134 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(50) オオ タ シロ ノリ コ太田代紀子(昭和
医学博士 乙第864号 昭和62年12月11日学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
S状結腸癌・直腸癌に対する走査韓紅超音波診断の検討
(主査)教授 :羽生富士夫 (副査)教授 浜野 恭一,教授 香川 迂論 文 内 容 の 要 旨
目的 直腸,下部S状結腸は骨盤腔内で諸臓器と近接して いるため,この部の癌腫の治療にあたっては,その進 展状況を術前に正確に把握することが極めて重要であ る,著者はこの目的で3種の超音波断層検査法(以下 US),即ち体表走査法(以下TA法),経膀胱走査法(以 下TV法),経直腸走査法(以下TR法)を用い, US の有用性と各走査法の特徴と精度を検討した. 対象および方法 1.基礎的検討 S前結腸癌および直腸癌30例の切除標本を水槽内に 沈め,電子リニア走査型US装置を用いた水浸法によ り,正常大腸壁,膀胱壁,癌腫,癌腫壁深達度,膀胱 浸潤,リンパ節につき基本的描出像を求めた. 2.臨床的検討 昭和57年より3年間に術前USを施行した113例に つき,前述の3種の走査法を用い,癌腫の存在,壁深 達度,膀胱漫潤,リンパ節転移診断を行い,手術所見・ 病理所見と対比検討した. 結果 1.基礎的検討 1)正常大腸壁は5層に描出されるが,大腸壁の組織 と対比すると,第4層は明確に筋層を示すことが判っ た. 2)癌腫はムラのある低エコー域で示された. 3)癌腫の壁深達度は筋層を指標にして,粘膜下層ま での群,筋層にとどまる群,筋層を越える群の3群に 分類可能であり(p<0.001),その組織標本と対比した 診断率は73.8%であった. 4)正常膀胱壁は3層に描出され,第2層が筋層を示 すことが判った.膀胱浸潤像は壁を中断する腫瘤像と して描出された. 5)リンパ節像は類円型もしくは塊状の低エコー像 として描出された. 2.臨床的検討1)癌腫描出率:(1)TA法77.8%,(2)TV法
77.8%,(3)TR法78.9% 2)壁深達度診断:TR法のみ可能で診断率70.3% 3)膀胱浸潤診断:(1)TA法87.1%,(2)TV法 88.9%,(3)TR法94.4% 4)リンパ節転移診断:(1)TA法,腫瘍近傍リンパ 節は描出不能,他の腹腔内遠隔リンパ節に対し診断率 15.4%,(2)TV法,描出不能,(3)TR法,腫瘍近傍 リンパ節に対し診断率43.8%,遠隔リンパ節は描出不 能. 考察USは,従来のX線Computed Tomographyや血管
造影法に比べ,壁深達度・他臓器浸潤診断においてよ り詳細に,リンパ節転移診断において腫瘍近傍の小さ いものまで診断可能な検査法であった.体表走査法は, 簡単な操作で病変の全体像が把握でき,スクリーニン グ法として最良と考える.経膀胱走査法は,大腸癌に 対し著者が初めて試みた方法で,腫瘍描出率・膀胱浸 潤診断に対しての診断率は他の二走査法と同程度,壁 深達度。リンパ節転移診断は不可能であり,また侵襲 性の点でも装置の改良が必要と思われた.経直腸走査 一798一135 法は壁深達度,腫瘍近傍リンパ節転移診断には欠かせ あった癌腫の進行程度を正確に把握できる有用な検査 ないが,管腔高度狭窄例には限界があった. 法で,経膀胱走査法は試みてもよいが,現段階では, 結語 体表走査法と経直腸走査法を併用するのが最良との結 S状結腸癌・直腸癌の術前USは,従来判定困難で 論を得た.