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実践編Ⅲ 数学 主体的に問題解決に取り組み、数学的な見方や考え方を深める生徒の育成

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Academic year: 2021

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Ⅲ 数学科 後藤 弘史 帖佐 一 佐藤 和之 主体的に問題解決に取り組み、数学的な見方や考え方を深める生徒の育成 1 研究の概要 (1) 生徒の実態 数学科では、過年度の研究を踏まえ、下記にあげた生徒の現状を基に、本教科で目指す生徒像を設定 し、1年次の実践に取り組んでいる。 (2) 目指す生徒像 ① 自分のもっている知識や技能を活用しながら自分の力で粘り強く解決しようとする生徒 ② 考えを論理的にかき表したり、簡潔にわかりやすく伝えたりすることができる生徒 ③ 問題解決の結果や過程を振り返りながら、よりよい考えを発見したり、よりよい考えに修正した りすることができる生徒 ①の生徒とは、問題解決を途中で諦めず、既習事項を活用しながら試行錯誤して最後まで粘り強く取 り組める生徒である。「自分の力で粘り強く解決しようとする」ためには、意欲が継続しなければなら ない。そのためには、問題解決のための見通しをもつことや、問題を解決するための知識や技能が備わ っていることが必要となる。また、問題場面から自らの疑問を基に問題を導き、それを解決するために 必要な情報を取捨選択できるようになることも重要となる。 ②の生徒とは、自分の考えをわかりやすく表現できる生徒である。「考えを論理的にかき表したり、 簡潔にわかりやすく伝えたりする」ためには、式や図、表などの数学的な表現を活用したり、自分の考 えの根拠を振り返ったりすることが大切である。かき表したり、伝えたりすることで、解決過程を振り 返るため、自分の考えを再認識したり、新たな発見をしたりして、自分自身と向き合うことができる。 ③の生徒とは、答えが出て終わりではなく、「もっとよい方法はないか」「答えの意味はどういうこと なのか」ということまで考えられる生徒である。「よりよい考えを発見したり、よりよい考えに修正し たりする」ためには、自分と他者の問題解決の過程や結果を比較しながら分析することが重要である。 そこから自分の考えをさらに広げたり、深めたりしていくことができる。

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(3) 研究の構想 本校生徒の実態と、本校数学科の目指す生徒像をふまえて、以下のような構想で研究を進めていく。 (4) 重点的に取り組む手だてについて 本校生徒の実態と、本校数学科の目指す生徒像とをつなぐ手だてを次のように考えた。本年度は①の 「自らの疑問を基に見いだしていける問題場面の設定」に重点を置き授業実践を進めていく。 ① 数や図形に関する問題を、自らの疑問を基に見いだしていける問題場面の設定 ② 既習の知識や技能を活用するための「まとめノート」の作成 ③ 問題解決の過程と結果についての理解を深めるための指導・支援の工夫 ①自ら「なぜ」と思ったことを基にして、その疑問を解決するための問題を設定することで、意欲を継 続することができる。ここで大切なことは、生徒が抱いた疑問に共通点があり、一つのことに収束して いけるような疑問を抱く問題場面を設定することである。また、一つの問題場面からいくつかの問題を 見いだすことは、能力差に応じた学習を進 <まとめノートの例> めることも可能になる。そのために、いく つかの未知数を含めた問題場面を設定する ことで、生徒一人一人が自らの疑問を基に 問題を見いだし、自分の力で粘り強く解決 することができるようになる。 ②数学の問題を解決していくためには、既 習の知識や技能を活用することが不可欠で ある。しかし、それらの定着が不十分なた め、解決の見通しが立たなかったり、考え が行き詰まってしまったりして、問題解決 を最後まで粘り強く進められない生徒は少 なくない。そこで、習得しておくべき知識

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や技能、また、それらを活用して解決した問題を例題として、題材ごとにまとめたノートを作成する。 それを毎時間、手元に用意しておき、見通しが立てられなかったり、行き詰まったりしたときにすぐに 振り返ることができるようにする。そうすることで、類似した知識や技能から解決方法を類推したり、 解析的に考えたりすることができ、問題解決に粘り強く取り組みながら、数学的な見方や考え方を深め ていくことができる。 ③結果まで問題を解決できた生徒は、問題を解く過程の中で数学的な見方や考え方を獲得している。し かし、その見方や考え方を定着させたり深めたりしていくためには、結果や過程を振り返ることが重要 である。そこで、問題解決後に、自分の考えと他者の考えを比較・検討して、自分の考えを修正してい く。また、結果が表していることを図を使ってとらえたり、問題の条件を変えたときに、変化しない性 質や変化する性質を考えたりするなど、結果の意味や普遍性について追究していく。そのことで、自分 の考えを再認識したり、新たなことを発見したりすることができるため、思考力を伸ばし、数学的な見 方や考え方を深めていくことができる。 2 実践例 「数や図形に関する問題を、自らの疑問を基に見いだしていける問題場面」を設定して実践した授業 の流れは、第2学年の題材「連立方程式の利用」を例にすると、以下のようになる。

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3 省察と展望 (1) 実践例について 本題材においては、生徒が自分の疑問を基に、自ら問題を見いだすことができるよう、問題場面の提 示方法を工夫した。指導者側から問題を与えるのでなく、自らの疑問を基に問題を作り解決していくこ とで、主体的に問題解決に取り組んでいくことがねらいである。そこで次のような問題場面を提示した。 この問題場面から、次のような疑問が出てきた。 これらの疑問を基に、自分で設定した問題を解決 していく。しかし、このままでは問題を解決するた めの情報が少ないため、まだ解決できない。そこで、 自分で設定した問題を解決するために必要な情報を 考えさせる。必要と思われる情報を一通り挙げさせ た後に、分かっている情報をこちらから提示し、自 分の問題を解決するために必要な情報を取捨選択さ せ問題を解決させる。 <道のりの問題> <速さの問題> これらの問題を解いていく中で、 <ペアでの検討> <グループでの検討> 生徒は黙々と自力解決を行い、ヒ ントを与えようとしても「ちょっ と待ってください」という言葉が 返ってくる場面もあり、粘り強く 取り組んでいた。生徒たちが行き 詰まってきたタイミングに、隣同 <問題場面> A君は、家から 1500 m離れた野球場に向かいました。 家から途中にある公園までは、歩いていき、公園で3分間休憩した後、公園から野球場までは走って いきました。 <提示した情報>

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士で検討させ、その後、グループでの検討に広げ最終 的に、自分たちの力で解決できるようにした。本実践 を行った後の生徒の感想は右のとおりである。また、 問題を解決するにあたり、解決するための情報を自分 自身で考えるため、問題を的確にとらえられていた。 本実践を行うにあたり意識調査を行った。結果は次 の通りである。項目①では、5月で調査し た結果より、自らの疑問を基にした問題を 解決していく授業を行った後の7月の調査 結果の方が、生徒自身が粘り強く取り組め るようになったことを感じている。また、 項目②では、自らの疑問を基にした問題を 解決していくほうが、粘り強く取り組める という調査結果が出ている。このことから も、「自らの疑問を基に見いだしていける問 題場面の設定」していくことは有効である ことがわかる。しかし、項目③では、5月 の結果と7月の結果で大きな違いが出てい ない。このことは、「答えが出れば終わり」 と考えている生徒が未だ多いということで ある。自分の考えを振り返ったり広げたり していくための指導・支援の工夫が課題と して残された。 (2) 今後の展望 今年度は「自分のもっている知識や技能 を活用しながら自分の力で粘り強く解決し ようとする生徒」を育成するために、自ら の疑問を基に見いだしていける問題場面の 設定を中心の手だてとして実践してきた。 その結果、粘り強く取り組めるようになっ たことを感じている生徒が増えてきた。しかし、研究主題「主体的に問題解決に取り組み、数学的な見 方や考え方を深める生徒の育成」に迫るためには、「問題解決の結果や過程を振り返りながら、よりよ い考えを発見したり、よりよい考えに修正したりすることができる生徒」を育成しなければならない。 上記の意識調査③の結果から言えるように、「答えが出れば終わり」と考えている生徒が未だ多い。今 後は、「答えが出たら終わり」ではなく、「もっとよりよい方法はないか」「この考えは条件が変わって も使えるのか」などを考え、解決していくことを通して「数学的な見方や考え方を深める」生徒を育成 できるよう、指導・支援の工夫を追究していきたい。 <参考文献> 1)鈴木 誠 (2008) 『意欲を引き出す授業デザイン』 東洋館出版 2)市川 伸一 (2004) 『学ぶ意欲とスキルを育てる』 小学館 3)佐藤 学 (2000) 『授業を変える 学校が変わる』 小学館

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