労働時間短縮と企業の要員管理
著者
今村 肇
著者別名
Imamura Hajime
雑誌名
経済論集
巻
16
号
1
ページ
p35-53
発行年
1990-10
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005453/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja東洋大学「経済論集J 16巻1号 1990年10月
労働時間短縮と企業の要員管理
今 村
肇
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目 的
本研究は.労働時間短縮の雇用への影響, とりわけ個別企業における雇用安定機能と要員計画へ の影響について分析を行うものである。 労働時聞の短縮は,現在のわが国が抱える政策課題の中でも早急に解決すべき重要な課題の一つ であることはいうまでもない。国際的な労働者生活の水準の比較からみてもわが国の労働時間は依 然としてきわめて長時間であり,それが,いわゆる貿易摩擦をめぐる交渉の中でわが国に対する欧 米からの構造調整要求の対象ともなっている。ところが現実には,圏内の好調な景気の持続にとも なう労働需給の逼迫もあって,むしろ労働時間短縮に逆行する事態も報告されている。 このように労働時聞が進まない背景には,企業内における雇用慣行であるとか生産性向上の成果 配分システムのルールの存在があると考えられる。より具体的には,企業と労働者の長期的なコミ ットメントを維持しようとする慣行であるとか,生産性向上の成果を賃金上昇に大きなウエイトを 置いた形で配分しようとするこれまでの日本的雇用システムの特徴が,労働時間短縮の実現を遅ら せた大きな要因の一つであると考える。 そこで1この問題に対するアプローチの第一歩として,われわれは企業内におけるいわば雇用シ ステムのさまざまなルール, とりわけ労働時間短縮の持つ雇用の維持拡大機能やその効果的実効の 裏付けとなる要員計画について、その方向性と特徴を個別的・具体的に調査することにした。ここ に集められた資料は,調査に協力してくれた各企業の,本調査・研究に対する理解の賜物である。 企業によっては調査した内容すべての公表にご協力いただけなかったところもあったが,それを除 けばできる限りインタビュー調査の内容に忠実にコンパクトにまとめることが,我々の調査の一つ の使命が達成きれると考える。それによって本格的な労働時間短縮によるゆたかな労働者生活の実 現のための方策を探るてがかりとしたい。I
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分析のためのフレームワーク
この調査において我々が前提とする分析のフレームワークは,基本的に内部労働市場の考え方に もとづくものである。内部労働市場とは,企業内において人的資源の配置と賃金水準の決定の両方 を行う機能を持つものであり,それが,多数の内部労働市場の集まりである,いわゆる外部労働市 場において観察される賃金水準やその他さまざまな雇用条件に何らかのゆるい連動関係を持ってい るとされるc とくに注目するのは,外部との情報のやりとりである。例えば,内部労働市場のルー ルによって規定されているさまざまな雇用条件の改変には,外部労働市場で一般的に成立している 雇用条件を無視するわけにはいかない。なぜならば,他の内部労働市場すなわち他の企業よりも著 しく劣った雇用条件を提示すれば,初期の雇用目標を達成できないからである。つまり,個々の内 部労働市場において,一見パラパラに決定きれているように見える賃金や労働時間その他の雇用条 件が, じつはお互いのこのような監視によって,極めて類似した条件を提示するに至るのである。 そこで,我々はその中から特に労働時間に注目して,労働時聞が内部労働市場のルールの中でど のように決定されるのか,また,外部労働市場とはどのような関係で連携を持つのかをもっぱらケ ース・スタディを中心にして描き出そっと試みることにした。そして,同時に,特に労働時間短縮 という視点に立ったとき,いったいそれがどのようなメカニズムを通じて浸透あるいは波及してい くのかということを観察しようというのである。 その過程で特に我々が重点をおいたのは,いわゆる要員管理と呼ばれているような, 日々の企業 活動において必要な要員をどのようにして確保するかという問題である。これは,極めて微視的な 視点の問題になるが,例えば製造部門においては,生産ラインを動かすのに必要最低限の人員があ るわけで,労働時間短縮を推進した結果,日によってはその水準を割り込んでしまうようなことが あっては困ることになる。また,逆にあまり多くの余剰人員が特定の日に集まっても困るであろう。 また,一定の人数だけを集めればいいというのではなし一連の操業に必要なスキルを持った,い わば質の異なった労働者を必要に応じた構成で調達しなければならないのである。このような要員 管理という視点から,労働時間短縮の実行可能性を検討することは,極めて重要なことといえよう。I
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企業インタビュー調査の質問の概要
以下は,今回の調査において行った質問項目の概要を示したものである。 1 )労働者構成に関して36-この設問では,調査対象企業の内部労働市場の特徴をとらえることが目的である。さまざまな属 性を持つ労働力がどのように構成されているか,そして,それらが将来どのように変化するのかと いう方向性について聞くことにより,要員管理の前提となる労働力構成の特徴をつかむことができ ると思われる。具体的には,以下のような内容について企業が把握できる範囲で捕まえることにし た。 ① 総従業員数と男女別雫職種別,従業上の地位別,年齢別,学歴別構成 ② 今年度の採用状況について,新規・中途別,男女別,学歴別 ③ 職種別に見たときの今後増加・減少が予想、きれる労働力 ④ 短時間労働者・繁忙期における派遣労働者の現状と今後の展望 2 )外国人労働者・高齢労働者について。 この2種類の労働力を特に取り出して聞こうというのは,これらが際だつて特徴的な労働市場を 構成しているからである。とりわけ,労働時間短縮にともなって,どこからそれを補う労働力を調 達してくるかということを考えた場合,これら
2
種類の労働力が,可能性の議論は別にして,考層、 の対象となってくるからであるc ① 外国人労働者,留学生の人数。今後増やす予定について。 ② 高齢者の雇用比率と今後の見通し。定年後の勤務延長・再雇用について。 3 )労働時間管理制度について これは,文字どおり労働時間を決定する諸制度の現状を聞こうというものである=とくに,労働 時間短縮を検討する際に重要なノfラメータとなる可能性のあるものについては,重点的にインタビ ューで聞くことにした。 ① 最近の年間総労働時間,年間総休業日数,有給休暇取得日数の状況 ② フレックスタイム制などの変形労働時間制度の導入の有無 導入されているならばそれはどのようなものか ③ 上記の②で導入されていると答えた企業の場合,以前行われていた所定内労働時間と所定外 労働時聞のとりきめとの比較評価 ④ 長期に休暇を取得させる制度について それはどのようなものか。サノ〈テイカルイヤーのような研修などを目的とする長期休暇制度の 導入は。 ⑤ 有給休暇等の休暇取得の促進策としてどのようなことをしているか ⑥ 休暇制度の充実・変革をおこなう理由そのなかで,休暇制度の充実による労働モラールの向上効果をどの程度評価するか。 4 )労働時間と実質的な労働投入量との関係の定量的把握について 労働時間管理制度の現状の次には,労働時間と実際の仕事・業務への貢献との関係をどのように 関連づけているか, とりわけ直接的なイメージがつかみにくいホワイトカラーの場合について注目 しながら,インタビューをすることとした。 ① 業務量と人員および時間との関係について,どのような把握の方法をとっているか ② ホワイトカラ一部門の業務評価の方法について ③
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的なものと労働時間短縮と直接的な関係はあるか 5 )労働時間短縮と人員増との関係について 企業が新たに一定量の労働投入を必要とする場合,それは既存の人員め残業時間増でまかなうの か,あまいは新たな労働者を雇入れることによってまかなうのかについて,そのコスト構造にまで 立ち入って聞こうという項目である。 ① 人員増と超過勤務の関係での労働コスト面の比較について ② 時間当り労働生産性の向上はどの程度実現されているか そのために労働代替的設備投資や短時間低賃金労働者の導入などをと守の程度行っているか, また,それらの今後の見通しについて ③ 労働時間短縮にともなう賃金体系の変更について ④ 今後労働時間短縮をすすめるうえで,いわゆる生活残業などの現行賃金体制がもっ問題点に ついて 6 )企業内教育訓練制度と職歴形成について 要員管理は単に人数を揃えるのではなしどのような質の労働力をどの程度調達するのかという 課題が課きれている。それを,内部養成によって調達するとしたら,教育訓練制度の現状がどうな っているのかというのが、極めて重要な情報となってくる。そして,内部養成で調達できなければ, 外部の労働市場から中途採用であるとか派遣であるとかいったかたちで調達することが必要となる。 したがって,すべての労働者ではないにしても,特定の職種の労働時間短縮に関して,大きな影響 をもたらすと考えられるのである。 ① 人材開発,人材育成計画をどの程度のタイムスパンで行っているか ②O]T
やO
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などの教育訓練の実施状況について また,今後の企業内教育訓練の方向性3
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③ 従来の企業内養成型教育訓練ではまかなえない人材をどのような方法で調達しているか ④ キャリア・プランニングの方針(例えば、スペシャリスト指向,ジェネラ t)スト指向など) 7)従業員の個人主義的価値観に対応した就業時閣の選択状況について 労働者の勤労に対する価値観は.世代が変われば大きく違ってくる。それは,ひとつには新卒者 の採用の時の募集方法にも影響を与えるであろう。そして,もう一つ企業内労働市場において重要 なのは,これまでのような単線的な価値観で労働者の動機付けをしようとしても,期待通りに行か なくなる可能性が高いということである。そこで,多様な価値観を持った労働者をどのように動機 付けするかという問題が出てくることになる。 ① 従業員の週日(平日)休暇やフレックスタイムなどの選択状況 ② 個人主義的非エリート層(例えばマイホーム主義者のような)の積極的認知の有無 ③ 従業員あるいはこれから採用してしぺ若年労働者のライフスタイルの変化が,労働時間短縮 方向と進み具合にどの程度影響を与えるか 8 )企業の直面する需要変動への対策について 企業の要員管理に影響を与える要因として重要なのは司需要変動にともなう必要とされる労働投 入量の変動である。通常,企業は必要とされるすべての人員を正規の雇用者として雇うことはせず に,パートタイマーや派遣労働者などの労働力によって調整を行っている。そのような,いわば準 内部労働市場の特徴も含めてとらえることが必要である。 ① 需要変動に対処するための具体的人事政策,要員管理について ② パートタイム労働者等緩衝的役割を果たす労働力の位置づけについて また,女性労働力の位置づけについて 9 )情報ネットワーク化の進展による新たな就業形態の試みについて 情報ネットワーク化の進展に伴って新たな就業形態が登場している。そのなかには,極めて自由 な労働時間を選択できるものも多い。しかし現状では一部の研究・開発的な職種に限られている という印象も強L入このような,新たな就業形態が今後どの程度普及していくのかその問題を考え る手がかりを得ょうというものである。 ① いわゆる在宅勤務やサテライトオフィスなどによる新たな就業形態への展開について ② 将来,情報ネットワーク化の進展による就業形態等の変化は労働時間短縮の重要な要素にな るかどうか
10)企業の海外進出・海外からの人材調達(熟練労働者)と雇用制度の関係について 国際化にともなう,企業や人の国際的移動は,特定の国に根ざした人的資源管理に関するさまざ まな諸制度の変更を迫るというインパクトがあると考えられるコそこで,このような企業組織の国 際化に伴丸内部組織のルールへの影響について確かめておく必要があろう。 ① 外国人熟練労働者を雇い入れる際,同じ職場に勤務する日本人労働者と労働時間・休暇等は 同じ条件にするか ② 海外の支社・支庖と労働時間・休暇等の制度は同じか 同一制度をとっている場合, とっていない場合のそれぞれの理由
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インタビュー調査の結果(概要)
企業インタビューでは,産業の異なる5
社について行った。以下では,インタビュー調査項目の うち,本稿において直接関わりのある部分についてのみ掲載することにする。上記の質問項目のう ち, とりわけ(3),(4), (5), (7), (8)がそれに該当する。 1 ) A社 < 時 間 外 労 働 の ク ッ シ ョ ン > ① フリーターの増減は,品質の管理・維持のために全体の人員の10%以下におさえなければな らない。 ② 事業所聞の人員のやりとりで要員の調査をする。 < 定 年 延 長 ・ 再 雇 用 >(60歳定年・昭和48年) 物理的に体力・意欲・能力が会社のニーズに適したときに再雇用する。 60歳以上に熟練社員制度。 60歳以上の雇用はー 10名程度。 一律による再雇用・延長には無理がある。それは,組立作業などにみられるように,体力に個 人差があり,同じ60歳でも40歳-80歳の体力というように, 40歳ぐらいの開きがあるものと考え られる。 また,高度な機械設備を導入すれば.雇用延長につながるものではない。なぜならば,設備の 高度化は,コントロール,オベレーターの高慶な能力が要求されるからである。 <時短は,社会的コンセンサスで決定される> 年間総労働時聞は, 2,200時間(所定内労働時聞は1,968時間, 232時間は残業・休暇出動, 日本 平均は2
,100時間)しかも,ブルーの労働時聞が多い。事業の停滞期は,2
,000時間前後であった。 ホワイトにおける時短は、実現が可能で、ある。しかし製造業では,ラインを考えなければ時短-40-は不可能であるc <年間休日立117日 > (完全週休 2日・夏 9日・冬季10臼・ 5月は 8日) <有給休暇>(初年度15日・ 5年 後20臼) 新たな制度としては。 10年以上. 15年以上. 20年以上勤続者に連続 5日閣の休暇をのばす。 有給休暇の消化状況は,ブルーは,本人の努力だけでは不可能で‘ある。それは.現実には取れ ない制度,代替要員が確保できなし、。ホワイトは,比較的取りやすい。しかし,ブルーとホワイ トを切り離しては考えられない。有給休暇の消化は,人事部のイニシアティブで促進している。 <フレックス・タイム> 労働協約・就業規則でフレックス・タイムを明記している。 現在,本社と開発部門において実施している。月間で時間を調整し,賃借を決算する。(フレ ックス・タイム8 : 30-17 : 30 コア・タイム 10:30-15・30。月聞の時間調整は 168時間で残業 な し 168時間を割ると 1時間分をカットする。しかも. 22: 00-翌 5 : 00まで残業扱い。) 製造部門(工場)では,フレックス・タイムを実施するのはむずかしい。もし実施するとした ら, グループ単位でおこなうっ <時短の必要性> 生産計画・雇用政策を2000年て・行っている。人材獲得のために, タイミンクゃ的な時短への取り 組みが必要で、ある。 <時間とアウトフ。ットの観念> 残業時間の減少によって,所定内労働時聞の2,000時間(週.40時間)は可能で-あるc これは, 毎日 1時間の残業,さらに土曜の休出を月 2固とする。 企業コスト負担増,単価の上昇,賃金と労働時聞は切り離している。 <時短と労働生産性との関係> 時間当り労働生産性向上は. 5%-7%程度である。しかも, 1992年 -3年に';1:,労働需給に 変化がみられると考えられる(構造的失業)。したがって,年間総労働時聞は2,000時間がやっとで ある。しかも。一人当りのファクターに違いがある。企業としては,シェアの確保が必要であり, 現実には八方ふさがりの実状である。 < 業 務 評 価 > 業務評価をはかる定量的な計算公式はない。しかし,所属部門で人事別に行っている。しかも, 業務評価の側面は時間ではなし、したがって,時短と業務評価は別の切口である。 < 労 働 環 境 > 現実には,生産性の向上によって時短を進める。労働者は,賃金と時短の選択。 組合としては,従来の賃金の上昇から時短(賃上げ率換算)志向に推移。
2) B社 <職種間移動> 鉄道部門では,合理化が進められている。それは,人員の合理化ではなく,自動改札機の導入
(
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億4
5
0
0
万円,5
年間で償却)により昭和6
2
年から2
年間で2
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人の駅員を減らし,乗務員にそれ を振り向け生産性向上を狙った。保守部門については,外注の形態をとり,メンテナンスの水準 の維持とそれに要する時間の節約を行っている。 従来の教育体系や鉄道・パス路線地域が特定地域に限定きれているためにこれまでは転勤がな かったが,近年は志願制によって転勤が可能となった。 <定年延長・再雇用> 準社員制度(
6
5
-
6
0
歳)から6
0
歳定年制に向かっている。57-63
歳の従業員は関連会社に出向 (制度としては確立しておらず,現在では運用の範囲にとどまる)。大卒者は,関連会社に出向し, 希望により7
0
歳位まで働ける。 < 時 短 > 4週8日体制(完全週休2日制:東京地域で最も早〈取り入れる)。1
日6
時間4
0
分労働(鉄道部門:年間総労働時間1
8
8
1
時間,1
日当りの労働時間を短縮する方 法をとる)。 労働集約型から施設投資型への移行による合理化が労使協調で比較的スムーズにいったため早 期に時短を達成(昭和4
6
年頃から)。2
0
年前に休日買い上げ制があった(休日出動割増し1.4
0
倍)が,休日と休暇の振替(自主管理 常ij)をとっている。 年次有給休暇使用状況はかなり高い。 残業状況(事務:11.5時間,運転手:38時間)。 「生活残業」を意図的につくっている。 全体としては残業時間が減ることに悲観的なため,フレックス・タイム導入の可能性は薄い (コンピュータ関係の部署てすま可能)。 サービス業(とくに旅客サービス)は生産ストックが効かないため,これ以上の時短はコス ト増に直結する。 3)c
社 <生産性と人員配置>42-生産告J!を高めて合理化する。 1 機械生産性は設備投資で人のいないように, AIを入れる。
2 POST
,CSC
との統合,高付加価値化,薄板高級鋼,技術面で は, R&D。 現状は,関係会社を含めて,人材不足。 24-5 %が出向ででている。これは三年まえに一挙に増えた。 要員調整の出向は終わり,号│き上げが行われている。 人があまる場合, 1.需要が減退した。 2. コスト的にみて競争力を失った。これは,現状で は, 1については.製品寿命で消えたのは,主力とは別の製品。 2については,人員を減らして 調達するほかない。これは終了した。 <時短可能性> 4直3交代制, 91日+2日で,年93日の休日。 1989年から所定内は1971時間。 3直しかない。休日は71-83日。 時間あたり総労務コストは守米国を100とすると, 日本は100-,韓国35,西ドイツ90+雫英国 50+, ドル換算。 残業は,鉄の残業は少ない。ブルーは10時間/月位。(常駐こみ) 機械関係は,変動が大きいのである。 有給休暇1
;1:,平均消化12日。原因は,管理職が休まない。 付与日数1
;1:,入社一年目16日,二年目20日。 最低で、も雫誕生日と結婚記念日を休むよう奨励。年間カレンダーに休んだ日に丸を付けるなど している。 ホワイトカラーは.各人の目標が決められているだけc また定員もない。したがって,自分で 工夫して, 6か月タームで達成度を確かめる。アンケート調査では i休みの多い人1;1:,仕事がで きると思うか」という聞いについては,若い人ほどO
が多かった。 有給休暇の消化については, staffの休日が少ない。会社に出てこないひとは,何もしていない のではないか,という思い込みがある。 フレックス・タイムは全社員とっている。コア・タイムなしといっ日もある。決め方は職場で 勝手に決めている。年齢差はない。また,早く出勤する人もいなし、。まともに,考えると句所定 内を割り込むことがある。これは,6
か月で調整するように,普通はつぎの月で調整するように している。 鉄鋼部門のひとは, リズムが決まっており残業を嫌がっている。機械部門は,不況のときは, 基準時間を割り込む。しかし,その波が大きい。両者の社宅が同じなのて二夜帰りの遅い部門の 人は.給料が高い。しかし,問題になるほどではない。<時間短縮のための条件整備について> 生産性をどうkeepするか。工数・要員。 たとえば,西ドイツでは,生産性ののびの配分をベア・ボーナスより,時短。これは, ドイツ の設備が自動化きれていないために可能になっている。アメリカとはほぼかわらない、 技術的には, 24時間操業体制。 91日, ( 4直3交代)これを増やすには,てがわり要員が必要 になる。シフトをどうするか。 5班にすると120日休める。しかし,人を増やさずには,限界であ る。機械部門は、 2交代。残業のバッファーで時短を可能にしている。 4) D社 < 要 員 の 年 齢 構 成 > 岩戸景気の層が問題。 高齢者会社,全国で20社。 3,000人が本社から出ている。 S49年ころから作りはじめていたむ 2種類ある0 ・サービス会社 -従業員の技術継承 50過ぎから相子会社に出向。 56まで勤めて本社と縁を切るc 60までそこの正社員。 60過 ぎ は 63-65才まで年金併給方式。定年延長は65オまで。 ワークシェアリング(週3日等の短時間勤務) 社会的要請・圧力のためという要素大きい。本体で、やっていくには難しい。個人に応じた配 置が必要。 グループでの雇用延長。 63オ →65才への延長。 本 社 で60才まで行き着く人は15%いる。 50オ以上は定年扱し、。 1,000人のうち30%の 人 が60才 でやめている。課長級以上で残る人多少。ホワイトで売れている人はクゃルーフ。企業へ。グルー プ企業では別の人を追い出している「たまっき」現象。 < 時 短 の 可 能 性 > ① 平 成 元 年 1,960時間 245日操業 120日休業 休 暇 14.6日(夏休みの強制的な休暇が3B) 有給平均保有日数 32.8日 取 得 率 50% 翌年繰り越し 15.8% 管理職の取得は少ないc 一般組合員には大型連休をセットするようにしている。
-44-月間20日勤務:土曜出勤で代休を取る人もいる。それに月 1B有給休暇。 労働時間 残業が多い。トータル2,200時間。月20時間平均の残業。 工 場 ・3交 代 (3組・ 4組)土日休み 朝・昼・夜
1
週間に1
つづっ3
週交代1
週間に畳を1
つ
. 2交代(女子型の2交代) 6 : 00-14 : 15 14 : 15-22 : 30 • 2交代(全くの) 12時間交代 -連続3交代(炉の火を落とせないところ) . 8 : 00 -17 : 00 (1時間休憩) 本社ビルは8: 30-5 : 15 (45分休憩) ②フレックス:トライアルはやっている。事務技術職のうち4苦手jが適用 7レックス日:早〈出る・遅くくる・早〈帰る。 7: 15くらいから出社していい。 月41-50時聞のところの32%が残業手当てが減ったと答えている。 残業の単位はこれまで1時間単位だ‘ったが, 30分になり網に引っかかりやすくなった。 フレックス導入の目的:個人生活と社会生活との調和。 コアタイムは4時間が多いが2時間もある フレキシブル・タイムを決めている 22: 15まではフレキシブル・タイムでそれ以降は部長の命令による 休日はフレックスタイムにならない。休日概念は残している フレックスに伴って,食堂の営業時間,空調の運用時間など追加的なコストがかかる 長期休暇:長期休暇は持っていないが前向きに考えている <時短と生産性> 時短1日やると0.4%売上に影響。 0.4=1/245…・・・年間労働日数 0.4%は生産性向上の成果の配分として受け取ってほしい 今後大まかにいって 5%の生産性向上は必要と考えている 1,800時間の労働時間というのは6
,100の雇用拡大が必要 → 人件費で換算するとそのくらいになる1人あたりで年間700万円(すべて込み) 6,100
x
700万二420億円程度 1,800時間を法律として定められたらどう対応するか:有給休暇を入れて,長期休暇をやる。 休日増。 1日あたりの時短。秋の休暇を入れる 年内は2,200時間 1,960か ら ( 一 年 休 一 欠 勤 + 休 出 ) で1,850+
残 業360時間 =2,200 残業の多いのは技術職で〉技能職は一定している。 需要変動には:フロー労働者で対応している。その次に時間外増で対応。従って,技能職は 定 <要員計画のたてかた> 中期計画3
年単位でたてている 資源計画 人の問題 7万人でこの営業利益 第6次1991年から 第 5次1990年まで ローリングしている → 常に 3年先を見ている その年度の予算を組んでいる 年度単位で予算との関係で何人という数量 定期採用計画 5-7月に決めて 7月の求人締切に聞に合わせる 技能職は4
半期単位で過不足人員を出して労務の調整を行っている 事業場ごとにまとめて会社で 社外工は減って季節が増えている 労働時聞はやや減っている <ホワイトカラーの業務評価> 目標管理 研究開発費増えても生産性上がらない 社外に逃げる分を把握できない3
月と9
月に「何をするか,どういう業務をするか」 上司と話し合って自己申告する 目標管理の評価をする→人事考課に直接結びつける 給料の評価に付いてはこれとは別に上長の評価による(但し参考資料) <組織の改廃> 市場との関係 範囲として適当か 産業エレクトロニクスと重電とをくっつけた 発電所の制御とコンビュータとのドッキング 46重電にすばらしい人材がいっぱいいるので市場をそちらに近づける <生産性向上> ブルーカラー100時間単位でどの程度生産性が向上しているかというとらえ方 製造物を作るのに何時間かかるか 平均で4年間で150%。製造原価を改訂している。平均して100時間あたり年10%の向上 考え方 工 数1.000時 間 (5人X200時間,あるいは l人
x
1.000時間) 製造がその工数でベイするか しなければ → コストダウン。どこからか買ってくる 標準品はだいたいわかっている 例:電子レンジ。それで,工数でみてペイすれば内製化する <時間外増と人員増の関係> 時間外の方がコストは低¥, "但し限界があるc 給与100にたいして,総人件費が70%増し(賞与,退職金,法定福利費など) 時間外では130%から140%ですむ 正規雇用では70%しかやっていないので、いろいろな調整弁を使ってやっている。 <労働時間短縮のコスト> 今年の1日 (8時間)の時短によって残業が増えているかどうか 図式通りにはし、かない,漏れや,吸収がある。過去の調査では半分くらいは時短を吸収してし まう。 ホワイトについてはマクロでのOUTPUT/COST
の関係は把握していても,細かなレベルでの 十巴;屋はしていない。 企業イメージの向上 → ゆとりのある生活を提供できるかどうか 新卒者は総労働時間でみているようだ 競争する企業は労働時間でみる。競争しない企業は賃金・福利厚生。 <管理職の考え方の変化> 例:夏休み前後に休暇をとるのはけしからん → 認めるようになった 地域限定雇用 採用戦略上の問題 ・労働力の確保 -地域戦略 → 国内拠点戦略 京浜地区から地方への移転をする場合出来る限り一定の範囲で常識的に配慮している< 需 要 変 動 へ の 対 応 > 残業みこんで人員計画をたてている。生産変動があっても時間外で調整して,人に予をつけな い水準 最 大25時間残業あっても人に手をつけない。それ以上でようやく季節労働者 →オイル・ショック時の反省がきいている 工数時間と人員の
OVERTIME
との関係 熟練度の違い 必要とする職種の違い 雇用のシフト施策を取っている . C R P (職種転換)教育を行って技能育成 .雇用調整金 例:重電と半導体,人件費を本社負担にして配分し直す0 .広域配転 例:九州の半導体に充電の九州出身者を送って,重電に若い人をとる 生産物の披行性,収益の蹴行性→ それに応じてつねにリストラクチュアリンクーをやっている。 優良企業へのイメージ向上入、ち早く時短に取り組んだ。週休2
日制に取り組んだ。 今は社会的要請:国際比較。行政サイドの圧力。組合の意識の目覚め。経営サイド「時短をす すめるべきである」5
)
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社 →世に先駆けてやってきた電機の施策がいまではそうでなくなっている →今はそのへんで揺れ動いている →省力化投資,外注化の2
つの労働時間削減をしている < 労 働 時 間 管 理 制 度 > 総 労 働 時 間 :1916時間/年問、 159時間40分/週. 7時間25分/日 休 日 :112日,有休平均17日(男性18日,女性16日) 週 休2日完全実施 職場の労働時間:各所属により違う。直接,早番9: 45-18: 20 遅 番 目:35-19:10 残 業 男 性 平 均10時間15分 , 女 性 平 均5時間30分 残業時間帯別賃金率 20 : 00-21 : 00本 給/9850*0.2 21: 00-21 : 30 本 給/9850*0.6 21: 30-6 : 00本 給/9850*0.8 9: 00-19 : 10 10% 有休は5年目から 1日増乙最高で、20日。1年目に21.5%消 化 し 翌 年 で20日消化する。連続休 暇で休む。女性は100%実施されているが,男性では出てくる人もいるの管理職のためにストック休-48-暇制度があるが,病気休暇は別として, 自己の能力開発のために使った人は今のところいない。 直接部門の早番と遅番のきめかたは基本的には1週間交替のローテーション。遅番3週間以上続 けないように労働協約にある。遅番ははじめは人気がなかったが,結局,遅くなってしまうことが 多いのでだんだん評判がよくなってきた。前の月の20日まで売り場の責任者がローテーションを組 む。 労働時間は62年12月に売り場がシフト制になったときに事務部門も弾力化された。長い開庖時間 を保つためには代行者制度を運用。週休2日が実施されたときから取り組んでいる。直接てすま,セ ールスマネージャーの下にアシスタントマネージャーをおき代行できるようにしているc 1人が仕 事をかかえず朝礼の時引継ぎする。だが,マニュアルもなく標準化もされていない。 <労働時間とフレックスタイム> 変形労働時間 1月の変形はあるが3月の変形はない。検討しているが,導入する確信はない。 フレックスタイム 間接部門(企画,宣伝,海外事業,人事,各3級以上) <労働投入量と人員管理> 売上(差益)対人件費がベースになる。 業務量は定型的に測れない。売上に対する目標数値が総合的な指標であるが,去年の9月のリ モデルのときから新規に始めた。 14項目から人員を算出した。 ①商品の取扱難易度(家具,ガラス,貴金属,不定型の商品)②付帯業務 ③繁閑度 ④販売形態(対面,セルフサービス) ⑤ギフトの影響度 ⑥売上目標の金額 ⑦客数 ⑧販売面積 ⑨接客時間 ⑮時間外業務 ⑪商品販売の難易度 ⑫催事に必要な人数 ⑬庖頭から抜ける人数 ⑬取引先の販売員の手伝いへの依存の有無と度合 積み上げながら全体の数2,060名を分画
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以前は分配のみだった。 TQC的な把握はしていない。 客観的にどういう人数が正しいのかということでやっている。付帯業務もサービスの一貫機 械化にも限界があり,製造業のように行かない。 <労働コストと売上げ> 欠員を前提としながら,残業で補えないならサムタイマーで補つ。年間売上げが5年前4,800 万/人が現在 (88年11月), 5,730万/人に増加。しかし,単価が高くなり,客の高級化志向もあ り簡単に l人当りの売上げ.が増加したといえない。 <労働時間短縮> 現在年間1,851時間,労働組合は時短を言っている。 <パート・アルバイトの緩衝的役割> もはや基幹的存在であり,サムタイマー(平均週4日9:00-17 : 00が一番多い)は売り場 (760人),事務後方 (700人)両方いる。夕方もとれることはとれるが,主婦は昼間に集まり,現場はもっと欲しがっている。
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時から時間割増しが付く,様々な職種がいるため,賃金,待遇も 違う。派遣は高いので事務後方でもまずとることはない。V
今回調査結果からの結論
1 )企業内における時間管理すべき要員の多様性 企業内においては,さまざまな属'性を持った労働者が雇用されている乙もっとも大まかな分類で あるホワイトカラーとブルーカラーという分け方から,先端的な研究職あるいは特殊な技能を必要 とする職種などがあり, もとよりこれらを同ーの労働時間に関するルールで律しようとするのは困 難であるつ例えば,現業部門のブルーカラーを抱える製造業では,ブルーカラーの時間管理はきわ めて厳密にシステマティックに行っているが.ホワイトカラーについては目標申告制度等なんらか の業績評価システムと結び付けた形での,大まかな時間管理が行われているというのが現状である。 したがって,労働時聞の短縮をするに当たって要員計画を策定する際にも前者は数値的な把握がし やすいのに対して,後者は極めて大まかな把握しかできないよ 7であり,なおかつ,企業によって は,厳格な工数による管理が必要なブルーカラーに比べれば,ホワイトカラーの労働時間短縮はい つでもできると答えたところもあった。 では,ホワイトカラーの労働時間短縮がいつでもできるのならば,企業は何もしていないかとい うと,休暇の取得促進や残業時間縮小のために,これまでに作り上げられた組織の慣習を人事部門 が意図的に変えようとしている例が見られた。例えば r遅くまで、残って仕事をしている人が仕事の できる人か」などの調査項目を並べて,年齢階層別の考え方をきめ細かく調査したうえで¥従来の 長時間労働がやる気の表現であるという価値観を変えようというキャンベーンをしたり,また,役 職階層別に有給休暇取得率を調査し,役職者の有給休暇取得率の低いことが,部下にも有給休暇を とらせにくくしているということがわかれば.半ば強制的に役職者に有給休暇をとらせたり,さま ざまな形で時間短縮に取り組んでいるところがほとんどであった。したがって,いつでも労働時聞 の短縮ができるという言葉の背後には,ホワイトカラ一部門には,まだ削減すべき無駄な部分があ るという認識を持っていることの裏返しととるべきであろう。 さらに,一方で老後のライフサイクル教育や,一般的なメンタルヘルスケアなど,精神衛生面の 配慮、も,直接の労働時間短縮には結びつかなくても,仕事一辺倒でなく余暇も積極的に楽しむとい う考え方を変えるという意味では,労働者の主体的選択という形で何らかの効果が期待されるであ ろう。 工数管理という極めて直接的な方法に始まり,組織風土を形作る新たな価値観への誘導など,極 めて多様で、巧妙な手段により,時間管理・要員管理が行われていることがわかり,したがって,我々50-が考意すべき組織内のルールの幅の広さには注意しなければならない。 2 )労働時間短縮促進のための企業の取り組みと需要変動 労働時間を短縮するために,企業が採り得る具体的な方策としては,有給休暇の取得促進,年間 の休日増,
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日あたりの労働時間短縮,あるいは,秋にゴールデンウィーク並のまとまった休暇を 設定するなどの方法があげられている。しかしそれ以前の基本的問題として,人員の採用・確保 に当たってすでにある程度の残業を見込んでいるとい7問題がある。言いかえれば,現在予測され る需要水準から見込まれる適正人員よりも,常に少な目な要員確保を行い,その差は常に残業等で 埋め合わせることを前提にしているというわけである。 このような要員計画のとりかたについては,やはり2
度の石油危機の影響が大きいことが見て取 れる。特に当時の雇用調整にあたって苦い経験をした企業ほど,需要変動にたいして敏感で、あり, 100%の人員確保はありえないという考え方をとっている。その理由は,やはり需要水準が落ち込ん だときの余剰人員を,簡単に調整することができないという事情がうかがえる。そこには,次の採 用で社会的評価が落ち,優秀な人材が集まらなくなるという危倶もある。企業によっては,議論を わかりやすくするための単純化だという断り付きであるが,景気が落ち込んだ、ときにすぐに余剰人 員を排出していいというのであれば,今からでも年間1,800時聞は可能で、あるというところもあっ fこ。 ある一定の長期にわたる,企業と雇用者のコミットメントの関係が維持されるという考えが依然 として根強い日本においては,その関係を形式的には少なくとも維持するためのコストは極めて大 きいということになろう。たとえば雫ある時期に過激な雇用調整を行ったために,それ以降良質の 人材が集まりにくくなったという話はよく耳にしたことであり,また,すでに採用している在籍者 のモラールにもマイナスの効果を与えることになろう。 いずれにしても司極めて多様な変数を視野のうちに入れながら,それらの変数の選択の巧妙な組 み合わせを,バランスよく選択しながら行う企業の要員管理ii,極めて印象的で、あるが,雇用変動 のリスク回避と労働時聞の短縮との.いわばトレードオフ関係については,きらに十分な分析と検 討が必要である。 3 )社会的な水準や世の中の動き・考え方に対する配慮 外部労働市場との重要な接点である,新卒者の採用に当たっては,新卒者がどのような選択基準 で企業を選ぶのかについては極めて敏感で、ある。たとえば,テレビのコマーシャルを通じて自社の シメージアップ。を行った企業では. コマーシャルを実施した年度とそれ以前とでは明らかに後の方 が質の高い人材を確保できたとしている。それと同様の観点で言えば,労働時聞の長短も新卒者の極めて注目する基準であり,従来行って いたコスト計算では考えられないような,思い切った時間短縮が必要で、あったとしている。この入 手不足で、は. 1日の時短でも本来かなりむずかしいのであるが,良い質の新卒者を採るためにはや むを得ないとしている。 これなどは,明らかに外部労働市場における労働供給行動の変化が,企業の内部品且識のルールに まで影響を及ぼしている典型的な例であろう。従来は,これが新卒者の初任給だけであったのが, 現在では,労働時間にそのウェイトが移りつつあるようである。 4 )企業同士の横並び意識による,労働時間短縮の波及効果 もう一つ,各企業に共通にみられたのが,同業他社や系列会社に対する,横並び意識や序列意識 である。 本来労働供給量のパラメータである労働時聞は,雇い主である個別企業と労働者ないしはそれの 組織体である労働組合との聞の需給関係で決定されるはずであるが,同じ労働市場で競合している, 同業他社の労働時聞の水準が最終的な労働時間短縮に関わる制度・ルールの決定に影響を及ぼして いるのである。 とりわけお互いに競争関係にある同業他社の,さまざまな数字については。どの会社でもテ、ータ として手元に持っており,たとえば,同業他社に先駆けてやるのがこれまでリーダーシップをとっ てきたわが社の役割であるというような,強い横並び・序列意識が実際に,新たな時間管理制度導 入の契機になったりすると答えた企業は多い。 また,同業他社だけでなく同じグループ内だとか同じ系列内だとかの企業の序列関係も我々の予 想した以上に強〈感じられた。特に縦系列の関係での,下請けは親会社よりは良い条件を出せない というのが通常のようである。 いわば,労働時間短縮の制度的取り組みにたいする企業聞の競争意識, とでもいうようなもので ある。ここから描き出されてくるのは,賃金の波及と同様の,労働時間に関わる労働条件の大きな 波及メカニズムである。この波及メカニズムについては,過去の賃金波及の研究成果を参考にしな がら,より発展的に検討されるべきである。 5 )労働時間短縮と要員管理 すでに述べたように,要員管理・労働時間管理において企業は極めて多様な手段をもち,なおか つ投入と算出すなわち生産性の視点を中心にして総合的な判断をしているという姿が,我々のイン タヒ、ュー調査から観察された。そこで¥現在得られた材料だけで,労働時間短縮が企業の要員管理 を通してどのように雇用に影響を与えるかについて,いくつかの示唆を得ることができる。
52-まず第一に.企業の多様な要員管理の手段からして,労働時聞の短縮が例えば日本型ワークシェ アリングといわれる,高齢者の雇用に与える影響については,現在高齢者が抱えている技能・熟練 の範囲において,また,見かけの年齢ではない個人的な能力の大きさによって,雇用機会を確保し ている労働者を除けば,それ以外の高齢者に顕著な雇用機会の拡大があるとは考えられない。した がって,退職する以前から再就職のための教育訓練を行って,供給の質を需要側にマッチさせる努 力はより必要になりこそすれ,不要になることはないであろう。あるいはー奨励金ないしは課徴金 などの方策により,コスト面からの政策的介入を行えば,新たな雇用創出にはつながるであろうが, なにもなければ現状のままであると考えられる。 第二に企業の直面する市場の需要構成や需要量に関する変動が、製品やサービスの多様化にとも なって,ますます予測が難しくなるため,これまでのような長期的なコミットメントの下で雇用す る労働者への需要割合は相対的に減少しよりフレキシブルな要員管理が可能な労働者の劃合が増 えることになろう。これは,企業の合理的な行動を前提とする限りきわめて可能性の高いことであ り,例えばノfートタイム労働者など多様な代替的な労働者との企業の選択的行動に関して分析する のでない限り,より正確な影響の予測は困難であろう。この点は今後さらに解明されるべきである。 第三には,企業の横並び¥序列意識の強きが改めて確認されたように,労働時聞をめぐる雇用制 度に関しては,これまでの賃金と同様にその波及メカニズムに関する,視野の広い分析が必要にな る。また,親会社・下請け関係といった企業聞の在E空管理等を通じた垂直的な結ぴつきも,労働時 間短縮の問題を考える際に重点な視点となろう。そのような,波及メカニズムを通じて,半ば強制 的に企業の要員管理において労働時間短縮が実現されるという局面も予想されるのである。 [参考文献] 大橋勇雄,『労働市場の理論~.東洋経済新報社.