米国における富の移転課税(2・完)
著者 佐古 麻理
雑誌名 同志社法學
巻 66
号 6
ページ 2200‑2101
発行年 2015‑03‑31
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015228
米国における富の移転課税(2・完)
佐 古 麻 理
目次 はじめに
第1章 富の移転課税の歴史的展開 第1節 遺産税および贈与税の創設 第2節 1976年の遺産税と贈与税の統一化
第3節 1976年の世代跳躍移転課税制度の創設と確立 第4節 2001年以降の税制の変容
第5節 小括 第2章 連邦遺産税 第1節 課税対象 第2節 控除 第3節 税額控除
第4節 現行遺産税をめぐる問題点 第5節 小括 (以上372号)
第3章 連邦贈与税 (以下本稿)
第1節 贈与税の課税対象となる移転 第2節 課税除外と贈与分割 第3節 課税贈与および控除等 第4節 小括
第4章 世代跳躍移転税 第1節 用語の定義 第2節 直接スキップ 第3節 課税終了 第4節 課税分配 第5節 小括 おわりに
第3章 連邦贈与税
贈与税は、遺産税の後に創設されたパートナー(junior partner of estate
tax)であるとされる
(619)。1920年代の贈与税課税をめぐる混乱を経た後に、現 行の贈与税制度は、1916年の遺産税法の制定後、1932年に制定された。現 行の贈与税法は、もはや遺産税法に従属するあるいは補完するだけの法では ない。控除および課税除外は別として、贈与税の税率は、遺産税と同じであ り、多目的に利用されるその税率表(620)が、現在、用いられている。贈与税には、2つの側面がある。1つは、生涯贈与課税であり、2つ目は、暦年課税であ
(621)る
。なお、贈与税は、遺産税の補完税であるとの見解もある(622)。しかし、1976 年の統一化によって、もはや、贈与税は遺産税の補完税として捉えるのでは なく、富の移転課税における一元化あるいは体系化した税制の一構成要素と して捉えることができるのであろう(623)。
遺産税と同様に、贈与税は財産の移転に対して課される税であり、エクサ イズタックスである。税は財産の提供者に対して課され、税は、提供者の全 ての贈与を参照して決定される(624)。一方、受贈者の特定は、一定の課税除外お よび控除の目的のために要求されるが、贈与税は、所得税のように受取に対 して課される税ではない。このように、提供者は、贈与税の納税義務を負う ことになる。しかし、提供者が、納税義務を負うこととなる税を納付しなか った場合、提供者に代わり、受贈者が贈与税の納税義務を負うという法的性
(619)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03; Mitchell M.Gans and Jay A. Soled, Reforming the Gift Tax and Making It Inforceable, 87 B.U. L. Rev. 759, 762 (2007); RICHARD B. STEPHENSET AL., FEDERALAND GIFT TAXATION,¶1.03 [1](7th ed. 1997).
(620)I.R.C.§2001 (c).
(621)I.R.C.§§2501 (a), 6019.
(622)Wendy C. Gerzog, Contigencies and the Gift Tax, 93 TAX NOTES 978 (2001); Miller and Maine, supra note 195, at 31.
(623)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03.
(624)I.R.C.§2502.
格を有する(625)。このような観点から、贈与税の第一納税義務者は提供者であり、
第二納税義務者は、受贈者であるといえよう。
贈与税と遺産税とは相互に依存する。これらの税は、生涯の間あるいは死 亡の時の富の無償による移転に対して課税するものである。贈与税に関する 統一税額控除の結果として、それを超えた場合、内国歳入法典2001条で規 定される多目的の累進税率表に依存せず、贈与税は、遺産税と同様に、単に 一定税率である40%の税率で課税される(626)。
贈与税は、申告書が提出される課税年度あるいは課税期間(taxable
period)に行われた贈与だけではなく、1932年の贈与税創設以来、提供者に
よって行われた生涯にわたる全ての課税贈与に対して測定される(627)。米国の贈 与税制度は、生涯累積課税制度を採用する。社会状況を背景として、税率は、絶えず変化するものである。多くの人は、
その税率の変化を読み取り、課税上の利点を考慮して、贈与を拡大し、ある いは縮小するかもしれない。しかしながら、生涯にわたる贈与税課税制度の 設計は、非常に大きな贈与が1年に1回、あるいは数年間にわたり行われた としても、全て同じに取り扱われる。生涯累積による、贈与税の税額計算方 法は、1年間あるいは数年にわたる贈与のいずれの方法においても、同じ贈 与税を生じさせる結果となる。
第1節 贈与税の課税対象となる移転
贈与税法は包括的であり、また包括的であるように意図されている。贈与 税は、提供された役務に対して支払うべきものでなく、財産の移転に限定さ れるものである。その一方で、価値のあるものの贈与は、贈与の企図あるい は意図とは無関係に、全て贈与税の課税対象となる(628)。このような、贈与税の
(625)I.R.C.§2503.
(626)I.R.C.§2502. 40%の一定税率は、2012年以降の税率である。
(627)I.R.C.§2502; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶9.03[1].
(628)I.R.C.§2511.
課税対象の概念は、遺産税法における §2033と同じく、極めて広い範囲に 及ぶ(629)。
課税対象は、現金の贈与、不動産、有形および無形の財産、家族内貸付金 などに適用される(630)。家族内の無利息による貸付も贈与とみなされる(631)。また、
直接的に行われる贈与であることにも限定されない。例えば、親が、子の借 入金あるいは借入金の利子を支払うことは、子に対する贈与とみなされる。
また、ある者から他の者に対する金銭的な利益の移転、いかなる識別可能な 無償による移転、あるいは変更も、贈与とみなされ、贈与税の対象となる可
(629)§2511は、以下のように規定する、「贈与税は、財産の移転が信託あろうが、別の方法 であったとしても、直接あるいは間接的な移転であったとしても、また、その財産が、動 産、不動産、有形あるいは無形であろうも、さらに、米国の居住者あるいは市民でなくて も、その税は、米国所在する財産の全ての移転に対して、課されるものとする。」岡村・
前掲注(101)209頁; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.01; BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶123.1.
(630)I.R.C.§2511.
(631)Dickman v. Commissioner, 465 U.S. 330 (1984). 最高裁判所は、「親から子への無利息短 期貸付金(interest-free demand loan)は、課税贈与(taxable gift)とみなされる」、と判 示した。1970年代の後半、家族内の無利息貸付または低金利による貸付が一般に行われて いた。親から子への貸付は、要求払約束手形(demand note)のもとで行われ、子は貸付 金の元本を返金することになっていた。子は貸付金を銀行に預け、そこからの利子所得を 大学での学費や生活費に充てていたのである。その後、貸付金は親へ返金されることにな る。1977年まで、このような家族内の無利息貸付金は、贈与税を回避するタックス・プラ ニングの手法として、広く受け入れられていた。例えば、類似の事例である1977年の Crown事件(Crown v. Commissioner, 67 T.C. 1060)では、無利息貸付金の金額が、1,800 万ドルにも及ぶ。Dickman事件において、原告である親は、貸付金は返済されたので、
子に対する貸付金は贈与税の対象とはならないと主張した。しかし、最高裁判所は、貸付 金から生じた利子所得は、財産の移転から生じたものであると判断し、それは贈与税の課 税対象になると判示したのである。なお、この事例では、貸付金の元本は、贈与税の課税 対象とはならない。Dickman事件における租税上の意義は、「(親にとって)放棄された 利益(foregone benefit)」は、課税贈与を構成するところにある。本事例は、§2501(a)(1)
および §2511(a)の条文解釈をめぐるものであったが、その背景には、贈与税は所得税 を補完するという課税概念があった。しかし、Dickman事件は、無利息貸付金に関わる 所得税の問題を解決するものではなかった。そこで、議会は、Dickman事件を契機に、
市場で取扱われる金利よりも低い金利の貸付金に関する課税の取扱いに対して、新たに I.R.C.§7872を設定し、①放棄された利益は、貸し手から借り手への移転であること、② 放棄された利益は、借り手から貸し手に対して利益として再移転されたもの、と明確に規 定した。
能性がある(632)。
1 支配権および支配
贈 与 の 時 期 の 問 題 は、完 全 な 移 転 と は な ら な い 形 式(incomplete
transfer)での贈与に関して生じるであろう。贈与がいつ行われたかという
問題に応えるための論点は、提供者が財産に対する支配権(dominion)も しくは支配(control)をいつ放棄したのか、あるいは移転した財産上の利 益に対する支配権もしくは支配をいつ放棄したのかを決定することである(633)。 例えば、信託への財産の移転は、贈与の対象になるであろう。しかしなが ら、信託の財産譲渡者が、その信託を無効にする権限(634)を保持するのなら、財 産譲渡者は信託に対する支配を完全に放棄していないことになり、このよう な贈与は、完全な贈与であるとはみなされない(635)。仮に、財産譲渡者が、後に その信託を無効にする権限を放棄したのなら、その移転は、その放棄した時 に完了し、贈与税の課税対象となる(636)。これにより、贈与の時とその評価とい う2つの問題が生じることとなる。第1に、贈与が完了したとき、あるいは 贈与による移転が完全となるとき、贈与税の納税義務が生じ、納付すべき税 を決定しなければならない。第2に、贈与の価値の評価は、贈与が完了した 時に行われる(637)。例えば、2000年に、Aが他者のために、撤回可能な信託に(632)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03[2].
(633)I.R.C.§2511. Robert N. Macris, Open Valuation and the Complete Transfer: A Problem Area in Federal Gift Taxation, 34 TAX L. REV. 273, 275-76 (1979); Mitchell M. Gans, Gift Tax: Valuation Difficulties and Gift Completion, 58 NOTRE DAME L. REV. 493 (1983); ADAMS AND SMITH, supra note 259,¶10.01; BITTKERAND LOKKEN, supra note 127, ¶122.1.
(634)Macris, supra note 633, at 276-77.
(635)Burnet v. Guggenheim, 288 US 280 (1933). 信託譲渡者が、財産を信託に移転し、しか もその移転を無効にする権限を保有した場合、その移転は完全な贈与ではないとされた事 例である。
(636)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.01[5].
(637)Okerlund v. Comm’r, 365 F.3d 1044 (Fed. Cir. 2004); Krapf v. United States, 977 F.2d 1454
(Fed. Cir. 1992); Polack v. Comm’r, 366 F3d 608 (8th Cir. 2004); McCord v. Comm’r, 120 T.C.
358 (2003).
(638)I.R.C.§2512 (a); ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶¶1.03[2][a] and10.02[1].
(639)BITTKERAND LOKKEN, supra note 127, ¶¶122.2 and 122.3.
(640)Commissioner v. Prouty, 115 F.2d 331 (1st. Cir. 1940).
(641)Estate of Sanford v. Comm’r, 308 U.S. 39 (1939). 最高裁判所は、信託譲渡者が、受贈者 の受益享受を変更する権限を保持した場合、その信託への財産の移転は、不完全な贈与で あると判示した。
100株のアップル社の株式を預け、その後2013年に、その信託に関する撤回 の権限を放棄したのなら、その移転に対する贈与税の納税義務は、移転が行 われた2000年当時の低い価値で評価されるのではなく、贈与が完了した 2013年現在のより高い価値で測定されることになる(638)。
さらに、移転課税の支配権と支配に関する規定は、所得税のそれらに関す る規定とは必ずしも調和するものではない。財産に対する支配権と支配が、
放棄されあるいは終了したときに移転課税は生じる。仮に、信託提供者が、
信託に対する支配権を他者に移転したとしても、その後、その財産が信託に 保有されつづけ、かつその財産から生じる所得を信託提供者が受け取る限り においては、その財産に対する支配権や支配とは関係なく、信託提供者には 所得税が課されることになる。
上述のごとく、贈与による移転課税は、移転が完了(complete)した時に、
課税が生じることになる。移転の完了とは、贈与財産に対する支配権や支配 の完了、すなわち、贈与財産に対する権限や権利の終了を意味することにな る。それに対して、財産に対する権限や権利が終了していない移転は、不完 全(incomplete)な移転であるといえる(639)。譲渡者が譲渡者自身の利益のため に、財産を取り戻す権限を保有する場合(640)のみが、不完全な移転ではない。例 えば、譲渡者が、受益者を変更する権限のみを保有した場合も、その移転は 不完全な贈与として扱われる(641)。とはいえ、提供者が、受贈者に対する享受の 方法、あるいは受贈の時期を変更する権利のみを保有するのなら、贈与税法 上、その移転は、完全な移転であるとみなされる。また、譲渡者が、譲渡者 の支配の全てを放棄する一方で、第三者に対し財産の支配権を与えるのであ
れば、その移転についても、完全な移転であるとみなされる(642)。
このような不完全移転あるいは完全な移転と贈与税との関係から、不完全 移転を選択し、贈与税を回避しようとするかもしれない。しかしながら、譲 渡者が死亡した際、遺産税の対象となる移転の決定は、移転が行われたとき に、その移転が贈与税の対象とはなっていなかったことを保証するものでは ない。例えば、財産譲渡者が、信託所得に関する権利を生涯の間保有する信 託を設定した場合、残余権は、財産譲渡者の総遺産に包括可能である(643)。それ にもかかわらず、残余権は、贈与税の課税対象となる。ただし、この場合に は、「遺産税の計算」の項で述べたように、実際の遺産税の納税義務は、支 払った贈与税に対する税額控除、あるいは1977年以降の贈与に関する遺産 税計算の取扱いを受け、その遺産税の納税義務は減少することになる。
当然のことながら、贈与税の課税に際しては、遺産税と同様に、無償で移 転された財産上の利益の特定が行われなければならない。仮に、信託の財産 譲渡者が死亡した場合、信託財産は親族でない第三者である
R
あるいはR
の遺産に支払われることとなっていたとする。また、生存中、信託生涯権は 譲渡者が保有するものとする。この場合、贈与税は、RあるいはR
の遺産 に移転されることが確定した、残余権の価値で測定される。なお、譲渡者が 所有しつづける生涯権は、贈与税の課税対象とはならない。この状況は、3 エーカーの土地(信託財産全体)を所有する譲渡者が、2エーカーの土地(残 余権)を無償で移転し、残りの1エーカーの土地(生涯権)を譲渡者が保有 し続けるのと同様の状況であるとの考え方によるものである(644)。遺産税の対象となる生存中の移転が、死亡した後のみに効力が現れる場合、
そのような生涯移転は、贈与税の課税対象となるであろう。例えば、Dが信 託に財産を移転し、信託所得は、親族でない第三者
B
の生涯の間支払われ、(642)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.01 [9]; BITTKERAND LOKKEN, supra note 127, ¶122.4;
Comm’r v. Vander Weele, 254 F.2d 895 (6th Cir. 1958); Paolozzi v. Comm’r, 23 T.C. 182
(1954).
(643)I.R.C.§§2036 (a)(2), 2038; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.01 [10][e].
(644)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03 [2][a].
B
が死亡した際、Dが生存していれば、信託元本はD
に復帰し、Dが生存 していなければ、残余権は親族ではない第三者R
に与えるものとする。こ の場合、Dは、Bに対し、Bの生涯権の価値について、課税対象となる贈与 を行ったこととなる。Rの残余権は、BまたはD
のいずれが先に死亡する かが不明であるので、不確定残余権(contingent remainder)である。した がって、Rの不確定残余権の価値は、たとえ、Dが、Bよりも長生きして死 亡したとしても、Dに元本が復帰することとなるので、Dが死亡した際、そ の残余権は、D
の総遺産に含まれ、遺産税の課税対象となるであろう。また、この事例において、Dが生存している間、Dが取り戻すこととなるかもしれ ない財産上の利益を保有したとしても、Dは、Bおよび
R
の利益の支配を 放棄したものとして取り扱われることとなる。したがって、仮に、Dが生存 している間にB
が死亡した場合、DのB
に対して与えた生涯権に対し、贈 与税が課される。また、D
に信託元本が復帰することとなるので、この場合、D
が死亡した際、残余権の価値がD
の総遺産に含まれることとなり、遺産 税の課税対象となる(645)。また、Dに残余権が復帰すると同時に、Rの不確定残 余権は消滅することとなる。一方、Dが、Bよりも先に死亡した場合、Rの 不確定残余権は、確定残余権となる。この場合、Dが死亡した際、Rの確定 残余権の価値が、Dの総遺産の対象となる(646)。このように、信託を用いて1 つの財産を移転する場合において、贈与税と遺産税の2つの税が課されるこ ととなる(647)。議会は、贈与税の回避を抑制するために、一連の特別の評価規定(special
valuation rule)を制定した
(648)。例えば、家族のメンバーに対して財産上の利益を移転させる場合、提供者
(645)I.R.C.§2033.
(646)I.R.C.§2037. 死亡により効力を生ずる移転。この移転については、第2章1節参照。
(647)岡村・前掲注(101)215-216頁。
(648)I.R.C.§§2701-2704; LOUIS A. MEZZULLO, TRANSFERSOF INTERESTSIN FAMILY ENTITIES UNDER
CHAPTER 14: SECTIONS 2701, 2703 AND 2704, BNA Tax Mgmt. No. 835-3d (2005); L. PAUL FOOD, VALUATION: GENERALAND REAL ESTATE, BNA Tax Mgtmt. No. 830-2d (2003).
は、彼らの利得のために保険数理表(actuarial valuation table)の評価を用 いて、贈与税の回避を試みようとするであろう。このような租税回避の懸念 に関して、議会は、提供者によって保有された財産上の利益を、ゼロとして 評価するものとした(649)。これは、財産上の利益の贈与額を測定する場合、財産 全体の公正市場価格が、通常、提供者によって保有された利益の価値の公正 市場価格によって減額されることを抑制するための措置である(650)。この規定(651)は、
譲渡者所得権保有信託(grantor retained income trust, GRIT)(652)による租税 回避を抑制するために1990年に制定された。例えば、譲渡者
G
が、100万ド ルの財産をGRIT
に移転したものとする。この信託期間を、Gの設定時の平 均余命よりも短い期間である20年とし、その間、Gは信託所得に対する権利 を保有し、残余権は子A
に与えるものとする。この場合、Gは、信託設定 時に子A
に対し、残余権の贈与を行ったこととなる。この残余権を内国歳 入法典7520条の下、現在価値に割り引いて評価すると、およそ525,000ドルとなる(653)。よって、Gの留保した信託所得に対する権利の価値は、およそ
475,000ドル(654)となる。贈与税が、残余権に対して課されるものであるとすれば、
信託元本が1,000,000ドルであったにもかかわらず、Gの保有された利益の
(649)I.R.C.§2702. 渋谷雅弘「資産移転課税(遺産税、相続税、贈与税)と資産評価(五・完)」
法学協会雑誌111巻6号784頁(1997年)。
(650)岡村・前掲注(101)214-215頁。
(651)I.R.C.§2702.
(652)GRITは、譲渡者が信託に財産を移転するもので、譲渡者の平均余命よりも短い期間で 信託所得に対する権利を譲渡者が保有し、残余権は子に設定する信託である。子に贈与さ れた残余権の価値は、設定時の信託元本の価値よりも小さくなる。
(653)2013年12月時点、AFR(applicable federal rate)の月間レート(monthly rate)は、3.27%
である。このレートは、I.R.C.§1274(d)(1)で規定されるAFRの9年を超える期間での、
さまざまな契約に用いられる連邦長期(long term rate)レートである。ちなみに、3年 以内は短期レート、3年を超え9年以内の期間の契約については、中期レートが用いられ る。
この事例において、残余権の現在価値は、100万ドル÷(1.0327)20=525,432ドルとなる。
なお、上記算式によらず、Trea. Reg.§20.2031-7 (d)(6)、Table Bで、期間と利子率の 速算表が与えられている。ただし、この速算表の利子率は4.2%から14%の範囲で示され ているため、この事例で示した低い率については、上記の計算法が用いられる。
(654)1,000,000ドル-525,000ドル=475,000ドル
価値475,000ドルにより減額され、課税対象となる残余権の価値は、525,000 ドルと低い価値となる。そこで、このような家族内移転については、Gの留 保した所得に対する利益をゼロで評価することによって、贈与税の課税対象 が、信託に移転した財産の全体的な価値とすることを規定する。この事例で は、1,000,000ドルが、Gから
A
に対する贈与税の課税対象となる。既に述 べたように、財産評価の基本原則は公正市場価格によるものであるが、この 基本原則は、上記のような家族内移転には適用されないことになる。この特 別の評価規定は、移転された利益に関し、仮に、適切で十分な対価が得られ た場合でさえ適用されることとなる。このG
の所得利益をゼロと評価する 規定は、Gの利益が適格利益(qualified interest)である場合は除かれる。適格利益とは(655)、①確定した金額を受け取る権利を伴う利益、②信託財産の 公正市場価格を毎年算定し、それに一定割合で算定した額を受け取る権利を 伴う利益、③上記①あるいは②を満たす場合の不確定ではない残余権、をい う。この適格利益の評価は、内国歳入法典7520条の下、通常の公正市場価 格で評価され、ゼロでは評価されない(656)。
留保された所得利益をゼロとする、この特別評価規定には、以下の除外規 定が設けられている(657)。①そのような移転が、不完全な贈与(incomplete
gift) である場合、②所得利益を受ける譲渡者が居住の目的で利用される住
居を信託(personal residence trust)した場合(658)、③その財産の移転が、内国 歳入法典2702条によらない移転である場合、である。この規定は、家族内 移転に限定されているので、家族以外の第三者に移転された場合は、この③ の除外となる。ここで、①の不完全な贈与とは、贈与が対価を伴う移転であ ってもなくても、贈与として取り扱われない移転を意味する(659)。
上記事例において、その信託が、撤回可能信託であり、譲渡者
G
が、信(655)I.R.C.§2702 (b).
(656)I.R.C.§2702 (a)(2)(B).
(657)I.R.C.§2702 (a)(3)(A).
(658)Treas. Reg.§25. 2702-1 (c)(2).
(659)I.R.C.§2702 (a)(3)(B).
託期間である20年以内に死亡した場合、Gは、その信託に生涯権を有してい ることとなり、信託財産の価値は、内国歳入法典2036条(a)(1)の下、
遺産税の課税対象となるであろう。とすれば、信託設定時の贈与税および遺 産税が二重に課税されることとなる。しかしながら、このような二重課税が 生じたときの措置が準備されている(660)。これは、贈与税と遺産税の統一化によ って、排除されることとなる(661)。
留保権益に関する2つ目の特別評価規定は(662)、遺産凍結(estate freeze)に よる租税回避を抑制するための規定である(663)。遺産凍結は、贈与税や遺産税の 回避のために用いられる手法であり、家族企業やパートナーシップの株式あ るいは持分を移転することを通じて行われる(664)。典型的な遺産凍結は、資本再 構成(recapitalization)における取引(transaction)に関係する。これは、
譲渡者に対する贈与税および遺産税を最小限にする一方で、事業における譲 渡者の利益を家族内の若い世代に移転させることが可能となる。典型的な企 業資本再構成では、譲渡者が所有する普通株(common stock)を普通株と 議決権のある優先株(prefferd stock)とに変更する。その後、譲渡者は、
若い世代の家族のメンバーに普通株のみを贈与し、あるいは売却する。その 移転に関わる当事者たちは、あらかじめ、議決権優先株に関する権利につい て協議し、合意を締結する。譲渡者によって、保有された議決権付優先株に 与えられた権利は、その株の価値を引き上げ、それと同時に普通株の価値を 引き下げるというものである。その結果、普通株式の価値は低下し、譲渡者 は、子に対し最小限の贈与税とともに、その普通株式を移転することが可能 となる。内国歳入法典2071条は、その租税回避を抑制することを目的に、
(660)Treas. Reg.§25.2702-6. Boyd C. Randall, Robert L. Gardner, and Dave N. Stewart, Using the Rationale of Reg.§25.2702-6 in Other Estate Tax Computations, 70 TAXES 615
(1992).
(661)本稿第2章第3節参照。
(662)I.R.C.§2701.
(663)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶19.02.
(664)Michael W. Mills, Analysis of the New“Estate Freeze” Legislation: Despite the Return of the “Estate Freeze” Many are Still in the Cold, 23 RUTGERS L. J. 361, 362-64 (1992).
資本再構成前の譲渡者に保有された株式の全額に対し、贈与税を課すことを 規定する。具体的には、株式変換時に協議し合意した自由裁量権の評価をゼ ロとすることによって、そのような株式評価が行われることとなる。たとえ、
移転された利益に関し、適切な対価が受け取られたとしても、この規定は適
用される(665)。なお、この特別評価規定についても例外があり、仮に、二重課税
が生じた場合、それを軽減する目的で、救済規定が準備されている(666)。 贈与税の原理の下、ある者が、自らと他者のために生存者権 (right of
survivorship)を伴う合有財産(joint tenant)を、一方の者に移転する目的
で購入したものとする。この場合、その者は、他の者に対し、贈与を行った こととなる。この場合の贈与税の課税対象となる金額は、購入時の財産の価 格のうち、購入者が保有する利益の価値を差し引いた金額となる。例えば、購入者
A
が、Bに移転するため、100万ドルの合有財産を購入したとする。この場合、Bは、合有財産の購入のため資金を提供していないので、自動的 にその財産の半分の価値50万ドルを
A
から贈与を受けたこととなる。この 50万ドルが、AからB
に対する課税贈与となり、Aに贈与税が課税される こととなる。その後、その財産が、売却され、所有権者であるA
およびB
に対し、売却代金が分配されたと仮定する。その売却代金が、AおよびB
との間で均等に分配された場合、贈与は生じないことになる。しかしながら、不均等に
A
およびB
の間で分配されたのなら、売却代金を多く受けた者から、もう一方の少なく受け取った者に対し、課税贈与が生ずることとなる(667)。 内国歳入法典2703条は、遺産税、贈与税および世代跳躍移転税の全てに 関し適用される。この規定は、財産が、財産に関する制限あるいは財産に対 する権利を考慮することなく、評価されることを規定する(668)。権利あるいは制 限は、選択、合意または公正市場価格に満たない価格で財産を獲得する権利
(665)Id.
(666)I.R.C.§2701 (e)(6).
(667)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03.
(668)I.R.C.§2703 (a).
である(669)。したがって、仮に、死亡した株主が死亡時に保有していた株式の処 分について、株主の合意の下でそれを規定しているのなら、移転税に関する 株式の価値の評価は、その株式に関する権利あるいは制限を考慮することな く評価されることとなる(670)。2703条は、上記の選択、合意、権利または制限が、
以下の要件を満たす場合には適用されない(671)。①真正な(bona fide)事業契 約であること、②金銭あるいは貨幣価値において適切で十分な対価未満で故 人の家族に財産を移転する手段ではないこと、③その条件が、独立当事者間 で行われる契約と同等であること、等である。
内航歳入法典2701条から2704条の特別評価規定は、租税回避を抑制する ために制定された。とはいえ、これらの規定のみでは、十分にその目的は達 成されるとはいえないという意見も多く存在する(672)。
2 対価
財産上の利益の移転に関し、受け取られる対価は、遺産税および贈与税の 測定のために同様の役割を果たすこととなるであろう。適切な対価の受取は、
遺産税および贈与税の双方について中立となる。仮に、生存中の移転につい て、部分的な対価の受取があったのなら、贈与の測定は、移転した財産利益
(669)Treas, Reg.§25. 2703-1 (a)(2).
(670)Treas. Reg.§25. 2703-1 (a)(3). 権利または制限を含む合意は、株式会社のみならず、
パートナーシップ契約、有限会社の規約等にも適用される。
(671)I.R.C.§2703(b); Pamela J. Tyler, The Impact of Section 2703 on Estate Planning for Closely Held Corporations, 18 MICH. TAX LAW. 9 (1992).
(672)James M. Delaney, Split Interest Valuations: The Devil is in the Detail, 37 CAP. U. L. REV. 929 (2009); Dwight Drake, Transitioning the Family Business, 83 WASH. L. REV. 123, 169
(2008); T. Randolph Harris, Freezing the Family Business: Estate Planning Technics to Give the IRS the Cold Shoulder, in TAX LAWAND ESTATE PLANNING COURSE HAND BOOK SERIES: VALUATION, TAXATION & PLANNING TECHNICSFOR SOPHISTICATED ESTATES 1999, at 561 (1999); Dan W.
Holbrok and Daniel P. Murphy, Two-Year, Overlapping GRATs Can Maximize the Benefits of Split–Interest Transfers, 78 J. TAX’N 154, 403 (1995); Wayne L. Warken and Pamela R.
Champine, Anti–Estate Freeze Rules Can Have Wide Scope, 20 ESTATE PLANNING 220
(1993).
の価値が、受け取った対価の額を超える部分について行われることになる(673)。 制定法の条文上、対価の側面からとらえた贈与の定義は、「移転される財産 の価値が、それに伴う対価の価値を超えた場合、その移転は贈与とみなされ
る」(674)である。また、贈与の意思(donative intent)がなく、その上で適切な
対価未満で財産の移転を行うことも贈与となる(675)。この低い対価の受取に関し て、適切な対価との差額部分は、所得税を生じさせる所得ではなく、贈与と なる。
対価に対する贈与税の取扱いは、遺産税にも影響することになる。受け取 った対価は、提供者の財産となる可能性が生じるためである。仮に、贈与税 の対象とならなかった適切な価額に満たない対価を受け取った場合、それは、
遺産税の課税対象となる財産になる可能性がある。よって、贈与税の課税対 象とならなかった対価は、提供者が死亡した際、遺産税で課税されることに なる。このように、対価に対する課税は、贈与税または遺産税の対象とな
(676)る
。
3 一般指名権
贈与税法が規定する課税対象の範囲は、遺産税法に比べてはるかに狭い領 域となっている。すなわち、贈与税の課税対象となる移転の特定は少ない。
伝統的に、この領域での規定は、コモンローの下、司法判断および行政上の 執行を背景として拡大してきた。それにもかかわらず、議会は、その立法上 の取扱いに関して、いくつかの領域に区分して規定した。その区分とは、一 般指名権、世代跳躍移転、離婚による移転、取得利益の放棄、適格利益終了 財産である。本項では、贈与税法における一般指名権について概観する。
(673)I.R.C.§2512(b); ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.02 [3].
(674)Id.; BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶121.4.2.
(675)Commissioner v. Wemyss, 324 U.S. 303 (1945). コモン・ローで規定される「贈与」とは、
「提供者が、移転を行う意思を持った行為」である。しかし、贈与税法は、贈与の意思を 課税要件として取り扱わないのである(§25.2511-1 (g)(1))。
(676)I.R.C.§§2512 (b), 2503 (e), 2516.
財産に対する指名権は、財産上の直接的な利益ではない(677)。したがって、そ の権限の下で、財産所有権の移転を行使する者は、実際上、財産の移転を行 っていないことになる。それにもかかわらず、指名権の権限保有者が、その 行使に関して広い決定権を持ち、財産を自らのために直接あるいは間接に利 用する場合、その者は、その権限の影響を受ける財産に対して、財産所有権 と等しい権限を持つことになるであろう。そこで、議会は、遺産税と同様に、
贈与税についても、一般指名権を財産所有権と実質的に同等のものであると した。一般指名権の行使、放棄あるいは失効等によって生じる財産の移転は、
贈与税の課税対象となる理論上存在する財産の移転として取り扱われる(678)。 一般指名権の権限保有者が、自らまたはその者の債権者以外の者の便益の ためにその権限を行使した場合、権限行使者から他の者に対する財産の移転 とみなされる(679)。この行使が、権限保有者の生存中に行われた場合、内国歳入 法典2514条の下、その権限保有者の贈与税の課税対象となる(680)。権限保有者は、
その権限の対象となる財産の処分に関する支配を有し、また自らのためにそ れを行使することができるからである。権限保有者は、自らの利益における 権限を行使し、その行使により贈与で財産を移転したものとなるので、贈与 税が課されることになる。
例えば、Gにより設定された信託で、Bが、生涯受益権を与えられ、残余 権は
R
に与えられたものとする。また、Bは、その信託において変更する 権限を有していたものとする(681)。この場合、Bが生存中に、残余権者をC
に 指名したのなら、Bは、一般指名権を行使したこととなり、その行使は贈与 税の課税対象となるであろう。しかし、その移転が、課税贈与となるか否か(677)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶¶1.03 and 10.04.
(678)I.R.C.§2514; BITTKER and LOKKEN, supra note 127,¶121.6; Jonathan G. Blattmachr, Kim Kamin and Jeffrey M. Bergman, Estate Planning’s Most Powerful Tool: Powers of Appointment Refreshed, Redefined, and Reexamined, 47 REAL PROP., TR. & EST. L.J. 529
(2013).
(679)Steinkamp, supra note 404, at 208.
(680)I.R.C.§2514 (b).
(681)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.04.
を決定するためには、他の贈与税の条項を参照することとなる。仮に、
B
が、変更する権限を保持し、Cに与えた残余権を無効にすることができ、他の者 を残余権者として指名する可能性があるのなら、Cに対する移転は不完全な 移転となる。また、仮に、Bが、Bの生存中に信託元本に侵入する権利を
B
に与えるという信託の条件を変更し、Bに信託元本を指名するのなら、一般 指名権が行使されたという移転を構成するかもしれない。しかし、この場合、権限保有者による自らに対する権限の行使による移転は、贈与にはならない。
なぜならば、人が自らに対して贈与することができないからである。また、
仮に、
B
が信託で保有する指名権を、撤回不能でC
のために行使したのなら、この権限の行使は、贈与税の課税対象となる。この場合、Bが、Cから対価 を受け取ったのなら、贈与税の課税対象となる額は、その対価の額により減 額されることとなる。一方、この事例において、Bに与えられた権限が、B の死亡時に遺言によってのみ行使することが可能である場合、その行使は、
贈与税の課税対象とはならず、遺産税の課税対象となる。贈与税は、生存し ている権限保有者の財産の移転としてみなされる行使についてのみ課税され る。
しかしながら、内国歳入法典2514条は、一般指名権への課税を、その行 使に限定していない(682)。一般指名権の放棄は、行使と同様のものとして扱われ、
贈与税の課税対象となる(683)。一般指名権は、その権限保有者に財産の支配を与 え、またその放棄は、財産を他者へ移転することを生じさせる。このように、
一般指名権の行使と放棄は、指名権者に対する課税を正当化することになる。
一般指名権の失効は、権限の放棄として取り扱われ(684)、権限の失効もまた贈 与税の課税対象となる(685)。とはいえ、権限の失効には制限がある。権限の失効 は、指名権の対象となる財産において、5,000ドルあるいはその財産の価値
(682)Steinkamp, supra note 404, at 209.
(683)Id.
(684)I.R.C.§2514 (e).
(685)I.R.C.§2514 (b).
の5%を超える範囲が、放棄したものとみなされる(686)。贈与税は、この要件を 満たした場合、権限が失効したものとして課税する(687)。
死亡時に、一般指名権を保有しているのなら、その権限の対象となる財産 の価値は内国歳入法典2041条の下(688)、総遺産に含まれ遺産税の課税対象とな
(689)る
。この場合、指名権の行使あるいは非行使とは無関係に遺産税の課税対象 となる。さらに、故人が、死亡前にその権利を行使しまたは放棄し、死亡時 に一般指名権を保有していなかったとしても、その指名権の対象となる財産 は、総遺産に含まれ遺産税の課税対象となることがある。この場合、一般指 名権と2035条から2038条の各条項が重複する財産が、総遺産に含まれるこ
ととなる(690)。例えば、仮に、一般指名権の所有権者が、その権限を放棄した場
合、その放棄した財産から生涯の間、信託所得を受ける権利を有していたの ならば、その財産は、2036条と2041条が重複して適用されることとなるが、
いずれかの規定でその財産は、総遺産に含まれることとなる。このように、
贈与税法上の一般指名権の行使、放棄、失効に関し規定する2514条は、遺 産税法上のそれらを規定する2041条と密接に関連する。
一般指名権に対する贈与税法の取扱いに関して、生存中における一般指名 権の行使は、必ずしも贈与税だけの課税対象となるものではない。一般指名 権に対する課税は、贈与税と遺産税との間で、双方が協調し、機能するよう に制度設計されているのである(691)。
(686)Steinkamp, supra note 404, at 209; Richard B. Covey, The Estate Planning Benefits Available Via a $ 5,000 and 5 Percent Withdrawal Power, 34 J. TAX’N 98 (1971).
(687)William S. Huff, The “Five and FIve” Power and Lapsed Powers of Withdrawal, 15 INST. ON EST. PLAN. 7-1 (1981).“five and five”と称され、これは復帰権など、さまざまな課税 の制限に用いられる基準である。
(688)I.R.C.§2041(a)(2).
(689)本稿第2章第1節参照。
(690)BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶128.1; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.04;
Steinkamp, supra note 404, at 209.
(691)ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶1.03.
4 世代跳躍移転課税
課税対象となる世代跳躍移転には、第4章で述べるように3つの種類があ る。直接スキップ(direct skip)、課税終了(taxable termination)および課 税分配(taxable distribution)である。このうち、生存者間(inter vivos)
の直接スキップは、贈与税の課税対象ともなる贈与として取り扱われる。す なわち、直接スキップによる世代跳躍移転は、贈与税と世代跳躍移転税の2 つの税の対象となる。世代跳躍移転税は、譲渡者から譲受人に対する追加的 な贈与による移転として取り扱われる(692)。
5 離婚による移転
離婚が原因となる配偶者相互間での財産の移転(divorce transfer)は、
一般的な贈与税の概念からすれば、その税の課税対象となるかもしれない。
しかし、そのような移転は、贈与税の課税対象とはならない(693)。議会は、原則 として、次の見解を示す。すなわち、婚姻権(marital right)および一定の 未成年者を扶養する権利(support right)を満たす財産の移転が、離婚前1 年以内あるいは離婚後2年を超えない時点で、書面による合意の下で行われ た場合、それは、完全な対価を得て行われたものとして取り扱われ、そのよ うな移転は、贈与税の課税対象とはならない(694)。
6 権利の放棄
通常、「いいえ、結構です(no, thank you)」という言葉は、申入れに対 する丁重なお断りを意味する。しかしながら、税の世界では、その言葉通り には解釈されないこともある。例えば、課税庁は、「事実上、財産の受取を
(692)I.R.C.§2515; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.05.
(693)BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶121.4.3; Note, Federal Tax Aspects of the Obligation to Support, 74 HARV. L. REV. 1191, 1192-94 (1961); Note, Valuation of the Right to Support for Purposes of the Federal Tax System, 72 COLUM. L. REV. 132 (1972).
(694)I.R.C.§2516; ADAMSAND SMITH, supra note 269,¶¶10.02[5][c] and 10.06; Note, id. at 1192-94.
拒絶している譲受人が財産を取得することを受け入れ、その後、譲受人の拒 絶の主張によって、一旦は拒絶した財産の移転が行われた」ということを主 張するかもしれない。この文言は、①財産受取の申し出が2回あり、2回と もその受取は拒絶したが、結果として、2回ともその申し出を受け入れ、2 回財産を取得した、②財産受取の申し出が1回あり、最初は受取を拒絶した が、結果的にはその申し出を受け入れ、1回財産を取得した、③譲受人の拒 絶の主張により、財産は何も取得しなかった、等の3つに解釈されよう。贈 与税の場合、この拒絶について、2つの贈与があったのか、1つの贈与があ ったのか、あるいは何も贈与は存在しなかったのかという問題が生じる可能 性がある。
議会は、このような潜在的な受贈者と提供者を対象として、制定法の手順 に従い、贈与の実在の有無を追跡する規定を制定した(695)。それは、権利の放棄 を明確化することを目的とする。内国歳入法典2518条は(696)、適格な権利の放 棄(qualified disclaimer) と 適 格 で は な い 権 利 の 放 棄(unqualified
disclaimer)とを区別する条項である。この規定は、贈与税法の条文で明確
(695)I.R.C.§2518.
(696)§2518は、Tax Reform Act of 1976, Pub. L. No. 94-455, §§2009(b)(1), 2009(e)(2), 90 Stat. 1520, 1893 (1896)を起源とする。「権利の放棄」をめぐる議論には以下のものが あ る。Christopher P. Cline, Disclaimers-Federal Estate, Gift and Generation–skipping Tax Considerations, BNA TAX Mgmt, No. 848-2d (2005); Emma Pena, Comment, Internal Revenue Code Section 2518 Disclaimers and the 1981 Economic Recovery Tax Act:
Continued Unequal Treatment of Taxpayers, 22 SANTA CLARA L. REV. 1179 (1982); Blazek and O’Donoghue, Use of Disclaimers in Post Mortem Planning, 40 N.Y.U. Inst. on Fed.
Tax’n, ch. 7 (1982); Paul N. Frimmer, A Decade Later: Final Disclaimers Regulations Issued Under Section 2518, 21 Miami Inst. on Est. Plan. Ch. 6 (1987); Saunders and Johnson, Renunciation of Gifts and Bequests: New Law Clears up Some But Not All of the Problems, 6 EST. PLAN. 24 (1979); D.L. Uchtmann and H.E. Hartnell, Qualified Disclaimer of Joint Tenancies: A Pollicy and Property Law Analysis, 22 ARIZ. L. REV. 987
(1981); David H. Evaul, Federal Taxation: Section 2518 Disclaimers-Anything But Uniform, 31 U. FLA. L. REV. 188 (1978); Joan B. Ellsworth, On Disclaimers: Let’s Renounce I.R.C. Section 2518, 38 VILL. L. REV. 693 (1993).
に示されているが、遺産税(697)および世代跳躍移転税(698)の下で生じる同様の問題に ついても、この条項の下で判断される。この条項の目的は、権利の放棄が、
適格かあるいは不適格であるかを判断することにある。したがって、この規 定により、贈与税が課される移転が存在したか否かが判断されることになる。
内国歳入法典2518条の下、譲渡者が、「適格な権利の放棄を行う者」に財 産を移転し、あるいは権限を与えるのならば、連邦法(贈与税、遺産税、世 代跳躍移転税)は、放棄者(disclaimant)(699)が財産あるいは権限を受け取ら なかったものとして取り扱い、それらの納税義務は生じないことになる。こ れは、財産上の権利あるいは権限が、譲渡者から放棄者に移転されたのでは なく、財産あるいは権限が、譲渡者から放棄者以外の第三者に移転されたも のとみなされるためである(700)。権利の放棄は、放棄者および権利放棄の結果と して財産を取得した者のみならず、譲渡者または譲渡者の遺産に関して、税 の結果を変化させることになる(701)。2518条(a)は、ある者が財産上の権利
(interest)に関して適格な権利の放棄を行った場合、そのような権利はその 者に移転されなかったものとみなすと規定する。2518条(c)(2)は、財産 上の権限(power)についても財産上の権利として取り扱われることを規定 する。そのため、一般指名権という権限も、適格な権利の放棄によって、贈 与税の課税対象から除外されることになる(702)。
「適格な権利の放棄」の定義は、内国歳入法典2518条(b)および2518条(c)
(3)で規定される。2518条(b)は、「適格な権利の放棄は、財産上の権利 を取得する者による撤回不能な拒絶」を意味するとした上で、①そのような 拒絶の意思が文書で示されていること、②①の文書が、権利の譲渡者、法定
(697)I.R.C.§2046.
(698)I.R.C.§2654 (c).
(699)通常は、譲受人となる。
(700)Treas. Reg.§25.2518-1 (b).
(701)権利の放棄は、譲渡者の贈与税あるいは遺産税の配偶者控除および公益寄附控除に影響 を及ぼすことになる。
(702)I.R.C.§2055 (b).
代理人、あるいは財産に対して法的所有権を有する者によって取得されてい ること、③予定される権利の取得者が、財産上の権利、または財産上の利益 の取得を受け入れなかった場合、④取得に対する拒絶の結果、財産上の権利 が、権利放棄者の指示によらず移転し、また故人の配偶者あるいは権利放棄 者以外の者に移転されること、等と規定する。また、2518条(c)(3)では、
前述のように、財産に関する権限は、財産上の権利として取り扱われる、と 規定する。
内国歳入法典2518条(a)は、1つの財産移転で複数の権利が設定された 場合、その権利に対して、個別にその適用を規定するものと解されている(703)。 例えば、信託を用いた財産の移転では、一般指名権を含む多くの権利が関与
する(704)。したがって、ある者が、信託の所得収益権と残余権の両者を取得する
場合、あるいは信託収益権と残余権に対する一般指名権の両者を取得する場 合、権利の放棄は、所得収益権の放棄ではなく、残余権または権限に対して 行われることになろう(705)。しかしながら、譲渡者によって個別に設定された権 利が州法等によって1つに併合される場合、財務省規則では、併合された権 利または併合された権利で分割されない権利の集合体として、権利の放棄が 取扱われる(706)。さらに、その規則では、財産に対する指名権が、以下の場合に 限り、財産における個別の権利を放棄することが可能であるとの立場をとる。
すなわち、いかなる財産を指定する将来権を伴わず、財産への留保権益が放
(703)Treas. Reg.§25.2518-3 (a)(1)(i); Estate of Boyd v. Commissioner, 819 F.2d 170 (7th Cir.
1987).
(704)I.R.C.§2518 (c)(2); Treas. Reg.§§25.2518-3(a)(1)(i), 25.2518-3(a)(1)(iii); Priv.
Ltr. Rul. 9203037 (Oct. 22, 1991); Priv. Ltr. Rul. 9329025(Apr. 28, 1993); TAMs 9610005 (Nov.
9, 1995), 9633004 (May 6, 1996); TAM 9852034 (Sep. 29, 1998); TAM 200428013 (Apr. 1, 2004).
(705)I.R.C.§2518(c)(2); Treas. Reg.§§25.2518-3(a)(1), 25.2518-3(d); Estate of Lassiter v.
Commissioner, 80 T.C.M. (CCH) 541 (2000). §25.2518-3(a)(1) のEx. 8では、信託におけ る所得収益権と残余権の個別権利に関する権利の放棄について明確な事例を示している。
§25.2518-3(d)のEx. 11では、一般指名権と残余権を区別する被指名権者の権利につい ての事例を示している。
(706)Treas. Reg.§§25.2518-3(a)(1)(i), 25.2518-3(d), Ex. 12.
棄者に残された場合についてのみ、適格な権利の放棄は可能であるとする(707)。 これは、放棄者が、財産への受益的享受を指定する将来権を保有する場合、
その権利が、解明可能な基準によって限定されるのであれば、適格な権利の 放棄とみなされることになる(708)。換言するならば、放棄者が、財産を受け取る のが誰であるかを決定することができる権利を保有し続ける場合、その権利 は、個別の権利として取り扱われない(709)。
適格な権利の放棄は、宝石、絵画、企業株式および特定可能な土地などの ような、権利放棄者に移転する分離可能な財産に関して行うことができる(710)。 しかしながら、信託における特定の財産に対する個別的な権利の放棄は、信 託からそのような財産が切り離され、権利放棄者以外の者あるいは故人の配 偶者に移転しない限り有効ではない(711)。
1つの権利(712)についての未分割部分に関する権利の放棄は、適格な権利の放
棄となる(713)。したがって、収益権の2分の1あるいは残余権のうちの4分の1
などのような分離した権利で未分割の部分についての権利の放棄は、適格な 権利の放棄としての資格を得るであろう(714)。しかしながら、所得の生涯権を保 有する者による年単位での期間に関する権利の放棄あるいは単純不動産権に おける残余権に関する権利の放棄などのような1つの権利の中で切り出され た部分は、未分割部分としての資格を得ないであろう(715)。
(707)Treas. Reg.§25.2518-3(a)(1)(iii); Priv. Ltr. Rul. 200832018 (Mar. 17, 2008).
(708)I.R.C.§2518(b)(4); Treas. Reg.§25.2518-3(a)(1)(iii).
(709)Treas. Reg.§25.2518-3(d), Ex. 9.
(710)Treas. Reg.§§25.2518-3(a)(1)(ii), 25.2518-3(d), Exs. 1, 3; Priv. Ltr. Rul. 200503024
(Oct. 5, 2004).
(711)Treas. Reg.§25.2518-3(a)(2); Treas. Reg.§25.2518-3(d), Exs. 5, 6, 7; Priv. Ltr. Ruls.
9725005 (Mar. 18, 1997), 9845019 (Aug. 7, 1998).
(712)I.R.C.§§2518(b)(1)-2518(b)(4).
(713)I.R.C.§2518(c)(1); Treas. Reg.§25.2518-3(d), Exs. 5, 20; Priv. Ltr. Rul. 9203028 (Oct.
21, 1991; Rev. Rul. 2005-36, 2005-1 C.B. 1368; Priv. Ltr. Rul. 201125009 (Mar. 10, 2011).
(714)Treas. Reg.§§25.2518-3(b), 25.2518-3(d).
(715)Id.
7 適格利益終了財産
先に死亡した配偶者の配偶者控除の対象となった適格利益終了財産が、残 された配偶者に移転され、その財産が、残された配偶者によって他者に移転 された場合、その移転に対して贈与税が適用される(716)。このように、かつて配 偶者控除の対象となった適格利益終了財産の生存中の移転は、贈与税の課税 対象となるのである。
第2節 課税除外と贈与分割
贈与税法上、課税対象となる贈与の概念は広範囲に及ぶ。しかし、贈与と いう行為の全てに課税が生じるものではない。また、現行の贈与税法は、納 税者にとって有利に働く贈与分割の規定を定めている。本節では、贈与税の 課税除外と贈与分割について概観する。
1 課税除外
課税除外は、贈与税の計算に重要な役割を果たす。贈与税法における贈与 の定義は広範囲に及ぶ。しかし、贈与による行為と贈与税法が規定する贈与 とは、必ずしも一致するものではない。
例えば、Aが、孫の誕生した夜に、その父親であり、また
A
の子となるB
を、ディナーに連れて行くとする。当然のことながら、AのB
に対するこ の行為は、贈与に相当することになる。しかし、この場合、ディナーに対す る州売上税とともに、贈与税もまた課税されることになるのだろうか。さら に、その翌日、Aは、生まれた孫のためにベビーベッドを購入し、また、そ の1週間後に分娩費用として医療機関に500ドルを支払った場合、これらの 支払についても、贈与税の課税対象となるのであろうか。おそらく、これらの支払は、贈与税の課税対象とはならないであろう。こ の点に関し、子である
B
の必要および要望に関し行った全ての支払が、贈(716)I.R.C.§2519; ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶10.08.
与に分類されるとは限らないのである。人が、他者を扶養し、基本的な生活 の維持に行った贈与は、贈与税法の範囲を超えるものとみなされる(717)。このよ うにみた場合、贈与には課税対象となる贈与もあれば、課税対象とはならな い贈与もあることになる。では、どのような贈与が、課税の対象とはならな いのであろうか。
贈与税制度の創設以来、贈与税法は、実質的にある一定額について、非課 税で贈与を行うことを認めてきた(718)。実際に、議会は、誕生日、結婚および他 の合理的な範囲での特別な行事による贈与は、遺産税を回避させる行為とは、
無関係であると考えた。それゆえ、そのような贈与を贈与税の課税対象とす る必要はないと判断した(719)。それでは、どの程度の贈与を、年間課税除外とし て取り扱うことができるのであろうか。
制定法は、課税贈与の計算から、提供者による課税贈与で、受贈者各人に 対し、年間14,000ドルまでを課税を除外する(720)。仮に、贈与が5人の受贈者に 対して行われるのなら、その年間の課税除外は総額70,000ドルとなる。同様 に、14,000ドルの5人分の贈与は、続く暦年においても、毎年、無制限に行 うことができる(721)。この贈与は、いかなる贈与税の納税義務も生じさせること
(717)I.R.C.§2503 (e); BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶121.5.
(718)BITTKERAND LOKKEN, supra note 127,¶124.1.
(719)Jeffrey S. Kinsler, A Comparative Proposal to Reform the United States Gift Tax Annual Exclusion, 30 VAND. J. TRANSNAT’L L. 949 (1997); Walter D. Schwidetzky, Estate Planning: Hyperlexis and the Annual Exclusion Rule, 32 SUFFOLK U. L. REV. 211 (1998); Robert B. Smith, Should We Give Away the Annual Exclusion? 1 FLA. TAX REV. 361 (1993); John G. Steinkamp, Common Sense and the Gift Tax Annual Exclusion, 72 NEB. L. REV. 106 (1993).
(720)I.R.C.§2503(b); ADAMSAND SMITH, supra note 259,¶9.04 [1][a]. 贈与税の年間課税除外 制度は、受贈者の数に制限なく適用することができる。そのため、巨額の富を複数の受贈 者に分散することができるので、その結果として、遺産を縮小することが可能となる。こ れにより、遺産税の負担を軽減させることができるという問題点が存在する。McCaffery, supra note 500, at 297; Alstott, supra note 500, at 506.
(721)Helvering v. Hutchings, 312 U.S. 395 (1941). 最高裁判所は、贈与税の年間課税除外を規 定する条項は、各受贈者に対して適用されると判示した。この判例を基に、現在において も、贈与税の年間課税除外は各受贈者に対して適用される。規定では、課税除外の対象と
はない。また、このような暦年の課税を除外は、規模の大きな贈与に対して も、課税対象額を減少させる機能を有することになる。例えば、Aが
B
に 対し現金で100,000ドルを与えるのなら、その課税期間に考慮される課税贈 与の額、すなわち、A
の課税対象となる贈与を決定する際に考慮される額は、86,000ドル(100,000ドル-14,000ドル)となる。
暦年の課税除外制度は、あらゆる種類の贈与に関わる金額を減少させるた めに利用することはできない。課税除外の対象となる贈与は、その贈与財産 における現在権(present interest)のみである(722)。例えば、Dの暦年贈与が 信託を用いて行われ、Bが生涯にわたりその信託所得を取得し、残余権は、
C
に与えるものとした場合、Dは、BおよびC
に対して、信託財産の受益所 有権を与えるという贈与を行ったことになる。この場合の贈与は、BおよびC
の2人に対する年間課税除外を保証するものとなるのであろうか。この事 例で年間課税除外の対象となるのは、Bに移転された現在権のみであり、C に与えられた残余権は、年間課税除外の対象とはならない。例えば、Dが信 託に移転した財産の価値が15,000ドルであり、Bの生涯権の価値が6,000ドル、
C
の残余権の価値が9,000ドルで評価されるのであれば、その贈与は、年間 課税除外を考慮した後の9,000ドル(15,000ドル-B
の現在権の贈与6,000ド ル)が、贈与税の課税対象となる。暦年の課税除外が、将来権に適用されないことは、未成年者に対し除外可 能な贈与を行うことにおいて、問題を生じさせた(Crummey事件)(723)。1962年、
なる受贈者の数に制限がないことから、課税除外額の範囲であれば、贈与税の納税義務を 負うことなく、贈与することができる。
(722)William C. Brown, Judicial Expansion of the Future Interest Exception to the Gift Tax Annual Exclusion–Examination of the Legislative History and Policy Basis for the Future Interest Exception, 65 TAX LAW. 477 (2012).
(723)Crummey v. Commissioner, 397 F.2d 82 (9th Cir. 1968).この裁判の結果、Crummey信託 が生れることになる。その後、Crummey信託は、生命保険信託に適用拡大される。生命 保険契約の信託への移転は、保険証書の再取得価格で贈与税の対象となるかもしれない。
信託受託者は、将来権を持つことになるので、贈与税の年額控除を利用することができな いように思われるであろう。しかし、その信託で、Crummey権限を利用することによって、