Title
UVC Radiation Induces Downregulation of EGF Receptor via
Phosphorylation at Serine 1046/1047 in Human Pancreatic Cancer
Cells( 内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
山内, 貴裕
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第911号
Issue Date
2013-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/48057
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 山 内 貴 裕(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 911 号 平成 25 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当
UVC Radiation Induces Downregulation of EGF Receptor via
Phosphorylation at Serine 1046/1047 in Human Pancreatic Cancer Cells. (主査)教授 清 島 眞理子
(副査)教授 武 田 純 教授 吉 田 和 弘
論 文 内 容 の 要 旨
膵がんを含む各種がんでは,受容体型チロシンキナーゼの一つである上皮成長因子受容体(EGFR) の発現・機能異常が報告されている。EGFR は,1045 番目のチロシン(Y1045)のリン酸化を契機に EGFR の分解が起こるが,1046/1047 番目のセリン残基(Ser 1046/1047)も自らの脱感作を誘導するリン酸 化部位であるとされている。申請者らは,これまでに p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) を介した EGFR の Ser 1046/1047 のリン酸化が EGFR の脱感作に重要であることを見出し,また,こ の部位のリン酸化を誘導する薬物に関する研究を進めてきたが,今回は紫外線の EGFR 脱感作への影 響について検討した。紫外線は波長により 3 種に分類されるが,そのうち短波長紫外線 (UVC:波長 200-280 nm)は殺細胞能が強いためがん治療への応用の可能性が模索されている。 【対象と方法】 2 種の膵がん細胞株(Panc1,KP3)および正常膵上皮細胞(PE)を実験に用いた。UVC の殺細胞効 果については MTT アッセイを,細胞増殖能の検討には BrdU アッセイを用いた。また,各種タンパク のリン酸化・分解についてはウェスタンブロット法を,cell surface EGF 発現量の測定は ELISA 法 を用いて行い,p38 MAPK のノックダウンによる影響の検討については predesigned siRNA を用いた。 UVC による EGFR の局在の変化については免疫蛍光染色法を用い蛍光顕微鏡で観察した。
【結果】
MTT アッセイによる UVC の IC50値は,Panc1 では 200 J, KP3 では 150 J であったが,PE 細胞では
UVC による殺細胞効果は有意に低かった(>200 J)。また,100 J の UVC 照射で Panc1, KP3 について は BrdU 取り込みの有意な低下を認めたが,PE ではほとんど影響がなかった。さらに Panc1, KP3 は PE に比べ EGFR の発現量が高く,UVC によって時間依存性に EGFR 発現量の低下が認められた。また, Panc1, KP3 においては,Ser 1046/1047 のリン酸化が強く惹起されたが,その他のチロシンリン酸 化はいずれも軽微であった。UVC により p44/p42 MAPK, SAPK/JNK, p38 MAPK および Akt のリン酸化 がみられたが,p38 MAPK 阻害剤(SB203580, BIRB0790)で前処理すると,UVC による EGFR の Ser 1046/1047 のリン酸化が有意に抑制され,siRNA を用いた p38 MAPK のノックダウンでも同様の現象 がみられた。さらに,免疫蛍光染色法および cell surface EGFR 発現量測定により EGFR の局在変化 を観察したところ,UVC は EGFR の細胞質への内在化を誘導したが,SB203580 で前処理すると UVC
による EGFR の局在の変化は認められなかった。
【考察】
今回申請者らは,膵がん細胞において短波長紫外線 UVC が p38 MAPK を介した EGFR の脱感作を引 き起こすことを見出した。また UVC の影響が正常膵上皮細胞でみられないことは,臨床応用での副 作用を考える上で非常に魅力的な結果であると考えられる。この UVC による EGFR の脱感作は p38 MAPK を介した EGFR のセリン残基のリン酸化が引き金となっていたが,p38 MAPK はストレスなどに 応答して活性化されるキナーゼであること,さらに膵がんの第一選択薬である gemcitabine,緑茶 カテキン,heat shock protein 90 阻害剤,古典的抗がん剤である cisplatin でも同様に p38 MAPK の活性化がみられることが報告されている点から,今後 EGFR のセリン残基のリン酸化による脱感作 のメカニズムを検討することにより,Ser 1046/1047 あるいは p38 MAPK を新たな分子標的とした新 規治療薬の開発が進むことが期待される。
【結論】
膵がん細胞において,短波長紫外線 UVC は p38 MAPK を介して EGFR の脱感作を引き起こし,抗が ん効果を発揮することが明らかとなった。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
申請者 山内貴裕は,短波長紫外線(UVC)照射をツールとして膵がん細胞株における上皮成長因 子受容体(EGFR)のトラフィッキング(内在化)制御系を解析し,その修飾が細胞機能の表現型に 及ぼす影響を検討した。その結果 200J の UVC 照射は EGFR の Ser1046/1047 をリン酸化するが他のチ ロシン残基はリン酸化しないこと,このセリン残基リン酸化が EGFR の細胞表面から細胞内へのトラ フィッキングに関与することを見出した。さらにこのような EGFR の局在変化は細胞に EGFR の感受 性低減(desensitization)をもたらし,生存能・増殖能を有意に減弱させる作用を発揮した。これ らの研究成果は膵がん細胞の増殖シグナル制御系に関して新しい知見を与えるものであり,消化器 病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Takahiro Yamauchi, Seiji Adachi, Ichiro Yasuda, Masanori Nakashima, Junji Kawaguchi, Yumi Nishii, Takashi Yoshioka, Yukio Okano, Yoshinobu Hirose, Osamu Kozawa and Hisataka Moriwaki: UVC Radiation Induces Downregulation of EGF Receptor via Phosphorylation at Serine 1046/1047 in Human Pancreatic Cancer Cells.