「マルチメディア通信と分散処理ワークショップ
J
平成5年11月雑談を用いた電子会議のコミュニケーション
についての検討
宗 森 純 *
堀 切 一 郎 *
長 津 庸 ニ * -鹿児島大学工学部 電子会議の一種である分散協調型KJ法を支援する発想支援シ ステム郡元を開発した.本システムの特徴は.参加者のお互いの コミュニケーションをとるためにテキストベースの雑談機能を備 えていることにある.本報告では分散協調型KJ
法を隣接した場 所で行なった場合と離れた場所で行なった場合とを比較した.そ の結果,離れた場所で行なった場合,雑談によるコミュニケーシ ョンの量が増加することがわかった. 1 .はじめに マイクロプロセッサ技術の進展により. 学校やオフィスに比較的低コストで,ネ ットワーク化が可能なパーソナルコンビ ュータやワークステーションが急速に普 及しつつある.それにイ半い.ネットワー クによって結合された計算機で構成され る分散処理環境下において,グループで の知的生産活動を支援する技術であるグ ループウェアの研究が電子会議を中心lこ 盛んに行われてきている[1]-[3]. 本報告では学生実験において.発想支 援システム郡元[4]を用いて,電子会議 の一種である分散協調型KJ
法を隣接し た場所と離れた場所で行なった結果を. お互いのコミュニケーションをとるため に使用した雑談をパラメータとして比較 する.2
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分散協調型KJ
法 混沌とした多くの情報を抽出.蓄積. 管理し,それらを整理したり,それから 新しい発想やアイディアを得たりするに は.付筆紙等の紙片による情報整理が有 効である. K J法はこれを利用していて. 多人数で机など広い場所に置かれた多数 の紙片の記述内容を眺め,関連のあるも のからボトムアップ的に整理していき, その過程で,新しい発見や発想を得てま とめていくものであり [5],新しい発想 を作り出すブレーンストーミングにまと めの作業を付け加えたものと考えること ができる.特にまとめの作業のうち.図 解化をKJ法A型.文章化を KJ法B型 という. An examination to text based communication function in electronic meeting systemJun Munemori., Ichiro Horikiri., Yoji Nagasawa
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Facultyof Engineering, Kagoshima University分散協調型KJ法は複数の計算機上で 協調しながら KJ法を行なう手法で,電 子会議の一種である.学生実験での分散 協調型KJ法の手II}震を以下に示す.最初 は意見の入力である.参加者は協調しな がら各自の計算機から自分の意見をキー ボードで入力する.
W
a
d
a
m
a
n
[
6
]
に蓄積 されている過去の実験結果の意見を再利 用して,新しい意見として入力すること もできる.意見が出尽くしたら,島の作 成を行なう.これは画面上の意見をマウ スでドラッグ(マウスボタンを押しなが ら動かすこと)することにより移動させ司 類似したものを近くに持ってきて行なう. 各々の島には表札(ここでは島名と呼ぷ) を付ける.島作成も参加者全員が各自の 計算機にむかつて協調しながら行なう. 最後にこの島名を参考に文章化を行なう. 3 .郡元のシステム構成と雑談機能3
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1
システム構成 郡元は知的生産の技術カードシステム とそれを洗練し,衆知を集めて発想をま とめる手法である KJ法とを融合し,複 数の計算機の上で画面を共有して分散協 調 型KJ法を行うための発想支援システ ムの一つである.郡元のシステム構成図 および仕様をそれぞれ図1
および表1
に 示す.郡元は分散協調型KJ法支援シス テムとデータベースとして用いる知的生 産 支 援 シ ス テ ム{
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n)
[
6
]
から構成 されており5
台まで協調作業が可能で ある.郡元は各計算機上にソフトウェア をおき.通信用の関数を用いてデータを 送 受 信 す る 方 式 を と っ て い る . 郡 元 は EtherNet上 の Wadaman (データベース)g
│
瞳
図1 郡元のシステム構成図¥
仕~l 紙切 緩続可能台数 5 台まで鑓続可 G~. 基 本 懐飽 函面サイズ 1 9インチ. 図面縮小 4函面分の縮小法示と2図荷分の総,j、表示が可al 操作継 針あ筑る僚時間が内ラにン多ダ数ムのに発指名冨希.先望者1lf踊がいも可る組能合.は 共有ウインドウ 百プ十算レ績ーンストーミン表グや示烏の作成に使用.各 ウ で同ー内容を イ ン 入力ウインドウ 文ウ字イ入ン力ドウ{意見入ー力カ} の使た用めの専用の ド ロ Jレで ワ 総隊用ウインドウ 雑A交が周次表示さtI.,スクロールが可能. 意見準備 操ン作ド権ウのに有は無文字に入か力かわ{窓ら見ず入.常力)時.が入可力飽.ウイ Ka
法文a 飽J 2在絞 操作織総の有額無にかかわ的らずを付常加時可能る彼.特自E定も設の相害 の み の や 自 分 の 名 す 偏. 島作成 同ー島内の窓見は烏をibかすとー絡に移動. 文まま作成 災九肢て作で成はもl台可能で文.章を作成するが, 5台まで.8JI データペース 験デ結ーJタRペをー自動ス的とにし保てW存aしdm.a両n手I1112月j1がが存可在能.t実 表1 郡 元 の 仕 様 EtherTalk{10MBPS:AppleComputer)で 接 続 し た 複 数 台 の 計 算 機 ( Macintosh Ilfx(AppleComputer))上で実 現 し た . 使 用os
は 漢 字 Talk7.1 (AppleComputer), 使 用 言 語 は HyperCard2.1 (AppleComputer)の 記 述 言 語 で あ る HyperTalk2.1 (AppleComputer)および通 信 用 の HyperAppleTaUく(AppleComputer)で, 約60 0 0行のプログラムである.3
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2
雑談機能 郡元では各参加者聞の相互のコミュニ ケーションをとるためにテキストベース の雑談機能[4]1[ηを 設 け た . 郡 元 の 雑 談 機能は意見入力の場合と異なり操作権の 有無にかかわらず,他の人が発言中でも 常時,キーボードから自由に入力ができ る.雑談を送信する相手を指定し2
人 だけの内緒話ができたり,雑談の文章に 自分の名前を付加したり外したりする機 能ももたせた.これは匿名性をもたせる - 4 μ う ? た 乙 い き い な て て て し つ つし?りな ぼ だ 吾 作 く し を す 島 な を見でろるで マ意まそす‘ い﹄かつろうう はテ伺いそども 手 図2
雑談の入力メニュー ために採用した機能である.また.予め 頻繁に使用される雑談を図2のように入 力用のヴインドウにポップアップメニュ ーイヒして.ワンタッチで入力することが できるようにした.4
.適用例 郡元の学生実験への適用の例を操作手 JI/買に従って.以下に示す.実験は離れた 場所で3
台 (3
人)の計算機を用いて実 施された. ( 1 )ブレーンストーミング 実験のテーマについて,1
,議々なアイデ ィア(意見)を入力する. まず,図 3下部に入力ウインドウが表 示されているので,これに意見を入力す る.次に,入力ウインドウの"意見を出 す"ボタンをクリックすると,四角形の 枠に固まれた意見は,参加している全て の参加者の画面に送信され表示される. "雑談を送る"と番かれた部分をクリ ックすると,入力ウ,インドウの内容が図3
の左下の雑談用のウインドウに入力.ほL otめwιaう曲がめ lilい向 どうする4偽 日闘車電置し阿久減咽} ζ n~らいでいい~'IJ包c.ttJb 3 つしか怠見しt 俗いけどいいで'T~易担〉 図
3
意見の入力 図4
島の作成 表示され,入力された雑談は他の計算機 める.次に図3
の"操作する"ボタンを にも表示される. クリックすると図4
のように入力ウィン ( 2) 島の作成 ドウの下に新たなボタンがでてくる.こ 発言が一通り終わると,意見をまとめ のなかの"島をつくる"ボタンをクリッ にかかる.グループ化は人がおこなう. クすると,小さな枠が一つでてくるので. このまとめる基準は,なんとなく内容が これを引き伸ば.して内容が似ている意見 近いということに置く.内容の似ている を囲むと島になる(図4).一旦,島を 意見をドラッグして移動し.一箇所に集 作成すると島を移動しでもその中の意見図5 KJ法B型(文章化) は付いてくる. "雑談を送る"と害かれた部分をクリ ックすると,入力ウインドウの内容が図
4
の左下の雑談用のウインドウに入力. 表示され,入力された雑談は他の計算機 にも表示される. ( 3)文章化 最終的に,文章化 (KJ 法B型)を実 行する.図4の"まとめる"ボタンをク リックするとまとめの文章を入れるウイ ンドウが現われる.これに思い付いた言 葉を入力し文章にする(図 5) . "雑談 を送る"と害かれた部分をクリックする と,入力ウインドウの内容が図5
の左下 の雑談用のウインドウに入力.表示され. 入力された雑談は他の計算機にも表示さ れる.(
4
)データの保存 分散協調型KJ法を実行する際の各段 階でかかった時間や参加者のデータとと もに結果が自動的に Wadamanに保存さ れる.5
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適用結果と考察 被験者がお互いに声の届く隣接した場 所で11
回.被験者がお互いに声の届か ない離れた場所で 10回の合計21回の 実験を行なった.被験者は3年生の学生 である.実験の結果を表2
に示す.また. 隣接した場所と離れた場所の結果の平均 を表3に示す. 表3
の数字を見ると隣接した場所でも 離れた場所でも所要時間,意見の数,意 見の文字数,島の数,島名の文字数,ま とめの文字数.雑談の文字数にはほとん ど変化は無かったが,雑談の数が離れた 場所で行なうと大幅に増加した.隣接し ている場合に雑談の数がそれほど多くな いのは,実験を行なっている学生の席が 近接しているため,声や身振り手振りに よるコミュニケーションが{吏われたため と考えられる.また,雑談の内容を分類 してみると表4
のようになった.また, 一回一回の結果をグラフで表すと図6の ようになる.離れた場所では分散協調型所要時間 意見の数 島の数 雑践の数 computerの難しい附 232 25 5 36 Jリーグの将来世 180 35 6 35 これからの文字 157 81 4 6 隣 137 24 8 4 接 宰せな箱崎隼1古 122 28 6 4 し 今後発展しそつなスボ ツ 261 38 7 た 麗児島を発展させるには 180 38 9 2 場 将来(J)凪 田 112 20 7 o 所 究極のRPO 222 52 7 120 ,、両量5Jl"RX.P/J1巳VJ;町凋屯 221 29 4 26 │究極の獄り暮らし 183 31 7 9 プロ野球とJリ グ 180 39 7 98 │映学画生実の藤将来壱玄くするには 167 46 8 74 離 120 23 4 69 れ 車とバイクの楽しみ方 164 58 11 79 た 将来の生活 180 43 8 91 場 文化の違い 192 46 9 58 所 理想の結婚 139 33 7 39 究極の映画 259 44 8 51 野球とサッカーの将来 248 30 6 39 人気のあるスポーツ 160 40 6 93 平均 181.7(分) Jß~血 6.9(個) 44.5(倒) 表2 実験結果 隣接した場所 離れた場所 所要時間 [分] 182.5 178.4 意見の数 36.5 41.5 意見の文字数 17.1 20.1 島の数 6.4 7.3 島名の文字数 8.0 10.3 まとめ文字数 243.5 292.3 雑談の数 22.1 67.1 雑設の文字数 13.6 14.9 表
3
平均値の比較 百分率(%) 瞬接した場所 離れた樋所 議題に閲するもの 35 42 進行に関するもの 39 39 操作方法に閲するもの z 5 まったくの雑談 24 14 表4
雑談分類圏全くの ~U凍 圏操作 )jtl~ に!泊するもの 口 会 議 の 進 行 にl地係するもの
.
1
議.wに関係するもの 雌れた場所 隣接した場所 120 100 80 h n r l 川 TM 川崎暗e
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穏 . 器 個々の実験の雑談の内容 意見の数と雑談の数との聞には,関係は 認められなかったが,離れた場所では意 見が多いと雑談も多くなる傾向があった. 図6KJ
法のテーマ(議題)に関するものが 多かった.次に,意見の数と雑談の数と の関係を図7に示す.隣接した場所では120 100 80 言語
s
60 緩 40 20。
。
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A ム A A d d τ己 20 A•
••
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- 離 れ た 場 所•
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A隣 接 し た 場 所 企 ~ 40 60 80 100 意 見 の 数 図7 意 見 の 数 と 雑 談 の 数 と の 関 係6
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おわりに 本 報 告 で は , 電 子 会 議 の 一 種 で あ る 分 散 協 調 型KJ法を行なう場合に.コミュ ニケーションをとるために用いたテキス ト ベ ー ス の 雑 談 の 使 用 結 果 弘 隣 接 し た 場所で行なった場合と離れた場所で行な った場合とにわけで考察した.今回の実 験 で は 離 れ た 場 所 で 分 散 協 調 型KJ法を 行なうとお互いのコミュニケーションを とるために雑談の数がかなり増加するこ とがわかった. 今 後 は , 離 れ た 場 所 で の 分 散 協 調 型K J法のコミュニケーションをとりやすく するための機能の強化を検討していく予 定である. 参考文献 [1] Stefic, M., Foster, G., Bobrow, D.G., Kahn,K., Lanning, S. and Suchman, L.:Beyond the Chalkboard: Computer Support for Collaboration
and Problem Solving in Meetings, Communications of the ACM, Vo.l30, No.1,
pp.32・47(1987). [2]松下温:図解グループウェア入門.オーム 社.東京(1991). [3}阪国史郎:グループウェアの実現技術,ソフ ト・リサーチ・センタ,東京(1992). [4]宗森純.堀切一郎,長津庸ニ:分散協踊型 KJ法支援システム郡元の学生実験への適用結 果.情報処理学会研究会報告.グループウェア 1・5,pp.35・42(1993). [51}! I喜田二郎:発想法 創造性開発のために, 中公新書,中央公論社.東京(1967). [6]和 田 満 , 宗 森 純 . 長j畢庸ニ:知的生産の 技術カード支援システム・考古学データへの適用 、情報処理学会人文科学とコンビューヲ研究会, 7・3(1990). [7]河合和久:協調作業支援機能をもったカード 操作ツールKJエディタの評価実験,発想支援 ツールシンポジウム資料集科学技術庁総合研究 課題 f知的生産活動における創造性支援に関す る基盤的研究