180 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(77) ヒガシ ヤマ タク ジ東山卓嗣(昭和33
博士(医学) 乙第1241号平成4年1月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
コラーゲン型被覆材における生理活性物質の血管新生効果の検討 一ヘパリン,プロタミンの血管新生に及ぼす影響一 (主査)教授 平山 峻 (副査)教授 小林 愼雄,福山 幸夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 近年,形成外科領域における人工真皮に関する研究, 開発には目覚ましいものがある,本研究では,臨床上 使用可能な生理活性物質であるヘパリンナトリウムと その拮抗作用をもつプロタミンを用いて,コラーゲン を主材料とした三層構造人工真皮内に起こる血管新生 に及ぼす影響を検討した. 材料 実験に用いた人工真皮は三層構造から成り立つ,表 層はシリコーン層,中間層は熱架橋を施し,スポンジ 状に成型した繊維化アテロコラーゲソ層,最下層は熱 架橋を施し,スポンジ状に成型した繊維化アテロコ ラーゲンと熱変性アテロコラーゲンの混合層より構築 される. 実験方法 家兎(N=7)の背部に皮膚全層欠損創(4×4cm2) を作製した.前述した人工真皮をそれぞれ生理食塩水, ヘパリン水溶液(200U/ml),プロタミン水溶液(10mg/ ml)で湿潤させて移植した(それぞれ順に1群, II群, III群とした).術後,1,3,5,7日に,それぞれ同 溶液で湿潤させ,術後人工真皮内の血流量の変化を レーザードップラー血流計を用いて測定し,さらに組 織学的検索を行った. 実験結果 1)血流量の変化 術後7日までは,3群に有意差はなかったが,術後 10日目には,血流量はII群,1群, III群の順となり, 人工真皮内の」血管新生にヘパリンは促進的に,プロタ ミソは抑制的に働くことが明らかになった. 2)組織学的検索 術後2週目にはII群では高度の,1群では中等度の, m群では軽度の血管新生が観察された.3週目にはさ らにその状態は顕著になった. 考察 一般の創傷治癒過程において,受傷後早期に血管新 生を促進させるということは,創部に対して,栄養補 給を早期に確保し,かつ,感染を防止しうる免疫系の 母子を形成することである.人工真皮を脚部に適応し た場合にも同様で,人工真皮内に早期に血管新生を促 すことは,その生着率を高め,感染を防止する免疫の 母床を形成することに他ならない. 本研究の結果,人工真皮で創部を被覆する際に,ヘ パリン水溶液(200U/ml)で湿潤させることにより, 人工真皮内に早期に血管新生を促し,かつ,免疫の母 床を構築することができた.感染に対する抵抗性の弱 いことが最大の弱点である人工真皮を創部に適応する 際,ヘパリンで湿潤させることは感染防御の一手段で あると考えられる. 結論 . 三層構造人工真皮被覆後,人工真皮内に起こる血管 新生に対し,ヘパリンは促進的に,プロタミンは抑制 的に働くことが明らかになった. 一784一181