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平成21年度 ものづくり技術戦略要素技術体系化 調査報告書

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(1)

日機連21先端-6

平成21年度

ものづくり技術戦略要素技術体系化 調査報告書

平成22年3月

社団法人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 財団法人 製造科学技術センター

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

http://ringring-keirin.jp

(2)
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我 が 国 機 械 工 業 に お け る 技 術 開 発 推 進 は 、も の づ く り の 原 点 、且 つ 、輸 出 立 国 維 持 に は 必 須 条 件 で す 。

し か し な が ら 世 界 的 な 経 済 不 況 脱 出 で 先 進 国 の 回 復 が 遅 れ て い る 中 、中 国 を 始 め と す る ア ジ ア 近 隣 諸 国 の 工 業 化 の 進 展 と 技 術 レ ベ ル の 向 上 は 進 ん で い ま す 。 そ し て 、我 が 国 の 産 業 技 術 力 の 弱 体 化 な ど 将 来 に 対 す る 懸 念 が 台 頭 し て き て お り ま す 。

こ れ ら の 国 内 外 の 動 向 に 起 因 す る 諸 課 題 に 加 え 、環 境 問 題 、少 子 高 齢 化 社 会 対 策 等 、 今 後 解 決 を 迫 ら れ る 課 題 も 山 積 し て お り 、 こ の 課 題 の 解 決 に 向 け て 、 技 術 開 発 推 進 も 一 つ の 解 決 策 と し て 期 待 は 高 ま っ て お り 、機 械 業 界 を あ げ て 取 り 組 む 必 要 に 迫 ら れ て お り ま す 。

こ れ か ら の グ ロ ー バ ル な 技 術 開 発 競 争 の 中 で 、我 が 国 が 勝 ち 残 っ て ゆ く た め に は 、も の づ く り 力 を さ ら に 発 展 さ せ て 、新 し い コ ン セ プ ト の 提 唱 や ブ レ ー ク ス ル ー に つ な が る 独 創 的 な 成 果 を 挙 げ 、世 界 を リ ー ド す る 技 術 大 国 を 目 指 し て ゆ く 必 要 が あ り ま す 。幸 い 機 械 工 業 の 各 企 業 に お け る 研 究 開 発 、技 術 開 発 に か け る 意 気 込 み に か げ り は な く 、方 向 を 見 極 め 、ね ら い を 定 め た 開 発 に よ り 、今 後 大 き な 成 果 に つ な が る も の と 確 信 い た し て お り ま す 。

こ う し た 背 景 に 鑑 み 、当 会 で は 機 械 工 業 に 係 わ る 技 術 開 発 動 向 調 査 等 の 補 助 事 業 の テ ー マ の 一 つ と し て 財 団 法 人 製 造 科 学 技 術 セ ン タ ー に「 も の づ く り 技 術 戦 略 要 素 技 術 体 系 化 調 査 」を 調 査 委 託 い た し ま し た 。本 報 告 書 は 、こ の 研 究 成 果 で あ り 、 関 係 各 位 の ご 参 考 に 寄 与 す れ ば 幸 甚 で す 。

平 成 2 2 年 3 月

社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 会 長 伊 藤 源 嗣

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はしがき

わが国は戦後一貫して、製造業による国づくりを目指し、80年代末には、世界最高水準 の経済大国となった、その後、バブル経済の崩壊、新興工業国の追い上げ、地球規模の環 境問題の深刻化、わが国における少子高齢化の進行等の問題に直面しているが、資源小国 の日本が、その経済を成り立たせていくためにはものづくりによって付加価値を生み出し、

それによりエネルギー、資源と食料を獲得していく必要があるというのは国民的なコンセ ンサスといっても良いであろう。

そのため、本調査では、「ものづくり」が示す内容はどのようなもので、日本の企業に 対し国際競争力を高めるために産官学がそれぞれ何をすべきかの検討を行い、具体的な技 術開発課題までをとりまとめている。

当財団では、経済産業省の協力の下2007年度に製造技術ロードマップを発表し、2008 年度のサステナブル・マニュファクチャリングの観点からの「設計・製造・加工」の技術 戦略マップ策定にも協力したが、2009年度版においては、設計・製造・加工の各分野の詳 細成果を完成させ、経済産業省監修の「技術戦略マップ2009」にその詳細な内容として掲 載を実現した。2010年度では、過去3ヶ年で作成してきた「技術戦略マップ」に関して、

有識者数名および新規の企業の方々の意見を取り入れ、昨年度まとめたマップのローリン グを行い、日本のものづくり技術の戦略的な方向を示すことが出来たと自負している。

わが国は今後も引き続き、ものづくり分野でも長期的な研究開発投資を進めなければな らない。多くの技術ロードマップが製品指向、あるいは先端技術指向で描かれてきた中で、

本調査では「ものづくり(設計、製造、加工)技術」という極めて広い分野を対象とし、

生産・設計システム的視点から全体を眺めることで、対象技術の極端な詳細化・細分化を 避ける一方、加工技術については先端技術と従来技術とを巾広く検討し、また「サステナ ブル・マニュファクチャリング」の視点からローリングを行うことで利用価値の高いマッ プにすることを目指した。このようにして新たな視点・意見を取り入れ、ものづくり(設 計・製造・加工)技術戦略マップをローリングした。

本報告書は、これらの調査研究の集大成の成果であり、関係各位の今後の企業/産学戦 略の一助になれば幸甚である。

平成21年3月

財団法人 製造科学技術センター 理 事 長 庄 山 悦 彦

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平成21年度 ものづくり技術戦略ロードマップローリング委員会 委員名簿

委員長

新井 民夫 東京大学大学院 工学系研究科 精密機械工学専攻 教授

幹 事

鈴木 宏正 東京大学 先端科学技術研究センター 教授

委 員

竹内 芳美 大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 大和 裕幸 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 研究科長 教授 梅田 靖 大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 帯川 利之 東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 教授

楊 明 首都大学東京 システムデザイン学部 システムデザイン研究科 ヒューマンエレクトロニクスシステムコース 教授

渡邉 政嘉 独立行政法人 産業技術総合研究所 イノベーション推進室 総括企画主幹

松木 則夫 独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルものづくり研究センター センター長

三島 望 独立行政法人 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 エコ設計生産研究グループ長 二宮 和之 ㈱IHI ものづくり改革推進本部 ものづくり技術担当 主査

吉本 和也 オムロン㈱ ものづくり革新本部 生産技術センタ 第2技術グループ グループ長 福島 高司 ㈱神戸製鋼所 技術開発本部 生産システム研究所 企画担当課長

前田 敬一 ㈱小松製作所 生産本部 生産技術開発センタ リマン・接合チーム 主任研究員 笹谷 純子 (財)素形材センター 企画室長 兼 技術部長

山本 出 トヨタ自動車㈱ 生技開発部 ユニット生技企画室 粗形材企画G グループ長 五十嵐賢一 長野日本電気㈱ 代表取締役社長

井上 渉 日刊工業新聞社 編集局 経済部 編集委員 原口 英紀 ㈱日本デザインエンジニアリング 専務取締役

浜岡 昭夫 ㈱日立製作所 モノづくり技術事業部 RP技術センタ センタ長

桜井 英一 三菱電機㈱ 本社 生産システム本部 生産技術部 生産技術グループ 専任 上野謙一郎 ㈱森精機製作所 開発・製造本部 C開発室 要素技術開発課 マネージャー 金時 朋広 ヤマザキマザック㈱ 技術生産本部 開発設計事業部 商品開発2部 第3グループ

グループリーダー

オブザーバ

是永 基樹 経済産業省 製造産業局 産業機械課 課長補佐 木下 裕絵 経済産業省 製造産業局 産業機械課 技術係長

都築 直史 経済産業省 製造産業局 素形材産業室 ものづくり政策審議室長 高橋 秀彦 経済産業省 製造産業局 素形材産業室 課長補佐

矢野友三郎 経済産業省 産業技術環境局 研究開発課 調整官

浅野 由香 経済産業省 産業技術環境局 研究開発課 研究開発専門職

(6)

平成21年度 ものづくり技術戦略ロードマップローリング委員会 サステナブル・マニュファクチャリング技術マップWG 委員名簿

主 査

梅田 靖 大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授

幹 事

三島 望 独立行政法人 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 エコ設計生産研究グループ長

委 員

中野 禅 独立行政法人 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 難加工材成形研究グループ 主任研究員

増井慶次郎 独立行政法人 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 エコ設計生産研究グループ 主任研究員

尾崎 浩一 独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルものづくり研究センター 加工基盤技術研究チーム チーム長

上野 潔 独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー 中野 冠 慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 藤本 淳 東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授

山際 康之 東京造形大学 造形学部 デザイン学科 サステナブルプロジェクト専攻 准教授 石田 智利 ㈱日立製作所 生産技術研究所 生産システム第一研究部 主任研究員

平成21年度 ものづくり技術戦略ロードマップローリング委員会 ものづくり構想設計WG 委員名簿

主 査

大和 裕幸 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 研究科長 教授

幹 事

原口 英紀 ㈱日本デザインエンジニアリング 専務取締役

委 員

木村 文彦 法政大学 理工学部 機械工学科 教授

松木 則夫 独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルものづくり研究センター センター長 牧野内昭武 独立行政法人 理化学研究所 VCADシステム研究プログラム ディレクター

浜田 信郎 ㈱アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド 艦船生産・システム技術部 システム技術グループ 次長

山川 晃 ㈱アルモニコス 常務取締役

オブザーバ

是永 基樹 経済産業省 製造産業局 産業機械課 課長補佐 木下 裕絵 経済産業省 製造産業局 産業機械課 技術係長

(7)

目 次

序(日機連会長)

はしがき(MSTC理事長)

事業運営組織(委員名簿)

目 次 はじめに

第1章 背景、目的、ローリングの考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.1 背 景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.2 目 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.3 調査内容(体制)・スケジュール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1.4 成果(概略) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

第2章 今年度のローリング検討内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.1 今年度のローリングポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.2 専門家によるロードマップのレビュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.3 産業界によるロードマップの評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 2.4 成果報告会アンケート結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 2.5 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

第3章 ものづくり構想設計WG ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 3.1 構想設計WGの概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 3.2 製造業の実情 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 3.3 構想設計に求められるツール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73 3.4 まとめと今後の方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76

第4章 サステナブル・マニュファクチャリングWG ・・・・・・・・・・・・・・ 78 4.1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78 4.2 基本設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 4.3 ケース・スタディ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84 4.4 技術マップの評価と技術戦略マップの更新 ・・・・・・・・・・・・・・・103 4.5 サステナブル・マニュファクチャリングにおけるムダレス化の効果の試算 ・107 4.6 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112

第5章 ものづくり技術戦略ロードマップローリング ・・・・・・・・・・・・・・114 5.1 生産システム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 5.2 加工技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126 5.3 設計分野 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・139 5.4 サステナブル・マニュファクチャリングロードマップのローリング ・・・・146 5.5 具体的製品事例に関して(電気自動車(EV)) ・・・・・・・・・・・・・172 第6章 まとめ・提言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・177

(8)

はじめに

ものづくり技術戦略マップが製造科学技術センタで作成を始めたのは2006年度である。

その後の3ヶ年のローリングを進めてきた。それぞれの年にはそれぞれの事件があった。

2006年度におこった原油他原材料の高騰は、日本が製造業の輸出競争力でエネルギーと 食料を輸入しているのだという自明な事実を国民に再認識させた。海外へ出る一方であっ た製造業の日本回帰も進み、製造業の新しい姿を探る動きが高まってきた。

2007年は食料・エネルギーの分岐点であった。原油価格は100 ドル超えを確定し、い まや110ドルに達している。小麦を始めとする食料はエネルギー源としても使われること から、急速に価格が高まっている。この背後には化石燃料の使用による急速な温暖化があ る。この傾向は今後一層強まることはあっても弱まることはない。日本の弱みである食料・

エネルギーコストの増加は技術立国の重要性を一層際立たせる。それも持続性社会の構築 を可能とするものづくりジャパンの強化である。

2008年は金融危機の年になってしまった。2008年9月に始まったリーマンショックは,

実体経済への影響は小さいであろうという当初の予想に大きく反して,製造業不況を引き 起こした。その連鎖の構造は今後の研究に任せるが、製造業不況によってわかったことが 2つある。

そして2010年、いまやものづくり全体を見るなら、中国が世界第1位であることは確 定し、デジタル技術では韓国が日本を追い越していく。このような状況は3年前から推測 してきたともいえる。だからこそ、日本の将来のために、ものづくり技術戦略ロードマッ プを構築し、技術者が開発すべき技術の選択と集中を行いやすくしてきた。しかし、世界 が我々の予想を遙かに上回る速度で変化している。このようなときこそ、右往左往せずに、

日本のものづくり技術の本質を見極めて進んでいくべきであろう。

2006年の本調査研究開始時から、ものづくり技術を、持続性社会構築の経済活動と位置 づけた。2006年度には、設計WGと生産システムWGの2つのワーキンググループで次 世代製造技術を調査した。2007年度には加工技術サブWGを立ち上げ、加工技術を広く 調査し、将来像を明らかにした。同時に、サステナブル・マニファクチャリングWGがも のづくりにおける持続性構築についての技術を明らかにした。2008年度はそれぞれのWG でのローリングを行うと共に、経済産業省の技術戦略マップの一翼を担うマップの作成を した。2009年度は産業界の意見を取り入れ、ここ数年の製造業を巡る変化への対応として、

(9)

構想設計を検討した。この先、20~25年の技術的進展について相当高い精度で技術ロード マップが構築できたと自負している。

この技術戦略マップは、ハイエンドを狙っている。先端技術によってもたらされる競争 力有る製品を描き、先端的な生産システムによって実現される持続性の高いものづくりシ ステムを提案する。世界のマーケットのボリュームはローエンド型商品にあるという考え は十分に理解できるし、かつ、日本の企業が取り組むべきビジネスモデルであろう。しか し、技術戦略マップはものづくりの先端性を持続性社会の中で実現することを目指してロ ーリングを行った。ビジネスモデルの構築はこの技術戦略マップを利用して構築して欲し い。

平成22年3月

ものづくり技術戦略ロードマップローリング検討委員会 委員長 新井 民夫

(10)

第1章 背景、目的、ローリングの考え方 1.1 背景

高度成長期に我が国製造業が格段の飛躍を遂げた背景には、欧米列強の技術に追いつけ、

追い越せの気運の中、失敗をおそれぬ最先端技術の製造現場への投入、業界を挙げての産 学官一体による製造技術の自動化等高度化が図られてきたからに他ならない。ところが、

バブルが崩壊し、国際的なオープン化の中、BRICsやVISTA等国際的な低コスト競争の 中で生き残っていくためには、欧米型製造技術の取込やコンピュータ等電子管理・制御を 行い徹底的な効率化を図る必要性があった。結果直近の製品製造過程における効率化が図 られ、日本の得意とする高信頼性を足し合わせることで自動車や情報家電等日本製製品の 確たる地位を確立出来、製品輸出等の石杖となっている。他方、効率性を求めるが故に、

技術育成や保護のように長期的な視点や直近の利益排出が出来ない技術は、技術そのもの がアウトソーシングされ、気がつくと本来あるべきはずの基礎技術が日本の中でかなり危 機的な状況になりつつある事がものづくり技術戦略ロードマップの検討過程や各種調査に より判明した。また、同課題は単独企業で対応出来る範囲を超えてしまっている現状も確 認出来た。

そのため、日本のものづくりを維持していくためには、将来的な製品製造展開等を考慮 に入れ、長期的な視点で育成すべきコア技術の明確・体系化を行い、注力すべき技術育成 や開発課題を明確にし、将来いかなる社会情勢の変化にも耐えられるものづくりのコア技 術開発・育成を行う必要性がある。

1.2 目的

わが国は世界の中でも高度成長製品製造輸出国として不動の位置にあったが、製造業の 基幹技術を残し大半が欧米化と同様に海外移転することで、国際的なコスト競争力になん とか対応しているに過ぎない。このままでは、基幹技術でさえ、海外流出し、何れ日本の 製造技術は衰退の一路をたどる最悪のシナリオへ移行する危険性をはらんでいる。他方、

電子デバイス等 MEMS を始めとする微細加工や自動車産業、航空機部品産業などは先端 技術開発、特に素材等を中心とする技術開発は、製品信頼性の観点から日本はまだまだ世 界のトップレベルの生産技術を保有している。このような日本の得意技術を保護し、新た な開発を行うことは、単独の企業、大学、研究機関では不可能であり、大所高所に立った 視点での、横断的な融合化技術の戦略を立案することが重要である。そのため日本の中で 守るべき、競争力強化を図れる技術を明確化し、将来あるべき日本の製造技術、ものづく り技術の体系化に関する各年毎の見直しを行い、取り組むべき課題と優先度をを明らかに

(11)

し、「ものづくり技術戦略ロードマップ」の再構築を行う。

そのため本年度は、平成18年度と平成19年度に当財団が取りまとめた「ものづくり技 術戦略ロードマップ(~2025年)」に対する企業(大企業・中小企業)ヒアリングにおい て、現在の状況を的確に把握するとともに、また、横断型基幹科学技術研究団体連合(横 幹連合)で纏めた「ものづくりアカデミックロードマップ(2025年~2050年)」を参考に して、来るべきサステナブルなものづくりのあり方を検討、体系化することで、日本の企 業等が目指すべき戦略的な方向性、また、それらを支える基礎技術や融合化技術を明確に し、国の戦略として開発推進に関する提言を行い、もって、日本の製造業の競争力強化に 資することを目的としている。

1.3 調査の内容(体制)・スケジュール

委員会メンバーと当財団研究員による議論、ヒアリング等により、ものづくり技術戦略 ロードマップローリングのために、以下の調査・分析・検討を行った。

(1)ものづくりマップの調査・分析・ローリング(企業、有識者調査)

これまでマップ作成に携わっていない新規の若手委員にものづくり技術戦略ロード マップの利用価値や存在価値の分析を行ってもらった。また、同様にマップ作成に関与 していない学識経験者等有識者に精読してもらい、近視眼的な内容となっていないか、

誤り等修正の必要の有り無し、不足情報等考え方に関する分析を行ってもらい、昨年度 までにまとめた内容の見直し(ローリング)を行った。

また、同成果の報告会を行い、公開質疑やアンケート(報告会参加製造業200名)等 により幅広い産業等から忌憚のない情報を入手し、技術戦略マップのローリング資料と した。

(12)

(2)ものづくり構想設計WG

日本の製造業の競争力は製造現場にあると言われてきた。生産技術力を生かし、安 く、高品質な製品を供給することで成長し、今日の地位を築いている。しかし、中国 などの台頭により、「安く」が揺らいでいる。

これから、日本の製造業はどこに注力するべきなのか?この点に着目して、2007 年度から2009年度までの3ヵ年に渡って「技術戦略マップ」において「設計分野」

の検討を行ってきた。ここで、さらなる低コスト化、高品質化はもちろん、製品の付 加価値向上が重要であり、構想設計から生産設計までを一貫する次世代の製品開発シ ステムが必要と考えた。次世代の製品開発システムを実現するために必要な要件を、

「構想設計」として検討を行った。

(3)サステナブル・マニュファクチャリングの調査・検討

平成19年度横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)でまとめた「ものづくり アカデミックロードマップ(2025年~2050年)」や持続的なものづくり技術分野の技術 戦略マップを参照し、新たに設定された90年比CO2排出量25%減を満足するためのシ ナリオ等を中心に将来の日本のものづくりのあるべき姿から、解決すべき技術項目の 優先性を明らかにし、現状の技術を求める技術レベルまで育成発展させるための方法 や新たな技術融合領域の実現への取組等につき体系的な見直し、整理を行った。

(4)ものづくり技術戦略ロードマップ、技術マップのローリング

我が国の製造現場における人手不足、熟練労働者の不足による技術力低下に関し、

2010年頃には各種ものづくりに対する影響が出始め、また、製造現場の海外シフトに よる製造現場の縮小、サービス産業への就労者移行による本格的な製造技術の危機が 危惧されており、早急な対策をとる必要性がある。

日本のものづくりの戦略的な展開を考慮しつつ、的確な社会情勢の変化を捉え、人 手・熟練者不足対策、魅力あるものづくりを再構築するため、上述①、②および、技 術戦略マップ2009(経済産業省)への展開を考慮した、特にシナリオの展開を考慮し た融合的なものづくり技術戦略マップのローリングを行った。

(13)

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 H21.8.5 H21.10.9 H21.12.11 H22.1.28 H22.3.4 10:00~12:00 13:00~15:00 13:00~15:00 14:00~17:00 15:00~18:00

産総研・秋葉原 MSTC第1 真福寺第2 MSTC第1 MSTC第1

H21.10.13 H21.11.20 H21.12.17 H22.1.15 H22.2.19 14:00~17:00 14:00~17:00 14:00~17:00 14:00~17:00 14:00~17:00

MSTC第2 MSTC第2 MSTC第1 MSTC第1 MSTC第1

H21.10.2 H21.11.17 H21.12.25 H22.2.3 10:30~13:30 10:30~13:30 14:00~17:00 10:30~13:00

MSTC第2 MSTC第2 MSTC第1 MSTC第1

平成21年度 ものづくり技術戦略要素技術体系化調査

ものづくり技術戦略ロードマップ ローリング委員会

 ものづくり構想設計WG

ものづくり技術戦略ロードマップローリング検討委員会

サステナブル・マニュファクチャリング 技術マップWG

1.4 成果の概要

「ものづくり技術戦略ロードマップ」の特記すべき点は、検討した内容を公表し、幅広 い様々な意見・批判を受入、また、有識者による評価を行い、別途産業界からの意見を多 数取り入れ、その評価に基づき、「技術戦略ロードマップ」を産業界からの視点でローリン グした点である。大くくりに言えば,本技術戦略マップは、ものづくりという広範な分野

(14)

において重要な技術項目を網羅しているという点で評価されるが、客観性や具体性におい て改良の余地があることが指摘されている。もちろん部分的にはそれらを実現することは 可能であろうが、むしろ本技術戦略マップの狙うところは、各企業がそれぞれの具体的な 技術戦略マップを策定するために活用されることであって、その意味ではローリングされ た技術戦略マップは一つの節目となるもといえる。

大きな見直し項目は、導入シナリオとして、政府が 2009年9月の国連気候変動サミッ トで、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという中期目標を表明し、

それらを考慮した内容に変更した点である。

(15)

第2章 今年度のローリングの検討内容 2.1 今年度のローリングのポイント

ものづくり技術戦略ロードマップは、ものづくりの将来を考え、また融合技術から新た な日本の戦略的ものづくりを明確にすることを目標として、平成18年度から3ヶ年かけ て平成20年度に完成した。また、それらの成果は、経済産業省監修の技術戦略マップ2 009(設計・製造・加工分野)にも反映されている。

当初、ものづくりに関する体系等が全くない状態からスタートし、最終的には、生産シ ステム、加工、設計、サステナブル(環境)の各カテゴリーで整理したものとなっている。

また、作成方法としては、環境を除き企業が主体となって危機意識を持つ課題や今後行わ なければならないが単独では出来ず国の戦略的要素が必要なものの内容を抽出し、必要な 技術等に項目を分類し(技術マップ)、それを実現する時期や背景を考え(シナリオ)、時 間的にどのように取り組むか(ロードマップ)を作成している。

ものづくり技術戦略ロードマップは、各分野及び総括的な視点において有力な企業や専 門的な大学(先生)、研究機関が作成したものであるが、今年度は、当該分野の専門家によ り、当該ロードマップが普遍的であるかどうか、掲載項目に過不足が無いかどうか、修正 すべき項目が無いかどうか等のレビューを受けることとした。

専門家によるロードマップのレビューを実施するとともに、「17項目の重要技術課題」

について、産業界へのアンケート調査を行い、企業の立場からの評価を得た。

平成21年8月には、「平成20年度ものづくり技術戦略マップ実現のための技術開発 項目等調査」の報告会を行い、参加者へのアンケート調査を実施した。

これらアンケート等の結果については、「2.2 専門家によるロードマップの評価」、

「2.3 産業界によるロードマップの評価」および「2.4 成果報告会アンケート結 果」を参照願いたい。

2.2 専門家によるロードマップのレビュー

平成20年度ものづくり技術戦略マップに対する専門家によるロードマップのレビュ ーは、3名の専門家に依頼した。本報告書では、レビュー結果を、それぞれ、専門家レビ ュー1、専門家レビュー2、および専門家レビュー3として以下に記載する。

2.2.1 専門家レビュー1

(1)総括コメント

①技術戦略マップ2009(経済産業省編)

(16)

技術戦略マップ2009(以下報告書と記する)の背景の中に記された、「世界に先駆け たイノベーションの創出と、持続的・自立的な達成」を目標とし、「戦略分野への重点化を 図る」ことは、今後の日本産業の最重要課題であると考える。

ただ、日本の近代技術の文化的背景としては、江戸時代までのものづくり職人の熟練技 能を尊び、熟練度の向上と良質な製品の生産を図ってきた文化風土の上で、西欧外来文明 の積極的受容と新技術の習得、展開を常に進めてきたという歴史が現在のものづくり立国 の主たる背景であり、自らオリジナルな技術基盤の開発創成を全面的に進めて来たと言う 領域は少なく、現在も同様な状況にあるものと考える。

技術マップの所々にも記載されているが、現在の日本の技術的地位に関して、応用技術 の展開に関しては世界のトップレベルとなっているが、基本的なオリジナリティに基づく 新技術の開発及び展開という面については、未だに欧米諸国に比してレベルの低い部分も 多くまた、領域も限られている。

更に、最近の動向として、日本社会においてものづくりに対する価値観の低下が見られ、

優秀な能力を有する若者の技術離れの傾向も強まり、全般的な技術者の創造的能力に関す るベル低下が憂われる。

これらの現状を挽回し、新たなイノベーションの創出を画するためには、報告書の中に も触れられている、重要技術課題の設定、取り組み、科学的研究開発、プロジェクトの拠 点形成のみではなく、社会的なものづくりの価値観の向上、オリジナリティの尊重などと 共に技術関係者の社会的地位を高めていくような、初中等教育、科学技術教育体制、研究 開発支援、産業支援など、多くの観点から、省庁の枠組みを超えた政策的取組みが必要と 考えられる。

これらの点については、本報告書の中に更に強固かつ具体的に提言すべきものと考える。

各個別の技術領域に関する技術マップ及び戦略マップについては、専門的見地から周到 な検討がなされており、全く異論はないが、重点課題に関する研究開発プロジェクトなど について、更に具体的な仕組みづくりを提言すべきものと考える。

できれば、技術領域のみではない、総合的な日本のコアコンピタンスの大枠を設定する 中で、戦略、政策の方向付けが出来ないものかと考える。

②ものづくり技術戦略ロードマップ

上記内容と重複する部分もあるが、平成 20 年度ものづくり技術戦略マップ…調査報 告書(以下調査報告書と記する)の「序」および「はしがき」にあるように、日本の技術 開発は既存技術の改良改善から始まり、技術、製品開発、科学分野での実績をあげるに至 っているが、前述のように、オリジナルな基盤技術の創成から展開というイノベーション

(17)

的実績をあげている内容は未だ希であろう。

また、わが国における社会問題、国際的な競合問題を乗り越えてわが国のものづくり産 業の競争力を更に高めていくためには、国際的なコスト競争の渦中から抜け出す必要があ り、対外的な優位性と付加価値を持つ、新技術、新システムの創出をはかり、わが国産業 としての国際的な分業指針を明確にし、ものづくり産業の質の転換を図っていく必要があ るものと考える。

調査報告書における、各分野に関する調査、検討などの内容については大変綿密に取組 まれており、異論は全く無い。

また、これら結果から抽出された、表6.1も、重点項目としてよくまとまっていると 考える。

ただ、これら重点ものづくり技術の実現のためにどのような取り組みをし、どのような 効果を得ていくのかという点についてはものづくり技術強化策の中にもあまり具体的に触 れられていないように思われる。

「はしがき」の中に記されている、全体を眺めるという観点から対象技術の詳細化、細 分化を避けているということであるかもしれないが、「まとめと今後の課題」などの中に記 されているような、インホイールモータや、デジタル成形プロセスイノベーションのよう な具体的な取り組み内容と、これを推進するための各技術分野のコラボ体制、分担内容、

組織構成などプロジェクトの望ましいありかたなど、少し踏み込んだ提言をすべきではな いかと考える。

例としては(M1)先進的コア技術の展開に関するある程度具体的な提言と、上記デジタ ル成形プロセスに関するプロジェクトの構想などが考えられる。

個人的には、(S2)高効率多品種生産技術、(P1)バーチャルマニュファクチャリング、(P2)

人・ロボット協調生産、(D4)CAE、シミレーション、(M3)オンデマンド加工技術など の内容を統合し、更にオペレータの要請を組み入れて生産をする、知的複合加工システム の構想というような提言をすべきではないかと思っている。

(2)シナリオに対するコメント

①技術戦略マップ2009(経済産業省編)

技術戦略マップの内容が、多岐にわたり、また、多量であるため、全てを把握するに は至らないが、それぞれの分野での技術マップ、技術ロードマップ、国際競争ポジション などに対し、研究開発への取り組みを体系化し研究開発を立案・遂行すること、イノベー ション実現に必要な施策を位置づけること、産学官の研究開発の立案・実施を効率化する

(18)

ことがシナリオの目的となっている、しかし、シナリオ中に記されているのは、どの分野 に関しても、現状での課題が中心で、研究開発の立案・実施、イノベーションに要する施 策の位置づけなど、具体的な提言には至っていないように感ずる。

設計・製造・加工技術の分野に関するシナリオに関しては、現状の問題点、トレンド、情 報技術、環境適応など簡潔にまとめられており、研究開発の取り組みに関しても、1970 年代以降の取り組みをはじめ、内容など良くまとまっている。

出来れば、これら研究開発の成果、問題点から、今後のプロジェクトのあり方など、提 言が有っても良いように思う。

今後の研究開発の方向性に関しては、日本社会の競争力の源泉である設計・製造・加工 技術を強化し持続社会を構築することを目標にライフサイクル設計技術など、横断的技術 の研究開発が必要との記述に留まっている。

ある意味で、課題は明確化されているので、今後のシナリオとしても日本社会のコアコ ンピタンスをもう一歩踏み込んで設定する中で、今後注力すべき重要な研究開発課題につ いて、具体的な内容を提言すべきものと考える。

②ものづくり技術戦略ロードマップ

総括コメントに記したように今一歩具体的な提言を行っても良いのではないかと考える。

また、まとめと今後の課題の中に「開発対象を特定の技術に絞り込むことは、(企業間の) 技術競争となり、情報の共有は困難である」と記されているが、国内的な問題に関しては、

プロジェクトの立ち上げに当たりそれなりの取り決めをすることにより、相当程度の協調 協力は可能であり、国内での企業間競争はその上に立って、それぞれの企業の差別性を持 って進めるべきと考える。

但し、情報の海外流出については確実な対応策が必要と考える。

また、一部の先端技術の重要性が認識されても、「ものづくり技術の前段として位置づけ られ、結果的に他国に先を越されることが多いので、多くの技術者のコンセンサスを得や すい、上手な仕組みが必要となる」とあるが、このような、ものづくり技術の前段に当た る基礎技術の開発が産業の体質転換には最も重要であり、着実に成果を挙げ、海外には重 要情報が垂れ流しで流出しないような、仕組みづくりを提言すべきと考える。

多少環境は異なるが、過去の半導体産業の400mmSiウェーハの開発プロジェクトであ るスーパーシリコン研究所などの例も大いに参考になるのではないかと考える。

(3)技術マップ(重要度項目)に対するコメント

(19)

①技術戦略マップ2009(経済産業省編)

各分野における個別の技術マップに関しては、専門外も多く、全分野を理解するには 至らないが、いずれも詳細かつ丁寧に整理されており全く問題ないものと考える。

多少気にかかるのは、複数の分野間の共通課題(例えば半導体と MEMS などの加工法 等)、また、複数の分野を統合した新規開発等について、評価、検討が成されているのかど うかという点がある。(杞憂であろうとは思うが)

全般的には第1ページに記した、総合的な日本のコアコンピタンスを検討、設定する中 で、個別技術のレベルとしては日本のオリジナルな技術の開発展開を、複合システムとし ては、例えば、重要産業の未来展開に資するべき、優れたヒューマンインターフェースと 判断、解析機能を有し、個別の要請に対応でき、ノウハウも蓄積できるような知的生産シ ステムの開発を組入れるべきと考える。 設計・製造・加工分野に関しては、下記に記 する。

②ものづくり技術戦略ロードマップ

各分野別の技術的取り組みについては、それそれの分野の中で綿密に検討されており、

全く問題ないものと考える。

ものづくり設計分野の分析の中に、日本の強さを発揮するための次世代製品開発システ ムの要素として、ノウハウを埋め込めるが、流出しないシステム、構想設計段階から(最 終段階まで)様々な解析が出来るシステム、日本のものづくりに適合したシステムなどの 項目が記されている。

これら項目は、設計関連のみの必要要素ではなく、加工、その他の分野においても、日 本の強み、差別性(技術的コアコンピタンス)を発揮する上での重要な項目であると考え る。

これらの項目は、総合的なシステムの構築の中で実現すべき内容であり、個別の技術マ ップには直接は表現されない内容であるが、生産システム分野、加工分野、その他ものづ くりのすべての分野で取り上げるべき課題である。

本レポート2ページ目に記したデジタル成形プロセス、知的複合加工システム(私案)

また、NFFマシニングシステムなどにおいても簡便なヒューマンインターフェースを介し、

オペレータとの間でシステムの可視的な加工状況・機械の現状表現とこれに対するオペレ ータの指令、条件変更に対応するシミレーション結果の表示、加工結果よりの条件フィー ドバックなど、ノウハウを蓄積しながら成長する生産システムを目標とすべきものと考え る。

技術マップ上に明確に項目として記しにくい内容であるが、これらシステム開発のプロ

(20)

ジェクト目標として記すべきものと考える。

各分野における細かな点としては、オンデマンド加工技術の内容が、スーパークオリテ ィ RX技術のみとなっているが、RX 技術のみではなく、複合加工の展開、知的加工シス テムなどを含め、この領域は日本の製造業にとって、優位性を発揮すべき重要な領域とな るものと考える。

また、複数の分野に記されているレーザビームの応用加工は、その光源の開発が問題と なっているが、特殊材料の加工のみではなく、特に出力エネルギー効率の改善、加工エネ ルギー変換効率の改善などが進む中、鉄系材料の加工も含めて、今後の産業技術として重 要であり、調査報告書4.4.5にも記されているが、半導体、ファイバー、パルスレー ザ・DUV レーザなどの開発に関しては、シナリオなどの段階から組み入れて開発支援に 取組むべきものと考える。

機械加工に関しては、加工計測関連、シミレーションのフィードバックなど、単なる自 動化のみではなく知的な生産に関する情報処理を確立するための技術に注力すべきものと 考える。

(4)技術ロードマップに対するコメント

①技術戦略マップ2009(経済産業省編)

すでに述べているように、個別の技術マップについては、詳細な検討が成されており、

ロードマップについてもよく検討されていると考える。

全般には、個別技術の領域では、出来るだけオリジナリティを重点とするマップ及びロ ードマップとすべきと考える。

また、分野内、及び複数の分野間での複合的なシステムとして、前記の例に述べたよう な複合的、知的システムの開発を重要課題として提言し、差別性のある既存技術の更なる グレードアップ、レベル不足な技術領域の展開、不足技術の補充取入れなどをロードマッ プに組入れるべきと考える。

いずれにしても、重要課題の明確化と、開発内容の具体化、タイムスケジュールの明確 化を組入れていただきたい。

個別の分野のロードマップで気になった点は、人・ロボット強調生産の部分で、協調動 作制御、視覚、音、振動、熱などのセンサー開発、マンマシンインターフェースの感覚技 術開発など、世の中ですでに研究がスタートしている項目に関して、開発スケジュールが 2014年、2017年などのスタートとなっており、ロボットだけでなく、他の知的システム の開発にも大きな効果をもたらす技術内容であるので、重点項目として早期に立ち上げる

(21)

スケジュールを設定すべきものと考える。

これら、知能化システム技術は、日本のコアコンピタンスのバックグラウンドとすべき 技術であると考える。

②ものづくり技術戦略ロードマップ

内容としては、前頁に述べたとおりであるので、ここには記さないが、これら個別技 術に関しては、ものづくり加工技術のシナリオの段階から組入れ、具体的計画内容を提示 して欲しい。

特にレーザ技術の開発に関しては、調査報告書には重要技術課題として、項目が設けら れているが、重要技術一覧表にはビーム加工としかなく、上記経産省の報告書中にもマイ クロレーザ加工を含む小項目下の3項目に記載されているのみで、将来技術としての評価 から外れているように感じられる。レーザの技術開発に関しては、新しい光源の開発を含 め、技術マップ、ロードマップ中に明確に具体的に組入れて、開発を進めるべき対象と考 える

複合的、総合的な技術開発に関しては、関連分野間での開発スケジュールが開発進捗に 大きく影響するので、関連技術それぞれの開発スケジュールを明確化する必要があるもの と考える。

(5)技術項目17項目に対するコメント

①ものづくり技術戦略ロードマップ

これら 17 項目の最重点技術要素は的確に絞り込まれており、特に波及効果、競争力 強化に◎の付いている9項目は、最重要技術要素と考えられる。

6.2.1 課題重要性の基本方針中の 9 項目もこれからの産業基盤を展開していく上で重要

な研究開発課題である。

特に下線の施された5項目は、これらの中でも最も重要な開発課題と考えられる。

さらに 6.2.2 に提案された、5 つの研究開発課題は具体的な開発の方向付けとして非常 に重要と考えられるが、これらの開発内容、スケジュールについて、内容を更に具体的、

明確なものとし、技術マップ、ロードマップ中に総合的なタイムスケジュールを含めて、

提案していくべきものと考える。

これら複数の分野を包含する研究開発課題に関する具体的な開発内容としては、必ずし も、汎用的、共通的な開発内容である必要はなく、比較的短期間で取組みが進められ、高 い開発効果の期待できるような特定の対象領域に向けての開発内容でスターとすべきで、

開発の進展状況を見る中でその他の領域への展開を進めればよいものと考える。

(22)

また、それぞれの開発課題の技術開発内容について述べると、これら5つの項目は、そ れそれ独立した単独の開発課題ではなく、5 つの項目の開発が進展するに伴い、相互に波 及効果を及ぼしあう関係にあり、また、究極的な目標は一点に収束するものと考える。

特に(1)、(2)、(5)などは、将来的に1本の大課題としてまとまるべき内容である と考える。

大枠として、15年、20年後の目標というような内容としては、最終的にこれら5項目 を統合した1つの生産システムとしての目標を設定しても良いように思われる。

17の最重点技術要素の内(P6)、(D3)など、提案された 5 件の研究課題上には記さ れていない技術要素もあるが、上記1本の大課題を構築し、組上げていく上で、重要な役 割を担う技術要素となるのは明らかである。

以上、基本的な方針、内容に関しては、充分に調査、検討され構成されているが、多少 気になるのは、これら研究課題を組み立てていく技術要素の基盤となり、また、技術要素 を充実させ、展開させていく根源となる基礎技術の育成内容について述べられていない点 である。

今後、世界的な環境変化の中で、国際的なコスト競争の渦中から抜け出し、日本のもの づくり産業の体質を転換し、差別性を有し、国際間の住み分けの出来るものづくり産業基 盤を構築していくためにはこれら基礎技術の育成は避けられない課題であると考える。

(6)その他自由意見

①ものづくり技術戦略ロードマップ

すでに、本レビュー中に何度も意見を述べさせていただいており、同様の内容を繰り 返し記述するのは大変恐縮であるが、出来るだけ簡潔に述べさせていただくと、ものづく りに関しては、単なる技術開発のみではなく、人間を含む総合的生産システムをどう構築 するかが今後の最大の課題となるものと考える。

日本のものづくりは、歴史的な日本人のものづくりに対する価値観と、新しい知識、新 しい技術等を拒否感なく貪欲に受容する文化風土、これらに工夫を施し、着実に育成して いく粘り強さにささえられてこれまでに至っている。

反面、他のオリジナリティーを尊重し、自らのオリジナリティーを展開しようとする文 化風土、また、物事を大きく変革することへの価値観などには欠けているものと考える。

これらの文化的特色、欠点を背景に、また若者の価値観の製造業離れ、高齢化、少子化 など、日本の現在の社会背景を前提に、今後、日本のものづくり産業を強化していくため には、調査報告書にも記されているように、単なる技術開発のみではなく、政治、政策で

(23)

の取組みから、初中等教育、専門教育まで、いろいろな側面からの長期的な取組みが必要 となる。

技術領域での取組み内容に関しても、日本の強み、差別性を強化し、不足部分を追加育 成する中で、新興工業地域との差別化、住分けを進める必要があり、従来の技術ベースに、

オリジナル技術の開発、展開、差別性のある複合技術のシステム化、などを加え、日本の 生産基盤の質的転換を行う必要があるものと考える。

日本のものづくりの差別性を強化するためには、複合技術のシステム化の中身としては、

簡便なヒューマンインターフェイスの仲介により人間の能力を活用し、独自のノウハウを 蓄積するような知的生産システムの開発が望まれる。

2.2.2 専門家レビュー2

ものづくり加工分野(第4章)に係るコメント

(1)「4.1 はじめに」について

・我が国が生きてくことの一つに加工があるのは本文の通りで異論はない。

・革新的加工技術の創出を促進するのは大いに結構であるが、国や大学が参入してもなか なか上手行かないのが現状である。むしろ、大手メーカのほうが工学の分野では大学より 進んでいるのが現状で、これを踏まえて産学連携を推進していくのも一つの手であろう。

例えば、現象に拘らず目標値のクリアに民間は注力し、これらの定量化および説明を国あ るいは大学が受け持つ(学生の研究テーマの一つとして)。

・テーラーメイドに少し拘りすぎている嫌いがある。多品種中小量生産の迅速化、多様化 技術の開発もますます重要になってくると思われる。

(2)「4.2 全体構成」について

・横断型と縦割型に分類しているのは理解しやすい。しかし、金型だけでなく、一つの加 工法で形状を製作するというより、設計あるいはマーケッティングの段階で加工屋が参画 して、商品を迅速に世に送り出すための最適加工の組み合わせ(棲み分け)なども重要に なってくると考える。

(3)「4.3 技術の分類」について

「4.3.1(2) 各種先進コア技術」

(a)コア技術確立のために加工技術の高精度化、高機能化は継続的に遂行しなければなら ない。しかしながら、オーバースペックになりがちであり、商品とマッチングしたこれら 技術の適用が重要であろうと考える。例えば、表面粗さ100nmRaの仕様で10nmRaが 不要である。出来るのとそれを適用するのは別問題である。また、表面処理技術の高度化

(24)

による高機能化も叫ばれているが、スケールアップした際の適用範囲、複雑形状化した際 の適用限界などの見極めが定量化されていないのが現状であろう。

(b)加工方法の転換や複合化・融合化、統合化は重要であり、事実、最近では現場で促進さ れている。設計者がこれらの技術を理解して、製品設計に反映することが必要。

(c)計測技術の高度化、知能化は重要である。これらのデジタルデータの設計へのフィード バックなども考慮が必要。

(d)シミュレーション技術はいまや製造業にとって重要なツールの一つである。各種シミュ レーションの高度化、迅速化が多品種少量生産の決め手の一つになると確信します。ただ し、忘れていけないのは、これら計算の高精度化のためには、初期条件を決定するための モデル化実験が必要です。この実験の精度の良さとデータベースの多さは迅速生産に不可 欠と考える。

(e)これからのものづくりにおいて環境の配慮は重要である。エネルギを使わないものづく りは考えられないので、効率やできるだけエネルギに依存しない加工法の確立が重要にな ってくる。

(f)新たな加工原理によるものづくりは大変困難であろう。なぜなら、ほとんどの加工原理 は出尽くしているのではないだろうか。本文中に記述されているものが新しい原理だとは 言い難い。ダウンサイジング、スケールアップした際の問題点の抽出と解決法の提案、前 出の加工法の棲み分けと組み合わせ、他の分野で用いられている加工法のものづくり分野 での汎用化などを考慮すべきであろう。

(g)本文に反論は無いが、あえて言うならば、技能はある一つの分野に秀でた技と定義すれ ば、長年やっていれば出来るようになるのではと考える。もちろんそれなりの感性や努力 が必要であるが。これからものづくり分野で求められるのは、むしろ技能者ではなくトー タルバランスに秀でた技術者ではないかと思う。細分化されたせいか、設計から最終製品 の完成までトータルに見られる技術者は減少の一途を辿っており、この育成のほうが大事 であろう。

「4.3.2 資源・エネルギーミニマル加工」

総論的はその通りであるが、事例として微細金型プレス加工と FRP 加工の高度化は疑 問。微細プレス部品では、ものづくりのマスはたかだか知れているし、MEMS部品の実用 化例は極めて少ない。FRPはそもそも加工しないように設計するのが重要であり、後加工 することによって長繊維の切断などの加工を施せば設計値通りの性能を得ることができな くなり、複合材料としてのメリットを損ねる。

「4.3.3 オンデマンド加工技術」

(25)

積層造形に関しては、RP、RT、RMがあるが、RPすらうまく使っていないところがほ とんどである。3-DCAD でデータさえ作成すれば製品ができると勘違いしているユーザ が多い。ものづくり技術で完璧なものは存在しない。ユーザがもっているノウハウと積層 造形の持つメリットを融合してあらたなものづくり技術を確立することのほうが現在の製 造業には必要であろう。特に RM では、ヨーロッパに比してかなり遅れている。しかし、

RMでも素材の制限、熱による応力・精度の問題は解決されていない。これらの問題を一 ユーザが解決するのは困難である。RM の技術開発に向けた産学連携コンソーシアムの継 続が必要(九州工大でサポインで2回採択されている)。

「4.3.4 マルチスケール・マルチフィジクス加工技術」

精密加工は我が国の製造業にとって重要な技術開発であることは間違いない。しかし、

シングルナノオーダーの加工での製品でどれだけの会社が成り立つかは疑問である。この 種の加工をする場合の設備投資は莫大であり、加工機はもとより、環境、測定機器など10 億円近い投資が必要で、この方法しか製造できない製品を探索する能力が必要である。製 造業で大多数を占める中小企業には高嶺の花である。

「4.3.5 鋳造」

鋳造は最古の金属形状加工技術であろう。しかし、記述されてあるとおりまだまだ開発 すべきことは種々あり、シミュレーションの活用、積層造形による直接鋳型製作、新材料 への適用など捨てたものではない。特に、鋳造では、他の製造技術に比して熱エネルギを 莫大に消費するので、省エネ対策のコンピュータ援用鋳造技術の開発がキイポイントか。

「4.3.6 金属成型加工」

鍛造、プレス、粉末などの金属成形加工の多くは、金型を用いて製品形状を製作するの が一般的である。個々の要素技術開発は記述されてある通りであるが、型と連動した成形 技術の確立、あるいはまったく逆に型を使わない成形(インクリメンタル成形)などを考 慮したほうが良い。

「4.3.8~4.3.10 機械加工」

切削、研削、研磨、電気加工などの技術は製造業にとってなじみの深い技術であり、常 に進歩している。さらなる高度化と知能化が必須であり、ユーザが使いこなせるような使 い勝手のよいシステムでなければならない。さらにはユーザのノウハウを常にインプット できるユーザ独自でカスタマイズできるシステムが理想であろう。

(2)複合加工は現在二つの考え方が混同している。一つは多軸加工でもう一つは異なる加工 原理の複合化である。多軸加工は通常の3軸加工機に付与軸を追加することによる高機能 化を指し、例えば3軸ターニングセンタにミル軸を付与して、従来単独の機能では出来な

(26)

かった加工を実現する。後者の複合加工では、1 台の工作機械では加工不可能だったよう な形状、材質を異なる加工法を複合することにより可能にしている。例えば、レーザ加工 とミーリング、ワイカット EDM とアブレシブジェット、ミーリングと EDM、ミーリン グと研削加工など多々考えられる。重要なことは組み合わせの最適化を図って効率の良い 加工を実現しなければならないということである。

(3)超音波加工は記述の通りであるが、振動切削も加えて断続切削でのモードが変わること による切削加工の汎用化(ガラス、セラミックの切削)などについての言及が必要。

(4)難削材の定義は難しいが、工具の選定と最適加工条件さえ見つければ削れない材料はな いと言える。

(5)金型形状加工はレンズ、光学素子関連の金型に関しては、10nmRaを切るようなオーダ

ーまで可能になっており更なる高精度化が可能である。これは極小径エンドミルを用いた 高速ミーリング技術によるところが大であり、今後も進展が期待できる。

(6)切削加工の要素技術において大きく進歩したのは工具である。すなわち超々微粒子の 超硬合金、PCD、コーティング技術など切削技術の高度化に寄与している。最近ではナノ クリスタルダイヤモンドなども開発されて天然ダイヤモンドよりも高硬度を有した素材も 存在し、今度の使い方によっては威力を発揮する分野も現れよう。問題は、これらの工具 の潜在能力を十分に発揮させる加工条件の探索にかかっている。

「4.3.9 機械加工Ⅱ(研削加工、研磨加工)」

研削加工でしかできなかったものの多くは切削加工でできるようになってきており、微細 加工においては今後ますます切削への傾向が増加すると予測する。

「4.3.11 電機加工」

放電加工は金型の形状加工(特に深もの)に一般的に使用される加工技術である。最近、

新電極や電源の開発により、電極無消耗加工が実現され期待がもたれている。しかし、こ の場合の電極は特殊なグラファイトが使用され、ダイヤモンド工具で切削される場合が多 いのだが工具摩耗が問題になっている。またワイヤカットEDMはダイヤモンド工具の加 工に実用化され、今度その需要が増加するものと推察する。

「4.3.12 金型」

金型に関しては記述してある通りであろう。個人的には、商品設計段階から型設計部門も 参加して、いかに早く製品に結びつけるための型製作システムを構築するかということと 型寿命をきちんと予測できてそれに見合う材料選択ができれば、金型製作が変わると考え る。

「4.4.2 FRP加工技術(資源・エネルギーミニマル加工技術)」

(27)

CFRPはジェット旅客機に多量に使用されるようになって一段と脚光を浴びるようにな ってきた。Carbon Fiber(CF)は我が国でPAN系CFを緊張しながら焼成すると高強度が 発現するという特許に端を発して世界シェアNo.1の製品であり、その応用としてのCFRP に関する技術は自国での開発、発展が理想的である。

通常CFRPは長繊維を用いたプリプレグシートから製作される場合が多い。したがって、

切断や穴開け加工は繊維をせん断することになり、計算通りの強度を発現させるには、極 力せん断加工しないで最終製品にすることが望ましいが、なかなか難しい。設計の段階で 加工を少なくする配慮が必要であることは当然であり、CF 自体の表面処理(マトリック スとの反応制御)やマトリックスの選定など基礎的研究などやるべきことも多い。また、

この種の材料では樹脂の硬化時間(キュアタイム)も問題とされていたが、現在のように 自動車が生産に追われなくても良い時代になりつつあるので(スローマニュファクチャリ ング)、軽量化を優先にした場合しだいに使用される可能性は高い。

2.2.3 専門家レビュー3

(1)総括コメント

全般に、ものづくり分野の技術を網羅しているので、技術項目を漏れなく参照して今後 の技術開発を推進するためのデータ集として、大変有益なものができていると思われる。

企業などで、自社技術の評価や、今後の研究開発の検討をするときに大変役に立つと思う。

膨大な作業をしてまとめられたことに敬意を表するものである。

一方、ものづくりの特性としていつも問題になるが、向かうべきゴールとそのためのシ ナリオが単純明快に設定できていないために、技術項目の関連や重要性、ロードマップの 評価などが難しく、分量も膨大なので、全貌を理解しにくいように思う。そもそも、シナ リオとは何を意味しているのかがよくわからない、という面がある。

例えば、「技術戦略マップ」においては、p.522の17項目とシナリオの関係が分かりに くいように思う。(⇒(2)シナリオに対するコメントを参照)

詳細は、「ものづくり技術戦略マップ」をみればわかるのであるが、やはり、四分野の 関係がわかりにくく、第6章のまとめも網羅的になっているようだ。

持続可能性、安全・安心、グローバル化、労働人口半減、等を基礎として、日本のもの づくりのビジョンを設定して、シナリオ、重要技術、ロードマップ、というように整理で きれば、この膨大な技術リストが大変わかりやすくなるように思う。

日本のものづくりビジョン2025としては、次のような要素は重要であると思う。

(28)

・グローバル化のトレンドの中で、どのようなものづくりが国内に残っているのか。

(残すのか。)⇒ 超高付加価値・高機能(外需)、直接的な生活支援等(内需)

・エネルギー・資源制約、人口制約への対応

・新たなマーケットへの対応 (インド、アフリカ)

このような2025ビジョンへ至る道筋として、いろいろなシナリオが設定できるであろ う。このようなコンテクストがあれば、シナリオの意味が明確になると思う。例えば、以 下のようなシナリオが考えられる。

・シナリオ1:内需主体の資源節約型の技術開発

・シナリオ2:外需主体の先端技術指向型

(例えば、目的は違うが、国立環境研究所が行った「2050日本低炭素社会シナリオ」

にも、技術開発シナリオが書かれている。)

このような分析から、必要な技術が抽出され、技術マップができ、シナリオに従って、

技術ロードマップへ写像される。一方、現状からの外挿として可能な技術マップとロード マップを考えることもできる。本報告書のロードマップは、この後者に対応するものと思 われるので、やや任意性・恣意性が感じられる、ということであろうか。本来は、前者を 基本の技術ロードマップとして、後者と対比させて技術ギャップを評価し、技術開発の重 要度を提言するということなのであろうか。

繰り返せば、本報告書の技術マップや技術ロードマップは、現状の外挿なのであろうか。

そうであれば、技術政策などにより恣意性が強くなる。精一杯頑張って到達できる技術レ ベルを意味しているのであろうか。あるいは、ビジョンからトップダウンに設定された、

日本あるいは日本のものづくりの生き残りのための目標を示しているのであろうか。重要 なことは、これらの比較から技術ギャップを明確に認識することであるように思われる。

本報告書の情報量は非常に多くて役に立つのだが、何かわかりにくい、というのは、上 記のような点にあるのであろうか。

(2)シナリオに対するコメント

すでに見直しで検討中と思うが、「技術戦略マップ」(pp.520-522)、「ものづくり技術戦 略マップ」(pp.12-16, pp.98-101, pp.212-218)などのシナリオは個別につくられたもので、

相互の関係がはっきりしていない。

「技術戦略マップ」(pp.520-522)は、ほとんど、「ものづくり技術戦略マップ」(pp.12-16)

に対応するのであろうか。

「ものづくり技術戦略マップ」(pp.12-16, pp.98-101, pp.212-218)の三分野の記述は、

表 3.1.1  技術戦略ロードマップ(設計分野)ローリング
表 3.1.2  技術マップローリング
図 3.1.3  構想設計の範囲概念図    そこで、付加価値を決定するために必要な工程を構想設計の範囲と考え、定義してみた。 次に、業界ごとの現状の問題点を抽出しまとめてみたところ、次のようになった。 基本発想実現するための手段市場性などの検証製品の方向決定手段の現実性検証基本製品構成検討コスト・対環境、品質検討マーケティング 構想設計 詳細設計 全体構成設計部品設計 構想設計 詳細設計 マーケティング 工程将来 新規モデリング  流用モデリング 解析機能の活用 この境界があいまいDB活用 この境界があい
図 3.2.2.1  従来の設計-計算検討のプロセスイメージ  特に新機構開発では、計算検討の向上以外にも、他社の動向、関連技術調査、新しい材料、 製造方法等の知見を得るべく調査を行うが、作業量は膨大で、全体像をつかんでいる要員 の少ないこともあり大きな負担と、情報不足への不安を抱きつつ進むことになっていた。 この不安感は開発の集中力を削ぐことになるので、進むべき方向に自信を持つには欠かせ ない重要な作業であり、この情報処理の効率化への要望も強く持っていた。  (3)事後解析から予知予測解析へ  構想段階か

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