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組 織 体 にお け る統 合 化 情 報 シス テム の

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(1)

組 織 体 にお け る統 合 化 情 報 シス テム の

概 念 的 フ レ ー ム ワ ー ク(2)

その理 念 と展 開

海 老 澤 栄 一一

目 次

1.は じめ に

2.現 実 の統 合 情 報 シ ス テ ム の イ メ ー ジ 1)情 報 シス テ ム 系 か らの イ メ ー ジ 2)ビ ジネ ス 系 か らの イ メ ー ジ 3.組 織 体 にお け る統 合化 の 意 味 検 討

1)"統 合 化"を 必 要 とす る時 代 的 背 景 2)"統 合 化"の 理 念

3)"統 合 化"の メル クマ ー ル

(前号 掲 載)

4.統 合 化 情 報 シス テ ム の 理 念 1)統 合 化 情 報 シス テム の構 造

(1)統 合 化 情 報 シス テム の構 成 要 素

② ヒ ュー マ ン系 の分 析

2)統 合 化 情 報 シス テ ム の概 念 的 フ レー ム ワ ー ク 3)統 合 化 情 報 シス テ ム の進 化 方 向

5.お わ りに

(本号 掲 載)

1

(2)

4.統 合 化 情 報 シ ス テ ム の 理 念

1)統 合 化情 報 シ ス テ ムの構 造 q)統 合化 情報 システムの構成要素

ハ ー ドウ ェ アや ソ フ トウ ェア 中 心 の情 報 技 術 にか んす る統 合化 の モ デル か ら,最 近 で は ビ ジネ ス 系 との統 合 を意 識 した モ デ ル構 築 や 調 査研 究 が行 わ れ る よ うに な っ て きた。 わ れ わ れ の フ レー ム ワー ク を構 築 す る上 で も有 用 だ と 思 われ る幾 つ か の文 献 の検 討 を加 えて み よ う。

バ ー ス ト(Hurst,1989)は,イ ギ リス の 哲 学 者 カ ー ル ・ポ パ ー(Karl PoPPa,1987)の3つ の 世 界 理 論(three‑worldtheory)に も とづ き,情 報 系 で の統 合 モ デ ル の構 築 を試 み た 。 ポパ ー の3つ の世 界 理 論 とは物 質 や エ ネ ル ギ ー にか ん す る世 界 観 の こ とで,世 界1を 物 的 世 界,世 界2を 精 神 的世 界, 世 界3を 客 観 的知 識 にか んす る世 界 として規 定 した。 バ ー ス トはポパ ー の理 論 に依 拠 しな が ら,世 界1を 相 違 の世 界,世 界2を 相 違 発 見 の世 界 あ るい は 問題 の世 界,世 界3を 客 観 的 知 識 構 築 の世 界 と名 づ けた。 世 界1と 世 界3の 相 互 作 用 は文 化 と して,ま た世 界2と 世 界3の 相 互 作 用 は期 待 と して規 定 し た 。 この こ とか ら世 界2に は主 観 的 な 問題 意 識 に裏 付 け られ た観 察 力 や 洞 察 力 が基 本 特 性 として位 置 づ け られ て い る。

この考 え方 を も と に して,情 報 にか ん す る統 合 の 方 向 も単 な る存在 か ら意 識 の世 界 へ と向 か う過 程 の 中 で検 討 が加 え られ て い る。 図5に そ の階 層構 造 が 示 され て い る。 まず第 一 は"相 違"で あ る。 次 の 第 二 が 低 次 元 で の相 違 の 統 合 を図 る"デ ー タ"で あ る。 第 三 の 統合 は相 違 を明 らか にす る相 違 とい う 意 味 で の"情 報"が 対 象 とな る。 さ らに上位 の第 四 の統 合 は情 報 の集 合 で あ る。"知 識"と よぶ こ と もで き る。 第 五 の統 合 は個 人 や 組 織 に とっ て意 義 あ る い は重 要 性 を もつ 知 識 と して の"意 味"で あ る。 最 上 位 の 第 六 は"主 体 性"で あ る。 バ ー ス トのモ デ ル の最 大 の特 徴 は,統 合 を主 体 の意 識 の対 象 に

2国 際経営論集No.51993

(3)

主体性

意 味 \

知 識

情 報

/

デ ー タ

/

出 典)Hurst,D.K.,"CreatingCompetitiveAdvantage:

WeldingImaginationtoExperience",TheAcademy

ofManagementEXECUTIVE,Vol.3No.1,1989,p .

33.

図5統 合 の 階 層

し た 点 で あ ろ う。 言 い換 えれ ば 人 間 系(ヒ ュ ー マ ン 系)を 分 析 の 中 心 に据 え た 点 で あ ろ う。

次 は ベ ン ジ ャ ミ ン 儒ス コ ッ トモ ー ト ン(Benjamin=ScottMorton,1988)

の モ デ ル で あ る 。 図6に 示 さ れ る 情 報 技 術 の 統 合 と そ れ が 戦 略 的 な 優 位 性 や 組 織 形 態 に 及 ぼ す 関 係 を 明 らか に した モ デ ル で は外 側 の 層 と内 側 の 層 の2層 構 造 に な っ て い る。 層1で は戦 略 的 な ア イ デ ィ ア と情 報 技 術 に よ る 支 援 可 能 性 との 関 係 が 明 らか に さ れ,層2で は情 報 技 術,統 合,戦 略 的 優 位 性,組 織 形 態 の 変 化 に か ん す る論 理 的 流 れ が 統 合 連 鎖 と し て 示 さ れ て い る 。 層2の 統 合 連 鎖 の な か で 情 報 技 術 と組 織 形 態 とが 一 緒 に 扱 わ れ て お り,構 成 要 素 間 の 識 別 が 必 ず し も明 確 に さ れ て い な い 点 に 問 題 が あ る よ う に 思 わ れ る 。 しか し 統 合 の対 象 と し て 組 織 系 や ビ ジ ネ ス 系 を取 り入 れ て い る点 で は そ れ な りに 意 味 は見 い だ せ る で あ ろ う。

こ の 他,シ ン 瓢ベ イ ヤ(Singh‑Beyer,1990)が90年 の シ ス テ ム イ ン テ グ レ ー シ ョ ン に か ん す る大 会 で 情 報 技 術 に よ る ビ ジ ネ ス 目標 の 支 援 環 境 を, 情 報 資 源 計 画 と い う概 念 を 使 い な が ら,プ ロ セ ス 指 向 と デ ー タ 指 向 との 統 合 モ デ ル に よ っ て 構 築 す る こ と を 提 案 し て い る 。 ま た フ ェ ル ドマ ン(Feld一

組織体 における統合化情報 システムの概念的フレームワーク②3

(4)

情 報 技 術 の コ ス トパ フ ォ ー マ ンス

よ り高 度 な 質 の相 互 関 連性 とデ ー

タ接 近 性

より新しい 組織機能

統合の形態 と過程の

再構築

市場 シェアの 改善

出典)Benjamin,R.1.,andScottMorton,M.S.,"lnformationTechnologyIntegra‑

tionandOrganizationalChange,"INTERFACES,Vo1.1.8No.3,May‑June 1988,p.92.

図6情 報 の 統 合 連 鎖 と戦 略 優 位 性 との 関係

man,1991)は 情 報 シ ス テ ム/情 報 技 術 の90年 代 の 課 題 が,マ ネ ジ メ ン トプ ロ セ ス を ビ ジ ネ ス計 画 の プ ロ セ ス に い か に 統 合 化 す る か に あ る こ と を強 調 し て い る。

以 上 の よ う な検 討 を 踏 ま え て,組 織 体 に お け る情 報 シ ス テ ム の 統 合 化 が い か に あ る べ きか を 考 え て み る こ とに す る。 わ れ わ れ は統 合 化 情 報 シ ス テ ム の 構 成 要 素 と し て,図7に 示 す よ う に,情 報 シ ス テ ム 系 の 他 に ビ ジ ネ ス 系 な ら び に ヒ ュ ー マ ン系 を 考 え た 。 そ の 理 由 は情 報 シ ス テ ム 系 が 支 援 対 象 と し て い

る の は ビ ジ ネ ス 系 で あ り,ま た 情 報 シ ス テ ム お よ び ビ ジ ネ ス の 双 方 の 実 行 主 体 と し て 参 加 し て い る の が 組 織 構 成 主 体 と し て の 成 員 だ か らで あ る。 ビ ジ ネ ス 系 で は,経 営 の 使 命 や 経 営 戦 略,経 営 諸 資 源,組 織,経 営 管 理 の 仕 組 み が 主 な 要 素 に な ろ う。 ま た 情 報 シ ス テ ム 系 で は,ネ ッ トワ ー ク,デ ー タ ベ ー ス の 他 に メ デ ィ ア や 情 報 が 対 象 とな ろ う。 さ ら に ヒ ュ ー マ ン系 で は意 思 決 定 や 人 間 関 係,パ ワ ー が 中 心 課 題 に な ろ う。 統 合 情 報 シ ス テ ム に か ん す る 従 来 の 議 論 で は,情 報 シ ス テ ム 系 の 統 合 が 中 心 テ0マ に な っ て い て,ビ ジ ネ ス 系 や

4国 際経営論集No.51993

(5)

使命,戦 略 経営資源 組織 経 営管理

ネ ッ ト ワ ー ク デ ー タ ベ ー ス メ デ ィ ア 情 報

意思決定 人間関係 パ ワー

図1組 織 体 におけ る統合化 惰 報 シス テムの体系

ヒュー マ ン系,中 で もヒ ュー マ ン系 にか んす る検 討 が 必 ず し も十 分 に な され て き てい な い よ うに思 わ れ る。 以 下 で は構 成 要 素 の うち,特 に これ まで の 分 析 が不 十 分 だ と思 わ れ る ヒ ュー マ ン系 に分析 視 点 を合 わ せ 統 合 化 の 固有 の 意 味 を検 討 して み た い。

② ヒューマ ン系の分析

ヒュー マ ン系 で は意 思 決 定 者 と して の 主体 が どの よ うな行 動 を とって い る の か,意 思 決 定 者 同 士 が組 織 の 中 で どの よ うな関 係 を相 互 に保 持 す る こ とに な るの か,さ らに また そ の人 間 関 係 が影 響 行 使 力 として のパ ワ0の 点 で どの よ う な こ とが起 こっ て い るの か の3つ の 要 素 につ い て,情 報 技 術 や情 報 シ ス テ ム との か か わ りを意 識 しなが ら,統 合 化 の 可 能性 に つ い て分 析 して み よ う。

a.意 思 決 定

第1の 意 思決 定 にか ん す る統 合 モ デ ル は図8に 示 され る。 組 織 成 員 は意 思 決 定 主 体 と して の個 人 あ る い は集 団 が何 らか の 意 思 決 定 プ ロセ ス に従 い なが

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②5

(6)

情 報 ソー ス

r

意思決定主体 意思決定結果

情 報 メ デ ィア

'

' L

意 思 決 定 プ ロセ ス

図8意 思 決定 にかん す る統合 モデ ル

ら,意 思 決 定 を し て い る。 そ の 際,意 思 決 定 プ ロ セ ス の 情 報 収 集,代 替 案 設 計,選 択 の各 要 素 の と こ ろで 情 報 ソ ー ス や 情 報 メ デ ィア が 占有 あ る い は共 有 の 形 で 利 用 さ れ る こ とに な る。 さ ら に意 思 決 定 結 果 は評 価 さ れ た 後,意 思 決 定 主 体 の と こ ろ に フ ィ ー ドバ ッ ク さ れ る。

情 報 ソ ー ス や 情 報 メ デ ィ ア に つ い て は,サ ウ ン ダ ー スeジ ョ ー ン ズ (Sounders=Jones,1990)が 意 思 決 定 プ ロ セ ス と情 報 獲 得 との 関 係 に か ん す る モ デ ル の な か で と りあ げ て い る。 し か し意 思 決 定 プ ロ セ ス の 分 析 が 実 証 的 で な い た め,情 報 ソ ー ス や メ デ ィ ア 選 択 の 基 準 を全 体 満 足 化 を 図 る た め の 統 合 化 情 報 モ デ ル 構 築 とい う観 点 か ら分 析 して い な い と こ ろ に 限 界 が あ ろ う。

ま た バ ン ル ー ン(Vanloon,1990)は 組 織 体 の 中 で ア イ デ ィ ア が 具 体 化 さ れ

るプロセス を個人 ・非公式→集 団 ・非公式 」繍 個人 ・公式 とい う 流 れ の な か で とらえ て い る。 個 人 に対 して 集 団,公 式 に対 して 非 公 式 とい う 要 素 を導 入 し,し か もそれ らの統 合 化 を意 思決 定 へ の 影響 パ ター ン と して意 識 して い る とい う点 で,そ れ な りに評 価 す る こ とが で き よ う。 しか しわ れ わ れ の 図8で 示 した モ デ ル との 関連 で い え ば,意 思 決 定 主体 と情 報 ソー ス との 関 係 分 析 に とど まっ て お り,統 合化 情 報 シ ス テ ム を構 築 す る上 で は限 界 が あ

6国 際経営論集No.51993

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ろ う。

a)意 思 決 定 主体

(a)意 思 決 定 主 体 数:意 思 決 定 者 と して の意 思 決 定 主体 の 数 は,大 き く分 け る と単 独 で あ るか複 数 で あ るか に よ っ て個 人 と集 団 の2つ が 考 え られ る。

伝 統 的 な議 論 にお け る意 思 決 定 主 体 は個 人 が 対 象 とな って いた 。 しか し この 考 え方 の背 景 に は,個 人 が す べ て の情 報 収 集 に精 通 して い て,し か も個 人 の 能 力 だ けで十 分 に正 しい意 思 決 定 が 可 能 で あ るtと い う非 現 実 的 前 提 が お か れ て い た と考 え られ る。 筆 者 らが か つ て行 った 管 理 者対 象 の調 査 で も,情 報 収 集 か ら始 ま り,選 択 に い た る一 連 の意 思 決 定 プ ロ セ ス をす べ て一 人 で行 う

とい うケ ー ス は図9に 示 さ れ る よ う に ほ とん ど存 在 し な か った 。 サ ン プ ル 187中,"個 人 指 向"の 意 思 決 定 は72サ ンプル,38.5パ ー セ ン トで,し か も環 境 探 索 か ら設 計,選 択 にい た る プ ロセ ス を すべ て個 人 で行 な う とい うの は,

わ ず か1サ ンプ ル に しか過 ぎ なか った 。 個 人 的 な意 思 決定 が効 を奏 す る の は, 日常 的 に発 生 す る問題 で しか も解 決 に必 要 な情 報 が ほ とん ど不 要 な場 合 に限 られ るの で あ る。 また意 思 決 定 者 個 人 が か な り有 能 な 意 思 決 定 をす る とい う 前 提 に た て ば,決 定 に要 す る時 間 は短 時 間 で す み,ま た 先 進 的 ・革 新 的 問題 の創 造 や解 決 が 可 能 で あ る とい う長 所 も無 視 はで きな い。 しか し現 実 に発 生 して い る問題 の 多 くは,解 決 方 法 が分 か らず,ど こに どの よ うな情 報 が あ る の か す らわ か らず,常 に不 安 に か られ る よ うな問題 な の で あ る。 した が って, 意 思 決 定 プ ロセ ス を す べ て一 人 で処 理 す る とい うの は,全 能 の神 か あ る い は

自分 を全 能 の神 だ と錯 覚 して い る人 だ とい う こ とに な ろ う。

一 方,意 思 決 定 を集 団 で行 う,い わ ゆ る集 団的 意 思 決 定 は意 思 決 定 主体 が 複 数 存 在 して お り,意 思決 定 プ ロセ ス の いず れ か あ るい はす べ て を複 数 の メ ンバ ーで 行 う方 法 で あ る。 集 団 全体 の合 意 に基 づ い て決 定 し,結 果 責 任 も集 団 全 体 で とる。 利 害 関係 者 間 の 合 意 形 成 や 参 画意 識 が得 られ や す い反 面,最 終 的 な判 断 に至 る まで の 時 間 が か か る こ と,意 思決 定 の 方 向 が危 険 性 や 革新 性 を排 除 し安 全 性 ・保 守 性 を指 向 す るい わ ゆ る集 団浅 慮 の方 向 へ 向 か う傾 向

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②7

(8)

集団個人

問題 の解 決 (環境探索)

\()

\ 、 ・

9.fi

16、02.7

解決案 の作成 解 決案の評価選択

(設計)(選 択)

Q

51

数 値 は 比 率 を 表 わ す 。 調 査 実 施 時 期:1988年1月 調 査 対 象 サ ン プ ル:185

調 査 主 体:情 報 資 源 管 理 研 究 会

図9個 人指 向の意思決定 プ ロセ スの実際

が あ る こ とな どが 一 般 的 に限界 点 と して 指摘 され て い る。 伝 統 的 集 団 主 義 が, 付和 雷 同,迎 合,モ ノ カル チ ャー,画 一 的}"金 太 郎 飴","右 向 け右"な ど の表 現 で 批判 の対 象 とな っ て きた の も この点 にあ る。 換 言 す れ ば,主 張 す る 自己 を もた な い集 団 性 が 批判 され て きた の で あ る。 しか しわ れ わ れ が こ こで 主 張 す る集 団 的意 思 決定 で は,個 人 の 自主 性 や 主 体 性 が 問 わ れ る こ とにな る。

"個"の 確 立 して い る集 団 的 意 思決 定 で あれ ば こそ

,相 互 の 刺 激 や議 論 か ら 新 しい ものが 生 まれ て くる可 能 性 が あ るの で あ る。

8国 際経営論集No.51993

(9)

表3意 思 決定 主体別特性

意思決定主体 意思決定特性

個人的意思決定 集団的意思決定 意思決定全般

1.意 思 決 定速 度 早 い 遅 い

2.問 題特性 創造型 解決型

3.決 定 の 方 向 革 新 的,挑 戦 指 向 保 守 的,安 全 指 向

4.合 意形 成 得 られ に くい 得 られ や す い

5,参 画 意識 得 られ に くい 得 られ や す い

6.問 題解 決 新規 の問題解 決 に適 既存 の問題解決 に適

7.決 定結果 独 断型 妥協型

8.パ ワー1人 に集 中 少 数 に偏 在

意 思 決 定 プ ロ セ ス

9.環 境探 索能力 限界 に直面 範 囲増大

10.設 計 能 力 ア イ デア 限 界 ア イ デ ア拡 張

代替案構築に限界 代替案構築力増大

11.選 択 能 力 決 断 力 あ り 決 断力 な し

12.実 施 能力 参 画意欲減退 参画意欲増大

13.実 施 責 任 単 独 共 同

出 典)海 老 澤 栄 一 稿 「個 人 的 意 思 決 定 と集 団 的 意 思 決 定 との 特 性 比 較 」 『企 業 診 断 』 Vol.35No.10,1988年1月,p.51。

これ まで の個 人 的意 思 決 定 な らび に集 団 的意 思決 定 にか んす る議 論 は表3 の よ う に 集 約 さ れ る。 また ヴ ル ー ム(Vroom,1974)は 図10か ら明 らか な

よ う に,意 思 決 定 方 法 を一 人 で行 わ れ る"一 方型"と 共 同 で行 わ れ る"共 有 型"と に分 け,そ れ らの 中 間 に3つ の代 替 案 を配 した パ タ ー ン化 を図 っ てい る。 一 方型 が 個 人 的 意 思 決 定,共 有 型 が 集 団 的意 思 決 定 を示 唆 して い る こ と はい う まで もな い こ とで あ る。

意 思 決 定 主体 と して の個 人 や集 団 を統 合 の視 点 か ら眺 め る とs個 人 の 意 思 決 定 能 力 を高 め る一 方 で,そ の能 力 を問 題 解 決 や 問 題 創 造 にか か わ る関 係 者 の 間 で共 有 化 す る努 力 が求 め られ よ う。 組 織体 や 組 織 成 員 が直 面 して い る撹 乱 環 境 下 の意 思 決 定 で は,こ れ まで分 析 して きた よ う に,個 人 で な し得 る意

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②g

(10)

自分 の保 有 す る情 報 に基 づ い て, をす る。

2.部 下 を含 め他 人 か ら自分 の 必 要 な情 報 で あれ ば どん な もの で も収 集 し,そ の情 報 に基 づ い て 決定 す る。

ア イ デ ア を得 る た め に部 下 を含 め他 の人 達 と 個 人 的 に状 況 を共 有 す る。 そ の結 果 に基 づ い

て 決 定 す る。

4.議 論 を とお して ま と ま った ア イ デ ア を収 集 す るた め に,部 下 を含 め他 の人 と集 団 と して状 況 を共 有 す る。

5.合 意形 成 を とお した決 定 をす るた め に,他 の 人 と集 団 と して状 況 を共 有 しか つ責 任 を平 等

に共有 す る。

出 典)Vroom,V.H.,"NewLookatManagerialDecision

Making,"OrganizationalDynamics,Vol.5,Spring1974pp.

66‑80.

図10意 思 決 定 の 情 報 占 有 ・ 共 有 の 選 択 肢

思 決 定 の範 囲 は,確 実 に減 少傾 向 に あ る。 フ ィ ンク=ジ ェ ン ク ス=ウ イ リッ ツ (Fink=Jenks=Willits,1983)も 以 下 の4つ の理 由 に よ っ て,集 団 的 意 思 決 定 が次 第 に重 視 され る よ う にな って きた こ とを指 摘 して い る。

① 数 多 くの問 題 が個 人 の能 力 の 限界 を超 え,複 数 の専 門 家 の資 源 を必 要 とす る よ うに な っ て きて い る。

② 決 定 内容 に つ い て,参 画 者 の受 容 度 コ ミ ッ トメ ン トを高 め る こ とが 必 要 に な っ て きて い る。 問題 の一 翼 を担 って い る とい う意識 や 問題 の構 造 その もの を理 解 して い る とい う意 識 は,意 思 決定 プ ロセ スの いず れ か に 参 画 して い る とい う感 覚 を醸 成 させ る点 で も重 要 で あ る。

③ 意 思 決 定 プ ロセ ス に組 織 成 員 を参 画 させ る こ とに よって,幅 広 い知 識

10国 際 経 営 論 集No.51993

(11)

や 認 識 が 得 られy仕 事 に対 す る満 足 度 も次 第 に高 まって くる こ とが 期 待 され る。

④ 意 思 決 定 者 が 問題 解 決 に必 要 な専 門 知 識 や情 報 を十 分 に持 ち合 わ せ て い な い場 合 や,ど の よ うな情 報 を必 要 と して い るの か す ら分 らな い場 合, 集 団 に よ る共 同 化 の作 業 が 欠 かせ な くな る。

しか し過 度 の 集 団 的 意 思 決 定 へ の片 寄 りは,意 思 決 定 者 間 のパ ワーバ ラ ン ス が崩 れ,特 定 の 主体 の決 定 結 果 に盲 目的 に追 従 す る こ とを意 味 し,形 式 的 に は集 団 で あ っ て も本 質 は専 制 的 な意 思決 定 とな ん ら変 わ らな くな る。 集 団 意 思 決 定 を前 提 と しなが ら もそ の 中 で の"個"は あ くまで も存 在 感 を意 識 し,

自主性 を もち,利 他 的 な セ ンス を もつ こ とが 要 求 さ れ て こ よ う。 こ こに,個 人 的 意 思 決 定 と集 団的 意 思 決 定 との 統 合 が 望 まれ る 由縁 が あ る。

(b)情 報 保 有 主 体:情 報 を誰 が保 有 す るか とい う問題 で あ る。 大別 す る と, 個 人 保 有 と集 団保 有 の2つ に分 け られ る。 前 者 の個 人 保 有 は情 報 占有,後 者

の 集 団保 有 は情 報 共 有 とい う表 現 に置 換 可 能 で あ ろ う。 また この 分類 基 準 が 上 記(a)で述 べ た個 人 的 意 思 決 定 な らび に集 団的 意 思決 定 の基 準 に相 応 して い

る こ とは い う まで もな い。

情 報 の もつ 固有 の価 値 は,か つ て は・希少 価 値 にあ った 。 希 少 価 値 の あ る情 報 とは,し た が っ て,他 人 が保 有 せ ず 自分 の み が保 有 して い る よ う な情 報 の こ とを指 した 。 この 前 提 に た つ と意 思 決 定 主体 と して の個 人 は,で き るだ け 価 値 の あ る情 報 を 占有 した ほ うが よ り良 い 意 思 決 定 が で き る こ とに な る。 し か し この論 理 は先 に述 べ た よ う にs情 報 収 集 や 代 替 案 の設 計,選 択 や ア イ デ ィア 交換 な どをす べ て一 人 で行 った ほ うが は るか に効 果 的 か つ有 効 的 で あ る とい う仮 説 が 証 明 され た とき にの み 有効 な の で あ る。

現 実 に は手 持 ち の デ ー タや情 報 の相 互 提 示,交 換 の み な らず,知 識,知 恵, ア ドバ イ ス,ヒ ン トな どの相 互 提 示 や 交 換 も,意 思 決 定 主体 同士 に とっ て欠 か せ な い の で あ る。 この場 合,相 互 提 示 の対 象 とな る情 報 は 同質 的 で あ って は な らず,で き るだ け異 質性 の高 い情 報 で あ る こ とが 望 まれ る。 な ぜ な らば

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②11

(12)

同質 性 の 高 い情 報 か らは安 定 や 安 心 が 得 られ や す い反 面,新 奇 性 や創 造 性 に 富 ん だ ア イ デ ィア や 問題 が 生 成 され る可 能 性 は ほ とん ど期 待 で きな い か らで あ る。 意 思決 定 者 個 人 に とっ て も,異 質 性 の高 い情 報 に ふ れ る こ とに よ って 自己 の認 知 範 囲 の見 直 しや拡 大 が 期待 で きる こ と にな る。 社 内 でLANを 構 築 して い る企 業 やパ ソ コ ン通 信 で 外部 の人 た ち と自 由 に情 報 の交 信 が で き る 環境 に あ る個 人 に とって,電 子 掲 示板 や 電 子 メ モ,電 子 メ ール な どの存 在 は,

ま さ し く時 間 と空 間 を超 えた情 報 交換 を可能 に し,未 知 の情 報 に遭 遇 す る き っか けを与 え て くれ るの で あ る。

この よ うに み て くる と,情 報 は 占有 す るの で は な くむ しろ共有 す る こ とに よって,よ り高 い価 値 を生 み 出 す こ とが可 能 とな る こ とが わ か る。 最 近,情 報 が 経 営 資 源 の1つ と して認 知 され て きて い る よ うな傾 向 が あ る。情 報 が, 少 な くと も経 営 の 資 源 の1つ として認 知 され るた め に は,経 営体 ない し組 織 体 と して情 報 を共 通 に認 識 す る よ うな基 盤 を構 築 して お くこ とが肝 要 で あ ろ

う。 個 人 に 占有 され て い る情 報 を経 営 の資 源 として認 め る こ とは,論 理 的 に あ り得 な い こ とに な る。組 織 体 に お い て とか く見 受 け られ が ち な光 景 は,共 通 デ ー タベ ー ス の よ うな情 報 基 盤 が 確 立 して い る に もか か わ らず,そ れ を利 用 す る個 別 主 体 の側 に"他 人 の情 報 を見 るの は拒 まず,他 人 に見 せ るの を拒 む"よ うな タ イ プ,あ る い は"ア イ デ ィ ア を出 さず に,ア イ デ ィ ア を も ら う"よ うな タ イ プ が存 在 して い る こ とで あ る。情 報 共 有 化 の前 提 として強 調 して お きた い の は,集 団 的意 思決 定 に参 画 す る個 人 は,開 放 的 で な けれ ば な らな い とい う こ とで あ る。

集 団 的 意 思 決 定 の例 として はわ が 国 の企 業 で よ く採 用 され てい る提 案制 度 が あ げ られ よ う。 協 同討 議 を繰 り返 しな が ら情 報 を共 有 して い く機 能 が備 わ って い る よ うに思 わ れ る。 一 般 的 に は次 の よ うな基 本 特 性 が 指摘 され て い る。

・問題 意 識 の共 有 化

・問題 解 決 や 問題 創 造 能 力 の共 同訓 練

・潜 在 的 ア イ デ ィ アの顕 在 化 とそ の共 有 化 12国 際経営論集No.51993

(13)

・現 場 密 着 型 改善 テー マ の汲 上 げ

・組 織 成 長機 会 の共 同 探 索

情 報 共 有化 を促 進 す る場 合,そ の行 動 に参 画 す る主 体 として,明 らか に し て お か な けれ ば な らな い こ とが2つ あ る よ うに思 わ れ る。1つ は共 通 の 土 俵 にの せ る情 報 が それ ぞれ 参 照 に値 し,お 互 いの 琴 線 を刺 激 す る こ とが期 待 さ れ て い る こ とで あ る。 提 供 しな い の は問題 外 で あ る に して も,無 意 味 な情 報 を一 定量 提供 し さ えす れ ば 自分 の役 割 は十 分 に果 た した とす るの も問題 で あ る。 なぜ な らば,参 照 され た り刺 激 を与 えた り しなが ら新 しい ア イ デ ィア生 成 に何 らか の 貢献 をす る こ とが,共 有 化 活 動 に参 画 す る主 体 の果 た す べ き必 要最 小 限 の 役 割 だ と考 え られ るか らで あ る。情 報 を共 有 して も らえ るだ けの

"魅 力"の あ る情 報 を提 供 す る こ とが 要 求 され て こ よ う

も う1つ は情 報 の共 有 化 は意 思 決 定 行 動 の終 わ りで は な く始 ま りだ とい う こ とで あ る。 情 報 をす べ て 共 有 化 して し ま う と,"個"の 存 在 が不 要 に な る の で は な いか とい う疑 問 が生 じて こよ う。 も し共 有 化 され て し ま う段 階 で 個 人 の 成 長 や 進 化 が 止 ま って し ま った場 合 を想 定 す る と,確 か にそ うな るか も 知 れ な い。 しか し情 報 を公 開 す る開放 的 な個 人 は,他 か ら も同様 に情 報 の 提 供 を受 け る こ とに な る。 共 有 化 され て い る情 報 は"す で に そ こに あ る"こ と

を意 味 す るの で,必 要 な とき に いつ で も取 り出 せ ば よい こ とにな る。 した が っ て成 長 や 進 化 を続 け る"個"は,そ の 共 有 化 の範 囲 を超 えて さ らな る情 報 の獲 得 や 収 集 に着 手 す る こ とが で きる よ うに な る。 共 有 化 の範 囲 が 大 き けれ ば大 きい ほ ど,そ の外 側 に 占有 す る対 象 を求 め る こ とが可 能 に な る。 そ の 占 有 化 され た情 報 は次 に また共 有化 の対 象 に な って くる。

統 合 の理 論 で は,以 上 の議 論 か ら明 らか な よ うに個 人 が 占有 す る情 報 と集 団 が 共 有 す る情 報 とが 共 在 す る こ との 重 要 性 を論 ず る と ころ に基 本 的 な特 徴 が あ る。 一 方 が 他 方 を排 除 す る ので は な く,お 互 い が相 手 を必 要 とす る相 補 性 の原 理 が 働 い て い る と考 え られ よ う。"入 手 で き る情 報 は画 面 で み る情 報

の範 囲 内 で あ る"と い う意 味 を英 語 でWYSIWYG(WhatYouSeeindis一

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②13

(14)

playIsWhatYouGet)と 表 現 す る こ とが あ る。 これ に似 せ て,"情 報 共 有 化 を 進 め れ ば 進 め る ほ ど 結 果 と し て 情 報 の 占 有 化 が 進 む"と い う 内 容 を MYSIMYPI(theMoreYouShareInformation,theMoreYouPossess

Information)と 名 づ け て お こ う。

b)意 思 決 定 プ ロ セ ス

意 思 決 定 プ ロ セ ス に は,大 別 す る と問 題 が 所 与 で あ る た め 問 題 を解 決 す る こ とが 中 心 の プ ロ セ ス と問 題 が 未 知 の た め 問 題 を 探 索 し た り発 見 し た りす る こ とが 中 心 の プ ロ セ ス の2つ が 考 え られ る 。

(a)問 題 解 決 型 の 意 思 決 定 プ ロ セ ス:意 思 決 定 プ ロ セ ス は,サ イ モ ン (Simon,1960)に よ っ て 提 唱 さ れ た,情 報 収 集 → 代 替 案 設 計 → 代 替 案 選 択 とい う3つ の ス テ ッ プ が 代 表 的 な モ デ ル と し て 一 般 に 認 知 さ れ て い る。 これ を プ ロ トタ イ プ とす れ ば,選 択 さ れ た 後 に さ ら に 実 施 → コ ン トロ ー ル とい う

1.環 境 探 索:決 定 に必 要 な条 件 を設 定 す る た め に環境 を探 索 す る。

2.設 計:可 能 な行 動道 程 を発 明 し,開 発 し, 分 析 す る。

3.選 択:行 動 道 程 を評 価 し,基 準 に見 合 った 最 善 の もの を選 択 す る。

4.実 施:選 択 した解 決 案 を実 施 に移 す。

コ ン ト ロ ー ル 実 施 結 果 を モ ニ タ ー し,必 要 な 調 整 を 図 る 。

狭義の意思決定プロセス 広義の意思決定プロセス

出 典)ref.R.J.Thierauf,L)ecisionSupportSystemsforEffectivePlanningand Control,Prentice‑Hall,1982,p.1.05.

図11狭 と 広 義 の 意 思 決 定 プ ロ セ ス

14国 際 経 営 論 集No.51993

(15)

2つ の ス テ ップ を加 えた,合 計 で5つ の ス テ ップ を意 思決 定 プ ロ セ ス として モ デ ル化 して い る論 者 もい る。 前 者 を狭 義 の,ま た 後 者 を広 義 の意 思決 定 プ ロ セ ス だ とす れ ば両 者 の 関係 は図11の よ う に示 され る。

い ず れ にせ よ,情 報 収 集 か ら始 ま る意 思 決 定 プ ロ セ ス は情 報 収 集 に さい し て,そ こに何 らか の 問題 が存 在 して い る こ とが 前 提 とな って い る と考 え られ る。 つ ま り図12に 示 す よ う に,情 報 収 集 は限定 され た 問 題 か あ るい は誰 か に よ っ て与 え られ た 所 与 と して の 問 題 の 制 約 の も とで 行 わ れ る。 そ の 意 味 で

"所 与 の 問題 を解 決 す る"と い う要 請 な い し動 機 に も とつ い て,情 報 収 集 が 開 始 され る こ とに な る。 した が って予 期 せ ぬ 出来 事 が 発 生 しな い 限 り,標 準 的 な設 計 手 順 を踏 む こ とが で きる ので,合 理 的 で か つ秩 序 だ った 意 思 決 定 が 可 能 とな る。

"与 え られ た 目的 が 常 に正 し く,そ の 目的 は常 に事 前 に設 定 す る こ とが 可 能 で あ る"と い う前 提 を お け ば,こ の 問題 解 決 型 プ ロセ ス は有 効 で あ る とい

え よ う。

問題限定/所 与 情報収集 代替案設計 代替案選択

図12問 題 解 決 型 意 思決 定 プ ロセ ス

しか しわ れ わ れ の た て る 目的 や 目標 に,常 に正 しい とい う前 提 を お くこ と はで きな い こ とが 多 い。 な ぜ な らば,将 来 の こ とが ど うな るか を事 前 にす べ て把 握 す る こ とが不 可 能 だ か らで あ る。 わ れ わ れ 自身,試 行 錯 誤 や 後悔,曖 昧性,不 明 確 な意 識 な どの も とで行 動 す る こ とが よ くあ る。 意 思決 定 の途 中 で,情 報 が 事 後 的 に追 加 され る こ とに よっ て そ れ まで の決 定 内 容 に迷 いが 生 じ,問 題 その もの を見 直 す こ とは 日常 茶 飯 事 的 に起 こっ て い る。 した が って す べ て の意 思 決 定 プ ロセ ス を,こ の問 題 解 決 型 プ ロセ ス の み に よっ て説 明 す

組 織体 に お け る統 合 化 情 報 シ ス テ ム の概 念 的 フ レー ム ワー ク②15

(16)

る こ とはで きな い こ とに な る。

(b)問 題 創 造 型 の意 思決 定 プ ロセ ス:こ の 意 思 決 定 プ ロセ ス で は,問 題 解 決型 とは異 な り,解 決 す べ き問 題 が何 か が事 前 に与 え られ て い な い とい う と こ ろ に基 本 的 な特 徴 が あ る。 した が っ て 日頃 か ら広 範 囲 な デ ー タ に接 し, 個 々 の デ ー タ の もつ意 味 を問 題 意 識 の 中 に潜在 化 させ て お くこ とが重 要 とな

る。 日常 業 務 と結 びつ か な い よ うな分 野 の デ ー タ に も目 を向 け る必 要 が あ る

。 組 織 体 の 中 で,職 務 とは関係 の な い個 人 の ス キル や 能 力 ,人 脈 な ど をデ,̲̲.

タベ ー ス に登 録 させ る企 業 が徐 々 に増 加 して きて い る。 この動 き は ビ ジネ ス の展 開 を これ まで とは異 な った分 野 に求 め よ う とす る際 に

,職 務 密 着 型 で は な い ス キル が 当然 の こ と として要 求 され る こ とか ら生 じて きて い るの で あ る

。 組 織 体 を離 れ て,あ くまで も個 人 的 に培 っ た能 力 や 特 技 が 活 か され る こ とに な る。 組織 体 の明 示 的 な 目的 が優 先 す るの とは異 な り,個 人 の もっ て い る暗 示 的 な デー タか ら事後 に何 か が 生 まれ て くるの で はな い か とい う期 待 が か け

られ る。

また組 織 体 内部 のパ ソ コ ン通 信 で も類 似 の現 象 が起 きて い る。 パ ソコ ン通 信 で は電 子 メ ー ル や電 子 掲 示板 な どを使 っ て さ まざ まな情 報 が交 換 され る

。 お互 い の 眠 っ て い る脳 神 経 を刺 激 す る こ とに よ り,第 三 の新 しい発想 や ア イ デ ィア が生 まれ て くる こ とが よ くあ る。 担 当者 同士 の"電 子 会 話"か ら管 理 者 が 思 い もつか な か った ビ ジネ ス が実 際 に生 まれ て い る ので あ る。 この場 合, 明確 な 目的 が事 前 に あ った わ け で はな い。 あ くまで もお互 い の情 報 交 換 の 中 か ら 目的 が 事 後 に生 成 され て くるの で あ る。 日頃 の"思 い つ き"の 場 作 りの よ う な もの が組 織 体 の 中 に基 盤 と して準 備 され て い る と

,問 題 創 造 の き っか けが よ り多 く生 まれ て くる よ うに思 わ れ る。

問題 創 造 型 の 意 思 決 定 プ ロセ ス で は,従 来 ス テ レオ タ イ プ と して認 知 され て きた"問 題 の 限 定"か ら始 ま る プ ロ セ ス を と らな い

。 図13に 示 す よ う に

"デ ー タ の存 在"か ら始 ま る

。 また情 報 収 集 を行 う場 合 も,問 題 範 囲 に沿 っ た 限定 化 を前提 にす るの で は な く,可 能 性 探 索 を積 極 的 に展 開 す る必 要 が あ

16国 際経営論集No.51993

(17)

データ存在 問題 発見/創 造 解 決可能性探 索

代替案選択

図13問 題 創 造 型 意 思 決 定 プ ロセ ス

る。 情 報 シス テ ム 系 で は問 題 の 限定 範 囲 に した が っ ての みエ ン ドユ ー ザ を支 援 す る とい うよ うな従 来 の 発 想 を転 換 す る必 要 が あ る。 一 方 エ ン ドユ ー ザ も

自分 の能 力 の範 囲 内 で の み 情 報 を収 集 す るの で はな く,問 題 意識 を旺 盛 に し, 情 報 セ ンサ や 情 報 走 査 力 を十分 に駆 使 し,他 との連 動 を密 に しなが ら,異 質 な情 報 との 遭 遇 に期 待 をか け,情 報 交換 の場 を積 極 的 に もつ こ とが 重 要 とな ろ う。 その た め に は偶 然 の機 会 を と らえて 必 然 化 す る よ うな積 極 性 や情 報 を 共 有 し共 用 す る開放 的 感 覚 が必 須 の要 件 と して 求 め られ る。

これ まで の議 論 を も とに して,意 思 決 定 プ ロセ ス にか んす る問 題 解 決 型 と 問題 創 造 型 の統 合 化 を検 討 して み よ う。 問題 解 決 型 の意 思 決 定 プ ロ セ ス で は,

まず 目的(Output:0)が 明 確 に設 定 され,次 にそ の0に したが っ て情 報 が 収 集(Input:1)さ れyさ らに収 集 さ れ た情 報 を も とに加 工 処 理(Process:

P)さ れ る。 つ ま り,0→1→Pと い う流 れ を とる。 これ を ア ウ トプ ッ ト指 向 と呼 んで お う。

これ に対 して,問 題 創 造 型 の意 思決 定 プ ロセ スで は,情 報 収 集(1)か あ るい は加 工 処 理(P)か ら始 ま る。1か ら始 まる場 合 は1→P→0な い し1

→0→Pと い うプ ロセ ス をsま たPか ら始 ま る場 合 に はP→1→Oな い しP

→0→1と い うプ ロセ ス を と る。 これ をイ ンプ ッ ト/プ ロ セ ス指 向 と呼 ん で お こ う。 ア ウ トプ ッ ト指 向 とイ ンプ ッ ト/プ ロセ ス 指 向 の 意 思 決 定 プ ロセ ス

は図14の よ うに ま とめ られ る。

両 者 の意 思 決 定 特 性 は,ピ ン フ ィー ル ド(Pinfield,1986)の 言 葉 を借 り れ ば,構 造 決 定 と無 秩 序 決 定 に相 似 して お り,彼 に よ って 表4の よ うに要 約

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②17

(18)

POPOI

IPO10

OIIPP

:/

O

図14意 思 決 定 プ ロセ ス の 統 合 モデ ル

さ れ て い る。 こ の よ う な 相 容 れ な い 意 思 決 定 が 果 た し て1つ の モ デ ル の な か で 統 合 化 可 能 な の だ ろ う か 。 先 に 示 した 図13の 両 プ ロ セ ス は,実 際 に は,か ら み あ い 錯 綜 し な が ら し か も連 続 して 現 れ て くる こ とが 予 想 さ れ る。 筆 者 ら が 管 理 者 を対 象 に し て 行 っ た 調 査 で も,表5に 示 す よ う に,同 種 類 の 問 題 で もそ の 解 決 プ ロ セ ス で は か な り多 様 な 意 思 決 定 パ タ ー ン を示 し て い る こ とが わ か る 。 しか も そ の 傾 向 は,よ り上 位 の 職 位 で 一 層 強 ま っ て い る の で あ る。

つ ま りサ イ モ ン流 の情 報 収 集 → 代 替 案 設 計 → 代 替 案 選 択 とい う標 準 パ タ ー ン は,185サ ン プ ル 中110の59パ ー セ ン トに し か す ぎ ず,残 りの49パ ー セ ン トは そ れ 以 外 の パ タ ー ン を とっ て お り,部 長 職 に い た っ て は,標 準 パ タ ー ン と そ れ 以 外 の パ タ ー ン とが52対48と い う ほ ぼ 等 し い比 率 を示 して い る こ とが 明 ら か で あ る。

わ れ わ れ は こ の よ う な 困 難 な現 実 を 直 視 し な が ら,先 の 図14の プ ロ トタ イ プ を も と に し て,2つ の タ イ プ の 意 思 決 定 プ ロ セ ス の 統 合 化 を試 み た 。 図15 で 明 ら か な よ う に,意 思 決 定 プ ロ セ ス の 開 始 点 と し て は,1,P,0そ れ ぞ れ が あ る。 ア ウ トプ ッ ト指 向 の プ ロ セ ス を見 て み る と,0か ら始 ま りそ の フ ィ ー ドバ ッ ク の 先 は1か あ る い はPに な る。 そ の あ とは 順 に進 む か あ る い は フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ドか の い ず れ か の ル ー トを と る こ とに な る。 た だ し意 思 決 定 の 途 中 で 情 報 が 追 加 さ れ る こ と に よ っ て 意 思 決 定 者 の 判 断 に迷 い や"ゆ ら

ぎ"が 生 じ,問 題 そ の も の の た て 方 に疑 問 を 生 じ た り,あ る い は また も う一 18国 際経営論集No.51993

(19)

表4意 思決定の構 造 ・無秩序特性 に関 す る比較 決 定 特 性

属 性 構 造 無 秩 序

決定 の定義 1.行 動 に コ ミ ッ ト し た も の か 1.参 加 者 あ る い は傍 観 者 が事 ら遡 及 して決 定 プ ーロセ ス を規 後 事 実 を構 築 す る。

定 す る 。

2.決 定 プ ロセ ス に明確 な結 末 2.決 定 プ ロ セ ス の 始 ま り と終

が ある一 明確 な始 ま りも暗 わ りが 不 明 確 で あ る。

示 さ れ て い る 。

3.諸 活 動 の 手 順 が 問題 解 決 に 3.選 択 な しで 問題 を記 述 す る。

寄与 す る機能 とい う視 点 で理 明確 な問題 がな くて も選 択 を

解 さ れ て い る 。 行 う 。

目標 と技術 1.因 果 関 係 を 認 め な い 。 1.因 果 関 係 を 認 め る 。 2.目 標 を 認 め る 。 2.目 標 を 認 め な い 。

参 画 明確 に は考 慮 され て い な い。 1.参 画 は 流 動 的 で あ る 。 2.問 題 や 解 決 の キ ャ リ ア と し

て参 加 者 は重 要 で あ る。

3.選 択 の機 会 に参 画者 が加 わ る こ とは決 定 の結 果 に とって 重 要 な こ と で あ る 。

文脈上の依存 明 確 に は考 慮 され て い な い。 1.現 在 か か え て い る 問 題,代

替 的選択 の機会,参 画者の関 心 は,決 定 パ タ ー ン に影 響 を 及 ぼ す 。

2.脈 絡 の な い,外 生 的 な事 象 が問題 の規定や評価 の基準 に 影 響 を及 ぼ す 。

時 間 1.異 な っ た 時 間 の ポ イ ン トが 1.過 去 は繰 返 され な い。 時 間 機 能 的 に等 し く扱 わ れ て い る。 の経過 が問題 や文脈上 の評価,

影響 の評価基準 の設定 を可能

に す る 。

2.識 別,展 開,選 択 が お お む 2.問 題,選 択,行 動 の 順 序 は ね順 番 に現 わ れ る。 必 ず し も必 要 で は な い。

出 典)Pinfield,L.T.,"AFieldEvaluationofPerspectivesonOrganizational DecisionMaking,"AdministrativeScienceQuarterly

,Vol.31,Sep.19$6,p.367.

組 織 体 にお け る統 合 化 情 報 シス テ ム の概 念 的 フ レ ーム ワ ー ク②lg

(20)

表5職 位 別 にみ た意 思 決 定 プ ロセ スの パ ター ン 意 思 決 定 パ タ ー ン 部長職 課長職 一般 職 合計

標 準 的 パ タ ー ン

それ以 外 の パ ター ン

22 (52)

20 (48)

55 {59)

39 (41)

33 (67)

16 t33)

110 (59}

75 (41)

合計 42

(100)

94 (100)

49 (100)

is5 tgoo}

上 段 は サ ン プ ル 数,下 段()内 は 比 率 調 査 段 施 時 期:1988年1月

調 査 対 象 サ ン プ ル:185

調 査 主 体:情 報 資 源 管 理 研 究 会

度 最 初 に戻 って や り直 し をす る こ ともあ りう る,と い う こ とに注 意 を払 うべ きで あ る。 つ ま りア ウ トプ ッ ト指 向 の 中 に途 中 か らイ ン プ ッ トあ る い は プ ロ セ ス指 向が 入 り込 ん で くる可 能 性 が十 分 に あ る こ と を認 識 して お く必 要 が あ る。 この こ とは開始 点 が1で あ っ て もPで あ っ て も同様 で あ る。 問題 創 造 型 の意 思 決 定 プ ロセ ス で 開始 され た として も,そ の途 中 で 問題 解 決 型 意 思決 定 に きわ めて 有 用 な ヒ ン トが 浮 か び,即 座 に割 り込 み をか けて,そ の プ ロセ ス を支 援 した り補 強 した りす る こ とが可 能 なの で あ る。

図15で は単 純 な循 環 図 で 示 され て い る。 しか し実 際 に は時 間 と空 間 を超 え て スパ イ ラル 的 に展 開 され て い くこ とに な る。 両 モ デル は相 補 関 係 に あ り,

開始点 開始点 開始点

↓ ↓ ↓

図15意 思 決 定 プ ロセ スの 統 合 モ デ ル

20国 際 経 営 論 集No.51993

(21)

お互 い に相 手 を必 要 と して い る の で あ って,排 除 す る関 係 に あ るの で は ない 。 こ こに両 モ デ ル の統 合 化 が 理論 的 に は可 能 に な るの で あ る。

c)情 報 ソー ス

意 思 決 定 プ ロ セ ス の情 報 収 集 段 階 で,ど の よ うな源 泉 か ら情 報 を得 るか が こ こで の 主 た る テ ーマ とな る。 伝 統 的 な意 思 決 定 モ デ ル で は,職 務 に密 着 し た範 囲 内 で情 報 を活 用 す る こ とが 望 まれ る可能 性 が 高 か った。 つ ま り公 私 を 分 離 し,オ フ ィス ア ワー は で き るだ け職 務 に忠 実 に仕事 を遂 行 し,そ の仕 事

を通 じて得 た情 報 に も とつ い て意 思 決 定 が な され て き たの で あ る。 組 織 体 内 部 の情 報 シス テ ム の構 築 で も,標 準 的 な効 率 を追 求 す る,職 務 に直 接 関 係 の あ る標 準 的 な ア プ リケ ー シ ョ ンが 対 象 とな った。 個 人 的 な要 望 が 受 け入 れ ら れ る こ とは,ほ とん どな か った とい え よ う。 意 思 決 定 上,イ ン フ ォー マル な コ メ ン トや ア ドバ イ ス が必 要 にな っ て も,そ れ を シス テ ム と して 支援 す る仕 組 み は な く,や む を得 ず ご く限 られ た相 手 に イ ンフ ォー マ ル に相 談 す る こ と

に よ って 問題 の解 決 を 図 るの が せ いぜ いで あ っ た。

筆 者 が参 加 した 「情報 処 理 にか ん す るマ ネ ジ メ ン トの不 満 ・不 便 にか ん す る調 査 」 をみ て も図16か ら明 らか な よ う に,上 位 か ら2位,3位 に非 公 式 な ア ドバ イ ス や手 本 の提 示 が 欲 しい とい う要 望 が よせ られ て い る。 も と も と潜 在 的 に は,非 公 式 の情 報 が 意 思 決 定 上 か な り重 要 な意 味 を有 す る こ とは知 ら れ て い た。 それ に加 えて最 近 で は,情 報 処 理 の電 子 マ イ ク ロ機 器 が 組 織 体 の す み ず み まで 普 及 す る よ うに な っ たた め,モ デ ム を介 して ど こ とで もつ な げ られ る よ うに な っ た こ とが公 式 と非 公 式 の 区別 を一 層 困難 に して い る の で あ る。 しか もそれ らの機 器 は携 帯 に便 利 なた め,時 間 と空 間 を超 えた情 報 のや り と りが可 能 に な る。 極 端 な例 で は,オ フ ィス ア ワー に プ ライ ベ ー トな会 話 をパ ソ コ ン通 信 を とお して行 って い て も周 囲 にわ か りに くい状 況 が あ り,逆 に家 庭 や ホテ ル や新 幹 線 な どの オ フ ィス 以外 の空 間 で仕 事 をす る こ と も可 能 で あ る。9‑5時 とア フ タ ー フ ァイ ブ,ウ ィー クデ ィ とウ ィー クエ ン ドは あ くまで も明 確 に分 離 す べ きで あ る とい う議 論 は あ るに して も,オ フ ィ シ ャル

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク(2}21

(22)

回 答 数(%) 0102030405060708090

難 灘 砦 緒 にフ ァイルされて い1' 灘 群 前 に非公式 なア ドバ イスカ̀1

185.7

】8L7

問題処理の参考になる手本が欲い ・ 〔==========コ81.1

文 書 が 沢lll回 っ て く る

179.0

a議 の 回 数 や 一[哨 た り のll寺間 が 多 【 レ7.7

鞘 籍忽 アイリングの 徽 きが わ1 会議 等 の 関 係 者 の11程 合 わせ 厭 変 【

75.4 75.4

導 雛 膨 意思瀧 を嫉 するソC 難 鮮 積がバラバラで関連づけが【

打合せなどで離席が多い1

74.6 74.1 173。7

電 話 等 で 仕 事が 中 断 され る 情 報 の 所 在が 不 明確 で あ る

必 要な文 書 が う ま く見 つ か らな い

E

73.7

72.3

i i71.4

情報不足でも醸 な決断腰 するこ一69

と が あ る

.6

会 議 の 準 備 に 時 間 が と ら れ 過 ぎ る

i 169.6

警{時間で処理 を必 要 とす る文 渤̀多 【]69.6

署POを わ きまえない嬬 が 多 く来 〔=========]65.2 獣 方法の分か りに くいOA機 器力「}64・7

叢撒 ゑ はずの人が居な くて連絡が 一64・7

t作 成 に時間がかか りす ぎる 【i63 .4

調 査 実 施 時 期:1988年10〜12月

調 査 対 象 サ ン プ ル:一 部 上 場 企 業 管 理 者112名

出 典)(社)日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 編 『ニ ュ ー オ フ ィ ス シ ス テ ム(NOS>に 関 す る 調 査 報 告 書 』(社)日 本 電 子 工 業 振 興 協 会,1989年3月,p.68。

図16情 報 処 理 に 関 す る マ ネ ジ メ ン トの 不 満 ・不 便 の 内 容

と プ ラ イ ベ ー トを混 在 させ る こ と は技 術 的 に い と も簡 単 に で き る よ う に な っ て き て い る の で あ る 。

よ く考 えて み る と,本 来 人 間 の頭 脳 の 中 で,果 た して どの程 度 明確 にオ フ イ シ ャ ル とプ ラ イ ベ ー ト とが 棲 み 分 け さ れ て い る か は は な は だ 疑 問 で あ る 。 な ぜ な ら ば あ く ま で もパ ー ソ ナ リ テ ィ は1つ で あ り,イ ン フ ォ ー マ ル な 経 験

22国 際 経 営 論 集No.51993

(23)

フ オ ー マ ル 情 報

情報収集 代替案設計 選択

/,一̲̲̲̲̲̲̲̲̲(一 メ モ リ)一 一 一 一 幅 鴨 噛 一 、

イ ン フ オ ー マ ル 情 報

サ ブ メ モ リ (二 次 メモ リ)

フ オ ー マ ル 情 報 イ ン フ オ ー マ ル 情 報

出 典)(社)日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 編,前 掲 報 告 書,p.81。

図17フ ォ ー マ ル 情 報 と イ ン フ ォ ー マ ル 惰 報 の 統 合 モ デ ル

が フ ォ ー マ ル な 世 界 に 影 響 を与 え,逆 に フ ォ ー マ ル な 関 係 か ら新 た な イ ン フ ォ ー マ ル な人 間 関 係 が 生 ま れ た りす る の は ご く当 た り前 の こ とだ か らで あ る 。 統 合 化 情 報 シ ス テ ム で は,フ ォ ー マ ル 情 報 と イ ン フ ォ ー マ ル 情 報 との 関 係 も 統 合 化 の 対 象 に な る。 前 述 し た 組 織 成 員 の ス キ ル 登 録 や 人 脈 登 録 な ど は ま さ し く,イ ン フ ォ ー マ ル と フ ォ ー マ ル 情 報 と の 混 在 で あ り,し か も そ れ は 単 な る 混 在 で は な く相 互 に刺 激 を与 え 合 う こ と を 可 能 に す る混 在 で あ る 。 個 人 の も つ偶 然 な 情 報 か ら あ る部 分 が ビ ジ ネ ス 上 で 必 然 情 報 に 変 態 し,ま た ビ ジ ネ ス の 必 然 情 報 か ら新 た な 私 的 偶 然 情 報 が 生 まれ て く る可 能 性 が 存 在 す る 。 図 17で は ハ イ ブ リ ッ ド情 報 と し て 位 置 づ け られ て い る け れ ど も,情 報 の 創 造 活 動 は ま さ し く こ の よ う な,フ ォ ー マ ル と イ ン フ ォ ー マ ル な 情 報 の 統 合 活 動 か

ら生 ま れ て き て い る と考 え られ る の で あ る。

パ ソ コ ン通 信 は,バ リ ン ガ=ナ イ マ イ ア(Bullinger=Neimeier ,1990) が 述 べ て い る よ う に 明 示 的 な フ ォ ー マ ル 情 報 と暗 示 的 な イ ン フ ォ ー マ ル 情 報

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク(2)23

(24)

口頭 十 対 面 十 文 書 54.S%

文 書 の み 1.fi%

文 書 十 口 頭 11.3%

調 査 実 施 時 期:1988年10〜12月

調 査 対 象 者:OA機 器 利 用 の 管 理 者 サ ン プ ル 数:62

出 典)(社)日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 編,前 報 告 書,p.59。

図 杷 意 思 決 定 の 最 終 的 決 め 手 と な っ た メ デ ィ ア

10 9 8 平7

頭書

口文

口 囮

定期刊行物

会食

電話

手紙

社会活動

訪問

臨時会議

定例会議 1110987

6

5

43

2

1

ハ0﹁D40

AU

出 典)Mcleod,R.Jr.,&Jones,J.W.,"MakingExecutiveInformation SystemsMoreEffective,"BusinessHorizons,Vo1.29No.5, Sep.‑Oct.1986,P‑34.

図19意 思 決 定 の 最 終 的 決 め 手 と な っ た メ デ ィ ア

24国 際 経 営 論 集No.51993

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とを統 合 させ るた め の 道具 と して は確 か にか な り有 効 で あ ろ う。 しか しそ の 反 面,個 人 の ア イ ド リン グが増 大 す る分,自 己管 理 能 力 は従 前 に較 べ て格 段 高 い水 準 が 要 求 され て こ よ う。

d)情 報 メデ ィア

意 思 決 定 プ ロ セ ス で利 用 され る情 報 メデ ィア の主 な もの とし て は,口 頭, 文 書,対 面 が あ る。 この うち,伝 統 的情 報 メ デ ィア と して よ く利 用 され て い

るの は,口 頭,対 面 で あ る。 筆 者 が調 査 に参 加 した 「最 終 的 な意 思 決定 の 決 め手 とな った メ デ ィア」 分 析 で は,図18か ら明 らか な よ うに"口 頭+対 面+

文 書"の 会 議 方 式 が最 も多 く,次 い で"口 頭+対 面"の 面 談 方 式 が 上 位 を 占 め て い る。 また マ ク ロー ド=ジ ョー一ンズ(Mcleod=Jones,1986)に よ るア メ リカ の マ ネ ジメ ン ト対 象 の 分析 結 果 で も,わ れ わ れ の とほ ぼ同様 の結 果 が で て い る。 す な わ ち,図19か ら明 らか な よ うに,会 議 や訪 問 が上 位 を 占 め て い る。

この よ うに,統 合 化 情 報 シス テ ム を情 報 メ デ ィア の視 点 か ら考 え る場 合, 口頭 の もつ 意 義 は十 分 に尊 重 され な けれ ば な らな い。 た だ し電 話 や面 談 が も つ最 大 の 欠 陥 と して は,お 互 い に同期 を と らな けれ ば な らな い とい う こ とで あ る。 最 終 意 思 決定 の 直 前 はs口 頭+面 談 に よ る と して も,そ れ 以 外 はで き るだ け非 同期 を可 能 にす る よ うな メ デ ィア を併 用 す べ きで あ ろ う。 具 体 的 に はパ ソ コ ンや ワー ク ステ ー シ ョ ンの画 面 を併 用 す べ きで あ ろ う。 パ ソ コ ン通 信 で は移 動 を伴 う必 要 が な い ので,特 に面 談 を必 要 と しな い会 議 は コ ン ピ ュ

ー タ に代 替 させ る方 法 も十分 に考 え られ る。 現 実 に伝 達 事 項 中 心 の支 店 長 会 議 な どは次 第 にパ ソ コ ンで行 わ れ る よ うに な っ て きて い る。 情 報 メ デ ィア の 統合 モ デル として は,し た が って,口 頭+画 面 の組 み合 わ せ とい う こ とに な

ろ う。

以 上 で 考 察 した4項 目 の う ち,情 報 ソ ー ス と情 報 メ デ ィ ア に か ん して は, さ ら に コ ン ピ ュ ー タ の 画 面 とい う新 し い視 点 を 導 入 し た,図20の よ う な 統 合

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②25

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情 報 ソ ー ス

公 式

非公式

情 報 メ デ ィア

ロ頭 ・面 談 画 面

図20情 報 ソース と情報 メデ ィア との統合 モデル

モ デル を設 計 す る こ とが 可 能 で あ ろ う。 伝 統 的 な メデ ィア で あ る 口頭 と近 代 的 メ デ ィアで あ る画 面 とが統 合 し,そ れ ぞ れ が公 式 と非 公 式 の情 報 ソー ス と 関 連 を もつ の で あ る。4つ の セ ル は共 に必 要 で あ り,お 互 い に依 存 関 係 に あ

る こ とが わ か る。

b.人 間関 係

伝 統 的 な組 織 構 造 は厳 密 な職務 規 程 に基 づ い て形 成 され て お り,明 確 に職 務 区分 が な され て い る。機 械 的組 織 と も言 わ れ て い るゆ えん が そ こに あ る。

上 司 と部 下 の 関係 も,指 示 や 命 令 が 上 司 か ら部 下 に 向 か って 出 され,そ の 内 容 に した が っ て仕 事 が 遂 行 され,遂 行 結 果 は また上 司 に報 告 され る とい う命 令 一 報 告 の連 鎖 に よっ て成 り立 っ て い る。 した が って,責 任 の範 囲 も明文 化 され た 限 定範 囲 内 に と どま り,そ の範 囲 を超 えて職 務 が遂 行 され る こ とは な い。 責 任 の範 囲 は権 限 の範 囲 と等 し く,し た が って枠 を超 えた 他 か らの 要 請 に つ い て は無 視 す るか,関 係 の あ りそ うな他 部 署 に まわ す か,あ るい は上 司 に責 任 を委 ね るか す る こ とにな る。 この行 為 は 自分 の 周 囲 を塀 で 囲 っ て常 に 安 全 な状 態 に お き,異 常 な状 態 や 処理 不 可 能 な事 態 が 発 生 した と きに そ の責 任 を周 囲 へ転 嫁 す る よ うな,利 己 的 な行 為 で もあ る。 この場 合,究 極 の権 限

26国 際経営論集No.51993

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と責 任 は トップ に集 中 す る こ とに な る。

時 計 や 精 密 機 械 の よ うに寸 分 の誤 差 も許 され な い よ う な機 械 的 組 織 で は, この よ うな厳 密 な ル ー ル化 もそれ な りに効 を奏 す るで あ ろ う。 しか し,機 械 的組 織 が 有 効 な の は,環 境 変 化 が あ ま りな く,合 理 的 な仕 組 み を事 前 に設 計 す る こ とが 可 能 な場 合 に限 られ る。 また成 員 の 意 識 が あ ま り高 くな く,追 随 型 中 心 で あ る よ うな場 合 に 限 られ る。

機 械 的組 織 に お い て最 終 責 任 を トップが取 る とい っ て も,そ れ は どの よ う な意 味 を もつ の で あ ろ うか 。 最 悪 の場 合,ト ップが 責任 を取 っ て そ の ポ ス ト を離 れ た と して も,果 た して責 任 を取 った こ とに な るの で あ ろ うか。 忠 実 に 命 令 を きい て きた部 下 達 の 将 来 は果 た して そ の上 司 に よ って補 償 され る こ と に な るの だ ろ うか。 答 え は"ノ ー"で あ ろ う。 機 械 的 組 織 は,責 任 を他 人 に 依 存 した り転 嫁 した りす る きわ め て一 方 的 依 存 関 係 の強 い,相 互 作 用 関 係 の 弱 い特 性 を備 えて お り,環 境 対 応 力 は必 然 的 に弱 ま って くる もの と思 わ れ る。

伝 統 的組 織 構 造 に お け る人 間 関係 は,職 務 中 心 で しか も限 られ た職 場 空 間 の 上 下 の関 係 が 中心 に な ろ う。 非 公 式 な人 間 関係 が 存 在 す る として もそれ は公 式 な職 務 関 係 を経 由 した派 生 的 な レベ ル で 存在 して い る に しか過 ぎな い の で

あ る。

̲̲̲.方

,環 境 対 応 型 の有 機 的 組 織 の場 合,職 務 は曖 昧 に しか規 定 され て お ら ず,し た が って命 令 一報 告 の連 鎖 も存 在 しな い。 命 令 は上 司 に よっ て与 え ら れ るの で はな く,成 員個 人 が 自主 的 に設 計 した職 務 か ら,あ るい は成 員 の周 囲 に あ る状 況 か ら受 け る こ とに な る。 した が って この場 合,権 限 は上 司 にあ る の で は な く自 己 の 職 能 の 範 囲 内 に 存 在 す る こ と に な る。 フ ォ レ ッ ト (Follett,1972)に よ っ て権 限 職 能 説 と呼 ば れ て い る。 当 然 の こ と と して, 各 成 員 に求 め られ る意 思 決 定 能力 は,機 械 的 組 織 に較 べ て は るか に高 い レベ ル が 要 求 され る。

有 機 的 組 織 を近 代 的 組 織 と呼 べ ば,近 代 的組 織 で は成 員 間 の コ ミュニ ケ ー シ ョ ンが 組 織 体 内部 を縦 横 無 尽 に駆 けめ ぐる こ とに な る。 必 要 に応 じて,他

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク(2}27

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あ い まい

図21組 織 構 造 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と の 関 係

の部 門 の 成 員 と も コ ミュ ニ ケ ー シ ョンが 図 られ る。斜 めの 方 向 や 時 に はバ イ パ ス チ ャネ ル も利 用 可 能 とな る。 そ の場 合,交 換 され る情 報 は公 式情 報 の み に限 定 され る こ と はな い。 む し ろ非 公 式情 報 を含 む ハ イ ブ リ ッ ドな情 報 交 換 が行 わ れ る こ とに な る。 必 要 な と きの必 要 な人 との コ ミュニ ケ ー シ ョンは, 開放 的 で あ り,多 様 な関 係 性 の保 持 を可能 にす る。 情 報 共 有,集 団意 思 決 定, 問題 創 造 指 向 の意 思 決 定,多 様 な情 報 ソー ス な どは,こ の有 機 的 組 織 を基 盤 に して初 め て可 能 にな る と考 え られ る。 伝 統 的 組 織 と近 代 的組 織 の コ ミュニ ケ ー シ ョン特 性 比 較 は図21の よ うに示 され よ う。

特 に有 機 的組 織 の特 性 を備 えた 近 代 的 組 織 の場 合,成 員 は組 織 体 内部 の み な らず,対 外 部 の組 織 体 と も関 係 性 を保 つ こ とが で き る。 概 念 的 に は図22の

よ う な構 造 にな り,ま さ し くネ ッ トワー ク型 組 織 の形 態 を とる こ とに な る。

図22近 代 的 組 織 に お け る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 特 性 28国 際経 営 論 集No.51993

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交換 され る情 報 は公 式 情 報 に限 らず,非 公 式 情 報 も当然 の こ とと して含 まれ る。 パ ソ コ ン通 信 が きわ め て 有 用 な ツ ール に な る こ とはい う まで もな い。

しか し同 時 に,有 機 的組 織 は い くつか の 問 題 点 も内包 して い る。 組 織 体 全 体 の 方 向性 が 分 か りに くい,意 思 決定 ポ イ ン トが多 重 化 され て くるた め経 営 諸 資 源 の 活 用 に重 複 が 発 生 して も回避 しに くい,成 員 の 間 に全 体 を考 え な い

"わ が ま ま"が 蔓 延 し有 機 的 と相 反 す る小 宇 宙 的 官 僚 性 が はび こ る

,な どが その代 表 的 な もの で あ る。 外 資 系 の企 業 で は,組 織 内部 で 幾 つ もの プ ロ ジ ェ ク トを同 時 に走 らせ る こ とが よ くあ る。 成 員 の数 に限 りが あ る場 合,一 人 の 人 間 が 同 時 に複 数 の プ ロ ジ ェク トに参 画 させ られ,自 分 の本 来 の仕 事 が何 で あ るか を掌握 で きな くな っ て きて い る とい う悩 み を耳 に す る。 当然,プ ロ ジ

ェ ク ト間 の コ ンフ リク トも発 生 す る よ うにな る。

以 上 の こ とを勘 案 す る と,機 械 的組 織 も有 機 的組 織 も共 に 固有 の特 性 を も っ て お り,長 所 と短所 が 相 互 に補 完 し合 う関係 にあ る こ とが わ か る。 人 間 関 係 の視 点 か らみ て もs公 式 と非 公 式 コ ミュニ ケ0シ ョ ンは排 除 され る関係 で は な い。 む し ろ積 極 的 にチ ャネ ル の多 重 化 を促 進 す る よ うな"統 合 化"の 試 みが 望 まれ よ う。

C.パ ワ0

す で にみ て きた よ うに,伝 統 的組 織 で は,成 員 の 遂行 す べ き職 務 は職 務 記 述 書 で明 確 に規 定 され て い る範 囲 に限 定 され,そ の範 囲 内 で権 限 が 発 生 す る。

したが っ て職 位 が上 で あれ ば あ るほ ど,広 範 囲 の権 限 を保 有 す る こ とに な る。

下 位 に位 置 す る成 員 の場 合,上 位 の管 理 者 か ら権 限 を委譲 され た 形 で,機 械 的,部 分 的,硬 直 的,限 定 的権 限 を保 有 す る。 この よ う な環 境 は,職 務 改 善 や 創 造 に興 味 の な い成 員 あ る い は 自分 の 仕 事 と他 の人 の 仕事 とのか か わ りに 興 味 を示 さな い成 員 に とって,望 ま しい状 況 だ とい え よ う。 命 令 に た い して 受 動 的,追 随 的,盲 目的 に従 う こ とで 自分 の責 任 の範 囲 を明 確 にす るの で あ る。 しか し積 み木 の よ うな構 造 は,一 個 所 ど こか が崩 れ る とい と も容 易 に全 体 が 瓦 解 し離 散 して し ま う危 険性 を有 して い る。 誰 か が何 らか の 目 的遂 行 の

組織体における統合化情報システムの概念的フレームワーク②29

参照

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