タイの経済政策と労働政策
2016年11月23日
在タイ日本国大使館
一等書記官 坪井 宏徳
タイが直面する課題
‘05高齢化社会へ突入
高齢者 14.9%
(総人口比)高齢社会へ突入
( Aged Society)超高齢社会へ突入
(Super Aged Society)
‘14 ‘21 ‘35
年
●高齢化社会と労働力不足
10%
または
65歳以上が総人口の7%以上20%
または
65歳以上が総人口の14%以上30%
または
65歳以上が総人口の21%以上高齢化社会
(Aging Society)高齢社会
(Aged Society)超高齢社会
(Super Aged Society)
●中進国(中所得国)の罠の回避
「中進国(中所得国)の罠とは」
多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換
できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷すること。
例えば、タイは現在一人当たりGDPが6000ドルまで成長したが、これから先、衣服や陶器などの低付加価値な労
働集約産業では賃金の安い周辺国にコスト競争で負けてしまう。高付加価値産業で勝負しようとすると高所得国に技
術力で負けてしまうので、何も対策をしないと低成長になってしまう。
2
地域限定 産業限定 方向性 手法 名 称 EEC (東部経済回廊) SEZ (経済特区) クラスター政策 10のターゲット産 業 新Sカーブ タイランド4.0 PPP (官民連携) 発 足 2016年7月 2015年1月 2015年9月 2015年11月 2015年11月 2016年5月頃 2016年2月 目 的 次世代産業集積とインフラの 重点的整備、産 業都市開発を 行う。 (国境SEZ) AEC発足年を迎 えるに伴い、国 境貿易の質と 量を向上させる。 指定産業の育成 と競争力強化を、 それに適した土 地で集中的に進 める。 産業構造の高 度化、高付加価 値化により「中 所得国の罠」か ら脱出する。 タイ経済を飛躍 的な成長に導く ための未来産 業を育成する。 労働集約型産 業から知識集 約型産業へ移 行し、産業高度 化を達成する。 官民が連携して 基礎インフラを はじめとする大 型事業を行う。 対 象 地 域 チョンブリ、 ラヨーン、 チャチュンサオ 国境10県 ①~⑥の分野毎 に対象県を設定 なし なし なし なし 対 象 産 業 等 政府の定める10 のターゲット産業 (次世代産業)。 2016年10月4日 にEEC開発法が 原則閣議で承認 される。 ①農業・漁業、② セラミック製品、 ③繊維・革製品、 ④家具、⑤宝飾・ 装飾品、⑥医療 機器、⑦自動車 及び自動車部品、 ⑧電子機器、⑨ プラスチック製品、 ⑩医薬品、⑪物 流、⑫工業団地、 ⑬観光 ※特区によって 異なる ①自動車・自動車 部品、②電気・電 子機器及び電気 通信機器、③環境 にやさしい石油化 学及び化学品、④ デジタル産業の 「スーパークラス ター」 ⑤繊維・アパレル、 ⑥農産加工品の 「一般クラスター」 ※2016年12月30 日迄に投資申請、 2017年12月31日 迄に収入が発生 する必要がある。 ①次世代自動車、 ②スマートエレク トロニクス、③富 裕・医療・健康 ツーリズム、④農 業・バイオ技術、 ⑤未来食品、⑥ ロボット工学、⑦ 航空・ロジスティ クス、⑧バイオ化 学、⑨デジタル産 業、⑩医療ハブ ターゲット産業の うち、⑥~⑩の振 興により達成され る長期的な成長 戦略であり、短 期・中期的には、 第1次Sカーブとし て、ターゲット産 業のうち①~⑤ を振興することで、 持続的な経済成 長を維持する競 争力を強化する。 競争力を強化し、 官民連携して投 資を呼び込み、 所得格差を是正 する、という方向 性を示すもので あり、実現の為 の具体的政策例 として、クラスター 政策や10のター ゲット産業がある。 12の小委員会で 構成され、プロ ジェクト・ベースで 関連事業を進め る。9月現在、所 掌プロジェクト数 66、投資総額1兆 6,600万バーツ、 大型案件として、 鉄道、公共住宅 における下水処 理システム整備、 高速道路、医療 センター設置が ある。 主 管 工業省、運輸省 工業省、財務省、BOI BOI 工業省、財務省 PPP委員会 (ソム キット副首相)
プラユット政権の経済政策:キーワード
3
5つの新
産業
引き続き
奨励する
産業
発展
ロボット工
学
医療
ハブ
航空・ロ
ジスティ
クス
バイオ化
学
デジタル
次世代
自動車
スマート
エレクトロ
ニクス
裕福・医療・
健康ツーリズ
ム
農業・バ
イオテク
ノロジー
未来食
品
10のターゲット産業、新S字カーブメカニズム
4
クラスター政策
BOIによる投資促進策
1.投資奨励法の改正(2016年より実施予定) R&D目的で輸入される機械・原材料に対する税免除、 高技術を用いる事業に対する税免除期間を現行の8年 から最大13年に拡大。 2.短期的な投資促進策 15年1月1日から16年12月31日にかけて申請され、17 年末までに生産や事業活動を開始可能な投資プロジェ クトに対し、最大2年間法人税免除を延長。 1.成長潜在性の高い10のターゲット産業の育成:次世 代自動車、スマートエレクトロニクス、医療・健康観光、 農業・バイオ技術、食品、ロボット、航空・ロジスティクス、 バイオ燃料・バイオ化学、デジタル、医療ハブ(※5産業 に縮小される案も検討中) 2.競争力向上基金の創設(100億バーツ):10産業への 投資促進のための金融支援 3.SMEに対する法人税の免除(5連続会計期間)インフラ整備への民間の参加促進
1.PPPの推進による民間部門によるインフラプロジェクト への出資の拡大2.Thailand Future Fund(インフラファンド)の創設(1,000 億バーツの予定) 政府による出資及び民間投資家(特に機関投資家)か らの出資で構成。投資先は、ブラウンフィールド、グリー ンフィールド、インフラ関連会社。 食品加工・農産物(3) :果物、ゴム デジタル産業(1) (チェンマイ) デジタル産業(2) (プーケット) 自動車、電子機器・通信 (アユタヤ、パトゥムタニ、 チョンブリ等) 石油化学 (チョンブリ、 ラヨーン) 繊維 (カンチャナブリ、バンコ ク、ナコン・パトゥム等) 食品加工・農産品(1) :果物、ハーブ 食品加工・農産物(2) :家畜、キャッサバ、サ トウキビ、トウモロコシ 食品加工・農産物(4) :サトウキビ、パイナップ ル、ゴム 食品加工・農産物(3) :果物、ゴム 食品加工・農産物(5) :ヤシ、海産物、ゴム
財務省(及び工業省)による投資促進策
5
経済特区(国境SEZ/EEC)の概要
東部経済特区・東部経済回廊
(EEC:Eastern Economic Corridor)
✔6月28日、EEC開発計画案が閣議承認を得る。2016年9月1日現 在、 EEC計画関連法案の起草作業中。
✔政府の定める10のターゲット産業(次世代産業)の集積を目指す。 ✔インフラの重点的整備と産業都市開発を行う。
✔官民連携(PPP)で行うが、定期借地権で民間セクターと協議中。
国境SEZ (Special Economic Zone)
✔県内の一部の郡や区に設置。 ✔13のターゲット産業:農業・漁業、セラミック製品、繊維・革 製品、家具、宝飾・装飾品、医療機器、自動車及び自動車 部品、電子機器、プラスチック製品、医薬品、物流、工業団 地、観光 ✔BOI特典として、13のターゲット産業には、 ①法人税8年免除+5年間の50%減税 ②輸送費、光熱費の2倍まで10年間控除 ③関連施設の設置及び工事費用の25%控除 ④専門家、熟練労働者に家族との居住許可 ⑤非熟練外国人労働者の雇用許可 ⑥海外送金許可 ⑦輸出用製品に使用する原材料及び機械の輸入関税免除 ✔ターゲット産業以外は①の減税措置がやや弱くなる(3~8 年)が、②~⑦については同様。 ✔財務省歳入局の特典として、法人税の10%軽減措置がある が、BOI特典との併用不可。 ✔サケオSEZをモデルケースに設定、投資の呼び込みを加速。 第2フェーズ カーンチャナブリー、チェンラーイ、 ナコンパノム、ナラティワート、ノー ンカイ、 第1フェーズ サケオ、ソンクラ-、ターク トラート、ムクダハーン ノーンカイ ナコンパノム ムクダハーン トラート サケオ(モデルケース) 東部経済回廊 (EEC) ソンクラ- ナラティワート カーンチャナブ リー チェンラーイ ターク
6
EEC計画地図
21 既存工業団地(総面積14,660ライ)
6 開発中の工業団地(総面積5,190ライ)
7 工業地域(総面積1,134ライ)
1 計画中の工業地域(総面積2,075ライ)
【EECとして承認された地域】
バンコク チャチュンサオ チョンブリ- ラヨーン マブタプット ウタパオ国際空港 パタヤー レムチャバン シーラチャー レムチャバン港拡張第3フェーズ 複線鉄道 モーターウェイ拡張 高速鉄道 ウタパオ空港拡張 マブタプット港拡張第3フェーズ7
賃金政策:地域別最低賃金①
地域 2012年3月ま で 2012年4月~ 2013年12月 2013年1月~ 2016年12月 2017年1月以降 (中部+東部) バンコク 215 300 300 310 サムットプラカン 215 300 300 310 ナコンパトム 215 300 300 310 パトゥムタニ 215 300 300 310 ノンタブリ 215 300 300 310 サムットサコン 215 300 300 310 チョンブリ 196 273 300 308 サラブリ 193 269 300 308 チャチュンサオ 192 269 300 308 アユタヤ 190 265 300 308 ラヨーン 189 264 300 308 プラチンブリ 183 255 300 308 ロッブリー 182 254 300 305 カンチャナブリ 181 252 300 305 ラチャブリ 180 251 300 305 ペチャブリ 179 250 300 305 チャンタブリ 179 250 300 305 シンブリ 176 246 300 300 アントン 174 243 300 305 サケオ 173 241 300 305 プラチュアプキリカン 172 240 300 305 サントソンクラム 172 240 300 305 ナコンナヨク 170 237 300 305 トラート 169 236 300 305 スパンブリ 167 233 300 305 チャイナート 167 233 300 305 地域 2012年3月 まで 2012年4月~ 2013年12月 2013年1月~ 2016年12月 2017年1月以降 北部 チェンマイ 180 251 300 308 ランプン 169 236 300 305 ウタイタニ 168 234 300 305 カンペンペット 168 234 300 305 ナコンサワン 166 232 300 305 チェンライ 166 232 300 305 ペチャブン 166 232 300 305 ランパン 165 230 300 305 スコータイ 165 230 300 305 ピサヌローク 162 227 300 305 ウタラディット 162 227 300 305 ピチット 162 227 300 305 プレー 162 227 300 305 メーホーソン 162 227 300 305 ターク 162 226 300 305 ナーン 161 225 300 305 パヤオ 159 222 300 305 ※労働省HP上の情報等を編集9
賃金政策:地域別最低賃金②
地域 2012年3月 まで 2012年4月~ 2013年12月 2013年1月~ 2016年12月 2017年1月以 降 地域 2012年3月 まで 2012年4月~ 2013年12月 2013年1月~ 2016年12月 2017年1月以降 南部 プーケット 221 300 300 310 パンガ 186 259 300 308 ラノーン 185 258 300 300 クラビ 184 257 300 308 ソンクラー 176 246 300 308 トラン 175 244 300 300 ナコンシタマラート 174 243 300 300 チュンポン 173 241 300 300 パッタルン 173 241 300 305 サトゥン 173 241 300 305 ヤラー 172 240 300 300 スラタニ 172 240 300 308 ナラティワート 171 239 300 300 パッタニ 170 237 300 300 ※労働省HP上の情報等を編集 東北部 ナコンラチャシマ 183 255 300 308 ルーイ 173 241 300 305 ウボンラチャタニ 171 239 300 305 ウドンタニ 171 239 300 305 ノンカイ 169 236 300 305 ブンカン 169 236 300 305 カラシン 167 233 300 305 コンケン 167 233 300 308 ブリラム 166 232 300 305 サコンナコン 166 232 300 305 ヤソトン 166 232 300 305 ロイエット 166 232 300 305 チャイヤプーム 165 230 300 305 ノンブランプー 165 230 300 305 ムクダハン 165 230 300 305 ナコンパノム 164 229 300 305 アムナトチャルーン 162 227 300 305 マハサラカム 162 227 300 305 スリン 162 226 300 305 シーサケット 160 223 300 30510
157.1
139.2
178.7
180.4
60
80
100
120
140
160
180
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
製造業(生産性)
全業種(生産性)
製造業(賃金)
全業種(賃金)
(出典:生産性=雇用者1人当たりの労働生産性。BOT資料より。賃金(名目)=NSO資料より。)労働生産性の上昇(2001=100)
<この間製造業では生産性の上昇が賃金の上昇を上回る>
11
145.6
277.1
119.1
261.2
229.5
158.2
100.0
109.3
50.0
100.0
150.0
200.0
250.0
300.0
2010
2011
2012
2013
2014
2015
タイ(バンコク) インドネシア(ジャカルタ) フィリピン(マニラ 非農業) ベトナム(ハノイ等) カンボジア(衣料製造等) ラオス 日本(各地域加重平均)賃金政策:地域別最低賃金(ASEAN比較)
(出典)データブック国際労働比較2016(JILPT)。150.5
(2017年)12
平均賃金 (伸び) CPI(伸び) GDP(伸び)
バーツ/月
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
平均賃金
7,389
7,851
8,085
8,913
8,694
9,262
9,935 11,101 12,021 13,244 13,487
(製造業)
6,506
6,783
7,019
7,685
7,701
7,938
8,361 10,153 11,143 12,151 12,338
(出典:NSOデータ等。)9.5%
10.3%
8.0%
6.9%
-0.5%
11.9%
4.6%
9.3%
4.5%
1.8%
3.1%
6.9%
6.2%
3.0%
10.2%
-2.5%
6.5%
7.3%
11.7%
8.3%
10.2%
1.8%
-0.9%
3.3%
3.8%
3.0%
2.2%
1.9%
-0.9%
-4.0%
-2.0%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(参考)タイの賃金の動向
13
賃金政策:技能別最低賃金
レベル 1 レベル 2 レベル 3 機械工 自動車塗装工 400 465 530 自動車板金工 420 505 590 自動車修理工 360 445 530 自動車メンテナンス工(2014) 340 400 - ディーゼルエンジン工(2014) 360 445 530 小型車エアコン工(2014) 360 445 530 サービス技 能者 タイ料理調理師 400 510 - タイ式あんま師 440 580 720 西洋式スパの施術師 490 650 - 西洋式スパ(アロマセラピー)(2014) 540 715 - 西洋式スパ(ハイドロセラピー)(2014) 565 750 - 西洋式スパ(栄養療法)(2014) 615 815 - 電気・エレ クトロニク ス工 小規模コンピュータ修理工 400 500 600 ビル電設工 400 500 600 工場電設工 400 500 600 家庭用・業務用エアコン工 400 500 600 テレビ工 400 500 - 電気照明機械工(2016) 360 430 - 電気器具モーター工(2016) 370 445 - 電気機械保全工(2016) 410 490 - 安全保障システム工(2016) 400 480 - 産業工 CAD 工 460 530 670 電気溶接工 400 500 600 ガス溶接工 455 615 775 高密度ポリエチレン工(2014) 460 - - 管組立工(2014) 400 - - 射出成形金型工(2014) 480 - - 建設工 大工 385 495 605 レンガ工 345 465 585 左官 385 495 605 アルミ工 365 475 585 石工(2014) 400 - - 石膏工(2014) 400 - - コンクリート屋根工(2014) 400 510 620 工芸職人 縫製師 320 370 500 宝飾工 400 550 750 家具工 335 385 435 金物師 320 370 420 家具塗装工(2014) 350 450 - 自動車部品 産業(2016) 旋盤工 400 480 - MIG-MAG 溶接工 400 480 - 機械保全工 400 480 - 自動旋盤工 400 480 - 自動車産業 (2016) 車体塗装工 400 480 - 車下塗装工 400 480 - 品質保証工 400 480 - 宝石産業 (2016) 宝石研磨工 420 550 - 宝飾品鋳造工 420 550 - 宝飾品装飾工 420 550 - 宝飾品宝石工 420 550 - ロジスティ クス(2016) 商品運送管理者 415 500 - フォークリフト操作者(10 ㌧以下) 360 430 - 商品保管管理者 350 420 - 倉庫管理者 340 410 - 出所:2012年3月6日労働省告示(第3版)、2014年2月13日労働省告示(第4版)、2016年3月26日労 働省告示(第5版)。 注:現在第3版から第5版までが有効であり、上記表は第3版から第5版までを表にしたもの。なお、第 4版で追加されたものを(2014)、第5版で追加されたものを(2016)と表記している。 このほか、11月9日の賃金委員会では、エアコン関係、金型関係、機械関係で新たに12業種で最低 賃金が定められることが決められた。今後も増やしていく方針。14
技能人材育成政策(技能検定・ライセンス制度)
●労働省技能開発局(Department of Skill Development)は、技能開発促進法(Skill Development Promotion
Act)第22条に基づき、国家技能標準試験(技能検定)を実施。これまで190の分野について国家技能標準
作成に取りかかり、既に173種類が承認済み。技能のレベルにより3段階に分類。
Test Level 2
153 fields
Test Level 1
173 fields
Test Level 3
135 fields
●例えば、自動車塗装工、自動車板金工、パイプ溶接、金型製作、CAD
(Computer-aid Mechanical Drafting)、旋盤加工、CNC旋盤、電気設備工、エ
アコン工、など製造業系の技能のほか、建設関係(大工、煉瓦工、左官など)
や、サービス関係(タイ料理人、タイ式マッサージ師など)の技能標準も整備。
●技能検定は、全国に存在する職業訓練校及び労働
省技能開発局が認めた機関で実施。
(職業訓練校)
Level 1 100 bath
Level 2 150 bath
Level 3 200 bath
(政府認定機関)
500 bath-2000bath
●ライセンス制度の導入により、現在、内装電気工(ビルの
電気配線等)はライセンスが必要。
15
【技能開発促進法第33条に基づく税制優遇措置】
●技能開発促進法第33条では、労働大臣が告示した
職種に関して技能研修を実施した者に対して、税制
上の優遇措置を実施することを規定。
●企業は人材育成計画を作成し、労働省技能開発局
(職業訓練校を含む。)に申請。認定された計画に
沿った人材育成に要した費用の200%を控除。
建設 (Construction)
産業技術者 (Industrial Technician)
機械 (Mechanic)
電気・コンピューター (Electrician electronics
and computer)
工芸技術 (Industrial Arts)
農産業 (Agro-Industry)
サービス業 (Services)
【歳入局】
【企業】
(職業訓練校)
【労働省】
人材育成計画
(申請)
認定
税制優遇
(申請)
優遇措置
【手続イメージ】
●対象は、タイ国内で実施する人材育成。
(企業単独型技能実習制度等を活用して日本で研修 する場合の費用は対象外。) ※労働省は、AEC発足に合わせ、英語のできる人材 を育成するため税制優遇措置の活用を推進。●制度の周知・活用が課題。
※ただし、周知されていないだけで、実際には利用さ れているケースも多いと考えられる。 ※http://www.dsd.go.th/icd/Region/ShowDetails_Regi onLaw/1568技能人材育成政策(税制優遇)
16
(一定規模(100人)以上企業)
【人材育成を実施する企業】
【人材育成を実施しない企業】
【労働省】
大臣告示業種で
人材育成を実施
する者に対する
優遇措置。
-税制
-技能開発局か
らの支援・助言
( カ リ キ ュ ラ ム
作成等)
基金
-人材育成実施者
に 対 す る 低 利 借
入れ
(3%) -労働技能開発 振興事業 -人材育成受講 者 に 対 す る 低 利借入れ 等納付金の支払い
(前年の賃金の1%を超えない範囲)技能人材育成政策(参考:技能開発促進法の体系)
17
技能人材育成政策(職業訓練機関の強化)
●全国には66か所の職業訓練校と12の地域職業訓練機関が存在しており、それぞれ未就職者訓練
や在職者訓練を実施している。地域職業訓練機関は、比較的高度で休日の在職者訓練中心。
●サムットプラカン地域職業訓練機関(Region 1)では、自動車関係の人材育成プロジェクト(AHRDA:
Automotive Human Resource Development Academy)を開始。
【2015年の活動】
・技能開発訓練コース:1012名(うち未就職者32名、在職者980名)
・スーパーブルーカラー(管理者・職業指導者クラス):70名
(予算)1000万バーツ(技能開発訓練)、4000万バーツ(施設設備費)
Semi-Skilled
Skilled
Supervisor
Fundamental
&
Basic
Functional
Super Blue
Collar
Manager/
Executive
AHRDP
Management
【訓練コース】
基礎理論、5S等 12コース CNC旋盤、溶接等 15コース CAD,機械メンテナンス等 17コース (出典:AHRDA資料)18
Super Blue Collar
Training Course
(75 hours)
Super Blue Collar Training Course
Group 1
Self Development
(30 hours)
Group 2
Development agencies
and organizations
(33 hours)
Group 3
activities and experiences
(12 hours)
1. Training Within Industry-Job Relations (TWI-JR)
2. Training Within Industry-Job Instructions (TWI-JI)
3. Workmanship Training Course (WSTC)
4. Problem Solving & Decision Making
5. Human Development to organization power
6. Japanese Working Style
7. Competency
1. 5S management
2. ISO / TS 16949
3. 7 Tool System
4. QCC
5. TQM (Total Quality Management)
6. TPS (Toyota Production Systems)
7. TPM (Total Productive Maintenance)
8. Safety and industry environmental.
1. Group Activity
2. Study Visit for 2 places
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: DENSO, SOMBOON, Siam Calsonic, Siam Senetor, OEI Part, Summit Auto Body技能人材育成政策(AHRDAの取組)
(出典:AHRDA資料)
●人材の採用、確保
☞ 有能な人材(労働力)を確保できる賃金体系
☞ 有能な人材(労働力)を確保するためのルートの構築
☞ 魅力的なキャリアパスと(社内)人材育成の仕組み
☞ 技能の取得など自発的な取組が評価される仕組み(インセンティブ)
☞ 従業員の意見を聞くことの重要性、楽しい職場づくり
タイの産業高度化における賃金労務管理
(補足)高齢者雇用、外国人雇用等による必要人材の確保
☞ 経験や技能を有する高齢者の活用
☞ 非熟練労働力を確保するための外国人雇用
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高齢者雇用の促進(税制優遇)
“高齢者の雇用対策は税の優遇措置および補助金を与えることで
雇用主の高齢者雇用を促進するものである。”
目的 高齢者の就業機会を増やし、生活に必要な収入が
得られるようにし、その経験や専門知識を企業に役立てる。
税制措置(CIT)
会社または合資会社
会社または合資会社は高齢者雇用のため
の給与と賃金支出については2倍の控除
が認められる。
(ただし全従業員数の
10%以下とする)
財務省関連勅令を発布する
実施
60歳以上の従業員
給与 15,000バーツ以下/人/月
株主、役員、経営陣、元経営陣以外
(出典:タイ財務省資料)21
高齢者雇用の促進(定年制度等)
●労働省は各地方労働事務所に高齢者雇用の窓口を設置(本年8月)。
●民間セクターと協働して高齢者の雇用を生み出すプロジェクトを開始(本年9月MOU締結)
●「高齢者雇用に関する日タイ協力セミナー」(本年9月開催)において、労働省は定年の延長(※就業
規則に定年に関する規定がない場合60歳と見なす規定の創設)や社会保険(年金)の受給開始年
齢を60歳に引き上げる点にも言及。
●参照:http://www.th.emb-japan.go.jp/jp/jis/2016/1617.htm
22
23
製造業
非製造業
年齢
55歳
60歳以上
その他
55歳
60歳以上
その他
役員
48.3%
39.3%
12.4%
38.1%
51.5%
10.3%
一般社員
67.1%
19.7%
13.3%
53.6%
33.6%
12.7%
☞ 役員・一般社員別定年年齢
タイ日系企業の定年
(出典:JCC2016年賃金労務実態調査)24
2016年
2015年
2014年
製造業
52.2%
49.6%
49.0%
非製造業
33.3%
39.8%
43.7%
☞「ある」と回答した企業の割合
定年延長
再雇用
変わらない
下がる
変わらない
下がる
製造業
70.0%
20.0%
30.3%
53.5%
非製造業
76.9%
7.7%
30.9%
58.2%
☞ 継続(延長)雇用制度の種類と労働条件の変化
タイ日系企業の継続雇用制度
(出典:JCC2016年賃金労務実態調査)60歳
61歳
62歳
63歳
64歳
65歳
66歳以上
割合
80.5%
0.3% 1.3%
0.7%
0.3%
16.1%
0.8%
◆一律定年制を定めている企業における定年年齢階級別企業組合
制度がある企業
勤務延長制度
再雇用制度
両制度併用
割合
92.9%
11.0%
71.9%
10.0%
◆一律定年制を定めている企業における勤務延長制度等の有無別企業割合
※就労条件総合調査(平成27年)
(参考)日本の企業の定年・継続雇用制度
25
(※)当初2015年1月から2016年までの時限で認められたが、更に2018年まで延
長。2019年以降はMOUの手続による外国人労働者に限定。
☞ 非BOI企業は従前より外国人労働者の雇用が可能。BOI企業も
外国人労働者の雇用が可能となった(※)。
☞ 近隣諸国(ミャンマー、ラオス、カンボジア)とのMOUに基づく
ルートでの外国人の雇用。
☞ 近隣諸国からの移民労働者の雇用と登録(300万人とも言われ
る)。移民労働者を管理し、社会保険の適用等労働者保護を推進。
適正な外国人雇用の促進
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日タイの人材育成関係者が一堂に会する「人材育成円卓会 議」を2016年3月22日、及び同年6月20日に開催(2015年12 月に日本側関係者によるプレ会合を実施) エンジニア人材育成のための円借款の創設等日本によるタ イの人材育成支援策をまとめた「日タイ産業人材育成協力イ ニシアティブ」を年内目途に策定予定 以下の分野について議論。 宇宙(2016年3月25日) 食品加工産業(2016年4月22日) 医療(2016年5月13日) 自動車部品(2016年6月10日) ICT(2016年6月17日) 知的財産(2016年6月24日) ※提言を近日中に発表予定 2015年9月、在タイ日本国大使館、JETROバンコク、 NESDB、タイ科技省により、特に自動車産業に焦点を あてた「タイ産業におけるR&D と人材育成にかかる 提言」を共同で発表。
佐渡島大使在任中の政策目標:これまでの成果と今後の取組
【2016年9月時点】
1.産業の高付加価値化への協力
2.研究開発・人材育成への協力
JTEPAビジネス環境小委員会を2016年3月3日に開催 (産業高度化等の総論、関税・税制・労務等の各論を議論) 本年度も年明け頃を目途に開催予定。4.ビジネス環境の改善
サービス産業の高度化 イノベーション・ワークショップ第1弾 (2015年7~9月) 日タイ産業人材育成協力イニシアティブ イノベーション・ワークショップ第2弾 (2016年3月~6月) 人材育成円卓会議の開催 ※鉄道人材育成等、個別分野の人材育成協力も実施 今後、金融・情報通信・ロジスティクス・紛争解決 サービス等を念頭に検討を具体化 平成27年度の日本企業支援実績数は約2700件(全在外公館中 トップクラス)28
6.ICT等 共同声明(旧ICT省)・共同プレス声明(NBTC)等に基づき、以下を実施 サイバーセキュリティ協力:実践的防御演習CYDER(2015年11月) 防災ICTへの協力:洪水シュミレータに関する実証実験(2016年3月) 放送に係る協力:デジタル放送コンテンツ共同制作、4K等放送技術の展示 国際データローミング料金低廉化、郵便分野協力 7.エネルギー・環境 エネルギー政策対話の実施(2015年7月、2016年8月) 各種案件へ応札する日本企業の支援 二国間クレジット制度(JCM)合意(2015年11月) 日タイ都市廃棄物セミナーの開催(2016年3月) 産業廃棄物管理に関するMOCの締結(2016年3月) 高効率石炭火力発電等への協力 廃棄物発電を含む廃棄物適正管理への協力 8.水資源管理・防災 適切な水資源施策の実施働きかけ 【✓外相間農業協力MOI署名(2016年5月)】:地下ダム、灌漑施設耐震化、 老朽化灌漑施設更新、洪水対策等における協力 灌漑排水協力対話の実施 9.都市開発 鉄道沿線等の都市開発の推進(例:スマートシティとの連携、バンスー駅周 辺開発)