が,他国と比べ伝統的に低い」31)とされる。DNA 鑑定によって親子関係32)
を確定することの是非を論じるにあたっては,そのようなフランス家族法 に含まれる思想を考慮する必要がある。
ઇ.家族法における親子関係と DNA 鑑定
注
ઃ)Loi relative à la maîtrise de lʼimmigrtaion, à lʼintégration et à lʼasile. 移民・統合・ナ ショナルアイデンティティおよび共同発展大臣であるブリス・オルトフー(Brice Hortefeux)によって提出されたことから,このように呼ばれる。オルトフー法は 憲法院判決を経て2007年11月20日に公布された。
)高山直也「フランスにおける不法移民対策と社会統合」外国の立法230(2006) 72-73頁参照。
અ)Décision no93-325 DC, 13 août 1993, Loi relative à la maîtrise de lʼimmigration et
aux conditions dʼentrée, dʼaccueil et de séjour des étrangers en France, Rec.p.224, JO 18 août 1993, p.11722.
આ)Décision no97-389 DC, 22 avril 1997, Loi portant deverses dispositions relatives à
lʼimmigration, Rec.p.45, JO 25 avril 1997, p.6271.
ઇ)フランスに居住する親や友人を私的に訪問するために入国する場合に,あらか じめ宿泊する者の身元や宿泊先を記載した書類で,1982年に導入され,1993年パ スクワⅡ法で法制化された。1998年シュヴェヌマン法および1998年ઈ月23日デク レ(Décret no98-502 du 23 juin 1998 modifiant le décret no82-442)によって「受け
入れ証明書(attestations dʼaccueil)」に変更されている(Code de lʼentrée et du séjour des étrangers et du droit dʼasile)。
ઈ)光信一宏「ドブレ法の憲法適合性─宿泊証明書判決」『フランスの憲法判例』 (信山社・2002)73-78頁参照。
ઉ)Décision no2006-539 DC, 20 juillet 2006, Loi relative à lʼimmigration et à
lʼintegra-tion, Rec.p.79, JO 25 juillet 2006, p.11066.
法判決」『フランスの憲法判例Ⅱ』(信山社・2013)74-77頁も参照。本稿では63条 に関する判断については扱わない。
12)このような憲法院の判断は「きわめて政治的」なものであったとも評されてい る。Michel Verpeaux, Des jurisprudences classiques au service de la prudence du juge, Semaine juridique-Édition Générale, 2008 (1), p. 24.
13)鈴木・前掲註(10),15頁参照。立法当時の統計では,EU 域外からの外国人入 国者のうち家族的移民が70%以上であり,その家族的移民の中でも家族呼び寄せ が最も多く約25〜30%を占めていたという。
14)Assemblée Nationale Rapport, no160, par M.Thierry Mariani, 2007, p.93, http:
//www.assemblee-nationale.fr/13/pdf/rapports/r0160.pdf (v.5 nov.2013).Dominique Turpin, La décision no557 DC du Cosneil constitutionnel sur la loi relative à
iʼimmigra-tion et à lʼasile: le moustique et le chameau, Dalloz, 2008-24, p.1639.鈴木・前掲註 (10),18頁も参照。
15)Dominique Rousseau, Chronique de jurisprudence constitutionnel 2007, RDP, 2008 (1), p.327.
16)Turpin, op.cit (14), p.1638.
17)ここに至る当時の事情については,菅原・前掲註(11),31-33頁参照。 18)同,27頁。
19)松川正毅『医学の発展と親子法』(有斐閣・2008)301頁以下参照。
20)François Terré, Les chemins de la vérité sur les tests ADN, Semaine juridique-Édition Générale, 2008 (1), p. 18. 21)移民の側から DNA 鑑定を要望する声があることを示唆するものとして,平出重 保「フランスの移民政策の現状と課題─海外調査報告」立法と調査293(2009), ઉ頁。また,カメルーン政府が国として同意したという報道もある。Le Figaro, 21 mai 2008. 鈴木・前掲註(10),22頁も参照。 22)Terré, op.cit (20), p. 18. 23)ibid., p. 16.
24)Guy Carcassonne, Les tests ADN: Trois questions à Guy Carcassonne, dalloz, 2007 (42), p.2992. 25)憲法院は DNA 鑑定と人種差別との関係については何も述べなかったが,オルト フー法63条のエスニック統計に関しては,一転して憲法ઃ条適合性に言及してい る。もっとも,63条が違憲とされたのは憲法ઃ条を直接の根拠としたものではな い。前掲註(11)も参照。 26)Rousseau, op.cit (15), p.328.
28)Éric Fongaro, Tests ADN: traitement différent de situations différentes ou discrimi-nation?, Droit de la famille, jan.2008, p.14.
29)ibid., p. 15. 30)ibid., p. 14. 31)松川・前掲註(19),290頁。 32)言うまでもなくこの議論は,生物学的親子関係の有無が問題となる場合を念頭 に置いている。従って,養親子関係についてはこの議論は必ずしも該当しない。 本稿でも,養親子関係については考察の対象としない。 33)具体的には,教育,扶養,居住が挙げられている。 34)松川・前掲註(19),283頁。羽生香織「実親子関係確定における真実主義の限 界」一橋法学7-3(2008),1023頁も参照。左記は2006年改正以前の条文に依拠し ているが,改正後の現行法もほぼ同様の内容である。 35)同,297頁。 36)同,304頁。
37)Ordonnance no2005-759 du 4 juillet 2005 portant sur la réforme de la filiation.
20)年11月27日,松岡徹議員発言(発言番号10),同遠山信一郎参考人発言(発言 番号12),同近藤正道議員発言(発言番号38)など。以下,国会会議録については 国会会議録検索システム,http://kokkai.ndl.go.jp による。 47)拙稿「血統主義と親子関係─最高裁判決を素材にして」陳天璽・近藤敦・小森 宏美・佐々木てる編著『越境とアイデンティフィケーション』(新曜社,2012) 58-59頁参照。 48)もっとも,血縁関係にない戸籍上の親子について,50年以上実親子と同様の生 活の実態があったこと等を理由として親子関係不存在確認請求が権利の濫用に当 たり許されないとされた事例がある。最二小判2006(H18).7.7,民集60-6-2307。 49)「藁の上の養子」という言葉があるように,日本では歴史的に,このような好意 認知は比較的おおらかに黙認されてきた。相続問題などで認知の効力や嫡出性が 争われない限りは,形成された事実上の家族関係がそのまま維持されている。 50)たとえば,第170回国会参議院法務委員会会議録第ઇ号,2008(平成20)年11月 27日,倉吉政府参考人(民事局長)発言(発言番号71)など。 51)しかし他方で,好意認知のような真実性を欠く親子関係が存続するのはあくま でもその真実性の欠如が顕在化しないからであって,真実ではない認知を積極的 に容認するものではないし,フランスの身分占有のような制度のない日本におい ては,原則として真実性を欠く認知は無効ということになる。なお,前掲註(50) も参照。 52)DNA 鑑定は偽装認知による国籍取得を防ぐために届出の際に義務的なものとし て導入すべしという議論もあったが,前述のように問題点が指摘され,採用され なかった。 53)前掲註(50),倉吉政府参考人(民事局長)発言(発言番号215)。 54)前掲註(48)
55)Patric Weil, Mission d’étude des legislations de la nationalité et de l’immigration: