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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表
学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。
○氏名 NURUL AIN BINTI ADNAN(ぬるる あいん びんてぃ あどぅなん)
○学位の種類 博士(工学)
○授与番号 甲 第 1185 号
○授与年月日 2017 年 9 月 25 日
○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項
○学位論文の題名 Studies on Design Methods for Topological Quantum Circuits (トポロジカル量子回路の設計手法に関する研究)
○審査委員 (主査)山下 茂 (立命館大学情報理工学部教授)
越智 裕之(立命館大学情報理工学部教授)
高田 秀志(立命館大学情報理工学部教授)
高橋 康博(NTTコミュニケーション科学基礎研究所主任 研究員)
<論文の内容の要旨>
本博士論文では、トポロジカル量子計算のための量子回路設計に関して新たな設計手法 を提案している。具体的には、トポロジカル量子計算のための量子回路設計の手順として、
従来の量子回路と同じモデルでの回路設計を行った後に、トポロジカル量子計算の回路モ デルに変換して設計を行うという2段階のフレームワークを提案し、その両段階において 以下に述べる新たな設計手法を提案して、評価実験によりその有効性を確認している。
第1段階の従来の量子回路と同じモデルでの回路設計手法に関して、従来から使われて いる量子計算における計算ステップ数に相当する「量子コスト」と呼ばれる評価指標を削 減するための新しい手法を提案している。そのために、本論文で提案している考え方では、
低い量子コストで実現できるように設計したい論理関数を一旦変更してから実現し、その 後に補正回路を付け加えて所望の関数を実現する。その際に補正回路を考慮しても、全体 として量子コストが削減できるように関数を変更する。この考え方を利用して、大規模回 路向けに提案した手法では、与えられた関数を表現する最小の Exclusive Sums-Of-Products (ESOP)表現を見つけて、その ESOP 表現における積項の“良い”ペアに対して、上述した論 理関数の変換を適用する。この提案手法によって、既存の手法よりも少ない量子コストで 量子回路を設計できることを確認している。
次に、第2段階のトポロジカル量子計算の回路モデルの段階の最適化手法として、
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braiding の性質を利用することによって、計算ステップ数を削減する手法を提案している。
従来の量子回路設計では、1 次元の量子ビットのレイアウトを使用するのが普通であったが、
本論文では、トポロジカル量子計算向けの量子回路に 2 次元の量子ビットのレイアウトを 用いて計算ステップ数を削減することを提案している。さらに、2 次元の量子ビットの最適 なレイアウトを見つける問題を最小クリーク被覆問題に帰着して解く手法を提案して、ラ ンダムに生成した回路において 2 次元のレイアウトの方が 1 次元のレイアウトよりも計算 ステップ数が少なくなることを確認している。
<論文審査の結果の要旨>
本論文は、将来のトポロジカル量子コンピュータの設計に必要となる量子回路設計に関し て、主に以下の 2 点について、新たな知見による設計手法を提案して、その手法の有効性 を確認している。
(i) 量子コストを削減する量子回路の新しい設計手法を提案している。具体 的には、「実現するための量子コストが少なくなるように設計したい論理 関数を変更し、その後に補正回路を付け加えることによって、全体の量 子回路の量子コストを削減する」という考え方を具体的に利用するため のヒューリスティクスを提案している。提案しているヒューリスティク スの改善の可能性はあるが、24 個のベンチマーク回路による評価におい て、従来手法よりも量子コストが平均で 30.50%少ない回路が合成できて いるため、その有効性が評価できる。
(ii) 従来から考えられているトポロジカル量子計算の回路モデルで は、1 次元の量子ビットのレイアウトを用いるのが普通であった。それに 対して、本論文で提案している手法では、トポロジカル量子計算向けの 量子回路に 2 次元の量子ビットのレイアウトを用いて計算ステップ数を 削減している。この提案手法により、1次元のレイアウトを用いる場合 よりも、2 次元のレイアウトを用いるほうが計算ステップ数を削減できる ことをランダムに生成した回路や小規模な回路で確認している。実用的 なトポロジカル量子回路においての評価が今後必要であるものの、当該 分野での新たな知見となる研究成果であると評価できる。
本論文は以上の 2 つの点で高く評価でき、学術的に価値のある研究だと判断した。
本論文の公聴会は、2017 年 5 月 13 日(土)15 時 00 分〜16 時 15 分 立命館大学びわ こ・くさつキャンパスクリエーションコア 6F システムアーキテクトコース会議室で行われ た。公聴会での口頭試問結果を踏まえ、審査委員会は一致して、本論文が博士論文評価基 準を満たし、博士学位を授与するに相応しいものと判断した。
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<試験または学力確認の結果の要旨>
本論文の主査は、学位申請者と本学大学院情報理工学研究科情報理工学専攻博士課程後 期課程在学期間中に、研究指導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。
本論文の審査に関して、2017 年 5 月 13 日(土)15 時 00 分〜16 時 15 分 立命館大学び わこ・くさつキャンパスクリエーションコア 6F システムアーキテクトコース会議室におい て公聴会を開催し、学位申請者による論文要旨の説明後、審査委員は学位申請者に対する 口頭試問を行った。審査委員より、提案アルゴリズムの更なる改良の可能性、実験に用い た回路データ、回路によっての提案手法の性能の違い、結果の最適性についての考察など について質問がなされたが、いずれの質問に対しても学位申請者の回答は適切なものであ った。主査および副査は、公聴会の質疑応答を通して、学位申請者が十分な学識を有し、
博士学位に相応しい能力を有することを確認した。
したがって、本学学位規程第 18 条第1項に基づいて、学位申請者に対し、「博士(工 学 立命館大学)」の学位を授与することが適当であると判断する。