Hahn-Banach
の定理と選択公理
alg-d
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2013
年
10
月
27
日
解析学において,選択公理が欠かせない定理として有名なのがHahn-Banachの定理で ある. 定義. 関数f, g と集合Sに対して f =S g⇐⇒ S ⊂ dom(f), dom(g)かつx ∈ Sに対してf (x) = g(x) f ≤S g⇐⇒ S ⊂ dom(f), dom(g)かつx ∈ Sに対してf (x)≤ g(x) Hahn-Banachの定理. V を実線型空間,W ⊂ V を部分空間として,p : V −→ Rを劣 線型汎関数とする.f : W −→ Rを線型汎関数とし,f ≤W pを満たすとする.このとき Z(p, f ) :={g : V −→ R | g =W f, g≤V p} ̸= ∅である. 証明はZornによるが,実は選択公理より真に弱い超フィルター定理(集合X 上の任意 のフィルターは超フィルターに拡張できる) があれば証明できることが知られている.こ の証明は,超積を使えば次のように簡単にできる. 定理 1. 超フィルター定理=⇒ Hahn-Banachの定理 証明. A := {g : V −→ R: 部分線型汎関数 | W ⊂ dom(g), g =W f, g ≤dom(g) p} と する.任意のx ∈ V に対してAx := {g ∈ A | x ∈ dom(g)} ̸= ∅である.また有限個の x0, . . . , xn ∈ V に対してAx0 ∩ · · · ∩ Axn ̸= ∅が成り立つ.故に超フィルター定理によ り,{Ax | x ∈ X} ⊂ P(A)を含むA上の超フィルターU が存在する.∗R := RA/U とす る.φ : V −→∗Rをx ∈ V に対してφ(x) := [{g(x)}g∈A]で定める.φは明らかに線型で,次の二条件を満たす: (i) φ =W f (ii) φ≤V p.(ii)よりx ∈ V に対してφ(x)は有
限である.よってψ(x) := st(φ(x))∈ Z(p, f)が定義できる.
[1] によれば「一般のBanach空間B においてB∗ が十分豊富に元を持つ事は Hahn-1
Banachの定理によって保証されている」のであるが,ではもしHahn-Banachが成り立 たなければB∗ が豊富に元を持たないようなBanach空間B が存在するのであろうか. 実は以下のことが知られている. 実Banach空間ℓ∞ := {{xn}∞n=0 ∈ RN sup n∈N|xn| < ∞ } と閉部分空間c0 = { {xn} ∈ ℓ∞ lim n→∞xn = 0 } ⊂ ℓ∞から商Banach空間ℓ∞/c 0 が得られる.このとき 命題. (ℓ∞/c0)∗ ̸= 0 =⇒ Baireの性質を持たない部分集合A⊂ Rが存在する. 実は次の定理が成り立つ.[2] 定理 2. ZFが無矛盾ならば ZF+「任意の A ⊂ RがBaire の性質を持つ」も無矛盾で ある. 故に,ZFで(ℓ∞/c0)∗ ̸= 0を証明することはできないのである.
参考文献
[1] 黒田 成俊,関数解析,共立出版,1980[2] H. Judah and S. Shelah, BAIRE PROPERTY AND AXIOM OF CHOICE, Israel J. Math. 84 (1993), 435–450
[3] E. Schechter, Handbook of Analysis and its Foundations, Academic Press, 1997