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Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 スよりも大きい微生物で マイコプラズマ肺炎の原因ともなる ) クラミジア( 鳥類からうつりやすく オウム病の原因ともなる ) 非感染性因子( 寒冷 乾燥 アレルギーなど ) によるとされる これに二次感染として 細菌や真菌などが関与してくることもある ウイルスに対

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Ⅰ.かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識

(「登録販売者試験問題作成に関する手引き」の把握)

まずは「登録販売者試験問題作成に関する手引き」を復習し、手引きの知識を確実なも のにする。そして、それぞれの「手引き」の記載についてコメントを付し、「手引き」の記 載をより実践で活用できるようにまとめた。

1)かぜの発症

(1)「手引き」の記載 かぜの症状は、くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、咽頭痛、咳、痰等の呼吸器症状、 発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感等の全身症状が、様々に組み合わさって現れる。「か ぜ」は単一の疾患ではなく、医学的にはかぜ症候群という、主にウイルスが鼻や喉な どに感染して起こる様々な症状の総称で、通常は数日~1 週間程度で自然寛解する。 原因のほとんどはウイルスの感染であるが、その他、細菌の感染や、まれに冷気や 乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。原因となるウイルスは、 200 種類を超えるといわれており、それぞれ活動に適した環境がある。そのため、季 節や時期などによって原因となるウイルスの種類は異なるが、いずれも上気道の粘膜 から感染し、それらの部位に急性の炎症を引き起こす。 (2)コメント かぜの正式名称は「かぜ症候群」。主に上気道(口腔、鼻腔、副鼻腔、咽頭、喉頭) に急性炎症を来す症候群である。発熱や頭痛、全身倦怠感、関節痛などの全身症状を 伴うこともある。 原因の 80~90%がウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエン ザ、RSウイルス、アデノウイルスなど)で、残りが細菌、マイコプラズマ(ウイル

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スよりも大きい微生物で、マイコプラズマ肺炎の原因ともなる)、クラミジア(鳥類 からうつりやすく、オウム病の原因ともなる)、非感染性因子(寒冷、乾燥、アレル ギーなど)によるとされる。これに二次感染として、細菌や真菌などが関与してくる こともある。 ウイルスに対して、抗生物質(医療用医薬品)は効果がないが、基礎疾患のある患者 や高齢の患者などに対しては、細菌による二次感染を予防して投与されることがある。

2)かぜの諸症状

(1)「手引き」の記載 かぜとよく似た症状が現れる疾患は、喘息、アレルギー性鼻炎、リウマチ熱、関節 リウマチ、肺炎、肺結核、髄膜炎、急性肝炎、尿路感染症等多数あり、急激な発熱を 伴う場合や、症状が 4 日以上続くとき又は悪化するようなときは、かぜではない可能 性が高い。また、発熱や頭痛を伴って、悪心・嘔吐、下痢等の消化器症状が現れるこ とがあり、俗に「お腹にくるかぜ」などと呼ばれるが、これらはかぜの症状でなく、 ウイルスが消化器に感染したことによるもの(ウイルス性胃腸炎)である。 インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様、ウイルスの呼吸器感染によるもの であるが、感染力が強く、また、重症化しやすいため、かぜとは区別して扱われる。 (2)コメント かぜとインフルエンザの主な違い かぜ インフルエンザ 原因 ライノウイルス、コロナウイルス、アデ ノウイルスなど。 インフルエンザウイルス(A 型、B 型など) 発症 比較的ゆっくり 急激 症状 ・鼻水やくしゃみ、のどの痛み、咳など、 上気道症状が中心。全身症状は弱い。 ・熱は、あっても 38℃くらいまで。 ・急な高熱(39℃以上)と強い倦怠感や 筋肉痛などの全身症状がみられ、目の充 血を伴うこともある。 ・全身症状に続いて、鼻やのどなどの症 状が現れる。 合併症 一般的に少ないが、小児や高齢者では細 菌による二次感染がみられることがあ る。 肺炎、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎など を起こしやすい。まれにインフルエンザ 脳症など、重篤な合併症がみられること もある。 伝染力 通常は弱い 強い 発 生 状 況 散発性 流行性

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3)かぜ薬

(1)「手引き」の記載 かぜ薬とは、かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称であり、総 合感冒薬とも呼ばれる。かぜの症状は、生体にもともと備わっている免疫機構によっ てウイルスが排除されれば自然に治る。したがって、安静にして休養し、栄養・水分 を十分に摂ることが基本である。かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、体内から取 り除くものではなく、咳で眠れなかったり、発熱で体力を消耗しそうなときなどに、 それら諸症状の緩和を図るものである。 なお、かぜであるからといって必ずしもかぜ薬(総合感冒薬)が選択されるのが最 適ではなく、発熱、咳、鼻水など症状がはっきりしている場合には、効果的に症状の 緩和を図るため、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬などが選択されることが望 ましい。該当しない症状に対して、不要な成分が配合されていると、無意味に副作用 のリスクを負うこととなりやすい。 (2)コメント 顧客の症状によっては、かぜ薬以外の薬効群が適している場合も少なくない。現在 の状態、最もつらい症状などをよく聞き、視野を広くもって対応する。ただし、かぜ 薬や解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬などは成分が重複する場合も多いので、 併用する場合は十分に注意する(図-1)。 ①のどの痛み・腫れだけ→うがい薬、トローチ、抗炎症薬、トラネキサム酸配合薬、 解熱鎮痛薬 ②ゾクゾクした寒気がする、首から肩にかけてのこわばり→麻黄湯、葛根湯 ③熱と痛み(のど、頭、関節など)だけ→解熱鎮痛薬、NSAIDs ④咳と痰だけ→鎮咳去痰薬、去痰薬 ⑤鼻の症状(鼻水・鼻づまり・くしゃみ)だけ→鼻炎用内服薬、小青竜湯、点鼻薬 ⑥熱・痛みと咳・痰→解熱鎮痛薬と鎮咳去痰薬、または総合感冒薬 ⑦熱・痛みと鼻の症状→解熱鎮痛薬と鼻炎用内服薬、または総合感冒薬 ⑧咳・痰と鼻の症状→鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤 ⑨後期のかぜ・食欲不振→小柴胡湯、柴胡桂枝湯

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図-1 かぜ薬を中心とした3種類の薬剤との併用の可否 高木敬次郎他:かぜとかぜ薬.日本薬剤師会雑誌 38(11),1986 より一部改変

4)主な配合成分① 解熱鎮痛成分

(1)「手引き」の記載 ●発熱を鎮め、痛みを和らげる成分 成分名 特徴・注意点など アスピリン = アセ チ ルサ リチル酸 ・「~ピリン」とつくが、非ピリン系の解熱鎮痛成分。本来バイエル社の商 品名。 ・ライ症候群との関連性が示唆→15 歳未満にはいかなる場合も使用しない。 ・血液を凝固しにくくさせる作用がある→出産予定日 12 週間以内は使用を 避ける。 ・医療用医薬品では、血栓予防薬としても用いられている。 ・痛風・高尿酸血症の人には販売を避ける。(血清尿酸値に影響を与える) ・他の解熱鎮痛成分に比べると、胃腸障害が起こりやすいといわれる。 サザピリン ・「~ピリン」とつくが、非ピリン系の解熱鎮痛成分。 ・ライ症候群との関連性が示唆→15 歳未満にはいかなる場合も使用しない。 サ リチ ル アミ ド ・15 歳未満の小児で、水痘(水疱瘡)やインフルエンザにかかっているとき は使用を避ける(相談すること)。 風邪薬(成分) 解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 鼻炎薬 交感神経興奮薬 抗ヒスタミン薬

解熱

鎮痛薬

鎮咳

去痰薬

鼻炎薬

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エテンザミド ・15 歳未満の小児で、水痘(水疱瘡)やインフルエンザにかかっているとき は使用を避ける(相談すること)。 ・痛みの伝わりを抑える働きが優位とされる(他の解熱鎮痛成分は、痛みの 発生を抑える働きが中心)。他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される ことが多い。 ア セト ア ミノ フェン ・中枢性の作用によって解熱・鎮痛をもたらすとされ、抗炎症作用は期待で きない。 ・胃腸障害は比較的少ない(空腹時にも服用できる製品がある)。 ・重篤な副作用として肝機能障害。日頃から酒類を摂取することが多い人、 用法用量を超えて服用した人は肝機能障害を起こしやすい。 イ ブプ ロ フェ ン ・アスピリン等に比べて胃腸への影響が少なく、抗炎症作用も示す。 ・一般用医薬品では、15 歳未満が使用できる商品がない。 ・胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン氏病の既往歴がある人では、 それらの疾患の再発のおそれがある。 ・全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病の診断を受けた人では、無菌 性髄膜炎を生じやすいとされる。 イ ソプ ロ ピル アンチピリン ・一般用医薬品では唯一のピリン系解熱鎮痛成分。 ・ピリン系成分で薬疹(ピリン疹)を起こしたことがある人は使用を避ける。 ・解熱や鎮痛の作用は比較的強いが、抗炎症作用は弱いとされる。 ジリュウ ・生薬成分(ツリミミズ科のカッショクツリミミズ又はその近縁種を用いた 動物生薬)。 ・古くから「熱さまし」として用いられてきた。 ・ジリュウのエキスを製剤化した製品は、「感冒時の解熱」が効能・効果に なっている。 (2)コメント 解熱鎮痛成分を使用する小児の年齢・症状の確認を忘れない。 ①15 歳未満の小児には、いかなる場合も使用しない=アスピリン、サザピリン ②15 歳未満の小児で、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっているとき(疑 いがあるときも含む)は使用を避ける=エテンザミド、サリチルアミド ③一般用医薬品では、15 歳未満の小児に使用できる製品がない=イブプロフェン *現在では、アスピリンを配合したかぜ薬は少なくなっているが、地方で昔から製 造されてきた製品、配置薬などに配合されていることがある。 *エテンザミドやサリチルアミドは、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、 他の解熱鎮痛成分と一緒に配合されていることが多いので、注意する。

5)主な配合成分② 抗ヒスタミン成分・抗コリン成分

(1)「手引き」の記載

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●鼻水やくしゃみを抑える成分(抗ヒスタミン成分) 作用 肥満細胞から遊離したヒスタミンが受容体と反応することを妨げることによ り、ヒスタミンの働きを抑える。*抗コリン作用も有する。 副作用 全成分共通:眠気、排尿困難、口渇、便秘など メキタジン:ショック(アナフィラキシー)、肝機能障害、血小板減少など 注意点 全成分共通: ①服用後は、乗物又は機械類の運転操作を避ける。 ②排尿困難の症状のある人、緑内障と診断された人は服用前に相談。 ジフェンヒドラミンを含む成分:乳児に昏睡を生じるおそれがあるため、授乳 中は服用を避けるか、服用する場合は授乳を避ける。 主な成分 クロルフェニラミンマレイン酸塩(マレイン酸クロルフェニラミン)、 カルビノキサミンマレイン酸塩(マレイン酸カルビノキサミン)、 クレマスチンフマル酸塩(フマル酸クレマスチン)、 ジフェンヒドラミン塩酸塩(塩酸ジフェンヒドラミン)、メキタジン ●鼻水やくしゃみを抑える成分(抗コリン成分) 作用 副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることで、そ の働きを抑える。鼻炎用内服薬では、鼻腔内の粘液分泌腺からの粘液分泌を抑え るとともに、鼻腔内の刺激を伝達する副交感神経系の働きを抑える。 副作用 全成分共通:散瞳による目のかすみや異常なまぶしさ、顔のほてり、眠気、口渇、 便秘、排尿困難など 注意点 全成分共通 ①服用後、乗物または機械類の運転操作を避ける。 ②排尿困難の症状のある人、心臓病または緑内障の診断を受けた人は、服用前 に相談。 ③高齢者では、排尿困難や緑内障の基礎疾患を持つ場合が多く、一般的に口渇 や便秘の副作用が現れやすいので、服用前に相談。使用する場合は慎重に。 主な成分 ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド (2)コメント 鼻の粘膜がウイルスなどの感染によって炎症を起こすと、ヒスタミンなどの化学伝 達物質が放出される。これが鼻の分泌腺を刺激することにより、鼻汁の分泌が促進さ れ、鼻水を生じる。また、くしゃみは、アレルギー物質や冷気などによって鼻の粘膜 が刺激されて起こる。 抗ヒスタミン成分の摂取で、人により眠気が起こることはよく知られており、服用 後の乗物や機械類の運転操作は避けることとなっているが、抗コリン成分でも、散瞳 による目のかすみや異常なまぶしさを生じることがあるため、同様の注意が必要とな る。

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6)主な配合成分③ 鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を広げる成分(ア

ドレナリン作動成分)

(1)「手引き」の記載 作用 ①交感神経系を刺激して気管支を拡張させ、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮 める。 ②交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻粘膜の充血や腫れを和らげ る(内服薬のほか、点鼻薬に配合されていることもある)。 副作用 全成分共通:心悸亢進、血圧上昇、血糖値上昇 プソイドエフェドリン:上記以外に、不眠、神経過敏、めまい、頭痛、排尿困難 など 注意点 プソイドエフェドリン ①前立腺肥大による排尿困難のある人、心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能 障害の診断を受けた人は、使用を避ける(禁忌) ②塩酸セレギリンなどのモノアミン酸化酵素阻害薬(パーキンソン病治療薬) が処方されている人は、服用前に相談。プソイドエフェドリンの代謝が妨げ られて、副作用が現れやすくなるおそれがある。 プソイドエフェドリン以外のアドレナリン作動成分 ①心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能障害の診断を受けた人は、服用前に相 談(禁忌ではない。プソイドエフェドリンとの違い)。 *メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、マオウ、プソ イドエフェドリンには依存性があるため、長期間に渡って連用すると、薬物依 存につながるおそれがある。 主な成分 主に咳の症状緩和に用いられるもの メチルエフェドリン塩酸塩(塩酸メチルエフェドリン)*1 メチルエフェドリンサッカリン塩 トリメトキノール塩酸塩(塩酸トリメトキノール) メトキシフェナミン塩酸塩(塩酸メトキシフェナミン) マオウ 主に鼻の症状緩和に用いられるもの(内服薬) プソイドエフェドリン塩酸塩(塩酸プソイドエフェドリン) フェニレフリン塩酸塩(塩酸フェニレフリン)*2 主に鼻の症状緩和に用いられるもの(点鼻薬) ナファゾリン塩酸塩(塩酸ナファゾリン) テトラヒドロゾリン塩酸塩(塩酸テトラヒドロゾリン) *1 メチルエフェドリン塩酸塩は鼻炎用内服薬に配合されることもある。 *2 フェニレフリン塩酸塩は点鼻薬に配合されることもある。 (2)コメント アドレナリン作動成分は、交感神経系を刺激してさまざまな作用を呈する。気管支 拡張作用を期待してかぜ薬や鎮咳去痰薬に、血管収縮による充血除去作用を期待して かぜ薬や鼻炎用内服薬、点鼻薬などに配合されることが多い。 しかし、交感神経系の刺激による作用は全身に及ぶため、次のような疾患・症状を

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悪化させるおそれがあり、注意が必要となる。 ①心臓刺激作用による心悸亢進→心臓病 ②心臓刺激作用、血管収縮作用による血圧上昇→高血圧 ③グリコーゲン分解促進作用による血糖値上昇→糖尿病 ④心悸亢進、代謝亢進、グリコ-ゲンや脂肪の分解促進など→甲状腺機能障害 ⑤膀胱括約筋や前立腺平滑筋の収縮による前立腺圧迫→排尿困難、前立腺肥大 なお異なる作用からの気管支拡張剤としてキサンチン誘導体(1類のテオフィリン、 指定2類のジプロフィリン)がある。医療用としても喘息などによく使われているが、 小児の発熱時使用の痙攣、てんかん、急性脳症、成人でのコーヒーなどとの併用によ る中枢神経系の興奮、心悸亢進など注意を要する。 ◆復習しよう!◆ 副交感神経系が刺激されたときは、どのような体の反応が起きるだろうか。

7)主な配合成分④ 鎮咳成分

(1)「手引き」の記載 ●麻薬性鎮咳成分 作用 延髄の咳嗽中枢に作用 副作用 ・胃腸運動を低下させる作用があり、副作用として便秘が現れることがある。 注意点 ・作用本体のコデイン及びジヒドロコデインがモルヒネを同じ基本構造をもつ。 依存性がある。 ・長期連用や大量摂取によって倦怠感、虚脱感、多幸感が現れることがあり、薬 物依存につながるおそれがある。 主な成分 コデインリン酸塩水和物(リン酸コデイン)、ジヒドロコデインリン酸塩(リン酸 ジヒドロコデイン) ●非麻薬性鎮咳成分 作用 延髄の咳嗽中枢に作用 主な成分 デキストロメトルファン臭化水素酸塩(臭化水素酸デキストロメトルファン) ノスカピン、ノスカピン塩酸塩(塩酸ノスカピン) チペピジンヒベンズ酸塩(ヒベンズ酸チペピジン) ジメモルファンリン酸塩(リン酸ジメモルファン) (2)コメント

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コデインリン酸塩水和物やジヒドロコデインリン酸塩などを含有する鎮咳去痰薬 (内用液剤)については、大量服用や一気飲みなどの乱用やそれによる依存性が以前 から問題となっている。 平成 22 年 6 月 1 日、厚生労働省より「コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデイ ンリン酸塩等を含有する一般用医薬品の鎮咳去痰薬(内用)の販売に係る留意事項に ついて」(薬食総発 0601 第 6 号・薬食安発 0601 第 3 号)という通知が出され、適正使 用についての情報提供を徹底するため、次のような留意事項が定められた。 1 .コ デ イ ン リ ン 酸 塩 水 和 物 及 び ジ ヒ ド ロ コ デ イ ン リ ン 酸 塩 等 を 含 有 す る 一 般 用 の 鎮 咳 去 痰 薬 ( 内 用 ) の 販 売 又 は 授 与 ( 配 置 に よ る も の を 除 く 。 ) に つ い て ( 1 ) 当 該 医 薬 品 の 販 売 又 は 授 与 に あ た っ て は 、 次 の 点 に 留 意 す る こ と ① 販 売 量 等 は 原 則 と し て 一 人 一 包 装 単 位 と す る こ と ② 購 入 者 等 か ら 症 状 を 聞 き 、 当 該 医 薬 品 の 効 能 ・ 効 果 に 該 当 す る こ と を 確 認 す る こ と ③ 購 入 者 等 に 対 し て は 、 用 法 ・ 用 量 等 に 関 し 十 分 な 服 薬 指 導 を 行 う こ と 。 ( 2 ) 購 入 等 希 望 者 が 当 該 医 薬 品 の 大 量 使 用 者 又 は 長 期 連 用 者 と 思 わ れ る 場 合 に は 販 売 等 を 行 わ な い こ と ( 3 ) 購 入 等 希 望 者 が 高 校 生 、中 学 生 等 若 年 者 の 場 合 に は 次 の い ず れ か の 確 認 を 行 う こ と ① 購 入 等 希 望 の 事 実 に つ い て 保 護 者 に よ る 確 認 ② 身 分 証 明 書 等 に よ る 氏 名 、 住 所 、 年 齢 、 学 校 名 等 の 確 認 2 .コ デ イ ン リ ン 酸 塩 水 和 物 及 び ジ ヒ ド ロ コ デ イ ン リ ン 酸 塩 等 を 含 有 す る 一 般 用 の 鎮 咳 去 痰 薬 ( 内 用 ) の 配 置 に よ る 販 売 又 は 授 与 に つ い て ( 1 ) 当 該 医 薬 品 の 配 置 に よ る 販 売 又 は 授 与 に あ た っ て は 、次 の 点 に 留 意 す る こ と ① 販 売 量 等 に つ い て は 、 必 要 最 低 限 の 配 置 と す る こ と ② 当 該 医 薬 品 の 効 能 ・ 効 果 を 消 費 者 に 十 分 説 明 し 、 適 正 配 置 に 努 め る こ と ③ 配 置 先 に 対 し て 、 用 法 ・ 用 量 等 に 関 し 十 分 な 服 薬 指 導 を 行 う こ と ④ 配 置 先 に 対 し て 、 高 校 生 、 中 学 生 な ど 若 年 者 の 使 用 に つ い て は 、 過 量 服 用 ・ 長 期 連 用 に な ら な い よ う 、 十 分 な 説 明 を 行 う こ と ( 2 ) 配 置 先 が 大 量 使 用 者 又 は 長 期 連 用 者 と 思 わ れ る 場 合 は 配 置 し な い こ と

8)主な配合成分⑤ 去痰成分

(1)「手引き」の記載 作用 気道粘膜からの分泌を促進する作用を示す。 主な成分 グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、 クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムへキシン塩酸塩(塩酸ブロムへキシン)

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作用 痰の中の粘性蛋白質に作用してその粘りけを減少させる。 主な成分 エチルシステイン塩酸塩(塩酸エチルシステイン) メチルシステイン塩酸塩(塩酸メチルシステイン)、カルボシステイン (2)コメント 呼吸や嚥下の機能が低下している人、自分で痰を出すことができない人、高齢者など では、痰の粘度が低下すると、かえって痰を出しにくくなることがある。特に慢性の 呼吸器疾患がある人では、去痰成分によって痰の量が増加すると、呼吸困難の症状が 悪化するおそれもある。 比較的、安全性は高いとされる去痰成分だが、安易な使用は控えたほうがよい場合も あり、使用する場合も、服用後の状態に注意するように伝える。

9)主な配合成分⑥ 抗炎症成分

(1)「手引き」の記載 成分名 特徴・注意点 リゾチーム塩酸塩 (塩化リゾチーム) ・鼻粘膜や喉の炎症を生じた組織の修復を助けるほか、痰の粘りけを 弱め、気道粘膜の線毛運動を促進させて痰の排出を容易にする。 ・鶏卵の卵白から抽出した蛋白質であるため、鶏卵アレルギーの人は 使用を避ける。 セミアルカリプロティ ナーゼ ・蛋白質分解酵素で、炎症物質(起炎性ポリペプタイド)を分解する 作用を示す。 ・いずれもフィブリノゲンやフィブリンを分解させる作用があるた め、血液凝固異常(出血傾向)の症状がある人では、出血傾向を悪 化させるおそれがある。 ブロメライン トラネキサム酸 ・体内での炎症物質の産生を抑えることで炎症の発生を抑え、腫れを 和らげる。 ・凝固した血液が分解されにくくなる働きがある→血栓のある人、血 栓を起こすおそれのある人は注意。 グリチルリチン酸類 カンゾウ ・カンゾウに含まれるグリチルリチン酸の化学構造がステロイド性抗 炎症成分と類似しているところから、抗炎症作用を示すと考えられ る。 ・大量摂取で、偽アルドステロン症のおそれ。 ・1 日最大服用量がグリチルリチン酸として 40mg以上となる製品ま たはカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品については、 高齢者、むくみのある人、心臓病、腎臓病、高血圧の診断を受けた 人では、使用前に医師・薬剤師に相談。これらの症状や疾患がない 人でも、長期連用は避ける。 ・医薬品では 1 日摂取量がグリチルリチン酸として 200mgを超えな いように用量が定められているが、さまざまな薬効群の医薬品に配 合されているほか、甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広

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く用いられているため、摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続 して多くならないように注意。 (2)コメント 偽アルドステロン症とは、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウ ムが失われたことに伴う症状であって、副腎皮質からのアルドステロン分泌が増えて いないにもかかわらず生じることから、偽アルドステロン症と呼ばれる。 尿量の減少、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むく み(浮腫)、喉の渇き、吐き気・嘔吐等がみられ、さらに進行すると筋力低下、起立不 能、歩行困難、痙攣等を生じる。 高齢者、むくみのある人、心臓病・腎臓病・高血圧の診断を受けた人、体が小柄な 人では、偽アルドステロン症を生じやすいとされる。

10)主な配合成分⑦その他

(1)「手引き」の記載 薬効群 成分名 特徴・注意点 催 眠 鎮 静 成 分 ブロモバレリル尿素(ブ ロムワレリル尿素) ・脳の興奮を抑え、痛み等を感じる感覚を鈍くする作用 を示すといわれ、解熱鎮痛薬に補助成分として配合さ れていることが多い。 ・眠気を催すため、服用後の乗物または機械類の運転操 作は避ける。 ・依存性があり、反復して摂取すると依存を生じること がある。 ・ブロモバレリル尿素は胎児障害の可能性があるため、 妊娠中の使用は避けることが望ましい。 アリル イソ プロ ピル ア セチル尿素 制酸成分 ケイ酸アルミニウム、 酸化マグネシウムなど ・解熱鎮痛成分による胃腸障害を減弱させることを目的 として配合されている場合がある。 カ フ ェ イ ン 類 カフェイン水和物(カフ ェイン) ・解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助ける目的で配合されてい る場合がある。 ・カフェイン類が配合されていても、抗ヒスタミン成分 等による眠気が解消されるわけではない。 無水カフェイン ビタミン類 ビタミンC 粘膜の健康維持・回復を助ける。 ビタミンB2 ヘスペリジン ビタミンCの吸収を助ける。 ビタミンB1 疲労回復を助ける。 (2)コメント

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現在、催眠鎮静成分を配合したかぜ薬はほとんどなく、主に解熱鎮痛薬に配合され ている(乗物酔い防止薬、催眠鎮静薬に配合されていることもある)。 催眠鎮静成分のうち、特にブロモバレリル尿素は、排泄されるのに時間がかかり、 体内に蓄積されやすい性質をもつ。このため、過量摂取や連用によるブロム中毒が問 題となることが少なくなく、依存性が問題となることも多い。本やインターネット上 で、本成分による自殺方法が紹介されていることもあり、自殺を目的とした使用もみ られる。 本成分を配合した商品をまとめ買いしようとする顧客や頻繁に購入しようとする顧 客に対しては必ず声をかけ、注意を呼びかけるなど、不適切な使用を防ぐための対応 が求められる。

11)かぜに用いられる漢方処方製剤

(1)「手引き」の記載 漢方処方製剤 適す人・適す症状 適さない人・適さない症状 葛根湯 かぜのひき始めにおける諸症状、頭痛、 肩こり、筋肉痛、手足や方の痛みがある 場合 体の虚弱な人(体力の衰えている人、 体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向 の著しい人では、悪心、胃部不快感等 の副作用が現れやすい。 麻黄湯 かぜのひき始めで、寒気がして発熱、頭 痛があり、体のふしぶしが痛い場合 胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人で は、悪心、胃部不快感、発汗過多、全 身脱力感等の副作用が現れやすい。 小柴胡湯 かぜのひき始めから数日たって症状が 長引いている状態で、疲労感があり、食 欲不振、吐き気がする場合。胃腸虚弱、 胃炎のような消化器症状にも用いられ る。 体の虚弱な人(体力の衰えている人、 体の弱い人) *インターフェロン製剤で治療を受け ている人は使用しない(間質性肺炎 の副作用が現れるおそれが高まる) 柴胡桂枝湯 かぜのひき始めから数日たって微熱が あり、寒気や頭痛、吐き気がする等のか ぜの後期の症状に適すとされ、腹痛を伴 う胃腸炎にも用いられる。 小青竜湯 くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)等の 鼻炎症状、薄い水様の痰を伴う咳、気管 支炎、気管支喘息等の呼吸器症状に適す とされる。 体の虚弱な人(体力の衰えている人、 体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向 の著しい人では、悪心、胃部不快感等 の副作用が現れやすい等、不向きとさ れる。 桂枝湯 体力が衰えたときのかぜのひき始めに 適すとされる。 香蘇散 胃腸虚弱で神経質の人におけるかぜの

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ひき始めに適すとされる。 半夏厚朴湯 気分がふさいで、咽喉・食道部につかえ 感があり、ときに動悸、めまい、嘔気な どを伴う人における咳、しわがれ声、不 安神経症、神経性胃炎に適すとされる。 麦門冬湯 痰の切れにくい咳(喉の乾燥感)、気管支 炎、気管支喘息の症状に適すとされる。 水様痰の多い人には不向きとされる。 ◇調べてみよう!◇ 上の漢方処方製剤のうち、マオウを含むもの、カンゾウを含むものはどれか。 (2)コメント 一般用医薬品のかぜ薬の中には、漢方処方製剤を含有しているが、西洋薬のような 商品名のもの、西洋薬と漢方処方製剤が一緒に配合されているものなどもある。 漢方処方製剤名 製品名(メーカー名)の例 備考 葛根湯 カコナール2内服液(第一三共HC) 葛根湯濃縮液 ルルかぜ内服液(第一三共HC) 葛根湯エキス 新タウロ感冒レッド(日邦薬品) 葛根湯+西洋薬 柴胡桂枝湯 アルペン F こどもかぜシロップ(ラ イオン) 柴胡桂枝湯+西洋薬 小青竜湯 ストナデイタイム(佐藤製薬) 小青竜湯+西洋薬 新ハイピロガンK(クラシエ) 小青竜湯+西洋薬

12)主な副作用

(1)「手引き」の記載 かぜ薬における重篤な副作用は、解熱鎮痛成分(生薬成分を除く)が配合されてい ることによるものが多い。まれに、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、 中毒性表皮壊死症、喘息、間質性肺炎が起こることがあり、これらは、かぜ薬(漢方 処方成分、生薬成分のみから成る場合を除く)の使用上の注意では、配合成分によら ず共通の記載となっている。このほか、配合成分によっては、まれに重篤な副作用と して、肝機能障害、偽アルドステロン症、腎障害、無菌性髄膜炎を生じることもある。 また、その他の副作用としては、一般的な皮膚症状(発疹・発赤、掻痒感)、消化器 症状(悪心・嘔吐、食欲不振)、めまい等のほか、配合成分によっては、眠気や口渇、 便秘、排尿困難等が現れることがある。

(14)

(2)コメント 副作用 添付文書に記載されている薬効群・成分 肝機能障害 アセトアミノフェン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、イ ブプロフェン、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、葛根湯、麦門冬湯、小青 竜湯 偽アルドステロン症 グリチルリチン類、カンゾウ 腎障害 イブプロフェン 無菌性髄膜炎 イブプロフェン 胃痛、胃部不快感、口内炎 イブプロフェン 眠気 抗ヒスタミン成分、催眠鎮静成分 口渇 抗ヒスタミン成分、抗コリン成分 便秘 コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 排尿困難 抗ヒスタミン成分、抗コリン成分 頻尿・血尿・残尿感 小柴胡湯、柴胡桂枝湯 *ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、間質性肺炎、喘息 については、配合成分によらず、すべてのかぜ薬に共通の記載事項となっている(漢方処方 成分、生薬成分のみからなる場合を除く)。

13)相互作用

(1)「手引き」の記載 かぜ薬は、通常、複数の有効成分が配合されているため、他のかぜ薬や解熱鎮痛薬、 鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、鎮静薬などが併用されると、同じ成分又は 同種の作用をもつ成分が重複して、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなる おそれがある。 かぜに対する民間療法としてしばしば酒類(アルコール)の摂取がなされることが あるが、アルコールが医薬品の成分の吸収や代謝に影響を与え、肝機能障害等の副作 用が起こりやすくなるおそれがあるため、かぜ薬の服用期間中は、酒類の摂取を控え る必要がある。 (2)コメント かぜ薬には、多くの成分が配合されているため、他の薬剤との成分の重複に注意する。 一般用医薬品のかぜ薬などに配合されている成分

(15)

解 熱 鎮 痛 成 分 ア ド レ ナ リ ン 作 動 成 分 鎮 咳 成 分 去 痰 成 分 抗 ヒ ス タ ミ ン 成 分 抗 コ リ ン 成 分 抗 炎 症 成 分 催 眠 鎮 静 成 分 カ フ ェ イ ン 類 かぜ薬 ○ ○ ○ △ ○ △ △ ○ 解熱鎮痛薬 ○ ○ ○ 鎮咳去痰薬 ○ ○ ○ ○ △ ○ 鼻炎用内服薬 ○ ○ ○ △ ○ 乗物酔い防止薬 ○ ○ △ △ ○:多くの製品に配合されている。 △:一部の製品に配合されている。

14)受診勧奨

(1)「手引き」の記載 かぜ薬の使用は、発熱や頭痛・関節痛、くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、咽 頭痛、咳、痰等の症状を緩和する対症療法である。一定期間又は一定回数使用して 症状の改善がみられない場合は、かぜとよく似た症状が現れる別の重大な疾患、細 菌感染等の併発が疑われるため、一般用医薬品によって対処することは適当でない。 こうした場合、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、 かぜ薬を漫然と使用を継続せずに医療機関を受診するよう促すべきである。特に、 かぜ薬を使用した後、症状が悪化してきた場合には、間質性肺炎やアスピリン喘息 等、かぜ薬自体の副作用による症状である可能性もある。 なお、高熱、黄色や緑色に濁った膿性の鼻汁・痰、喉(扁桃)の激しい痛みや腫 れ、呼吸困難を伴う激しい咳といった症状がみられる場合は、一般用医薬品によっ て自己治療を図るのではなく、初めから医療機関での診療を受けることが望ましい とされている。 高齢者であっても、日頃健康な身体状態が保たれていれば、通常の成人と同様の 対応で問題ない。しかし、慢性呼吸器疾患、心臓病、糖尿病等の基礎疾患がある人 (高齢者に限らない)では、基礎疾患の悪化や合併症の併発を避けるため、初めか ら医療機関の受診が望ましい。 小児のかぜでは、急性中耳炎を併発しやすい。かぜの症状の寛解とともに自然治

(16)

癒することも多いが、耳の奥の痛みや発熱が激しい場合や長引くような場合には、 医療機関に連れていくことが望ましい。 (2)コメント 受診と自宅療養の判断の目安 「成人気道感染症診療の基本的考え方」より作成

15)一般用医薬品に関する主な安全対策① アンプル入りかぜ薬

(1)「手引き」の記載 解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の 使用による重篤な副作用(ショック)で、1959 年から 1965 年までの間に計 38 名の死 亡例が発生した。 アンプル剤は他の剤型(錠剤、散剤等)に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高 値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されたため、1965 年、 厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請され た。その後、アンプル剤以外の一般用かぜ薬についても、1970 年に承認基準が制定さ れ、成分・分量、効能・効果等が見直された。 (2)コメント 「一般用医薬品製造(輸入)承認基準」(以下、承認基準)は、一般用医薬品の製造 販売について承認を与えるときの審査基準。有効成分の種類、1 日(または 1 回)最 大分量、配合ルール、剤型、用法・用量、効能・効果などが定められている。 現在のところ、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬、瀉下薬、鎮暈薬、眼科 用薬、ビタミン主薬製剤、浣腸薬、駆虫薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、外用痔疾 用薬、みずむし・たむし用薬の 14 薬効群について、承認基準が制定されている。こ 38℃以下 透明感あり 軽い場合 軽い場合 39℃以上 黄色・緑色(混濁) 激しい痛み、腫脹 激しい場合 臨床症状と所見 発熱※ 鼻汁 咽頭痛 咳

※発熱 38~39℃では、他の複数の症状がみられる 場合には医療機関受診を奨める

(17)

れらの承認基準に適合するものは、厚生労働大臣から都道府県知事に承認権限が委任 されている(薬効群や品目などによっては、厚生労働大臣あての申請となる場合もあ る)。

16)一般用医薬品に関する主な安全対策② 小柴胡湯、一般用かぜ薬による

間質性肺炎

(1)「手引き」の記載 ①小柴胡湯による間質性肺炎については、1991 年 4 月以降、使用上の注意に記載され ていたが、その後、小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例による間質性肺炎が 報告されたことから、1994 年 1 月、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨 の使用上の注意の改訂がなされた。しかし、それ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を 使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、 1996 年 3 月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指 示された。 ②2003 年 5 月までに、一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が 計 26 例報告された。厚生労働省では、 ・一般用かぜ薬は、一般の生活者が自らの選択により購入して使用するものであるこ と ・間質性肺炎は重篤な副作用であり、その初期症状は一般用かぜ薬の効能であるかぜ の諸症状と区別が難しく、症状が悪化した場合には、注意が必要なこと を踏まえ、同年 6 月一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示することと した。 それ以前も一般用かぜ薬の使用上の注意において、「5~6回服用しても症状が 良くならない場合には服用を中止して、専門家に相談する」等の注意がなされてい たが、それらの注意に加えて、まれに間質性肺炎の重篤な症状が起きることがあり、 その症状は、かぜの症状と区別が難しいため、症状が悪化した場合には服用を中止 して医師の診療を受ける」旨の注意喚起がなされることとなった。 ③通常の肺炎は、気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであるのに対し、 間質(肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織)で起きた肺炎を間 質性肺炎という。間質性肺炎では、肺胞と毛細血管の間でのガス交換率が低下して、

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血液に酸素が十分取り込めずに低酸素状態となる。 息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)、発熱等が、医薬品の使 用から1~2週間程度の間に起こる。息切れは、初期には運動時又は坂道や階段を 上がるときに起きるが、進行すると歩行だけでも息切れを感じるようになる。発熱 は、必ずしも伴わないことがある。 これらの症状は、かぜ、気管支炎等との区別が難しいこともあり、注意が必要で ある。症状が一時的で改善することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を 起こして硬くなってしまう状態)となる場合がある。重篤な症状への進行を防止す るため、原因と思われる薬剤の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要 がある。 (2)コメント 間質は肺胞と毛細血管の間にある支持組織で、ここに炎症性細胞などが入り込んで 炎症を起こし、酸素と二酸化炭素の交換がスムーズに行われなくなるのが、間質性肺 炎である(図-2)。 血液中に酸素が十分に取り込まれなくなるため、ちょっと動いただけでも息切れや 息苦しさを感じるようになるほか、空咳や発熱などもみられる。 リウマチなどの疾患に伴って起こる場合もあるが、医薬品の副作用によって起こる こともある。医薬品の副作用による間質性肺炎は進行が非常に速いため、息切れや息 苦しさ、空咳などの症状がみられたら、すぐに医療機関に連絡し、指示を受けること が大切である。 図-2 正常肺と間質性肺炎の肺 出典:調剤と情報:V.11(1)p.41(2005) 二酸化炭素 酸素 酸素 二酸化炭素 肺胞と血管の間(間質) に炎症性細胞などが入 り込んで線維化が進む

(19)

17)一般用医薬品に関する主な安全対策③ 塩酸フェニルプロパノールアミ

ン含有医薬品

(1)「手引き」の記載 塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻みず、鼻づまり等の症状の緩和 を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬に配合されていた。 PPA含有医薬品については、2000 年 5 月米国において、女性が食欲抑制剤(我が 国での鼻炎用内服薬等における配合量よりも高用量)として使用した場合に、出血性 脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国食品医薬品庁(FDA) より、米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請された。 我が国では食欲抑制剤として承認されていないことなどから、同年 11 月、直ちに販 売を中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳卒中の既往がある人等は使用し ないよう注意喚起を行っていた。しかし、2003 年 8 月までに、PPAが配合された一 般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告され、それらの多くが用法・用量 の範囲を超えた使用又は禁忌とされている高血圧症患者の使用によるものであった。 そのため、厚生労働省より製薬企業等に対して、使用上の注意の改訂、情報提供の徹 底等を行うとともに、代替成分として塩酸プソイドエフェドリン(PSE)等への速 やかな切り替えにつき指示がなされた。 (2)コメント アドレナリン作動成分を参照。

(20)

Ⅱ.症状別の対応法

<ケース1>

1)顧客の訴え

2歳の男児。昨日から鼻をぐずぐずさせている。今のところ、熱はなく、咳も出ない ので、ひどくならないうちに治したい。

2)対応

鼻以外の症状はないとのことなので、かぜ薬ではなく、鼻炎用内服薬で対応する。剤 型としては、2歳児なのでシロップ剤か散剤になるだろう。 鶏卵アレルギーの有無を確認することはもちろんだが、リゾチーム塩酸塩を初めて服 用したときに、ショック(アナフィラキシー)を生じたとの報告があることから、服用 後の乳児の様子や体調の変化などには十分注意する。

<ケース2>

1)顧客の訴え

5 歳の女児。熱が 38℃近くある。機嫌もよく、元気にしているが、念のため、薬がほ しい。

2)対応

症状は熱だけとのことなので、解熱鎮痛薬で対応できる。 発熱は、からだに備わった防御反応なので、熱があっても元気がよいようであれば、 無理に熱を下げることはない。元気がない、機嫌が悪い、食欲がないなどの症状がみら れるときや、熱性痙攣の経験がある場合などは、様子を見て、解熱鎮痛薬を使用するよ うに伝える。 小児に対する解熱鎮痛成分としては、主にアセトアミノフェンが用いられる。比較的 安全性の高い成分とされているが、使い過ぎや内服薬と坐薬の併用などにより、低体温 を起こすことが知られている。すぐに熱が下がらないからといって、間隔をおかずに服 用させるようなことは避け、用法・用量を守って使用することが大切である。

(21)

<ケース3>

1)顧客の訴え

6歳の男児。咳や鼻水が少し出て、熱っぽい。両親もかぜ気味なので、家族でのめる かぜ薬がほしい。錠剤かカプセル剤を希望。

2)対応

15 歳未満の小児には使用しないこととされているアスピリンやサザピリン、15 歳未 満の小児に使用できる製品がないイブプロフェンなどを配合しているものを避け、6歳 児の用法・用量が設定されている製品を選ぶ。ただし、水痘やインフルエンザのおそれ があるときや、周囲でこれらの疾患が流行しているときは、エテンザミドやサリチルア ミドを配合した製品も避ける。 また、家族の中にアレルギー体質の人はいないか、薬や食品などでアレルギーを起こ したことがある人はいないかなども確認し、鶏卵アレルギーの人がいればリゾチーム塩 酸塩を配合したものを避けるなどの注意も必要となる。 このケースのように家族でのめるファミリーユースタイプのかぜ薬を希望されるこ とも少なくない。しかし、家族であっても、年齢や体質、症状は異なり、薬の効き方や 副作用の発現には個体差もあるので、このタイプのかぜ薬は、常備薬として応急処置的 に使用するとよいだろう。 ◇調べてみよう!◇ このケースに適した製品としては、具体的にどのようなものがあるだろうか。

<ケース4>

1)顧客の訴え

20 代女性。微熱があり、咳はあまり出ないが、鼻水が出る。母親がピリン系のかぜ薬 で湿疹が出たことがあると聞いたので、ピリン系の成分を含まないものがいい。

2)対応

熱があってつらそうな場合はかぜ薬、熱があってもあまりつらくないようであれば鼻 炎用内服薬で対応する。

(22)

かぜ薬を選ぶ場合は、顧客の訴えから、ピリン系の解熱鎮痛成分であるイソプロピル アンチピリンを含まないものを選ぶが、顧客の中には、アスピリンやサザピリンなどを ピリン系の成分と誤解しているケースもあるので、念のため、確認する。

<ケース5>

1)顧客の訴え

30 代男性。38℃近い熱があり、のどの痛みが強い。からだもだるいので、かぜ薬と栄 養剤(ドリンク剤)がほしい。

2)対応

熱が高く、のどの痛みが強いことから、解熱鎮痛成分としては抗炎症作用にもすぐれ ているイブプロフェンを第一候補と考える。「のどのかぜに」とうたっているかぜ薬に はイブプロフェンを配合したものが多いが、抗炎症成分であるリゾチーム塩酸塩やトラ ネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウムなどを配合したものもある。副作用などでイ ブプロフェンを使用できない場合は、これらの成分を配合した製品を選んでもよいだろ う。 また、ほとんどのかぜ薬(漢方処方製剤を除く)にはカフェインが含まれているため、 栄養剤(ドリンク剤)としては、カフェインを含まないものを選ぶ。これは、カフェイ ンの重複を防ぐだけでなく、かぜの回復に不可欠な睡眠を妨げないようにするという意 味合いもある。 ◆復習しよう!◆ イブプロフェン、リゾチーム塩酸塩、トラネキサム酸、グリチルリチン類で気をつ けることは? ◇調べてみよう!◇ カフェインを含まないドリンク剤には、どのようなものがあるだろうか。

<ケース6>

1)顧客の訴え

40 代女性。ゾクゾクした寒気があり、かぜをひきそうな予感がする。首から肩にかけ

(23)

て、こった感じがする。

2)対応

顧客の訴えから、葛根湯が適切なのではないかと思われる。「カコナール2」や「ル ルかぜ内服液」(いずれも第一三共ヘルスケア)のように、製品名に「葛根湯」とつい ていなくても成分は葛根湯であるものなどもあるので注意する。 このケースでは、顧客の症状から葛根湯が適していると判断されるが、よく知られて いる漢方処方製剤だけに、「かぜをひいたら葛根湯」、「どんなかぜでも葛根湯」と思い 込んでいる人も少なくない。「葛根湯、ください」と指名買いされるケースでは、体質 や症状、症状が出てからの日数などを必ず確認する。

<ケース7>

1)顧客の訴え

40 代男性。熱っぽい感じがして、咳や鼻水も出る。以前のんだかぜ薬で、すごく眠く なったので、眠くなりにくいかぜ薬がほしい。

2)対応

以前に、どのようなかぜ薬をのんで眠くなったかを確認する。製品名や配合成分(特 に抗ヒスタミン成分)がわかれば、それらを避けて製品を選ぶ。 わからない場合は、「改源」(カイゲン)や「パブロン 50」(大正製薬)のように抗ヒ スタミン成分を含まないものを選択してもよいが、鼻水には効果がないので鼻の症状が 強い場合は適切とはいえない。その場合は、「ストナデイタイム」(佐藤製薬)のように 小青竜湯と西洋薬(抗ヒスタミン成分は除く)を配合した商品などを考えるか、小青竜 湯と咳止めの組み合わせを。 顧客の症状や希望に合った製品を選ぶためには、過去にどんな薬をのんだか、のんで みてどうだったか、どんな副作用がみられたかなどを知る必要がある。そこで、顧客に は、一般用医薬品についても、それらの事項を「お薬手帳」に書き留めておくことを勧 めることも忘れないようにしたい。 ◇調べてみよう!◇ お薬手帳ってなんだろう?

(24)

<ケース8>

1)顧客の訴え

50 代女性。時々、コンコンと咳が出て、のども痛い。熱や鼻の症状はない。高血圧の ため、病院に通っており、血圧を下げる薬をもらっている。

2)対応

高血圧の診断を受けているとのことから、アドレナリン作動成分(マオウも含む)や グリチルリチン類(カンゾウも含む)を配合していないものを選択することが望ましい。 アドレナリン作動成分を配合していない鎮咳去痰薬やかぜ薬、鼻炎用内服薬は少ないの で、意識して品揃えをしておくように心がける。 ◇調べてみよう!◇ このケースに適した鎮咳去痰薬には、どのような製品があるだろうか。

<ケース9>

1)顧客の訴え

60 代男性。ここ数ヵ月、咳が続いている。時々、咳止めをのんでいるが、あまりよく ならない。

2)対応

「階段をちょっと昇ったりしただけで、息が切れることはありませんか」「お友だち (同年代の人)と一緒に歩いていて、いつの間にか、自分だけが遅れているようなこと はありませんか」などの質問をしてみて、「そういえば・・・」ということであれば、 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性が高いと思われる。去痰成分だけを配合した去 痰薬で一時的に対応し、早めに受診することを勧める。

(25)

<ケース 10>

1)顧客の訴え

80 代の女性。かぜをひいたらしく、時々咳をしている。熱はないが、食欲もあまりな いので心配だからと、家族が来店した。

2)対応

高齢者では、肺炎などの感染症にかかっていても、熱などの症状がはっきりと現れな いことも少なくなく、初期症状に気付かないうちに病気が進行していることもある。特 に、ふだんから解熱鎮痛薬を服用している人では、熱が不顕性化していることもある。 高齢者ではまた、誤嚥や嚥下障害などの可能性も考えられる。誤嚥による死亡は、特 に高齢者に多い。食事中や食後に咳が出やすい、夜中に咳き込むことがあるなどは、代 表的な誤嚥の症状の一つとされ、「最近、食事に時間がかかっていないか」「食べ物の好 みが変わっていないか(飲み込みやすいものを好むようになったなど)」といった質問 をしてみると、気がつくこともあるかもしれない。 このケースは、一般用医薬品で対応するのではなく、早めに医師に相談することを勧 めるべきだろう。

(26)

Ⅲ.添付文書に記載されている理由

1.かぜ薬

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 本剤によるアレルギー症状を起こしたことがある人

2)記載理由

本剤でアレルギー症状を起こしたことがある人が、再び服用すると、ショック(アナ フィラキシー)、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)、ライエル症 候群(中毒性表皮壊死症)などの重篤な副作用が現れるおそれがある。 また、アスピリンやアセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリ ンなどを含有した製剤の服用により、発疹や発赤、かゆみ、咽頭浮腫などの過敏症状が みられたとの報告もあることから、服用しないよう注意喚起されている。

2.かぜ薬・解熱鎮痛薬

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を服用して喘息を起こしたことがある人

2)記載理由

喘息患者のうち、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)によって喘息発作が引き起こ されることが 10%位あることは、古くから知られており、本剤や他のかぜ薬、解熱鎮痛 薬を服用すると、再び喘息発作が誘発されるおそれがある。 これは、末梢でのプロスタグランジン合成阻害作用により、リポキシゲナーゼ系で過 剰になったロイコトリエンが気管支収縮を引き起こすためと考えられている。俗に「ア スピリン喘息」と呼ばれるが、アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症鎮痛薬(外用薬 も含む)でも引き起こされることが知られているため、注意が必要である。 アセトアミノフェンは末梢での作用が弱いことなどから、喘息を起こしにくいともい われるが、絶対に喘息を引き起こさないと断言することはできないため、アセトアミノ

(27)

フェン含有製剤にも、同様の注意書きが記載されている。

3.15 歳未満は避けるべき成分

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 15 歳未満の小児 〔アスピリン、アスピリンナトリウム、サザピリン、プロメタジンサリチル酸塩、 イブプロフェン含有製剤に記載〕

2)記載理由

15 歳未満の小児がアスピリンなどのサリチル酸系製剤を服用した場合、ライ症候群が との関係が示唆されているため、服用しないこととされている。 また、プロメタジンを含む製剤を小児(特に 2 歳以下の乳幼児)が服用した場合、乳 児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告 があることから、15 歳未満の小児では服用を避ける必要がある。 一般用医薬品においては、15 歳未満に使用できるイブプロフェン製剤はない。

4.アスピリン

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 出産予定日 12 週以内の妊婦。 〔アスピリン、アスピリンアルミニウムを含有する製剤に記載〕

2)記載理由

妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時の出血増加などにつな がるおそれがある。

5.かぜ薬と併用してはならない薬効群

1)添付文書の記載

してはいけないこと 本剤を使用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないこと。

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他のかぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服 薬(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬)

2)記載理由

かぜ薬の成分と重複する成分が配合されていることが多く、作用が増強したり、副作 用が現れやすくなったりするおそれがある。成分や服用量によっては、中毒域に達する こともある。

6.ジフェンヒドラミン含有製剤

1)添付文書の記載

してはいけないこと 授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること。 〔ジフェンヒドラミン塩酸塩、サリチル酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェ ンヒドラミンを含有する製剤に記載すること〕

2)記載理由

吸収されたジフェンヒドラミンの一部が母乳中に移行し、乳児に昏睡がみられたとの 報告がある。

7.リゾチーム塩酸塩

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 本剤又は鶏卵によるアレルギー症状を起こしたことがある人。 〔リゾチーム塩酸塩を含有する製剤に記載すること〕

2)記載理由

リゾチーム塩酸塩は、卵白から抽出された成分であるため、鶏卵アレルギーの人が服 用すると、アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状を引き起こすおそれがある。

(29)

8.プソイドエフェドリン

1)添付文書の記載

してはいけないこと 次の人は服用しないこと 次の症状のある人 前立腺肥大による排尿困難 次の診断を受けた人 高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病 〔プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩を含有する製剤 に記載〕

2)記載理由

他のアドレナリン作動成分に比べて交感神経系に対する刺激作用が強いとされ、これ らの症状や疾患を悪化させるおそれがあるため、「服用しないこと」とされている(他 のアドレナリン作動成分は「相談すること」となっている)。

9.かぜ薬とアルコール

1)添付文書の記載

してはいけないこと 服用時は飲酒しないこと

2)記載理由

アルコールは中枢神経抑制作用を有するため、多くのかぜ薬に配合されている抗ヒス タミン成分と作用が重複し、眠気やふらつきが強く現れたり、判断力や注意力が著しく 低下したりするおそれがある。 また、解熱鎮痛成分のプロスタグランジン合成抑制作用による胃粘膜障害とアルコー ルによる胃粘膜障害が重なり、消化性潰瘍や消化管出血などが現れやすくなることも考 えられる。

(30)

10.長期連用

1)添付文書の記載

してはいけないこと 長期連用しないこと

2)記載理由

かぜであれば、数回の服用で症状は改善すると思われるが、症状が長引くときは、他 の疾患や合併症、かぜ薬の副作用(間質性肺炎など)の可能性も考えられる。この場合、 自己治療の域を超えていると思われるため、一般用医薬品の使用を中止して、医療機関 の受診を勧める。

11.受診中の人

1)添付文書の記載

相談すること 医師又は歯科医師の治療を受けている人

2)記載理由

医師の治療を受けている場合には、本剤の適応となる症状が治療中の疾病による可能 性や投与中の薬剤の副作用であるケースも考えられる。一般用医薬品に配合されている 成分の中には、治療を受けている疾病に影響を及ぼす可能性のあるものもある。また、 医師から薬の処方を受けている人は、処方薬との重複や相互作用の可能性があることか ら、「相談すること」となっている。

12.妊婦

1)添付文書の記載

相談すること 妊婦または妊娠していると思われる人

2)記載理由

妊婦または妊娠していると思われる人、特に妊娠 3 ヶ月くらいまでと妊娠末期は、胎 児へ影響が出やすい時期であるため、医師・薬剤師に相談することが望まれる。

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13.その他の「相談すること」

対象となる人 薬効群・成分 理由 水痘(水疱瘡)若しく はインフルエンザにか かっている又はその疑 いがある乳・幼・小児 (15 歳未満) サリチルアミド エテンザミド アスピリンとライ症候群との関連性が示 されている。アスピリン以外のサリチル 酸系解熱鎮痛成分との因果関係は明らか にされていないが、服用は避けることが 望ましい。 乳児 リゾチーム塩酸塩 乳児において、リゾチーム塩酸塩を初め て服用したときに、ショック(アナフィ ラキシー)が現れたとの報告がある。 高齢者 解熱鎮痛薬 薬剤の作用が強く現れるおそれがある。 鼻炎用内服薬 メチルエフェドリン塩酸塩、 トリメトキノール塩酸塩など のアドレナリン作動成分、マ オウ 交感神経刺激作用により、循環器系に影 響が及び、心悸亢進、血圧上昇などを生 じることがある。 グリチルリチン類・カンゾウ* 偽アルドステロン症を生じやすい。 妊婦または妊娠してい ると思われる人 アスピリン、アセトアミノフ ェン、イブプロフェンなどの 解熱鎮痛成分が配合されたか ぜ薬、解熱鎮痛薬 妊娠末期のラットに投与したところ、胎 児に弱い動脈収縮がみられたとの報告が ある。 アスピリンについては、ラットで催奇形 性がみられたとの報告がある。 ブロモバレリル尿素が配合さ れたかぜ薬、解熱鎮痛薬 胎児障害の可能性がある。 コデインリン酸塩水和物、ジ ヒドロコデインリン酸塩が配 合されたかぜ薬、鎮咳去痰薬 吸収された成分の一部が胎盤関門を通過 して胎児へ移行することが知られてい る。コデインの類似化合物であるモルヒ ネの動物実験では、催奇形性が報告され ている。 授乳中の人 コデインリン酸塩水和物、ジ ヒドロコデインリン酸塩、メ チルエフェドリン塩酸塩、メ チルエフェドリンサッカリン 塩、トリプロリジン塩酸塩、 ペントキシベリン塩酸塩が配 合されたかぜ薬、鎮咳去痰薬、 鼻炎用内服薬 乳汁中に移行する可能性がある。 カフェイン類(1 回分量 100 mgを含有する製剤) 乳汁中に移行する可能性がある。乳児で はカフェインの代謝に多くの時間を要す る。 高熱のある人 かぜ薬全般 重篤な疾患の可能性もあるため、受診を 勧める。 鎮咳去痰薬 鼻炎用内服薬 むくみのある人 グリチルリチン類・カンゾウ* 偽アルドステロン症を生じやすい。

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排尿困難のある人 ジフェンヒドラミン塩酸塩、 クロルフェニラミンマレイン 酸塩等の抗ヒスタミン成分 排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、 尿の貯留を来すおそれがある。特に、前 立腺肥大症を伴っている場合には、尿閉 を引き起こすおそれがある。 ヨウ化イソプロパミドなどの 抗コリン成分 マオウを含む漢方処方製剤 胃・十二指腸潰瘍の診 断を受けた人 アスピリン、アセトアミノフ ェン、イソプロピルアンチピ リン、エテンザミド 胃・十二指腸潰瘍の症状を悪化させるお それがある。 肝臓病の診断を受けた 人 アスピリン、アセトアミノフ ェン、イブプロフェン、イソ プロピルアンチピリン、エテ ンザミド 肝機能障害を悪化させるおそれがある。 アセトアミノフェンについては、日常的 に酒類を大量に摂取している人で肝機能 障害を起こしやすい。 セ ミ ア ル カ リ プ ロ テ ィ ナ ー ゼ、ブロメライン 代謝や排泄の低下により、副作用が現れ やすくなる。 甲状腺機能障害の診断 を受けた人 メチルエフェドリン塩酸塩、 トリメトキノール塩酸塩など のアドレナリン作動成分、マ オウ 甲状腺機能亢進症の主症状は交感神経系 の緊張等によってもたらされており、交 感神経系を刺激させる成分は、症状を悪 化させるおそれがある。 高血圧の診断を受けた 人 メチルエフェドリン塩酸塩、 トリメトキノール塩酸塩など のアドレナリン作動成分、マ オウ 交感神経刺激作用によって心悸亢進、血 管収縮などが起こるため、血圧が上昇し、 高血圧が悪化するおそれがある。 グリチルリチン類・カンゾウ* 偽アルドステロン症を生じやすい。 心臓病の診断を受けた 人 メチルエフェドリン塩酸塩、 トリメトキノール塩酸塩など のアドレナリン作動成分、マ オウ 交感神経刺激による心臓刺激作用によ り、心臓病が悪化するおそれがある。 ヨウ化イソプロパミドなどの 抗コリン成分 副交感神経遮断作用による心臓刺激作用 により、心臓病が悪化するおそれがある。 アスピリン、アセトアミノフ ェン、イブプロフェン、エテ ンザミド 腎臓での水分の再吸収を促して循環血流 量を増加させるため、心臓の仕事量が増 加し、心臓病が悪化するおそれがある。 グリチルリチン類・カンゾウ* ナトリウムや水分の貯留、カリウム排泄 の促進が起こり、むくみ等の症状が現れ、 心臓病が悪化するおそれがある。 腎臓病の診断を受けた 人 アスピリン、アセトアミノフ ェン、イブプロフェン、エテ ンザミド 末梢でのプロスタグランジン産生抑制 は、腎臓の血流量を低下させることにつ ながるため、腎機能に障害があると、そ の症状を悪化させるおそれがある。 グリチルリチン類・カンゾウ* ナトリウムや水分の貯留、カリウム排泄 の促進が起こり、むくみ等の症状が現れ、 腎臓病が悪化するおそれがある。

参照

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