104 (35) 氏名(生年,月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
シ ミズ メイ ミ清水明実(昭和3
医学博士 乙第849号 昭和62年10月16日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 糖尿病妊婦の血中ケトン体に関する研究 (主査)教授 平田 幸正 (副査)教授 武田 佳彦,教授 羽生富士夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 妊娠はaccelerated starvationといわれ,ケトーシ スに傾きやすく,ケトーシスは胎児の生存,発育に重 大な影響を及ぼすといわれる.糖尿病妊婦では,この 傾向はさらに強く,インスリン治療が不完全なとき容 易にケトアシドーシスに陥る危険がある. 糖尿病妊婦の治療の目標は現在,代謝異常の完全正 常化であり,この正常化の判定のため,糖尿病妊婦の 代謝異常を血中ケトン体の面より観察した. 対象と方法 インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)妊婦10名及び インスリン依存型糖尿病(IDDM)妊婦10名を対象に, それぞれの症例で妊娠初期,中期,後期の各時期にわ たり,血中ケトン体を測定した.すべての症例はインスリンで治療され,妊娠中の平均HbA1はNIDDM妊
婦8.1±0.5%,IDDM妊婦7.9±0.9%と,血糖コント ロール良好であった.これらの糖尿病妊婦と年齢,罹 病期間,血糖コントロール状態を一致させた糖尿病非 妊婦23名(NIDDM 15名, IDDM 8名),耐糖能正常の 健常妊婦30名及び健常女子17名を対照とした.血中ケ トン体は朝食前及び朝食摂取後30分,60分,120分に採 血し,ケトンテスト「三和」のキットを用いて測定し た. 結果と考案 1)健常女子の血中ケトン体は平均値で朝食前,総ケ トン体80μM,アセト酢酸53μM,3一ヒドロキシ酪酸33 μMであり,食事前後において変動はなかった.平均 HbAlは7.3%であった. 2)正常妊婦の血中ケトン体は,妊娠のいずれの時期 でも健常女子と有意差なく,妊娠の経過による変動も 認めなかった.平均HbA、は6.8%であった. 3)糖尿病非妊婦の平均HbAlは, NIDDM 8.0%, IDDM 9.0%であった. NIDDM非妊婦における朝食 前平均総ケトン体は,139μM,アセト酢酸59μM,3・ヒ ドロキシン酪酸80μMであった.IDDM非妊婦におけ るそれはそれぞれ147μM,64μM,84μMであり,NIDDMとIDDMの間に差はみられなかった.しかし
健常女子に比較すると,朝食前空腹時の総ケトン体, 3一ヒドロキシン酪酸は有意に高値であり,朝食前血糖 値と総ケトン体とは強い正の相関が認められた,食後 の血中ケトン体は.空腹時に比し,有意に低下した. 4)糖尿病妊婦における血中ケトン体は,NIDDM妊 婦とIDDM妊婦で有意差なく,いずれも妊娠中期,後 期において,朝食前空腹時の総ケトン体と3一ヒドロキ シ酪酸の増加をみとめた.食後の血中ケトン体は朝食 前の値に比し,いずれの時点でも低下した.すなわち, NIDDM妊婦における朝食前平均総ケトン体は,妊娠 初期118μM,中期180μM,後期194μMであり,IDDM 妊婦におけるそれは,149μM,140μM,269μMであり, 健常女子に比し,2~3倍の高値であった.糖尿病非 妊婦との比較では,糖尿病妊婦のケトン体は高値であ るものの,有意差とならなかった.ただし糖尿病妊婦 の中でみると空腹時血糖120mg/dlをこえると血中総 ケトン体が著しい上昇を示すことを認めた. 5)今回対象とした血糖コントロール良好な糖尿病 妊婦の胎児に死亡はなく,奇形もなかったが,その母 一768一105 体の妊娠後期における総ケトン体は正常の約3倍の高 値を示した.
論 文 審 査 の 要 旨
糖尿病妊婦においては代謝の正常化が胎児の正常な発育に重要であり,その指標として従来血糖が 用いられて来たが,本論文は血中ケトン体が血糖に比べ,より鋭敏に代謝異常を反映し,代謝正常化 の指標として重要であることを証明したものであり,学問的価値の高いものと認める, 主論文公表誌 糖尿病妊婦の血中ケトン体に関する研究 東京女子医科大学雑誌 第57巻 第5号 358~366頁(昭和62年5月25日発行) 副論文公表誌 1)低エネルギー食で管理した肥満糖尿病妊婦の血 中ケトン体 第6回日本肥満学会記録 75~77(1985) 2)妊娠中に糖尿病を発症した高プロラクチン血症 の1例 糖尿病 30(3)257~261(!987) 3)Suppressor T細胞の表現型を有し, Helper T 細胞機能を有すると思われるT細胞性リン パ腫の1例 臨床血液 23(12)1930~1933(1982) 4)糖尿病妊婦における血糖自己測定の評価 糖尿病 27(4)531~539(1984)5)悪性外耳道炎の治癒したNIDDMの1例
糖尿病 28(5)671~676(1985)6)Insulin・like growth factor-1 and CPR levels in the umbi互ical cord blood of newboms from
diabetic mothers(糖尿病の母親から生まれ た新生児の腰帯血CPRおよびlnsulin-like growth factor-1(IGF-1)) 東女医大誌 55(10,11)971~978(1985) 7)糖尿病妊婦治療におけるPrepregnancy管理の 成績 糖尿病 29(8)729~735(1986) 8)アルドース還元酵素阻害剤sorbinilにより出血 性腸炎をきたしたインスリン依存型糖尿病の 1例 東女医大誌 57(1)83~88(1987) 9)ラット胎仔奇形発生におよぼす高血糖の影響 東女医大誌 57(6)435~440(1987) 10)糖尿病性網膜症と妊娠一光凝固療法の有用で あった症例の検討 糖尿病 30(7)595~603(1987) 一769一