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訓 練 初 心 者 と 知 的 障 害 児 の 相 互 交 渉 の 変 容 過 程

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Academic year: 2021

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(1)

訓 練 初 心 者 と 知 的 障 害 児 の 相 互 交 渉 の 変 容 過 程

一 動 作 法 に お け る 訓 練 場 面 と 両 者 の ご っ こ 遊 び 場 面 の 比 較 一

障害児教育専攻 石 井 智 子

.問題と目的

本研究では,障害児との遊びが未経験であり,

動作法による訓練初心者でもある筆者が,知的 障害児 2名に個別に動作法とごっこ遊びを一定 期間継続的に実施する。そして,動作法による 訓練場面とごっこ遊び場面におけるこ者間の相 互交渉の変容を分析し,両場面での筆者の働き かけとそれに対する対象児の対応にどのような 関連性があるかを検討する。

I I .

研究方法

1.対象児および訓練者 ( 1 )対象児

事例1:女児。 4歳1か月。知的障害(重度障 害)。歩行は可能であるが,右脚にのりにくい。

他者からの働きかけに無反応を示すことが多い。

事例2:女児。 4歳。知的障害(重度障害)。歩 行は可能であるが,左脚にのりにくい。歩行の 際,よく転倒する。注意が散漫である。

(2)訓練者

筆者(大学院生・女性)である。平成 12年

5

月から,毎月

3

か所での月例訓練会と夏季集 団集中訓練に2回参加している。

2 .

指導期間・場所

両事例とも,指導は平成13年5月‑‑11月の 7か月に渡仏知的障害児通園施設で実施され た。VTRにより計25回の資料が収集された。

3.指導内容

( 1 ) 動作法による訓練

事例1: i膝立ち位で、の右への体重移動J,i立位

指 導 教 官 安 好 博 光

での膝の屈げ伸ばし」

事例 2: i膝立ち位での左への体重移動J,i膝立 ち位から左片膝立ち位への姿勢変換」

( 2 )  

ごっこ遊び

事例1・2:人形やキッチンセットを用い,ご っこ遊びを行う。訓練者が対象児の無反応やひ とり遊びに対して,働きかけを工夫し,二者間 の相互交渉を向上させる。また,人形を介した 三者間での遊びを展開できるようにする。

4.分析の視点

事例1,2とも分析の視点は以下の通りである。

( 1 )動作法による訓練

①課題の達成頻度

②姿勢補助パターンの流れの変容

③姿勢の歪みの変容

④ステージ4での対象児の主動性(事例1のみ)

⑤ステージ2での対象児の主動性(事例2のみ)

⑥訓練時間の変容(事例2のみ)

( 2 )

ごっこ遊び

①最高作用数の変容

②相互交渉開始時の始発の変容

③対象児の反応の分類

④最高作用数をもっ相互交渉の変容

⑤最低作用数をもっ相互交渉の変容 III.結果と考察

【事例1】

6, 7回目に,ごっこ遊びにおいて無反応が 減り,訓練者に慣れ始めた。これは,ごっこ遊 びが対象児にとって受け入れやすかったためで

(2)

ある。一方,訓練者は抽象的で不適切な働き かけを続けた。夏休み後,両場面で訓練者と対 象児に変容が見られた。この時期は,訓練者が 対象児の反応や行動の予測ができ始めた時期で ある。訓練技法が向上し,徐々に補助を減らし ても,正確な指示ができるようになった。対象 児の姿勢の歪みも改善され,訓練者の指示に応 じて,課題の遂行が可能になったことにつなが った。同様に,ごっこ遊びにおいても,対象児 の反応しやすい働きかけに訓練者が気づき,具 体的にことばと動作で適切な働きかけができる ようになった。 19回目頃,訓練者は対象児自身 で課題を遂行すること,ごっこ遊びで対象児か らの働きかけを待つことの重要さに気づき,両 場面で二者間の相互交渉が向上した。

【事例2】

両場面において, 4回目以降,訓練者は対象 児の反応や行動を予測できるようになった。対 象児も訓練の一連の流れを習得し,同時にごっ こ遊びでも,訓練者の働きかけに応答する頻度 が高くなった。

8

回目以降,対象児は訓練者を より意識し始め,訓練で拘束されることを嫌が った。ごっこ遊びでも,訓練者を無視するひと り遊びが増加し,訓練者は最初は戸惑ったが,

訓練者自身の働きかけの問題であることに気づ き,働きかけを工夫した結果徐々に二者間の 相互交渉が向上した。訓練者が「できる瞬間」

を見逃さず,他動から訓練に入る,あるいは,

時には待つ等の二人の駆け引きが重要であった。

同時に,ごっこ遊びでも,人形を使用して働き かけを工夫し,訓練者に注意を向けるように促 した。 20回目頃,訓練者がゆとりをもったかか わり方ができ,対象児も訓練者の働きかけを予 測できる等,両場面で二者間の相互交渉が向上

した。

N.全体考察

両場面での訓練者と対象児の相互交渉の変容 は,両事例とも,ほぼ同時期であり,時期的な 関連性があることが明らかになった。訓練者が 対象児の反応や行動を予測できず,戸惑いなが らかかわる時期は両場面において訓練者の働 きかけが不適切で、あった。その働きかけは,身 体を通して対象児にも伝わり 課題を遂行する ことが困難で,ごっこ遊びにおいても,無反応,

ひとり遊び、の頻度を高める結果となった。この ような対象児の反応に対し,再び訓練者が指示 的,非指示的な働きかけを繰り返す過程は,両 場面において同じであり その働きかけを続け ることで,相互交渉が向上した。一方,訓練者 の働きかけが,ごっこ遊びで具体的にことばと 動作で適切に働きかけることができると,動作 法による訓練においても,身体を通して対象児 に正確に意図を伝えることができた。そして,

訓練者は「対象児自身が課題を行う際の援助者J となった。対象児は,こ、っこ遊びで,訓練者の 働きかけを予測できるようになり,抽象的な働 きかけにも反応し,相互交渉が継続した。この ように,訓練者の働きかけと対象児の反応は,

両場面で相互に影響し合いながら,二者間の相 互交渉が向上した。

本研究で,訓練者(訓練初心者)側からの視 点で詳細に分析することにより,動作法による 訓練での訓練者の働きかけが,ごっこ遊びでの 訓練者の働きかけに反映されることを明らかに した。つまり,動作法での基本的な子どものか かわり方は,他場面でのかかわり方にも有効で あることが分かつた。

参照

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