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常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』翻刻(三) (調査報告47-3)

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(1)

調査報告四十七’三 一、 本翻刻は、本学常磐松文庫蔵﹃九条家本源氏物語聞耆﹄︵五冊︶のうち、第三冊目の﹁蛍﹂∼﹁鈴虫﹂について、 可能な限り原本の様態を復元し得るように翻字することを目的とする。なお、本冊は、現行巻序と異るところがあ るが、すべて、原本通りに翻字した。 右の目的を果たすために、翻刻の際には次の基準を設けた。 1、改行は原本に従う。半丁毎に﹂印を付してその下の︵︶印内に、墨付丁数及びオ・ウの省略符号を付記す る。但し表紙・見返し・前遊紙の場合は、その旨を﹂印下の︵︶印内に記載し、丁数には含めない。 2、本文.書き入れ注共に全て原本に忠実に翻字した。猶、不審の箇所があっても、ぷだりにこれを改めることは 凡 しなかった。

常磐松文庫蔵﹁九条家本源氏物語聞耆﹄翻刻三

島 邉

絹 道

子・徳岡

(2)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 3、一応現行の字体に翻刻するが、異体字を残したところもある。叉、意識して片仮名表記がなされていると思わ れる部分に関しては、片仮名表記を残すこととした。 4、見せ消、合点、濁点その他の諸記号は、可能な限り、原態に即して表記することを原則とした。また頭注・傍 注・脚注等の書入れが二行以上にわたっても、そのまま忠実に再現する。 5、紙片貼付の箇所に口印、また注記・補記すべき箇所についてば︲︲印を用い、下の欄外にその旨を記した。 三、各巻の礎稿の担当は次の通りである。 蛍・蛍夏・篝火・初音・野分・御幸︵渡邊︶ 藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉・若菜上・若菜下・柏木︵徳岡︶ ︵外題なし︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ 翻 横笛・鈴虫︵川島︶ 刻 L , 一 L 一 ー L 一 ︵表紙︶ ︵見返し︶ ︵前遊紙オ︶ ︵前遊紙ウ︶ − 1 5 3 −

(3)

ほたる 巻名寄井二詞をもって号せり堅ノ井也源州六ノ夏也 聲はせて身をのみこかす螢こそいふよりまさる思なるらめ ︵一行分空白︶ 今はかくおもノー、しきほとによるつのとやかにI のとやかにと云詞のなき本もあり御位高く棟梁に成 給ふ故に細かなる事︿か坐はり給はい也 あらまほしくておもひのま坐にてと云心也 思ひの外なるl源し好色こ坐ろをかけ給吏也︽i1. さまことにIしやうかはる事なり うち出・給ひては大たの枩と前二の給ふ二答て一書り そめ わら坐かにIにこやかに也和字をかく 御返りときj、l玉鬘は一向︽取合給す 人j、$ことにやんことなくlをとなしくよき女房 達なし なにかとおもふにはあらすl兵旧卿宮をあなかち思ふ にはあらぬ共也 むもれたりと入めなる更也 いと坐しき御にほひのl源氏の御匂也 ことなかきI兵p卿よりの給詞の様j、長き事也 まことの吾姫きゑを︿I草子なり此姫君︿明石ノ ひめきゑなるへし ことかたよりl源氏御帰也 ﹂︵1オ︶ ︵1ウ︶ | ﹂ 虫損。 虫損。 虫損。 女子大学図書館﹂印アリ。 右肩﹁九條﹂印、右裾一一﹁実践

(4)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞耆』

一まはかりI一間なるへし

そびやかにいさ上かせいたかき事也 あのごとあんのごとく也

寄サ

なく聲も無理には消れぬものそと也

時︿かりをそ時ノ躰はかりをよめる也 葺 こゑはせてI時の躰はかりほたるの上はかりをざっと 讃て返事二取合給す是一説なり 一凸。■﹄ ほと塁きすかならすl種々説あれ共只時の風流なる 躰はかり兄たるか可然と素然仰らる上種些ノ説却而如何と也 うちノ、はしらてI内入ノ女房達は知らて也 さるはIさあるは也源氏の御心なり 五日二はI蛍の事は四月の夜の事と聞えたり つやも色も1つやと︿色の外にあるぎんの事也 おもふ享なくはI御子分にてなくはと玉鬘ノ思ひ給ふ心也 見るほとI筆者の詞也ほめたり ためしにも引出つへきI一段長キね也菖蒲は根の 長きか賞翫なり これかれもI人ノ、なり 手を今すこしI玉鬘の手跡はよくもなかりし也 御心にもいか異おほしけんI源の好色かましき更六かしくて 兵I卿へ成共かた付度とおもひ給んはと也 たいの御かたl此は玉雲也 こなたのはこきひとへl花ちるの御方也 ﹂︵ワ︼︷ソ︶ ﹂︵ワ︺、オ︶ 肩二﹁奇﹂卜墨書ノ痕アリ。 − 1 5 5 −

(5)

大やけ事にはさまかはりてl公役には皆人はだして不 参也是にはうきそ坐るきて参れり如此なるもの也 すけたちI左近亮右近亮なとなるへし 督亮慰目同事也すけの内也 たぎう楽打毬楽はぎつちやうにて玉をうつ也五日武徳 殿の騎射はて坐打毬の事あり唐人の装束にて馬二乗て毬 子を走堕しむるをいふその時奏する楽をたぎうらくと云る也 花烏の説 こなたにおほとのごもりぬはなちるの方也 物かたりなとl源と花ちると也 猶あるをはI残の入この事は何共仰られぬ けふめつらしくlいつもは御あそひなと此所にてはなし 孫 にを鳥に影をI花烏説くわらし陦説此奇ノ 心には鳥は枕詐也影をならふる鳥なれはよめりわかごまと あやめとかけをならふる也曳別るへきとは花ちると源と の御中の事をたくふれ給也わかごまとは若キこも也もと まと相通也 あいたちなきI物語の家二かけり なが雨lさ糸たれなり つきなからぬわかうどあまたあり先ノ詞に稀なると有てこ入に 相違のやうなれ共さはなしあまたあるとは繪なとかく程の 人ははあまたあり実二よき人はまれなる也 一一 かた心つくかし其やうなるとの心なり ﹂︵3オ︶ |へ3ウ︶ Lノ 一 虫損。 虫損。

(6)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 偽なれたるI源をさして玉髻ノの給り プコッ こちなくもl無勿二也珊余一一也 ニホンギ 日本記やまとぶみと然るへしと院様は仰らる上と也 ヤマトプミ 何れ二ても苦しかるましと素然は仰らる上 ノ 世にふる人の有さまのI寓言事こ上に又書り我か 夏を以て人の事をかく也荘子も同之 ひたふるにそら事とl是此物語の大意なり よくいへはすへて何こともむなしからすむたとした頁 にてはなきとなり 物かたりをいとわさとのI古キ草子の事也 ノ

けどをきもの上姫君I昔事也誰共なし

又なき心ちI玉鬘ノやう二つれなきは又なぎと也 かくしていかなるへきI草子也 ノ わら︿とちたにI古物語にさやう更ある軟 好柔あつめI又此見あつめとも何れもよし たいの御かた玉鬘也 人ぼめさせじなとあかしの姫きゑの蔓也 猶かの翠とりのI雲ゐの鳫二 たいの姫君’たまかつら也 さかしらにIさし過てと云心也 ヲソ 君たちにもI御子たち也 わかおもほすにしも叶いI御むすめ弘徽殿の事也 ︵八行分空白︶ ﹂︵5オ︶ | ︵4ウ︶ L ﹂︵ん辻,オ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ 虫損。 虫損。 157

(7)

追 ほのかなるひかりえんなることのつまにもしつへくゑゆ つまとははしと云事也むかしを忍ふつまとなりけり 弓と同しつま也軒のつまと云も軒のはし也 身をなげたるてまどはし當りを詮に心かけて弓前 のわるきうもかまはいやうなる心なり 物ぐるをし狂也苦二てはなし いたくもならしきこえし今よりして︿あまり馴ノーしくは 無用の事そと源氏の仰らる上也 ︵二行分空白︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ 常夏 嵜井詞を以て名とせり源し州六歳の夏也 撫子の床なつかしき色を象はもとのかきねを人や尋ん ︵一行分空白︶ あつがはし暑也 いかて間し事そやl源の詞也 けそん家損家のきすといふ事也けもし情 ふくつけき欲ふかき也

中将の君もlまめた坐すおかしくおもへる也

此中将はかしは木との説もありいか上 朝臣やI夕霧をさして源の御詞也 ﹂︵7オ︶ L 一 L 一 L 一 ︵5ウ︶ ︵6オ︶ ︵6ウ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。

(8)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』 いと物きら/、しくI善二も悪二もかつぎとした 心也 といで給へ外へ出給へなり うちJ、のくだj、しきl源氏の御卑下 世に過てことj、しくI世上にことj、しく源 御分際よりもおもはんと是猶御卑下なり すぎ事いひよらんにつぎなしかし御卑下 山かつの中にもl田舎の事を云り曳志は田舎な ザ とにもあまたある程に心易ク引ものかと思へは様かはりて大 吏の物なるよと玉かつらの些給へる也 すが■く琵琶にはなき事也 ことつひいとになくことついと讃給りことつぴきぴうと 有が本説也上︿異説也然れ共異説を用へしことつ イ ひとは事のしなと云事欲 さうぶれんふもしにこるへし唐書二生府蓮共あり それは心か別軟猶可尋 此人j、の立さりI源少将弁少将なと也内大臣の御 子達也 限なき心さしとlいかによき人とはいふ共紫上にはたま 雲もえならひ給ましと我なから源のおもひ給也 ナウゴン 納言なうどんと讃へし ものし給はねば御子のなき更也 けしきあるところ付給へる人I源氏の御事也 少将も御ともにl弁少将なり ﹂︵8オ︶ ﹂︵7ウ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 5 9 −

(9)

ふどうのたらによゑゐんつくりてl是︿いかノ、 しき体をいふ也 むかしは何事もl雲井の鵬の心中也 大宮より常にl疎ミしきとて内のおと具を恨糸給也 かくの給ふかI雲ゐのかりの事をの給也 今ぎみ近江の君なり かね言にlかねて云程にはないと也此詞は女御の御推 量也 せうさいノー小賓小目也

御返やノ、大目を乞欲

イ ひぢ其かに土近也塵ひちの心也賎しき心なり 泥一 手うたい心地し侍れとたらはい心なり河海ノ説尤也 みしらすI近江君のみしらぬ也 おほみおほつぼ尿壺二つに非す−つ物也翻唖︾雷裡必しつく詞也 おこ里とざれ事也 みしろぎ給にもI近江君の見送る也 こせちlこせちと︿分二過たる事也近江君の親には あまりこと11∼しく分一一すぎたると云也中邊なる親二尋 出されてかしつかれ給ん︿まさるへしと也よるしとは中 邊なる儀也暦なとによろしき日とあるも同事上ミノ吉日ニハ アラス

やふり駕虚藍蕊,いて曾ましl

もとすゑl歌ノ上ノ句下の句也 テソガ 天下かもし濁給りあめしたとも讃へし ひすましわら︿下女なり ﹂︵。○ウ︶ ﹂︵9オ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。 ﹁泥﹂ノ字墨色異ナル。

(10)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞耆』 返こル鋤蔀坏をかくゆヘノく、し非書の字 御かた裂奪みてI あまえたるたきもの甘き匂のする︿あしき焼もの入 くせ也 へにといふ物I近江君の事此物語の狂言二言り 諸抄二いへりされ共狂言はかり二非す諸女の戒メにかくと 聞えたり ︵二行分空白︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ 篝火 竪並源氏舟六才ノ秋の始也吾丼詞を御巻の 名とすか坐り火に立そふ恋の煙こそ世にはたえせぬほ のをなりけれ贈答の心也 ︵一行分空白︶ ともあれかくもあれI近江君ノきょうの事也 人みるましくてこもりI男子こそあれ女子は 人に見せぬ物なれは何共しやすき物をと也 きはノ、しくI此大臣は惣してものをきはj、しう し給ふ人なり にくき心こそ︲源氏の好色心也 せこか衣もも文字に心あり吾も人もと見るへし三光院 殿の御説也 L − L 一 L 一 |︵皿オ︶ へへへ 1 0 1 0 9 ウ オ ウ ー ン ン 折山部分デ紙ヲ継グ。 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 6 1 −

(11)

か上るたくひl源の心と桑へし玉舅の心とみるはわるし わたり給なんl御帰あらんとて也 たえす人さふらひてl御帰あるへき跡の事を仰付 らる坐也 いつまてとかや潅誰麺壼幽て夏なれはやとにふすふるかやり火 のいつまて我身したもえにせん此心を少し取かえて書 たりおもしろき書様なり 頭の中将かしは木の中将なるへし しのはれててもし濁へし 源中将は夕きりなり 弁少将は紅毒ノ右大臣也 さかつぎなと心してを穂麺症むへしさかり過たる人は 源しの言葉也さかり過たるとは自謙也下心は玉鬘の事を とはす語やせんと思しめすなり あはれとき上給玉雲は源の仰出されょかしとおもひて 聞給ふ也 かきわたさず琴の事也 ︵三行分空白︶ 追 くはやとてくわやと讃へし さたにおもひよらす頭中将の心也 ︵八行分空白︶ 慶長十三毬一月廿三於水無瀬殿中院殿也足軒御 ﹂︵辺オ︶ ﹂︵哩ウ︶ ﹂︵uウ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。

(12)

四 十 七 一 三 常 磐 松 文 庫 蔵 『 九 条 家 本 源 氏 物 語 間 書 』 講尺此巻より讃はしめ給ふ心は此巻は祝言也桐壷は 不祝言なり此ゆへに此巻を初二よみ給り先年芦箏 斎二いさLか聴今ノ説二おなし不祝言ノきりつほを最初二書 たるも心を付て桑るへき事と心前申されけり 此巻玉舅の巻に付て象へし五かつらの列傳とみるへし 玉舅ノ井は悉く竪也此巻源氏舟六歳 牙井二詞を以テ巻の名とせり十七ノ巻の翌年ノ更なれは 竪の並二とるへし年月をまつにひかれてすむ人に けふ鶯の初音きかせる此歌を以号ス ︵一行分空白︶ ︵白紙︶ はつれ 年立かへる是は六条院にて二度めの春也 うら上かげさけもし濁へし 数ならぬ垣ね下j、諸人のかきね也 けしぎだつたもし濁へし に︿よりはしめ庭也 御かたj、四町の中の御方j、なり としたちかへると云より御庭のありさま御かたj、とあるへ懸て天 地人とみるへし いける佛の御くに生佛国極楽ノ事也人間の上には職な し 姫君あかしの姫君也 はかためのいはひ歯 ﹂︵皿オ︶ L/丁上T,、 一への○斗ノー ﹂︵Bオ︶ 下ノ部分ヲ擦り消シ裏ヨーリ紙ヲ 補ウ。 折山部分デ紙ヲ継グ︵ − 1 6 3 −

(13)

年のうち常二云は冬ノ事也こ入は當年中ノ事也 いとした上かなる是より源氏仰らる みたれたる事とも戯し事也 けふは子日なり此元日子二あたれり又︿子二限らす松を 引 ての野遊也祝言也 五葉のえたにこれはつくり枩也 ふる人経古両説也いつれにても 御硯 くだ。しくそ歌くたノ、しき也ょきは稀なる物也あかしの 姫君をさなくおはしませは也くたノーしきは牙のわるき さま也ゆうj、と有度と也式Ⅱ歌のをしへも書り草 子也 ○ 夏の御すまゐをl時ならぬげにやけとはゆへにゃと 云心也けもし済む是は花ちる御かたなり今は春也夏の 御事なれは時ならぬとは云なり わさとこのましきI別したる事もなし花ちるの本性 をあらはせり 年月にそへてl草子の地也 まださておはすそのま奥ゐ給ふ也てもし濁ルさうで也 はなだはげにlあはひにて色あひの事也 やさしきかたにあられとえびかっらしてそ1曲ノ詞にぃもせ の 事を云り伊弊再ノ尊よりのらいれき也又髪二えびかつら の事あり前の古事二こたへて書り委ク河海ニァリ暑之 つくろひ給へきI源氏の御心二つくろひ給へかし ルー ﹂︵妬オ︶ ﹂︵狸ウ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。

(14)

常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞耆」 四 十 七 一 三 おほしめす也 物おもひにしつ承たる玉髻は夕顔の頁よりはし めて程ノ、二物をおもひし人也 かくて見たらましかはI田舎二置てく如何入と源氏の おほす也 えしも象すべしI好色心軟草子 へた上りおほくI実父二あらされは也 とし比に源ノ御こと葉なり あなたなとにもわたりI常二源の御座ある紫ノ 上の方へ也 あはつけきIむらさきの上の事也 けにさもある事そかし草子 う えひかつらえいかう何れもくるしからす兎角二衣裳 をにほはするものとしるへし凡河海二見へたり也足 被仰薫物とは聞えす 苛 めつらしやI花のねぐらと︿紫上谷の古巣とはあるし のうへをさしてよめり さけるをかへにI櫻花咲る置へに家しあはれはと もし くもあらす鴬の聲此丹ノ心也同殿二あれ︿ともしくも あらぬと我とわか心を引かへしなくさめらる些也明石上ノ牙也 さすかにIをさへたる詞也され共なと呉云様なる詞也 しろきにけざやかなる白とは衣裳の事也 まだ明ほの上I夜深く帰り給を御忍ありきにて も ﹂︵蝿オ︶ | ︵おウ︶ L 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 6 5 −

(15)

なしかやうには有ましき事と明石上のおもひ給ふ也 待とり給へる︿たl紫上ノ心也 けやけしめさましき事なり然共こ上はわつらはしと 云心に見て然へし おもかくし給正体に向はぬ事也 いうそく有識とは出家の上なとにては知識と云二同し 物しりの事也叉右族是は花族也れきj、の類なり こ上は右族よし仁物よりはしめ藝能ニいたる迄足たる人の 事なるへし 此院へ参るには’六条院也 花のかさそふ夕風l梅なるへし つれなき人のl源し也 人の程あれはI位ある人なれは也 瀧のよとミーしらがのましりたるを云り滝の 岩なとにか入りて淀む時は白きもの也 柳はけにこそ1着なし給へる人のあしきにより て 柳色もすさましきと也 くろきかいねり黒ミたる物なり花鳥こぐはし ザイ人、シ ざい人、しく楚をやくらかならすしやきとし たる 事なり か坐る事にもl仁物以下ようつに付て也 ふくゑなへたるlふく桑は綿あつき事也なへたると は やくDJ、としたる事也 ﹂︵妬ウ︶ ﹂︵Ⅳオ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。

(16)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 かくきぬ1結構なる物也當代はまれなるものと也 皮にてしたる物也 きすぐI余り打とけ給へれは其二随て源氏もきすぐ キスグノヒト の人二成給ふ也木男なと坐云心也木強人 いたはりなきI惜からぬ心也 おれノーし退窟の事也 むかひの院の御くら東の院の向ィ也 寄 古郷の春の梢I鼻の事なれ共すゑつむの君心をそき 人にて間しり給す うけはりたるさまにあらすりうむのさまに︿あらす卑 下したるさま也 あをにびの木丁青はな染也 か坐るかたに頼象I空蝉ノ君の詞なり かのあさましかりしl紀守か事也紀守ゆへ二出家なり あなたを見やり給ふ末摘のかたをいふかひあれかしとみやり給也 た上かきりあるl源の御詞なり命ノ後誰かかくれん みんせんと各を憐ミ給也・雲かくれの巻名はかりなる 事 妙也かやうの人々の命終の夏言さる所おもしるし 其内源氏の御事は何共書へき軟なれ共かやうの人ミの果 j、見くるしかるへしか堅さるははるか書にまされり妙也 ことしは男たうかあり女踏吾は毎年也男踏吾は角年ニノ、 あり是二よりて今年はおとこたうかと言り 通のほと遠くて大ど裏より六条院まては遙,/、也 ﹂︵Ⅳウ︶ ﹂︵焔オ︶ − 1 6 7 −

(17)

上も一ところにおはす紫上なり 象づむまや昔は秘事二申傳たれ共余り秘すへき程の事 にても なし花鳥二くはし きさいの宮きさきの宮也 ことそがせ給へき客したる心なり 例ある事よりIいつもより事くわへて也 ヲ、トノ、 大殿の君是は夕霧なり かよれるlたをやかなる躰也 ◎ よはなたるさまはもし情世をはなれたるやう也兄馴 ぬゆへに也 中将の聲︿弁の少将にをさj、をとらす柏木なるへし又は夕 大 霧と見てもくるしからす弁少将は紅毒ノ右・臣なり いにしへの人はl風流かましき藝能なとは古人にもま さらんと也 スグDJ、シ 中将なとを︿すぐj、しきI源氏ノ御心也直ミ タきりをは實なる人二成ンとおほし些也わか身の如くなる 風流めきたる事はもてはなれよとおほししかと下には又 少し数奇たる方もあらまほしとおもひ給し也然るに 願ひの如と思し召なり すくよかくもし清テよみ給し時もあり又濁り給ふ時も あり如何 ばんすンらく万春楽也私悉曇ノ切シ如此也 ごゑんl後宴此宴つゐになかりしと云一説あれと | ︵肥ウ︶ L ﹂︵過オ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。

(18)

四 十 七 一 三 常 磐 松 文 庫 蔵 『 九 条 家 本 源 氏 物 語 聞 耆 』 あるしありと聞えたり竹川巻二 ︵一行分空白︶ ひめをかせ給へるI源御秘蔵の御琴也 ︵一行分空白︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ 野分 竪の井源舟六歳以詞為巻名秋八月ノ事也 ︵一行分空白︶ 色草色j、の草也 ませしめと云も同し ヲ、ソヅキ 御き月如此讃へし 露の玉をミかけるたる奥ま上にI此巻の事みてるを 一一一一一一 欠道理にて書り一段おもしるし人間皆かやうなる物也 いましめ也 南のおと上紫上の御方なり もとあらの小萩l引奇宮城野のもとあらのこ萩露を おも象風を待こと君をこそまて こさうじのかみより障子の上也帝二てはなしさうじとは ふすま障子なり 中将の君まいり給て夕霧なり けどをくIかううつくしき人を夕きりなとに見せて もしも心をうつしては如何と源のおほし召也 L − と と ﹂︵型オ︶ へ へ へ 202019 ウ オ ウ ー ン ー 折山部分デ紙ヲ継グ。 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 6 9 −

(19)

いたりふかき御心にl御分別也 今ぞみとかめ給ふ源氏の也 めつらしくうつくしきめをI紫上なんとを見つる事也 この御前はのどけき也南面なる故に此殿は風うら也うし とらより吹と上の詞にあり わかき子のやうに’三条ノ大宮の事也 かくさはかしけに’三条ノ大宮へ源ノ御言傳也 おと上のかはら殿の棟瓦なるへし かくてものし給事とかつはの給野分ノまぎれに あふなぎ事そとの給ふ ひんかしの御かたさるもの些数にて花ちるの御頁 人からのいとまめやかなれば夕霧の心なり うるさながらうるはしながら也うるはしとはよき事也 かくなんなき無難なり 此君して夕きりなり おこり合侍て源の也風病也 シゴニーソ 四五人 しをにことj、にl 侍従のかにことにl河弄二説共二如何花の説可 然と三光院殿仰らる入と也又しをにことj、二匂らんと ある本もあり是は匂なきしをにさへ御袖の追風に にほふかと也素然は如此御講尺あり 宰相ノ君秋好中宮の御女房也 ﹂︵配オ︶ ︵皿ウ︶ 一

一、

L 虫損。 折山部分デ紙ヲ継グ。 補ウ。 下ノ部分ヲ擦り消シ裏カラ紙ヲ

(20)

四十七一三常磐松文順蔵『九条家本源氏物語聞害』 中将のあさけのI夕霧也

わか御かほI草子

あらはなるゆヘノ、しさもゑえ給ぬI紫上ノ 心をの給リ下ニハよく物を分別して上ニハ見え給ぬ人そと源ノ 仰らる上也 思ふ事のすちj、l雲井の肥の事二又紫上/夏 さぎおふ聾I同し殿の中にてもかやうなる軟 小桂ひきをとして衣桁よりおろす也これは源氏二對し ての礼儀也 から心うけれI玉雲の詞なり 風につきてI源好色二云なし給也

まゑ目の上也

ことノーなれノーしきにlけしからす馴具しき也 むくなりけりやl此一段ちとⅢえにくき義理なり きのふぷし紫上也 。00O さ上めき情ム ひか耳にや夕きりの ほそびつめく物ぬりおけなとの様なるもの欲卜也 コセソ 御前のつぼせんさいのゑん宴也ゴゼント濱給り けもんれう顕紋紗也紋を上へをり止て顕ろ一依て 如此号する欣 六かしくかたj、I夕霧源しの御供をし給也 ほどj、しくlをどろj、しき也ともし濁 いな是はI卑下して云り恐かましいとなり 北のおと上の覚をI花鳥ノ説わるし曉花のも ﹂︵記オ︶ ﹂︵型ウ︶ 虫損。 折山部分デ紙ヲ継グ。 虫損。 − 1 7 1 −

(21)

如何三説あり其内二なのめなる心ちとは明石ノ姫君躰をし ゐて恭おもいて御硯にて書給と云一説あり此義を談し給り むらさきのうすやうI帯の色なり 奇 風さはきむら雲Iあしき歌也その故は儒業をのゑ 詮二学し給て寄道は次なりしによりて奇こは,I、しき也 かやうなるもの也にくき口つきとかけるはこれ也 おもひくらへまほしくて夕霧ノ心中 うすいろの御ぞ紫のうすいろなり まだ入けに︿はづれたる’せいにたらずたけにはづ る坐とは余る事を常にはいへとも是はたけに足さる吏也十一 歳なれはいまだ髪みしかし さくら山吹といは堂紫上はかは桜玉髻は山吹にたとへたり 心うくて大宮の御心 世話に それなんI・それぢやほとにと云心也 とや式部例の筆つかひなり ︵九行分空白︶ 追 風こそ岩ほもl景行天皇三年I略之河海二委 先例かやうの事あり昔有し事を引て皆害り総して 此物語なき更をは少も書す無事の有更といふは此道理なり 箒木巻によくしるすもの也 ︵六行分空白︶ ︵白紙︶ L 一 L 一 へへ 2 5 2 5 ウ オ ンー ﹂︵鴎ウ︶ ﹂︵型ウ︶ L -〆 、 24 オ 、 一 虫損。 折山部分デ紙ヲ継グ。

(22)

四 十 七 一 三 常 磐 松 文 庫 蔵 『 九 条 家 本 源 氏 物 語 聞 書 』 御幸 以吾為巻名竪の井也源氏舟六ノ十二月の事也 あくるとし舟七歳の二月迄の更此巻二あり ︵一行分空白︶ 南のうへ紫上也 かのおと上内大臣なり おもひぐまなく思ふかひなき也内大臣の申もなくおも はれんとなり けさやかなるIことノ、しう聟なんと︽なり おぼしかへさうおもひかへし給也 朱雀よりl西の朱雀なり そゑ諸衛也六府也六衛府ノすけ あしょは車輪のよはき車なり ミかとのあかいろのl冷泉院也 わが父l内大臣なり玉かつらの心 おほせごとにハー作者の詞と花鳥に云り此儀はわるし詞一 あらす作者の心也 その比ほひI作者のことは也 かの事はl内侍のかみに成れん宮っかへの事なり

野ウチキラシ

うちきらし1打霧うちくもる心也昨日はとあるに其 〆 ま上引付て打きらしとみるへし おほつかなきI御かとの容義のよき事も宮仕ノ更も明 かに 申かたきゆへにかくのことく申さる上也 ﹂︵妬オ︶ ﹂︵妬ウ︶ 下ノ部分ヲ擦り消シ裏カラ紙ヲ 補ウ。 下ノ文字二重ネ書キ。 − 1 7 3 −

(23)

又御返奇あかねさす源の御吾也 めをきらす目を霧す よだけく大なる事也たもし濁ル 我心ゆるして吾方より仰出されんと也 こしゆひ裳をきする人也男ノ上にては烏帽子親の如し 男女不定 めつらしく見奉る大宮の心中

けしうはI源の御詞也

うちなとにもl同人の御詞也大身二なりぬれは おほやけに参り給ふ事も稀なり 是よりまさる人I源より老たる人なり御自講也 おれノ、しきぶしやうなる心也叉おろかなる心也 心つきなしとミ侍しかは見侍しゆへに也 出たちいそぎ臨終の事也 さること源氏の御心 曳奇 いふかひなきにゆるしてI千草にもおほふはかりの 袖とゑて尾花かゆるす野への秋風 とりかへしすLきIしなをす事はなるましと 噸り給也 さるはかのしり給へき人をI内大臣の知り給へきをと也 玉髪の事なり 内侍のか桑のI女官ノ司サ也女御更衣は官二非す主上ノ 御妻也是は后にもなる人なり L一一 戸 、 27 ウ ー ノ ﹂︵幻オ︶ 擦り消シノ痕アリ。

(24)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞耆』 あはせのはかま裏の有袴也 ゑりふかくゑり入たるやう也 う ょしなし事無用の豆也草子の地也 一一 さふらはではあしかりぬへきI参らてはあしかりぬへきと也 かうじ勘当の更也 よだけきことj、しきなり 御なやゑもよろしくI大宮の御煩よき也 れいのわたり給て玉鬘ノ御方へ おもひあ︿することI野分の朝の事也 御けしきにしたかひてなん源氏次第二と也 いたしやほめて云る詞なh サソジウイチジ 三十一字如此二よぷ給り ヒトグ

ー具同前

した入かにかしこきI内侍のかみの家職ノ事を案内 者の豆なり 此としころうけ給りてなりぬるにや源御憐感ふかき を間及て御子に成ぬるにや まうち君諸大夫也 さし合せて︲大宮と源氏とさし合せてなり けしからい御あやにく心I草子 シウトク しうとく宿徳法花普門品二云宿植徳本先世ノ徳今 世二あり又をとなj、しき躰也 寺争 宋宮の大夫 タイーフ ﹂︵弟ウ︶ L 一 /〆=、 28 万− ,∼一ノ イ 向 『 一 − 1 / 、 −

(25)

うちのおまし簾中の事也 曳むすひ給ほと腰ゆひの事也 奥つ玉もをI裳二よせて云り 入おはして簾中へ 出給ぬ簾中より 猶しはし御心つかひして内大臣二源氏の御詞也 ひき出もの腰ゆひし給ふ人にも引出物あり このさがなもの人君近江の君なり ブタ いかなる人二方に おまへのつらくl女御をさして云る也 さしこもり給なんやさしこもり給へ也 をといとけさやかにをとはをつと答へたる夏也 夢にとゑしたる冨したる むねに手を上きたるI驚たる心 つま聲本人の云吏に添ていふ事なり声濁へし 世の人ははぢかてら内大臣のしやうわるしなと入 世間にはとり11、云也 ︵二行分空白︶ 追 しかj、の事をそ入のかしl林一云源の御詞也玉堂 の宮仕の更を紫上へ御談合し給也 子なからのおほえにく’同玉かつらを源しの御子の分二 て内侍のかみ二参せんは中宮の御心中びんなしと也 ︵調ウ︶ | l ’ ︵調オ︶ ’ ’ 一

(26)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞君』 わか人のさもなれつかうまつらんにlとの給へは 源氏ゐ詞也主上を見奉る人の陣所なき人の宮つかへを いやとおもふはあらしと砥は上かり所とほ中宮女御の御 事を玉髻のは入かり給ふ吏也 中将の君もよるひる三条にそI夕霧なり うち笑給ていふかひなきにゆるしてl をさなきすぢの事とおもひすて給へかしと也又いふ二 かひなきと也源の御詞なり こLにきへなんlこなたへも雲井のかりの事を源し の申侍しとなり イ 何にさまてI源御詞也内府の事外諫たまふ程に 源の大宮へ申給し事もくやしと也 今はとつけやり給へきと上こをりもなきをとl 玉かつらの実父出来給へは源の御とりもちも揮給へき 事也となり 冷泉 かへさいそうしI内よりの給事のさなくは玉宣を 兵部卿へ参らせんと也かへさいとは返す事也 ことざまの事ハー内よりもしいやとの仰のあらは余 の所へは参すまし兵部卿へまいらせんと也 ︵九行分空白︶ ︵白紙︶ 藤はかま 巻名歌を以て号せり源氏舟七歳八月九月ノ吏也 ﹂︵鋤オ︶ 1 − 一 ’ 一 一 へへ 3 1 3 1 ウ オ ーン |︵鋤ウ︶ 折山ノ部分デ紙ヲ継グ。 補ウ。 下ノ部分ヲ擦り消シ裏カラ紙ヲ 補ウ。 下ノ部分ヲ擦り消シ裏カラ紙ヲ − 1 ' 7 7 − L 0 0

(27)

おなし野の露にやつる上藤はかまあはれはかけょかことはか りも 此巻竪井也 心より外にびんなき事I御てうあひの心あらぱ也 うけい惟二のろふにはあらす 思ふ事をまほならすともl有のま坐に非す共也 ウ 女親には何頁をも云習ィなれは也 にび色の御ぞ大宮の御服山大みやの御いての事いつの 間二欲こ上まてに何共耆ズ面白き書さま也 宰相の中将夕きりなり コマ寺l去戸 こまやかなるなをしこき色なり濃 おぼしはなたれじかし宮つかへの事を源氏おほし ばなたれましい也 そらぜうそこl夕霧なまめき給へり源より仰 られ事あると虚言をの給ふ也 さてもあやしうl夕霧のこと葉也兄弟かとおもへは大 宮の同し服尤なり心得かたきと也 あらはし衣服衣を即あらはしごろもと云給へる也物を あらはしたるなり ラン らにの花開也ンハ|一也シヲンヲシヲ’一ト云如シ うつたへに一向になり エ あさきもふかきもI夕霧の詞也 頭ノ中将かしは木なり 人の上になんかしは木の事をの給也 ﹂︵犯ウ︶ ﹂︵記オ︶

(28)

四十七一三常磐松文庫蔵「九条家本源氏物語聞書』 出た蚕ひて御返なとI源出給てなり 宮なとのれんし給へる兵部卿宮也れんしは恋慕也 申給ふ夕きりの申給也 かたしや源御詞也何共しかたき也 は皇君のあはれとl源作り事をの給り つき人∼しうIさ有つくしう仰らる上也 けしきの象まほしけれはI夕霧の詞也 三にしたかふ物かこそあなれど’をのか心にまかせん事はある 事也との給ふ也足の被仰は曉花之説何と哉らん紛てちとましき 聞にくしとニかく二源次第たるへしと内大臣は仰らると夕 霧ノ源氏にかたり給ふ おもひぐまなしやかひなき也無曲也 うたかひはをかる夕霧の心中 御ふくぬき給てI八月にぬかせらる九月は祝言二忌ム 月也 頭中将も中/、I柏木なり なにかしをlかしは木の詞也 たえぬたとひも侍るなるはI兄弟の事也 こだいの事なれとふるき事なれと也 まいり給ん大裏へ いつかたにつけてもl前の好色かましき文の事と今 又兄弟の事と也 まぱゆくて 何事もわりなき三てl玉鬘ノ心中を宰相ノ ﹂︵詔ウ︶ ﹂︵認オ︶ − 1 7 9 −

(29)

君の云ったふるなり カクゴン かくごん奉公の心也猶堺花二委格勤 大将はl何事も右のっかさ也 さるやうI内大臣ノ心二源氏の蜜通あるかと覚す なり

東宮の女御l母女御也

弁のおもと髭黒の媒也 寄 かすならば1人かすならはと也 野 朝日さすI目を天子にたとへて読り 打あひたるや紹巴説も花鳥に同しおもしろからす也足 御説は御使さへやうだい以下兵部卿宮のに似合しきと也 心を付て見へし エイアヲイ 葵衛i足の葵卜云事あり引給へり 女の御心ぱへは此君をなんl是は筆者ノ詞也 ︵五行分空白︶ ︵白紙︶ ︵白紙︶ 真木はしら 巻名歌を以て号せり今はとて宿かれぬとも馴 きつるま木のはしらは我を忘な此巻竪の並也 源氏舟七八歳の事なり嘩指却畑拝認定姪ル此巻の始二 王雲ひけ黒の室二なり給ふ心見えたり ︵一行分空白︶ うちにきこしめさん事もl花鳥の説よし可用之 ︵弘オ︶ | L 一 ■ ■ L − L − へ へ へ 353534 ウ オ ウ ーーー 折山部分デ紙ヲ継グ。

(30)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』 心浅き人のI何れの説も如何ノ、風流にもかまはす只 一心二正直におもはれたるを心あさきと云る也 トノ わか殿に ことつけてかこつけて也源の御方二置度思しめして也 心ゆきてI風流二なる也 おもひむすほ坐れI鬚黒↓|心付給す 殿もいとをしうI源氏なり こ上ろのくせ心の曲人の疑んとおほしめしなから也 すくよかなる尋常の人ひけくろの事也 寄 わたり河是はた些渡る川と見てよし

野ソ

承つせ川l是は又本ンノ三途河と見へし玉かつら本の三つせ 川によぷ給り よきみちきもし清濁いつれにても其内情は猶可然 イ ならひ給ぬ心地にひはいなり紛らはし 女君人にをとり給へきI鬚黒の室也紫上の姉 古今 人き上やさしかるへし恥かしかるへし也何をして身 のいたつらに老ぬらん年のおもはん事そやさしき 玉を象かける目うつしにI玉鬘ノかたのめうつし二也

まかせてこそ堪忍してこそ也

かうじ勘当

宮の御事をかるくはIひけ黒のことは也 こ皇にはI吾はと云心也真木柱のうへの詞也 もてない給んさまをI鬚黒の吾にあたり給んさ ま ﹂︵調ウ︶ ﹂︵調オ︶ − 1 8 1 −

(31)

を見んとま木はしらの上の埜給也 心かろきそやそもし清濁いつれにても さふらいに男女に限す 御ぞたてまつりかへIめしかへたり 奇 ひとりゐてIもくの君か寄也 いといたしちとほめたる詞也 奇 うき事をlひけくろの吾なり玉鬘ノ心を うき事とよめり O すほうすもし清ム 兵衛督玉かつらへ前二丈をやりし人也真木柱の君の兄 かたのやうに形の如ク也 今なンとも聞えでなんと読給りてもし濁ル ひはだ色I檜枝色ノ紙紫のいさ些か黄は承黒キ色也真木 はしら二よせたり真木とは良木ヲ云也良材は檜木なるへし 歌 浅けれと石間の水は1石まの水はもくをさして読り おほきおと上源し也 女御をもことにふれ冷泉院の女御也真木柱の妹 をのれふるし給るl玉舅は源の実事ある跡ト真木柱ノ 母君の云り河海の句切も紹巴句切も同前給へると云下二 朱点の句切ありいか具いとしゑにとある下に句切ありて 然るへしと素然は仰られ候 つれなうてしらぬかほして也 きのさしぬき綺はから綾なり ﹂︵訂オ︶ ﹂︵釘ウ︶

(32)

四 十 七 一 三 常 磐 松 文 庫 蔵 『 九 条 家 本 源 氏 物 語 間 害 』 あやしき事ともを見すぐす見て堪忍なり たいめんし給へくもあらす北のかたの つ象さり所なうつみのかれぬやうにとなり かたき更なり難儀なる事と也 なめく無礼の義也 としかへりて源淵八歳 シ三キヤウデン 承香殿何れにてもくるしからす此女御鬚黒ノ妹 ソ 玉かつらのこしうと也故二是の殿の東二玉鬘ノ御局あり この大将鬚黒なり 宰相中将夕きり也 メ 官の女御紫上の姉式旧卿の御女 春宮の女御春宮の御母義の更也鬚黒の妹なり 宮はまたわかく東宮の御事なり 大将殿の太郎き桑雷黒の太郎君なり とのゐ所に居給て大将のとのゐ所也大裏にての御座あり処也 こよひはあまり口今夜御帰はあまりなる御事と也 つかさのみさうしとのゐ処也 寄 深山木にI兵p卿宮の吾なり紹巴説は大将を大樹といへは なりそれ迄もなした上大将をこなしてよぶ給也鱸誰也 あやしうl主上の御こと葉 悦なともI内侍一一なる事也

か坐ゐ位の添事也加階

吾 いかならん色ともI紫とは加階したる事也奉公もな ﹂︵粥ウ︶ |︵調オ︶ − 1 8 3 −

(33)

きにとの心なり そのいまよりl主上の御詞也ぬしなき時に参 給てこそとなり うれふへき人あらはI吾道理かそなたの道理か人二 いはせたきとの御心也 むつかしき世のくせI世上のおとこのくせと也 いだしたてぬ人もぞあるあらうずると云詞也 寄 た入かばかりも匂ひこじとや香斗なり ゆるされあるましきI内大臣も源氏も御ゆるし 有ましと也 を さばかりの事もI今迄何事も云ぬにと内大臣ノおほ す也 宮にもさこそI式部卿宮也 奇 うたかた人を忍はさらめや落居しのふと云心の歌也うたかた ムシロイカテシハシ とに或寧或争或の心なり巴説同更此寄にてはしはし の心也此やうなる所二置こと葉也 ヨノツ、不 よづかずぞ尋常ならぬなり さまし侘てまぎらはし侘て也 御琴かきならしI玉霊の和琴稽古の事 おもひ出し給り かほに象えつ上面影二見ゆる吏也 かりの子のI巴云卵のやうに御菓子二作りたり 鴨の子也かるの子共云五音相通也 かへりしかひかひを破たる事也 ﹂︵蛆オ︶ ﹂︵釣ウ︶ ﹂︵調オ︶

(34)

常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』 四 十 七 一 三 すがくれて巣二かくる些也卑下ノ吾欽 ぼけしれてほけとはほれたる心しれは痴也 若ぎ御心の中に真木柱の御むすめ也 シモ 十一月にいとおかしきl昔の抄共多誤ル時節相違也 此巻の末に近江君の事ありそれは秋の事也十一月ノ事は 髪に先書つ上けたる斗なり このわか君のうつくしきにlかしは木の心中 おほやけことはI公役也識なり堺花の二抄二 委シ あふなき事無し奥 棹さしよらん近江君の方よりさしよらんと云り はしたなかンめりとやあまり引きりたる御返嵜と云心也 とやとは人にいはせたる書様也例の筆法也 ︵十行分空白︶ 追 名残なき御もてなしは北方の現心うせて又乱心ノ事ある を名こりなきもてなしと云り 見たてまつる人たにI髻黒の心也御道理ノー まふいといたし草子ほめて云たり されといかなる心にてI事よもくの君の心也又は草 子と見てもよし 中l、心やすくはおもひなせと鬚黒の心欽北のかたの父宮ノ 方へ歸給は心安くはあれ共ト也 さてもかたすゑにかくろへてもI北の方ノ心はおだ しう ﹂︵型オ︶ ﹂︵知ウ︶ − 1 8 5 −

(35)

心易くあるをと也 あなわるやといふをIそこにある女房達なとの云る 也 この比はかり心の程をしらてI鬚黒と玉遥ノち一 人の きりはまだ此ころの事なるに疎略のやうにては云なしては 一一一二 源しも致仕のおと坐も如何おほさんと也 うちにもきこしめしてけりI主上の御心也上も玉雲へ おほす心ありしを何とて宮つかへをはさせ申されぬそと なり 少し御心懸給にや林逸 すぐせことなる1人の縁は定たる更なれとも也大将と 玉かつらとちきりふかきとうちにもおほす也 かけj、しきI内侍督二なしておこなひをと斗の御心と 也御門の玉鬘二心はかけじとの御心也かけ,J1しきとは j、しき心もある欲差はなま情かましきすちを云たえ にや ことに乱かはしきIれきノ、なる更衣もなき也休 ︵一行分空白︶ 御さまなり双紙也 冴 奥津舟ょるへなゑ路にl近江君の寄也夕霧ノ 雲ゐの鳫をおもふ事心二叶すは吾によれと也そなたへ 棹さしよらんとなり夕霧二心をかけたり林 たな上しを舟こぎ帰りlほり江こぐ棚なし 小舟漕かへり同し人にや恋わたるへき近江君の詞也 夕きりをかく思ふとなり林 あなわるやI雲ゐのかりの心二かなはぬを強て夕霧の ﹂︵虹ウ︶ ﹂︵型オ︶ ︵妃ウ︶ | L 一 折山部分デ紙ヲ継グ。

(36)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間雪』 林二云 申給ふはわるき御心と云意也林たな上し小舟も雲ゐの 一葉︺一 鴫の事也あなわるやとは悪の卑下也一葉 この御かたにはI御女御の御方にはか坐る人はおもひも よらぬとなり夕霧の心二近江君の事をかくおもへり 此きく人也けりと1夕霧の思案して近江君と知 冴 給也 よるへなゑl夕きりの返吾也舟人は近江の君を 云にやいかに風のさはかすともおもはいかたには寄ぬものそ と 、なり ︵三行分空白︶ ︵白紙︶ 梅か枝 以詞巻名トせり梅か枝は催馬楽をうたへる事也源氏舟 九の正二月の事見えたり ︵一行分空白︶ 東宮l今上也源氏の御聾なり冷泉院の御次なれ 共御子には非す 大試太宰大試任五ヶ年也されはすまの巻二云る大武には有 へからす又其時大司の奉れると云儀もあり也足仰らる 何れにても有へし川ト大蔵卜同吏也されとも其中二帥 は賞翫也筑紫九ヶ國をしる徳ある官也 ひこんき今の世の錦藺欲その時代ニきんらんと云名を日本二 いまたしらさる軟 イ﹄フ ソウ そんわうの御いましめの!古説多し然れ共曽王しかるへし ﹂︵“オ︶ 1 1 へ へ 4343 ,、 ワ オ ー J ー 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 8 7 −

(37)

おLぢなんとをは曽祖父と云其類なるへし人の子孫なと其 曽孫といふ前後二よらすその筋ヲ曽と云休逸二云そんト書 てぞうとも読へし こ坐ろば物のかさりにする物也はもし濁ル 。 ちりすきたるき文字を濁る人もあれ共わるし過ノ字二 あらす透の字欲 副 うつらん袖に浅しまめや明石姫石を祝メ読給り うちの事文の中也 くま人∼しくI何事ぞ有ふすると思し召は迷惑卜云心也 まめやかにはl是を文章とゑる人あれ共其はわるし いとみにくけれはI明石ノ姫君の事を源の卑下して かく 仰らる呉也 此夕暮のしめりに雨の暮也 ひげし給へと卑下 かぎ合せl清濁何れにても紹巴は濁ル O 荷葉カョゥかやう二読給り スナク 前の朱雀院也足仰らる上は花鳥説如何河海ノ説しかる へし是は寛平たるへし年代記二朱雀院とあるば承平ノ 御門なり ヒヤク 百ぶのほうふもし濁ル あすの御あそひ御もぎの事也 うちならし内そのならし也 けざんI名はかり申上て帰るを云り尋常一一云には ﹂︵“ウ︶ ︵妬オ︶ | ’

(38)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』 かはれる也是は御目に懸る儀二あらす 吾 ふきやょるへきよるましいとの心なり 野 ねぐらの鳥もほころひI鳴事也

孫タキモノ

花の香をえならぬl薫共なるへし 御車かくるほとにをひて口竿一車をし懸る間一追て也 寄 めつらしとl源氏の御吾也 宮は見たてまつれ給秋好なり なめげなるすかた裳をきぬ姿也盧外のすかた也 此御かたはl明石ノ姫きゑ也 いとおほくさふらう道風佐利なとも有へし ワウ とよりてこそ外よりてこそとは近年こそ也奥よりとは むかしの更也抄共二くはし CO さ上めきてIさ坐やく事也 院の内侍I朧月夜の内侍也 こ上にとこそは紫上なり まだかLぬl言い也昔は栫て後に言と也今は本を 書て後二こしらゆる也 けしきば象いますかりとも元かきならくじや此やはやは也 兵衛督玉童二心よせし入 あしでうたゑ河海花鳥一一大かたは注したれ共能はしりかたし 芦手とはあしの葉のなりニ似たる文字の姿吹中峯ノ笑ノ 葉やうなと上云かことし也足仰らる何共知らさる事也 字の形の事を云たる事卜聞えたり ﹂︵妬オ︶ ﹂︵妬ウ︶ 削り消シノ痕アリ。 − 1 8 9 −

(39)

けうそく︲むかしはつくえなし けちえんなる掲焉あらはなる事也 うるはしだちI念比二也御礼也 そぱみたる非し正風流かましき吾也 か上る御中にl源氏の詞二ても兵Ⅱ卿ノ詞一一ても相違有 へからさる也猶源しノにして可然とそ なごう和ナ・コャヵやわらかなる心也 いたはりくはへたるけしぎ也筆勢ょはき事也 さがの御門のi弘法大師とあらそひて耆給ふ御手也 キリトウダイ おほとなふらみしかく切灯臺といふ物ありその吏也又其レニ タカ 対して高灯臺と云もあり 姫君の御ありさまl雲ゐの鳫也 かやうの事はかしこきl源氏の詞也 しりひ後かれなる儀評の下ノ句のわろきをもしりぴ也ト云 いはけなくより源し我事をの給り さるまじきことにI無用之事二なり かたかど一角也 あやしと打をかれすI花鳥二委シ心を付て見へし ︵四行分空白︶ 追 とりあへいまて吹やよるへき常二いふ心欣やかて其儘なと と云様なる心也 あしでのさうじ葦手ノ草字 ﹂︵妬ウ︶ ﹂︵幻オ︶

(40)

四十七一三71;,磐松文庫蔵『ノL条家本源氏物語聞書』 是はいとまいりぬへきI中宮へ 女でのうるはしう心と生めて源氏おんな手のやうをあ そはすとゑえたり前二あり女手を心二入れて習し如此 四五丁前二あり うへは東の中のはなち出にI上は紫上也此所にて合せ 給り放出右物禰二云るは皆上六条院の事也髪まては 放出は南面の母屋と兄えたりそれに西のはなち出といふは 西の対の放出と云心也此巻の東の中の放出といふは東対 のも屋也中卜云は母屋と西東の廟との間二障子をたて坐 隔たれは御帳を立たる所を中ノはなち出とは云也紫上ノ 合せ給ふ処は六条院の東の対のはなち出なり源もこの時 寝殿にはなれおはして合せ給よし見えたり是は西対の 放出にてあはせ給也紫上のあはせ給ふ所は各別也又若菜まい りし西の放出といへるは西の対のはなち出なりかれこれ 取合せて了見すへき也六条院二は対ノ屋ニッあると見えたり 御しっらひI風なとを入すして薫物合せ給り す皇みをくれたるIす上みをくれたるとはにほひの花 やかなるとしつめるとの事也同しニッの方なれは只いさ入かの かはりなるへし何が過て何が足ぬとかぎしる事也林逸 筆の徒すまぬ心ちしていたはりくはへたるけしき也I 文字をなをしたる也けつらふて吉たりつくろふたる様也 女のはさほにもI女房衆の害たるはいつれも取出 し給す ﹂︵妃オ︶ |︵灯ウ︶ 折山部分デ紙ヲ継グ。 − 1 9 1 −

(41)

ソ 侍従に唐の本I蛍兵Ⅱ卿の御子なり 段のからく桑I段ミに組たるひも也一寸まだらのことし ︵十行分空白︶ ︵白紙︶ 藤の裏葉 巻の名詞を以号す藤のうら葉のと打禰し給卜あり 源舟九の三月より十月迄の事見えたり梅か枝の同し年 なり ︵一行分空白︶ ねんするもくるしう物をこらゆる事也 うへはつれなくてしらぬ顔也 とりあつめてI何事もよく足たり 喜 中j、にl安入と御ゆるしあれは却而まとばんとの吾也

御心おごりI草子

なをしこそあまりこくてI年老次第二うすくきる也 此義花鳥に委あり可被見 ざえのきはさもし濁ル 色もはたなつかしきIゆかりの心もあり又は紫を女二 比する心もあり ウヘプンセキ カレイモンジヤク 文籍にも家礼I上を文籍とよめは家礼文籍 ケライ とよめは家礼也古抄ともに委し家礼とは親かたを うやまふ事也 なにかしのをしへも!儒の師を云へし色蜀の 説あれ共却て如何j、と素然仰られたり 戸 、 50 オー ー ノ L 一 L 一 へ へ 4949 ウ オ ーー ﹂︵媚ウ︶ 折山付近デ紙ヲ継グ。

(42)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間害』 御かはりにはI大宮又は葵上のかはりにと也 御ときよくさうときて是は時宜仕合の事也 もてなやむI酒をいたむ躰なり 冨 紫にかことはI女を比して読り 同 枩より過て松よりあまる也待の字二兼ぬる待侘て愁卜也 喜 たをやめの袖にI雲ゐのかりをさして ホン 年へにけると箕ろけると本二うたふへぎ事なるを年へにけると うたひ給ふは祝言によりて也 中将花の陰の旅ねはI旅寝はかりね也雲ゐの鳫の 所へ道引せんはいかに有うするそと云心也 少将のすLみ出しつるI弁ノ少将也此前二あしかき弓ひし 人也 河ぐち伊勢の名所 嵜 浅名をいひなしける内府の名をいひなかす也 寄 もりにけるI守一一非す漏るL也 朝い哉な1 人わるくか上つらひ心いられせでI夕霧の此間見事 こらへて奇持と源氏ほめ給ふ詞也 おと坐の御をきてのあまりすぐゑてI始あまりきひ しぐ して跡よはなるを世間二評判すへしそれさありとて慢し 給なと夕霧二をしへ給り さりとてもさありとても也 わさとならねと情たち給ふわかう人はI夕霧の自然心を かけ給ひつる人jIIなるへし ﹂︵団オ︶ ﹂︵釦ウ︶ − 1 9 3 −

(43)

あせちの北方もと内大臣の北方也雲ゐ雁の実母 ・・、アレ 象あれ賀茂の御生わけいかつちの神の御誕生の日也古抄二 委シ 御車升はかりしてl紫上の御独あるきは此度か初メ也 前上は皆源しもろとも也 残りとまれる人のl夕霧也 宮はならびなきI秋好なり こんゑつかさの使まつりの使也 かの大殿にて内大臣也 奇 なにとかやl葵と云によりて也 おり過し給はぬはかりを折を過し給ぬ也 はかせl抄には葉風とあり素然仰らる上は只 博士しかるへし

北の方添l紫上なり

かの御うしろみやIあかしの上也 その夜は上そひてI同巾也 人にゆづるましうl紫上のことは也実子ならは 明石のやうには人にえあつけましいとおほす也 た上此事一ッをなんl紫の実子にておはしまさぬ事を也 か あかぬ事・なくI不足なり 一一 立かはりて参りl此時はしめて明石上と紫上と御対面也 是ものもの字に心を付て見へしあかしの姫君にと云心あり 御釜なとゆるされ給て花鳥の説わるし是は紫上の事也 心をよはぬ頁はたI明石上の事 ﹂︵別ウ︶ ﹂︵記オ︶

(44)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 宮もわかき御こ坐ちに東宮なり いどみ所つとひどころ也 うへもさるへき折ふしは紫上也 あらまほしくI有たきやう二也思ひのまふなと上いふ様 なる心也 心からなれと世にうきたるやうにてI夕霧の心から なれと也雲ゐのかりの事也是源氏の御心中也 ほいもとげなんと御出家の事也 中宮おはしませはI秋好中宮 ツ 司かうふりみなそひ給ふ御内の人苓迄も也 例をあらためで清濁いつれにても有へし 0 0 院司司もし情ム いつくしさ厳重のさま也常二云にはいさ上かかはれり うちにまいり給へき事l太上天皇になり給ふ︽よりて 也前二相人の申たりし事今差にて合也 浅き色わくIあさきをあさきとかりて読り

さうし曹子

ヤル 心をやれるなぐさむ事也心を造 イ むかしおはさひしおはしまし坐也 中納言もけしきことにI夕霧也 か糸さびたる事古めきたる夏を云 したりがほIちと慢したる様なるかた也常二人の云ことし ス 朱雀ゐんいつれもよし シユ ﹂︵田ウ︶ ﹂︵弱ウ︶ |︵記オ︶ − 1 9 5 −

(45)

ぜん上をしき軟障 わさとの御らんとはなけれと態の字に心を付て見へし ヲ、ソザ 御座ふたつ帝のと源しのと二つなり きたのに北野也 右のすけ是も則少将也 野 紫の雲にまかへるI太上天皇ニ比して読りほめて 也 みしかきものともを楽のふしかきをなり うたのほうし和琴の名也寛平の御寵愛ある器 なるによりての号なり かはらぬ聲久く楽をきこしめさぬ也 うらめしけにそI朱雀院のわか御代にはか上る行幸は なかりしとおほしめすなり ひとつものとそ見えさせ給ふ冷泉院と源氏 とよく似たまふ事をかく云也 ︵八行分空白︶ 追 くちをしくこそおくしにけれとりなをしl林逸吾を頭ノ中 将二引なをし給へと也是は夕霧ノ心詞也 御ともにこそ1頭中将の詞也夕霧の御伴を申さんと なり わづらはしきl夕霧ノこと葉也頭中将はことj、しき随身と也 さもす呉桑物し給は上こそlおと皇よりす入桑給は入と也 前に源よりの給し更を承引さりし恨をかくの給也内大臣 より をとつれによりされはこそと源の給也心おごりし給也妬げ ﹂︵型ウ︶ ﹂︵型オ︶ 折山部分テ紙ヲ継グ。

(46)

四十七一三常磐松文庫蔵「九条家本源氏物語聞習』 なりは双帝二云又は夕霧ノ心おこりを云休けうなきとは 不幸也一葉孝なかりし也畔無し奥なり其心も なきと云心也尋流とげめ遂べき也けもしにごりて読む此 トケ 時こそ遺恨をもとげめと也又は僻めとも注せり おと上うすき御なをし口うす花だ也白き御ぞ とはかさねのきぬ也花鳥 宰相殿はすこし色ふかきlこき花田なり花鳥 丁子染〆は下かさね也同白キあやは髪の綾也唐めき たる たるにてはなし 一一一一 中ノーさしも曳つ上きて紫上れき/、ならんと おもひて各掛酌にて参り給ぬ也 まだいとけたかく又也末二てはなし紫上を明石上見給也 かうまて立ならひ聞ゆるし明石上吾むらさきの上にをと と らぬ躰・なり 御て車なと’紫上の事也身の程なりとは紫上二藍 のゆるしありて出給ふを見給てあかしの上の身の程を思給也 おもひくらふるは明石上の紫上と我身と也 ひとつ物とぞぷえさりける引寄二うれしきもうきも心は 一にて分れぬ物はなふに也けり此歌二嬉しきもうきも同 しやうなるとあるを髪にて嬉ヰ事はかりにて憂事はまし らぬと云ソとて一ものとそ見えさりけるといへり 事 大かたのよせおぼえIあかしの上の奇也 へ、 なき人のかけたにI林逸雲ゐの雁の吾也つれなくてとは影 ﹂︵詐函方/︶ ﹂︵弱オ︶ − 1 9 7 −

(47)

のゑえぬを云り心をやれるとは儲む事也水も心をえたる類 なり体又つれなくてとは不変なる躰也心をやれるとはさら

と流る些躰也玩湘日夜東流去不為愁人住少時此心二似たり 叉引司なき人のかけたにみえすやり水のそこはな糸たにまか せてそ柔るいさら井は八雲御抄二云出る水也浅クなかる上 水也そとしたる水なり かほすこしあか象て’二所ましますを恥給也 此水の心たつねまほしけれとl林逸手ならひともを見給 て その心をも尋へけれ共尋れは夕霧と雲ゐのかり との中にて掛酌の由也こといみとは前の吾それは昔 を忍奇ともなれは我はか様の事しん酌と云儀なるへし畔 哀傷の歌なれはことい象してとの給なり ︵一行分空白︶ わかな上此巻一一錘垂棺畷矯呼討跡画之幸調叶日 巻名寄井詞を以て号せり 小枩はらすゑのよはひにひかれてや野へのわかなも千代を摘へ き 此巻ノ始は源氏舟九の冬より四十ノ年叉馨て四十一の春まて 也 又上下をわかつ事は此物語に此巻はかり也花烏二くはし可見之 ︵一行分空白︶ 朱雀院の象かと是は承平ノ御門に比して染るへしもとより の朱雀也 春宮を入きたてまつりて除て也 たかき位にもI后にも也 ﹂︵粥ウ︶ ﹂︵髄オ︶

(48)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 うらみたるやうにてうせ給にし藤壷の御吏也 朱雀ノ御代二遂二后なし こなたかなたかろj、しからぬI篝黒や叉源氏なと也 女御にも心うつくしぎさまにl女三宮の継母承香殿 の女御也 今のうちの御事冷泉院の御事也 このゑちのやぶ子道 大小ダィセゥ かくおほやけの御うしろぷをI源氏の心中を夕霧の申給也 二十︿タテ うるはしだちて實ノ、しき也 つぎ人∼の子の次ぐの子也夕霧ノ吏也 権中納言の朝臣夕霧の事也中ノ字濁ル ら 女のあさむかれんはIたぱかれん也此詞の次手二かん の君の事御心中一一あり 此御うしろ桑ともの中にl女三宮の御後見也 糸こたちはひとりおはしますこそは内親王は夫を持 給ぬが本なり すぐせ定かたくI男女の道は尊賤さためかたき也 それにことよりてI紫上へよりきのやうにしてゐる人 もあり すゑの世にすぎて末世に似合い也 なにかしの朝臣左中弁なり ﹂︵師ウ︶ L 一 〆三、 58 オ 、 ノ ﹂︵釘オ︶ − 1 9 9 −

(49)

あかぬ事不足の吏也 限なき人と間ゆれとI是もめのとの詞也前二つ上けて いふ詞也 ょづきたるI夫婦の義定たる事 心をたて入l男なくして実ノーにしてゐる事也 ありへてl経て也親にしられすしてぬけて出なと して 後に能ヰ幸にあふ事なとも有もの也然共それは女のきず 也 心よりほかにI不慮二なり 大納言の朝臣l誰とも不見 右衛門ノ督かしは木なり かきりぞあるやとl今すこし位ひさしと也 めしよせられたらん時聟二なる事也 藤大納言先二云ル大納云也誰共委しらす 親ざまにI御忍の心なり女三を御子分二してと 云心也 世をさらんきさ象I源し隠居の時の事を兼て の給り まづの人j、1大裏へ先ど参り給へる女御なとの 事なるへし このゑこの御母lこのぷことは女三の宮 かへとのかゑと読也柏梁殿也朱雀院二有御殿の名 也 うち春宮の1両所なり内東宮ノ殿上人以下残すと 云事也 尊者の大臣惣而客ノ中の長を尊者卜云也こ入も其儀也 1 ー へ 58 ウ ー ﹂︵ぬオ︶

(50)

四 十 七 一 三 常 磐 松 文 庫 蔵 『 九 条 家 本 源 氏 物 語 聞 苦 』 宮の権のすけ秋好中宮の権佐なり の給せつれど此どもじに心を付へしさしなからの吾 女三ノ宮の事二少しもか上はらず朱雀ならては此歌の 心しり給はじ こしらへかね給てなだめかね也 なきとよむに 此かたのほいふかく源氏御出家の事也 ゐんも物心ぼそく朱雀ゐん おもひをこして思ひ起 まほにはあらぬIさしにさしては仰られす あふき上こえさするをl也足ハワゥギト読給り後来 三条殿二尋候へはアヲギト読てもくるしからすと仰られ候 何心もなくてI源の御心中なり をのがどちの心よりI女三の心よりにてもなし又源氏の心 よりにてもなし 聞え給へる人j、︲女三を心二懸奉りし人ミ也 正月ムッキ 左大将の北のかた玉重なり らてむ貝をすりたるを云り 末ノ、のもよほしになん子孫たちの成人の事を云り せめてをとなびfせめてはしゐて也 式旧卿宮はまいりにく上I元の聟鬚黒のとり行 給ふ御賀なれはまいりにくしと也 ﹂︵弱ウ︶ ﹂︵釦オ︶ ’ − 2 0 1 −

(51)

御むまこの君たち式部卿の御孫也玉鬘のま皇子 キン 琴は兵旧卿宮きんとよゑ給り ぎやうでん宜陽殿 世を捨るやうにてl何事にもかまはすして悪し給事也 わかなまいりし西のたいI玉かつらの若菜まいりし所也 うちに参り給ふ人のI入内の事なり むこの大きみといはんにもI草子の地也 又ならふ人なくI紫上也 おひさき遠くI女三宮の吏也 物のはへなき御さまlあまり何心もなき御さま也 御ぞともなンといょj、たきしめI源氏のに紫上焼給ふ おこたり是は過怠也 よ 定なき世の常ならぬI定〆たる契と也替らぬ契 一一 ちきり也定なき尋常の契にては無と云心也 一一一一一一 こなたの御けはひにはかたさりI紫上には所を上く也 此象やのかくI女三宮なり 猶わらは心のIむらさきの上也 おもひはなれたる人ノーはI花ちるや末摘なとの類也 源氏疎略の御かたノげ\なり かの御夢にI源の御夢二紫上みえ給也 しん殿には御せうそこ’女三宮へ 宮の御かたに御文I源より女三へなり 奇 こ上ろみたる入けさの淡雪雪二心みたる上と也 ﹂︵帥ウ︶ ︵田オ︶ 二 ﹂

(52)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語間書』 苔 f はかなくてli源氏の御心定まらぬを云る也誰にも あれ女三の御代によみたるたるへし 〆 老しらへる 打けさうじ給へるI源ノ御事欲又は女三宮の御那狄児 分かたし何れにてもくるしからす お上しく男しい也 むかしの心ならましかぱI昔の好色心ならはと也 さしならびめかれずI紫上の事也 尋給ふへきゆへもやI女三宮と紫上と母方のいと こにておはします事也 やみをはるけで子をおもふや承也て文字濁れり 中納言のきゑのもとにI和泉か兄弟也朧月夜の 内の人なり 心のとはんこそ夢庵の寄二雲の色風のけしきに詠め ても心の間は上いか坐こたへむ いにしへわりなかりし世にI源氏の御詞 びなきをびんなきと読給り たきものなとに心を入てたきしめ給事也 引うこかし給ふ中の障子なるへし障子とはふすま障 ◎ 子なり

行あふゑちはI道也

ほとへても見たてまつるは間ダありて也 心なからもI源しの心なから也 関もりのかたからぬ朧月夜の君の心を関守と云り L一-戸 、 62 オ ー / ﹂︵αウ︶ − 2 0 3 −

(53)

かたらひをきてI再会を約する也 さばかりならんとlさうあらん也 むかしを今にあらためくはへ給ほとI昔を今二とは朧 月夜の事改メ加へとは安三の御事也 何事もえのこし給す何事をも皆j、仰られ顕はす也 身のほとなるものはかなきI親の合せぬ縁の浅を の給へり又花鳥の説は別也如何 水鳥の青ぱおもしるし心を付て見よ 東宮の御かたは明石の姫君也 むかしの御すちをもI御ゆかり也 たのもしき御かけどもにさまj、I女三宮父御門の 御出家ありし事也 ウチ 内ミにもさなんI大りにもなり フマキ ヂス ぢす経を裏む物也今の文巻と云もの也峡 ゆだけきたもし濁ル ヲソ 御ぞのつくえ御衣の机也 御ずぎやう ワウジヤウ 皇l塵 古入道のゑや薄雲ノ女院也 中宮まかソてさせ給て秋好なり 御幸なとも有へくl冷泉院源氏の御 かたへゑ幸あらんとおほしたれと奥也 四十寺シジゥジと読給り ﹂︵錦オ︶ ﹂︵“ウ︶ 下二﹁月﹂トアリ書サシカ。

(54)

四十七一三常磐松文庫蔵「九条家本源氏物語間書』 四十賀シ¥ウノガとよゑ給り 大きやう大文字清給り 宮のおはしますI秋好なり イチ 一の、もの 中納言にそはさせ給てける夕霧に内より仰付ら ︾。坐 うちとは冷泉ゐんなるへし 比おとLそ今さかりにてl大政大臣也宿植徳本 衆人愛敬観音経引レ之給り

うちの御手主上の辰筆なり

六衛府・ク雪フ 御車にをひてl太政大臣への御をくり物也 一院朱雀ゐん也 大将のたLひとり夕霧なり かたはらなきやうにかたわらと読給り こなたのうへなんし給ひける花ちる也 三条の北の方雲ゐのかり也 こなたにはた皇よその事にI同人也 桐壺の御かた近つきIあかしの中宮ノ御産ちかつく ロミC 御すほう ゆ上しき事を見給てしかは葵上の御産の事也

。函

寸法のたんひまなくぬりて護rの壇あまたぬる也 ふるめかしき事ともをIあかしにての事なとなり 誰もj︲、心をまとはしてl入道あかしのうへ尼各なるへし ﹂︵“オ︶ ﹂︵齢ウ︶ − 2 0 5 −

(55)

かはかりの契にこそは有けれとI是まての契也 世はなれたるさかひI世を離たる也 仙人ラニント読給リ 日中一一ツチゥ 御かたまいり給てあかしの上也 ソツソ よしめきそして殺よしめき過して也又説由めき 存して也 いでまうできつらんばや髪にて句を切て下をみるへし はやには心なし 濱のとまやを明石の入道を尋も拳はやと也 五口 世を捨てあかしのうらにI世をすて上明らめたる入 とつ坐けたり かくれのかたにてlおなし六条院のうちなれとあかしの 御方や花ちるの御かたなとはちと隠しなり たいの上もわたり給り紫上也 まことのをぱ君あかしの上也 さらなりや殊更也 あまがつ人形のやうなる物也 あしこに籠なんあしことはあそこ也かしこと云も同 事也 やくなうて無益なり ミキヒタⅢグ 山の右左より月日の光I月は中宮日は東宮二比する 也 西のかたにこき行I浬藥の舟也 ぞくのかたの文俗書也 ﹂︵“ウ︶ ﹂︵龍オ︶

(56)

四十七一三常磐松文庫蔵『九条家本源氏物語聞書』 十萬億の國阿弥陀経二曰従是西方過十万億佛土有世界 名為極楽 月日言たり女文には日付をばか上い物なれ共耆たり是 を命日にせよと也 くとくを作り給へ我かうけん為はかり二非す御身ノため なり善根をあそはせと也 さばの外沙婆世界のほか也 シノ 十四日岸隷茎チ十四日廿四日なと些云は四の字といぷて世上二云 事也いはれさる儀也十三日十五日といふにて心うへし十日迄は コエ よみに云也十一日からは音にいふへし 願文グハンモン素然かやうによゑ給 今はとl残り侍けり先二入道の出家し給し時 かなしかりしか今比かなしさも叉残るとの義也先ノ時か なしさのこると云内に今のかなしさも残ると云心こもる狄 わしの峯をはたとj11しからす常在昊鷲 山 とは知なからまとひ給となり ヲ、ソ 御かたは いといふしくかなしけなるI尼の様躰也 あひ象でてもし濁れり 行さきたのもしく向後頼もしく也差は後世の事 にてはなし ひそ朶給ふ啼事也 此文箱はI願文共を入て持参也 みやすン所はIあかしの中宮也 ﹂︵髄オ︶ ﹂︵髄ウ︶ 虫喰アリ。 − 2 0 7 −

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