野 口 晃 弘 二 村 雅 子
In,Japan.therearenotsma一lnumberofcaseswhelleStockoptionsar・egrantedtocompanyaudi‑ tors.Asforaccollntingauditors,theyareprohibitedtoholdsharesoftheClient,orreceiveacoll‑ tirlgentfee.Butforcompanyauditors,t,heyarenotprohibitedtoreceivestock options.Ⅰnthis paper.indeperldenceofcompany auditorsandthememberofauditcommitteeal、el、eViewed,and then,theeffectofgrarltlngStockclptionstoi,hem wi一lbediscusse(1,
Ⅰ
.は じめに
わが国では, ス トック ・オ プションの付与 対象者 に,監査役 の含 まれている事例が少な くない。 しか し,監査役 の業務 に会計監査が 含 まれていることを考慮すれば,違和感 を覚 え ることは否 めない。
監査基準 で は
,「監査 人 は,監査 を行 うに 当た って,常 に公正不偏の態度 を保持 し,独 立 の立場 を損 なう利害 や独立 の立場 に疑 いを 招 く外観 を有 してはな らない。 」 ( 監査基準第 二 一般 基準
2)と指示 してお り, 重要 な 利害関係を有す る公認会計士 ( 監査法人)が 監査 を担当す ることは禁止 されている。公認 会計士法
24条 によれば, 「公認会計士が著 し い利害関係 を有す る会社」 に対す る監査が禁 止 されてお り,著 しい利害関係の一つ として, 公認会計士法施行令
7条
4号 に 「公認会計士 又 はその配偶者 が,被監査会社等 の株主, 也 資者,債権者又 は債務者 である場合 。 」 が規 定 されて いる。 会社法
337条 で も,会計監査
人 の欠格事 由として,公認会計士法の規定 に よ り,計算書類 について監査 をす ることがで きない者が規定 されてお り,会計監査人 に株 式や新株 予約権 を付与す ることはできない。
このように会計監査を担当す る会計監査人に, ス トック ・オ プシ ョンを付与す ることは考え られない。
本稿では,監査役 に対す るス トック ・オ プ ションの付与 について,監査役の独立性 とい う観点か らの分析を行 うとともに,会計情報 の質 に対す る影響の可能性 について論 じる。
Ⅱ. 監 査人 の独 立性
監査人 の独立性 につ いては, アメ リカ会計 士協会が
1947年 に公表 した監査基準 において, 一般基準の
2に精神的独立性
(anindepend‑ encein mentalattitude)を求 め る規定 が 設 け られていた。 それ以前 も,監査人 の独立 性 に関連す るさまざまな具体的な規定が,読 け られていた。 た とえば, アメ リカ会計士協
*本稿 には,特別研究期 間 ( 野 I J晃弘
・2010年
10月
〜2011年
3月) 及び第
27回 目束学術振興財 団海外派遣助成 ( 野 口晃弘 ・平成
22年度) による研究成果が含 まれている。
‑ ユo§‑
経済科学第
59巻第
4号
(2012年)
会 の
1919年 にお ける職業倫理規則
(Rulesof ProfessionalConduct)で は, 成 功 報 酬 に
よる契約 を禁止す る規定 が ( l l ) に設 け られて い る
。1940
年版 の職業倫理規則
(13)を見 る と
,1939年 9月以降,会計士協会の会員が会社の役員 ・ 取締役 。株主 。代理店 とな ることを禁止 す る 規定 が設 け られて いた。 そ して
1941年
10月 に は, 相 当 な経 済 的利害
(substantial finan‑cialinterest)
を有す る場 合 に財務諸 表 に対 す る意見表 明 を行 うことを禁止 す る規 定 に改 訂 されて い る。
1950
年 に設定 されたわが国の監査基準 は, 上記 の ア メ リカ会計士 協会 の監査基準 に準 じ て規定 されて い るが, よ り詳 し く内容 を示 し て い る部分 もあれ ば,配置上多少 ずれ て い る ところ もあ る ( 岩 臥
1950b,67頁)。 監 査一 般基準 の‑・ の後段 に 「当該企業 に対 して特別 の利害 関係 のな い者 によ って行 われ な けれ ば な らな い。 」 とい う文言 が加 え られ て お り, 二 も 「精神 的態度 にお ける独立性」 の代わ り に 「公正不偏 の態度」 とい う表現 が用 い られ て い る。 これ は,抽象 的な表現 を避 け,他 の 法 令 にお け る用語 との関係 を考 慮 したた め と 解説 されてい る ( 佐藤
,1950b,8貢) 0
監査人 の独立 性 は,精神 的独立性 と外観 的 独
\封生 ( 外見 的独立性) か ら構成 され る (日 本監査研 究学会
,1993,39頁
)。Wilcox(1952,
pp.8‑ll)は, 経 営者 か ら独立 した立 場 に あ
る会計士 が財務諸表 に対 して意 見 を表 明す る こ とによ って,経 営者 が作 成 した財務諸表 に 信頼性 が付 与 され るので,独立 性 は本質 的な 監査基準 であ ると述 べて い る。 この よ うに精 神 的独立性 が監査 の根本 であ ることは 自明で あ り, ア メ リカで公認会計士制度 が創設 され た
19世紀末 頃 まで に, 独立性 は会計士 の間で
共通 して認識 され るよ うにな って いた と考 え られ る
(Broad,1945,p.279)。 た とえ ば,
Webster(1944a,p.372;1944b,p.706)には,
1900年 に
ThePublicAccountanlに掲 載 さ れ た
MonLgomeryの 「会 計 士 とは, クライ ア ン トや利害 関係 者の圧力 に屈 して,意 見を 変 え る ことの な い人 々で あ る 。 」 とい う独立 性 に関連 した記述 が引用 されて い る
(Broad,
1945,p.279)0Blough (1960,p.60)
は, 監査 人 に独立 性 が欠 けて い る とい う印象 を与 え るだ けで, 監 査人 と しての役割 を果 たす ことがで きな くな るので,精神 的独二 劉 生だ けで はな く,外観 的 独立性 も確保 さな けれ ばな らない ことにつ い て指摘 して い る。 独立性 が保 たれて いな い と 監査報告書 の読者 に信頼 して もらえなければ, 精 神 的 独 立 性 は 価 値 を 持 た な い の で あ る
(Mautz& Sharar,1961,p.204)
。 この よ う に監査人 の独立性 につ いて は,監査人 自身 の 心 の状態 で あ る精神 的独立性 と,監査済会計 情報 を利用す る立場 にあ る外部者 か ら見 た外 見上 の独立性 とい う二つ の次元 が あ り, 監査 が有効 に機能 す る上 で は,両者 と も欠 くこと は で き な い (鳥 羽
・川 北
,2001,60‑61頁 ; AAA
,1973,p.17)O た だ, 前者 が心 の状 態
とい う監査人 の内的な もので あ るため,後者 を保 つための規定 が,法令 あ るいは倫理規定 に設 け られて いるので あ る。
前 に述べ た よ うに公認会計士法 によ り,被 監査会社 の株主 や債権者 が監査証 明業務 に携 わ る こ とはで きな い。 金融商 品取 引法
193条 の
2で も
,「特 別 の利害 関係 のな い公認 会計 士又 は監査法人 の監査証 明を受 けな ければな らな い 。 」 と規 定 され て い る
。 SECの規 則 (§
210.2‑01 ) で も, 被監 査 会社 の株 式 , 礼 債, オ プ シ ョンその他 の証券投資 を行 ってい
‑106‑
る場合,監査人 は独立 ではないと規定 してい る。 かつては少額 の株式であれば保有す る余 地が残 されていたが,現在では,直接保有す
ることはできな くな っている
。Ⅲ. 監査役 と独立 性
会社法が大規模公開会社 だけではな く,法 人 な りした個人企業 を含む小規模閉鎖会社 も 対象 と していることか ら,多様 な機関構造が 認 め られてお り,監査役及 び監査役会の設置 について も, さまざまな選択肢が考え られる。
本稿 では,会計監査人 が設置 されている大規 模公開会社 における監査役 を念頭 に議論 を進 めることにす る。
監査役会設置会社の監査役の職務 について 会社法
381条で は,取締役 ( 会計参与設 置会 社 にあっては,取締役及 び会計参与) の職務 の執行 を監査す ることにあると規定 されてい る。 したが って,業務監査 と会計監査 の両方 が含 まれ ることにな るが,会計監査 について は,第 1 次的に会計監査人の職責であるため, 監査役 は第
2次的あるいは補完的な もの とさ れている ( 吉本
,2009,396頁)。会社計算規則 では,会計監査人 は監査役 に会計監査報告の 内容 を通知 す ることが規定 されてお り
(130条 1項), それ を受 けて,監査役 は会計監査 人 の監査 の方法又 は結果 を相 当でない と認 め た ときは,その 旨及 びその理 由を,監査役の 監査報告 に記載 す るよ うに規定 されて い る
(127
条 1項
2号)。監査役監査基準 で も, 会 計監査 については,会計監査人 の監査の方法 及 び結果の相 当性 について監査意見 を形成す ることと,会計監査人が独立の立場を保持 し, 職業的専門家 として適切 な監査 を実施 してい
るかを監視 し検証す ることが指示 されている
(27
条)。
監査役の業務監査 は,取締役会 による監督 とは異な り,原則 として適法性の監査 に限 ら れ るが,業務執行の不 当性が一定限度 を超え ると善管注意義務違反 として違法 になるため, 業務執行 の安当性 も視野 に入れ る必要がある ( 江東
,2011
,489貢)。
会計監査人 とは異 なるが,監査役 に も独立 性 は求め られてお り,監査役監査基準で も, 監査役の心構え として,独立の立場 の保持 に 努 めるとともに,常 に公正不偏 の態度 を保持 し, 自らの信念 に基づ き行動 しなければな ら ない と述べ られてい る (
3条)。会社法 にお いて も,商法の時代か ら監査役の独立性 に関 連 して, さまざまな規定が設 けられている。
まず, 自己監査 とい う事態を生 じさせない ため,監査役が取締役 ・会計参与 ・使用人 ま たは子会社の取締役 ・執行役 ・会計参与 ・使 用人を兼任す ることはできない
(333条
3項 ・
335
条
2項)。監査役会設置会社では,半数以 上 が社外監査役でな ければな らない
(335条
3項)。 ここで,社外監査役 とは,過去 に会 社 またはその子会社 の取締役 ・執行役 。会計 参与 ・使用人 とな った ことがない ものをい う
(2条
16号)。 自己監査 を防 ぐ取締役や支配人 との兼任禁止 規定 は, 既 に明治
32年 の商法
184
条
1項 に設 け られてお り, その後, 昭和
25
年
,49年,平成
14年 の改正 を経て,現在の 会社法の規定 に至 っている。一方,社外監査 役 に関す る規定 は比較的新 しく,商法特例法 平成
5年改正
18条 に,監査役 はその就任の前
5年間会社 またはその子会社 の取締役や使用 人でなか った者でなければな らないとい う規 定が設 け られた。平成
13年 に監査役の半数以 上 を,その就任前 に会社 またはその子会社 の 取締役や使用人 とな った ことがない者でなけ
‑107‑
経済科学第
59巻第
4号
(2012年)
ればな らない と改正され,平成
14年改正を経 て,会社法の規定 に引き継がれている
。会社法で監査役の任期 は,選任後 4 年以 内 に終了す る事業年度の うち最終の ものに関す る定時株主総会の終結の時 まで と規定 されて お り
(336条
1項),取締役 の原則
2年
(332条 1項),剰余金 の配 当等を取締役会権 限 と す る場合 の 1年
(459条 1項) よ りも長 く設 定 されてお り, それを定款や株主総会決議 に よって短縮す ることも認め られていない。監 査役 は株主総会で選任 され ( 会社法
329粂), その選任議案 には監査役 の過半数 の同意が必 要 とされてお り ( 会社法
343条 1項),取締役 だ けで監査役を決定す ることはできない。 さ らに,監査役 には,入選を行 った上 で,監査 役を選任す るための議案 を株主総会 に提 出す ることを,取締役 に請求す る権利が付与 され ている
(343条
2項)。 また,解任 につ いて も 株主総会の決議要件が,特別決議 とされてお り
(309条
2項
7号),取締役 よ りも地位が強 化 されている
。監査役の報酬等 は,定款 に規定 されていな い場合,株主総会の決議 によ って定 めなけれ ばな らない
(387条 1項)。監査役報酬議案 の 提 出権 は取締役 にあるが,監査役 には株主総 会 で意見を述べ る権利が与え られている
(387条
3項)。 これ らの規定 の趣 旨は,監査役 の 独立性 を保障す ることにあ る (田中
,2009,
427貢 ;江頭
,2011,500頁 ;稲葉
,1982,249貢) 0
会社法
(452条)制定前,監査役 に も利益 処分 による役員賞与が支払われていた当時, 監査役が利益 の配分にあずかることになれば, 会社が利益 をあげることが 自己の利益 に もな ることか ら,監査役 は特別利害関係 を有す る ことにな って,監査役たる資格 を欠 くことに
な るのではないか という業績連動型報酬 の問 題点が指摘 されていた ( 鈴木
,1981
,3頁)0 しか し,ベ ンチ ャー企業等 において人材を得 るためには必要 ( 江頭
,2011
,501頁), あ る いは監査役 の報酬形態 として何が適 切である かについての株主総会の判断を法が覆す必要 性 は一般的には兄いだ Lがたい (田中
,2009,
434貢) とい った理 由か ら,監査役 に対す る 不確定額報酬 ・業績連動型報酬 は現実 に存在
している
。平成 9 年改正商法で創設 されたス トック ・ オプシ ョン制度では,付与対象者 が取締役 ま たは使用人 に限定 されてお り ( 平成 9 年改正 商法
210条 ノ
2,280条 ノ
19),監査役 は含 ま れていなか った。平成
13年11 月の商法改正に よる新株予約権制度 の創設 に伴 って,そのよ うな制約 は外 されている ( 平成
13年11 月改正 商法
280条 ノ
20)。 ワラン ト債の ワラン トを利 用 したいわゆる擬似 ス トック ・オプシ ョンで あれば,付与対象 者が法的に制約 されてお ら ず,監査役 を含む事例が見 られた
(日経金融 新聞
1997年
1月
9日
3貢 ;日経産業新
聞1997年
9月
29日
31責 ;日経金融新聞
1999年
8月
10日
14貢) ので,実態 に法律の規定を合わせた 形 にな っている。 日本監査役協会の
「2007年 における監査役及 び監査委 員会制度 の運用実 態調査」結果報告書によれば,監査役にス トッ ク ・オ プシ ョンの支給制度が設 け られている 割合 は,上場企業で
6.7%であった。
Ⅳ.
監査 委 員 と独立性
モニタ リングモデルのための機関構造であ る委員会設置会社では,執行役が置かれ ( 会 社法
402条),会社の業務を執行す るとともに, 取締役会か ら委任を受 けた業務執行の決定 も
‑ 1 0 8‑
行 う ( 会社法
418条)。逆 に,取締役 は,法 令 に別段 の定 めがある場合を除き,業務を執行 す ることができない ( 会社法
415条) 。委員会 設置会社 の取締役会 は, 会社法
416条 1項及 び
4項各号 に規定 されている事項 を除 き,大 幅に業務執行の決定 を執行役 に委任す ること ができるので,取締役会 の機能 としては,執 行役 による業務執行 の監督 に重点が置かれ る
ことになる
。委員会設 置会社 には,指名委員会,監査委 員会及 び報酬委員会が置かれ る ( 会社法
2条
12号)。 監査委員会 は取締役 の中か ら取締役 会の決議 によって選定 された委員 3 人以上で 組織 され, その過半数 は社外取締役でなけれ ばな らない ( 会社法
400条
1項
‑ 3項)。 監査 委員会の委員 ( 監査委員) は,会社 もしくは その子会社の執行役 。業務執行取締役 ・会計 参与 ・使用人 を兼ね ることができない ( 会社 法
400条
4項)。 これは監査役の場合 と同様, 自己監査 の問題が生 じることを避 けるためで あ る ( 江頭
,2011
,524貢)。 なお,監査委員 会が設置 され るため, 会社法
(374条
4項) では,委員会設置会社 は監査役 を置いてほな
らないと規定 している
。監査委員 も取締役なので,株主総会で選任 されるが ( 会社法
329条),取締役会ではな く, 指名委員会で株主総会 に提出す る取締役の選 任 ・解任 に関す る議案 の内容 は決定 され る ( 会社法
404条
1項
・416条
4項
5号)。 なお, 委員会設置会社では取締役の任期が,原則規 定の
2年 よ り短 い 1年 とされているため ( 令 社法
332条),監査委員の任期 も監査役 と比較 して短 くな っている。監査役 と異 な り監査委 員 は取締役であるため,監査委員会 には,逮 法性監査権 限にとどま らず,妥当性監査権限 が肯定 されている ( 江頭
,2011
,526貢) 。
委員会設置会社では,取締役が受 ける報酬 等を,株主総会ではな く,報酬委員会が決定 す る ( 会社法
404条
3項)。 日本監査役協会の
「2007
年 における監査役及 び監査委員会制度 の運用実態調査」結果報告書 によれば,監査 委員 にス トック ・オプションの支給制度が設 け られてい る割合 は, 全休で
29.9%( 独立企 業で
35.9%)であ った。 この比率 は監査役 と 比較 して格段 に高 く,監査委員 に対す る業績 連動型報酬 あるいは成功報酬 の支給の是非 に 関 して,議論す る必要がある
。Ⅴ.
独 立役 員
平成
21年
12月 に東京証券取引所の上場規程 が改正 され,一般株主保護のため,独立役員 ( 一般株主 と利益相反が生 じるおそれのない 社外取締役 または社外監査役)を 1 名以上確 保 しな けれ ばな らな くな った( 東京証券取 引 所 ・有価証券上場規程
436条の
2) 。 そ して, 下記 ( 開示加重要件) に該当す る者 を独立役 員 として指定 した場合には,その理 由を説明 することが義務づけられた ( 東京証券取引所 ・ 有価証券上場規程施行規則
211 条
4項
(5い 226条
4項
(5)・436条の
2) 。
a
当該会社 の親会社又 は兄弟会社の業務執 行者等
b
当該会社を主要 な取引先 とす る者若 しく はその業務執行者等又 は当該会社 の主要な 取引先若 しくはその業務執行者等
C
当該会社か ら役員報酬以外 に多額 の金銭 その他の財産を得ているコンサルタ ン ト, 会計専門家又 は法律専門家 ( 当該財産を得 ている者が法人,組合等の団体である場合 は, 当該 団体 に所属す る者及 び当該団体 に
‑1川い 一 一
経済科学第
59巻第
4号
(2012年)
過去 に所属 していた者 をい う。) d 当該会社の主要株主
e
次の
(a)又 は ( b) に掲 げる者 ( 重要でない者 を除 く。)の近親者
( a) a か ら前
dまでに掲 げる者
( b) 当該会社又 はその子会社の業務執行者 等 ( 社外監査役を独立役員 として指定す る場合 にあっては,業務執行者 でない取 締役若 しくは業務執行者でない取締役で あった者又 は会計参与若 しくは会計参与 であった者 を含む。)
以上の東証 の独立役員 に関す るルールは, アメ リカの
17CFR240.10A‑3による監査委 員の独立性強化 に関す る動 きや, イギ リスの コーポ レ‑ 卜・ガバナ ンス規 程 B. 1 . 1. に示 さ れている内容 と同 じ方向にある。 ここで問題 とされているのは,一般株主 と利害が一致 し ない可能性 のある役員であ り, グループ企業 や主要 な取 引先の関係者, あるいは役員報酬 以外 に報酬 を受 け取 るコンサルタ ン トな どで ある。 わが国では,社外役員 を取引銀行 ある いは取引先か ら受 け入れてきた事例が少な く な く,社外役員であ って も,必ず しも独立役 員 とは言えないことが指摘 されていた。
東京証券取引所が
2010年
7月
16日までに提 出 された独立役員届出書 を集計 した結果 によ れ ば, 上 場 内国会 社
2,301社 の うち
2,153社
(93.6%)が独立役員 を確保 してお り, 社外 取締役 のみが
10.6%,社外監査役 のみが
70.7%,両方 を届 け出ているものが
18.7%であ っ た。 開示加重要件 に該 当す る独立役員は,の
ぺ4,180名中
252名
(6%) とな ってお り,覗 在 ・最近
,d:主要株主 又 はその業務執行者 に該 当す る もの 9 名以外 は, 過去 にお ける b2: 主要 な取 引先又 はその業務執行者
198名,
a:
主要株主又 はその業務執行者
32名
,C:役 員報酬以外 に多額 の金銭 その他の財産を得て いるコンサルタン ト、会計専門家、法律専門 家
9名
,bl: 兄弟会社の業務執行者
7名
,a2:兄弟会社 の業務執行者
,eユ:業務執行者 また は子会社の業務執行者の近親者,各
2名 となっ ている
。ここで注意 しなければな らないことは,独 立役員に求め られ る独立性 は一般株主 との利 益相反が生 じないという内容の ものであって, 独立会計士 という意味での監査人 に求め られ てきた独立性 と同義ではない点である。ニュー ヨ‑ク証券取 引所 の コーポ レー ト・ガバナ ン ス基準
303A.02に も,問題 は経営者か らの独 立性であ り, た とえ相当な金額 の株式を保有 していた として も, それだけで独立性が欠如 していると判断す ることはないという注釈が 付 されている
。Ⅵ. おわ りに
前 に も述べたように,大規模公開会社 であ れば,会計監査人が会計監査 を行 うので,蕊 査役 ・監査委員の会計監査 における役割は, 第
2次的あるいは補完的な ものと考え られて いる
。会計監査人 は,株主総会 の決議 によって選 任 ・解任 され るが ( 会社法
329条
・339条), その議案 について,監査役会設置会社では監 査役会の同意 ( 過芋数)が必要 とされてお り
( 会社法
344条),委員会設置会社 では監査委 員会が内容を決定す る ( 会社法
404条)。 これ は経営者である執行役や取締役 に選任 ・解任 の権限を与えないことを通 じて,会計監査人 の経営者か らの独立性を担保するものである。
同様 に,会計監査人の報酬 を取締役が決定す
ー 1 1 0‑
る際 も,監査役会 あるいは監査委員会 の同意 を得 な けれ ばな らない と規定 されてお り ( 会 社法
399条),会計監査 人の独立性 を守 るため の役割が期待 されてい る
。監査役監査 あ るいは監査委員会監査 は内部 統制 システムを利用 して行 われ るため, 内部 統制 システムの構築 ・運用 の状況 を監視 し検 証 した上 で,必要が あれば,取締役会 に対 し その改善 を,監査役であれば助言 あ るいは勧 杏,監査委員 であれば提案す ることが職務 と されている ( 監査役監査基準
21条,監査委員 会監査基準
2条)。
このよ うに,監査役 ・監査委員 は,会計監 査人 の独立性 を守 るため,経営者 との間の隔 壁 としての役割 を担 うと同時 に,会計監査人 による会計監査 の実効性 を高 め るための環境 整備 を行 うことが期待 されている。
平 成
13年 改正商 法
280条 ノ
19第
2項後段 で は, ス トック ・オ プ シ ョンを付与す る理 由に つ いて開示す ることが求 め られていたため, 監査役 にス トック ・オ プ シ ョンが付与 された 理 由を調べ ることがで きた。 限 られた数 のサ ンプルではあるが,野 口
(2005)によれば,
TDnetデータベース 。サー ビスを検索 した結 果
,2004年
4月 1日か ら
5月
31日まで に監査 役 に新株予約権が付与 された事例が
50件あ り, その うち
40件 は取締役 と共通 の理 由だけが記 述 されていた ものの
,10件 につ いては異 な る 理 由 も示 されていた。取締役 に対す る付与理 由 としては 「 業績 向上 に対す る意欲や意識 を 一層高 め る
」「株主価値 を意識 した経営 の推 進
」「企業価値 の向上 に資す る」 な どが一般 的であ るが,監査役 に対す る付与理 由 として は
,「適正 な監査 に対 す る意識 を一層高 め る こと
」「適 正 な監査 によ り経営 の健全性 と社 会的信頼性 の向上 をはか ること」 な どが示 さ
れていた。 なお, ス トック ・オ プシ ョンを付 与 した理 由を開示 させた この規定 は,会社法 には引 き継がれていない。
大半 の企業 が取締役 と監査役 で新株予約権 の付与理 由を区別 してお らず, 区別 していた と して も
,「適正 な監査」 とい う職務 につ い て具体的 に述べているだけで,両者 の会社 に 対す る役割 の違 いを正面 に出 している訳 では ない。 この ことは新株予約権 を監査役 に付与 している会社 では,取締役 と監査役 の会社 に 対す る職務の違いが充分に意識 されていなか っ た可能性 を示唆す るもの と考 え られ る。
したが って,監査役 に新株予約権 が付与 さ れている場合 は,取締役 と監査役 の一体感が 強 く,監査役が経営者側 に寄 っていることの シグナル ととらえ,会計監査人 の独二 封塗が弱 くなることの影響 とい う視点か ら分析す るこ とが考 え られ る
。参考文献
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