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平成 21 年度 戦略的資源確保事業 投資環境調査 41 カナダ ユーコン準州の投資環境調査 副所長 村上 尚義 はじめに カナダ北西部に位置するユーコン準州は 金 銀 銅 鉛 亜鉛 タングステン等の鉱物資源に富み 太平洋岸の 特集 連載 バンクーバー事務所 積み出し港へのアクセスも確保されているな

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平成 21年度戦略的資源確保事業〔投資環境調査〕 (41)  カナダ・ユーコン準州の投資環境調査

特集

・連載

平成 21 年度 戦略的資源確保事業〔投資環境調査〕(41)

カナダ・ユーコン準州の投資環境調査

バンクーバー事務所 副所長

村上 尚義

1. 鉱業概況

1-1. 鉱業の経済的な位置付け ユーコン準州の 2009 年 GDP は 14 億 4,500 万 C$と なり、2008 年比で 1.4%の伸びを示した。ユーコン準 州における鉱業・石油・天然ガス業の GDP に占める割 合は約5%であるが、鉱山開発プロジェクトによる道 路や鉱山設備の建設、そして物資の供給等の関連産業 を考慮すると、鉱業及びその関連産業は同準州 GDP の 約 30%を占めている。 1-2. 近年の探鉱投資 ユーコン準州では、2009 年に 9,000 万 C$が非鉄金 属鉱物及びウランの探鉱に投資されており、探鉱投資 がピークだった 2007 年に比べ約 30%減となった。鉱 種 別 の 割 合 は、 金 47 %、 銀 23 %、 銅・ モ リ ブ デ ン 15%、亜鉛・鉛 11%、タングステン3%、その他鉱種1% で、好調な金価格を反映して探鉱投資額の半分近くが 金の探鉱に費やされている(図1参照)。

はじめに

 カナダ北西部に位置するユーコン準州は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、タングステン等の鉱物資源に富み、太平洋岸の 積み出し港へのアクセスも確保されているなど立地条件にも恵まれているが、インフラの未整備から鉱山開発へのハ ードルが高く、現在も砂金鉱山を除き、稼行鉱山は Minto 銅 - 金 - 銀鉱山だけである。しかしながら、昨今の不況下 においても探鉱投資はそれほど衰えず、また中国企業の投資もあり、2010 年には新たに2鉱山の生産開始が見込ま れている。  本稿では、JOGMEC が戦略投資環境調査事業の一環として実施したユーコン準州の投資環境調査の概要を紹介する。 図1. ユーコン準州探鉱費推移

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特集

・連載

平成 21年度戦略的資源確保事業〔投資環境調査〕 (41)  カナダ・ユーコン準州の投資環境調査 ユーコン準州地質調査所の 2009 年末時点の統計によ ると、60 社以上がユーコン準州で探鉱を行っており、 200 を超える探鉱プロジェクトが存在する(図2参照)。 鉱区数は、2009 年に計 15,642 の新たな鉱区登録が行 われ、総登録数は 79,456 となった。これは、2008 年と 同様に過去 30 年で最高水準である。特に 2009 年実施 の探鉱ボーリングにより高品位金鉱化帯が捕捉された ユーコン準州西部の White Gold エリアでは、8,000 を 超える新鉱区の申請があった。 1-3. 開発・操業プロジェクト ユーコン準州において現在稼行中の非鉄金属鉱山は、 砂金鉱山を除くと Minto 銅 - 金 - 銀鉱山だけである(図 2参照)。 2008 年の開発プロジェクト及び稼行鉱山への投資額 は 1,000 万 C$で、2007 年の 7,200 万 C$を大幅に下回 るものの、Minto 銅 - 金 - 銀鉱山では第2及び第3段階 の拡張を完了し、1日の粗鉱生産量が 3,200t に増加した。 2009 年の開発プロジェクト及び稼行鉱山への投資額 は1億 6,500 万 C$で、Wolverine 亜鉛 - 鉛 - 銅 - 金 - 銀 鉱山開発プロジェクト及び Bellekeno 銀 - 鉛 - 亜鉛鉱山 開発プロジェクトへの投資となった。両プロジェクト は 2010 年の生産開始を予定している。 (1)Minto銅 -金 - 銀鉱山

Capstone Mining 社が権益 100%を保有する Minto 銅 - 金 - 銀鉱山は、州都 Whitehorse から北方約 240km に位置する。Sherwood 社により開発された鉱山であ るが、2008 年 11 月に Sherwood 社は Capstone 社に合 併吸収された。開発費 102 百万 C$を費やし 2007 年に 操業を開始。マインライフは 12 年を見込む。2008 年 に第2段階と第3段階の拡張を完了し、1日の粗鉱生 産量が 3,200 tに増加した。また 2008 年にユーコン準 州内の電力供給網と繋がり、生産量の増加と電力供給 による燃料コスト低減により、銅の生産コストは 2008 年第3四半期には 1.37US$/lb だったところ、2009 年 は 1.12US$/lb に低減された。2009 年には銅 24.3 千t、 金 890kg 及び銀 9.3 tを生産している(いずれも精鉱 中 金 属 量 )。 精 鉱 は 太 平 洋 に 面 し た ア ラ ス カ 州 Skagway 港からアジア方面に輸出される。 Minto 銅 - 金 - 銀鉱山の資源量は、2009 年までの探 鉱により 140%増加し、確定+推定埋蔵量 10.9 百万t、 品位 銅 1.64%、金 0.64g/t、銀 5.89g/t(カットオフ 品位:銅 0.58%)。Capstone Mining 社は引き続き、探 鉱を実施し、鉱量の増加、鉱山の拡張オプション、効 率性の改善、及び粗鉱生産増(1日4千〜5千t)の 可能性を検討している。 1-4. 中国企業の投資状況 ユ ー コ ン 準 州 に は 太 平 洋 岸 の 米 国 ア ラ ス カ 州 Skagway 港へのアクセス道路があることから、アジア 方面への精鉱出荷も可能であり、また、米国サブプラ イム・ローン問題で始まった不況の影響による探鉱企 業の資金不足から、中国企業による探鉱・開発プロジ ェクトへの投資及び参入が相次いでいる。 (1)Yukon Zinc社(Wolverine亜鉛 -鉛 -銅 -金 -銀鉱 山開発プロジェクト)買収 ユ ー コ ン 準 州 東 部 中 央 の Finlayson 湖 近 傍 に Wolverine 亜鉛 - 鉛 - 銅 - 金 - 銀鉱山開発プロジェクトを 所有していた Yukon Zinc 社は 2008 年7月、中国企業の Jinduicheng Molybdenum 社 と Northwest Nonferrous International Investment Company 社に買収され、現在 100%子会社となっている。 Wolverine 亜鉛 - 鉛 - 銅 - 金 - 銀鉱山開発プロジェク トは、埋蔵量 5.2 百万t(確定+推定)、品位は亜鉛 9.71%、鉛 1.26%、銅 0.93%、銀 284.2g/t 及び金 1.37g/ t で、開発資金として 250 百万 C$を計上していた(2007 年8月時点)。2007 年に事業化調査を完了し、2008 年 には、鉱山へのアクセス道路の整備、キャンプサイト の基礎工事及び鉱滓ダムの分水路工事が完了している。 本 格 的 な 開 発 工 事 は 2009 年 に 開 始 さ れ、2010 年 第 3四半期の操業を計画している。 なお、2008 年9月には、International Royalty 社が Wolverine 鉱床の金及び銀生産物に対する変動制 NSR (Net Smelter Return)を Atna Resources 社より買収

している。

(2)Selwyn亜鉛 - 鉛探鉱プロジェクトへの参入

Selwyn 亜 鉛 - 鉛 鉱 床 の 探 鉱 を 進 め る Selwyn Resources 社 は 2009 年 12 月、 中 国 企 業 の Yunnan Chihong Zinc & Germanium 社と JV 契約を締結した。 Yunnan Chihong Zinc & Germanium 社は1億 C$の 投資により Selwyn 鉛 - 亜鉛プロジェクトの権益 50% を取得する。

Selwyn 亜鉛 - 鉛鉱床はユーコン準州とノースウエス ト準州の境界、Ross River から北東方 160km に位置し ており、US Steel 社と Terrane Metals 社が権益を所 有し、Selwyn Resources 社がオプション権を持って探 鉱を実施している。同鉱床は、概測鉱物資源量 154.35 百万t、品位は亜鉛 5.35%、鉛 1.86%、予測鉱物資源 量 234.15 百万t、品位は亜鉛 4.54%、鉛 1.41%(いず れもカットオフ品位:亜鉛2%)の大規模鉱床で、鉱 山開発の初期投資額は 950 百万 C$と見積もられてい る。現在、探鉱と開発準備を行っており、順調に推移 すれば、2013 年の生産開始を予定している。

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図2. ユーコン準州における非鉄金属及びウラン探鉱・開発・操業プロジェクト位置図

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2. 鉱業政策及び関連法規

2-1. 行政機関及び鉱業関連機関 (1)行政機関 ユーコン準州政府エネルギー・鉱山資源省(Ministry of Energy, Mines, and Resources)は、探鉱活動や鉱 山開発・操業に関する法律の執行及び許認可の審査・ 発効の業務を実施し、ユーコン準州の鉱業・エネルギ ー資源開発の奨励のため、各種の情報提供も行ってい る。

具体的な作業は、エネルギー・鉱山資源省内の鉱業 資源局(Mineral Resources Branch)が担っており、 鉱業用地(Mining Land)の管理及び鉱業計画・開発 (Mining Planning & Development)の支援を行う。

ま た ユ ー コ ン 準 州 内 に 4 か 所 の 鉱 業 記 録 事 務 所 (Mining Records Office)が設置されており、鉱区申請

の受理や各地域の情報提供などを行っている。 (2)鉱業関連機関 ユーコン準州における鉱業に関連した政府系機関を 次に記す。 ① ユ ー コ ン 準 州 資 源 顧 問 機 関(Yukon Minerals Advisory Board) ユ ー コ ン 準 州 資 源 顧 問 機 関 は、 ユ ー コ ン 準 州 の Economic Development Act(経済開発法)に基づい てユーコン準州エネルギー・鉱山資源省へ鉱山開発に 関する助言を行う。

② ユーコン準州環境・社会経済審査委員会(YESAB: Yukon Environmental and Socio-Economic Assessment Board)

YESAB は、鉱山開発・操業に関する環境アセスメ ント審査を管理する。

③ ユーコン準州砂金事務局(Yukon Placer Secretariat) ユーコン準州砂金事務局は、カナダ連邦政府法の Fisheries Act(漁業法)に基づいて制定されている砂 金鉱業の管理と調整を目的としている。 2-2. 鉱業法 (1)概要 2003 年4月1日をもって、森林資源、鉱業資源、水 資源及び土地の管理に関する権限がカナダ連邦政府か らユーコン準州政府に移管された。基本的に連邦政府 の法律がそのままユーコン準州の法律として適用され ているが、ユーコン準州政府は各法律の見直しを行っ ている。

ユーコン準州の鉱業法は、Quants Mining Act(硬岩 Hard rock を対象)と Placer Mining Act(砂 Placer 及 び漂砂 Dredging を対象)に分かれている。次に鉱業法 及び主な鉱業関連法を示す

① Quartz Mining Act(Quartz Mining Land Use

Regulation)

岩石を掘削もしくは開削して採鉱するタイプの鉱床 を対象とした鉱区権の取得とリース、そして探鉱から 採掘に関して規定する。

Quartz Mining Act は、鉱区の申請プロセスとロイ ヤルティの2点を重点的に見直しがなされ、2008 年 11 月末に改定法が可決され、2009 年4月1日から施行さ れている。

② Placer Mining Act(Placer Mining Land Use Regulation) 砂・漂砂鉱床の鉱区権の取得とリース、探鉱から採 掘に関して規定する。

③ Territorial Lands(Yukon)Act(Land Use Regulation、 Coal Regulation 及び Dredging Regulation)

探鉱や鉱山開発・操業に必要な建物や道路の整備に 関して規制する。

④ Waters Act(Water Regulation)

水資源の使用、ユーコン準州内での排水・廃棄物場 に関する規制が含まれる。水資源許可はユーコン準州 水資源委員会(Yukon Water Board)より取得する。 ⑤ The federal Fisheries Act

魚介資源の保護に関して規定する。連邦政府の法規 を適用する。 (2)探鉱ライセンス ユーコン準州では探鉱活動を行うためのライセンス (Prospecting License)は不要となっている。 (3)鉱区(Claim) ユーコン準州における鉱区は 1,500ft 四方の区画を 1 単位とし、鉱区の取得状況は鉱業記録事務所(Mining Recorder Office)で確認することができる。 鉱区保有者は、「探鉱、鉱山活動をするために鉱区の 地上を活用する権利」及び「鉱業資源を利用する鉱山 の営業とその資源より利益を得る権利」が認められる。 但し、鉱区の所有またはリースは土地の所有権とは 異なり、土地の所有権は Territorial Lands(Yukon) Act と Lands Act で規定される。探鉱活動及び鉱山活 動を行うために土地の所有は必ずしも必要ではない。

ユーコン準州の“Free Entry System”(自由参入) の下では、公共の土地(例:公園、保護地域、建物、 住宅、墓地、農地、先住民の土地以外)と見なされて いる地域では探鉱活動が認められており、その鉱区ま たはリース地内の地表とその地下で発見された鉱物資 源に対して、個人(企業)の所有権が認められる。 鉱区は1年毎に更新される。また毎年1鉱区につき 100C$の探鉱や鉱山活動を行うことが義務づけられて おり、期限の期日以降6か月以内に必要な手続きを行 わない場合には、鉱区を放棄したものと見なされる。

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毎年の更新を適切に行う限り、鉱区は際限無く所有す ることができる。 2001 年時点で、ユーコン準州の土地の約 1.9%が鉱 区として申請されていたが、探鉱活動が 2004 年より活 発になり、2008 年には5%にまで増加している。 (4)鉱区リース(硬岩の場合:Quartz Leases) 鉱区保持者は、所有鉱区内に鉱床賦存を確認した場 合、その鉱区をリースに移行する申請を行うことがで きる。リースは 21 年間有効であり、さらに 21 年間延 長することも可能であるため、開発・操業時の鉱区維 持が容易となる。鉱区のリース申請は、通常、開発の 検討段階もしくは開発決定後から行われ、1区画につ き年間 500C$の探鉱または鉱山活動が義務付けられて いる。 (5)探鉱活動の分類 鉱石を採掘するタイプの鉱床の場合、ユーコン準州 に お け る 探 鉱 活 動 は Quartz Mining Act と Quarts Mining Land Use Regulation に従い、その探鉱内容と 周囲の環境に対する影響により4つのレベル(Class) に分類される(表 1 参照)。 ① Class 1 グラスルーツの探鉱活動に該当する。地域に対する 影響は非常に低いとみなされ、探鉱活動とその復旧作 業は1年以内に完了するものである。規定以内のもの であれば特に許可は必要なく、環境アセスメントもな いが、政府より任意監査がなされる場合がある。 ② Class 2 グラスルーツ探鉱活動よりやや進んだ段階の探鉱活 動に該当する。環境に何らかの影響がある活動であるた め、Yukon Environmental and Socio-Economic Assessment Act(YESAA:ユーコン準州環境・社会経 済調査法)に基づき環境調査が義務付けられている。探 鉱活動はキャンプの閉鎖と復旧作業も含めて許可を得 てから 12 か月以内に完了しなければならない。 申請の手続きには指定用紙の提出と復旧作業を含む 探鉱計画書の提出が必要となる。 ③ Class 3 及び 4 事前に探鉱事業計画書を鉱業記録事務所に提出し、 許可を得ることが義務付けられている。通常この段階 の探鉱活動は数年に及ぶもので、最高 10 年までの探鉱 許可が取得できる。Class 4 の探鉱活動の場合には、地 域住民の承認確認を政府より要求される場合がある。 探鉱事業計画書には探鉱活動の詳細及び環境保護の手 段を明記する必要がある。 なお、いくつかの基準項目において、Class 3 の分類 基準を著しく超えた場合、その探鉱活動を Class 4 と して分類している。 表1. 探鉱レベル(Class)の分類基準

基準項目 Class 1 Class 2 Class 3 1. 地下坑道以外の建設 物の有無 土台の無い建設物で12か月以内の使用が予定されている 土台の無い建設物 土台の有る建設物 2. キャンプ場使用日数 250日以下 250日以上 3. キャンプ場使用人数  (1度に集まる人数) 10人以下 10人以上 4. 燃料の保管量  (合計) 5,000リットル以下 40,000リットル以下 40,000リットル以上 5. 燃料の保管量  (容器ごと) 2,000リットル以下 10,000リットル以下 10,000リットル以上 6. 電気配線・設備 幅1.5m以下で人力または携帯型の機材により切断されるもの 幅1.5m以上で携帯型以外の機材により切断される 7. キャンプ内通路の建 設(幅員) 幅5m以下 幅10m以下 8. キャンプ内通路の建 設(延長) 合計0.5km以下 合計0.5km以上

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基準項目 Class 1 Class 2 Class 3

9. トレンチ掘削 (a) 同一の探鉱プログラムで3 つの隣接する鉱区内の掘削 量 合 計 が1,200m3以 下。 但 し、何れかの鉱区が他の探 鉱プログラムに属さないこ と (b) 上述 (a)の探鉱プログラム に属さない鉱区について、 1鉱区につき400m3以下 年 間 の 全 体 量 が 鉱 区 に つ き 1,200m3以下 年 間 の 全 体 量 が 鉱 区 に つ き 5,000m3以下で、探鉱活動の期 間中最高10,000m3まで 10. 鉱区ごとの空き地の 数(既存のものを含 む) 8以下 8以上 11. 空き地、ヘリコプタ ー発着台、キャンプ 場 項目10.の空地のうち2か所以内 8か所以内 12. 空地の面積 200m 2以下、但しヘリコプター 発着台とキャンプ場は500m2 下 (a) 立木と低木の茂みが取り除 かれた場合には400m2まで (b) ヘリコプター発着台は最高 500m2まで (c) 被覆する植生を取り除いた 場合には最高1,000m2まで (a) 立木と低木の茂みが取り除 かれた場合には400m2まで (b) ヘリコプター発着台は最高 500m2まで (c) 被覆する植生を取り除いた 場合には最高1,000m2まで 13. 探鉱プログラムのた めの新たな伐採道路 造成 認められていない 5km以下 15km以下 14. 探鉱プログラムのた めの道路整備 認められていない 10km以下 10km以下 15. 探鉱プログラムのた めの新たな小道の造 成 認められていない 幅員10m以下、全長15km以下 16. 探鉱プログラムのた めの仮設道の造成 先住民族の土地には認められていない。それ以外の土地では次のような仮設の小道他は他の探鉱プ ロジェクトのために建設された小道の使用が認められる。(a)幅は運搬機材よりも1m広い(最高 7mまで)、 (b)全長3km以下、(c) 探鉱機材の移動が使用目的 17. 既存の小道や道路で の自動車の使用 既存の道路規制に従う。それが不明の場合には自動車重量が道路の場合40t未満、小道の場合20t未満 18. 夏季の道路外での自 動車使用 接地圧の低い自動車のみ 自動車重量が20t以下で走行距離が15km以下 自動車重量が20t以上のものに つ い て は 年 間 の 走 行 距 離 が 40km以下であること 19. 冬季の道路外での自 動車使用 接地圧の低い自動車または自動 車総重量が40t以下の自動車で 走行距離が15km以下であるこ と 接地圧の低い自動車でない場 合、走行距離が25kmであること 接地圧の低い自動車以外は走行制限なし 20. 爆発物の使用 30日の期間中、1,000kg以下 30日の期間中 1,000kg以上 21.坑道の掘削 掘削により500t未満の土砂が地上に出されること 掘削により年間40,000t未満の 土砂が地上に出され、プロジェ クトの全探鉱期間をとおして 200,000t未満であること。 掘削により年間100,000t未満 の土砂が地上に出され、プロジ ェクトの全探鉱期間をとおして 200,000t未満であること。

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(6)採掘権(Mining License) 鉱山開発と操業を行うためには採掘権(硬岩の場合: Quartz Mining License)を取得することが義務付けら れている。採掘権は環境影響調査を完了したプロジェ クトにのみ認められる。

さらに鉱山操業のためには、採掘権とあわせて水資 源利用権(Type A または B Water License)の取得 が必要である。ただし、年間 1 万t以下の鉱産物(鉱 物以外に廃棄物及び表土も含まれる)を生産する場合 に は 採 掘 権 は 不 要 で、Quartz Mining Land Use Regulation の規定に従い、採掘が可能である。 鉱山の開発と運営の規定は鉱業法では次のように意 義付けられている。 ・ 鉱山開発とは、鉱山施設の建設と生産に関わる一 連の作業である。建物の建設、環境調査及び探鉱 を目的とした作業のみの場合は鉱山開発とは見な さない。 ・ 生産とは営利のために鉱物を採掘する作業及び採 掘された鉱物の加工である。探鉱を目的としたこ れらの作業は生産とは見なさない。 従って、既に建設中または稼行中の鉱山の鉱区内で 行われる新たな鉱床発見のための探鉱活動は、採掘権 を必要としない。また、探鉱活動の事業計画に柔軟性 を与えるため、探鉱活動については Quartz Mining Land Use Regulation で規定される。

採掘権の有効期間は、水資源利用権の有効期間に合 わせて決められる。

(7)水資源利用権

水資源利用権は水資源の利用と排水に関する権利で、 ユ ー コ ン 準 州 政 府 の 水 資 源 委 員 会(Yukon Water Board)の管轄の下、Waters Act と Waters Regulation に基づいて発行される。 通常、水資源利用権の申請は環境影響調査と並列し て行われる(表2参照)。 表2. 水資源利用権の基準 水利用・排水 水資源利用権が不要 (TypeBの基準)水資源利用権 (TypeAの基準)水資源利用権 1 直接の水資源利用 1日の摂取量が300m3未満 鉱山の鉱石生産量が1日100 t未満で、選鉱以外のリーチ ングまたは鉱山用水として1 日300m3以上の利用 鉱山の鉱石生産量が1日100t 以上または選鉱にリーチング を使用 2 (1) 水路の横断:パ イプライン、橋、 道路を含む 水路の上に建設時に最高水位 線で幅5m未満の建設物 水路の上に建設時に最高水位 線で幅5m以上の建設物 なし (2) 水路制御のため の建設物:水路 と 土 手 の 改 造、 埋立、突堤・埠 頭・排水溝の設 置、浸食制御 水路制御のための建設物 (a)間欠的な水路 (b) 最高水位線で建設時の水 路の幅が5m未満 (c) 100m3未満の素材の使用 または除去により、その 付近の横断面が変わって ない場合 その他の水路制御措置の建設 なし (3)洪水制御 臨時の建設 常設の建設で、環境への悪影響が無い場合 常設の建設で、環境への悪影響が予想される場合 (4)分岐 水路分岐の幅が分岐地点の最高水位線で幅2m未満の場合 水路分岐の幅が分岐地点の最高水位線で幅2m以上の場合 なし (5) 水路の変更、ダ ムや土手の建設 による貯水 ダム建設:高さ3m未満で貯 水容積が10,000m3未満 ダム建設:高さ3m以上8m 未満で環境への影響がない場 合。 ま た は 貯 水 容 積 が 10,000m3以上60,000m3未満で 環境への影響がない場合 ダム建設:高さ8m以上、ま た は 貯 水 容 積 が60,000m3 上、または環境への危害があ る場合 3 排水、廃棄物 鉱山活動以外の排水で、直接 または間接的に地表水へ混入 しない場合 直接または間接的に地表水へ の混入がある場合、または鉱 山からの尾鉱等の廃棄物が1 日100t未満の場合 鉱山からの尾鉱等の廃棄物が 1日100t以上ある場合

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平成 21年度戦略的資源確保事業〔投資環境調査〕 (41)  カナダ・ユーコン準州の投資環境調査 2-3. 環境法 (1)基本理念 ユーコン準州で行われる探鉱及び鉱山開発活動には 環 境 影 響 調 査 の 実 施 が 必 要 と さ れ る。 こ れ は Environmental Assessment Act(ユーコン準州の環境 法 が 可 決 され るまで は 連 邦 政 府 の 法 律 を 適 用 )と YESAA の2つの法律に基づいて行われ、YESAB が 監査を行っている。YESAB は州内 6 か所に事務所を 設け、環境影響調査の審査と審査プロセスの規定を行 っている。審査の過程では関係政府機関、先住民及び 地域社会からの意見聴取が実施され、探鉱及び鉱山開 発プロジェクトが環境と地域社会に及ぼす影響が査定 される。そして、環境影響に対する適切な対応策実施 の有無、及び必要となる条件・制約について、判決委 員会で審議・裁定され、プロジェクト実施の可否が決 められる。 (2)環境影響調査(EIA)制度 環境影響調査は、探鉱ステージの進んだ探鉱及び鉱 山開発プロジェクトの許認可において重要なプロセス の1つである。ユーコン準州エネルギー・鉱山資源省は、 YESAB の監査と法的規制の統一を補助する役割があ り、YESAB はプロジェクトの環境調査の項目、プロ セス及び調査計画等を検討する。環境影響調査の一環 として、事業者は、探鉱もしくは開発プロジェクトの 環境影響調査報告書を提出する前に、先住民及び地域 社会と環境影響について協議することが必要とされて いる。 各プロジェクトの環境影響調査報告書が提出される と、YESAB 執行委員会が内容の確認を行い、追加の 報告書等の提出が必要であるかどうか検討する。 監査の第一段階では、YESAB 執行委員会が提出さ れた報告書を基にプロジェクトの要件を査定する。各 プロジェクトの要件は審査の過程で後から事業者から 提出された情報、及び YESAB 執行委員会が集めた情 報により変更される場合もある。 次に YESAB 実行委員会はプロジェクトの監査を公 表し、他の政府機関や地域社会にプロジェクトに関す る意見の収集を行う。収集された意見を基に実行委員会 は監査報告書(Finalize Observations and Conclusions Report)を作成する。 監査報告書の原案が完成すると各政府機関や住民に 回覧され、更に意見の収集が行われる。そして、これ らの情報を基にして最終監査報告書(Finalize Review Report)が作成される。最終監査報告書にはプロジェ クトへの提案事項、必要条件、及び許可の有無が含ま れる。 YESAB 執行委員会が作成した最終監査報告書は政 府関係機関により審査を受け、可決の有無、提案事項・ 必要条件の確認及び変更内容が判決書にまとめられる。 環境影響に問題が無いと判定されれば、プロジェクト の許可が発行される。 (3)環境基準 カナダの各州及び準州における環境基準値は、州政 府が制定することになっているが、それを補助する連 邦機関(各州政府からも参加)として、Canada-wide Environmental Standards Sub-agreement( 全 カ ナ ダ 環境基準合意)がある。この機関は、カナダ全域にお いて環境保護や住民の健康維持の為に必要な環境基準 を設定する役割を担っており、新たな基準の導入計画 などを各州の事情を考慮しながら進めている。

また、カナダ環境大臣審議会(CCME:The Canadian Council of Minister's of the Environment)は、 Canada-wide Environmental Standards Sub-agreement が草案した各種の基準や規制を承認している。その中の 1 つに、Canadian Environmental Quality Guidelines(カ ナダ環境基準指針)があり、これはカナダ全域で適用さ れる大気、水質、土壌及び生態系に関する目標基準と なっている。 ユーコン準州では、前述の連邦の基準や指針を基に 法律と規制を制定している。 (4)閉山法 ユーコン準州における閉山に関する規制は、Quartz Mining Act に規定されており、さらに Yukon Mine Site Reclamation and Closure Policy(ユーコン準州鉱 山跡地復旧及び閉山規定)と Financial and technical guidelines に詳細が定められている。ユーコン準州に おける規制は、カナダの他州と同様のもので、閉山計 画は、鉱山の操業開始前に州政府に提出されるともに、 事業者には閉山及び地域環境復旧の計画を 5 年毎に更 新することが義務付けられている。 事業者は閉山後も環境復旧計画の進捗と復旧状況に ついて、毎年、州政府に報告する義務があり、また、 復旧作業完了後も引き続き自然保護措置の有効性につ いて監視を続け、報告する義務がある。 現在、ユーコン準州には Type Ⅱと呼ばれ、閉山後 に復旧作業が完了していない鉱山が幾つかある。殆ど の Type Ⅱの鉱山は事業者が復旧作業を行っているが、 Faro, Mount Nansen 鉱山及び Clinton Creek 鉱山は復 旧作業を行う義務者が不存在となったため、現在ユー コン準州政府が復旧作業を行っている。

2-4. 税制 (1)概要

連邦法である Income Tax Act(カナダ税法)は、 カナダの企業と個人に対して世界各国からの収益に対 して税金を納めることを義務付けている。収益には事 業、資産及び雇用からの収入を含む。また、資産売却 益や株式譲渡益などのキャピタル・ゲインも課税の対 象であるが、特別な優遇措置がある。 連邦とユーコン準州の法人税率を合わせると、34.5% の基準税率となる。これは他州と比較するとノバスコ

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シア州とプリンス・エドワード島州に続いて3番目に 高い税率で、一番低いアルバータ州の 29.5%より5% 高く、また隣接するブリティッシュ・コロンビア州の 31.5%より3%高くなっている(表3参照)。 外国人及び外国法人は、カナダにおける収益に対し てのみ税金を納める義務があり、他国での収入は課税 の対象ではない。また、その税率は、カナダ人及びカ ナダ法人と同率である。カナダでは税金を支払う限り、 得られた利益を国外へ持ち出す制約がない。 カナダでの配当、利子、ロイヤルティ及び賃貸から の収入に対しては源泉徴収税が掛かり、基本税率は 25%である。カナダから日本へ支払われる利子及び使 用料等には、日加租税条約に基づき 10%の源泉徴収税 が課せられる。キャピタル・ゲインはその半額に対して、 基本税率が掛かる。 カナダの税法では、減価償却と天然資源業界での通 常の経費を区分せずに総合して取り扱う。経費区分の 残高は、プロジェクトの売買の際に、買い手に経費を そのまま譲渡することできる。同様に、フロースルー 株式の発行により、株主に特定の経費を譲渡すること も可能である。

Prospectors & Developers Association of Canada (PDAC)が行ったスーパーフロースルー株式に関する カナダ各州の比較によると、ユーコン準州はスーパー フロースルー株式の税制措置を運用しておらず、他州 に比べて比較的高いコスト負担となっている。 (2)鉱区税 ユーコン準州には鉱区税に相当するものは無く、毎 年義務付けられている 100C$の探鉱費支出のみであ る。 (3)ロイヤルティ(鉱産税) ユーコン準州の鉱業に関連したロイヤルティは1万 C$以上の収益に対して課せられ、収益率によりその 比率も段階式に変化する(表 4 参照)。ロイヤルティは 鉱業法で定められており、収益に課せられる税金とは 異なり、資源の所有者であるユーコン準州政府に対し て、資源の採取を許可したことに対する利潤の分配と 定義されている。従って、鉱山の所有者または経営者 に支払い義務がある。 表3. 2008年カナダ連邦各州の連邦・州混合税率 (出典:KPMGカナダ社・ユーコン準州政府) 州 製造業・加工業収入(%) 一般収入(%) ブリティッシュ・コロンビア州 31.5/30.5 31.5/30.5 アルバータ州 29.5 29.5 サスカチュワン州 29.5 32.5/31.5 マニトバ州 33.5/32.5 33.5/32.5 オンタリオ州 31.5 33.5 ケベック州 30.5 30.5 ニューブランズウィック州 32.5 32.5 ノバスコシア州 35.5 35.5 プリンス・エドワード島州 35.5 35.5 ニューファンドランド・ラブラドール州 24.5 33.5 ユーコン準州 32.0 34.5 ※ノースウェスト準州とヌナブト準州を除く

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平成 21年度戦略的資源確保事業〔投資環境調査〕 (41)  カナダ・ユーコン準州の投資環境調査 ユーコン準州の大部分はユーコン準州政府が鉱物資 源の所有権を持っているが、先住民に土地の所有権が 認められている地区のうち、カテゴリー A に区分され ている先住民の土地では鉱物資源の所有権は先住民が 有する。カテゴリー A の先住民の土地において第三者 が鉱区や採掘権を有する場合、ユーコン準州政府と先 住民との間に交わされた“Umbrella Final Agreement” に基づき、ユーコン準州政府が先住民に代わって鉱区 管理、採掘権の発行、そしてロイヤルティの徴収等を 行う。なお、カテゴリー A に区分される先住民の土地 における鉱産物のロイヤルティは、その全額が先住民 に納められる。 2-5. 外資法 (1)基本理念 カナダで外国企業が活動を行うためには、支店を設 けて活動する場合と、支社を設立する場合の 2 つの方 法がある。カナダでは、合名会社を設立する場合には 設立した州により多少異なるものの、税の優遇制度が ある。また、場合によってはパートナーシップや合弁 会社という方式も税制的に有利である。 カナダの税制において、支社を設立した場合、他地 域の支社の損失を利益から差し引いた額が課税対象と なる。新しい支社の立ち上げや、大きな支出が予定さ れている場合には有利となる。それに対して支店を設 けた場合は、自国の税率がカナダと該当州の税率より も低い場合に有利になる。ただし、支社設立の場合は、 利益が本社に送られた際に課税の対象となるので、課 税のタイミングを調整できるのに対して、支店を設け た場合には、利益が出た年に課税されるため、課税の タイミングを調節できない。 (2)外資優遇制度 ユーコン準州には特に外資を対象とした優遇制度は ないものの、支社を設立することによりカナダ企業を 対象とする優遇制度が適用される。 主な企業活動が、鉱物及び石油・天然ガス資源の探 鉱活動、開発、選鉱・製錬・精錬に携わっている場合、 次の優遇措置を受けられる。 ・ カナダ国内でフロースルー株式を発行することに より探鉱資金の調達ができる。 ・ 探鉱活動と開発経費の 100%の減価償却と制限なし の繰越控除が可能である。新たな鉱山、開発プロ ジェクト等の購入コストの 30%の減価償却が認め られる。 ・ 鉱山開発費または大幅な鉱山拡張経費に対する加 速減価償却が可能である。 表4. Yukon準州鉱業ロイヤルティ (2008年4月1日改定) 年間利益の下限 (C$) 年間利益の上限 (C$) ロイヤルティ (増分に掛かる) 0超 10,000以下 0% 10,000超 1,000,000以下 3% 1,000,000超 5,000,000以下 5% 5,000,000超 10,000,000以下 6% 10,000,000超 15,000,000以下 7% 15,000,000超 20,000,000以下 8% 20,000,000超 25,000,000以下 9% 25,000,000超 30,000,000以下 10% 30,000,000超 35,000,000以下 11% 35,000,000超 12%

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その他にユーコン準州政府は、ユーコン準州の企業 に対して次のような奨励プログラムを実施している。 ①ベンチャー事業の貸付保証 ユーコン準州政府はカナダの主要銀行と携帯し、事 業の設立と拡張のための融資を必要とする企業(5百万 C$未満の総益金、従業員 100 人以下)に対し、貸付 金の 65%の金額(1万 C$以上 10 万 C$以下)まで保 証する制度。これはユーコン準州で税金を納めている 企業が対象となる。 ②ユーコン準州戦略的産業開発資金 ユーコン準州経済に貢献する産業の開発に対して政 府より支給される資金。ユーコン準州へ利益をもたら す事業の開発も対象となり、鉱物・エネルギー資源の 探鉱プロジェクトなどが対象となる。資金はプロジェ クト経費の 50%から最高 75%まで支給される(Class 1: 最高1万 C$まで、Class 2:最高2万 C$まで)。 2-6 鉱業奨励政策

(1)Yukon Mining Incentive Program(YMIP)

探鉱促進の観点から、ユーコン準州エネルギー・鉱 山資源省は、Yukon Mining Incentive Program(YMIP) という補助制度を運用している(表5参照)。特にリス クの高い初期段階の探鉱プロジェクトを支援すること を目的としている。 2008 年には YMIP に 58 件の申請があり、45 件の申 請を受理し、計 77 万 4,500C$が支給された。そのうち 5件が初期段階の探鉱、10 件が中〜後期段階の探鉱、 そして 30 件が資源量算定や F/S 等のプロジェクト評 価であった。鉱種別では、45 件中 12 件が金のプロジ ェクトである。 (2)その他の鉱業奨励制度 そ の 他 の 鉱 業 奨 励 制 度 と し て、Assay Coupon Program(試料分析費用補助プログラム)及び燃料税 控除制度がある。 2-7. 先住民の土地所有権等 (1)先住民の土地区分 ユーコン準州の先住民は、1995 年2月 14 日にカナ ダ連邦政府、ユーコン準州政府及びユーコン準州の先 住民の間で制定された Umbrella Final Agreement に

基 づ き、 現 在 ユ ー コ ン 準 州 の 土 地 の 約 8.5 %( 約 41,595km2)の所有権が認められている。所有権の分類 は次のとおり。 ・ カテゴリー A:ユーコン準州先住民が地上権と地 下資源の権利を有する。 ・ カテゴリー B:ユーコン準州先住民が地上権のみ を有する。 ・ Fee simple:ユーコン準州先住民が、一般の地権 所有者と同様に不動産を所有している場合。 (2)先住民に関する近年の動向 ユーコン準州鉱山協会と同準州先住民族代表は、初 となる共同シンポジウムを 2003 年に開催した。また、 ユーコン準州鉱業界と先住民は共同でユーコン準州鉱 山職業訓練協会(Yukon Mine Training Association) を設立し、先住民が鉱山・探鉱活動を行うために必要 な職業訓練を実施している。

表5. Yukon Mining Incentive Programの概要

探鉱ステージ 内     容 補助率 初期段階 探鉱実施者(個人又は企業)に対して1万 C$を限度 に補助 100% 探鉱実施者(個人又は企業)に資金提供する個人又は 企業に対して、探鉱実施者1人当たり1万 C$を限度 に補助 75% 中~後期段階 抽出した地域において探鉱を行う個人、企業及び共同探鉱者・企業に対し、1.5万 C$まで補助 75% 資 源 量 算 出 や F/S等 の プロジェクト評価段階 プロジェクト評価を行う個人、企業及び共同探鉱者・ 企業に対し、2万 C$を限度に補助 50%

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3. インフラ状況

3-1. 電力 ユーコン準州における電力供給は水力発電を中心に 展開され、需要規模と地理的な理由から北米の電力網 (North American Power grid)には繋がっていない。

ユーコン準州内の電力網は Whitehorse/Aishihik/Faro と Mayo/Dawson City 網の2つの大きな電力網に分か れ、2007 年に操業開始した Minto 銅 - 金 - 銀鉱山への 送電線も 2008 年に敷設が完了している。 3-2. 道路・港湾 ユーコン準州の最寄港である Skagway 港は米国アラ スカ州南東部に位置しており、北米では最北の不凍港 である。また、水深が深いため比較的大きな船が入港 できる。 クロンダイク・ハイウェイ(Klondike Highway)から、 アラスカ・ハイウェイ、デンプスター・ハイウェイを 通じてユーコン準州及びノースウエスト準州とアジア もしくは欧州を結ぶ交通と物資輸送の要となっている。 Skagway 港では、2007 年に Minto 銅 - 金 - 銀鉱山か らの精鉱出荷に備えて埠頭の整備と改装工事が行われ ている。 (2010.6.15)

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