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温暖化予測のための大気海洋結合モデルの開発

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

国連の温暖化防止のための究極の目標は、CO2等の温室効果ガスの大気中濃度を安定化することである。 2005 年からは、締約国会議により、京都議定書以降の長期的な削減議論が開始される予定である。文部科学 省では気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第 4 次評価書(2007 年予定)へ科学的に貢献するため、世 界最速のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を開発し、高精度の温暖化予測のための「人・自然・地 球共生プロジェクト」を平成 14 年度より開始した。当所は中核研究機関として、米国大気研究センター (NCAR)、米国エネルギー省ロスアラモス国立研究所、九州大学とともにこの公募研究に参加し、従来の 2 倍 の空間解像度を有する中解像度大気海洋結合モデルによる温暖化予測、および、更に解像度を向上させた高解 像度モデルの開発を行っている。

目 的

NCAR の大気海洋結合モデル CCSM-3 をベースとして、地球シミュレータに適した温暖化予測のための中解 像度大気海洋結合モデルを開発する。現状再現計算等によりモデル特性を把握し、温暖化予測のためのモデル を完成させる。

主な成果

1.大気海洋結合モデルの開発 CCSM-3 は大気、陸面、海氷、海洋の 4 要素モデル、および、要素間のフラックス交換を担うフラックスカ プラから構成される。地球シミュレータに適したベクトル並列コードとして、低解像度(大気モデル T42, 空間解像度 300km: 海洋モデル 1 度, 100km)と中解像度(大気モデル T85, 150km: 海洋モデル 1 度, 100km) の結合モデルを、NCAR と共同で開発した。コード開発では、新たな計算方法、通信方法を導入すること により、T85 モデルで 100 年間の温暖化予測計算を約 1 週間で実行できる性能を達成した。次に、現状気候 (1990 年時点)の再現実験(100 年間)を行い、計算結果と観測結果との比較検討により、長期間に渡る計 算の安定性と良好な気候再現性を確認した(図-1)。 2.単純な濃度シナリオに対する温暖化予測計算とモデル感度の把握 CO2濃度年率 1%増加シナリオ(約 200 年間)、濃度が 2 倍および 4 倍になった時点から濃度を固定した安定 化シナリオ(図-2)について、温暖化予測計算を行った。全球平均の地表温度の上昇は、二酸化炭素濃度 が現状の 2 倍になった時点で、T42 モデルでは 1.39 ℃、T85 モデルでは 1.43 ℃となった(図-3)。また、二酸 化炭素濃度の上昇開始後約 100 年で、夏季の北極海において海氷が一定期間消失するという予測結果が得 られた(図-4)。

今後の展開

二酸化炭素濃度を 2 倍、4 倍に固定した安定化シナリオについての予測計算を継続実行し(数百年間)、深層 海流(熱塩循環)の停止などの不可逆現象と濃度安定化レベルの関係を詳細に検討する。さらに、IPCC の第 4 次評価書に貢献するため、IPCC SRES シナリオ、濃度安定化シナリオ等に基づいて将来気候のアンサンブル 予測実験を行う。 主担当者 環境科学研究所 大気環境領域 主任研究員 吉田 義勝 環境科学研究所 大気環境領域 特別契約研究員 北端 秀行 環境科学研究所 陸・水環境領域 上席研究員 丸山 康樹 関連報告書 「新世紀重点研究創生プラン Research Revolution 2002(RR2002)人・自然・地球共生プ ロジェクト『大気海洋結合モデルの高解像度化』平成 15 年度研究成果報告書」受託報告: V990401(2004 年 6 月) 28

温暖化予測のための大気海洋結合モデルの開発

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C.エネルギーと環境の調和

29 02 04 0 モデ ル年 0. 0 1.0 2.0 3.0 4.0 0 20 40 モデ ル年 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 冬季 夏季 南半球 北半球 60 80 100 120 140 海氷体積x10 13m 3 全球年平均地表温度(℃) モデル年 1%漸増(T85) 4倍固定(T42) 2倍固定(T42) 1%漸増(T42) 現状気候(T85) 現状気候(T42) 観測 海氷面積x10 6km 2 モデル 10 80 0 4倍固定 2倍固定 現状気候 モデル年 150 CO 2 濃度 1420 ppm 710 ppm 355 ppm 1%/年増加 図-4 北半球および南半球における海氷体積の時間変化 T42結合モデル(空間解像度約300km)を用いたCO2漸増計算(年率1%)の結果(季節変化と年間平均)。海 氷の減少は北半球において顕著であり、 CO2濃度上昇の開始後約100年で、北半球の夏季に海氷が一定期間消 失するという予測結果が得られた。 図-2 温暖化予測に用いたCO2濃度の時間変化 図-1 海氷面積の計算結果と観測結果の比較 現状条件(1990年時点)、年率1%のCO2漸増計算、 現状の2倍および4倍でCO2濃度を固定する安定化シ ナリオに基づいて温暖化予測計算を実施した。 北半球における海氷面積の計算結果(現状気 候、T85モデル)は観測結果と良好に一致し ており、モデルの妥当性を示している。 図-3 全球平均地表温度の予測結果 空 間 解 像 度 約 3 0 0 k m の T 4 2 モ デ ル 、 お よ び 約 150kmのT85モデルを用いて、温暖化予測計算を 行った。CO2倍増時(80年目)の温度上昇は、T42 モデルで1.39℃、T85モデルで1.43℃となった。 CO2濃度を現状の2倍および4倍で固定したケース については、今後も数値計算を継続実行し、濃 度安定化レベルと深層海流(熱塩循環)の関係 について詳細に検討する予定である。

参照

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