π 獅 究
劒 橋 数 量 方 程 式 に 就 て
序言 大野純一
貨幣歎量読はその論構の形式から見て取引数量詮↓轟霧碧けざ巳◎賃§窪団目ヶ8還と現金残高数量読O器ず
ω巴彗8吻O§鼠蔓日.ず8量とに分けることが出來る︒前者は一定期聞に於ける通貨の流れから獲足し︑後者は
わ一時瓢に於ける肚會の現金残高から出嚢するのである︒概して貨幣数量読はその読明の用具として方程式を利
用するが故に︑取引数量読のそれを交換方程式暮爵穂凶9鼠図×9彗σq︒と稽し︑現金残高激量設のそれを現金
わ残高方程式O器7閑巴碧8忌ロ舞ご旨と言ふ︒
劒橋歎量方程式に就て臼O一
1)W.H・Steiner,MoneyandBanking,1933,P・797.
2)E.M.Bemstein,MoneyandtheE◎onomicSystem,rg35,P.236.
一〇二
取引数量設乃至交換方程式は︒︒.Z睾8ヨげ"H.国聾窪等主として米國の學者によつて築き上げられたのであ
るが︑現金痩高数量読乃至現金残高方程式の稜展に貢獄をなしたものは﹀.竃舞︒︒冨戸︾●O.国磯︒〜鱒冨●
国昌昌窃等主に英國創橋派の諸學者なるがために︑現金残高方程式を劒橋数量方程式O僧日げ同乙σq︒O轟葺蔓要〒
の簿ご昌とも言ふo
之等爾読のうち從來は取引数量読乃至交換方程式の方が廣く一般に普及し︑人々は貨幣徴量論の名の下に直
ちに之を想起するのが常であつた︒之に反して︑現金淺高数量読乃至創橋数量方程式は英國以外の學界に於て
顧みられることが甚だ稀であつた︒それは︑例へば︑專ら貨幣数量論の研究に捧げられた国9︒ユ囚貯日鞍戦の著
の書に於てすらこの読については何等燭れるところがなかつたといふことからも窺ふことが出來るのである︒
然るに︑近時現金淺高敏量読は急激に學界の注意を喚起し各國にその信奉者を見出すに至つた︒現在︑﹃猫逸
の文献に於ては優れた唯だ三入の著者のみがHH三農周凶昏窪の軌道を辿るに過ぎぬといふ事實によつて︑大陸
のでは現金淺高或は時灘分析が優勢であるといふことが明かである︒﹄叉取引数量読の膝元たる米國に於てすら
漸く現金淺高数量読は即諺・頃鎚窪o巳層ピ・U・国集︒鳩い∪●]≦茜$等多くの支持者を得るに至つたのである︒
それでは何故現金残高歎量読は俄かに學界の注目の的となつて來たか︒どこに劒橋数量方程式の特長がある
のか︒以下之等の問題に答へ︑併せて今後に於ける劒橋激量方程式の行方をも考察して見やう︒
それには先づ現金淺高数量読の論構を明かにしなければならぬ︒
3) 4) 5)
」.M.Keynes,ATreaUseonMoney,Vol.1,1930,p.229.
KKirmaier,DieQuantit義tsthorie,Ig22・.
H.S.Ellis,GenllanMonetaryTheoり1,Igo5‑1933,1934,P・125・
嘲︑現金残金薮量読の論構
現金淺高藪量論の理論的基石をなすものは﹃肚會の人々が通貨の形態に於て保持せんとするところの一定量
の霊鑑同窃︒自︒8﹄である︒この読によれば︑肚會の人々はその時々の経濟事情を考慮して彼等の富乃至所得
を一定の割合で二つの形態に分つて保持せんとするのである︒一部は之を浩費乃至投資の形態に於て保持せん
とし︑他の一部は之を器巴器︒︒︒ロ旨窃の支配力として︑換言すれば︑即時の購買力儲巴繁竃旨冨ω言αqロ︒≦窪と
して保持せんとするのである︒この鮎に於て竃粒掃げ龍は次ぎの様に読く︒
﹃枇會の汎ゆる歌態に於て︑人々がその所得の申︑通貨の形態に於て保持するを可とする若干の部分があ
る︒それは五分の一のことも︑十分の一のことも︑或は二十分の一のこともある︒通貨の形態に於ける資源
に就ての多くの支配権は︑彼等の菅業を容易且つ圓滑ならしめ︑取引上に於て彼等に利便を與へる︒併し他
方に於てそれは︑若し例へば︑特製の什器に投資されるならば︑滞足の所得を︑或は特別の機械叉は家畜に
わ投資されるならば︑貨幣所得を齎らすべき資源を不生産的な形態に於て留置する︒﹄入々は﹃一贋多くの即時
の支配樫を有する便宜と︑彼に何等の直接の所得も叉は他の便釜も齎らさない形態に一居多くの資源を置く
恥ととの不便とを相互に差引いた後﹄適當な割合を決定する︒
されば︑人々の富乃至所得の申如何なる割合が通貨の形態に於て保持せらる玉やは︑結局漕費乃至投資によ
劔橋数量方程式に就て一〇三
1)A.Marshall,Money,CreditandCommerce,Ig23,P.45・
2)A.Marshall,Money,CreditandCommerce,p.44.
一〇四
つて生する限界利用と通貨の形態に於て資源を保持することから生する限界利用とによつて︑それらが均等に
なるところに決定せられるのである︒併しその絶封的な大さを規定するものは︑この派の論者によれば︑或は
杜會の富であり︑或はその所得である︒
何れにせよ︑一旦肚會の人々が通貨の形態に於て保持せんとする器巴器︒・o霞8¢の大さが決まるならば︑彼
等によれば︑そこから容易に貨幣輩位の債値は捉へることが出來る︒即ち︑それはこの大さを通貨総量で割つ
た商に該當するのである︑何となれば︑杜會に於ける通貨絡量が如何程であるにもせよ︑その総量の債値は常
に人々が通貨の形態で保持せんとする器巴N︒︒︒o巽︒8の債値に等しいからである︒竃舞昏m口は曰く︑
﹃一國の佳民は之を全髄として見れば(又從つて地位及び職業の凡ての種類を含めて)彼等の年々の所得の
十分の一と彼等の財産の五十分の一とを合した程度まで︑即時の購買力を平均して彼等の手許に保持する
を可とすると想像しやう︒然るときは︑その國の通貨の全禮の債値はこれらの額の合計に等しくなる傾向
があるであらう︒假りに彼等の所得の債値の合計が(平年に於て)小萎五百高クオークーであり︑その財産
'の債値の合計が小萎二千五百萬クオーターであるとする︒然るときは︑通貨の総債値は小萎百萬クオーター
となるであらう⁝⁝︒か︑る場合に若しも通貨が百萬翠位存在するならば一翠位は一クオーターであるであ
のらう︒﹄
の竃碧珍龍のこの思想は国σq︒口によつて承縫せられ方程式化せられるに至つた︒
3)A.Marshal1,Mbney,CreditandCommerce,PP。44‑45・
4)Pigou以 前 に=の 思 想 心 方 程 式 化 し7誌 のt:Walrasカ;あ ろ 。 之i=就 て に
手 塚 壽 耶 氏 「貨 幣 数 量 説 史 上 のy〃 ラ ス 」(本 誌 第 十 雀 中 冊)謬 照 。
﹃各人は生活の日常取引を面倒なく行ふと共に︑突然の必要によつて生する⁝⁝豫期せざる要求に封する不
安を除き得る爲めに︑彼の資源を法貨に封する要求櫨の形態に於て充分に保持せんと努める︒便宜と安全の
備へといふこれ等二つの目的のために︑一般に人々は⁝⁝法貨に樹する要求構の形態に於て一定量の小変の
全債値を保持せんことを選ぶ︒⁝⁝かくして何れの瞬闇に於ても法貨に封する要求権の決定的な需要表が構
成される︒Rを(銀行以外の)肚會の享用する︑小萎を以て表示された全資源であるとし︑⁝⁝kを之等の
資源の中法貨に封する要求模の形態に於て保有すべく選ばれる割合であるとし︑Mを法貨の翠位に樹する要
求樺の数とし︑Pを小変を以て表はされた之等の要求椹の輩位當りの債値叉は便格であるとせよ︒然らば︑
上述の需要表は
犀因男Hl冨ー
めなる方程式を以て表示される︒﹄
右の方程式に於ては銀行預金の存在が假りに無硯されてゐるのであるが︑それを考慮に入れるならば方程式
は次の檬に損大せられる︒即ち
7鵡{・圭〒・)冨は寄﹄㍗{・+7(〒・)}
こ︑でcは人々が保有する通貨の中法貨の占める割合を表はし︑hは銀行家の保有する預金に封する法貨の
の割合を意味するのである︒
創橋数量方程式に就て一〇五
5)A.C.Pigou,̀̀TheExchangeValueofLega1・TenderMoney,,iǹ̀Essays
inApPliedEconomics,,,1923,PP.i75・ 一一176.
6)Pigou,EssaysinApPliedEconomics,P・179・
一〇六
之が即ち創橋敏量方程式であつて︑国αq2こそ現金唆高数量読を方程式化した劒橋學派の最初の人である︒
その後︑囚6旨8も亦蕾著の中で右と同様の方程式を考案した︒それは
昌甜℃(貯十同尺)
といふのであつて︑nは肚會の貨幣総量を︑Pは消費翠位の便格を︑kヒはそれぞれ肚會の人々が貨幣叉は預
金通貨の形態で保持せんとする消費翠位の数を︑そしてrは銀行の預金に封する貨幣準備の割合を表はすので
笥ある︒
丙︒旨$のこの方程式はビグーのそれと全く同一である︒ビグーの式︑
寓ー‑犀脳{・圭H←甲
は攻ぎの如くに書き改めることが出來る︒
竃"犀丙×︒+げ×勇(Hlo)娼
然るに︑"男×︒はケインズのkに︑"男(μー︒)はケインズのヒに︑そしてhはケインズのrに當るが故に︑上
式は
〒誰.反
となる︒更にMはケインズのnに相當し︑Pはケインズの■Pに當るが故に︑結局ビグーの式は昌ー1娼(吋十H尺)
であつて爾者は全く同一なることを知るのである︒
7)Keynes,ATractonMonetaryReform,lg24,p.77.
の然るに︑閑︒げ巽窃自がその著言8曙の第二版に展開したところの方程式は今迄述べ來つたものとは梢々趣
を異にする︒マーシヤルを始めビグー並にケインズは共に︑人々が一定量の資源を通貨の形態に於て保持せん
とするのは二つの目的からであつて︑その一は取引上の利便を得る爲めであり︑他は所得の消費を即時の購買
力として保留せんが爲めであるといふことを知つてゐる︒併し︑彼等はこの事實を方程式の中には表現しな
かつた︒人々が通貨の形態で保有ぜんとする二種類の器巴誘8舞︒8を軍一なものとして取扱つたのである︒
然るに︑ロバァートソンは方程式の上でも二種の即時の購買力を匝分して︑その各々に就て各別の方程式を建
てるのである︒即ち︑彼によれば︑人々は國民所得の或割合と實物取引の或割合とを合したものを通貨の形態
に於て保持せんとするのであるが︑前者に基づいて所得物債水準島︒貯8B︒冒冨奪匹が︑後者に基づいて
取引物債水準昏⑦窪櫛蕊聾ごロ唱ユ8一︒く巴が決定せられると見るのである︒從つて︑彼はその各々に異なる二
種の方程式を建てるのである︒
彼の所得物債水準の方程式は亥の如くである︒
℃ー隠﹁内閃
こ玉で︑Pは所得物債水準を︑Mは通貨の存在量を︑Rは年々の實物國民所得を︑Kは通貨の形態に於て保
持せんとする實物國民所得の割合をそれぞれ表はすのである︒
叉その取引物債水準に關する方程式は次の如くである︒
橋鍛量方程式に就て一〇七
8)D,H.Robertson,Money,Isted.Ig22,2nded.Ig29.今 こ 」 に 第 二 版 の
持 合ttp:な い の で 以 下 君emsteinの 解ati:從 つ て 論 を 進 あ て 行 か うo
(Bernstein,Money.p.231以 下 謬 照)
一〇八竃男︑‑ー困︑↓
Pは取引物償水準を︑Mは通貨の存在量を︑Tは年々の取引の實物激量を,Kは人々が通貨の形態に於て保
持せんとする實物取引の割合を意味する︒
ロバァートソンがピグー並にケインズのそれとは異なる二種の方程式を建てたことには重大な意義がある︒
が︑それについては後に燭れるであらう︒
扱て︑それでは現金淺高数量読は之等の方程式を利用して如何なる主張をなさんとするのか︒方程式そのも
のは各要素間の因果關係に就ては全く中立的である︒されば例へば︑貨幣数量読の極端なる反封論者たる囚・
の言碧xですら︑後に述べるであらう様なフィツシャーのそれと根本に於ては同様な方程式
曹 懸 翼 蕪 霰 照 藷 籔 澤 貫 塞 装 擁 書 陣
の成立することは認めるのである︒故に︑通貨とその債値との關係を明かにする爲めには︑現金淺高数量読は
方程式そのものを以ては満足することが出來ないのであつて︑更に突込んでその背後にひそむ諸要素聞の關係
を明かにしなければならぬ︒
この鮎に關し︑創橋學者は何れも︑ブイツシャーの様に︑通貨の歎量とその債値との間に極端な一方的比例
的因果關係を主張するものではない︒
例へばピグーは言ふ︑