九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
知的障害者の住生活環境と福祉就労施設に関する研 究
鈴木, 義弘
https://doi.org/10.11501/3154840
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(人間環境学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
2章. 外出行動特性と環境整備の課題
2 - , . はじめに
2 - 2. 外出形態と規定要因
①調査概要
②外出の形態と特徴
1)障害判定と外出状況による対象者の分類と特徴 2)能力因子の分析
③外出時の利用施設について
1)外出利用施設への経路認識・利用頻度・移動手段 2)生活圏域の特徴
3)外出類型と施設利用の特徴
④環境因子の分析
1)居住地環境評価 2)外出促進国害要因
2 - 3. 外出行動特性と社会環境整備課題
①外出類型による外出行動特性
1 )同伴外出者 2)単独外出者 3)複合外出者 4)在宅中心者 5)重度障害者
②社会環境整備課題
2 - 4. 事例研究:0市M町における地域受容環境
①対象地区の選定理由と調査概要
②施設利用者の行動状況
③地域受容環境の考察 2 - 5. まとめ
2章の補注・引用文献
2章. 外出行動特性と環筑豊備の課題 2 - 1 . はじめに
社会への完全参加、 あるいはQOL向上のための諸項目・ プログラムについて、 様々な出芹が示されてい る。 本章は、 これらをより効果的に実現するための最も基本的な要件であるといえる 「移動」に着目し、 知 的障害者の外出行動の実態把握とこれを阻害する要因分析を行い、 環境整備のための課題を明らかにするこ とを目的としている。
福祉的配慮による外部環境整備は、 仙台の 「障害者生活圏拡大運動J(1969年)を端緒として、 「身体障害 者福祉モデル都市事業J('"'-'1977) r障害者福祉推進都市」推進事業('"'-'1985)などの都di規模に応じた補助'11 業が順次実施されてゆき、 漸く「高齢者、 障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築促進に関する法律 (通称ハートビル法)J (1994年)に至った。 これと前後して、 地方自治法に基づく福祉的環境整備のための まちづくり条例が、 各都道府県単位で制定され始めており、 外出環境整備についても徐々にではあるが進め られつつある。
しかし、 知的障害者に対する外出環境については、 「人的援助Jと 「サイン」の問題であるとして、 充分 な議論がなされていないのが現状であり、 生活圏域拡大のため、 実態把握を踏まえた上での整備要件を明ら かにする必要があるといえる。 さらに、 施策的側面からの物理的整備に止まらず、 地域生活における「受容J 環境ホlの醸成の側面も看過されてはいけない。 本章での、 外出行動の実態および評価の考察によって、 外部 空間整備に関する知見の一助とする。
2章 外出行動特性と環炭笠備の課題 2 - 2. 外出形態と規定要因
①調査概要
本章の調査は、 通所型の知的障害者福祉就労施設のうち、 大分県市部に所在する1 4施設の利用者323 名を対象として、 保護者への調査票調査によってデータを採取した。 市部と君lí部では外出の動員は異なると 考えられる。外IU行動を促す施設・店舗などの立地に限りがあり、 日常生活行動においても自動車への依存 度の高い郡部所在施設は、 今回の対象からは除外した。
調査項目を以下に列記する。
a.年齢・性別・障害判定・家族構成
b.移動能力(歩行・自転車・公共交通機関などについて) C.意思伝達能力(応答・要求・質問・報告・教示・発声など) d.外/Ij利用施設 (経路認識・利用頻度・移動手段など) e.居住地環境評価・外山阻害要因
期間は、 1996年11月から翌年2月にかけて、 施設経由にて保護者へ依頼を行った。 回収した有効データは、
264票(81. 7%)であった。
②外出の形態と特徴
1 )障害判定と外出状況による対象者の分類と特徴
a.対象者の外出状況と分類 表2- 1 . 障害判定と外出形態
外出状況を捉えるため、 単独外出および同伴外出川出|同伴外出|在宅中心l綱閏笛l女性|男性l 計 陣容宇IJ定11単独外出|出 11 、。 η 1.111 ペI 'l'ill ?n.l. 1 '1<; _1 A'I Jし1 ,,1 の外山形態とそれぞれにおける外出頻度(5段階)* 2
に基づいて、 対象者を分類する。外出「週1 ・ 2回」
以上を頻度大とし、 それを単独で遂行しているか同 伴によっているかで「単独外出J1同伴外出」、 双方 とも頻度大の「複合外出J、 いずれも頻度小の「在 宅IÎ1心」の4タイプに分類した。 これを障害判定と
日2
の関係でみると、 最重度A1から軽度B2になるに 1∞
従って、「単独外出」者の割合が増加し、「同伴外出」
の比率が減少しており、 全体としては強い相関があ る。しかし、重度A2での単独外出遂行者の存在や、
辺に軽度132での「同伴外出Jも確認される。また、
「在宅ι11心J.tfが、 障害判定や性別に拘わらず3割 lìíj後の一定比窄存イfすることも挙げられる。
<友2-1>
このため、 外出状況4タイプを障害判定Aランク (重度最重度:Al'A2)とBランク(中軽度: B 1 .
ß 2)にそれぞれ2分した計8タイプ(í外H\類型」
と呼称) によって考察を進める。(以下、「外出類型J の表記は「巾独AJ .... ["同伴BJなどとする。)
年齢柵成・性別
40-49 30-34 20-24
図2 - 1. 対象者の属性
65
100唖
家族形態
2:1量 外出行動特性と環境整備の課題
b.年齢構成・性別・家族形態との関係
対象者の'y-均年齢は27.7歳であるが、 外山形態を年齢惜成でみると、 「単独外出jに3 0代後半から40代 が比較的多く分布し、「在宅BJでも3 0代後半の比率が高く、 これらの平均年齢は相対的に尚い。逆に、「同 伴外出」には1 0代の若齢者が多くみられる。 性別では、 「単独B J r捜合AJでの男性、 I1刷、ドBJでの交付:に 比率が大きく上回る。
また、 家族形態ホ3と外出類型からは「同伴外出Jr複合AJにおいて、 両親世ß花の世持(くc>.<cα>.
<c+ c>) の占める比率が極めて高く、 「在宅中心Jが続く。 これに対し、 r ìド独外出」と「迎合ßJでは 相対的に低く、 さらに<c>の割合も少ないことが挙げられる。 く図2-1>
2) 能力因子の分析
外出行動能力として移動能力 (交通機関利用 を含む) と意思伝達能力* 4を取り上げて考察を|糊能カ 行う。
これらの能力のなかには、 障害判定に相関の 深いもの、 外出形態を規定する要素として働く もの、 それら双方に相関が深いものなどが存在 すると考えられる。 このため、 障害判定・外出 形態さらにこれらを複合した外出類型の3アイ テムをそれぞれ外的基準とし、 各能力を説明変 数として数量化E類による分析を行い、 さらに、
外出類型と各能力のクロス分析による詳細な傾 向把握を加えて、 相関をみた。 <図2-2>
図2ー2. 外出能力の相関分析
移動能力については、「単独BJの能力が極めて高く、「複合BJがこれに続く。 ほぽ同様にAランク占・で も、 「単独AJr複合AJに比べて、「同伴AJr在宅AJの低さが顕著である。
意思伝達では、 Aランク者において難易度の高い結果を示している。 しかしながら、 単独での外出を行っ ている「単独外出J r複合外出」は、 応答と要求については困難者が少なく、 逆に「同伴外出」と対比的で あることが着目される。
以上から、 「単独BJ r複合BJにおける能力は概ね高く、 単独での外出を実現している裏付けが見出せる のに対し、 「同伴外出J r在宅中心J者の外出行動能力は、 殊にAランク者に特徴づけられるように、 全般的 に低い。 また、 「単独AJ r複合AJは、 意思伝達能力のうち応答・要求の能力が相対的に高いため、 これら が単独外出の可能性を高める大きな要件であるといえる。
③外出時の利用施設について
上述の能力的背景の下で展開される具体的な外出行動の状況について考察する。
1 )外出利用施設への経路認識・手IJ用頻度・移動手段
日常生活において利用ニーズの強いと考えられる施設について、 当事者の経路認識の程度(3段階)・利用 頻度・移動手段(徒歩・自転車・乗物)を調べた。<図2-3>
最寄店の利用頻度は全般に高いが、 経路認識に関してAランク者殊に「同伴AJ r在宅AJの到達力が低 い。 移動は、 「単独外出Jí複合BJが徒歩・自転車中心に対し、 「同伴外出Jr被合AJが乗物利用で対比的
2章. 外出行動特性と環焼整備の課題
である。
飲食店の経路認識では「単独BJが高いのに比べ利用頻度 はあまり高くなく、 むしろ「捜合外出Jí同伴外出Jの方が大 きく上回る。これらは移動手段においても乗物利用中心で、「単 独外出」と傾向を異にしている。
専門店利用になると、 頻度が月1・2回から年数回に下がり、
移動も乗物中心に移行する。 ここでも「単独BJの経路認識 が突出している。
その他の施設では、 さらに利用頻度の低い医療施設の経路 において、 A.Bランク相互の格差が大きいが、 各々のランク では差異が少ないという特徴がある。 整容は徒歩での利用が 多い施設だが、 Aランク者での非利用者の割合が顕著に高く、
「同伴外出Jí在宅AJではここでも乗物利用に依拠する比率 が高い。
2)生活圏域の特徴
外出類型別に生活圏域をみると、 能力の高い「単独外出J の圏域は広くはなく、 保護者らによる同伴者は乗物利用を反 映して広域な移動をしている。 「複合外出j者は、 徒歩・買物 園での「単独外出Jと乗物圏で「同伴外出Jの傾向を併せ持 っているタイプであり、 やはり単独での乗物利用者は極めて 少ない。 <図2-4>
3)外出類型と施設利用の特徴
「単独外出」者は、 殊にBランクにおいて経路認識ができ ているにも拘わらず頻度には反映されていない。 徒歩・自転 JII中心で、伊l伴による外出が少ないことによるものであり、 従 ってと主活圏域も制約される結果となっている。
}Jí同伴外出Jは、 経路認識の低いAランクにおいても、
保議者の使役・援助と乗物利用によって利用頻度が高められて いるといえる。
これらの点から、 「単独外出」は生活圏域の拡大が、 「同伴 外出」占は外出自立性の酪成が要件といえる。
④環境因子の分析
次に、 外出行動に影響をもたらすといえる対象者の居住地 環境評価と、 その促進あるいは阻害要因について分析を行い、
外出を規定する原境条件を明らかにする。
能力|息子での分析同様、 障害判定・外出形態・ 外出類型を 外的基準、 各環境因子を説明変数とした数量化E類とクロス
図2 - 3. 外出時の利用施設
図2 - 4. 外出類型による生活圏域
2章. 外出行動特性と環筑整備の課題
分析による外出類型の相関を捉えた。 <図2-5>
1)居住地環境評価
居住地における8項目についての「大変良好jから「大変不良J5段階の環境評価では、 次のことが指摘 される。
評価が2分されているのが、 「公園・散歩の場所Jí買物の利便性Jí交通の利便性Jである。「公園・散歩の 場所」はAランク重度最重度者がプラス評価しているの対し、 「単独B J í同伴BJでは必ずしも満足してい ない。 また、 他の2者は、 「単独外出Jí複合外出Jの外出能力優位層が高い評仰を示すが、 íl,iJ{、ド外IUJí白 宅中心Jはマイナス評価という好対照の結果を示している。 さらに、 「同伴外出J-ðは、 文教施設の利便'1全 や住民との交流環境についても否定的である反面、 総合的住環境は強く評価している。
2)外出促進阻害要因
直載的に外出行動促進する(危倶しない)と考えている要因と阻害する(危供する)要l夫19項目について の集計結果は、 以下の通りである。
本人に希望による外出を実現しているのが、 「同伴外出Jí単独AJí複合AJであり、 逆に「任宅rj'心J 者ではこれが阻害要因となっている。 他の項目において促進要因として挙げられるのは、 外出能力に秀でた
「単独外出J(移動能力・発作迷子などの不慮の事故・第3者からの妨害)、 「複合外出J(移動能力)および
「単独BJ í複合BJ (交通の利便性)であり、 阻害要因は居住地環境と!日じくí 1司伴外出」者によるものが 大半を占めている。
地域住民の偏見を阻害要因に挙げているのが「在宅中心J以外の各タイプにみられ、 精神的障壁でもある地 域住民の受容環境は、 未だ大きな問題であるといえる。
2章. 外出行動特性と環境懇備の課題
外的基畢 同相鋼審lt判定�
0.10611 外相出関lt羽型" 0.15212
車匝':1.
居壇世岨唖
排阻 出E 配E 量固
- 64 -
7イ11 H】IJ-
2L C a 3 C. C 4 B f 5 B m
6 0 世田や岨阻隔!j; 町
21 IR平ど大HE良EちE 不らH で
良
3 n �1'!J 5 4 買1輪4車量世匝町
23451 究R平大ど亙H R Eち民平ら"でRも 責判通園量世蝿町 23a5
平主大RどH定良 Eち
員平ら野で島も
立1'E4 E量世置 の 2 x 平良ど大 好
量h
良
5 R平り, で
良
f 3 t:;" l' tJ 4 5 l!íl
E判 見世世世町
23451 貢良平大ど時 EEち良 Rら平
, で良
, も 蝿葦15
2345 R平1 xど K H
a 良Eち k 良平ら野
で良も 地埴世宣畏車 とめ
23d51 大良平大どE好E良ちR平ら, e で良
も 龍吉生活圏明 2
平大良ど大好 E 宜
ち良R ら平Hで
良
3 t:;,,"(' tJ 4 本 人町措置 2345
軍や唖やど ややミち〈圃賀恒園ら 量温で暗田も
ー111瞳11 23・5
種やや軍ど やや、ち〈 圃E E 圃り E
aE で陣 踊E も 掴陣抽 畢
23a51 哩や喧やど やや〈ち〈 圃園匝配り 暗 量 置で暗も 司 書・9a宥91包au ,t 2
ぶ ' ' @ @'宇EE
S
φ‘φ
句〈
‘
B s
pP4g慣・恒・・ら b E 2
33
・
邑 で H 温 で・・
E 一 もも
�温判.陸 1
3 置
也ら、で も
平瞳町' 肱 2 世1心とdb b配化らしし、 む
• t�(.al
同音 量がり世
富世4心ど b配むし5 し
2 也置り、心
3- E でも
圃園町恒貝 5 12 冒脅d心tp配心s しL 43 聖心らで配心 も 都市基拭 瞳現 E 園 I2 5
t心 Eど世b配化しちし、
3‘
官bら
E で色、 も5
Ea Z 43 39 29 17 17 0 29 61 31 11 20 64 26 30
23 61 16 36 2
31 9 45 416 4 15 55 31 37 0
10 4s 39 319 2
60 7
‘1 24 1 14 19 29 22 1 35 41 40 25 4
22 34 5‘ 215 0
16 39 81 5
21 31 60 21 9
18 35 61 i22 i 0 1 31 14 438 1 22 43 19 329 2 19 51 25 36 7
15 39 21 490 4
.06610 1 A 1 01058 1 A 1 00596 3 B 1 1 3167 4 B 2
jjl. ').117 りi)
11 5915
亡
ロ
L
13 7171口
し一
二 高
。[円
11 2051円
10.7333
「
「
日 10.7424」
「ー
10.9013口
円L 12.0116 L
h
10.9013「
日 12 1116
E 11
12 1551
� f-l
11 9319ビ
11 7313
「
コ
106953
h
105995寸
44 11 45 38
健相・111
04451
05570
04918
0.2853
02818
0.2010
0310B
05651
。‘350
0.4295
03690
04241
0.4351
0.5552
05391
0.5416
o 2918
03263 07470 2 .1293 05500 1 3541
。1739 o 6436 O0S444824 1
1 単単 桂 B 2 控A 1 裡掴同吉 B
4 告 A
5 惇 B 惇
6 同 A 7 在在 宅日 B 雫A
bjJIJ).l7 (レンγ }
日 仁
円
14目779
「
10.8110
ビ同
は12 4680
「一一
11 0024
門
12.1315
」日
ト「111163� t ーー「
113448トJ12 .1108
� r
l1.S446工E
11 BI28「
口
rl
一一「し一一ーコ 12 6011)
[コ
10.8525仁し
11 .6111
「 101291
「
15 6 19 11 9 30 310 5
量相聞量R
04115
05283
0.4106
0.5808
03286
05031
o 4609
0.6952
0.4141
0.5425
0.4109
o 472B
0.6240
0.6808
0.4109
0.6415
04395
0.31 15
図2- 5. 環境因子の分析
外掴出関比形 B2E053024 クロス分析による偶成比
02136 1 単邑 31
0.7125 2 置陣古雫 30 凡例 仁コ20-31\
1 2112 3固 39
04812 4在 45 璽邑“、 仁コ10.20、
園田ト.,、亡コ1).10、
Hl リ�l7 レンン ) 圃網目関睡且1.,単控T
望ー
-.r • Eー
11 .1241 0.3149
圃圃・
仁口
11 46B5 0.3523 --間
」』1
365 o.408B口
圃・「 圃圃
11.5660 0.4114 -
円
圃・- -0.3941
雪量ー
圃・・
「一 圃・・ -
10.1106 0.2021
-
�
-- 圃・・-
ト111.1912 032B7
� ー
- 圃・
-
円
口11.9576 0.4805
睦
E監 園
4 『
11.3434 0.4704し 11.7761 0.3756 圃・・
-
�
0.5291戸圃 雪圏 三 園
仁ロ
10.5440 0.1179
_1 圃圃l
0.3243
圃・・-
r
10.8622 0.2836
圃・・- 圃・・
0.3953
-
- 圃・・
仁Jコ
IU1Sl 0.5113 圃・11.0436 0.2441
聞ー
国
-つ 圃・・
L_
コl
04891-
-圃圃 圃・・ -
2寧 外出行動特性と環頃整備の課題
2
- 3. 外出行動特性と社会環境整備課題これまで考察した外出行動の特徴と規定要附を総括し、 社会環境整備の課題を提示する。
①外出類型による外出行動特性
1)同伴外出者
障害当事者の外出動機も強く、 総合的な居住地環境にも満足度の高いなかで外H\行動が実現している「同 伴外出Jは、 同伴の必要な当事者の外出能力と、 保護者らの同伴による判事吉行動の熟知から、��ltl子要肱|が 顕著に示されているといえる。 具体的には、
a.移動能力 b.交通の利便性
c.施設の立地(最寄店・文教施設・公園や散歩場所) d.都市基盤整備状況
e.地域生活(不慮の事故・第3者の偏見・住民との交流)
である。 a..-...d.は、移動性mobility確保や到達容易性accessibili句向上の環境4整備が必要であり、 d.e.は、
日常生活を安心に過ごす快適性amenityの要件である。
一言でいえばこのタイプは、 外出動機を単独で実現できる条件の保障が必要であるといえる。
2)単独外出者
外出行動能力が優位で、居住地環境にも満足度の高い「単独外出J者は、外出阻害要閃も少く、 抽山された のは、
a.公園散歩場所 b.第3者の偏見
また、 軽度障害者共通の要因として、
c.医療施設の利便性
などである。 これらは、 より充実した生活環境への希求のニーズ、と理解される。 -)J、 促進要因は、
a.最寄店の利便性
b.不慮の事故・第3者の偏見への危慎のなさ
であるが、 「単独外出J 者は相対的に外出頻度が少なく、 徒歩・自転車利用が中心で、 乗物利用による生活閤 域の拡大が充分に果たされていないことが指摘できる。 その理由として、 保護者らの使役・|司伴の切実な必 要性の乏しいことが考えられるが、 結果として、 外出の自立性が、 外出の頻度・圏域を限定し、 潜在的なニ ーズが発現していないとも推察される。
従って、 こうした外出動機実現を可能にし、 外出圏域を拡大するような社会境境整備が必要なタイプであ る。
3)複合外出者
「複合外出Jにおいても、 国害要因の指摘は少なく、 不慮の事故と第3者の偏見への危倶のみで、ある。 単独
・ 同伴の特徴を併せ持ち、 自宅周辺では単独、 乗物園では同伴による外出を行っている。 このように状況に 対応した外山形態が選定されている点は、当事者の素質の可能性を広げる契機となると考えられる。しかし、
やはり保護者らの負担による広域圏外出が、 単姐化あるいは福祉的サービスに移行して行く選択肢の拡大が
- 65 -
2章 外出行動特性と環焼繋備の課題
課題である。
4)在宅中心者
附3判定や性別に関わらず一定の比率で存在 している「在宅中心」者の外出阻害要因は、
a.、竹下者の外出希望の欠如 b.移動能力
C.交通の利便性
d.適当な外出先不在(文教施設) C.第3者からの妨害
などである。 このタイプは、 殊にBランク者では外出行動能力が低くはなく、 したがって、 外出機会の創出 や関心の喚起を促すことを念頭に置いた、 利用施設の近接配置などの整備が求められるといえる。
5)重度障害者
重度障害者共通の問題点として挙げられたのが、
a.部rl1基盤の整備状況 b.第3者ーからの妨害 C.地域住民との交流
である。 重度であることを反映した基本的なニーズであるといえる。 これらは、 「同伴外出J í在宅中心Jで 求められた項目と重複しているが、 重度化傾向の障害者を許容するには、 対象者の問題点をより具体的に明 らかにした手厚い環境整備が必要である。
②社会環境整備課題
対象者のタイプ別に考察した阻害要因と、 これか ら導きかれる社会環境整備の要件は以下の通りであ る。 <凶2-6>
1)抽出された知的障害者のニーズ
これまでの考察から、 知的障害者の社会環境に関 するニーズを整理すると下記の点が挙げられる。
a.都市基艇の整備 b.交通機関の利便性向 C.施設利川の利便性向上 d.地域住民との交流 C.移動能)Jの補完
2)社会環境整備の要件
これらのニーズを反映した課題について列記する。
a.都市基盤施設整備:歩道の確保・整備および外出 時のアメニティ-スペース(ベンチ・公共トイレなど) の整備
都市基盤施設整備
・歩道泊転車道の確保
.外出時の休息編所確保 (ベンチ/トイレなど〉
日常生音環境整備 -日常生音値観の近鐘配置
〈賄買範段/文教施盤/
公園・屋外空間)
交通環境整備
・交通体系の登備
.spサービスの充実
図2ー6. 社会環境整備のニーズと課題
2章. 外出行動特性と環演整備の課題
b.日常生活環境整備:日常生活施設 (購買施設・文教施設・公園や屋外空間など)の近接配置と整備 C.交通環境整備:障害者の立場から見た利便性の高い公共交通網・路線・行先友示などの幣備や、 lR度障害 者のためのST speciaトtransportationサービスの効果的導入
d.地域受容環境の醸成:地域住民の受容環境の向上のための物理的な課題として、 知的附汚行施設などの 市街地配置や施設複合化による利用者の統合化
e.福祉サービスの充実
ガイドヘルパーの充実をはじめとした人的援助だけでなく、個々の外出実態をよりI洋細に肥握した上での、
きめ細かい環境整備の実現
巴E
3)施設利用に伴う変化
川巴E
作業所通所に伴う生活能力的側面の変化
直| 口E
を、 日常生活動作能力(ADL)・外出能力
川EJ
-社会生活能力(S A)に分けて捉えた。
U I
IlL'\O'JI
<図2-8>
2章. 外出行動特性と環焼整備の課題
2
- 4. 事例研究:0市M町における地域受容環境 施設は、 M町地区に立地する第1号店舗/卜
①調査対象の選定理由と調査概要
A(アクセサリー ・ 日用品および生鮮野菜 販売)・店舗B (ケーキ販売店)・包装作業 中心で本部的機能を持つ作業所C、 および 外山行動は、 当事者の能力的側面や保護者 ・援助者らの姿勢、 物理的な環境整備状況に止まらず、 地域住
民の受容環境が屈めて重要な要素といえる。
自らが積槻的に地域に出て行き、 地域への理解を促す努力を行うべきであるというスローガンは、 当事者 らにとっては、 非常に大きな心的負担を伴うといえる。
本項では、 既存の援護施設の制約 ・制度上の問題点を反省点とし、 これを解消する主旨から、 既成市街地 に敷地を選定し、 積極的に地域密着塑の活動を志向している小規模作業所ネパーランド(以下、 NEV)を 対象として、 地域住民の受容環境についての考察を行い、 生活環境向上を図る知見の一助とする。
NEVは、 前述の通り既成市街地(旧街道沿いに集積する古くからの住宅地と、 とれに並行して新規に設 置されたバイパス道路沿いに展開する新興住宅地の接点にあたり、商業集積地としての伸びが著しい地区で もある)を敷地として1991年に開所し、 本部機能を持つ作業施設を母体としながら、 その後地域住民との接 触を図ることを目的としたに店舗形態の作業所3ヶ所(2店舗は近接地、 1施設は近隣の他地区)を順次設 置、 さらに1995年からは、 市中心部の市立中央公民館テナントの飲食店(レストラン)の運営にも業容を広 げている。 日中活動のなかでも、 近隣他施設や周辺店舗 ・事業所(銀行 ・郵便局など)への用務、昼食(食 事 ・出前注文・弁当購入など)のための外出などを比較的自由に許容している。重度者においても、軽度者 の同伴により外出を実現しているものも見られ、 この結果、 施設の活動の認識は、 地域住民 ・商店に浸透し ているといえる。
こうした背景を選定理由とした。調査は施設利用者と地域住民とを対象とし、実態の把握と考察を行った。
a.施設利則者の属性と行動実態把握調査(調査期間:1994年10月)
NEV利用者17名についての属性 ・能力 ・療育歴・家庭生活および外出状況 ・施設通所開始によってみ られた生活の変化などを、 施設および保護者に対する調査票調査から捉え、 また、 施設活動の行動観察調査
.補充ヒアリングなどを実施した。
b.地域住民の受容環境意識調査(調査期間:1995年l月)
EV本音I�施設を中心として、半径500m以内の居住者(小学校5年以上)を対象として、施設の認知 度・施設立地の低抗感・店舗利用や会話の頻度 ・知的障害者に対するイメージの変化などについて、 回答を 求めた。
調査対象は、 南北を貫通するバイパスを境に東側(旧住宅地)・西側(新興住宅地)および半径300m 以内・500m以内の4つのゾーンから均等に回答が得られるよう配意して、700票(同一世帯複数票あ り)を配布、 有効613東(87.6%)を回収した。
約5km離れた別地区の駅前に所在している 店舗Dによって構成され、 店舗の閉店は、
平日日中のみである。
2)外出行動の範囲
所在地の異なる店舗D(作業所)を除く 3施設の利用者の、 日中の外出行動をみて みる。
対象は12名であるが、このうち11名 が単独での外出が可能である。 <図2-7
> 実際には相互に同伴し合いながら、 活 動上の外出や買い物などを行っている。 外 出先は、 作業所から半径約100mの範囲 に分布しており、 飲食店以外に銀行 ・書店
. DIY店などと多岐にわたっている。
2章. 外出行動特性と環焼整備の課題
対象宥
A1 I A 2 I
B 1I 臼2
I肘u,�
I (Z'i� 1 11&; I
t..�I 品
①弁当・
'1 31 21 5111
'"η②.11 73-aω
幅一花 a- -4
-一2
噌留 一令d -
-
③うどん
@ラーメン置
2 1 3
"‘輸@�スーパーマーケット
1 3 2 5 I "
<>>1.1)事圃軒 a‘ 5
t・;),
⑦スーdーマーケット ー
3 2 ‘
σ.., @⑨D1Y店 - I 3 1
2 I ‘I
mω 0図2 - 7. 利用者の外出行動範囲
• • 0 ,. 。 2
. n 3. 0 -
0 . 執. -. 0 ,. 0 . 回
. 同 1曲.帥
豆孟
主主i
仁ゴ 刷機叫ず c::J oUitIl1=,問. - 酬はり憶力陀上 図2 -8. 施設通所による能力の向上
ADLについては、 NEV通所前後での変 化はみられない。 これに対し、 外出行動にお
ける遂行能力とりわけ購買行動の能力の伸張は顕著な傾向が見い出せる。 社会生活能力として拙出した諸項 目(社交性 ・責任感・積極性)の向上と併せて、 市街地立地とこれを効果的に生かそうとする活動点針によ る体験の蓄積が、 このような当事者の行動可能性の拡大につながっているといえる。
③地域受容環境の考察
1)調査対象者
意識調査を実施した住民の居住地を、 E3 (東側既成住宅地 ・半径300m以内立地:以下同様)・E5
・W3 ・W5と表記する。 <図2-9>
居住地による対象者階層の違いは、 性別ではみられず、 男性:女性が4: 6である。 年齢構成において若 干の特徴があり、 東側既成住宅地の平均年齢がやや高く、 西側新興住宅地では、 1 0代およびその親の世代 である40代の階層比率が高い傾向を示している。
②施設利用者の外出行動
1)施設刺用者の概要
施設利用将は男性8名・女性9名で、設立後3年余りしか経過していないことを反映して、養護学校中等 部出身者および10 代が中心である。 通所は、 送迎非実施であり、 自力での通所を原則としているため、 最 I度者3名が父兄同伴通所である仙は自力通所で、徒歩圏内居住の徒歩・自転車通所4名、公共交通機関利 用10名(パス:9名, 電車: 3名, 船舶:1名・・・・延人数)である。
- 68 - - 69 -
2) N E Vの認知と抵抗感・接触状況
NEVの存在は、 対象者の9割(87.9%)が認知 しており、 女性の高さが顕著(96.0%)である。 M 町地!天3施設別の内訳では、 店舗形態の2施設が 突出しているといえる。 <図2- 1 0>
施設屯地の低抗感は、「殆どなしJが令体での 3/4(74.8%)を占めているが 、 年齢層が低いほ ど、 あるいは新興住宅地の方がほ抗感がやや 高い という結果を示している。 く図2
-
1 1 >店制ìA . Bは、 調査対象者の約半数(53.1%)、
火性の2/3(68. 8%)が利用経験者である。 年代 では10代の6割(59.8%)に対して、 20代がそ
の約半分(32.8%)となっている。 また、 利用者と
巨lt:UI*I �
の会話経験は、 店舗利用経験よりもさらに低く3 割を下回り(29.5%)、 男性では約8人にひとり(12.
0%)に止まっている。 これら2項目のクロス分析 から、 店舗を頻繁に利用し気軽に会話も行ってい るものから、 いずれの接触もないものまで、 交流 度合いの違いが確認される。 <図2- 1 2>
2章 外出行動特性と環焼雪量備の課題
3)交流度と受容環境の特徴
市街地における施設立地すなわち障害者との接 触・交流の度合いが、 どういう条件に起因するか、
また交流の程度の違いによってどのような認識の 迎いをモじるかを捉える。
前段でクロス分析を行った交流度の違いに着目 して、 対象者をタイプI"-'Vに分類した。
<関2-13>
・タイプJ :店舗利用頻度大・気軽に会話 .タイプII :店舗u寺々利用・気軽に会話
2.. 外出行動特性と環検整備の課題
ージの向上と今後の積極的な関わりへの意識に表れている。
<表2-2><図2- 1 4>
日 四 回 回
|
針11巴司EEE函lEZE
.,.
図2 - 1 2. 住民の交流状況と評価 図2
-
1 3. 住民の交流度表2 - 2 . 交流度による住民の特徴
..,
あり
1開 の た め
斗Ja
イ、 /
フ一フ 整 備
や特
定 の援 助 者
よ るサ ビ
ス 機AaA AMM
リ
問 期
の 想 た に 態
機 大
反
地 い 用
、効。
市 久
子
~が齢解予れ層 実
契 拡
の立
と 利 に に た の
劫
ヨ0さ学 理
と表年るなの動地
型
、 時 成 れ 容 れ の
] 薄
に
者 る に 若 い
き圏活
街 舗 て同醸ι内わ層、ひ希殊害
あ 果 て て
大
活
設 市 店
っ
と 境 誌・
思 婦
よの
o 障
で
結 め し
の生施 の
、 伝 出
環
確 聞 と 主 ま 会た
、 境 計 改 離
。
加 ( ロ ら が 手 創容が時いい性機
つ は 環 集
、 遊 る 参 化 援 か た も 機受と
即
き高男 触
な
て い
、 は ら え 会 発 の 初 れ 定
契
の こ
日刊大
の
、 接 と つ し て に か い 社
活存当
さ 選
加
て う 引 が性て
の か と ま し さ 域 も
、の 題 既
、
立 の 参つ
い 動 ろ 密し
と ら に 望 反 低 地 と ら
動
課
、
て
設 態 会 と と
活こ
親 対
層
明 童 に に の が る が 行 と は し て 形 社 に る、と
に に 年 て 児 常 の 識
活
れ な 出 察 V か し 所 の 民 あ し る用さ
若 し
・
非 た 認 生 と し 外
考
E 生 向 業
者
住 で か 因
利高代
と 徒 の い
・
る み か る 川町 N を
志
作 事 域 的 し に 舗
の0
点 生 め て 流 け 読 し あ 省 を う 当 地 果
約 店 度 2 題 の た し 交 お が
で
mI
W3 1l>.!I.\I
E5 25.�I
E320.2\|ω
タイプ1
I
タイプ11I
タイプ111I
タイプrJI
タイプV 合 計図2 - 9. 住民調査対象者の概要
一三一一官官一 回 .
., • '曲国.交流団E タイプI タイプE 争イブE タイプv
性別
I I
女性メグ
男性居間
1 I 300,.,咽即喧 df 一 一一 一
」年代
I I 50-60代 イ/ /ア1ト20代|
イメー沼化
1 I
向上メグ
不'1:酎コり
I I
積極的メグ
受蹴約ググ蜘
織成比 4. "" 6.71 位臨
図2 - 1 4. 地域受容環境モデル図 1:,:;;,,,':::"":'::.<1知っている 区互沼知らない
図2 - , O. 住民の認知度
-タイプN:店舗利用頻度小・会話経験なし
・タイプ\1:店舗利用・会話経験いずれもなし
性別ではこれまでの集計結果をさらに地幅させ た結果を示しており、 友性はタイプ1 . II合わせ て約3訓(29.7%)(と対して男性は 1 割におよばず
(9. 2別、 逆にタイプVは、 男性が8割近く(77.0%)と、 極めて対照的な傾向を示している。 年齢でみると、
出のみに依拠しない側面も重要であり、 時間的に充分な実績を重ねたとはいいがたい作業所の試みひとつで 生み出される効果の大きさについて、 検証できたといえる。
こうした活動のより地域的な展開をフォローするための、 計画的視点からの継続的な取り組みを行ってい く必要がある。
図2 - 1 1 . 施設立地への抵抗感
10"-'20代での交流度の低さが指摘され、 また、 居住地域300m以内でのタイプ1 . IIの比率がわずか ではあるが高くなっている。
こうした交流度に基づく傾向は、 知的障害者への認識の変化にもつながっているということができ、 イメ
- 70 -
n,,
2章. 外出行動特性と環焼整備の課題
2 - 5. まとめ
3章. 福祉就労施設の特性把握と類型化
本研究で明らかにした課題を改めて整理する。
まず、 当事省能力が外出行動に直接反映していないことが指摘できる。 これは、 意思伝達が困難であると いう知的障害の特殊性にも起因していると考えられる重要な点である。 また、 能力的に可能でも、 同伴に依 拠する対象省の存在である。 このため、 外出行動遂行状況から見出した外出類型に対応させた形で阻害要因 および促進要因を明らかにした。
また、 捜合化・広域化に伴う地域コミュニティから離れた施設立地が、 日常生活圏中心の単独外出者の利 用可能性を間宮し、 また、 地域の受容環境の未成熟が同伴外出者の単独外山実現に至らないひとつの要素と もいえる。
こうした実状を脱皮する試みとしての実践事例研究から、 地域と障害者をつなぐ社会環境形成の萌芽とな る活動を促えた。 一定のリスクが伴うとはいえ、 重度障害者においても日常生活の圏域においては外出行動 が実現することが示された。 また、障害当事者にとってのみならず、 むしろ地域社会のノーマライゼーショ
ン環境形成のためにも、既成市街地立地であること、さらに店舗形態を採用したことの有効性も確認された。
今後の環境整備を考える上では、 外出行動のための拠点の存在が効果的ではないかと考えている。 NEV の場合は、 居住地とともに通所施設周辺がこの拠点的地域になっているといえるが、 これが段階的・複合的 に形成されることが、 広範な生活圏域拡大のうえで極めて重要であると考えられる。
2章の補注・ 引用文献
3 - 1 . はじめに
①研究の背景と目的
②知的障害者療育・処遇の施設体系と分類
③福祉就労施設の性格
3 - 2. 研究の方法と対象施設の概要
①調査概要
②対象施設の概要
1)施設利用者について 2)施設の設立形態と設置形態 3 - 3. 立地特性による施設類型と特徴
①敷地選定理由と立地特性の関係 1)敷地選定理由
2)施設の立地特性
②通所閏特性と通所方法の特徴
1 )通所方法
2)通所圏特性と通所万法との相関
③施設運営の個別性と通所圏設定の課題
3 - 4. 施設利用主体による施設類型と特徴
①障害判定構成比による施設類型と特徴
②入退所状況と施設連携関係の特性 1)退所者状況による施設類型と特徴
2)設置形態(併設状況) による施設連携の特徴
③保護者の協力姿勢による施設特性
1 )保護者療育姿勢と施設利用者の関係 2)保護者協力姿勢による施設類別と特徴 3 - 5. まとめ
①知的障害者福祉就労施設の特徴
1 )施設類型化による考察結果 2)施設種別による特徴
②今後の課題 本1 r受容」は、 受障後の当事者のみならず家族においても心の回復の上で極めて重要な概念であり、 上田敏氏は障害を克服す
る受容までの過程を5段階で捉えて、 つぶさな解説を述べている。(前掲書)く文)-13>また、 大江健三郎氏もその随筆におい て同司を引用している。く文)-31>障害者に対するこの受容は、 社会化されることが望まれるといえる。
本2週3・4回以上/週1.2回/月1 .2回/年数回/殆どなしの5段階である。
ヰ3家肱構成の分類は、 1 -2. ③を参照。
ヰ4意思伝達能力の絢u分類項目は、 後藤守氏らの研究成果を掲載した次の文献を参照した。小出進ほか編「精神薄弱研究の方法J '-1 j<,'f..社会性(教育出版 '1983 p106)
3章の補注・引用文献
qL 守I
3章. 梅干止就労施訟の特性把纏と類型化 3 - 1 . はじめに
①研究の背景と目的
知的障害者に対する就労支援には、 一般事業所での職場実押.m助付き雇JTJおよび、 その前段!併としての 職業準備訓練・能力開発・雇用促進を図る一般就労に向けての施設・制度・lと、福祉施J貨によるものがある。
本章以降では、 後者の知的障害者福祉就労施設について考察を行う。 就労は学齢を終えた附古者にとって、
QOL向上の重要な契機と裏付けであり、「社会参加」と「自立Jへの大きな裂件として、 その場が充分に 保障されるべきであるが、 現状において多くの諜題が指摘される。
まず、 現行の法制度ないし自助的活動によって実現されている福祉就労施設は、 その絶対数の不足とIW"]時 に、 施設種別も多様化・細分化されており、 一般就労も含めた就労体系としての施設の位置づけが不充分で あり、 施設利用主体である知的障害者に対して適切な処遇が実現しているとは言いがたい。
また、 依然歴史的・社会的背景に基づく偏見・先入観が根強く残る知的障害という特質に起因する施設の 隔離化あるいは私宅監置化の傾向も未だ根強いことである。 地理的に隔絶されていなくとも、 社会との接触 が制約された生活を如何に改善できるかが課題である。
さらに、 施設利用者の高年齢化・重度化・滞留化が指摘される。 高年齢化は、 保諮占の出i齢化をも立l床し ており、 近い将来における生活形態の見直しを迫る課題である。 重度化の進行は、 就労という施設本来の11 的を困難にする問題と言える。 施設における利用者の滞留化は、 新規措置希望占への陪壁となっているが、
長期間による施設利用と利用者相互の親密化の観点から、 必ずしも否定できない側面も持っている。
しかし、 指摘されているこうした課題を客観的に明らかにする資料・研究は乏しい。
殊に知的障害者福祉就労施設は、 その実態把握による知見が少なく、 確たる計両的指針のないままに施設 建設が行われているのが実状である。 従ってその知的障害者福祉就労施設の実態を解明し、 各施設の計IIJîj理 念提示の基礎的知見を与え、 今後の施設整備・適正化の指針を得るとともに、 知的障害者の社会参加契機の 創出の一助とすることを目的とする。
本章ではその足掛かりとして、 施設設立経緯や設置形態、 立地条件など運営セ体によって規定される特質 が利用実態に与える影響、 および障害の程度や入退所の状況、 保護者の関与など施設利月i主体の違いに基づ く就労活動の特徴を捉えるため、 施設の類型化と分析を行い、 当該施設の特性と問題点を明らかにする。
②知的障害者療育・処遇の施設体系と分類
知的障害者施設は、 法制度が逐次整備された背景や補助制度の違い、 施設対象者の多段性から細分化され ている。 これらを体系的に捉えるため、 大分県を例に施設を以下の6つに分類した。 <図3ー1>
a)幼児児童施設:幼児児童のための施設
く例〉精神薄弱児施設・精神薄弱児通園施設・重度心身障害児施設 b)学校教育施設:学校教育を行う施設
く例〉養護学校・障害児(特殊)学級
c)更生施設; 生活訓練を主体とし、 更生を図る施設 く例〉精神薄弱者更生施設 (入所型・通所型) d)福祉就労施設:就労を行う福祉施設
く例〉精神薄弱者授産施設 (入所型・通所型)・精神薄弱者ー福祉工場・精神薄弱者小規模作業所
3章. 福祉就労施設の特性把握と額型化
e)就労援助施設(職業リハビリテーション施設):職業準備訓練・能力開発を行う施設
く例〉地域障害省職業センター・職業能力開発促進センター・職業能力開発校・障害者雇用支援センター f)居住施設:居住の場を提供する施設
く例〉精神薄弱者通勤寮・精神薄弱者福祉ホーム・グループホーム・精神薄弱者通勤ホーム
このうち、 「福祉就労施設」と規定した精神薄弱者授産施設(以下、 授産施設)・精神薄弱者福祉工場 (以 下、 福祉工場)・精神薄弱者小規模作業所(以下、 作業所) の3種の施設を、 本研究の対象とする。
③福祉就労施設の性格
これら施設の性格は、 福祉工場が作業能力はあるが対人関係・健康管理などにより一般就労が困難な人に 対する 「保護就労J、 授産施設が能力的に一般就労が困難な人に訓練を行い職業を与え自活することを目的 とした 「福祉就労J、 作業所は綬産施設の性格を併せ持つ一方生産活動や賃金より趣味や創造などの生き甲 斐的な作業を行う 「作業活動」に分けられる・20 これらが一般就労とともに有機的に連携して、 福祉就労施 設の役割が果たされると考えられる。
しかし、 必ずしも本来の主旨に応じた利用者の措置・処遇がなされているとは言いがたく、 従って当事者 のニーズをはじめとして、 施設体系適正化のための検討が必要であるといえる。
年齢 量
学校教育施霞
小学校
1 2
量
: 障害児学級 :
ヨUI学校 (小学錦)
量
中学校
1 8
量
11 111醐 川 11加 ム 4 (1 4 î l lli_ .-1.. -
9-00)j恥�i
以斗ゴI
•圃�IF ………,…町…………m … ………… H………"…………"一……"山…"…………,一……H………,…… …… ,…………H一…… "……,一…H一, ……… "一"…………"………"……"…"
|
…h…神糊……薄踊加弱梢者目 1川規……績桝m作怜叩象蜘所i
IIIl.... "
'.T �... ,,",.� ... ... ..- _", • • ,.....� 司l
高齢者範鐙 l'明神薄弱児施般 4 (255) 川 医S首令官必指骨γf""""
γ
同協 l繍神薄弱者慢度)U貴 闘
|……段 3 ( 川 n I 1II f… � I
精神薄弱者更生徳銀 1 8 (119.)II 2 ;
幼児児童施般 更生飽設
図3- , •
在 宅 '
知的障害者の施設体系:大分県の場合く1996年度現在:枠内数字は施設数、( )内は定員数>
3量[. 福祉就労施設の特性把握と類型化 3 -2. 対象施設の概要
①調査概要
大分県に立地する知的障害者福祉就労施設3 0施設ゆ3の悪酔調査を、 訪問による依頼および施設活動観察 を交え、 1995年 7月10日から8月1日にかけて行った。 内容は、 施設槻要や利川(1'に関してのヒアリング・調 査票調査および施設要覧、 施設平面図などの資料収集である。 以 に調査項円を示す。
a)施設に関する事項;
1.建物概要
2.施設設置経緯・運営方法 3.就労内容(作業種目・作
業集団構成など) 4.活動日課( 1 週間) 5.行事の状況
6.平両構成 など
b)施設利用者に関する事項:
1.年齢・性別
2.障害判定・障害内容 3.住所
4.利用期間 5 .通所方法 6.前療育施設 7.保護者の療育姿勢
8.施設退所者の概要
②対象施設の概要
など
対象施設の内訳は、 作業所9 施設、 授産施設 1 9施設、 福祉 工場2施設の計30施設(施設
利用者776名) である。 授産 施設うち通所入所併設施設が 1 施設含まれるが、 入所主体であ ることから考察においては入所 授産施設 (以下入所授産) に区 分している。 <表3- 1 >
1 )施設利用者について a)年齢・性別
表3ー1. 施設種別による利用者の属性 施語種荊
|
施数設 男性性男IJ女性 Al A2 尚喜判定B 1 B2 ィ、日月作業所
9 23.0 58 34 16 16 27 31 2
63.0 37.0 17. 4 17.4 29.3 33.7 2. 2
後施産量a凡E16 28.5 232 207 76 120 146 92 5
52. 8 47. 2 17.3 27.3 33.3 21. 0
1.1
入所
3 35.8 120 58
。20 71 86
車2
67.4 32.6 O. 0 11. 2 39.9 48.3
O.6
福祉工場
2 30.8 46 21
。 。9 58
。68.7 31. 3
。。0.0 13.4 86.6
。。dEE益3、
計
30 29.8 456 320 92 156 253 267 8
59.0 41. 0 11. 9 20. 1 32.6 34.4 1.0
※l綬所鎚!,没分地� 2脆lr没(利JIJ r,. 2 61',)をftむ
※2泊所併設1施設を合む(定11501',うちÌIl1I好í.i:'ill 01',)
表3 - 2. 施設利用者の症候内容
主王f瑛円谷
合計
i単一陣畜 重 ・ 三重重視~量
平宵千叩建}帝
381 289 85 : 6 : 1
62. 5 62.2
(その他ダ自の閉ウ染症ン色症体異常)
70 58 8 : 3 :
11. 5 12.5
.46 34 12 ・
7.5 7.3
.字醤障害
25 11 14 ・
ー .4.1 2.4
てんかん
84 25 51 : 7 :
13.8 5.4
その他の脳 叫l ロ
17 11 6
ー .2.8 2.4
精神障害
27 10 16 ・ 1
4.4 2.2
(肢体そ身体の・視障他聴害覚など)
83 20 48 ・ 13 : 2
13.6 4.3
44 7 10 : 25 : 2
7.2 1.5
小(症候数計)
777 465 250
548
127.4 100.0
' .610 465 125 18 2
有効回答者数(名) く1l00.0O〉
00.
く100.02〉76.
. .|合(名計)
100.0 92 100.0 439 100.0 178 100.0 67 100.0 776
小宮T
92 63.4
8.3 12 8.3 12 9.7 14 40.7 59 4. 6
111. 7 17 43.4 63 25.5 37 312 145
く10203.08〉施設利用者の平均は29.8才で、 最年少1 5才から最年長65才までが就労している。 年齢構成では2 0代 が約半数(44.4%)を占め、 1 0代後半、 30代前半がこれに続く。 40代以降は、 154人(l9.8%)と少ない。
施設種別での平均年齢は、 作業所が23.0--Yと相対的に低いのに対し、 入所侵産は35.8才と高年齢化の傾向 を示している。 殊に、 40代以降の利用者は、 入所授産 1 78名のうち66名(37.1%)に昇っている。 性別