとい うのである。⑦信認の基礎の希薄化が避 け られないものだとすると,信認 を外部か ら支えようとする諸方策が必然的となる。

その 1つが預金保護であると考える。 ドイツの預金保護 (自発的保護)の質的強化 は、ヘルシュタッ トの破綻 を契機 に した。 この事件の とき、 ドイツ銀行家協会は基 金 を作 って預金者 を完全 に保護 した。その延長上 に現在の手厚い保護スキームがあ るといえる。

藤田 誠一 ( 神戸大学)

( D貨幣乗数の高 さが不安定性 を高めるとされ、 日本 と ドイツの貨幣乗数を示 されま した. しか し、貨幣乗数は銀行の貸出態度 と民間の預金への信認 ( 現金 ・預金比 率)によって決 まってお り、 日本は預金 に対する信認が低 く、 また銀行の貸出の 停滞 を示す もの と考えるべ きではないで しょうか。

( 参信認の内容 について、信認 ( 民間による、あるいはシステム全体 としての)はあ くまで も銀行 による貸出債権の健全化 ( r e a 一b i 一 ldo c t r i n e )と事前的なプルーデ ン ス政策に依存するもので、貨幣乗数が高いこと ( システムの効率化)が信認の基 礎 を希薄化 してい くととらえるべ きではないのではないで しょうか。 このような 考 え方 を推 し進めれば、配布資料の最後 に紹介されているようなナローバ ンクに

ならざるを得 ない と思いますが。

( 参上記の点について、ドイツのユニバーサルバ ンクに固有な特徴 とは何で しょうか。

[ 答]

( ∋貨幣乗数 と日本の現状 についてはご指摘の とお りだ と思 うQただ、準備率、現

金 ・預金比率、銀行の貸出態度 によって決定 される貨幣乗数は、結果的に信用創造

の程度 を示 し、この程度が強ければ、そこにすでに信認の基礎の希薄化が肱胎 して

いるのでないか とい うのである。②信認 は貸出債権の健全 さと事前的プルーデンス

政策 に依存するという点については、全 く異論がない。 ドイツの銀行資産の質 を追

お うとしたのはその ような趣 旨か らである。 ナローバ ンクに対する私 自身の見方 に

ついては、紺井氏のコメン ト ( 第 3 の点)に対する回答 をご参照いただ きたい。③

貸出債権の質については、中央銀行の流動性供給対象資産/ 資産総額 を取 ってみる

と、 ドイツの方が 日本 よりやや劣 る。 このことが ドイツ .ユニバーサルバ ンクに固

有 な特徴 なのか どうかは、もっと多面的な検討が必要 と考 える。今後の課題 とさせ

ていただ きたい。 また、事前的プルーデ ンス政策 と しての、銀行経営のあ り方や銀

行監督 について分析することも、今後の課題 と したい。今 日の報告では、 ドイツに

おいては銀行 システムへの信認 にたいへ んセ ンシテ ィブであ り、信認支持の方策が

手厚 く、 ここに 1つの特徴が見出されるとい うことであった。

(17)

8 2

小野 英祐 ( 国士舘大学)

レジュメ8 ページの下か ら 5 行 目以降に「しか しこの場合で も預金払い出 し請求 が一挙大量化す るときは中央銀行 も現実 にはこれに対応で きない」とあ りますが、

なぜ対応で きないのか、ご説明 くださいO [ 苔]

基本的な趣 旨は、信用創造 によって膨張 した預金 と対 をな して増大 した銀行資産 が「 優良資産」ならば、中央銀行 は事後的にこれに対 して流動性 を供給 し、 したがっ て創造 された預金の払い出 しに銀行は応 じうるとい うことであ り、この ような場合, 理屈 と しては何 の問題 も生 じないことになるC ご指摘の叙述 は、「しか し現実的に は対応 は困難であろう」とい うほどの意味であ り、文脈か らすればやや適切 さを欠

く叙述であったD

吉田 暁 ( 武蔵大学)

信用創造 を効率的 ・外延的に展 開すると「自ら‑の信認の基礎 を弱める」とい うご 指摘 は面白いと思いますが,問題 は貸出の内容であって、単純 に貨幣乗数が高 まっ た とか、外国比率が高いか らといって、信認の基礎の弱体化 とはいえないのではな いか。

とくに外延的拡張は信認 されているか らこそ可能なのではないで し⊥うか (もち ろん信認が揺 らいだ場合、海外か らの取付の危険のあることを否定するものではあ

りません) 0 [ 苔]

ご指摘の とお りだ と思 うD「 報告要旨」では簡単 に しか触れていなかったので、今 日の報告では、 ドイツの銀行の「 貸出の内容」、銀行資産の質を問題に しようとした。

外延的拡張 について も、ご指摘の ように、信認 されているか ら可能だと思 う。 しか し、それは同時に信認不安定化 を内含するという認識である。

斉藤 正 ( 駒沢大学)

本 日のテーマは、グロ

バ リゼー シ ョンの進展下における EU ない しドイツ金融 システムの「 有効性」、ウォール街に対する「 対抗力」を問 う点 にあると受け とめたの ですが、第 1、第 2 報告 においてその点への言及がなかったことを残念に思います。

そこで、深町先生の開会挨拶 にもあったように、「 痛んでいる」ドイツ銀行 システム

の現状 をどの ようにとらえ、そこか ら我 々が 日本の金融 システム再生の方向をどう

展望すべ きなのかについて、ご意見 を伺いたい と思います。その際 、Ne u e rMa r k t の

閉鎖が及ぼす影響 には多大の ものがあると思いますが、その点 にも関税 していただ

ければ幸いです。

(18)

ドイツ金融 システムの 1特徴

8 3 [ 答]

日本の金融 システム再生の方向に?いて、今 日の報告 に関連 して

1

つだけ言 うと、

預金保護 は ドイツの ように十分行 ったほ うが よい と思 っている。信認 の支 えは不可 欠だ と考 えるか らであるO これ と トレー ドオフの関係 にある銀行 のモ ラルハザー ド については、行政的に もっと対応 で きるのでないか と思 う。 また ドイツでは、手厚 い預金保護が銀行の 自発 的スキームによって担 われる とい う点 は、銀行の 自律性 と い う点か らわが国で も参考 となるのでないか

CNe u e rMa r k t

閉鎖 の影響 については、

今答 えられるような材料 をもっていないので、 ドイツの資本市場全体や中小企業金 融の現状分析 を含めて、今後の課題 とさせていただ きたい.

深町 細浦 ( 九州大学)

答 はい らないのだが、感 じたこ とを少 し申 し上 げたい。金融論 的 に担保 の話 をす ると、割引、商品担保 、長期 的貸付の場合の不動産担保 とい うように分類 され、最後 に 担保 な しの貸付が出て くる。そ こで、疑問なのは、どうして報告者の ような問題が出 て くるか とい うことであ る。長期 固定資本の ファイナ ンスは、もともと流動性 が悪 い。それ をどの ように して流動化 してゆ くか という問題があ り、その先 には固定資 本担保 で保険 をかける とい うシステム となる。問題 を整理 してお くと、担保 とい う 形態は現在では議論 しな くともよ くなっているのか どうか、とい うこと。 また、預金 保険や 自己資本 問題 は、米では最初か ら出て きているが、日欧での制度化 は第

2

次大 戦後であ り、この辺 りについて もう少 し知 りたか った、とい うことD最後 に,銀行資 産 の質 について問題 は発生 しないのか とい うこ と、これを どの ように考 えた らよい のか とい うことである。

参照

関連したドキュメント

「聞こえません」は 聞こえない という意味で,問題状況が否定的に述べら れる。ところが,その状況の解決への試みは,当該の表現では提示されてい ない。ドイツ語の対応表現

うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、

喫煙者のなかには,喫煙の有害性を熟知してい

なぜ、窓口担当者はこのような対応をしたのかというと、実は「正確な取

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

外貨の買付を伴うこの預金への預入れまたは外貨の売却を伴うこの預金の払戻し(以下「外

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

「欲求とはけっしてある特定のモノへの欲求で はなくて、差異への欲求(社会的な意味への 欲望)であることを認めるなら、完全な満足な どというものは存在しない