現代学問論(2011年6月7日,14日,21日)
担当 大学院理学研究科物理学専攻
領域横断物理学専担講座
量子物性物理学大講座
生物物理学研究グループ
教授
大木和夫
http://www.bio.phys.tohoku.ac.jp この授業で使用した図表は次のアドレスで参照できます。 http://www.bio.phys.tohoku.ac.jp/~ohki/gakumon.html大木和夫のプロフィール
1947年に東京・渋谷に生まれる。 都立戸山高校を卒業し、 京都大学理学部に入学する。 大学院理学研究科の修士課程・博士課程に 進学し生物物理学専攻で京都大学理学博士 を取得する。 岐阜大学医学部生化学教室で、助手、講師として 勤務する。 岐阜大学医学部助教授講師会(2列目の左端) 東京・渋谷 京都大学大木和夫のプロフィール
岐阜大学医学部講師の在職中に、文部省の長期在外研究員として 米国ボルチモア(Baltimore)市のジョンスホプキンス大学生物物理 学科に家族を伴って留学する。 メリーランド州のボルチモアは 首都ワシントンまで自動車で1 時間の距離にあり、連邦政府の 施設であるスミソニアン博物館 は無料で見学ができる。 ジョンスホプキンス大学 航空宇宙博物館大木和夫のプロフィール
帰国後、1986年6月から名古屋大学工学部応用物理学科第6講座 の助教授になる。 名古屋大学大学院工学研究科に量子工学専攻 が新設され、生物物理学講座の助教授を兼任 する。 1991年12月から東北大学理学部物理学 第二学科教授として、仙台に着任する。 大学院重点化により、物理学専攻、物 理学第二専攻、原子核理学専攻が統合 されて物理学専攻に領域横断物理学講 座が新設され、その教授として、現在 に至る。 名古屋大学工学部 東北大学理学研究科理学合同棟B京都大学理学部生物物理学科に入学しようと決めた動機
渡辺 格(わたなべ いたる、1916.9.27- 2007.3.23) 日本の分子生物学者。慶應義塾大学名誉教授。 東京帝国大学理学部化学科卒業 東京文理科大学助教授 東京大学理工学研究所教授 東京大学理学部生物化学科教授 京都大学ウイルス研究所教授 慶應義塾大学医学部教授(分子生物学研究室) 高校では物理が好きで得意だった。 DNAの二重らせん構造がX線回折法で解明され、遺伝の本質が分子の レベルで解明されたことを渡辺 格氏の著書で知り興味をもった。 生物物理学を学びたいとの強い気持ちになり、生物物理学科が新設 された京都大学理学部を受験して合格する。 日本人で最初のノーベル賞(物理学賞)受賞者である湯川秀樹博士が生物 を物理学の視点で研究する必要があるとして、京都大学に生物物理学科の 設置を要望し、1967年に京都大学理学部に生物物理学科が新設される。1964年から1966年に慶応大学、早稲田大学、中央大学で学費の値上げに対 する闘争があり、1968年には東京大学医学部で登録医制度、インターン制 度に反対する無期限ストが行われた。安田講堂の占拠、全学部へのストの 拡大で、大学当局との徹底的な対立となった。1959年1月18日は機動隊が導 入されて封鎖が解除されたが多くの逮捕者と負傷者が出た。この大学闘争 の波は全国に広まり、京都大学でも、既存の権威を否定する闘争となり、 全共闘学生と機動隊の衝突となった。機動隊の導入で闘争表面的には収 まったが、全共闘系学生との対立は続いた。そのために定期試験を受けた のは2回生(2年生)の後期まででそれ以降は定期試験の時は必ずストに入る ので定期試験の成績はなしで、教官による成績評価で卒業した。 授業のない時期は博士課程の大学院生をチューターとして5人の仲間で自 主ゼミを組織し、力学、統計熱力学、量子力学、電磁気学の勉強した。そ のときの仲間は東大、阪大、京大の教授になっている。 既存の権威・制度に反対する闘争であったので理学部にある数学科、物理 学科、宇宙ぶち理学科、化学科、動物学科、植物学科に定員があり、所属 希望者が定員を超えると所属できないというのは不合理だとの考え方から 学科制が廃止されて、理学部卒業となった。大学院では生物物理学専攻を 受験して入学した。
大学闘争の時代
人類の基本命題=我を認識したときに発する素朴な疑問
自己に対する疑問:「私は誰?(What is life?)」 →生物科学 環境に対する疑問:「ここはどこ?(What is universe?)」→物理科学
ルネ・デカルト:René Descartes, 1596.3.31 – 1650.2.11) 「私は考える、ゆえに私はある」Je pense, donc je suis(フランス語)
「我思う、ゆえに我あり」 cogito ergo sum (ラテン語)
学問の出発点とは?
問うて、学ぶ
Electron Spin Resonance (ESR)装置 スピンラベル法: 常磁性分子として、安定 なニトロキシドラジカル類を導入してスピ ン・プローブとし、そのESRスペクトルから 生体分子系のダイナミックス(膜流動性、相 転移、相分離など)に関する知見を得る測定 方法 京都大学大学院生物物理学専攻での恩師 研究室は学部に続いて大西俊一教授の量子生物物理講座 を選んで所属しました。研究室の全体的な研究題目は 「生体膜の構造・物性と機能の相関について」です。 大西先生は留学先のスタンフォード大学でMcConnell 教授とスピンラベル法を考案し、生物物理学の分野 でとくに生体膜の研究に大きく貢献した。 博士論文の題目「燐 脂質 モデ ル膜内で の ポリエ ン系抗生物質とステロールの 相 互作 用」 で理学博 士を授与された。大学院の在学中に岐阜大学医学部 の野澤義則教授とテトラヒメナ細胞の環境適応機構 の共同研究を行っており、学位の取得と同時に岐阜 大学医学部生化学教室の助手となった。 大西先生傘寿(80歳)の会2010年1月 電子スピン共鳴装置
核膜をもつ真核細胞は独自のDNAをもち植物では寄生した葉緑体とミトコンドリア を動物ではミトコンドリアを、さらに小胞体、 ゴルジ体などの細胞内小器官をもつ ・これらは生体膜で区画された構造体である ・区画領域はそれぞれ化学反応槽となる 細胞の模式図 原核細胞は核膜をもたず、DNAは環状になってる 細胞は生体の化学反応槽
細胞は地球生物の基本単位
生体膜は区画性と同時に透過機構を備えている。手順 1. 試料(細胞、liposome)を-150℃で凍結 2.-110℃の高真空下で割断 3.白金を斜めから蒸着して陰影を付与 4.炭素を蒸着して補強 5. 試料を溶解して、Replicaを調製 6.電子顕微鏡でReplicaを観察
凍結割断電子顕微鏡による生体膜の構造研究
(Freeze-fractured Electron Microscope
)
脂質二重層の割断面 に存在する膜蛋白質 が観察できる。
凍結活断電子顕微鏡による細胞(膜)の構造
肝細胞の凍結活断電子 顕微鏡像 核 小胞体 ミトコンドリアSinger-Nicolsonの流動モザイク膜モデルと背景となった研究
流動モザイク 膜モデル (1972) 生体膜/脂質膜の X線回折(1970) 脂質スピンプローブ の軸対称回転(1971) 脂質スピンプローブ のフリップフロップ (1972) 生体膜/脂質膜の 示差走査熱量測定 (1970) 生体膜の凍結割断 電子顕微鏡(1970) 膜タンパク質の 側方拡散(1970) 脂質の統計的な集団 脂質二重層を貫通する タンパク質 膜タンパク質 の拡散運動 脂質分子の規則 的な配列 脂質分子の内外層間移行 脂質膜の流動性 Wilkins et al. Hubbell &.McConnell:Devaux & McConnell Melchior et al.
Pinto da Silva & Branton
細胞膜(生体膜)の構成脂質
ホスファチジルコリン(レシチン) 1-Stearoyl-2-oleoylphosphatidylcholine スフィンゴミエリン Sphingomyelin ガングリオシド(糖脂質) Ganglioside コレステロール Cholesterol極性頭部
(親水性)
脂肪酸側鎖
(疎水性)
両親媒性分子
(親油性)
生体膜の脂質分子は両親媒性の共通構造をもち、水中 で自発的に集合して2次元の膜構造を形成する。脂質分子の水中での自発的な集合による膜形成
水中で脂質分子が自発的に 形成する脂質二重層膜 脂質小胞(liposome) ユニタリー・ポテンシャルの差 と活量係数 が与えられれ ば が与えられたXwにおいて最大値をもつ条件から、最適な脂質集合 体の大きさが求められる。 0 ,m w micel
生体膜の主要構成成分と動的な構造
脂質と蛋白質を配置し、動的構造の概念を導入した。静電相互作用で結合し、イオ ン強度の上昇または上げるか2価陽イオンのキレート剤除去で解離する表在性膜蛋 白質、疎水結合で膜を貫通または膜に係留し界面活性剤で可溶化される内在性膜蛋 白質の2種類に大別した。膜脂質は流動的な状態にあり、膜蛋白質も横方向の拡散 運動をしているとした膜モデルである。細胞膜の融合で膜蛋白質の拡散運動を示した実験
[L.D. Frye and M. Edidin, J. Cell Sci. 7 (1970), 319-335 ] マウス(L)細胞のH2抗原はgreen fluorescenceで蛍光標識した抗体で、ヒト 細胞(VA-2)の表面抗原はred fluorescenceで蛍光標識した抗体で染色した。
Sendaiウィルス存在下に0-4 ℃で10 min、37 ℃に温度を上昇させて5-10 min
処理した。
Michael Edidin 留学先の教授
地球生物の誕生と進化
地球の誕生 海での生命の誕生 植物(光合成)が 支える生態系 (化学進化) (ダーウィン進化) 地球上の元素で 生 体関連分 子 が 生 成す る過 程 遺伝情報 の 蓄積と変 異 によ り進 化 進 化 はエ ネ ルギ ー 利用 シ ステムの 発展であ る 太陽エネルギーで 維持されるシステム 原 始 生 命 の 誕 生 -45億年 -38億年 現 在 の 地 球 生 物 系 ( 生 態 系 )±0年地球上の様々な環境
極地 熱帯雨林
温帯地域 砂漠地帯
地球の地質学的な気候変動
5億年前 現在
夏 (暑い)
冬 (寒い)
生体の定常状態(恒常性=37℃の体温の維持)=生きている状態
汗の蒸発熱(気化熱)で体温を低下 させる。 筋肉の収縮でエネルギーを消費し、 発熱で体温を上昇させる。発汗
ふるえ
定常状態の 維持にはエ ネルギーを 使っている。全ての生物は多細胞生物も単細胞生物も個体として、それを取り囲む 環境の中で生息しており、常に変動する種々の環境因子の下で一定の 状態を維持しようとする能力(ホメオスタシス=恒常性)を備えてい る。 多細胞生物の各細胞も直接的な周囲は水環境を介した細胞間相 互作用の下にある。 個々の細胞は自身の遺伝情報をもっており、環 境から受けた刺激に対して応答する能力を示すことができる。
細胞と外界の環境
Swiss3T3細胞環境
刺激
(物理的・ 化学的)応答
細胞は刺激に対して 適切に応答する情報 処理素子と見なせる。原生動物に属し、核、ミトコンドリア、小胞体などの内膜系をもち、 繊毛で遊泳する。口から食物を摂取する テトラヒメナ細胞(Tetrahymena pyriformis)を用いた温度依存的な膜物性と生物 機能との相関の研究 39℃で培養したテトラヒメナ細胞の温度を 15℃に低下させた後の遊泳速度の時間変化 遊泳速度 [um /sec] すべての物質には特有の性質(物性)があり、温度に依存して変化する 温度[゜C]
テトラヒメナ細胞の遊泳速度の培養温度、膜脂質組成、膜流動性との関係 細胞を15°Cで1週間培養.してから2分間で to 34°C に温度を上昇させたときのテトラヒメナの遊 泳速度の時間的な変化 O---O, 細胞を34°C で 24 時間培養してから0.8 K/min.で 培養温度を 15°C にして、90 分間培養し再び、2 分以内で 34°C に培養温度を上昇させたときの遊 泳速度の時間変化 □---□
Values presented are averages and S.D. values of 40 measurements.
テトラヒメナ細胞が本来もっているTetrahymanolをErgosterol に置換した細胞で培養温度の降下と上昇に対する遊泳速 度の時間変化
Values presented are averages and S.D. values of 40 measurements.
培養温度変化と 遊泳速度変化
Ergosterol置換と 遊泳速度変化
テトラヒメナ細胞の細胞膜の流動性と遊泳速度の相関
Correlation ratios (r) are shown in the figure.
Electron Spin Resonance (ESR)装置
細胞から抽出した脂質に脂質スピンプローブを添加して リポソームを調製し、測定したESRスペクトルからオー ダーパラメーターを求めた。 スピンラベル法: 常磁性分子として、 安定なニトロキシドラジカル類を導入 してスピン・プローブとし、そのESR スペクトルから生体分子系のダイナ ミックス(膜流動性、相転移、相分離 など)に関する知見を測定方法
生体膜の研究とスピンラベル法
スピンラベル法は常磁性分子として、安定なニトロキシドラジカル類を導入してスピン・ プローブとし、そのESRスペクトルから生体膜系のダイナミックスについての知見を得
る方法[S. Ohnishi and H.M.McConnell, : J. Am. Chem. Soc. 87, 2293 (1965) ]
有効ハミルトニアン H=βgZZSZHZ + hTZZSZIZ - gNβNIZHZ =β(<α2>g xx+<β2>gyy+<γ2>gzz)SZHZ+h(<α2>Txx+<β2>Tyy+<γ2>Tzz)SZIZ- gNβNIZHZ gZZ = <α2>g xx + <β2>gyy + <γ2>gzz TZZ = <α2>T xx + <β2>Tyy + <γ2>Tzz (α、 β 、γ はそれぞれの方向余弦) 電子スピンの磁場中でのゼーマン 分裂とESR スペクトル 電子スピンの核スピンによる超微細 相互作用による分裂 g値とTテンソル の異方性 ESRスペクトル ESR測定で用いる電磁波はマイクロ波の領域であり、可視 光の領域で不透明な物質に対しても測定が可能である。 磁場中にある磁気モーメント がもつエネルギーは古典的に は角度に依存する内積となる。 量子力学では電子スピンとして量子化されて +1/2と-1/2のスピン量子数となる g値:共鳴磁場の位置 分裂間隔
ゼーマン分裂と電子スピン共鳴
脂質スピンプローブによる膜流動性の測定
(オーダーパラメーター) 回転軸 速い軸対称回転運動 γが回転軸となす角 はNOラジカルの2pz軌道 このスペクトルから 膜流動性の指標とな るオーダーパラメー ター(S)を定義する。 Order parameterはg値とTテンソル(超微細相互作用)の異方性で生じる運動に依存す るESRスペクトルの変化から求められる。1
cos
3
)
(
2 ||
yy xx zzT
T
T
T
T
S
オ ー ダ ー パ ラ メ ー タ ーγ
γ 度S
脂質膜の流動性 ゲル相:小 (温度:低) 液晶相:大 (温度: 高) 相転移 T [℃]水の相転移(三態:固体=氷、液体=水、気体=水蒸気)
沸点100 ℃ 気化熱 2,250 kJ/kg 融点 0 ℃ 融解熱 335 kJ/kg 氷(固体) 水(液体) 水蒸気(気体) 膨大な数の粒子は統計的な現象 である相転移を示すようになる。断熱示差走査微尐熱量計(Privalov DASM4) ・試料セル: 白金製スパイラルチューブ、肉厚0.5mm、 実内容積0.745ml 有効内容積0.4669ml ・断熱方式: 内部及び外部断熱壁の温度制御 ・発泡防止法:窒素加圧 2.5 atm リン脂質(脂質膜)の相転移 前 転 移 副 転 移 主 転 移
at 39 ℃ at 33 ℃ at 21 ℃ at 15 ℃ 異なる温度で培養したTetrahymena 細胞のDSCサーモグラム at 27 ℃ Temperature 0 20 40 60 80 ℃ Privalov DASM4 DSC. Tetrahymena pyriformis 原生動物に属し、核、 ミトコンドリア、小胞 体などの内膜系をもち、 繊毛で遊泳する。 ↓は生育温度 の位置
各種脂質組成をもつリン脂質の構造と相転移温度
相転移温度: 降下 上昇 脂肪酸鎖長: 短 長 Trans/cis結合: cis trans 極性頭部: 大 小 脂肪酸結合型: エーテル エステル
DSPC C18:0/C18:0-PC C18:1Δn,cis/C18:1Δn,cis-PC C18:0/C18:1Δn,cis-PC
脂肪酸側鎖へのシス二重結合の導入による相転移温度の変化
オレイン酸 C18:1 リノレイン酸 C18:2 飽和ホスファチジルコリン 1つのシス結合 2つのシス 結合 ステアリン酸 C18:0Fatty acid composition [%]
Smooth area Rough area
C14:0 9.3 > 6.1 C16:0 24.4 > 19.3 C18:0 1.3 1.6 C16:1 8.4 8.0 C18:1 17.6 < 19.3 C18:2 14.7 < 19.0 C18:3 11.3 < 15.5 DPPCを加えた培地で39.5 ℃で培養し たTetrahymena 細胞を15 ℃に低温シ フトさせた時の小胞体膜内の膜蛋白質 分布(凍結割断電子顕微鏡観察 X60,000)) テトラヒメナ細胞の小胞体膜での相分離と相分離領域の脂肪酸構成 膜蛋白質が尐ない領域(Smooth area) と多く含む領域(Rough area)を密度勾 配遠心により分離し、それぞれの脂肪 酸組成を分析した。 Rough area Smooth area 39℃ 15℃、0h 15℃、6h 15℃、11h 温度適応による相分離の解消→
0 5 10 15 20 25 0 5 10 15 20 16:0 desaturase 18:1desaturase 18:0desaturase D es at u ra se a c ri v it y [n m o l/ m in /m g p ro te in ]
Time after shift to 15 C [h]
39.5 ℃ から15 ℃へ培養温度を低下させたときのTetrahymena細胞の適応変化. 脂肪酸不飽和化酵素活性の変化 脂肪酸組成の変化
膜誌脂質の変換による適応(恒常性の維持
)
低温へ温度シフトにより脂肪酸不飽和化酵素の活性が上昇し、膜脂質が飽和型 から不飽和型に変換される。desA:Δ12
(炭素数18の脂肪酸のカルボキシル基側から 12番目の位置に二重結合を導入)desB:ω3
(炭素数18の脂肪酸のメチル基末端から 3番目の位置に二重結合を導入)desC:Δ9
(炭素数18の脂肪酸のカルボキシル基側から 9番目の位置に二重結合を導入)desD:Δ6
(炭素数18の脂肪酸のカルボキシル基側から 6番目の位置に二重結合を導入)シアノバクテリア Cyanobacterium
(Synechocystis sp. PCC 6803)
の脂肪酸不飽和化酵素をコードする遺伝子
特定の遺伝子を破壊して、その 遺伝子がどのような作用をもつ かを調べるノックアウト法を用 い、培養温度変化時の不飽和化 酵素の役割を調べた。 光合成細菌(藍藻)35 ℃での培養では野生株と変異株 のいずれでも20 ℃付近に相転移が 観察される。 25 ℃に培養温度を低下させたとき、 野生株の相転移温度は低下したが変異 株desD-と変異株desD-/A-では相転移温 度の低下は減尐していた。
生体膜を構成する脂質分子の変換による適応
環境温度の低下に対する適応機構:不飽和化酵素の活性化
脂肪酸側鎖への二重結合の導入
動物性
植物性
核磁気共鳴画像法 (magnetic resonance imaging, MRI) 人体の約60%は水であり、その水素原子核は核ス ピンをもち、外部から(強い)静磁場を作用させる と、核スピンの磁化は磁場の向きに量子化され、 磁場の向きに巨視的磁化が生じる。この核磁化に 特定の周波数のラジオ波を照射すると核磁化は、 静磁場方向を軸としてラーモア周波数で歳差運動 を行う。ラジオ波のパルスの照射を止めると平衡 状態に戻る(緩和現象、relaxation)。これには縦 緩和(T1)と横緩和(T2)があり、それぞれの組織に よって緩和時間が異なる。核磁気共鳴画像法では、 各組織における緩和時間の差をパルスシーケンス のパラメーターを工夫して画像化している。この NMR信号の位置情報を得るためには静磁場に加えて、 距離に比例した強度をもつ勾配磁場をかけている。 勾配磁場によって原子核の位相や周波数が変化す るので、これらの観測信号フーリエ変換して、2 次元画像を得、さらにこれを3次元に再構成する。
1 0 T M M B M dt dM z eff
2 , , T M B M dt dM x y eff y x ブロッホ方程式 磁気共鳴(Magnetic resonance)電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance, ESR) 核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance, NMR)