音楽の取り組み
「自ら目を向け、手を伸ばし、探り
また考える音楽活動」
宮 崎 満智子
ケース1:Aくん
「ぱれっとの一番星」
「自分の身の回りのことができる」
「家から通える通所施設で
日中作業等の活動をして過ごす」
「キャリア教育の視点」
「とりくむ」…自分から手を伸ばして楽器を鳴らす
※ 楽器の音に耳を傾け、楽器に気付く。動かしたい手の 方向に楽器を動かすことで、自分で楽器を鳴らす。
(偶発的→意識的)
「主体性」「遂行力」
「授業のねらい」
・楽器の音に興味を持ち、自ら手を伸ばして曲 の中で楽器を鳴らす。
関連する教科:自立活動
「できる」「わかる」
経験から次のステップに 目を向ける力の育成へ
「授業の工夫」
・斜め35度に手をスライドさせる動きから、
ブラジルの楽器「クイーカ」に着目。
・♪おおきくみっつの歌に合わせて、
曲の中で楽器を鳴らす。
○関わり方と配慮
音を聞く→興味を引く→STの手本
→手を添えて演奏→自分から手を伸ばす
→スポンジを引っ張る
※一連の流れを、繰り返し丁寧に行う
「児童の様子より」
鳴き声のような音に興味を持ち、
目を向け手を伸ばす様子が見られた。
教師が手を添えて、握る場所を教え、
一緒に演奏するうちに自分から手を 伸ばすことが増え、スポンジを引っ 張りタイミングよく演奏することが できた。
ケース2:Bくん
「ぱれっとの一番星」
「自分の好きなことを安心できる人としたい」
「自分の好きなところへ好きなときに行きたい」
「キャリア教育の視点」
「かかわる」
自分で考えたことを、
自信を持って伝える ことができる。
「伝える」 「はたらく」
学習や経験を生かして、
自分なりの答えを選ぶ ことができる。
「選択」
「授業のねらい」
・身近な動物の鳴き声に興味を持ち、動物と鳴 き声を一致させると共に、想像力豊かに情景を 伝えることができる。
関連する教科:国語、日常生活の指導
学習に裏付けされた 自分の意見を持ち、
思いを伝えられる人へ
「授業の工夫」
・“鳴き声クイズ”で動物のイラストと 名前、鳴き声を一致させる。
・鳴き声を聞いて動物のイメージが浮かぶことを確認して から、♪踊る子猫、♪動物の謝肉祭の鑑賞をとおして、
動物がどんな風に動いているのか想像し、伝える。
○関わり方と配慮
大人のイメージを押しつけることなく、
子どもたちの自由な発想を大切にし、
発語やボディランゲージでの表現を言語化する ことで、イメージを共有する。
「児童の様子より」
実生活の中で動物と関わる経験は少ないBくんだが、
写真やイラストと鳴き声をつなげていくことで、
「できる」「わかる」と自信を持ち、曲を聴いて、
ネコのかわいさやゾウの雄大さを、自信を持って 表現することができていた。
今後に向けて・・・
「Aくん」
他の楽器への興味:鈴に手を伸ばした
→自分なりの鳴らす工夫:手首を返して鳴らす
→できる動きの中から、楽器を鳴らす
→周囲の物事への興味・関心の高まり
「Bくん」
伝わることでコミュニケーションを楽しむ
→音楽の歌詞をとおした語彙力の獲得(国語と関連)
→楽器を使った表現の広がり
→自分と他者との違いへの気付きと自己肯定感
「とりくむ」(自己実現)から
「かかわる」
(自他の理解能力)の育成へ
「かかわる」(伝える)から より深く「かかわる」
(自他の理解能力)の育成へ