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学 位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

博士(文学)井筒(成田)美津子

    

学 位論文題名

    

    Contrast

ConcesslVe

andCOrreCtiVe

AUnifyingAnalysisofoppositionRelationsinEnglish     

( 対 照・ 譲 歩 ・訂 正一英語を 中心とし た逆接の

    

意 味分類に関 する包括 的研究)

学位論文内容の要旨

  本 論文 は英 語の 逆接 表現 の研 究で あり その 目的 は2っ ある 。第 一に 逆接の意 味分 類を 行い 各範 疇の 意味 特徴 を提 案す ること、第二に逆接のそれぞれの範疇 の共通点と相違点を明らかにすることである。

  本 論文 は逆 接の各範疇の分析に、Langacker (1987,1991など)が提案する認 知文 法の 枠組 みを 用い てい る。 逆接 の表 現は、しばしば同一文でも様々な解釈 が与 えら れる こと があ るが 、理 由の ひと っは逆接の解釈には字面の意味だけで なく 言外 の意 味が 含ま れ、 字面 の意 味と 言外の意味が複雑に相互作用するため であ る。 この よう な解 釈の 多様 性と 複雑 性を捉える上で、言語の意味を概念化 とと らえ 言外 の意 味を 扱う 明確 な道 具立 てをもつ認知文法は有効な分析を提供 する こと が期 待で きる 。本 論は 、先 行研 究の考察を基にその不備な点に修正を 加え 、英 語の 逆接 関係 を対 照・ 譲歩 ・訂 正の三っの意味範疇に分類し、そして これらを比較するための四っのパラミターを提案している。

  言語資料については、英語の複数のコーパスから実例を集めて分析している。

使用 した デー タの ほと んど は英 語だ が、 必要な場合は他言語からのデータも一 部参照し類型論的視点を取り入れている。

  第 一章 は、 本論 文の 研究 対象 を明 らか にし、これまでの逆接研究の不十分さ を指 摘し てい る。 その 上で 妥当 な意 味分 類と各範疇の意味に関する明示的な説 明が不可欠であることを主張している。

  第 二章 は、 伝統 的な 六っ の逆 接研 究の 分類を取り上げ、用語や定義の点で統 一的 な見 解が 見ら れな いこ とを 明ら かに して いる た。次 に、Foolen (1991)の 語用論的研究を参考に、逆接は大きく分けて、「対照」,「譲歩」「訂正」(の三つ の意 味範 疇に 分類 でき るこ とを 提案 して いる。そして、これらが妥当な分類で

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あ るこ とを 示す 根拠 として 類型 論的 事実 、英 語で は三 っの 意味 を従属接続詞や 接 続副 詞等 によ って 個別に 表示 する こと がで きる こと 、さ らに 統語的にも各意 味固有の振る舞いがあることを挙げている。

  第三 章は 、三 つの 意味範 疇に 関す る先 行研 究の 扱い を概 観し ている。従来の 研 究で は、 逆接 関係 は二項 対立 的に 扱わ れる こと が多 く、 三っ の意味を包括的 に 扱っ た研 究が ほと んどな いこ とを 指摘 して いる 。こ のよ うな 事実を基に、三 つ の 逆 接 的 意 味 に 関 す る 包 括 的 研 究 の 必 要 性 を 主 張 し て い る 。   第四 章は 、先 行研 究の考 察と 問題 点を 踏ま え、 三っ の逆 接の 意味範疇を比較 す るた めの 四つ のパ ラミタ ーを 「共 通し た領 域に おけ る異 なる 比較対象の相互 排 他性 」「比較対象の数と種類」「想定の関与」「接続された要素の妥当性」と 設定している。

  第五 章は 、対 照の 意味特 徴を 提案 し、 対照 は「 二っ また はそ れ以上の命題内 容 の間 に見 られ る対 立関係 (相 互排 他的た関係)」3であることを示している。

  第六 章は、譲歩の意味特徴を提案し、譲歩は「何ら,かの想定が関与する対立 関 係」 であ るこ とを 示して いる 。具 体的 には 、先 行研 究の 考察 を踏まえて、譲 歩を直接譲歩(Direct concessive)と間接譲歩(Incfirectconcessive冫と゛命名し、

前 者は 想定 と命 題内 容、後 者は ニつ の異 なる 想定 の間 に見 られ る対立関係であ ることを示している。

  第七 章は 、訂 正の 意味特 徴を 提案 し、 訂正 は「 拒絶 され た意 味内容と断定さ れ た意 味内 容の 対立 関係」 であ るこ とを 示し てい る。 ここ で拒 絶されたり断定 さ れる 意味内容は大小様々な統語単位によって表示されることを観察している。

  第八 章は 、ま ず、 第五章 から 第七 章で 行っ た意 味分 析を 基に 、三っの意味範 疇 を 四 つ の パ ラ ミ タ ー の 点 か ら 比 較 し た 結 果 を 表 に ま と め て い る 。   本論 が主 張す る主 な論点 は以 下の もの であ る。 三つ の逆 接の 意味全てに共通 す るの は、第一パラミター(共通した領域における異なる比較対象の相互排他,

性 )で ある 。逆 接関 係に対 して 直感 的に 抱く 対立 性は 、こ の第 一パラミターに よ って 明確 に示 され る。三 つの 意味 の違 いは 、対 照は 第二 パラ ミター(比較対 象 の数 と種 類) にお いて他 の逆 接的 意味 と区 別さ れる 。っ まり 、対照のみがニ つ 以上 の比 較対 象を 許容す る。 そし て、 譲歩 は第 三パ ラミ ター (想定関与の有 無 )に おい て他 のニ っの意 味と 異な る。 譲歩 だけ がそ の対 立関 係に想定が関与 す る。 訂正 は第 四パ ラミタ ー( 接続 され た要 素の 妥当 性) にお いて他の意味と 区 別さ れる 。っ まり 、訂正 だけ が接 続さ れた 要素 のう ち一 方の 妥当性が拒絶さ れるという特徴を持つ。

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学位論文審査の要旨 主査

  

教授

  

高橋 英光 副査   助教授   野村益寛 副査

  

教授

  

山田 貞三

    

学位論 文題名

    Contrast, ConcesslVe

andCOrreCtiVe

AUnifyingAnalysisofoppositionRelationsinEnglish     

( 対照 ・ 譲歩 ・ 訂正一 英語を中 心とした 逆接の

    

意味分 類に関す る包括的 研究)

  逆接関係はすべての言語において表現されるが、その表現の仕方や構文は言 語によって様々である。英語の逆接の意味分類については、これまで多くの研 究があり、多くの用語や複数の分類が提案されてきたが、以下の3つの問題が 残されていた。第ーに、逆接の分類法についても用語にっいても統一的な見解 に至っていない。第二に、逆接の意味範疇を包括的に比較する尺度が提案され ていない。第三に、下位範疇間の共通点と相違点が不明なままであった。第四 に、衝 突(clash)とか 対立(conflict) という直感的な説明に依存する傾向 があった。

  本論は認知言語学のアプローチを利用して先行研究が抱える問題を解決する のに概ね成功している。具体的な成果としては、第一に、類型論的根拠と統語 的根拠に基づぃて逆接は3っに分類すべきであることを明らかにし、用語に統 一を与えたことである。逆接表現は3っに分類できることを唱える研究は以前 からあったが、本論文はこの立場に明確な根拠を与えたと言える。第二に、対 照,譲歩,訂正という逆接の三っの意味範疇を包括的に分析する四っのパラミ ター、すなわち「共通した領域における異たる比較対象の相互排他性」「比較対 象の数と種類」「想定の関与」「接続された要素の妥当性」を設定したことで ある。第三は、第二の結果、逆接の下位範疇の共通点と相違点を浮き彫りにす るのに成功したことである。第四は、直感的な説明に依存する傾向があった従 来の逆接研究をより検証可能な形で議論をする土台造りを築いたことである。

さらに、本論文が考案した4つのパラメターは英語の逆接表現だけではなく他     ―8−

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の言語にも広く応用できる可能性を秘めている。これらの点から、本論文が逆 接研究として一定の成果を収めているのは疑いがない。

  ただ本論文には不備がないわけではない。ひとっは、本論で言及されている 想定のメカニズムの掘り下げが不十分な所が見受けられることである。想定と は推論の一種と考えられるが、近年認知言語学で研究が進んでいる推論のメト ニミー分析への言及がないのは惜しまれる。さらに、本論の分析が、逆接表現 各々の統語的性質をどのように説明するのかという問題が残されている。本論 文は、照応現象については一応の言及があり興味深い論考を行っているものの、

その一方で譲歩と異なり対照では節の入れ替えができるのはなぜかについては 言及がない。しかし、これらは今後の課題とすべきものであり、本論文が示し た先駆的研究における学問的価値を損なうものではない。本論文は、英語の逆 接表現の豊かなデータと独自の視点を提供しており、逆接研究と認知言語学研 究の両面に大きく貢献していることには疑いがない。

  本委員会は、申請論文を慎重に審査し、また口述試験を実施して十分に審議 を重ねた結果、全員一致して井筒美津子氏に博士(文学)の学位を授与するこ とが妥当であるとの結論に達した。

参照

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