米国における富の移転課税(1)
著者 佐古 麻理
雑誌名 同志社法學
巻 66
号 5
ページ 1840‑1678
発行年 2015‑01‑31
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015223
米国における富の移転課税(1)
佐 古 麻 理
目次 はじめに
第1章 富の移転課税の歴史的展開 第1節 遺産税および贈与税の創設 第2節 1976年の遺産税と贈与税の統一化
第3節 1976年の世代跳躍移転課税制度の創設と確立 第4節 2001年以降の税制の変容
第5節 小括 第2章 連邦遺産税 第1節 課税対象 第2節 控除 第3節 税額控除
第4節 現行遺産税をめぐる問題点 第5節 小括(以上本号)
第3章 連邦贈与税
第1節 贈与税の課税対象となる移転 第2節 課税除外と贈与分割 第3節 課税贈与および控除等 第4節 小括
第4章 世代跳躍移転税 第1節 用語の定義 第2節 直接スキップ 第3節 課税終了 第4節 課税分配 第5節 小括 おわりに
はじめに
富の移転課税は、理論的に「遺産取得税方式」と「遺産税方式」に分けら れる(1)。遺産取得税方式は、相続等により取得する者を納税義務者とし、その 取得した財産を課税物件として課税する形態をとる。一方、遺産税方式は、
財産あるいは遺産全体を課税物件とし、例えば遺言執行人等を納税義務者と して課税する形態である(2)。わが国の富の移転課税は、広義の意味において基 本的に遺産取得税方式に分類されるが、その課税方法は、単純な遺産取得税 方式ではなく、法定相続分課税方式が採用されている(3)。この課税方式では、
相続人を納税義務者としつつも、税額計算では総遺産額が用いられ、遺産税 方式の側面を有する。また、単純な遺産取得税方式とも異なり、税額計算に おいて、遺産全体である課税価格の総額を民法の相続分に応じて取得したと 仮定した場合の取得財産額に税率を算定し(相税16条)、その税額の総額を 各財産取得者に取得財産の大きさに応じて按分するものである(相税11条)。
各相続人等が、納税義務者となっているところに特徴がみられる。
近年、わが国では富の移転課税方式をめぐって議論が展開されてきた(4)。し かし、2013年度の税制改正(5)で、相続税の最高税率の引上げと基礎控除の引 下げなど、課税強化が図られたものの、現行制度の枠組みの中での変更に留 まり、抜本的な制度改革には至っていない。2014年度税制改正大綱におい
(1)清永敬次『税法(新装版)』(ミネルヴァ書房、2013年)173頁、金子宏『租税法(第19版)』
554頁(弘文堂、2014年)。
(2)清永・同前173頁。
(3)佐古麻理「米国における富の移転課税とその根拠論」税法学567号37頁(2012年)。
(4)田中治「相続税・贈与税一体化による資産移転」税経通信1月号59頁(2003年)、渋谷雅 弘「相続税の本質と課税方式」税研139号22頁(2008年)、水野忠恒「相続税の根拠と課税 方式の変遷」税研139号33頁(2008年)、三木義一「遺産取得税方式と法定相続分方式の差 異」税研139号38頁(2008年)、小池正明「遺産取得課税方式を採用する場合の論点整理」
税研139号43頁(2008年)、品川芳宣「遺産取得課税方式へ変更した場合の実務への影響」
税研139号50頁(2008年)、三木義一「相続・贈与税改革の論点」税研102号32頁(2002年)、
水野忠恒「相続税の意義と根拠」日税研論集61号18-21頁(2011年)等。
(5)平成25年度税制改正の大綱(平成25年1月29日閣議決定)。
ても、富の移転課税に関する制度改革の指針は示されていない(6)。とはいえ、
少子高齢化が進むわが国では、高齢世代における富の偏在化がますます強ま ることになる。そのような状況の下、高齢世代から現役世代への富の移転課 税制度のあり方は、経済的世代間格差の是正や世代間の税負担の公平性の観 点から、今後も、重要な課題となりえよう。
富の移転課税制度のあり方の検討に際しては、まずは、遺産取得税方式と 遺産税方式の比較論から開始されよう。しかしながら、遺産取得税方式を採 用するわが国では、馴染みの薄い遺産税方式による課税の検討が不十分であ るように思われる。遺産税制度を採用する代表的な国は米国である。したが って、米国の富の移転課税制度を検討することは、遺産税制度の認識がより 一層深まることにつながると考える。
米国における富の移転に対する課税(wealth transfer taxation)は、連邦 遺産税(federal estate tax)、連邦贈与税(federal gift tax)および世代跳躍 移転税(generation-skipping transfer tax)の3つの税目で構成されている。
これら3つの税目は、1つの財産移転に対する課税を網羅的に完結させよう とするものである。各税目は、同時に制定されたものではなく、国庫歳入や 租税回避の抑制等の必要性から、歴史的に順次制定され、現在に至ってい
(7)る
。
本稿の関心は、米国の富の移転税に関わる理念とそれに対応する課税体系 である。すなわち、1つの財産移転に関わる3つの税目が、それぞれ、どの ような機能を有し、また、各税目がどのように、協調した働きをしているの かが問われる。例えば、1つの財産を移転したとき、贈与税、遺産税、世代 跳躍移転税のいずれか1つの課税だけが生じることになるのか、あるいは複
(6)平成26年度税制改正の大綱(平成25年12月24日閣議決定)。
(7)John R. Luckey, A History of Federal Estate, Gift, and Generation-Skipping Taxes, Congressional Research Service Report 95-444 (2008); JOINT COMMITTEEON TAXATION, HISTORY, PRESENT LAW, AND ANALYSISOFTHE FEDERAL WEALTH TRANSFER TAX SYSTEM, JCX-108-07 (2007); David Joulfaian, The Federal Estate Tax: History, Law, and Economics (2013), available at http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm-abstract_id=1579829.
数の課税がその組合せで生じることになるのか。その検討の中核をなすのは、
第1に、課税要件である。遺産税、贈与税および世代跳躍移転税の各税目に は、どのような課税要件が存在するのかを明らかにする必要がある。第2に、
信託と富の移転の課税関係である。なぜ、米国では、信託を意識して、富の 移転課税制度が構築されてきたのかが問われる。第3に、3つの税目の体系 的な検討の必要性である。例えば、遺産税のみを断片的に検討するのではな く、全ての税目を検討することによって、富の移転課税制度の全体像が明ら かとなり、またそれと同時に、各税目間の機能と協調性を検討することがで きると考えられる。第4に、課税理念である。課税制度の歴史的展開の検討 と3つの現行課税制度の体系的な検討によって、富の移転に対する課税理念 を導き出すことができると考えられる。
本稿第1章では、課税制度の歴史的展開として、遺産税と贈与税の統一化 について検討する(8)。遺産税と贈与税は、ある世代から次の世代に財産が移転 される時に課税されるという共通点が存在する。1976年前の米国では、両 者は別個独立した制度として存在していたが、1976年の税制改正(Tax
Reform Act of 1976)
(9)で、両者は統一化された制度となった。また、1976年 の税制改正は、現行法にもいまだに大きく影響し、現行の遺産税法および贈 与税法の解釈にとって重要な位置づけとなっている。さらに、同年の税制改 正では、世代跳躍移転課税制度が新たに創設された。その後、1986年の税 制改正(Tax Reform Act of 1986)(10)で世代跳躍移転課税制度は一部改正され たものの、1976年の世代跳躍移転税制度の創設は、現行法の基礎となって いる。このように、富の移転課税制度の転期となった1976年の税制改正に つき、その背景、目的、理由および内容について検討する。第2章から第4章では、遺産税、贈与税および世代跳躍移転税における個々 の税目の機能、およびそれぞれの税目間の関係を検討する目的で、現行の各
(8)本稿第1章第2節参照。
(9)Pub. L. No. 94-455, 90 Stat. 1519 (1976).
(10)Pub. L. No. 99-514, 100 Stat. 2085 (1986).
税制について、課税対象を中心に、その概要を個別に検討する(11)。また、米国 における富の移転課税の課税対象には、財産それ自体のみならず、財産上の 権利、権限あるいは支配が含まれるという特徴がある(12)。この課税の特徴は、
信託を用いた富の移転と深く関わるものである。信託を意識して税制度が構 築されている理由についても、併せて検討する。
わが国においては、新信託法(13)の成立に伴って、信託税制度が大幅に改正(14)さ れた。しかし、相続税を含む信託税制度のあり方に対しては、さまざまな議 論が展開されている(15)。
米国では、信託という手法を用いた財産の移転は一般的であり、それに対 応する法制度の歴史も長い(16)。米国の富の移転に対する課税理念と課税手法を 検討することは、課税方式の異なるわが国の相続税制度にあっても、十分な 意義があると考える。
米国の富の移転課税制度に対する姿勢の検討は、今後のわが国における相 続税制度や信託税制のあり方の検討において参考となり、また、日本法に示 唆することができると考えるものである。
第1章 富の移転課税の歴史的展開
米国連邦における富の移転課税は、連邦遺産税、贈与税および世代跳躍移
(11)本稿第2章、第3章および第4章参照。
(12)本稿第2章第1節、第3章第1節参照。
(13)法律第108号(平成18年12月)。
(14)平成19年税制改正。
(15)占部裕典「信託税制について」信託245号97頁(2011年)、佐藤英明「新信託法の制定と 19年信託税制改正の意義」日税研論集62号37頁(2011年)、水野忠恒「受益者等課税信託(個 人信託)の課税問題」日税研論集62号71頁(2011年)、中里実「集団信託」日税研論集62 号87頁(2011年)、谷口勢津夫「公益課税信託」日税研論集62号125頁(2011年)、渡辺徹 也「受益者等が存しない信託に関する課税ルール」日税研論集62号171頁(2011年)、渋谷 雅弘「受益者連続型信託等について」日税研論集62号199頁(2011年)、川口幸彦「信託法 改正と相続税・贈与税の諸問題」税大論叢57号246頁(2008年)等。
(16)Luckey., supra note 7, at 95-444.
(17)Id.
(18)本稿第2章参照。
(19)本稿第3章参照。
(20)本稿第4章参照。
転税の3つの税目で構成される。これら3つの税目は、同時に制定されたも のではなく、連邦遺産税が最初に制定された後、連邦贈与税および世代跳躍 移転税の順に、その必要性から制定の時期を異にして制定されてきた(17)。本章 では、米国における富の移転課税の歴史的展開について、以下の4期に区分 し検討する。①連邦遺産税および贈与税の創設、②1976年の遺産税と贈与 税の統一化、③1976年の世代跳躍移転税課税制度の創設と確立、④2001年 以降の税制の変容、である。
連邦遺産税と連邦贈与税が制定された当初、それらは別個独立した制度と して存在していたが、1976年の税制改正で、両者の統一化が図られた。また、
同年の税制改正で、新たに世代跳躍移転税の制度が創設され、富の移転課税 制度に関わる3つの税目が整備された。1976年の税制改正による連邦遺産 税と連邦贈与税の統一化と世代跳躍移転税制度は、それぞれ現行法の基礎と なるものであり、それゆえ、富の移転課税に関わる現行法には、いまだ1976 年を起点とした条項が数多く含まれる。このように、1976年の税制改正は、
現在の法規制に影響を与える重要な改正であったといえる。
そこで、現行の連邦遺産税(18)、連邦贈与税(19)および世代跳躍移転税(20)の検討に先 立ち、1976年の税制改正を中心に、米国の富の移転課税制度に関わる歴史 的な展開について検討する。なお、1976年の税制改正では、配偶者控除制 度の改正など、重要な改正が多岐にわたり行われたが、本章では、連邦遺産 税と連邦贈与税の統一化および世代跳躍移転課税制度の創設とその概要を中 心に検討する。新たに創設された世代跳躍移転課税制度の詳細にいては、第 4章でも検討する。また、2000年代から現在に至る間の税制改正について も若干の検討を行う。
第1節 遺産税および贈与税の創設
米国の富の移転に対する課税制度は、1862年、南北戦争の戦費調達のた めに納税義務者を取得者とする相続税(inheritance tax)として創設された
(Revenue Act of 1862)(21)。その後、南北戦争の終結により過重となっていた 所得税および相続税に対する反対があり、1870年には所得税および相続税 ともに廃止された(Revenue Act of 1870)(22)。1893年の経済危機により、再び 歳入確保の必要性から、1894年、贈与・遺贈を含む所得税制度が復活する ことになった(Revenue Act of 1894)(23)。この復活した所得税制度では、贈与 および相続による財産の取得は所得とみなされ、生涯累積取得課税
(accession tax)の対象となった。ところが、この所得課税制度は、多くの 問題が含まれることから、連邦最高裁判所によって憲法違反であると判示さ
(24)れ
、翌1895年に廃止された。その後、1898年にはスペインとの戦争遂行の 戦費調達のため所得税が再度復活した(Revenue Act of 1898)(25)。復活した新 たな制度では、一定税率に代えて(26)累進税率(27)が適用され、財産の取得者が納税 義務者とされた。この制度は、被相続人の遺産規模に応じて、親疎の度合い が考慮された税率を用いるものであり、遺産税(estate tax)と遺産取得税
(21)12 Stat. 432(1862).
(22)16 Stat. 269(1870).
(23)28 Stat. 570(1894).
(24)Pollock v. Famers’ Loan and Trust Co., 158 U.S. 601 (1895).
(25)30 Stat. 448(1898).
(26)Darien B. Jacobson, Brian G. Raub and Barry W. Johnson, The Estate Tax: Ninety Years and Counting, Statics of Income, SOI Bulletin, June 22, 118, 119(2007).
1862年相続税創設時の税率は、直系尊属、直系卑属、兄弟姉妹が取得した場合は、取得遺 産に対し0.75%の一定税率により課税され、その他の者については5%の一定税率により 課税されていた。慈善団体は5%の税率により課税され、配偶者については課税されなかっ た。1864年の改正においては、直系尊属、直系卑属は1%、兄弟姉妹は2%、その他の者 は6%と税率は増加したが、一定税率による制度は維持された。
(27)Id. at 120. 1898年の改正においては、相続人が直系卑属、直系尊属および兄弟姉妹の場合、
取得額が1万ドル―2万5,000ドル、2万5,000ドル―10万ドル、10万ドル―50万ドル、50 万ドル―100万ドルおよび100万ドル以上のときそれぞれ税率は、0.75%、1.125%、1.5%、
1.875%、および2.25%の累進税率となった。第三者の場合の税率は、それぞれ5%、7.5%、
10%、12.5%および15%であり、累進税率の最高税率は15%であった。
(inheritance tax)の両要素を含む中間的なものであった。1902年、戦争の 終結によりこの制度も廃止された(War Revenue Repeal Act of 1902)(28)。そ の後、相続税導入のための各種の提案がなされたが制定には至らなかった。
1913年、第一次世界大戦の戦費調達のため所得税が導入された(Revenue
Act of 1913)
(29)。1916年には、更なる資金調達のため所得税および法人税の増 税とともに、遺産課税制度が導入され、現代に至るまで、米国においては遺 産税制度が採用されている。遺産課税制度の創設当時、連邦の国庫歳入額は 相続税(inheritance tax)の方がより効果的であろうと判断されたが、当局 による徴税の執行可能性は遺産税(estate tax)の方が高く、また富裕層に対 する課税が可能となることを主な理由として、遺産課税制度が採用された(30)。 このように、米国の富の移転課税制度は、当初は取得課税制度として開始 されたが、1916年、行政執行上の利便性を重要視し、取得課税制度から遺 産課税制度へと変更がなされた。戦費調達のための緊急性からも遺産課税制 度が採用された(Revenue Act of 1916)(31)。1918年、慈善団体に対する寄附金 の全額控除および配偶者控除等の仕組みが制定された(Revenue Act of 1918)(32)。その後、1924年、富の移転課税に関する重要な変化がみられることになる。
(28)32 Stat. 92 (1902).
(29)38 Stat. 114 (1913).
(30)WILLIM J. SHULTZ, THE TAXATIONOF INHERITANCE 156 (HOUGHTON MIFFLIN COMPANY 1926). Shultzに よれば、「相続税(遺産取得税方式)の下では、税は、相続人と各取得者に対する遺産か ら移転された財産額との関係によって決定される。一方、遺産課税方式の場合、その納税 義務は、遺産額の規模によってのみ決定される」、とされる。遺産取得税方式では、複数 の納税義務者が存在すること、また、取得した遺産額に応じた税額の徴収が必要となるた め、課税当局にとって、徴税の執行が複雑化することになる。一方、遺産税方式では、納 税義務者は基本的に1人(遺言執行人等)であり、課税の対象となる遺産額も総遺産額の 1つのみとなり、徴税の執行可能性は、遺産取得税方式に比べて高くなる。1916年の遺産 課税制度では、50,000ドルを超える故人の総遺産に対して、最高税率10%で税を課すもの であった。遺産課税制度では、相続分割前の総遺産が課税対象となるために、より一層、
富裕層に対する課税が可能となる。
(31)39 Stat. 756 (1916).
(32)40 Stat. 1057(1918).
第30代大統領
John Calvin Coolidge
および財務長官Andrew W. Mellon
の強 い反対にもかかわらず(33)、同年、連邦遺産税率を引き上げる税制改正(RevenueAct of 1924)
(34)が、議会において行われた(内国歳入法典、Internal RevenueCode, I.R.C.§301
(a))(35)。また、州相続税あるいは州遺産税との関係で、連 邦遺産税からこれら州税の25%までの控除が、初めて認められることになっ た(I.R.C.§301 (b))(36)。それに加え、連邦贈与税制度が制定された(37)。連邦遺 産税と同様に(38)、新たに制定された連邦贈与税制度は、Bromley事件の最高 裁判決で、その合憲性が示された(39)。この制度では、富の生涯移転(lifetimetransfer)に贈与税が課され、連邦遺産税と同じ税率が適用された(I.R.C.§
319)(40)。当時、遺贈による生涯移転は、富の移転課税の課税ベースとなってい
(41)た
。これに対し、新たに制度化された連邦贈与税制度は、移転課税の範囲に
(33)Louis Eisenstein, The Rise and Decline of the Estate Tax, 11 TAX L. REV. 223 (1956); C.
Lowell Harriss, Legislative History of Federal Gift Taxation, 18 TAXES 531, 533 (1940).
Mellon長官は、連邦遺産税は経済を破壊すると考えていた。また、富を分割し破壊する
ことによって、社会に富を還元するという社会政策についても否定する立場をとっていた。
さらに、Mellon長官は、連邦贈与税制度にも反対の立場をとる。その理由として、贈与 税は、①資本に課される税であり、贈与税は、国の総資本の崩壊につながる、②暦年課税 は、年度内における贈与を拡大することによって、遺産税の租税回避に影響すること、③ 国庫歳入に対する贈与税の寄与は何もないこと、④課税当局にとっても、贈与の実態を把 握することやそれに対する執行の困難さがある、というものであった。また、Mellon長 官は、贈与を受けた者ではなく、贈与した者が税を支払うという連邦贈与税の納税義務者 の組立てについても、反対の立場をとる。
(34)68 Cong. Ch.234, 43 Stat. 253 (1924).
(35)43 Stat. 253, 303. 改正された正味遺産についての税率表が示されている。
(36)43 Stat. 253, 304. 州税等の税額控除の規定である。
(37)43 Stat. 253, 314.
(38)New York Trust Company v. Eisner, 256 U.S. 345 (1921).
(39)Bromley v. McCaughn, 280 U.S. 124 (1929). この判決において、連邦贈与税は、連邦遺産 税と同様に、米国合衆国憲法第1条第2節第3項および第1条第9節第4項で定められて いる直接税ではないと判示された。また、贈与による財産の移転は、所有権(ownership)
に付帯する権限(power incident)の行使であると判断され、連邦贈与税は、その行為に 対して課される税(excise tax)であると判示された。
(40)43 Stat. 253, 314 (1924).
(41)38 Cong. Ch.173, 13 Stat. 223, 287-88 (1864). 例えば、南北戦争税は、遺言によって、既 に処分がなされた、あるいは死亡に起因して将来的に処分される不動産の相続に税を課し た(§127)。
ある生前贈与を含めた、全ての富の生涯移転を課税対象とした最初の試みで あった(42)。連邦贈与税制度を支持する者は、①贈与税は、所得税の完全性
(integrity)に寄与することができること、すなわち、贈与による所得の目 減りに起因する所得税の減少を抑止することができる(43)、②贈与税は、連邦遺 産税の大幅な回避を抑制するために必要であること、等を主な論拠とする。
連邦贈与税の意義は、連邦遺産税を補強することにおいて、重要な役割を果 たすとされた(44)。連邦議会は、1916年に制定された連邦遺産税の国庫歳入の 寄与が低い理由の1つとして、生涯贈与による連邦遺産税の租税回避を挙げ ている(45)。
ところが、連邦贈与税制度が制定された2年後の1926年、経済状況の改 善を背景として、共和党による富の移転課税に対する反対論が強く展開され、
同年、最初の連邦贈与税は廃止された(46)。連邦遺産税制度は、廃止には至らな かったが、基礎控除の拡大や税率の引下げなど、税の軽減措置が図られた。
とはいえ、国庫歳入の必要性を主張する意見も存在した。
1932年、連邦所得税の歳入の減少に起因した連邦の財政赤字が拡大し(47)、 それを緩和するための歳入源についての議論が展開されることになる。その 結果、同年の税制改正(Revenue Act of 1932)(48)において、連邦遺産税の基
(42)最初に設定された連邦贈与税の課税ベースは、全般的に、狭い領域に適用されるものであっ た。1受贈者あたり年間500ドルの除外が認められ、贈与者あたり50,000ドルの生涯累積 控除が認められた。慈善団体に対する贈与は、非課税とされた。贈与者自らが、贈与によっ て取得した財産の贈与には、贈与税が課されなかった。また、相続開始前5年以内の贈与 に対しても、贈与税は課されなかった。
(43)当時は、贈与税制度がなかったため、贈与により移転された財産については、その分、
所得が減少し、その結果、所得税も減少した。
(44)Harriss, supra note 33, at 533; Joseph M. Dodge, Substantial Ownership and Substance Versus Form: Proposal for the Unification of Federal Estate and Gift Taxes and for the Taxation of Generation-Skipping Transfers, 1976 U. ILL. L.F. 657, 680-81 (1976).
(45)Id.
(46)70 Cong. Ch. 27, §1200 (a), 44 Stat. 9, 125 (1926).
(47)この時における財政赤字の拡大の原因は、特に戦争を背景としたものではなく、一般的 な財政赤字を背景としている。
(48)72 Cong. Ch. 209, 47 Stat. 169 (1932).
礎控除は半分に引き下げられ(49)、また、税率も2倍以上に引き上げられた(50)。そ れと同時に、新たな連邦贈与税制度が制定された(51)。1932年に制度化された 連邦贈与税制度は、その後、度々の改正はあるものの、廃止されることなく、
現在に至るまで継続されることになる。
1932年の連邦贈与税制度では、税率が連邦遺産税の75%に設定された(52)。 生涯控除額は50,000ドル(53)であり、1受贈者あたりの年間控除額は5,000ドル であった(54)。贈与税は、課税対象となる個別の贈与移転、あるいは期中におい てなされた贈与の額ではなく、全ての生涯課税贈与の累積総額に対して、累 進税率を用いて計算された。この贈与税制度においても、遺産税からの課税 漏れを抑止する目的で、制度設計がなされた(55)。贈与税の税率構造は、課税対 象となる生涯贈与について国民の理解を得る目的で、遺産税の税率構造より も低く設定された。これによって、富の移転課税から由来する国庫歳入の増 加が期待された(56)。その後、連邦贈与税は、国庫歳入の増加を目的に、税率と 控除額を中心とした税制改正が繰り返されたが、1976年までの間、基本的 な税制度の構造に変化はなかった。連邦贈与税は、連邦遺産税を補完すると いう富の移転課税の位置を保持するものの、両者は、それぞれが異なる税率 構造、控除、非課税枠を持つ別個独立した税制度として存在していた。
その後、1976年の税制改正(Tax Reform Act of 1976)で、富の移転に対 する連邦課税は、課税構造を含め、大幅に変更された(57)。本改正で最も特徴的 な変更は、別個独立して規定されていた連邦遺産税と連邦贈与税の統一化
(49)§401 (c), 47 Stat. 169, 244.
(50)§402(a), 47 Stat. 169, 245.
(51)§§501-532, 47 Stat. 169, 245-59.
(52)§502, 47 Stat. 169, 246.
(53)§505 (a)(1), 47 Stat. 169, 247.
(54)§504 (b), 47 Stat. 169, 247.
(55)Harriss, supra note 33, at 534.
(56)Id. at 536.
(57)Pub. L. No. 94-455, 90 Stat. 1520 (1976).
(unification)の試みであった(58)。
1976年の税制改正前では、歴史的に、連邦遺産税は、死亡時の財産移転 に課される税であり、連邦贈与税は、生前の財産移転に課される税であった。
これら2つの税目は、それぞれが異なる税率構造や非課税枠を有する別個独 立した税制度であった。例えば、1954年法(Revenue Act of 1954)(59)の税率 構造に関して、連邦遺産税は、3%(5,000ドルを超える課税遺産)から77
%(1,000万ドルを超える課税遺産)までの税率が適用され(60)、非課税額は、
60,000ドルであった(61)。一方、連邦贈与税は、2%(5,000ドルを超える課税 贈与)から57%(1,000万ドルを超える課税贈与)までの税率が適用され
(62)た
。また、各受贈者に対する年間3,000ドル相当の贈与は非課税とされ(63)、生 涯贈与の非課税額は、30,000ドルであった(64)。このような税率構造と非課税 枠の違いに加え、贈与による生涯移転は、連邦遺産税の計算において考慮さ れておらず、連邦遺産税と連邦贈与税とは、明確に、別個独立した税制度と して存在していた。このような二元的な税制度の下で、納税者は、租税回避 の目的で、数多くの生前贈与を行うことができた。また、累進税率構造の違 いにより、納税者は、有利な財産計画を選択する機会を得ることができた(65)。
(58)I.R.C.§2001 (imposition of rate of tax), §2010(unified credit against estate tax), §2502
(rate of tax), §2505(unified credit against gift tax).
(59)Pub. L. No. 113-36, 68A Stat. 373(1954).
(60)§2001, 68A Stat. 373.
(61)1916年の連邦遺産税創設時の非課税額は50,000ドルであった。その後、非課税額は、
1926年の改正法で100,000ドル(I.R.C. §§ 301(b), 303(a), 44 Stat. 70, 73)および、1932 年の改正法で50,000ドル(I.R.C.§401, 47 Stat. 243)にそれぞれ改正され、1942年以降 1976年の税制改正までの間、非課税額は60,000ドル(I.R.C.§414, 56 Stat. 951)であった。
(62)I.R.C.§2502, 68A Stat. 403.
(63)I.R.C.§2503(b). 受贈者1人あたりの非課税額が定められていて、贈与総額の非課税額 は定められていない。したがって、仮に、提供者が、100人の受贈者にそれぞれ年間3,000 ドルを贈与した場合、300,000ドルの贈与が非課税となる。
(64)I.R.C.§2521, 68A Stat. 410 (repealed 1976).
(65)I.R.C.§§2035-2038, 68A Stat. 381-84. 保持された生涯権を伴う移転、故人の死亡によっ て効力が生じる財産の移転、および撤回可能な財産の移転、などのような死亡を予期して 行われる贈与は、生涯贈与の課税対象とはならない。これらの生涯贈与の価値は、遺産課 税の対象となる総遺産に含まれる。
さらに、連邦遺産税と連邦贈与税とが別個独立した税制度であったために、
財産贈与者の遺産税計算のための総遺産から、贈与税として支払われた税額 に相当する財産が除外され、そのため、遺産税の課税対象となる総遺産額が 減少した。さらに、財産提供者自らが、財産の享受に関する受益の享受
(beneficiary enjoyment)を保持し、そのため贈与が不完全な形であった場 合(incomplete transfer)、あるいは、死亡を予期して(contemplation of
death)行われる不完全な贈与であった場合に、課税上の問題が生じた
(66)。このような別個独立した連邦遺産税と連邦贈与税という富の移転に関わる 2つの税制度は、行政執行上の困難さや税の公平性に問題を生じさせた。そ こで、1969年、財務省は、税率と非課税枠の両者を統一化させる税制改正 案を策定した。これを受けて、財務長官は、下院歳入委員会(House
Committee on Ways and Means)に対して、以下の提言を行った
(67)。①連邦遺 産税と連邦贈与税の税率構造を一元化すること、②税率は、3%(課税移転 5,000ドルまで)から65%(課税移転1,000万ドル以上)までにすること、③生涯贈与の非課税と遺産税の非課税の枠組みを改変し、あらたに、
60,000ドルの統一的非課税枠を新設すること、である。この税制改正の提 案による税率は、贈与を含む全ての生涯移転と遺贈の総和に対して適用され る、とするものであった(68)。これにより、生涯贈与によって遺産を減らし、遺 産税を回避しようとする節税対策は、その効力を失うことになる。さらに、
受益権の享受が保持された贈与には、その享受が完結されるまでは課税され
(66)納付された贈与税は、遺産税の税額控除として取り扱われる。このため、納付すべき遺 産税が、減少するので、結果として、最終的な国庫歳入が減少する。
(67)HOUSE COMMITTEEON WAYSAND MEANSANDTHE SENATE COMMITTEEON FINANCE, 91th Cong., 1st Sess., TAX REFORM STUDIESAND PROPOSALSOFTHE U.S. TREASURY DEPARTMENT 354-55 (Comm.
Print 1969).
(68)例えば、Aという人が、1980年に50,000ドル、1981年に100,000ドルを生前贈与し、1982 年に、課税遺産250,000ドルを残して、死亡したとする。この場合、最初の贈与である 50,000ドルに対しては、50,000ドルまでの税率で課税され、2回目の贈与に対しては、
50,000ドルから150,000ドルの税率が適用され、それぞれ贈与税が課される。遺産に対して は、生前贈与の150,000ドルに課税遺産である250,000ドルを加えた400,000ドルに対する税 率で、遺産税が計算される。
ないものとされた。
連邦遺産税と連邦贈与税の統一化を試みようとする財務省による改正案 は、議会や米国法律協会(American Law Institute)に対し影響を及ぼすこ とになる(69)。法律協会は、遺産税と贈与税という2つの税構造とその統一化に 関する相対的な利点について検討を重ね、税の統一化は必要であると認識し つつも、協会としては、財務省が提案する税の統一化案には賛同しなかっ
(70)た
。法律協会の見解は、①贈与税の課税ベースは、贈与者の生涯においてな された全ての贈与の総額ではなく、むしろ、統一税としての遺産税は、贈与 税とは分離・独立させて適用されるべきであり(71)、贈与税と遺産税の統一化は、
贈与者の死亡前2年以内に行われた贈与に対してのみを対象とし、その贈与 税の税率は、遺産税の税率と同じとする、②課税対象となる贈与による財産 は、「生前贈与および遺贈」(72)によるものではなく、「生前贈与あるいは遺贈」(73)
のいずれかとする、③非課税額は、60,000ドルではなく、100,000ドルに引 き上げる(74)、というものであった。この非課税額は、規模の小さな財産移転に 対する高い税負担を避ける目的で設定された。この背景には、インフレーシ ョンによる財産価値の低下への配慮があった(75)。
財務省の改正案およびこれに対する米国法律協会の見解が示されるなか、
1976年の税制改正で(76)、遺産税と贈与税の統一税率制度(unified estate and
gift tax schedule)および移転税の統一税額控除制度(unified transfer tax credit)が可決された。採用された税率構造は累進税率であり、税率は、課
税移転額10,000ドルまでの18%から課税移転額500万ドルを超えるときの最(69)AMERICAN LAW INSTITUTE, FEDERAL ESTATEAND GIFT TAXATION; RECOMMENDATIONSOFTHE AMERICAN
LAW INSTITUTEAND REPORTER’S STUDIES (1968).
(70)Id. at 3-4.
(71)Id. at 9, 45.
(72)Id. at 45-46.
(73)Id. at 46-47.
(74)Id. at 9, 49-50.
(75)Id. at 49-50.
(76)Tax Reform Act of 1976 (1976).
高税率70%までの範囲であった(77)。新たな統一移転税は、納税者の累積生涯移 転と死亡時における移転の全てを対象とするものであった(78)。この税制改正に おいては、5年間の経過措置が設けられた。例えば、過去に行われた生前移 転が、1976年前の法規制の下で測定された場合、生涯課税ベースに含まれ る移転は、納税者の死亡の時において、また経過措置の期間中のものは、再 度、課税ベースに含まれることはなかった。死亡を予期して行われる贈与は、
故人の遺産に含まれた(79)。
1976年の税制改正前、故人の死亡前3年以内に贈与が行われた場合の規 定には、贈与者に対し推定事実に対する反証の機会を与えないままに推定事 実を贈与者の意思とみなす、以下のような、条文(rebuttable presumption)
が存在した(80)。「死亡前3年以内の贈与は、死亡を予期して行われたものと推 定する。また、その価値は、死亡前3年以内の贈与による移転が、死亡を予 期して行われた贈与ではない財産であるということを主張する証明あるいは その証拠が欠如したものであり、それは遺産として捉えられ、総遺産に含ま れる」。このように、死亡前3年以内の贈与は、自己の死を予期してなされ たものとする、と規定していた。この条項からは、死亡に先立つ一定期間に 贈与が完了したという基本事実が立証されると、そこからその贈与行為は、
死亡を予期して行われたという贈与者の意思についての推定事実が導き出さ れることになる(81)。しかしながら、この条項に対して、最高裁は、贈与者に反 証の機会を与えていないという点において、適正手続条項に違反するとの判 断をした(82)。そこで、税制改正では、この条文を改め、単に、「個人の死亡日
(77)I.R.C.§2001 (c). この税率は、米国内居住者および米国市民に適用された。非居住外国 人は、別の税率が適用された。税率は、6%(10万ドルまでの課税移転額)から30%(200 万ドルを超える課税移転額)であった。
(78)I.R.C.§2001 (b).
(79)I.R.C.§2035.
(80)Dodge, supra note 44, at 681-82; I.R.C. §§ 2035 (a),(b).
(81)釜田泰介「恣意的判断と憲法十三条審査に関する一考察」同志社法学60巻3号120頁(2008 年)。
(82)Schlesinger v. Wisconsin, 270 U.S. 230(1926); Hoeper v. Tax Commission, 284 U.S. 206
前3年以内に行われた全ての贈与の価値は、故人の総遺産に含める」とし
(83)た
。また、改正前の死因贈与は、贈与税の税引後の価値が総遺産に算入され たが、改正後の死因贈与によって移転された財産は、贈与税の税引後ではな い価値で総遺産に算入された(84)。
法で規定される贈与分割条項(gift-splitting provisions)(85)の特典を活かす ために、夫婦が共同で贈与(joint gift)を行った場合、生存配偶者によって 支払われた贈与税は、先に死亡した配偶者の総遺産に算入され、死亡した配 偶者の遺産税から控除されるものとして取り扱われた(86)。これは、贈与の2分 の1の提供者としての生存配偶者に対する税制上の優遇措置を講じることを 目的としている(87)。しかし、生存配偶者の死亡時には、その者の総遺産に先に 支払われた夫婦双方の贈与税が算入される。贈与分割による贈与は、生存中 の夫婦双方による贈与を、後に死亡する配偶者の遺産税の計算に含め清算さ れる。このように贈与分割条項に基づく贈与税は、いわゆる贈与税の繰延べ の効果を有することになるが、法的に夫婦双方が死亡するまでは、不完全な 贈与であると位置づけられる。
1977年1月1日以後に行われた贈与は、全て生涯贈与の総計の一部とし て、あらたに定められた税率が適用された(88)。死亡を予期して行われた贈与に 対するあらたな規定は、1977年1月1日以後に行われた移転に対して適用 された(89)。
遺産税率と贈与税率の統一化に加え、1976年の税制改正では、生涯贈与
(1931); Heiner v. Donnan, 285 U.S. 312(1932); Handy v. Delaware Trust Company, 258 U.S.
362(1932).
(83)Id.
(84)I.R.C.§2035 (c).
(85)I.R.C.§2513.配偶者の一方が、配偶者以外の第三者に対して贈与を行う場合、その贈与 のうちの半分の価値は、贈与を実際に行った配偶者によって、残りの半分の価値は、もう 一方の配偶者によって行われたものとして扱うことができるという規定である。
(86)I.R.C.§2001 (d).
(87)HOUSE REPORT 14844, 94th Cong., 2d Sess., at 13 (1976).
(88)I.R.C.§2001 (d)(2).
(89)Id.
基礎控除と遺産税基礎控除が、単一の税額控除に統一された(90)。設定当時の遺 産および贈与の統一税額控除額は30,000ドルであり、これは120,667ドルの 基礎控除額(exemption or equivalent amount)に相当する(91)。その後、毎年 統一税額控除額は拡大し、1981年における税額控除額は47,000ドルであり、
これは175,625ドルの基礎控除額に相当する(92)。統一税額控除額の範囲にある 課税遺産は、遺産税申告の対象とはならなかった(93)。
1976年の9月8日から12月31日の間で行われた贈与に関し、生涯贈与税 の基礎控除限度額が残存している納税者は、それを利用することができた。
しかしながら、1976年末までにそれを利用した場合は、利用した控除額の 20%まで、1977年度の統一税額控除額から差し引かれた(94)。例えば、30,000 ドルの基礎控除を有している納税者が、それを利用した課税贈与を行った場 合、1977年の統一税額控除額30,000ドルのうち、6,000ドルが利用できない ことになり、1977年度に利用することができる控除額は、24,000ドルとなる。
遺産税と贈与税の統一化によって、生涯贈与に対する税制上の優遇措置
(tax incentive)のほとんどが取り除かれた。とはいえ、税制改正後におい ても、納税者は、1受贈者あたり年間3,000ドルの年間控除を利用すること ができ、また、死亡の日から3年以内に行われた全ての贈与に対して支払わ れた贈与税は、総遺産から控除された。税制改正前は、生前贈与に対して 30,000ドルの基礎控除が設定され、低い税率によって贈与税が課されてい た。遺産税と贈与税の領域において、とりわけ、小さい規模の資産を保有す る納税者にとっては、これらの優遇措置を受ける機会に恵まれず、その意味 で不公平であるといわれていた(95)。1976年の税制改正による遺産税と贈与税
(90)I.R.C.§2010.
(91)Joulfaian, supra note 7, at 2-6, table 2.1. (chapter2).
(92)Id.
(93)I.R.C.§6018 (a).
(94)I.R.C.§2505 (c).
(95)Jerome Kurtz and Stanley S. Surrey, Reform of Death and Gift Taxes: The 1969 Treasury Proposals, The Criticisms, and a Rebuttal, 70 COLUM. L. REV. 1365, 1373(1970). 100万ド ル以上の大きな遺産を持つ故人は、生前中にその資産の10%を移転させるが、遺産規模が
との統一化は、このような課税の不公平さを是正したものといわれる(96)。
第2節 1976年の遺産税と贈与税の統一化 1 統一化の背景と意義
遺産税と贈与税の統一化に関する意義は、1976年の税制改正報告書の中 で、以下のように示されている(97)。「遺産税および贈与税の税構造は、連邦税 制度全般において重要な位置づけにあり、遺産税と贈与税の適用に際しては、
その両者の間で、可能な限り公平(equity)でなければならない。租税債務
(tax liability)は、次世代へ財産が移転される手法(遺贈あるいは生前贈与 など)に左右されるべきではない」(98)。このように、財産を移転させる手法が 複数存在するなかで、それに対して、遺産税と贈与税による2つの税制度で 課税を行う場合、納税者間の課税上の平等を確保するために、両税制度は、
両者の間で公平でなければならないという論理が、統一化の背景に存在す
(99)る
。
統一化前の税制は、遺産税と贈与税との間で、税率構造(tax rate
schedule)および非課税枠(exemption)がそれぞれ異なっていて、同じ額
30万ドル以下の小さな遺産を持つ故人は、生前中にその資産の2%以下しか移転させない。
一般に、資産規模の小さな納税者は、生前贈与を行う機会が少なくなるので、贈与税の年 間基礎控除の恩恵が相対的に少なくなり、資産規模の大きい納税者との間で、税に対する 不公平が実質的に存在することになる。
(96)Howard Zaritsky, The Estate and Gift Tax Revisions of the Tax Reform Act of 1976, 34 WASH. AND LEE L. REV. 353, 360 (1977).
(97)HOUSE REPORT 10612, 94th Cong., Pub. L. 94-455, GENERAL EXPLANATIONOFTHE TAX REFORM ACT OF 1976 (December 29, 1976).
(98)Id. at 13; George Cooper, A Voluntary Tax? New Perspectives on Sophisticated Estate Tax Avoidance, 77 COLUM L. REV. 161 (1977).
(99)John T. Gaubatz, The Unfinished Task of Estate and gift Tax Reform, 63 IOWA L. REV. 85
(1977). 遺産税と贈与税の統一化が図られたにもかかわらず、遺産税の税額は課税ベース に含まれるのに対し、贈与税の税額は課税ベースに含まれない。よって、遺産税と贈与税 の統一化は、未だ不完全なものであるとの指摘もある。また、その統一化について、遺産 税と贈与税の条項が整理されておらず、簡素化(simplification)された法体系には至って いないという見解もあった。
の財産を移転させた場合、生涯贈与による移転が、遺産による移転よりも税 制上、有利となっていた(100)。第1に、贈与税の税率は遺産税の税率の75%であ り、贈与税の税率は、遺産税の税率よりも低かった。第2に、遺産税の税額 は課税ベースに含まれるが、贈与税の税額は課税ベースには含まれない。例 えば、両者の税率が50%で、100万ドルを移転する場合、遺産税では200万 ドルを準備する必要があるが、贈与税では150万ドルを準備すればよいこと になる。第3は、財産移転を贈与と遺産とで分割したときに生じる税率分割
(rate-splitting)の有利性である。贈与により課税遺産が減少すれば、その分、
遺産税は低い税率区分で課税され、遺産税額の負担が減少することになる。
生涯贈与の手法を使って財産を移転させることができるのは、資産規模の大 きい納税者であり、一方、資産規模の小さい納税者は、贈与による財産移転 を行う機会は少ない。資産規模の大きい納税者は、税制上有利となる贈与税 を活用し、財産を移転させることができる。一方、資産規模の小さい納税者 は、税制上不利な遺産による財産移転が主となり、両者間で、富の移転課税 に対する不公平が存在していた。遺産税と贈与税の統一化は、このような納 税者間の税に対する公平を企図したところに、その意義が見出されるのであ
(101)る
。
2 税率表の統一化
議会は、税の公平性に関して、以下のように考えた。「富の移転に課され る税負担は、生存中に行われた移転と死亡の時における移転の両者で同じで あり、また、死亡の時においてのみ行われた移転についても、生存中の移転 と同じにならなければならない」(102)。そこで、議会は、累進税率による単一の 統一化された遺産税および贈与税の税率表を適用することによって、生存中
(100)Id.
(101)岡村忠生「不完全移転と課税(序説)」法学論叢164巻162頁(2009年)、JOHN K. MCNULTY AND M.P. MCCOUCH, FEDERAL ESTATEAND GIFT TAXATION 3-12 (7th ed. 2011).
(102)HOUSE REPORT, supra note 97, at 526.
の移転と死亡時の移転との間の税に対する不公平を軽減させようとした(103)。 税率は、累積の生涯移転と死亡時の移転を基にした累進税率構造である(104)。 統一税率表は、遺産税に比べて税率が4分の3と低い従前の生前贈与による 移転を抑止する効果がある。
統一税率表の下、税率は、最小の課税移転10,000ドルに対する18%から、
500万ドルを超える最高の課税移転額に対する70%の段階的なものであっ
(105)た
。しかしながら、非課税枠の代わりに統一税額控除(30,000ドル)を適 用すると、実際に税率表の下で負担される最小の税率は、18%の課税移転価 格帯ではなく、それよりも税率の高い課税移転価格の階層に相当する。1977 年から1979年の3年間は、実質上の最低税率は30%となり(106)、1980年以降は 32%となる(107)。
贈与税の税額は、累積された生涯の課税移転に対して統一税率表を適用す ることによって求められる(108)。新たに算出された生涯贈与税額の総計から、過 去に支払われた贈与税額の総計を控除することによって、当課税年度の贈与 税額が計算される。これは、1977年1月1日より前に行われた課税贈与に 対して適用された。過去に支払われた贈与税額の控除の計算は、新たに策定
(103)Id.
(104)David L. Case and Steven W. Phillips, Death and Taxes ―The 1976 Estate and Gift Tax Changes, 1976 ARIZ. ST. L. J. 323, 324 (1976); I.R.C. §§ 2001, 2502.
(105)Tax Reform Act of 1976, Pub. L. 94-455, 90 Stat. 1847(1976).
I.R.C.§2001 (c). 税率区分は、課税遺産10,000ドル未満に対する税率18%から500万ドル超 の課税遺産に対する税率70%までの21段階であった。
(106)Id. 税率28%の区分(課税遺産80,000ドルから100,000ドルの範囲)における最高の暫定 税額(tentative tax)は、以下の算式で23,800ドルと計算される。18,200ドル+(100,000ド ル-80,000ドル)×0.28=23,800ドルである。当時の統一税額控除額は、30,000ドルであっ たので、28%税率の場合の暫定税額は、税額控除額に満たないため、28%の税率区分に該 当する課税遺産については、遺産税の課税は生じない。一方、税率30%の区分(課税遺産 100,000ドルから150,000ドルの範囲)における最高の暫定税額は、以下算式で38,800ドル と計算される。23,800ドル+(150,000ドル-100,000ドル)×0.30=38,800ドルである。こ の場合、統一税額控除30,000ドルを上回り、税30%が実質上の最低税率となる。
(107)HOUSE REPORT, supra note 97, at 527.
(108)Id.
された統一税率表を用いて再計算される。
例えば、過年度に課税贈与額5万ドルの贈与を行い、その当時の税率表を 用いて計算された贈与税額を既に支払っていたとする。その後、本年に新た に課税贈与額10万ドルの贈与を行ったとする。この場合、当期の贈与税額は、
以下の手順にて計算される。①生涯累積課税贈与額15万ドル(5万ドル+
10万ドル)、②統一税率表から15万ドルに該当する税率で生涯累積贈与税額 を計算する、③統一税率表から過年度分5万ドルに該当する税率で過年度の 贈与税額を計算する、④生涯累積贈与税額(②)から過年度分の贈与税額(③)
を控除し、当期の贈与税額を求める。この税額計算において、過年度分とし て支払われた税額と③の新たに計算される税額が、その時の税制改正による 税率の違いによって、必ずしも一致するとは限らない。しかし、生涯累積に よる課税制度とは、過年度分を含めて最新の税率表の下に統合させることに よって、贈与あるいは贈与の行為(109)に対する徴税の一元化を図ろうとするもの である。
遺産税額は、生涯累積贈与と死亡時の課税遺産の総額に対して統一税率表 を適用することによって移転税額の総計を求めた後(110)、統一税率表を用いて算 出された生涯累積贈与に対する贈与税額を控除することによって求められ
(111)た
。この生涯累積贈与の税額控除の取扱いに関しては、1976年の税制改正 では、暫定的措置として、1977年1月1日以降に行われた課税贈与の累積 のみが対象となった。1976年12月31日以前に行われた課税贈与は、遺産税 の税額を算出する上記の計算方法から除かれた。以下の手順で、税額控除前
(109)渋谷雅弘「資産移転課税(遺産税、相続税、贈与税)と資産評価(1)―アメリカ連邦 遺産贈与税上の株式評価を素材として―」法学協会雑誌110巻9号1340頁(1993年)。遺産 税と同様に、贈与税もエクサイズタックスである。エクサイズタックスとは、「ある行為 をすること、ある業務への従事、又はある特権の享受に対して課される税」、である。し たがって、贈与の行為も、贈与税の課税対象となる。
(110)Don R. Castleman, Lifetime Gifts in Estate Planning under the 1976 Tax Reform Act, 26 DRAKE L. REV. 313, 314-20 (1976).
(111)HOUSE REPORT, supra note 97, at 528.
の連邦遺産税額が計算され、納税義務が確定することになる(112)。
① 故人の総遺産の総額を確定する。
② 故人の課税遺産の金額を確定する。
③ 故人の総遺産に含まれていない、1977年1月1日以降の課税対象 となる贈与額を確定する。多くの場合、その贈与額は、故人の死 亡以前における贈与税の申告に際し、その申告額と同額の金額と なる。これは、調整課税贈与(adjusted taxable gift)とよばれる(113)。
④ §2001(c)で示される税率表を用いて、上記②の課税遺産と③の 調整課税贈与の金額を合算した金額に対して、暫定的な税額
(tentative tax)を計算する。
⑤ 1977年1月1日以降に行われた全ての贈与額について、故人の死 亡日における §2001(c)で示される税率表で、あらためて、贈与 税額を計算する。この贈与税額を④の暫定的税額から差し引く。
ここで計算された額が、税額控除前の遺産税となる。
改正税法では、調整課税贈与(adjusted taxable gift)(114)として表記される 生涯移転の課税ベースに含まれる移転は、故人の総遺産には含まれない(115)。調 整課税贈与とは、1977年以降の課税贈与であって故人の総遺産に含まれな かった課税贈与の累積額をいう。故人の死亡前3年以内に行われた移転およ び故人が財産上の権利や権限を保持した生涯移転は、生前の贈与による移転 の行為ではあるが、遺産税の課税ベースに含まれることになる。これは、課 税ベースの帰属を、課税贈与あるいは課税遺産のいずれであるかを明確に区 分することによって、贈与税と遺産税の二重課税を回避するためである(116)。し
(112)I.R.C.§2001. 岡村・前掲注(101)162-164頁、渋谷・前掲注(109)1344-1346頁。
(113)I.R.C.§2001 (b).
(114)I.R.C.§2101 (c).
(115)Id.
(116)暫定遺産税額を計算する際、最初に課税遺産と死亡前3年以内に行われた贈与の合計額 を求める。その合計額に、1977年以降に行われ死亡前3年を超えて以前に行われた累積贈 与額(調整課税贈与額)を加算する。この合計額に対し、税率表を適用させて暫定的税額 を計算する。さらに、1977年以降に行われた全ての贈与(死亡前3年以内の贈与で、課税
かし、例えば、死亡前3年以内の贈与の場合、既に贈与税を支払っているこ ともある。そこで、これらの移転で既に支払われた贈与税は、現行の税率を 適用し、遺産税額の計算において控除されることになる。
さらに、税法の贈与分割(gift-splitting)(117)条項の下、生存する配偶者によ って支払われた贈与税は、死亡した配偶者の遺産税を計算する際、控除され
(118)る
。これは、生存配偶者の贈与分割による税の優遇措置が、配偶者の死亡と ともに清算されるためであり、その後の生存配偶者による贈与は、生存配偶 者の死亡の時において、総遺産に含まれることになる(119)。しかしながら、贈与 分割の下で生存する配偶者によって支払われた贈与税は、生存配偶者の死亡 の時においては、統一税額控除の対象とはならない。
遺産に含まれたものも含む)に対し、税率表を適用し、贈与税額の累積額を計算する。こ の贈与税額の累積額を、先に求めた暫定税額から差し引くことになる。仮に、生存中の移 転に対し、贈与税額が支払済みであったとしても、死亡年の税率で再計算され差し引かれ ることになるので、贈与税と遺産税との二重課税は回避される。
(117)配偶者の片方が、配偶者以外の第三者に贈与を行う場合、その贈与の半分の価値は、贈 与を実際に行った配偶者によって、また、残りの半分の価値は、もう一方の配偶者によっ て行われたものとして取り扱われる(注85参照)。これを贈与分割という。贈与分割とし て取り扱われるためには、配偶者双方の合意が求められる。贈与分割として行われた贈与 は、贈与税の配偶者双方に年間控除の規定が適用される。贈与分割による贈与は、それが 配偶者双方の合意の下で行われたことを証明するために、贈与税の申告を行わなければな らない。贈与分割によって行われた贈与の価値の半分が、年間控除額よりも少なくても、
贈与税の申告は行う必要がある。例えば、配偶者1人あたりの贈与税の年間控除額が 13,000ドル、配偶者双方で26,000ドルの控除額とする。この状況で、Haroldと彼の妻であ
るHelenは、贈与分割に合意した。Haroldは、甥であるGeorgeに21,000ドルを贈与した。
Helenは、姪のGinaに18,000ドルを贈与した。この場合、HaroldとHelenのそれぞれの
贈与は、年間控除額の13,000ドルを超えている。しかし、贈与分割を適用すると、それぞ れの贈与は、非課税となる。贈与分割では、HaroldのGeorgeへの贈与は、Haroldから贈 与額の半分である10,500ドルが、Helenから同額10,500ドルが贈与されたものとみなされ る。HelenからGinaに対する贈与も、配偶者双方から贈与額の半分に相当する9,000ドル が贈与されたとみなされる。このHaroldおよびHelenのそれぞれの贈与について、贈与 分割では、年間控除額である13,000ドルを超えていないので、いずれの贈与も非課税とな る。しかし、贈与分割の適用を受けるためには、HaroldとHelenは、非課税贈与であっ ても、贈与税の申告を行う必要がある。
(118)HOUSE REPORT, supra note 97, at 528.
(119)Castleman, supra note 110, at 320; I.R.C.§2513.
1976年の税制改正で、改正前の条文に含まれていた「死亡前2年以内に 行われた贈与は、死亡を予期して行われた贈与」と推定する旨の文言は削除
された(120)。「故人の死亡前3年以内に行われた全ての贈与は、故人の総遺産に
含める」という条文の改訂が行われた(121)。改正前のこの推定的条文の文言は、
故人が死亡を予期した時に、生前の生涯贈与による移転を加速することによ って、遺産税を回避しようとする試みを抑制するという意図で策定されてい た。1976年の条文改定は、Heiner v. Donnan事件の最高裁判決を起源とす
(122)る
。最高裁は、「推定事実(conclusive presumption)を含む規定は、修正 憲法における法の適正手続条項に違反する。なぜならば、それは、他の同じ 贈与に税が免除される一方(123)、死という偶発的事象のために、遺産税の下、死 亡前2年以内の生前贈与による移転には、遺産税としての税が生じるためで ある」とし、推定条項である内国歳入法典302条(c)(124)は違憲であるとした(125)。 1976年当時の議会は、今回改正した条文は、違憲とされた従前の条文とは 明確に区別することができると考えた(126)。その理由として、第1に、今回改正 した条文には、死亡を予期して行われた移転であるという推定的な文言が含 まれていないということ、よって、改訂条項の論理は、遺言による財産処分 の代替としての「死亡を予期した移転」であるか否かということには依存し ないことになり、贈与者の財産処分に関する動機と改定条項は結びつかない ことになるとされた(127)。第2に、死亡前の期間の設定について、2年間から3
(120)HOUSE REPORT, supra note 97, at 528.
(121)Case and Phillips, supra note 104, at 340; I.R.C.§2035.
(122)285 U.S. 312 (1932). 類 似 判 例 と し て、Schlesiger v. Wisconsin, 270 U.S. 230 (1926); Hoeper v. Tax Commission of Wisconsin, 284 U.S. 206 (1931).
(123)本事件の当時、連邦贈与税は存在していなかった。
(124)Revenue Act of 1926, 44 Stat. 9 (1926).
(125)§302 (c) の条項は、合衆国憲法修正第5条および合衆国憲法修正第14条の適性手続条 項(due process clause of the 5th amendment)によって、保証される権利に違反すると判 示された。
(126)HOUSE REPORT, supra note 97, at 528.
(127)BORIS I. BITTKERAND LAWRENCE LOKKEN, FEDERAL TAXATIONOF INCOME, ESTATESAND GIFTS (Current Through 2014)¶126.2; Gina B. Kennedy, Section 2035: Taxation of Gifts Made Within