94 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(34) アン コウ ハル ヒロ晴博(昭和32
博士(医学) 乙第1198号平成3年7月19日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
正ecithin配合1piodol emulsionを用いた肝動注化学塞栓療法の基礎的研究 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 浜野 恭一,小幡 裕論 文 内 容 の 要 旨
目的 転移性肝癌に対する化学塞栓療法薬剤としての制癌 剤配合リピオドールエマルジョン(以下LPD化制癌 剤)は粒子径が大きく,エマルジョンも不安定で僅か 数秒間以内に油相と水相に分離してしまうため,末梢 での化学塞栓効果が期待できなかった.今回著者は, 安全性の高い界面活性剤レシチンを本邦で初めて既存 製剤に配合し治療効果向上を図った. 方法 実験1:レシチン至適濃度を決定するため5段階レ シチン濃度別LPD化制癌剤を調製し,エマルジョン の粒子径(粒子アナライザー),安定性(倍率60倍鏡検 による経時的観察),粘性(日本薬局方一般試験法・粘 度測定法),アドリアマイシン(ADM)放出速度(徐 放性を評価するため高速液体クロマトグラフィー法に よる経時的ADM定量)に関し検討した. 実験2:実験1で決定した試作製剤=レシチン配合 LPD化制癌剤(以下①製剤)の転移性肝癌に対する抗 腫瘍効果を検討するため,日本白色種家兎を用いVX- 2腫瘍を経門脈的に移植し転移性肝癌モデルを36羽作 製.腫瘍移植後7日目に再開腹し肝表面の転移結節を 肉眼で確認した後,①製剤を6羽に遠島注した.対照 群として各々6羽の5群を設定した.5群は以下の② ~⑥である.②レシチン無配合LPD化制癌剤動注(既 存製剤),③制癌剤単独動注,④制癌剤単独静注(動注 との比較),⑤レシチン配合LPDエマルジ・ン動注 (塞栓単独効果の評価),⑥無処置コントロール.効果 判定は移植後11日目の摘出肝につき肉眼的(肝表面の 転移性結節算定),及び組織学的判定(リンパ球浸潤, マクロファージ遊走,脂肪変性,線維化)に関し検討 した. 結果 実験1:レシチン濃:度0.5%群は粒子径が6.5~17.0 μ1n,調整後7時間以上安定であり,5時間経過後工・マ ルジョン粒子から100%ADMが放出され,5段階レシ チン濃度群の中で最小有効濃度であった. 実験2:処置別転移結節の肉眼判定において①製剤 群は最も転移結節数が少なく,以下②,③,⑤,④, ⑥群の順であった.組織学的判定では,リンパ球浸潤, マクロファージ遊走,脂肪変性,線維化等,腫瘍の変 性度は①製剤群が最も高く,以下②③,⑤,④,⑥ 群の順であった.また,①製剤群は腫瘍に一致して肝 細胞索,ジヌソイド内等,微小血管内にLPD粒子が確 認されたが,既存製剤では確認されなかった. 結論 1.界面活性剤レシチン0.5%配合LPD化制癌剤は 既存製剤よりも粒子径が小さ.く,・安定性,制癌剤徐放 性にも優れていた. 2。動物実験において試作製剤は,既存製剤では得ら れなかった腫瘍内の微小血管での塞栓が認められ,真 の腫瘍化学塞栓が期待できると考えた.また,対照群 との肉眼的,組織学的比較判定で共に最も優れた抗腫 瘍効=果が得られたため,臨床応用が有望であると思わ れた. 一698一95