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大阪オフィス市場の現況と見通し(2019年)

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1. はじめに 大阪のオフィス市場では、まとまった空室を確保することが困難な状況が続いている。このよう な需給環境を反映し、成約賃料は上昇している。今後も、新規供給計画は限定的なことから、需給 が逼迫した状況が続くと見込まれる。本稿では、大阪のオフィス市況を概観した上で、2023 年まで の賃料予測を行う。 2. 大阪オフィス市場の現況 2-1 空室率および賃料の動向 全国主要都市の空室率は、いずれの都市も低下傾向で推移している。三幸エステートによると、 大阪市の空室率(2018 年 12 月時点)は 3.3%となり、前年同月の 4.7%から大幅に改善した。大阪 のオフィス市場では、まとまった空室を確保することが困難な状況が続いている(図表1)。 大阪市の空室率を規模別にみると、全ての規模1で低下傾向が継続している。2018 年 12 月時点の 空室率は、全ての規模でファンドバブル期の水準を下回り、2000 年以降の過去最低水準を更新した。 特に、大規模ビルの空室率は、2016 年以降急速に改善が進んでおり、1.7%まで低下した。(図表2)。 図表-1 主要都市のオフィス空室率 図表-2 大阪オフィスの規模別空室率 (出所)三幸エステート (出所)三幸エステート 1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積 200 坪以上、大型は同 100~200 坪未満、中型は同 50~100 坪未満、 小型は同 20~50 坪未満。 都心5区 1.0% 札幌市 3.7% 仙台市 5.7% 大阪市 3.3% 名古屋市3.6% 福岡市 2.5% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 20% 22% 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 大規模 1.7% 大型 3.7% 中型5.7% 小型 6.9% 全体 3.3% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 ニッセイ基礎研究所 2019 年 3 月 8 日

大阪オフィス市場の現況と見通し

(2019 年)

金融研究部 不動産投資チーム 准主任研究員 吉田 資 (03)3512-1861 e-mail : tyoshida@nli-research.co.jp

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全国主要都市の成約賃料は、空室率の改善を背景に上昇が続いている。大阪市の成約賃料(2018 年下期)も前期比+1.7%、前年同期比+2.9%の上昇となり、ファンドバブル期(2006 年~2008 年 頃)の水準に回復した(図表3)。 図表-3 主要都市のオフィス成約賃料 (オフィスレント・インデックス) (出所)三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」を基にニッセイ基礎研究所が作成 2018 年の空室率と成約賃料の変化を主要都市で比較すると、大阪市では、空室率が大きく改善し た一方で、賃料の上昇は小幅に留まった(図表4)。 賃料と空室率の関係を表した大阪市の賃料サイクル2は、2012 年下期を起点に「空室率低下・賃 料上昇」局面が続いている。前述の通り、空室率は過去最低水準に低下し、成約賃料は、ファンド バブル期と同水準に回復したことで、市況のピークが見えはじめたことから、成約賃料の伸びがや や鈍化したと思われる(図表5)。 図表-4 2018 年の主要都市のオフィス市況変化 図表-5 大阪オフィス市場の賃料サイクル (出所)空室率:三幸エステート、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所 (出所)空室率:三幸エステート、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所 2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、①空室率低下・賃料上昇→②空室率上昇・賃料上 大阪市 名古屋市 札幌市 仙台市 福岡市 5,000円 6,000円 7,000円 8,000円 9,000円 10,000円 11,000円 12,000円 13,000円 14,000円 15,000円 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 (円/月・坪) 都心5区 札幌市 仙台市 大阪市 名古屋市 福岡市 -25% -20% -15% -10% -5% 0% 5% 10% 15% 20% 25% -2.0% -1.5% -1.0% -0.5% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% (空室率:前年同期比変化幅) (オフィスレント・インデックス:前年同期比変化率) 需給改善 需給悪化 賃料 下落 賃料 上昇 7,000円 8,000円 9,000円 10,000円 11,000円 12,000円 13,000円 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% (オフィスレント・インデックス:2半期移動平均) (空室率) 2000年2H~2004年2H 2004年2H~2012年2H 2012年2H~2018年2H 2018年2H

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2-2 需給動向 三鬼商事によると、大阪ビジネス地区では、2014 年以降の新規供給が限られる中、築古オフィス ビルの滅失は増えており、賃貸可能面積(総供給面積)は微増に留まっている(図表6)。 一方、賃貸面積(総需要面積)は2011 年以降、8 年連続で増加している。賃貸可能床面積は、8 年間で7.7 万坪の増加(212.4 万坪⇒220.1 万坪)であったの対し、賃貸面積は 26.7 万坪の増加(187.2 万坪⇒213.9 万坪)と大幅な増加となった。 月次の増減を確認しても、賃貸面積は、着実な増加を示しており、大阪のオフィス需要の底堅さ が窺える(図表7)。 結果、2018 年末の大阪ビジネス地区 の空室面積は 6.2 万坪(前年比▲1.9 万坪)まで減少し、フ ァンドバブル期のボトムである9.4 万坪(2007 年末)を下回った。 図表-6 大阪ビジネス地区の 賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積 (注)大阪ビジネス地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区)に立地する 延床面積 1 千坪以上の主要賃貸事務所ビルを対象 (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所が作成 図表-7 大阪ビジネス地区の 賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積の増減 <年次・増減> <月次・増減> (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所作成 9.4万坪 6.2万坪 0万坪 5万坪 10万坪 15万坪 20万坪 25万坪 30万坪 35万坪 40万坪 45万坪 50万坪 120万坪 140万坪 160万坪 180万坪 200万坪 220万坪 240万坪 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 賃貸面積(左目盛) 賃貸可能面積(左目盛) 現空面積(右目盛) -6万坪 -4万坪 -2万坪 0万坪 2万坪 4万坪 6万坪 8万坪 10万坪 12万坪 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 賃貸可能面積 賃貸面積 空室面積 -2万坪 -1万坪 0万坪 1万坪 2万坪 3万坪 4万坪 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 賃貸面積 空室面積 グランフロント大阪 ダイビル本館 新ダイビル本館 梅田清和ビル 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 賃貸可能面積 なんばSkyO

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大阪府の就業者数は、増加傾向で推移しており、2018 年第四半期には 449.2 万人(対前年同期+ 10.9 万人)に達した(図表 8)。このような就業者の増加が大阪のオフィス需要を下支えしている。 今後も、2025 年の大阪万博開催の経済波及効果3への期待などから、就業者が更に増加することが 見込まれる。 また、大阪府の2018 年 12 月の有効求人倍率は 1.77 と、全国平均(1.63)を上回り、労働市場 は逼迫した状況が続いている。人手不足が深刻化するなか、東京都心部の状況4と同じく、優秀な人 材の確保を目的としたオフィス環境の改善に対する意識が高まっている。そのためには、一定程度 の賃料負担を許容する企業が増えており、築浅の高機能ビルに対するニーズは強い。 また、優秀な人材を確保するために、働く場所に関して多様な選択肢を用意し、従業員の働きやす さを担保する動きも始まっている。コワーキングスペース大手のWeWork は、2018 年に竣工した「な んばSkyO(なんばスカイオ)」に拠点を開設した。オフィス需要の新たな担い手となる可能性もあり、 今後の事業展開は注視したい。 図表-8 大阪府の 就業者数の増減数(対前年同期) (出所)大阪府総務部統計課「大阪の就業状況」を基にニッセイ基礎研究所作成 2-3. エリア別動向 2018 年末時点で最も賃貸可能面積が集積しているエリアは、「梅田地区(34.5%)」で、次いで「淀 屋橋・本町地区(30.8%)」、「船場地区(15.0%)」、「新大阪地区(9.7%)」、「心斎橋・難波地区(5.1%)」、 「南森町地区(5.0%)」の順となっている(図表 9)。 2018 年は「なんば SkyO(なんばスカイオ)」の竣工により、「心斎橋・難波地区」で賃貸可能面 積が1.0 坪増加した。一方、滅失等により「淀屋橋・本町地区」(▲0.4 万坪)や「梅田地区」(▲0.2 万坪)、「南森地区」(▲0.1 万坪)では減少した(図表 10)。 賃貸面積は、「心斎橋・難波地区」(+1.0 万坪)や「淀屋橋・本町地区」(+0.7 万坪)、「船場地区」 (+0.5 万坪)で増加した。この結果、空室面積は、「淀屋橋・本町地区」(▲1.1 万坪)や「船場地 区」(▲0.5 万坪)をはじめとして、「心斎橋・難波地区」を除く全ての地区で減少した。 3 経済産業省「大阪・関西における 2025 年国際博覧会の開催に向けて」によれば、大阪万博の入場者は約 2,800 万人、経済波及 効果は約 2 兆円と試算されている。 4 吉田資「東京都心部 A クラスビルのオフィス市況見通し(2019 年)」ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2019 年 2 月 15 -12 -6 0 6 12 2017年Q1 2017年Q2 2017年Q3 2017年Q4 2018年Q1 2018年Q2 2018年Q3 2018年Q4 (万人)

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図表-9 大阪ビジネス地区の地区別 オフィス面積構成比(2018 年) 図表-10 大阪ビジネス地区の地区別 オフィス需給面積増分(2018 年) (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所が作成 (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所が作成 大阪の空室率をエリア別にみると、2018 年は「心斎橋・難波地区」を除くすべての地区において、 低下基調で推移した(図表11 左図)。特に、「淀屋橋・本町地区」の空室率(2018 年 12 月時点)は 2.4%となり、2002 年以降で過去最低水準まで低下した。一方、「心斎橋・難波地区」は「なんば SkyO」が竣工した影響等で 2018 年 9 月に空室率が大きく上昇したが、その後は改善にむかってい る。 また、募集賃料をエリア別にみると、「梅田地区」・「淀屋橋・本町地区」・「船場地区」の賃料は 2017 年初から上昇基調に転じている。2018 年に入り、その他の地区でも(「南森町地区」・「新大阪 地区」・「心斎橋・難波地区」)賃料は上昇に転じ、すべての地区で賃料は上昇局面に入った(図表11 右図)。 図表-11 大阪ビジネス地区の地区別空室率・募集賃料の推移(月次) <空室率> <募集賃料(2013.1=100)> (注)大阪ビジネス地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大 阪地区)の延床面積 1 千坪以上の主要賃貸事務所ビル (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所が作成 (注)大阪ビジネス地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大 阪地区)の延床面積 1 千坪以上の主要賃貸事務所ビル (出所)三鬼商事のデータを基にニッセイ基礎研究所が作成 3 大阪オフィス市場の見通し 3-1. 生産年齢人口の見通し 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」によると、大阪市の生産年齢人口(15 ~64 歳人口)は 2015 年(171 万人)から 2015 年(170 万人)にかけてほぼ同水準で推移した後、 24.4% 34.7% 34.5% 8.2% 5.0% 5.0% 26.2% 30.9% 30.8% 23.0% 14.8% 15.0% 6.3% 5.1% 5.1% 11.9% 9.6% 9.7% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 空室面積 賃貸面積 賃貸可能面積 梅田 南森町 淀屋橋・本町 船場 心斎橋・難波 新大阪 -40千坪 -30千坪 -20千坪 -10千坪 0千坪 10千坪 20千坪 30千坪 40千坪 賃貸可能面積 賃貸面積 空室面積 梅田 南森町 淀屋橋・本町 船場 心斎橋・難波 新大阪 大阪ビジネス地区 2.83% 梅田 2.01% 南森町 4.57% 淀屋橋・本町 2.41% 船場 4.34% 心斎橋・難波 3.46% 新大阪 3.50% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 大阪ビジネス地区 100.9 梅田 104.6 南森町 98.5 淀屋橋・本町 100.1 船場 100.7 心斎橋・難波 95.6 新大阪 98.7 94 96 98 100 102 104 106 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年

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2020 年以降に本格的に減少すると予測されている(図表 12)。ただし、大阪市「大阪市の推計人口 年報」によれば、2018 年の生産年齢人口は 173 万人となり、2015 年から増加している。 生産年齢人口の増加を支えている要因の1つは、大阪市中心部への旺盛な人口流入である。総務 省「住民基本台帳人口移動報告」によると、大阪市の転入超過数52000 年以降、増加傾向で推移 している。2018 年の大阪市の転入超過数は+13,796 人(前年比+3,105 人)と、他の主要都市と比 較しても人口流入が高水準であることがわかる(図表 13)。一方、大阪圏(大阪府,兵庫県,京都 府,奈良県)の転入超過数は、▲7,907 人と人口流出が続いている。大阪圏では、人口が大阪市に 一極集中する傾向が続いている(図表14)。 以上の状況を鑑みると、今後5 年間で大阪市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さ く、引き続き、大阪のオフィス需要は底堅いと見込む。 図表-12 大阪市の年齢 3 区分別人口の現況と見通し (出所)国勢調査各年、国立社会保障・人口問題研究所 図表-13 主要都市の転入超過数 図表-14 大阪圏、大阪府、大阪市の転入超過数 (出所)住民基本台帳人口移動報告 (出所)住民基本台帳人口移動報告 3-2. 新規供給見通し 大阪のオフィスビル新規供給量は、「グランフロント大阪」や「ダイビル本館」等が竣工し、高水 準となった2013 年(約 6.0 万坪)以降、限定的な状況が続いている。2018 年の新規供給量は約 1.5 260 260 263 267 269 269 266 262 256 249 241 35 33 32 31 30 29 27 26 25 24 23 188 182 175 173 171 170 169 165 157 146 138 37 44 53 60 68 71 70 71 74 79 81 0万人 50万人 100万人 150万人 200万人 250万人 300万人 350万人 1995 年 2000 年 2005 年 2010 年 2015 年 2020 年 2025 年 2030 年 2035 年 2040 年 2045 年 生産年齢人口 年少人口 高齢者人口 大阪市人口 予測 札幌市 仙台市 名古屋市 大阪市 福岡市 -15,000人 -10,000人 -5,000人 0人 5,000人 10,000人 15,000人 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 大阪圏 -7,907人 大阪府 5,197人 大阪市 13,796人 -40,000人 -30,000人 -20,000人 -10,000人 0人 10,000人 20,000人 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年

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万坪となり、「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」等が竣工した2017 年の新規供給量(約 2.5 万坪)を下回った(図表 15)。 今後3 年間の大規模ビルの新規供給(2019 年~2021 年)も、「オービック御堂筋ビル」や「新サ ンケイビル建替プロジェクト」等に限定されており、大阪市では低水準の新規供給状況が続くと見 込まれる。 大阪の過去5 年間の新規供給面積が総ストックに占める割合は、2.6%であった。主要都市と比較 すると、仙台市(1.1%)と福岡市(2.5%)に次いで小さい(図表-8)。過去 10 年間でみても新規 供給面積の割合も約1 割に留まっており、築浅オフィスビルの希少性が高い状況が続くと思われる (図表16)。 ただし、2022 年以降、「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(大阪神ビルディングと新阪急ビルの 一体建替)や「梅田3 丁目計画」(大阪中央郵便局と大弘ビル跡地)、「うめきた 2 期」等、梅田駅周 辺で複数の大規模開発が計画されている。新規供給量は大きく増加すると見込まれ、需給バランス を注視する必要があるだろう。 図表-15 大阪のオフィスビル新規供給見通し 図表-16 主要都市の新規供給動向 (2018 年ストック対比) (出所)三幸エステート (出所)三幸エステートのデータを基にニッセイ基礎研究所作成 3-3. 賃料見通し 前述の新規供給見通しや経済予測6、生産年齢人口の見通しを前提に、2023 年までの大阪のオフ ィス賃料を予測した(図表17)。 大阪の空室率は、2021 年まで新規供給が限定的なこともあり、当面の間、極めて低い水準を維持 すると見込まれる。2022 年以降は、梅田駅周辺で複数の大規模開発が計画されていることから、空 室率は上昇するが、底堅い需要に支えられ大幅な上昇には至らないと思われる。 大阪のオフィス賃料は、逼迫した需給状況を反映し、当面の間、上昇が続くと予想される。2018 年の賃料を100 とした場合、2019 年の賃料は 104、2020 年は 108 と堅調に上昇する見通しだ。 2021 年以降は、東京五輪開催後の経済の落ち込みや梅田駅周辺の大規模開発を控えて空室率が上 6 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2018~2028 年度)」ニッセイ基礎研究所、Weekly エコノミスト・ レター、2018 年 10 月 12 日、斎藤太郎「2018~2020 年度経済見通し-17 年 7-9 月期GDP2 次速報後改定」ニッセイ基礎研究 所、Weekly エコノミスト・レター、2018 年 12 月 10 日などを基に設定。 0万坪 1万坪 2万坪 3万坪 4万坪 5万坪 6万坪 7万坪 8万坪 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 予測 9.1% 7.7% 6.2% 2.1% 9.4% 5.1% 9.5% 2.6% 6.8% 2.8% 1.1% 2.5% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 20.0% 都心5区 大阪市 名古屋市 札幌市 仙台市 福岡市 新規供給時期;2014年-2018年 新規供給時期;2009年-2013年 (新規供給面積合計・ストック比)

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昇する影響を受け、賃料の伸びは鈍化すると見込む。成約賃料は2021 年から 2023 年にかけてほぼ 横ばい圏で推移すると予想する。 図表-17 大阪のオフィス賃料見通し (注)年推計は各年下半期の推計値を掲載。消費増税は 2019 年 10 月に実施と想定。 (出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」 将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などを基にニッセイ基礎研究所が推計 6,000円 7,000円 8,000円 9,000円 10,000円 11,000円 12,000円 13,000円 14,000円 15,000円 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 (円/月・坪) 予測 楽観 標準 悲観

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