33-1 1. はじめに 1-1. 研究の背景と目的 総務省統計局が実施した 2013 年の住宅・土地統計 調査※1において賃貸住宅の空室や別荘などを含む全 国の空き家総数は 820 万戸存在するという結果が報 告された。適正な管理のされない空き家は倒壊や火災 時の延焼地帯となるなど外部不経済をもたらす可能性 が高く、全国的に問題視されている。空き家問題への 取り組みは大きく分けて二つの方向性があり、第一に 外部不経済をもたらす空き家の除却を促進するという ものであり、第二に活用可能な空き家についてその利 用を促進していくというものである。空き家の活用を 促す取り組みとして「空き家バンク」を実施する自治 体が増加している。空き家バンクとは、1) 自治体が 空き物件所有者から物件情報の提供を受け、2) その 情報をホームページ ( 以下 HP) 上に掲載し、3) 新たな 居住者を呼び込もうとするものである。 福岡県内でも全 60 自治体中 18 自治体が空き家バ ンクを実施している。また、平成 26 年末に「空き家 等対策の推進に関する特別措置法※2」が成立したこと から、今後さらに設置自治体が増加すると考えられる。 以上から、本研究では福岡県内の空き家バンクに着 目し、1) 運営手法の類型化、2) 手法毎の課題の抽出、3) 課題に対する取り組みを明らかにすることで、空き家 バンク運営手法の示唆を得ることを目的とする。 1-2. 研究の方法 空き家バンクを実施している福岡県内の 18 自治体 を対象に、自治体 HP、空き家バンク実施要綱※ 3から 空き家バンクの運営目的、運営手法、登録・成約物件 数に関して調査を行う。次に、運営手法の分類と分析 を行い、特徴的と思われる自治体を対象に詳細なヒア リング調査を実施、各自治体の比較分析を行う。 2. 福岡県内の空き家バンク 2-1. 空き家バンクの概要(表1) 平成 26 年に全国自治体を対象に実施されたアン ケート調査※ 4によれば全国の 62.9% の自治体が空き 家バンクを導入している。それに対し福岡県の導入率 は 30%にとどまった。福岡県内では平成 24 年以降空 き家バンクを取り入れる自治体が急増している。運営
福岡県内の空き家バンク運営手法に関する研究
山田 泰輝 目的としては、18 自治体中 17 自治体が、活用手法と して、空き家に地域外からの移住者を呼び込むという 定住促進を第一の目的としている。また一方で、a3 市のみが危険老朽家屋※ 5の防止を掲げている。 2-2. 空き家バンクの運営手法 空き家バンクの運営には大きく分けて 3 つの段階が ある。①物件募集から空き家バンクへの登録までの「物 件登録段階」②空き家バンクHP上での「情報公開段階」 ③登録物件利用希望者が物件契約を行うまでの「契約 交渉段階」である。空き家バンク実施要綱から業務内 容を定義し、各段階に割り振った。さらに、自治体ご との業務内容比較を比較し(表2)、運営手法ををa)「自 治体・不動産協定型」b)「自治体主導型」c)「不動産主 導型」の 3 つに分類した ( 図2)。本項では、各形態の 特徴と運営における課題を示す。 2-2-1 a)自治体・不動産協定型 「自治体・不動産協定型」は自治体と不動産が協定を 組み、業務を分担する仕組みである。物件登録段階で は登録希望物件の調査を自治体が行う場合と、協定を 結んでいる不動産協会などに調査を依頼する場合があ る。また、契約交渉段階では、利用希望者に対し登録 ※6を義務付け、利用希望届を提出させる場合と、直 接不動産業者に問合せを行う場合がある( 表2)。 この仕組みは、自治体と不動産が業務を分担してい るため、自治体にとって専門的な意見が得られるとい う利点がある。一方で、公平性が求められる自治体に おいて、協定事業者の選抜方法が課題になることが推 察される。また、登録希望者の情報は自治体が情報を 表1 福岡県内の空き家バンク概要 家 屋 の み 危険老朽家屋の防止 a 3 市 33 3 家 屋 の み H22 年 定 住 促 進 a 4 市 10 15 家 屋 の み 定 住 促 進 b 8 町 3 家 屋 の み 家 屋 の み 定 住 促 進 定 住 促 進 H24 年 b 2 市 c 1 市 11 11 6 6 定 住 促 進 H18 年 c 2 市 28 13 土 地・家 屋 土 地・家 屋 定 住 促 進 b 7 町 15 4 設置自治体 a 1 市 開始年 取り扱い物件 土 地・家 屋 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み 家 屋 の み H26 年 運営目的 登録物件数 *1 28 *3 34 *3 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 定 住 促 進 成約物件数 *2 a 2 市 a 7 市 H25 年 a 8 町 b 1 市 b 4 町 b 5 町 b 6 町 a 5 市 a 6 市 b 3 市 1 1 1 15 70 54 15 13 4 0 0 0 3 0 18 5 2 2 1 0 0 *1…平成 26 年 12 月現在。*2…開始年から平成 26 年 12 月までの累計 *3…空き家でも古家つき土地として扱うこともあるため、土地と家屋の分類はせず33-2 管理できるものの、利用希望者に対する窓口が分かれ ているため、情報の管理が課題となる可能性が高い。 2-2-2 b)自治体主導型 「自治体主導型」は自治体が空き家バンク業務のほと んどを担う仕組みである。物件登録段階では自治体の 担当者が登録希望物件の調査をおこない、また契約交 渉段階でも、利用希望者と物件所有者の顔合わせ日程 調整を行うなど「自治体・不動産協定型」と比べ、自 治体の業務が多い。また、物件の契約に関しては不動 産仲介を義務付けず、当事者間のやりとりに任せる。 「自治体主導型」は、物件登録・契約交渉段階共に自 治体が窓口であるため、空き家バンクに関する情報の 一元管理が可能であり、自治体の判断で、物件や移住 者の抽出・選抜が行うことができる。一方で、契約は 当事者間のやりとりに任せているため、契約時のトラ ブル発生を防ぐ必要性があると推察される。 この仕組みを取り入れている 8 自治体中5つが利用 者登録を義務付けている。空き家バンク実施要綱によ れば、これは利用者を選抜するための規定であり、当 事者間の問題発生を防ぐ意向があるものと思われる。 2-2-3 c) 不動産主導型 「不動産主導型」は、空き物件所有者からの物件登録 を受付けず、地元の不動産が管理している物件情報を 掲載する仕組みである。そのため、自治体の業務と しては、空き家バンク HP 上での情報発信のみである。 物件利用希望者は、不動産仲介のもと契約を行う。 この仕組みは、前記二つの仕組みに比べ自治体の負 担は少ない。また、物件登録希望者・利用希望者共に 不動産業者が窓口であるため、自治体が契約時のトラ ブルに関与しない。一方で、窓口が自治体にないこと から、物件成約時には、不動産業者から自治体への報 告・情報更新が必要になるなど、自治体 HP 上での物 件情報管理が課題となることが推察される。 2-3. 運営形態別に見る総登録・成約物件数 本項では、運営形態別に総登録物件数、総成約物件 数の比較を行い、運営形態ごとに分析を行う(図1)。 福岡県内の登録物件数平均は年間 8.9 件、成約物件数 平均は年間 2.9 件となった。 2-3-1. 自治体・不動産協定型 自治体 a1 は登録物件数、成約物件数、成約率共に 福岡県平均を上回った。a3 の成約物件数は福岡県平 均を大幅に下回り、成約物件数も平均的であったが、 登録物件数は福岡県平均を大幅に上回った。この運営 形態は、登録・成約物件数が多い自治体もあるが、平 均成約率に対して振れ幅があることがわかる。 図1 空き家バンク運営モデル 表2 空き家バンク運営手法 a8 町 a1 市 ❶物件登録段階 ❸契約交渉段階 a b c a2 市 a3 市 a4 市 a5 市 a6 市 a7 市 b1 市 b7 町 b8 町 c1 市 c2 市 *2 自治体の担当者が外部の不動産業者に物件調査を依頼する際に発生する業務。*3 自治体の担当者は 利用希望者から物件に関する問い合わせがあった際は、物件に関する情報、もしくは管理業者の連絡 先を公開する。場合によっては物件の内覧も実施する。 *4 利用希望者があわられた際は物件の所有者、管理不動産等関係各所への連絡する。 *5 物件内覧、契約交渉等の日程を調整する。 物件登録申込み 物件調査依頼 *2 物件調査 媒介契約 情報発信 利用者登録 利用希望届 契約 物件問合わせ *3 連絡 *4 日程調整 *5 運営形態 設置自治体 :不動産業務 :物件所有者業務 :利用希望者業務 :自治体業務 b4 町 b5 町 b6 町 b2 市 b3 市 ❷情報公開段階 自治体 ・ 不動産協定型 自治体主導型 不動産主導型 自治体 不動産 物件利用希望者 不動産 自治体 物件利用 希望者 物件登録 希望者 自治体 不動産 物件利用 希望者 物件登録 希望者 協定 類型 モデル図 内容 自治体と不動産業者が協定を組み、業 務を分担する。具体的には物件登録希望 者から登録依頼のあった物件に対して、 自治体が窓口になり受けつけ、不動産業 者が物件の調査・媒介契約などを行う。 利用希望者に対しては、自治体が窓口 となり、不動産業者が物件所有者と利用 希望者の契約を仲介する。 自治体が単独で業務を行う。具体的に は物件登録希望者から登録依頼のあった 物件に対して、自治体が窓口となり受け 付け、調査、情報発信をおこなう。 物件利用希望者が現れた際も、自治体 が窓口となり、物件の情報を公開する。 契約は当事者間、もしくは不動産仲介の もと執り行われる。 自治体は不動産業者から物件情報を受 け、その情報を自治体のホームページ上 で公開する。 利用希望者は直接不動産に連絡を取り、 不動産仲介の元、物件の契約を執り行う。 図1 総登録・成約物件数の年平均 b1 5 10 20 15 総成約物件数 :年平均 * (件) 福岡県平均▲ 福岡県平均成約率▼ 登録物件数:年平均 *(件) * 注:自治体の設置年数を加味し、年平均としている。 10 20 30 40 a1 a2,a6 a5 a4 a8 a3 b2 b3,b5,b6 b4 b7 b8 c1c2 a7 ◀福岡県平均 :自治体・不動産協定型 :自治体主導型 :不動産主導型
33-3 図2 各自治体の業務内容比較 2-3-2. 自治体主導型 b1 のみ、いずれも福岡県平均を大幅に上回り、そ れ以外の自治体は平均以下という結果であった。しか し、成約率平均に着目するといずれも平均的である。 2-3-3. 不動産主導型 自治体 c1、c2 共に成約率は平均的であるが、登録 物件数、成約物件数ともに福岡県平均を下回った。 2-4. 小結 本章では、1)空き家バンクの運営手法の類型化、2) 運営形態毎の課題の抽出を行い、3)運営形態と登録・ 成約物件数の関係についての知見を得た。しかし、同 じ運営形態でも、自治体ごとに登録・成約物件数の差 がある。これは自治体の取り組みに違いがあることが 推察される。 3. 空き家バンクの運営手法に関するケーススタディ 前章を経て、特徴的と思われる自治体を 6 自治体抽 出し、ヒアリング調査を実施した。本章では、より詳 細な業務内容の比較分析を行う。 3-1. 各自治体の空き家バンクの特徴 ( 図2) 本項では a1 市、a3 市、b1 市について、詳細な業務 内容について、その特徴をまとめる。 ⑴ a1 市の事例 a1 市の特徴は、まずⅰ)協定事業者の選抜方法が挙 げられる。a1 市の協定事業者は、住宅関連業者の団 体である。この団体は、空き家バンク設置以前、a1 市に対して提言書を提出し、同市はこの団体との協定 を前提に空き家バンクを設置した。次にⅱ)その業務 内容が挙げられる。同市は上記団体と協定を組むこと で、業務を分担し、自治体は登録希望物件の調査や契 約交渉には関わらず、物件情報に関する窓口に徹底し ているといえる。また、民間業者の視点を取り入れる ことで、比較的良質な住宅を登録している。 ⑵ a3 市の事例 a3 市の特徴としては、ⅰ)協定事業者の選抜方法が 挙げられる。同市は、市内不動産業者数が多く、協定 事業者の選抜が課題となった。そこで同市は、福岡県 宅建協会※7・全日本不動産協会※8に属す不動産業者 を対象に規定を設け、協定事業者を募った。次にⅱ) 物件登録段階における業務内容が挙げられる。同市は 管理不動産が不在の物件のみ対象に物件の募集を行う。 登録希望物件に対して同市の担当者が現地調査を実施 し、比較的軽度の改修で居住可能な物件を選抜する。 その後、協定不動産業者を対象に媒介契約※9事業者 を募集し、所有者は商談会※ 10において媒介契約事業 者を選抜し、専任媒介契約を結ぶ。 運営形態 自 治 体 ・ 不 動 産 協 定 型 自 治 体 主 導 型 不 動 産 主 導 型 設置自治体 担当職員 兼任職員 専任職員 協定・協力 市民公益活動団体 全日本不動産協会 福岡県宅建協会 福岡県宅建協会 市内不動産業者(仲介) 地元行政区長 不動産業者(市内・外問わず) 段階 *1 a1 a3 a7 b1 b3 c2 物件登録希望者 業務内容 ❶ ❷ ❸ ❶ ❷ ❸ ❶ ❷ ❸ ❶ ❷ ❸ 自治体 不動産業者 利用希望者 兼任職員 専任職員 兼任職員 専任職員 兼任職員 専任職員 兼任職員 専任職員 兼任職員 専任職員 物 件 の 募 集 物 件 登 録 応 募 登 録 手 続 き 物件立ち入り調査 媒介事業者募集 応 募 媒介事業者選定 通知 媒 介 契 約( 専 任 ) 媒 介 契 約( 専 任 ) 商 談 会 情 報 発 信 問 合 せ 物 件 の 募 集 応 募 物 件 の 募 集 応 募 登 録 手 続 き 物件の募集/掘り起こし 応 募 登 録 手 続 き 物 件 調 査 媒介契約(指定なし) 媒介契約(指定なし) 媒介事業者名簿提供 媒介事業者選定 通知 物件立ち入り調査 物件調査依頼 媒 介 契 約 媒 介 契 約 報 告 報 告 報 告 契 約 手 続 き 報告 物件情報削除 仲介手数料支払い 成 約 物 件 登 録 情 報 発 信 問 合 せ 登 録 手 続 き 物件立ち入り調査 物件登録 情報発信 利用希望者登録 利用者登録手続き 契約手続き (契約仲介) (業者案内) 物件案内 利用希望届 契 約 手 続 き 報告 物件情報削除 仲介手数料支払い 成 約 物件情報削除 報告 成 約 成 約 契 約 手 続 き 報告 物件情報削除 成 約 物 件 登 録 情 報 発 信 問 合 せ 契 約 手 続 き 報告 物件情報削除 仲介手数料支払い 成 約 日程調整 (業者案内) 日程調整 契約手続き ❶ ❷ ❸ ❶ ❷ ❸ 物件の募集 応 募 登 録 手 続 き 物件の募集 応 募 登 録 手 続 き 物 件 登 録 情 報 発 信 問 合 せ 物件調査 物件登録 情報発信 利用希望者登録 利用者登録手続き 契約手続き (契約仲介) 利用希望届 物件情報削除 報告 契約手続き *1 表記は次の通り ❶:物件登録段階 ❷:情報公開段階 ❸:契約交渉段階
33-4 ⑶ b1 市の事例 b1 市の特徴はⅰ ) 専任職員を配置していること。さ らにⅱ)その業務内容が挙げられる。同市は地域的な 背景として、同市内の不動産業者が少なく、不動産情 報が流通していない。それを受け、同市は物件登録段 階において、登録物件の募集に加え、専任職員が直接 地元行政区長や不動産業者と連絡を取り合い、物件情 報の掘り起こしを行う。また契約交渉段階においても 利用希望者に対して物件案内、不動産業者案内を行う。 3-2. 運営形態別業務内容における比較(図3) 3-2-1. 自治体・不動産協定型 a3 市は3自治体の中で物件登録段階における業務 内容が最も多い。前述のとおり、a3 市は未管理の物 件に限定して募集を行っている。これは、空き家の危 険老朽家屋化を防ぐことを目的とし、市外に住む物件 所有者など、市内の不動産業者を知らず、不動産業者 と媒介契約を交わしていない人を主な対象としている ためである。詳細な業務内容に着目すると、登録・成 約物件数共に福岡県平均以下となった a7 市には、商 談会、媒介契約内容の指定は見受けられない。 「自治体・不動産協定型」において、物件登録段階の 窓口は自治体にあるため、自治体が主導で物件を選抜 できる。登録物件数増加のためには、登録対象物件を 定め、業務内容を決定することが有効である。 3-2-2. 自治体主導型 b1 市は専任職員を一名配置している。これは 6 自 治体で唯一の取り組みである。また、物件登録段階に おける、空き物件情報の掘り起こしは、空き家の所有 者に対する積極的な業務と考えられ、また契約交渉段 階における物件案内や不動産業者案内は、利用希望者 に対するきめ細やかな対応である。 一方で b3 市は専任職員の配置はなく、また、物件 登録段階における、掘り起こし等の業務、契約交渉段 階における、利用希望者の物件案内業務は行わない。 「自治体主導型」において、物件所有者、利用希望者 のに対して、自治体がより積極的な業務を行うことが 登録・成約物件数の増加に有効であると推察される。 3-3. 各自治体の協力事業者(図2) 本項では、協力事業者と空き家バンクの関係につい て知見を得る。a1 市の協定事業者は自治体に積極的 な働きかけを行ったことから、空き家バンクへの理解 度が高いと考えられる。 a7 市は a3 市と同じく福岡県宅建協会と協定を結ん でいるが、a7 市と a3 市では協定の内容が異なる。a3 市は物件の媒介事業者として協定を結んでいるが、a7 市は福岡県宅建協会が運営する不動産情報サイト「ふ れんず」※ 11からの物件情報の提供を受けている。a7 市はこの情報をもとに、空き家バンクと異なる定住促 進サイトを同市 HP 上に設置し、その HP 内で「ふれん ず」の情報を閲覧できる仕組みとしている。これは空 き家バンクの登録物件数を補っていると考えられる。 c2 市は「不動産主導型」であり、市内・外を問わず、 市内に管理物件を持つ不動産業者の情報をもとに空き 家バンクを運営する。また、同市は空き家バンク内の 物件情報の更新を目的に、1年に 2 回協力不動産業者 と会議を行う。 3-4. 小結 本章では、自治体へのヒアリング調査による、詳細 な業務内容の比較分析から、空き家バンク運営手法に 関して考察を行った。各自治体は、大まかな業務には 違いはないものの、一つの業務内容に着目すると、各 自治体毎の取り組み度合いに違いが見られた。それら のことが空き家バンクにおける登録・成約物件の増加 につながっていることが考えられる。 4. まとめ 本研究では福岡県内の空き家バンク設置自治体を対 象に、空き家バンクの現状把握を行い、それに基づく 運営手法の類型化と、それぞれの運営形態における課 題の抽出を行うことができた。また運営手法のケース スタディによって特徴的な事例の詳細な運営手法・課 題に対する取り組みについて知見を得た。ケーススタ ディによる事例からもわかるように、空き家バンクは 具体的な手法が定められておらず、各自治体が独自に 目的を定め、運営手法を模索し、県内で取り組みが活 発化しているものと思われる。今後の空き家バンクは、 自治体が地域の現状を把握し、目的設定を行ったうえ で、適切な運営形態を選択することにより、空き家バ ンクシステムの向上に繋げることができるであろう。 【註】 ※1総務省統計局により5年ごとに開催。国内の住宅・土地の現状把握、推移を明らか にする。 ※2平成26年11月27日公布。第11条に「市町村は、空家等(中略)に関す るデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を 講ずるよう努めるものとする。」とある。 ※3空き家バンクを設置している各自治体が、 その運用目的から所有者の義務、利用希望者の義務などを定めている。 ※4平成21年 から5年ごとに一般社団法人移住・交流推進機構によって実施される。※5倒壊など外 部不経済を及ぼす可能性がある老朽度の高い空き家のこと。 ※6利用者登録とは、空 き家バンクに登録された物件の利用希望者に対して自治体が規定を設け、適切と認めら れる者を選抜するため個人情報などを登録すること。 ※7公益財団法人福岡県宅地建 物取引業協会(ハトのマーク) ※8公益社団法人全日本不動産協会(ウサギのマーク) ※9不動産業者に売却・購入の仲介を依頼する場合に締結されるもの。一般・専任・専 属専任の3種類ある。 ※10市の職員立ち会いのもと物件登録希望者、媒介契約希望業 者(複数)により行われる。物件登録希望者は複数の不動産業者の中から一社だけを選定 し専任媒介契約を締結する。 ※11福岡県宅建協会によって運営される福岡県内の不動 産情報HP。本研究で扱う不動産物件情報は「中古一戸建て」に限定した。 【参考文献/参考資料】 ※1住宅・土地統計調査/H10.H15.H20.H25(速報)/総務省統計局 ※3宗像市・福津市・北九州市・岡垣町・八女市・筑後市・うきは市・糸島市・豊前市・ みやこ町・上毛町・築上町・柳川市・田川市・香春町・添田町・みやま市・宮若市 「空き家バンクHP」及び「空き家バンク設置要綱」 ※4「空き家バンク」を活用した移住・交流促進事業 自治体調査報告書