「 数学的な考え方」 を育成す る授業改善
黒崎東洋郎
習得 と探究 を活用 でつ な ぐ算数教育が平成23年度か ら完全実施 される。新 しい算数教育 では,言語活動の充実の観点か ら数学的な思考力 ・判断力 ・表現力が強調 されている。算数 科の中核的な学習活動である 「算数的活動」 において も
,
「問題解決の仕方 を考 え,その仕 方 を説明す る活動」が強調 され,言葉.数,式 を用いて説明す る活動が重視 されている。従 前は、数学的な思考力 と表現力は、別々の観点で捉 えられていた。 ところが,今回の学習指 導要要領では 「思考力 ・判断力」 と 「表現力」を三者一体 として捉 えて指導す ることが強調 され, これを 「数学的な考 え方」 として捉 えることになった。思考力 ・判断力 ・表現力の三 者を 「数学的な考え方」 と捉 えた新 しい算数教育の課題 を整理 し,数学的思考力 ・判断力 ・ 表現力 を育成する授業改善について考察す るKeywords:数学的思考力 ・判断力 ・表現九 算数的癖 臥 説明力
1 算数教育の喫緊の課題
知識基盤社会化, グロパル化‑の対応す るために 必要 な力 として,「生 きる力」 は,引 き続 き重要 な 学力観であることが共通認識 されている。
「生 きる力」 は,今 回初めてが登場 した学力観で はな く,平成元年の学習指導要領の改訂 に際に中央 教育審議会の答 申 (1997)に次の ように示 された。
「自分 で課題 を見付 け, 自 ら学 び, 自ら考 え, 主体的に判断 し,行動 し, よ りよく問題解決す る資質能力」
この ときの答申では,「意欲̲廿学ぶ力」「生 きる力」
の3つが社会の変化 に主体的に対応するコンビテ ン シー として強調 された。 この とき,「算 数の意欲」
に関 しては,自分で課題を見付 けることが強調 され, 課題提示型の授業か ら課題設定型の主体的な授業改 善が図 られた。 また,THIMSS調査か ら,算数の成 績 は よいが 「算数大好 き ・好 きの子 どもが少 ない」
という算数 ・数学への学習意欲の低下問題 を解消す るために,算数科では数量や図形 に関す る作業的 ・ 体験的活動 といった 「算数的活動」 による学びを強 調 し,算数 ・数学離れ を防 ぐ万策が とられた。「学 ぶ力」 に関 しては,「自ら学 び, 自ら考 える」主体 的 な学習が強調 され た。「生 きる力」 に関 しては,
算数 を生活 に生かす とい うことが強調 された。
「生 きる力」をは ぐくむことは,いつの時代 にも必 要な不易の学力観である。 しか しなが ら,生 きる力 を育む算数教育のパ ラダイムは,平成元年当時 と全 く同 じではない。平成10年告示の学習指導要領では.
平成元年告示の学習指導要領に示 された算数の指導 内容 を30%縮減 し,算数科の標準指導時数 も14%縮 減する 「ゆ とり教育」を徹底 した。そのため,算数・
数学の学力低下が危倶 され,平成13年,15年の教育 課 程 実 施 状 況 調 査,2000年,2003年,2006年 の PISA調査の結果か ら,算数 ・数学の学力は良好では
ない現状 にあることが明確になってきた。
特 に,PISA調査及び平成19年度か ら行 っている 全国学力調査等の各種 アセスメン トによれば,次の
ような,数学的表現力に関する指摘が為 された。
算数教育の課題
・記述式問題 に課題がある
・思考力 ・判 断力 ・表現力 を問うPISA型の 読解力 に課題がある
変化の激 しい社会を他者や社会に効果的に関わっ て生 きるために,新 しい算数教育では,従前か ら強
岡山大学大学院教育学研究科教育実践講座 700‑8530 岡山市北区津 島中3‑1‑1
1mprovementsinclassroom practiceforcuftivatingstudents'abilitiestothinkmathematica"y TbyooKUROSAKI
Divisionofteachingpractice,GraduateSchoolofEducation,OkayamaUniversity,all‑1Tsushima‑naka,kita‑ku, Okayamacity700‑8530
調 されて きた数学的な思考力 に加 えて数学的な表現 力 をは ぐくむことが強調 された。資源の少 ない科学 立国 日本の現状 を踏 まえ,理数教育の充実が叫 ばれ ている。理数教育の充実の具体的な方策 と して,観 察 ・実験, レポー ト作成,論述 といった言語活動 を 充実 させ ることが強調 されている。言語活動の充実 につ いては, クロスカリキュラムで求め られ るとこ ろである。
特 に,算数科 *1では.教科の特性 を踏 まえて.
●比較や分類.関連づ け と言った考 えるため の技法.帰納的な考 え方や演緒的な考 え方 を活用 して説明す る活動の充実す ることが 重要である。
とされている。従前の算数科の使命 は,論坪的な思 考力,多面的な見 方 ・考 え方 といった数学的な思考 力を育成す ることに 乾点が拒かれていたが.新 しい 算 汝教育で は,「問題解 決の仕 方 を考 え, その仕 カ を説明す る活動」 といった ように思 考力 に加 えて, r説明す る」「伝 え合 う」 とい う表現力 を同時達成す る方向性が示 されている。
2 PISA型読解 力 と算数科の授業のあるべ き姿 (1)「PISA型読解 力」 と算数教育
PISA型の読解力 は,次の ように定義 され.ているっ PISA稚読解 力o)定義
自 らの 目標 を達成 し, n らの知 識 や uJ'能性 を常連 させ.効 果 的 に社 会に参加 す るた め に,書かれたテキス トを理解 し,利用 し,熟 考 させ る能力
弓1.,PISA型読解 力 は算数教育 と無縁 の観があ るけれ ども, L記のPISA型読解 力の定義 を分析 し てみ ると,常数教育で取 り組 むべ きこ とが多い。 前 半 は,PISA型 読解力 の 目的が書かれてお り,橡 羊 はPISA型読解力 の コンビテ ンシーが示 されている。
(2)PISA型読解力の 目的
PISA型読解 力の 白的 を定義か らつ読み取 ること がで きる。
a 自己実現
円らの 目標 を達成 し, 自己実現 を図る b 知識や 叶能性 の発達
佐藤学 も 「知識 は財産である」 とい うよう に, 自己の知識 を豊か にす ることは, 自分 の可能性 を発達 させ ることにつ なが る。
C 効果的に社会参加す るため
知識 に裏付 け られた 自分 の考 えをもって他
者や社 会 に関わ り,知識や可能性 を深化 ・ 発展 させ るための効果的な社会参加
特 に.「効果的に社会参加す るため」 とい う点は, 国語科 の読解 力とPISA型 の読解 力の 目的に 大きな 違 いがあ る。他 者や社 会に積極 的に関わ るために.
PISA型読解力 が必要であ る と指摘 してい るのであ る。新 しい算数教育 においては,課題解決すればよ いのではない。 どの ように課題解決 したか. 自分の 考 えを他者 に説明す る活動 を通 して,効果的に社 会 参加す る資質能力 をは ぐくむことが 重要である。
(3)算数授業 にお ける説明する活動の役割 (D他者への関 わりと説明活動
中央教 育審議会答 申,7.教育 内容 に関す る主 な 改 善事項 (1)言語活動の充実及 び (2)理数教育 の充実 には,
算数科 における言語活動
・比較や分類 ,関連つ け と言った考えるため の技法,帰納的な考 え方や演縛 的な考え 斤 を活用 して説明す る (算数 ・数学)
とい った言語活動が 重安であ り, これ らの活動 を行 う算数 ・数学や坤科 の役割 は大 きい と指摘 している
既習の数量や図形 に関す る知.瀧 ・技能 を活用 して 頬推的 ・帰納 的 ・演緯的に思考 し,兄いだ した Fl分 の考 えを,筋道 を立て,拠 り所 を持 って友達 に説明 す る活動 は,他者 に関わる活動 である。
例 えば,第4学年のL字型 の面積 の求め 方を考 え.説明 す る授業 で は演禅 的 に考 え, その思考過程 を効果的 に説明 す る最適 なツールである.
それ は
.「2
つ の長方形 に分 けて.それぞれの長方形の面積 を求めてたす」「補 完 した大 きな長方形 の面積 を求め.補完 した小 さい 長 方形の面積 をひ く」 とい うように El分 の考 えを, 既習の事項である長方形 の求積 公式 を根拠 に,筋道
を 、‡てて.lx]を使 って ビジュアルに説明で きるか ら であるい
図 1 説明する表現活動
算数科 は,他の どの教科 よ りも,既習の知識 ・技 能 とい う明確 な根拠 を基に分か りやす く説明で きる 教科 であ り,他者や社会 に関わ りやす い教科である
と特性 を持 っていると考 える。
(餅 土会への関 わりと説明活動
算数の授業で他者 に関わることはで きるか,算 数 の授業 では社会に関わることがで きるのか と言 う 人 がいる∪学級集川を ミニ コミュニテ ィー と考えれば,
自分の考 えを黒板 の前 に出て, クラスの骨 に, ∩分 の考えを.既習の知識 ・技能 を根拠 に して.筋道 を 立てて, どの ように して考 えたかプロセス を説明す る活動は,社 会への関わ り活動 だ とみなす ことかで きるO等数の練 り上げ活動で, 自分の考 えを前 に出 て説明す る活動は.社 会参加 の基礎 をは ぐくむ重要 な言語活動であると思 う。
(4)PISA型読解 力の 「テキス ト」 に関 する基本的 な 考 え
PISA型読解 力の定義 にあ る 「テ キ ス ト」 とは.
尊 敬教育 にあっては教科書である。検定教科書 をテ キ ストとして活用す るのは基本原則であるO昔は「教 科書 を教 えることと.教科書 を使 って教 えることと は意味が違 う」 と先輩教師が指導 していたが,昨今 は 「教科書 を指導す るように」 と指導 しているよう である。 このため,テキス トは教科書 のみ と偏狭 に 捉 える人が いるJPISA型 の読解 力のU的 「効果的 に社会参加す るため」 とい う視座 に立つ と, テキ ス
トを拡大解釈すべ きだ と考 える 私の考 える 「テキス ト」観
(∋教科書,参考書 (む友達の考 え
③教 師の解説
(5)PISA型読解力の要素
PISA型読解力の要素は
.
「稚解す る」
「熟考す る」「利用す る」の3つの要素である。
(D 「理解 す る」 とい うこと
知識基盤社会 は多様 な情報が溢れ る。 こうした時 代 にあって,情報 を正確 に理解す ることは重要であ る。理解す るとい うことは,算数の授業 にあっては, 教科書 に書かれている内容 を坪解す ることや友達の 考 えを理解す る傾聴力 も人切である。 しか し,それ 以上 に大切 なことが あ る。それ は, 自分 の考 えを, 分か りやす く説明 し,相手 に 自分の考 えを理解 して
もらうこ とであ る。経済産業省 が 「社会人基礎 力」
として 「一歩踏み出す力」の要素 として 「働 きかけ 力 :他 人に働 きかけ巻 き込む力」の コンピテ ンス と
して示 してい る。 これは.PISA型 の読解力 の 「効 果的に社 会参加す るため」 と一致 している.椎解 に は,能動的 に他 者の考 えを理解す る機能 と働 きかけ て理解 を得 ると機能 とがあるO
理解の2つの機能
・傾聴 カとしての理解 :稗解す ること
・発信力 としての理解 :理解 させ ること
@ )
「熟考 す る」 とい うこと ア リフ レクションと熟考G・ポ リヤ も「いか に して問題 を とくか」の中で 「理 解す る
」
「計画 を立てる」
「実行す る」に続 いて 「検 討せ よ」 と反省的思考の重要性 を述べている。 いわ ゆる練 り上げ活動である。算数科の授 業では, 妃い だ した n分 の考 えを,振 り返 って熟考す ることは算 数の知識 ・稚解 を深化 させ,数学的な考 え 方を発展させ るはた らさがある。
熟考す る場合 には,個 による振 り返 りと集 Ellによ る振 り返 りがあるo個 に よる振 り返 りは,熟考す る ことが不 卜分 にな りやすい。理解や考 えの深化 .栄 展が浅 くな りが ちである。 fどもに限 らず, 大人で も円分 円身で振 り返 って熟考す ることは苦 手である と思 われ る。
これに対 して,集 団での振 り返 りでは.lr】分の考 えと異 なる考 えがあ り, どち らが よ りよい数位的な 考 えなのか を明確 に したい とい う意欲が生 まゴ1,熟 考が促 される。
イ 説明 と熟考
算数科 では,既習の知識 ・技能 を活用 して類推的 ・ 帰納的 ・演揮 的に思考 し,兄 いだ した 円分の考 えを, 筋道 を立て,拠 り所 を持 って友達 に説明す る活動が 強調 されている。
図2 平行四辺形の面積の求 め方
1cmAD
CTn︼I ′
′l′V1
B C
8×5ナ2‑20
̲20×2‑40 40cTTF
例 えば,平行 四辺形の面積 の求め方 を考 え,上の 図2を示 し,数式 を読み上 げる抽象的,形式 的説明 が多い。 こ うした説明には,
・なぜ,三角形 に分 けるのか
・8×5丁2は.何 を表す式 なのか
・20×2は,何 を求めているのか。 また, どうし て2倍す るのか。
などの質問が不可欠である。 こうした質問は,本来
児童 自らがすべ きであるが,児童か ら質問がでない 場合は教師が質問 し,熟考を促 し,考 えを深化 ・発 展 させ ることが重要である。
(釘 「利用する」 とい うこと
学校教 育法30条2項や総則 でい ってい る知識 ・ 技 能の 「活用 」 とPISA調査 でい う 「利用 」で は, 意味合いが違 う。
「活用」は学習 を対象 とし,「利用」は生活や社会 を対象 としている。
中学校学習指導要領,第2学年, 2内容,A 数 と式 (2)には,
り 簡単 な連立二元一次方程式 を解 くこと及 びそれを具体的場面に活用す ること と,既習の知識 ・技能を新 しい数学の学習 面に用い る場合は 「活用」 とい う言葉 を用いている。
他方, [数学的な活動]には,
イ 日常生活や社会で数学 を利用す る活動 という例示 を取 り上げ, 日常生活や社会で数学 を使 う場合は 「利用」 とい う言葉 を使い,[活用] と [利 用] を明確 に区別 している。
3 「算数的活動」 と思考力 ・判断力 ・表現力 (1)数学的な思考力 ・表現力
平成23年度か ら完全実施 される小学校学習指導要 穎解説,算数科編には,思考力 ・判断力に表現力を加 え,これを一体化 して育成することを強調 している。
算数 ・数学科 において も,例 えは
・体験か ら感 じ取 ったことを表現す る
・事実 を正確 に理解 し伝達す る
・概念 ・法則 ・意図などを解釈 し,説明 した り活 した りす る
・情報 を分析 ・評価 し,論述する
・課題 について,構想 を立て実践 し,評価 ・改善 す る
・互いの考えを伝 え合い, 自らの考えや集団の考 えを.深化 ・発展 させる
等,これ らの学習活動が重要であると指摘 しているO これ らの学習活動では
,
「説明する」
「論述する」
「伝 え合 う」 といった言語活動が強調 されている。(2)新 しい 「算数的活動
」
① 「算数的活動」 をコア とする改善方針
算数的活動は,THIMSS調査の結果,算数 ・数学 の勉強が楽 しい と思 う子どもの割合が国際平均 よ り 低 いことか ら,算数への外発的な意欲の観点か ら登 場 した。学習者の立場 を重視 して,数量や図形 につ いての作業的 ・体験的活動 を取 り立てて強調す るも のであった。
新 しい算数 ・数学科の授業改善においては,
・身に付けた知識 ・技能を日生活や学習等で活用 す ることが十分で きていない
・事柄や場面を数学的に解釈すること,数学的な 見方や考え方を生か して問題 を解決す ることや 自分の考えを数学的に表現することに課題がみ られる
などの課題が指摘 された。
こうした課題 を踏 まえて,算数 ・数学科の授業改 善では,次の通 り,改善の基本方針の第 1に 「算数 的活動の充実」が示 された。
算数 ・数学の改訂の基本方針 算数 ・数学
(1)改善の基本方針
○算数 ・数学科 については.その課題 を踏 ま え,小 ・中 ・高等学校 を通 じて,発達段 階 に応 じて,算数的活動 ・数学的活動 を一層 充実 させ,基礎的 ・基本的な知識技能を確 実に身に付 け,数学的な思考力 ・表現力 を 育て,学ぶ意欲 を高めるようにするO
この改善の基本方針 を踏 まえて,算数科の 目標は, 算数的活動 を核 に して,次のように改訂 された。
<算数科の 目標 >
算数的活動 を通 して,数量や図形 についての基礎 的 .基本的な知識及び技能を身に付 け, 日常の事 象についての見通 しをもち筋道 を立てて考え,衣 硯す る能力 を育てるとともに,算数的活動の楽 し さや数理的な処理の よさに気付 き,進んで生活や
② 「算数的活動」の3つの機能
算数科の 目標 にある算数的活動 は
,
「算数的活動を通 して.‑」 と示 されているため,算数的活動 を 指導方法 と捉 える人がいる。算数科固有の解釈であ るが
,
「算数的活動」は, 目標であ り,指導 内容で あ り,指導方法で もある.その 「算数的活動」 は,次の3つの機能 を有 し, 中学校 「数学」の 「数学的活動」へ と発展す る。
算数的活動の主要な機能
A 具体物 を用いて数量や図形 についての意 味を理解す る活動
B 知識 ・技能 を実際の場面で活用す る活動 C 問題解決の方法 を考 え,問題解決の仕方
を説明す る活動
③説明 し,伝 え合 う 「算数的活動
」
数学的な思考力 ・判断力 ・表現力 を一体化 して捉 える新 しい算数教育では,(参に示 した
「 C
問題解 決の方法 を考 え,問題解決の仕方 を説明す る活動」を算数的活動 として強調 している。
小学校学習指導要領,算数科編 の [算数的活動]
の例示 に も第2学年か ら第6学年 まで逐次,「説明 する」活動がスパイラルに取 り上げ られている。
伝 え合 う活動 については,算数科では例示 されて いないが.中学校学習指導要領,数学科編の 「数学 的活動」 には,第2学年の数学的活動の例示 として,
「数学的表現 を用いて,根拠 を基 に筋道 を立てて説 明 し,伝 え合 う活動」を示 している。
学習指導要領においては.算数科では説明す る活 動 を強調 し,中学校 「数学」では,伝 え合 う活動 を 強調 している。
PISA型読解力の 目的が,効果的 に社会 に参加す ることを目指す趣 旨か らすれば,算数科 において説 明す る活動だけでは不十分である。 自分の考えを互 いに伝 え合い,考えを深化 ・発展 させ, よ りよい数 理的な考えのよさに気付 き,これを共有す ることは.
算数科 において も大切 なことである。
勿論,説明する活動 と伝 え合 う活動 には溝がある。
伝 え合 うとは数学的 な コ ミュニケー シ ョンを意味 し,その語源の 「コム」には数学的な概念,数学的 な原理,数学的なアイデアや思考法 を共有するとい う意味がある。 よって,伝 え合い活動 は,お互いの 考 えを理解 し合い,知識,理解や概念を共有す るこ とが大切である。説明者は, 自分の考 えを相手が理 解で きるように分か りやす く説明 し,聞 き手は.相 手の問題解決の仕方 を注意深 く傾聴 し,相手の考え を理解す ることが大切である。
④説得 力のある説明 ア 「説明力」の要素
言語活動重視の算数科の授業では,説明する活動 を強調 している。 自分の考えを分か りやす く説明す ることを求める教師が多いが.残念 なことに分か り やすい説明の具体的な姿を描 き切れていない場合が 多い。分か りやすい算数の説明力 とは, どんな要素 で構成 されるのかを分析 していないのである。
小学校学習指導要領解説,算数科編には
,
「言葉, 数,式,図,衣, グラフを使 って説明する活動」が 強調 されている。同ページの(2)(丑は式 を用いて異分 母分数の加法の仕方 を解説 しているが, これ と子 ど もが異分母分数の計算の仕方 を分か りやす く説明す ることとは,同 じではない。子 どもにとって,相手の考 えに共感が生 まれ,説 得力のある説明力の要素は,根拠,論理,行為や視
覚 を伴った活動が不可欠であると考 える。
根拠
′④ヽ
図 3 説明力の構成要素
・根拠
他者 に自分の考 えを説明す るときは, どんな既習 の数量や図形の知識 ・技能を根拠 にしているかを明 確でなければな らない。
例 えば,1/2+1/5の ような異分母分数の計算の仕 方 を説明す る場合,既習の 「等 しい分数」や 「通分」
の知識.「単位 とす る分数の 幾つ分」 とい う数学 的な考 え方,「同分母分数の計算の仕方」 について の知識 ・技能等が説得ある説明にするための不可欠 な根拠 となる。
・論理
論理 は,筋道 を立てて考えるとき必要であるとと もに,説明す るときも必要である。論理的な説明は, 聞 き手の苦労与 えないで,分か りやす く説明するた めに不可欠である。
例 えば,1/2+1/5の ような異分母分数の計算の仕 方 を,筋道 を立てて説明する場合,ア リス トテ レス の3段論法 を使 って論理的に説明す ると説得力のあ る説明になると思われる。
第1段階 :「まず」
○ このままでは計算で きない理由を説明すること l
第2段 階 :「次に
」
O「通分す る理由」「通分の仕方」を説明すること
・通分す る理由 :単位 をそろえるため
・通分の仕方 :同値分数をつ くった り,最小公 倍数 を使 った りして通分す る方法の説明
1
第3段階 :「最後に」
○分母は足 さないで.分子だけ足す ことの説明
・計算 の考 え方 :「単位の 幾つ分」 とい う考 えに基づ く説明
・行為や視覚的 な図
ピアジェは, レ トリックとしてビジュアルなコミ ュニケーシ ョンが子 どもには理解 されやすい と主張 している。小学生 とい う発達段 階を考慮すれば 抽
象的 な言葉やu一己弓・で説明す るよ りも, プ ロ、ソクを動 か して説明 した り,岡 を使 って視覚 に訴 えて ビジュ アルに説明 した りす る方が,説得 )Jがある.,説得力 ある説明は,兵感 を誘発 し. 自分の考 えを他 者に意 思伝達で き,他者 と考 えを共有で き,数学的 コミュ ニケー ションに結 びつ くと考える。
4 数学的 な考 えをは ぐくむ授業改善の方策 数学的な思考力 ・判断力 ・表現力 を表裏一体 とし て捉 え,特 に.思考力 と説明力 を同時達成 し. は ぐ くむ算数科の授業実践す る視点 にたち,次の ような 改善の具体 的方策を取 り上げ る。
・思考 力 ・説明力 を育成す る学習課題 の改葦
・思考 力 ・説明力を育成す るrHJ解決の改善
・思考力 ・説明力を育成する課題解決過程の改善
(1)学習課題の改善 G)課題発見の4P
算数の授業では
,G
・ポ リヤの 「如何 に問題 を解 くか」 (1954)に代表 され る ように, 問題解 決 に二屯 点が置かれ るし算数の授 業で も.中央教育審議会答 申 (1997)「生 きる
力
」で 「自分で課題 を見付 け」 と強調 し,牒題 発 妃の 大切 さが漸次,浸透 しつつ あるO学習課題 は.jlどもか数理的によ りよ く解決す るために大切であ り.課題解決の 正否 の鍵 は.課題発見 にある。算数 科 で説得 ある説明力 を育成す るために, どんな喫緊 の課題があるのか を発見す ることが.授業改善 を図 る上では大 切な鍵 となる。本当の課題発見 をす るた め には, ハーバ ー ドA,サ イモ ン (1979)は4pが 重要であると言っている。
図4課題発見の4P
上記 の課題発 見の4pで一番重要 なのはPurpose
考 える。 それは.今, どんな学力が求め られている のか を傭轍す ることが 大切 だか らである。 なぜ,今, 数学的な思考 力だけでな く.同時 に数学的な 表現 力
を育成す ることが求め られるのか を傭轍す るこ とが 不可欠である。,
①説明 と論理的思考力の関係性
平成22年 度 は,新学 習指導要領へ の移 行期 間中 であ る。 しか しなが ら,依然 と して従 前の学習課魅 の まま算数の授業研 究 している ものが多い。
例 えば,高学年の分数の加減計算では,「1/2+1/5
の ような分母 の違 う分数の計算の仕 方を考 えよう
」
といった学習課題 である。 こうした学習課題の問題 点は,数学的な思考力 ・判 断力 を育成で きて も,衣 現力 の育成 は期待 で きないのであ る。何 を根 拠 に,
どの ように計算 したのか.計算の仕 方を説明す るこ とが意 識 されない学習課題 になってい るのであ る。
「筋 道 を 、‡てて説 明す る こ と」 と 「論理 的思考力」
は密接 な関係性があ り,筋道 を立 てて説明す ること は論坤 的 な思考力 に繋 が るこ とは, 昭和52年告示 の学習指導要領 に も下記の ように明示 されている。
筋道 を 在りた考 え と しては、幾つかの事例 か ら 一般 的法則 を瑞:納す る考 えや.既知の似 た事例か ら新 しいことを類推 す る考 え もあれば.既知の事柄 か ら粍詰めで演鐸 的に考 え を進 め る仕 方 もあ る。 ・・(中略 )・・,苛 政 にお い て も.
論理的 に脱明す る場合が学年が進 むにつ れて多 くなる。事 実の止 しさや 日分 の判断の止 しさな どを,他 人に瀧得す る ような場 面rが多 くなる,その ようなときには.筋 道 を立て て説明す ることが必要になるO
(参学習課題の具体的改善
言語的活動 を重視 し.思考力 ・判 断力 ・表現力 を 一一体 と捉 えて, これ らを同時達成す る学習課題 にす ることが木 叶欠である。学習課題は,子 どもの学ぶ 目的であ り,学習テーマであ り,授業仮説で もある)
「計算 の仕方 を考 え よう」で は,思考力 を強 く意識 で きる ものの,表現力 についての課題意識 は希薄で あった り,皆無 であった りす る。そ こで,思考
力・
判断力 ・表現力 を同時達成す る学習課題 にす る必要 がある。
● 「考 えよう」 とい う学習課題 1 改善
O「考 えて,説 明 しよう」 とい う課題
例 えば,「1/2十1/5の ような分母 の違 う分数 の計 (目的) と考 えやす い。 しか し,それ は 日的あ りき 算の仕方 を考 え,説 明 しよう」 とい うような学習課 の授業で本 当の授業改善にはつ なが りに くい。 日的 題 にすれば よい。既習の知識 ・技能 を活用 して計算 以上に重要 なのはPerspective(傭轍す る力)だ と の仕方 を思考す るだけでな く,説明す ることも課題
であることを強 く意識 させ るような学習課題に転換 す ることが大切であると考える。
(2)自力解決活動の改善
① 自力解決の問題点
よ く見かける授業に,次の ような計算の仕方のプ ロセスを記述 した ノー トが多い。 また, この ような 記録のための算数 ノー トが多い。
異分母分数の加法の計算 ノー ト 1/2+1/5‑5/10+2/10
5iB 10
こうした ノー トを書 く子 どもは, 自分の考えを兄 いだして も,計算処理 しただけであ り,その理解や 思考力及び表現力 も表層的である。 このため,説明 させて も, この数式を読み上げるだけの形式的,衣 層的な説明に終わ りやすい。 これでは,計算処理の 仕方を表現 しただけであ り,学力 としては 「技能」
である。
・1/2+1/5ではなぜ足 し算で きないのか
・なぜ,通分するのか
・どの ように通分するのか
・なぜ,分母は足 さないで分子だけ足すのか 等,根拠や理由が記述 されていないのである。 こう
したノー トを見る限 り, 自分への説明 もままな らな いのであ う。 こうした子 どもが他者 に自分の計算の 仕方を分か りやす く説明す るとは考えに くい。思考 力 ・判断力 ・表現力 といった 「数学的な考え方」の 深化 ・発展 を目指す新 しい算数指導では,根拠や理 由を必要 に応 じて適時,記述 させ るようにす る必要 がある。 ノー トは,数学的な思考 を促 し,そのプロ セスを記録す ることに意味がある。
②思考力 ・判断力 をはぐくむノー ト指導
言語活動の充実の観点か ら, レポー トや小論文 を 強調 されている。発達段 階か ら考 えて算数科では無 理 と考えている人がいる。確かに, レポー トと小論 文 というのは高校生,大学生ならまだ しも,小学生 には無理のような観がある。
しか しなが ら,国語科では, レポー トの書 き方 を 第3学年か ら取 り上げている教科書 もあるので,国 語科で培 った言語能力 を基盤に して,算数科で も兄 いだ した 自分の考えを,練 り上げの場で説明で きる ように, 自分の考えを説明す る短い説明文 を書かせ ることが大切である。
●計算の仕方 を数式で書 く 1 改善
○ なぜ,その ように計算す るのか,言 葉や図で説明を書 く
例 えば.1/2+1/5の計算の仕方では,数式 を書 く とともに,その数式 について,「なぜ, この ように 通分す るのか」「なぜ,分母 は足 さないで,分子だ け足すのか」等の説明を言葉や図にか くことが重要 である。それは,分母 をそろえて,分子だけ足す と い う理解では,数学的な考え方にアプローチ してい ないか らである。異分母分数の加減計算は,同分母 分数の加減計算の発展である。深化 ・発展すべ き数 学 的 な考 え方 は,「単位 とす る分数の い くつ分」
とい う考えである。 なぜ, この ままでは計算で きな いわけは,1/2と1/5では, 同 じ1個分 で も単位が 違 うか らである。 また, なぜ.分母 をそろえて,分 子だけ足すのかは,同 じ単位だ と,その個数 を表す 分子 を足せ ばよいか らである。 この ように同分母分 数の加減の計算原理 を支 えている 「単位の い くつ 分」 という考 えを,異分母分数の加減 に拡張 ・統合
させてい くようにすることが大切である。 (釘説明力 をはぐくむ段階
既習の知識 ・技能を活用 して類推的 ・帰納的・演 禅的に思考 し,兄いだ した 自分の考えを,筋道 を立 て,拠 り所 を持 って説明す る活動が強調 されている。
説明力をは ぐくむ段階には,次の3つがある。
説明力をは ぐくむ段 階 a 自分 自身‑の説明段階
自力解 決 の場で. 自分 の考 えをつぶや いた りノー トに書いた りする活動 b 他者への説明段階
小 グループで自分の考えを説明する活動
C 社会への説明段階
ク ラス を ミニ コ ミュニ テ ィー と捉 え, 一斉指導 の練 り上 げの場 で, 自分の考 えをクラスの皆 に説明す る活動
他者,社会への説明の基盤.前提段 階 として, 自 分 自身への説明す る活動 を強化 して指導す ることが 大切である。具体的には, 自分の考えの根拠や どの ように考 えたかを言葉,致,式 を用いて筋道 を立て て記述す ることが大切である。例 えば,第5学年の
「図形 の角」の大 きさの学習では,下記の ような自 分への説明が考 え られる
この ように自分の考 えを,拠 り所 をもって思考 し.
どの ように考 えたか を筋道 を立てて記述で きれば,
#
180×2‑360 0
・三角形 の 3'JJ)角 の佃 は 180L になることは学習 しました。
四角形は,対角線で2つの三角形に わ けられます。
四角形の4つの角の和 は,三角形の 角 の和の2つ分なので1鮒×2で求 め られ ます.
図5 ノー トへの記述 による自分への説明
他者/\の説明、社会への説明段 階に移れ Lやす い も の と期待 される。
なお,注意 を要す るのは,高学年 では, 自分の考 えを言葉,敬,式で記述で きるが,語菜 の少 ない低 学年でこれを求め るのは早急である。学習指導要領 では,画一的,形式的に,言葉.敬,式, を用 いて 説明す ることを求めてい るが, これはデ ィプロマポ リシーであ ると考 える。 そ こに至 る まで に,特 に, 低学年では,数図ブロックを用 いて説明す ることや 図に書 くな ど, ビジュアルな説明を重視す るととも に,数学的な思考の様相 を表す内言 (つぶや き) を 重視す る必要があ ると考 える。
(3)課題解決過程の改善
①説明力 をは ぐくむ課題解決過程 の問題点 従前の算数科の授業の展 開法は,次の ような課題 解決学習の段 階 を踏むのが一般的である。
1 問題及 び課題の把握 2 見通 しを立て, 自力解決 3 見付 けた考 えの練 り上げ 4 まとめ
説明力 をは ぐくむために問題視 したいのは, この 課題解決過程 の 「練 り上げ」の段 階であ る。練 り上 げ活動では,一部の子 どもの考 えだけ説明す る機会 が与 え られ.大半の子 どもは傾聴 しているだけ とい う問題がある。説明力 は,教 えられない学力である。
ビゴツキーの最近接理論 に基 にすれば,子 ども自ら が,他者や社会に関わ り,説明す る活動 をす れば身 に付 く学力である。 ご く少数の子 どもだけが説明す る機会が与 え られる練 り」ロブ活動 は工夫改善が必要 である。
(夢中 グループによるコ ミュニケー ション活動 説得力ある説明力 を育成す るためには,児童 自ら が 自分の考 えを説明す る活動の場 を設定す るこ とか 不可欠である。 自力解決で, 自分の考 えを /‑ トに 書 き, 自分 自身への説明活動だけでは,説明力 を効 果的には ぐくめない と思 う。
そ こで,課題解決過程 に少 グループで 自分の考 え を説明す る場 を設定す ることを提案す る。具体的に は, クラス全体での練 り とげ活動の前 に小 グループ で説明 し合 う活動 をす る( これによ り, 自力解決で 見付 けた考 えを,全てのf‑どもが 自分の考 えを説明 す る活動の機会 を保 証 し,他 者に説明す る力 をは ぐ
くむように したい。
課題解決過程の改善 1 問題 ・課題 の把握 2 見通 しを立て, n力解決
・日分への説明活動 3 見付 けた考 えの練 り とげ
(1)グループ内での説明の場
・他者‑ の説明活動 (2)全体 での繰 り上げ
・社会へ の説明活動 4 まとめ
三原市立須波小学校,鳥取県溝 口小学校,倉敷市 立南小学校等の先進校では「ペア学習」「バズ学習」「ジ グソウ学習」等 をクラス全体で練 り上げる前 に様 々 な学習形態の小 グループ活動 を位置づ けている。 こ うした少人数 で 自分 の考え説明す る活動 は,子 ども にとってクラス全体の前で説明す るの と異 な り
・抵抗感 ないので.説明 しようとい う意欲が生 まれる
・具体物や図 を使 って ご く自然に説明で きる
・支持的風土があ り,質問,意見,反論 を抵抗 な くで きる
な どの よさがある。 そのため. 自分の考 えを.既習 の数量や図形 の知識 ・技能 を根拠 に して,筋道 を立 てて分 か りやす く説 明 しよ うとす る意欲 がみ られ る。 また, こう した論理的な説明で きる と,説明す ることに 自信が生 まれ,練 り 卜げ活動へ も積極 的に 参加す るようであ る。
5 数学的 な考 え方 をは ぐくむ 「算数的活動
」
(1)算数的活動の あるべ き姿 を描 く
常数的活動 を通 して,思考力。表現力 を育成す る と一口に言 って も,簡単 にで きる ものではない と思 う。拙劣で要領得 ない説明であってはな らない。算 数科では他の どの教科 よ りも明確 な根拠 をもって思 考 し,筋道 を立てて説明 しやすい教科 なので,算数 科の こうした特性 を生か して,説得力のあ る説明
力
を身に付 け させて欲 しい ものである。
平 成20年 告 示 の 中学校 学 習指 導 要 領 数学科編,
「数学的活動」の例示 には,「説明 力」 に関 して次の
ように示 されている。
【第2学年
】
2 【数学的活動】 (1)
数学的 な表現 を用 いて,根拠 を明 らか に し筋 道 を立てて説 明 し伝 え合 う活動
言語活動 の充実のパ ラダイムにあ って,算数教育 にお いて数学 的 な表現力 の育成 が強調 されてい る。
教 え込み型 の算数教育 は論外 として も,説明す る算 数教育の現状 として.次の ような課題が あ るO
・既習の数学的 な表現 を用 いていない説明
・自分 の考 えの拠 り所 と して い る既 習 の概 念, 原理,法則,思考法が唆味 な説 明
・国語科 で、「まず」「つ ぎに」「さい ごに」 な どのつ な ぎ言葉 を使 って論理的 に説 明す るこ とを学習 しているに もかか わ らず、つ な ぎ言 葉 を用 いて筋道 をたてた説 明 を していない 問題解決の仕方 を他者 に伝 えるため には, どの よ うな数学的な考 えを働 かせ て思考 したのか,数学的 なアイデアや根拠 を明確 に説明す る必要があ る。 ま た,聞 き手が努力 を しな くて も理解 で きるように論 理的に説明す ることが大切 であ る。表現 力 をは ぐく む算数授業 をす るに当たっては, 問題解 決の仕 方を 考 え.その過程 を説明す る算 数的活動 のあ るべ き具 体 的な姿を,教 師は描 くべ きであ る。数学的 な考え 方 としては、幾つかの事例 か ら一般 的法則 を帰納す る考 え,既知の似 た事例か ら新 しい ことを類推 す る 考え,既知の数学的 な概 念や原理,思 考法 を基 に理 詰めで演鐸 的 に考 えを進 め る仕方があ る。思 考 し放 しではな く, 自分の数学的 な思考 を説 明 し,他 者の 考 え と比 較検 討す る中で練 り上 げ て い く省察 活動 が.数学的思考力, 表現力 を発達 させ るため には不 可欠であ る。
(2)数学的 な考 え方 と人間力の関係性
数学 的に思考 し、表現す る活動 は、 単に数学 を組 織化す るための ものではない。社 会 を構 成 し、運営 す る とともに, 自立 した人間 と して生 きてい くため の 人間力 をは ぐくむ ことに も関係性 があ る。 人間力 戦 略研 究 会 (2003)は, 論 理 的 な思 考力,創 造 力
な どの知 的能力 的要素 の他 に、「コ ミュニ ケー シ ョ ンス キ ル」「他 者 を尊重 し切瑳 琢磨 しなが らお互 い を高めあ う力」 な ど社 会 ・対 人関係力的要素 を人間 力の構成要素 にあげてい る。問題解決 の仕方 を考 え.
説明す る算 数 的活動重視 の授業 で は,既 習の知識 ・ 技 能 を活用 して類推 的,帰納 的
,
演樺 的に思 考 し, 兄いだ した 自分 の考 えを筋道立て,拠 り所 を持 って 説明す るこ とが求め られている。問題解決の仕方 を 考え、 どの ように問題解 決 したか を論理的に説明す る意義 には,次の ものが考 え られ る。・数量 や図形の概念,原理 に関す る理解 の深化
・論理的思考力の深化 ・発展
・数学 的 な表現 力 (説 明力 ・コ ミュニケー シ ョン カ)の深化
・他者,社 会‑ 関わるな ど, 人間 と して生 きるた めの社 会人基礎 力 を培 う
算数科 の 目標 は,単 に,数量や図形 の概念や原理 を理解 させ る ものではない。 こう した数理 的 な知識 及 び能力 を育成す る と同時 に,数量や図形 をツール に して,他者や社会 に積極 的 に関わ り,説明 し,伝 え合 う活動 を通 して,効果的 に社 会参加す るための 人間力の基礎 を育成す る教科 で もある。
参考資料
1 国 立教 育政策所教 育課程研 究 セ ンター,「評価
規準作 成 の ため の参考 資料 (小学校 ・中学校)」,
平成22年11月.
2 文部省,「小学校指導書,算数編
」
,昭和53年.3 文 部科 学 省, 中央教 育 審 議 会答 申,「幼 稚 園, 小学校 , 中学校, 高等学校及 び特 別支援学校 の学 習指導要領 の改善
」
,20081.4 文 部科学 省, 小 学校 指導要 領解説.算数科編, 中学校指導要領解説,数学科編 (平成20年告示).
5 波 多 野 完 治,「現 代 の レ トリ ッ ク
」 ,
小 学 館,1991.
6 黒 崎東 洋郎,「説 明力 を育成す る算数 の授 業実 践研 究
」
, 日本数学教育学会誌,2009.7 斎藤嘉 則,「課題発 見 プ ロフェ ッシ ョナ ル‑構 想力 と分析 力