Title
ラットを用いた内分泌かく乱作用による性分化障害の評価
とその内分泌中枢障害性に関する分子動態の解析( 本文
(FULLTEXT) )
Author(s)
高木, 広憲
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第192号
Issue Date
2005-09-16
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/3131
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
ラットを用いた内分泌かく乱作用による性分化障害
の評価とその内分泌中枢障害性に関する分子動態の
解析
学位論
」竺:博士(獣医学)l仲
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広憲
目次
第1章 ビスフェノールAおよびノニルフェノールを脳の性分化臨界期に母ラットに混餌投与することによる 子動物の生殖内分泌システムに及i軒「影響 第2章 マイクロダイセクション法を用いたパラフィン包埋切片における定量的遺伝子発現解析法の確立…・18 緒言 方法 結果 考察 小括 19 21 26 30 33 第3章 脳の性分化臨界期に内分泌かく乱作用が懸念されている化学物質を暴露されたラットのMpOAにおけ る性分化関連遺伝子発現レベルの定量解析略語
AGD:肌0野血扇亜血l∝ 肛門一生殖突起間距離 Ak孤血唱印坤 アンドロゲン受容体 B払:b軸h飢01A ビスフェノールA CVc∝価cientofvariatim #動係数 D馴P:血如no町1画血濾庇 ジイソノニルフタレート EDCs:enddedsruPtingchemicals 内分泌かく乱化学物質 EE:甜血yle融通01エチニルエストラジオール ER:eS叫gen坤 エストロゲン受容体 GABA:Y-amindbuyricacid Y-アミノ酪酸 GA冊Ⅰ‥gbceral血yde-3iPosPhate血hydrogenase グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ GAT11:Y-amindbuoricacid岬type1Y-アミノ酪酸トランスポータータイプ1 GEN:辞ni舐血 ジェニステイン GnRH:gOnadobppimleasinghomone ゴナドトロピン放出ホルモン HE:b叫血朝血 へマトキシリンーエオジン HPRT:hytx}Xanthine-guBu-inephospl-Oritx)Syl血一S良mse ヒポキサンチンーグアニンホスホリボシルトランスフエラーゼ M-PETS:medwfixedandpamBhemtxxldedtissues }タカーン固定・パラフィン包埋組織 MPOA:medialF甲pdcarea 内側視索前野 MXC:medlOXydllor メトキシクロール NP:nαツ坤飢01ノニルフェノール PB:刑Iend)a止血1フェノバルビタール PR二pr喝困加me蹴申α プロゲステロン受容体 SDN-mA:SeXualdimorPicnucleusofp画Carea 性的二型核 SF-舶:S町血涙肋 大豆を原料から排除した飼料 SRC:SterOidrec卿C&aCtivatα ステロイド受容体コアクティベーター序論
近年,我々の環境中に数多くの内分泌かく舌Uヒ学物質屯DCs)が見いだされ,生殖機能を含むそれらのヒ トへの影響が世界的に懸念されるようになってきた.EDCsの生体への作用機序としてエストロゲン受容体 妃如を介した機序が考えられており,その極低用量暴露によっても生体に不可逆的影響を及ぼすことが指摘 されている.中枢神経系においても,胎生期より視床下部・辺縁系を中心としてRを含む性ホルモン受容体 が分布しており,当然,その一部を構成する生殖機能中枢も影響を受ける可能性が高い.特にホルモン依存的 に脳の性分化を果たす周産期においてEDCsの暴露を受けてそれが中枢神経系内に入り込んで作用した場合, 脳の正常な性分化が障害され,出生後の個体の内分泌機能を含む種々の機能が影響を受ける可能性がある.そ こで,本研究は,ラットに対して脳の性分化完了時期と性成熟に至る性分化過程を評価することにより,Ⅲ℃s による生殖内分泌システムへの影響の本態を明らかにすることを目標とした.具体的には,まず初めに,内分 泌かく乱作用が懸念されているビスフェノールA(B払)とノニルフェノール帥P)を,子動物の脳が性分化 を果たす時期である周産期に母ラットに混餌投与し,産子の春機発動,発情周期,および視床下部第3脳室周 囲に存在し,雌雄で異なる分化を示す性的二型核(SDN,POA)のサイズなどに及ぼす影響や,生殖内分泌関連 器官における病理組織学的変化について評価した.次に,内分泌中枢に対する直接的な影響を分子動態の面か ら解析するために,SDN-POAを含み雌雄で性行動に重要な役割を担っていると考えられる内側視索前野 (MmA)における性分化関連遺伝子の発現変動に注目し,EDCs候補物質を周産期に暴露してMPOAを選択 的にマイクロダイセクションし,その領域における性分化関連遺伝子の発現変動を評価することを計画した. しかし,標的組織のniRNA発現解析で推奨されている未固定・凍結切片の作製とその切片からSDNゼOAを含 むMpOAの正確な採取は事実上不可能であり,かつ,未固定組織においては薄切からマイクロダイセクション 換作の過程におけるmRNAの分解が無視できない.そこで,EDCs候補物質暴露動物の脳におけるmm発 現解析に先立ち,メタカーン固定・パラフィン包埋細威(M-PET岳)切片から抽出した微量他心右RNAを用いた リアルタイムRTゼCRによるmm発現レベルの定量的解析のための実験手法の確立を行った.そして最後に, 確立に成功した実験手法を用いて,エストロゲン作用の陽性対照物質であるエチニルエストラジオール拒E)および内分泌影響が示唆されている代表的な化学物質の周産期暴露を受けたラットにおいて,脳の性分イヒ完了 時期のMPOAにおける性分化関連遺伝子の発現量について定量的に評価し,既に報告されている既存評価パラ
第1章
ビスフェノールAおよびノニルフェノールを脳の性分化臨界期に
緒言
ラットの視床下部神経内分泌系を含む生殖内分泌関連システムの性分化は,胎生期後期から新生子期にか けて起こる恥viesandNoman2002).この過程は性腺ステロイドホルモンにより精密に制御されているため, ホルモン環境の変化に対して感受性が高く,この期間における外因性のホルモン様の刺激は,雌雄双方の生殖 システムに長期間におよぶ不可逆的な障害を及ぼす可能性がある(A也n服削射れ軋1卵9;Ne加ゎldl卵9).雄に おいて雌の数倍の大きさがある(Meredidletal.,2001)ラットのSDN-mAは,内分泌環境に影響を与える要因 の負荷によりそのサイズが変化し匹heesetal.,1990a,1990b;Nagaoetal.,1999;Fergusmetal.,20∝)),その結果と して成熟後の性行動障害を招来する田0血u貼汀etd.,1994)ことが知られている.性ステロイド除去による SDNぜOAの性別ヒへの影響は少なくとも生後29日まで認められるがP師isetal.,1995),外因性のアンドロゲ ンによりそのサイズが影響を受ける期間は胎生期18日から生後5日までである匹h館Sdd.,1珊ち1珊b).こ れまでに,内分泌かく乱作用の疑われている環境化学物質の脳の性分化への影響を評価するために,子動物脳 の性分イヒの臨界期に,妊娠ラットに混餌投与するモデルをデザインし,EEの周産期投与が性成熟後の雄の子動 物におけるSm-mAの小型化および,雌の子動物の生殖関連器官における病理組織学的変化を誘発すること を見出した(Sl血血midd.,2005).また,このモデルを用いて,メトキシクロール(MXC),ジイソノニルフ タレート 跡P),ジェニステイン(GEN)の周産期投与の影響について検討し,MXC,DINPが母動物への 体重増加抑制を示すような高用量においてのみ子動物の生殖内分泌システムに影響を及ぼすことも認めた (M弧止mlidd.,2003).本研究では,更に同モデルを用いて,エストロゲン作用による内分泌かく乱影響が懸念 されているBPAとNPを選択し,その内分泌かく乱影響と投与量との関連を検討した.本研究においては,EE をエストロゲン作用の陽性対照物質として使用した. BPAはポリカーボネートプラスティックのモノマーであり,食品包装産業や歯科医により使用されている エポキシおよびポリスチレン樹脂の成分である(取1etdり2002).NPは界面活性剤,塗料,除草剤,殺虫剤な どに汎用されているアルキルフェノールである即喝aOdd.,2000).BPAとNPに周産期あるいは新生子期に暴 露された際の生殖内分泌システムへの影響については,ラットおよびマウスを用いて広く研究されている即喝抑dd.,19卵,2(X氾;Kwonetd.,2㈱;Sua血dd.,2∝辺).しかし,先に実施された大部分の研究においては, 投与は母動物への強制経口投与か幼君動物への直接投与によって行われている.一般的に,ヒトにおける環境 化学物質の暴露の主要なルートは食物を介するものであり,心h吋P001)も指摘しているように,げっ歯類の 実験結果をヒトに正しく外挿するにはこの点を考慮することが重要である.この他の実験条件として,飼料の 選択も重要な要素である.我々は,被験物質を混ぜる基礎飼料として,大豆を原料から排除した飼料(Sト亜d) を選択した.一般的なげっ歯類の基礎飼料が様々な濃度の植物エストロゲンを含む大豆由来タンパクを使用し ていることはよく知られており(職鹿仇由れ1卿),これらは内分泌関連の影響を検討する研究においては実 験結果に影響を及ぼす可能性がある(放噸トT叩gdd.,1998).SFddの使用は,このような影響を排除し, EDCsによる微妙な生理学的な変化を検出するのに適している.本研究においては,生殖内分泌関連システム への影響を検出するパラメータとして,生後2日の肛門一生殖突起間距離仏GD),性成熟前の内分泌関連器 官の重量,春機発動,発情周期,性成熟後の内分泌関連器官の重量,病理組織学的変化およびSDN-POAの体 積変化を選択し,評価を行った.
方法
試薬および動物 BPAはSkmaChemicalCo.(SLbuis,MO,USA,96.5%pure,CASno.80J5-7)から,NPは東京化成工業株式 会社(Tbkyo,Japan;mixtureOfc叩皿dswidlbrandledsidechains,Catalogno.NO300)から,EEはナカライテスク 株式会社胸oto,Japan;98%pL胱,CASno.57-63-6)からそれぞれ購入した.妊娠Cづ:C叫SD)IGSラットは,日 本チャールス・リバー株式会社鮮血嘩即吟J叩皿)から妊娠3日 相室プラグを認めた日を妊娠0日)で昧入し た.ラットはバリヤーシステムにより管理された動物室(室温:24±lOC,湿度:55±5%,照明:明暗12時 間サイク/りで,ポリカーボネート製のケージ(SK,Clean,41.5x26x17.5cm;CLEAJapan,hc.,Tbkyo,Japan)に チップ(So食Chip;SmkyoI.abServiceCorp.,Tbkyo,Japan)を敷いて個別飼育し,自由摂食,自由摂水とした.母 動物の基礎飼料はSFLdiet(0血血1YeastCo.Ltd,Tbkyo,Japan)とし,離乳後の子動物の基礎飼料はCRF-1 (OdentalYeastCo.M)とした.CRF-1の組成は明らかにされていないが,大豆/アルファルファ由来のタンパ ク質としてダイジンおよびジェニスチンをそれぞれ87坪mおよび102押m(製造元による測定),アルファル ファ含量から換算したクメステロールを3Ⅲm未満(供給業者の非公開データ)含んでいる.SF-ddはげっ歯 類用飼料NⅢ〃7の組成を基に,その中に含まれる大豆成分と大豆油をトウモロコシ粉,小麦粉,粗小麦,ト ウモロコシ油に置き換えて作製されている.SF一曲tにおける植物エストロゲン量はクメステロール(3ppm) を除くと検出限界(0.5脚Il)以下である.CRト1とSFddに含まれる植物エストロゲンのエストロゲン等量 はエストラジオールに換算すると概算でそれぞれ0.91と0.06となる(血endomedal-derivedex匹血entalmodel における相対的結合親和性から換算,H叫旧tdd.,1卵8). 実験デザイン BPA,NP,EEに関する研究は,それぞれに対照群を持つ別々の実験として実施した.動物は妊娠3日で入 荷し,出産後21日に離乳するまでのあいだSFdietで飼育した.妊娠ラットは5∼6匹/群となるようにランダ ムに群分けし,それぞれBPAを0,60,600,3,000ppm,NPを0,60,600,3,Wppm,EEを0,0.5ppm含む粉末訂亜dで妊娠15日∼出産後10日(分娩日を生後1日)まで飼育した.離乳後に基礎飼料はCRF-1に 置き換えた.各化合物の最高用量は予備試験の結果をもとに,母動物への弱い毒性を示すが,妊娠,分娩,授 乳に影響を及ぼさない用量を選択した.BPAとNPの実験においては,産子の数,重量,雌雄比,AGDを生 後2日に測定した.EEの実験においては,AGDの測定は実施せず,その他の産子パラメータは生後3日に測 定した.BPAとNPの実験においては,産子は生後10日に無作為淘汰を実施し,一部の例外を除いて同腹の 産子数を6匹とした.EEの実験においては,生後3日に無作為淘汰を実施し,同腹の産子数を8匹とした.淘 汰された産子はエーテル麻酔下で解剖を実施し,他の検討に用いた.生後21日において産子の離乳およびグル ーピングを行った.BPAとNPの実験においては,各群雌雄5匹雌雄各1匹/母動物)を生後21日におけ る春機発動前検査のために剖検し,各群雌雄8匹(少なくとも1匹は各同腹の集団から選択)を生後11週にお ける性成熟後検査に振り分けた.EEの実験においては,淘汰後の全ての生存産子を性成熟後の検査に充てた. 春機発動前剖検は内分泌関連器官の重量測定のために実施した.性成熟後検査に充てられた産子においては, 春機発動(雌:膣開口,雄:包皮分離)の日齢および体重を測定した.雌の発情周期は生後S∼11週の間,毎 日膣スメアを顕微鏡観察することにより判定した.生後11週において,内分泌関連器官の重量測定および病理 組織学的検査のためにすべての産子を剖検した.雄の産子の剖検は,生後11週の最初の日に実施し,雌の産子 に関しては生後11週の最初の休止期に剖検した.実験は,国立医薬品食品衛生研究所の動物実験指針を遵守し て実施した. 内分泌関連器官における検討 生後21日の春機発動前の剖検において,脳,副腎,精巣,卵巣,子宮の重量を測定した.生後11週の剖 検においては,脳,下垂体,甲状腺,副腎,乳腺,精巣上体,前立腺,精嚢,卵巣,子宮,膣を採取し,10%
中性緩衝ホリマリン帥7.4)で3日間固定した.精巣はプアン溶液で1日間固定した.脳を除く全ての組織
は定法により脱水,パラフィン包埋,薄切(3一皿),ヘマトキシリンーエオジン染色(Ⅰ韮染色)し,顕微鏡 検査を実施した.BPAとNPの実験においては,脳はSDN-POA体積の測定を実施した.SDN一犯A体積の測定 視床下部を含む冠状割面脳スライスをパラフィン包埋し,内側視索前野のうちSDN-POAを含む領域につ いて3一皿厚切片を30叩m間隔で作製し,ⅢE染色した.顕微鏡下でSDN-mを観察し,200倍のデジタル画 像をFltiixDigitalCameraSystem肝両ifilm,Tdkyo,Japan)を接続したVANOX-S顕微鏡(ObmpusQpticalCo.,Ltd, Tdkyo,Japan)で取り込んだSDN-mAの輪郭を描き,WinRWso丘ware(version3.61;MitaniCorp.,F血もJapan) を用いて面積を測定した.sDN-POAの体積は各切片に挟まれた立体の体積の和として以下の式で算出した.
SDN-POA体積(一皿3)=(仏鴻+吠AxB))×30y3×109
AとBは27pm離れた2つの切片におけるSDN一犯Aの面積(叫n2) 統計解析 授乳期の子動物のデータは同腹の値を一単位として解析した.離乳後の子動物のデータは,母動物と同様 に各個体を一単位として解析した.数陸データは分散分析を実施し,等分散のデータは一元配置分散分析ある いはそれに続くD皿n細,stesrC,不当分散のデータはKrugkal-Wal1is,sHiteStあるいはそれに続くDu皿eBtype rank-Sumte或で解析した.病理組織学的に観察された病変の頻度や発情周期はFidlerの直接確立法で解析した. 対照群と処置群における病変の強度はMann-Wb血ey,sUJestで比較した.結果
母動物および離乳前子動物への影響 3,000ppmBPA,3,(X氾ppmNP,0.5ppmEEに暴露された母動物では,妊娠期間の体重増加抑制が認められ たが,摂餌量の減少を認めたのはEE暴露動物のみであった(Tbblel-1,1,2,1-3).授乳期間においては,い ずれの投与群においても対照群と比較して有意な体重増加や摂餌量への影響は認められなかった.T地1el-1, ト2,1-3には各化合物の1日当たりの母動物摂取量も示した.生存産子数はBPAとNPのいずれの用量におい ても変化を示さなかったが,EE暴露においては対照群に対して有意に減少した.対照群と比較して,出生子の 雄/雌の比率はEE暴露母動物において増加した.新生子体重は,3,(X氾ppmBPA(生後2日)と0.5ppmEE(生 後3日)で対照群と比較して減少した.60ppmBPAにおいても,雄の新生子体重の減少が認められた.AGD は3,000坪mNPの雌においてわずかに減少した.暴露期間における産子の体重の増加は,3,(X氾ⅢmBPAと 0.5押rIIEEにおいて抑制されたが,暴露期間終了後は回復した.生後21日においては,BPAとNPの実験で はいずれの用量においても産子体重に有意な変化は認められなかったが,EEでは産子体重の減少が認められた. 生後21日に実施した春機発動前剖検においては,産子の体重は雌雄共に3,(X伯仲mBPAと3,WppmNPで低 値G,㈱押mNpの雄では有意差なし)であり,これらの用量では発育遅延に伴う脳の相対重量の増加が認め られた(1bbk14,1-5). 離乳後の子動物への影響 春機発動はBPAとNPのいずれの用量においても影響を受けなかった(T油1esl-6,1-7).これに対して, 0.5押mEEの雌においては膣開口の早期化(対照群に比して平均3∼4日早期化)が認められ(腔開口時の体重 は対照群の膣開口時の体重と比較して有意に低値),雄においては陰茎包皮開裂の遅延が認められた(T址1eト8). 大部分の対照群の雌は3つの実験のいずれにおいても通常の4∼5日の発情周期を示したが,数例は休止期の延 長を示した.BPAあるいはNP投与群おいても数例が休止期の延長を示したが,対照群と比較して頻度の増加 は認められなかった.EE投与群の発情周期は明らかな異常を示し,12例中8匹が連続発情を呈した.離乳後の体重増加量は,600,3,腑)p叩岬と0・5ppmEEで減少したが,Ⅳにおいて古瀬L後初期のみの変化であ った.生後11週における性成熟後体重は,0.5ppmEEの雌雄と3,(削ppmBPAの雄で減少した・ 性成熟後の内分泌関連器官における影響 生後11週に実施した性成熟後剖検では,BPAにおいては器官重量(T地1el-9)および内分泌関連器官の 病理組織学的検査(Tablel-12)のいずれにおいても変化は認められなかった.NPに関しては,3,00ppmの雌 において副腎の相対重量の増加が認められたが(Tぬ1el-10),病理組織学的検査においてはいずれの生殖内分 泌関連器官においても異常は認められなかった(Tぬ1el-12).00騨IINPの雄1例においては,両側性の精巣 低形成とそれに伴う精巣上体の精子喪失および精嚢の小型化が認められた.0.5押m正においては,雄では生 殖内分泌関連器官に明らかな変化は認められなかったが,雌では卵巣相対重量の減少および下垂体相対重量の 増加が認められた(Tablel-11).病理組織学的には,下垂体前葉のびまん性の過形成,卵巣における卵胞数の 増加および黄体数の減少を認めた.卵巣の所見の顕著な例では,多発性の大型化した閉鎖卵胞がみられ,黄体 は認められなかった.これらのケースでは,子宮内膜上皮の肥大(管腔および腺管)や膣粘膜の過形成が明ら かであった.同群では,乳腺における腺房過形成の頻度の増加も認められた肝短.1-1,T劇el-12)・卵巣,子 宮内膜上皮,膣粘膜における病理組織学的変化は,発情周期が休止期の延長を示した個体よりも連続発情を示 した個体で顕著であったが,下垂体,乳腺における変化に関しては,発情周期の異常の違いによる差は明らか ではなかった. Sm-mA体積への影響 高い実用性を求めて開発された三次元再構築法を用いて測定したデータを報告している最近の論文 即eredidletal.,2001)と同様に,今回測定したSDN,POAの体積は雄が雌の約10倍大きな値を示した・それぞれ の実験におけるSDN-pOAのサイズ毎ean±SD,mm3×10-3)は,BPAでは雄3.45±0.85,雌0.22±0.02,NPでは 雄3.39±0.98,雌021±0.似であり,明らかな性差が認められた一方,BPAおよびNP投与のいずれの用量にお いてもSDN-mA体積の変化は認められなかった(F短.1-2).
考察
本研究においては,BPAとWが母動物の食餌を介して脳の性分化期を含む周産期に暴露された際の産子 の生殖内分泌システムへの影響について検討した.エストロゲン作用の陽性対照として使用した0.5押mEEは 産子の内分泌に明らかな影響を及ぼしたが,BPAとNPは母動物に毒性を示す用量においても産子の生殖内分 泌関連システムに影響を及ぼさなかった. R血dd.P001)は,BPAを飲料水に混じて妊娠6日∼出産後22日までラットに与えると,12m蜘 に相当する用量で産子の発情周期異常を誘発すると報告している.しかしながら,本研究においては,3,(X拇印m の周産期暴露においても産子の発情周期異常は認められなかった(同用量は妊娠期間では231.8m蜘,授 乳期間では3糾.4m蜘に相当する).本研究の結果と同様に,発情周期への影響を認めないとする他の研 究者による研究報告が,m】b血dd.P001)が実施した用量よりも高い用量でラットやマウスでなされている 匹WOnetal.,20∝);Suzukietal.,2002).その中で,Kwcnetal.はRd)inetal.t類似の長い暴露期間を設定しており, Suzukidd.はより強い影響が予想される皮下投与により実験を実施しているため,影響の違いが暴露期間や投 与方法の違いによるものだとは考えにくい.BPAや幾つかのエストロゲン様化合物は非線形の投与一反応曲線 (いわゆるU字型反応曲線)を示すパラメータが存在することが示唆されている(Meh舷dd.,2002).しかし ながら,本研究やKwα=沈d.の研究における最低用量はRubhdd.が発情周期に影響を及ぼすとした用量と類 似の暴露量となる(本研究5.1-8.5mgkguay,Kwcnetal.の研究3.2mgkgMay).出生前に低用量のBPAに暴 露された産子における性的な発育への影響を報告した他のグループの実験結果町h血mdetd.,2001;T山肌e父=沈 al.,2001)は,最近行われた追試においては確認されなかった(Tinwe11etal.,2002).今回のBPA暴露実験では, 3,(X拇印m群の雄の性成熟前の期間における発育遅延に起因して生後11週での体重減少が認められたが,性成 熟後の病理組織学的検査では何ら異常を認めなかった.新生子への暴露研究Pagaoetal.,1999;A血IaSSOVaetal., 2002)と同様に,近年報告された混餌によるBPAの多世代投与実験においても,広範な暴露用量(0.㈱7一刀.003 to434-1,823mgkgday)を設定しても生殖内分泌関連組織における有害作用の無いことが示されている(Tylet d.,2002).NPに関しては,Cb叩血dd.(19卵)は膣開口の早期化および発情周期異常を混餌による多世代実験によっ て報告している.その影響は2,㈱揮m(100-350m蜘)で明らかであり,N喝狛d止(2001)も類似のエ ストロゲン様作用を50m蜘の2世代投与実験において確認している.しかしながら,本研究においては NPの雌産子に対するその様な作用を検出することは出来なかった.性的な発育は生後10日以降の幼若期のホ ルモン刺激に対して特に感受性が高いことが報告されており(Od皿Idd.,2002),今回のNPに関する実験にお いて雌産子の春機発動期や発情周期に影響が認められなかった要因は暴露期間の違いによるものかも知れない. 一方,本研究では,60押mNPの雄1例で精細管の萎縮を伴う精巣の低形成が認められた.Cd:C叫SD)IGSラ ットにおける精細管萎縮の自然発生率は8∼17週齢においては22%と報告されている岬血相血.,19卵).その ため,今回認められたこの精巣の変化は自然発生によるものと見なされた.新生子へのNPの腹腔内投与(q加m 皿dA血吋2㈱)あるいは皮下投与即喝狛dd.,200qにおいても雄の成熟後の内分泌関連器官における病理 組織学的変化は報告されていない. 本研究においては,他のパラメータと同様に,BPAとNPのいずれの投与量においてもSDN-POAサイズ の変化は認められなかった.しかし,SDN-mAの体積変化に関しては,BPAやNPで想定される弱いホルモ ン様作用に対する反応については,一貫しない研究結果が報告されている.F加randHughes(1993)はGENを 卵巣摘出した雌ラットの新生子期に投与するとSIN-mAが大型化することを報告しているが,Fergusmetal. @㈱)は総説においてNPあるいはGENに暴露された母動物のラット雄産子においてはSDN-mAが′J嘩圭化す ると述べている.クメステロール,2,3,7,8-t叫サdiox血,陀B混合物は明らかに他の内分泌パラメ ータに影響を及ぼすが,SDN-pOAのサイズには影響を及ぼさない(均erkeetal.,1994;Rq*teretal.,1995;Hanyet d.,1卿).実際先に実施したMXCに関する研究においても(Mぉub血dd.,2003),明らかな雌内分泌系への 影響が認められるにもかかわらず,SDNゼOA体積に変化は認められなかった.以上を鑑みると,SDN-POAの サイズ測定は,弱いホルモン様作用による脳の性分化への影響を検出するには感受性の高い手法ではないと考 えられる.この様な物質の神経内分泌系への作用を検出するには,性行動評価,ゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH)レベルの測定,あるいは視床下部における新しい分子パラメータの測定など,SDN,POAの体積測定 に代わるアプローチの導入について考慮する必要があり,第2章以降では,視床下部における性分化関連遺伝
子の分子動態に着目し,その解析方法確立(第2章)および化学物質周産期暴露による発現解析(第3章)を 実施した. 本研究においては,母動物に毒性を示す用量を最高用量として選択した.BPAは,経口の高用量において は,ラットおよびマウスの妊娠期間投与において発育毒性を示さないことが既に報告されている(Mα血駅yd d.,198刀.一方で,BPAによる陽性結果を報告している多くの研究では,低用量の非経口投与を実施している (坤1etれ2002).実際,叫cぉ町において,陽性結果を経口投与で得ようとすると腹腔内投与よりもは るかに高用量を必要とする(Tyletal.,2002).Pottengeretal.Q㈱)は,C14ラベルしたB払をラットに強制経口投 与,腹腔内投与,皮下投与すると,投与経路により体内動態や代謝に明らかな違いがあることを示した.相対 的な生体利用率は強制経口投与は腹腔内投与,皮下投与と比べて明らかに低く,このことがラットにおけるB払 の影響に関する研究結果の相違要因の1つであると考えられる.また,叫おbidd.P003)は,BPAの主代 謝経路はグルタチオン抱合による胆汁を介した糞中への排泄であり,投与量,投与経路に関わらず腸管循環に 入ることを示した.BPAの胎子や産子における生体内利用率に関する情報は非常に限られているが(Snyd d.,2(X旧;¶止血岨血hmdO由鴫20∝)),この初回通過効果がBPAは経口投与すると高濃度においても内分泌影響を 及ぼさないことの要因かもしれない.同様の初回通過効果がNPの経口投与においても報告されているP∝唱e dd.,2002). 本研究の結果から,BPAとNPは脳の性分化の臨界期に母動物に混餌投与しても,産子に生殖内分泌毒性 を示さないことが示された.また,ヒトへの外挿のためのリスクアセスメントには,目的に合った適切な試験 系を構築することの必要性が示された.
小括
B払およびWを脳の性分化期を含む期間に経胎盤・経乳暴露した際の,産子の生殖内分泌システムへの 影響について検討した.母動物の妊娠期および陵乳期の基礎飼料にはSF亜dを用い,B払およびNPを妊娠 15日から出産後10日まで各々(札600,3,000押mの用量でラットに混餌投与した.エストロゲン作用の陽性 対照として,0.5ppmEE暴露の影響についても評価した.その結果,0.5ppmEE暴露を受けた産子においては, 春機発動の雄における遅延および雌における早期化,発情周期異常,性成熟後の雌内分泌関連器官の病理組織 学的変化が認められたが,B払およびNPにおいては母動物の体重増加抑制を示す3,(X粕ppmにおいても,AGD, 春機発動,発情周乳性成熟後の内分泌関連器官における病理組織学的解析結果およびSm-POAサイズに暴 露による影響は認められず,高濃度を周産期に母動物への混餌投与により暴露しても,産子の生殖内分泌シス テムに障害を及ぼさないことが示された.第2章
マイクロダイセクション法を用いたパラフィン包埋切片における
緒言
新生子期に外因性のホルモン様物質に暴露されることにより,SDN-mAのサイズが変化することが報告 されていることから,周産期にEDCsに暴露された子動物における生殖内分泌システムへの影響をSDN-fOA 領域における神経細胞のアポトーシスを定量することにより評価することを計画していた(TmL染色,Ni岱1e 染色,AdⅦ00可鮎e3免疫染色).しかし,これらの染色法ではEE暴露においても対照群との量的な差が認め られなかったことから,脳の性分化過程の特定時期におけるSDN-pOA領域の神経細胞アポトーシスの定量は, 性成熟後に起こる生殖内分泌障害を検索するには不向きであると考えられた.そこで,脳の機能障害を解析す る新たな手法として,マイクロダイセクション法により採取したMPOAにおける性分化関連遺伝子のmM の定量解析を計画した.近年のマイクロダイセクション技術の発達により,組織切片の微小領域における分子 生物学的な解析が可能になってきている匹Inmelt-Bud(etal.,1996;SchiitzeandL血r1998).分子生物学的な解析 には,標的分子の損傷を避けるため,未固定・凍結組織からの凍結切片の使用が一般的である.しかし,マイ クロダイセクションに未固定・凍結組織からの凍結切片を使う手技は,切片の保存に手間がかかり,かつ,一 連の操作に熟練を必要とする.それゆえ,もし標的分子の高い収量および質が保証されるのであれば,固定後 にパラフィン包埋する手法がマイクロダイセクション法を用いた解析には適している.病理組織学的解析にお いては,形態保持の良さ,染色操作を含む取扱いの容易さから,組織の固定およびパラフィン包埋がルーティ ンとして実施されており,ホルマリン系の固定液(緩衝ホルマリンなど)が広くこの目的に使用されている. しかしながら,ホルマリンのような分子架橋にもとづく固定液においては,組織からのmの収量およびそ の質は高くない(Srinivasanetal.,2002).Mの収量や質はマイクロダイセクションされた細胞におけるmRNA 発現解析の成否に対して決定的な要因となる.近年∴知慮u血1iet止は非架橋系の有機溶媒固定液であるメタカ ーンPu血血dd.,1卯0)による固定が,その後のR軋もたんばく質,DMの解析に適していることを見出し た(Shibutanietal.,2000;ShibutaniandUneyama,2002;Unqyamaetal.,2002).NIPCRを用いたMの発現解析に おいては,メタカーン固定・パラフィン包埋組織佃ER)切片から抽出したRNAを用いて,RNA分子の長 い断片や構成的発現がかなり低い分子種においても増幅に成功している(馳ね血idd.,2(X氾).マイクロダイセクションされた微小領域におけるmの発現解析には,その検出感度の高さからⅠ℃Rに基づく技術が適して いると考えられる.そこで本研究においては,マイクロダイセクションされた組織切片での,リアルタイムpCR 但卸血idd.,1卵2,1993)を用いたm餌発現レベルの測定におけるメタカーン固定の適合性について検討し た.この目的のために,1)未固定凍結組織との比較によるm餌発現の忠実性,2)未固定・凍結切片との比 較による増幅可能なmm量,3)解析に用いたMdRM量と遺伝子発現量の直線性,4)ヘマトキシリン染 色による影響,5)実際のmRM発現解析に必要な細胞数,について検討した.
方法
動物および実験デザイン Cd:C叫SD)IGSラットは日本チャールス・リバー株式会社匹皿agaWa,Jap皿)から購入した.ラットはバ リヤーシステムにより管理された動物室(室温:24±lOC,湿度:55±5%,照明:明暗12時間サイクル)で 飼育し,自由摂食,自由摂水とした.妊娠動物を含むすべてのラットはポリカーボネート製のケージ(SKCk叫 41.5x26x17.5cm;CLEAJapan,hc.,Tbkyo,Japan)にチップを敷いて個別飼育した.フェノバルビタール(PB) による肝臓のチトクロームP450(CYP)2BlmRNAの誘導を測定するために,雌ラットにsodum由飢dbalbital(W址oPureChemicalhdusbies,Ltd.,Osaka,Japan)を3日間,0(生食),1.25,5,20,80mgkgday腹腔内投与し,
最終投与の24時間後に剖検した.pBの最高用量は文献値を参考にしたO(oG犯℃ketal.,1998).実際の目的とす るマイクロダイセクション法により採取された組織顔域における検討のために,生後10日腕の性別ヒ完了時 期)の雌雄ラットを用いて,MpOAにおけるmRMの部位特異的な発現解析を実施した.実験は,国立医薬 品食品衛生研究所の動物実験指針を遵守して実施した. 組織の固定 メタカーン固定液(メタノール:クロロフォルム:酢酸=6:3:1)は用時調製し,使用まで40Cで保存 した.ラットから肝臓を摘出し,3mm厚のスライスあるいは5Ⅹ5Ⅹ3Ⅱmのブロックを外側左葉から作製し,40C のメタカーン固定液で2時間穏やかに振とうしながら固定した.摘出したラット産子の脳は,そのままメタカ ーン固定した.肝臓のスライスとブロックおよび脳の視床下部を含む冠状スライスは,包埋を実施するために, 卵.5%エタノールで脱水(1時間×3回,40C)し,キシレンに浸漬(1時間×1回,30分×3回,室温)し,パ ラフィンに浸漬(1時間×4回,6げC)した.包埋された組織は,切片作製までのあいだ最長6カ月間,40Cで 保存した.メタカーン固定に充てた部位の近傍から3Ⅹ3Ⅹ1mmおよび5x5Ⅹ3mmの未固定肝臓組織を採取 し,前者はRNAldeP(A血ion,hc.,Austin,TX)に浸漬(ovemight,4。C)し,後者はTissue-1故⑧45830.C.Tコ ンパウンド(S血mFin醜女匝Co.,M.,叫0,J叩肌)にドライアイス上で包埋し,それぞれ直接あるいは切片作製後のRNA抽出まで諸0℃で保存した・産子MPOAの免疫染色用の脳は,10%中性緩衝ホルマリン匝7.4)
に穏やかに振とうしながら浸漬し(ovemi如,室温),視床下部を含む冠状脳スライスは常法に従いパラフィ ンに包埋した. 組織標本の作製およびマイクロダイセクション PB処置したラット肝臓における濃度依存的なCYP2Blの発現誘導の検討のため,M-PETiを10一皿厚に薄切 し,2.5pmのPEN-foilfilmO,eicaMicrosystems旭,Tbkyo,Jap皿)をかぶせたガラススライド(3%H202で10分 間処理し,エタノールで洗浄後,370Cインキュベータで一晩乾燥して使用)上に載せた.切片はキシレンで脱
パラフィンe分×3回)後,吸5%エタノールに浸漬(30秒)した.染色用の切片は℃ssueぱH弧呵血3G
(SakLmFinetd(JapanCo.,Ih)で10秒間染色後,直ちに水洗し,風乾した.標的遺伝子の発現レベルと解析に 用いたm量の間の直線性についての検討用に(増幅可能なmRM畳も同時に検討),連続20枚を1セットと して10pm厚の切片を5x5x3rmの未固定凍結組織およびM-PETiから作製し,1.5mlチューブに集めた.抽出された伽血石RNAの質に関しても,ここから抽出したto血R仙におけるdひ仏sバンドのアガロースゲル電気泳動
像から検討し,同時に固定のみの影響についても,凍結切片をメタカーン液で固定(10分,40C)した切片に おいて検討した.組織の薄切および染色の操作には,Gengard捌加を装着したElix3u址mpu陀WatergStem 糎,Billerica,MA)を用いて作製したRNase一触e水を使用した.濃度依存的な発現解析の検討用には, M-PET5切片の全て組織領域をPfN-foilfilmごと1.5miチューブに回収した.マイクロダイセクション組織に関 する検討用には,へマトキシリン染色した10岬1厚切片を使用し,半径30,50,100四nの円を月刊、菓中間帯から fALMRbbotTMi血l(CadZeissCo.W.,Tbkyo,Japan)を用いてマイクロダイセクションした.これら円形標 本以外に,細胞数とtotalRNAn収量の関係の検討用に,250x250,500x500,1,(X氾xl,000pmの正方形顔域に ついてもマイクロダイセクションした.マイクロダイセクションされたMpOAでの発現解析に関する検討用に は,メタカーン固定・パラフィン包埋したラット脳を用いて,2枚の20pm厚切片に挟まれた恒皿厚切片を連 続的に作製した.作製した20岬m厚切片はm一触1創m上に載せ,6岬1厚切片は通常のスライドグラスに載せて HE染色した.6一皿厚切片においてSDN-POAの位置を確認(Fig.2-1)し,隣の20pm厚切片におけるSDN-InA を含むMPOA(1,000x600岬l,両側)をマイクロダイセクションした.sDN-POAのサイズに性差があるため,雄においては6∼10枚,雌においては4∼6枚の切片がマイクロダイセクションに使用された. RNA抽出 定量的なm餌発現解析はリアルタイムRPCRを用いて行った.未固定凍結組織ブロック(3x3xlmm), 月刊読M-PET岳の組織切片(切片全体を使用したもの),脳M-PETも切片からマイクロダイセクションされたMPOA は,tOtalRMkRNASTAIWTM(Tbl-Tbst"B",hc.,Friendsw00仕TX)を用いて抽出し,2膵旭のグリコーゲンを キャリアーとして使用してイソプロパノール沈殿し,10plのl血叩ureWater仏血bionInc.)に溶解した.未固定凍 結組織ブロックに関しては,MixerMillMM300(QIAGENKK)で組織粉砕しTRNAS胴TM溶液に溶解した. 5x5x3mmの未固定凍結組織とM-PETiから薄切した5x5m血和臓組織切片については,tOtalRNAkNeasy⑧ M血(QIAGENK.K.Tbkyo,Japan)使用して抽出し,最終的な液量を30plとした.コンタミしているgenomicDNA は,抽出終了後,maSeI仏皿bionhc.)を用いて分解した.抽出後のtotalRNA溶液から,1plを分取し, RiboWMmQuandtahkh(MolecularPrbtxs,Eugene,Oregm)でラベ/レして,fluα℃SCenCe甲血Photometer F2500PitadhiConpanyIh,Tbkyo,Jap孤)を用いて総量lmi溶液としてm濃度を測定した. 肝臓M-PET岳切片からマイクロダイセクションした微小領域においては,mqueOusTM-Micro仏血bionhc.) をtotalRNAの抽出に使用し,最終溶液量を20plとした.コンタミするgenomicD仙は,キットに含まれる DN鮎eIを用いて分解し,最終液量を25.3ド1とした. リアルタイムRTぜCR 2ステップのリアルタイムRTpCRを実施する際は,Rr反応は1ド1(200u血)のS甲娼吋MⅢRN胱汀 Reverse馳ISCriptase,2lllの50帽血1randomhexamers,1トLlの10mMdNVmix,2ト11の10x忙Rbu飽r,1.2 Plの50mMMgC12,2plの0.1Mdidli血血1,1巨1のRNaseinhibitcqおよび9.8plのm溶液(合計20Llり を混合して実施した(全試薬の購入先はhv晦nC叩Ⅰ慮on,Carhbad,CA).1plのRNaseHで処置後,1plの Rr産物からQuandWMSYBR⑧G眠n陀RK血(QIAGENK.K)あるいはThqMan⑧universalpCRMasterMix 仏PPliedBiosystemsJapanLtd.)により25plの反応液を調製し,ABIPRISM⑧7700SequenceD蝕dicnSystem
㈱iedBiosystemsJapanM.,Tbkyo,Japan)によりリアルタイムPCRを実施した・この2ステップのRIIPCRにお いては,ERa,ERP,Ylamindbutyricacid叩r押1(GÅrl)および由yceralddTyde-3一画OSdlatedehydrpgenase
(GAPDH)を測定した.プライマーおよび叫Manprbbesの設計には裾merExpres?soRware(Ⅵ邪ion2.0;Apphed
Bio町StemSJapanLtd.)を用いた.GAPDHの発現解析にはSYBRPGl恍nとThqM皿⑧印加の両方のシステムを採 用し,後者の反応にばhqMm@RodentGAPDHCon加1Reagents仏PPhedBiosystemsJapanud.)を用いた.プライ マーおよびプローブの酉診りをT地1e2-1に示す.SYBR竺Greenシステムを用いて,CYP2Bl,ERβ,GAI11,GAPDHのmMレバンレを測定した(合計25plの
反応液中に,1plのRT産物,12.5plの2xQuantiTbctTMSYBR@GreenPCRMasterMix,300nMのプライマー). 本システムにおいては,初期活性化950C:15分の後,舛OC:15秒,アニーリング30秒,720C:30秒の3ステッ プを50サイクル実施した(アニーリング湿度はCYP2Bl,ERP,GÅrl,GAPDHでそれぞれ530C,540C,540C, 590C).ThqMan⑧prbtxシステムを用いて,E餌,GAPDlIのⅧRNAレベルを測定した(合計25plの反応液中に, 1plのRT産物,12.5plの2xThqMan⑧uhiversalPCRMasterMix,900nMのプライマー,250nMのThqM狐⑧ 印加).本システムにおいては,両遺伝子ともに1ステップの500C:2分,初期活性化950C:10分の後,950C:15 秒,00OC:甜秒の2ステップを50サイクル実施した. 町反応とそれに続くリアルタイムpCRを連続して1つのチューブで行う際には,皿かS呵沌鮎(q以血扇伽 SYBR㊨GremRIlnRKit(QIAGENK.K;forCYnBl)およびQuamiTbctTMprbbeRrfCRKit(QIAGENKK;for GAPDq)を利用し,5plの山鹿山RNA溶液を使用して,合計50plとなる反応系で実施した.CYP2Blのサイク ルパラメータは先の2ステップ・システムと類似しており,初期活性化950C:10分の前に,500C:30分のRTス テップを加えた.GAPDHに関しては,1ステップの500C:30分,1ステップの950C:15分の後,940C:15秒, 甜OC:00秒の2ステップを50サイクル実施した.RTの陰性対照として,代Ⅴ耶e坤e(-)m∝kf汀標本を pcR実験毎に設定した. 免疫染色 ERαのmRNAの発現パターンは堆雄で異なるため,蛋白質の発現についても免疫染色により検討した.視索前野において,5枚1組の3一皿厚切片を30叫n間隔で作製し,各組の最初の1枚をHE染色した.これらの切 片を顕微鏡下で観察し,SDN-POAが最大となる切片を含む組をそれぞれの動物におけるERα免疫染色用として 選択した.脱パラフィン,水和した切片を0.01Mch7debu飽rQiH6.0)中で9分間,マイクロウエーブ処理し, 1%過ヨウ素酸溶液で10分間処理した.mouseami-ERαmCnOClonalNdh*PoⅥ血LaboratoriesLtd.,Newcastle
upmTyne,UK;40倍希杓でインキュベーションした後,VECTASTAN@EliteABCKIT匝tⅣI.dtxxdeshc.,
B血h辞m,CA)を使用して染色した.免疫染色後の切片はへマトキシリンによるカウンターステインを実施し た.180倍のデジタル画像をFtdixDigitalCameraSystemげ両ifibn,Tbkyo,Jdpan)を使って取り込み,MpOA(600 xl,(朕)pm)における免疫染色陽性の核の数をMacSCOPE(versi皿2.65;M簸miCorp.,FukuもJapan)を用いて測定 した. 統計解析 mRNAの発現レベルおよびERα免疫染色陽性細胞数の比較解析は,等分散性を確認した後に,Student,st⊥teSt により実施した.肝臓とMpOAにおける発現解析のバリデーションにおいて,反応に使用した伽庭石RNA量と 標的遺伝子の発現レベルの間でPealS皿,scmladcnc∝頗cients(相関係数)を求めた.各反応間の発現量のバラ ツキは変動係数(CV)で表示した.結果
他心右RNAの質 F短.2-2は,M-PETk切片から抽出されたtotalRMの質を示す.アガロースゲル上での18Sと28Sの瓜NA バンドの保持の度合いから判断すると,メタカーン固定された凍結切片の他1RMの質は良く保たれており (Lme2),未固定凍結切片のそれと Q_,anel)比較して遜色無かった.M-PET切片に関しては,両虎NAバン ドともに概ね良好に保たれていたが,28S戊Mの質はわずかにそこなわれ,28Sバンドの位置より下のバック グラウンドスメアがわずかに増加していた. mR仙発現の忠実性 Fig.2-3は,未固定凍結組織とM-PET岳切片(未染色およびヘマトキシリン染色)におけるⅢRMの発現 の忠実性の検討に関するデータを示している.投与されたPBの用量に依存したCYnBlmMの誘導がPB に3日間処理されたラット肝臓において明らかとなった.未固定組織において,明らかなPB用量に依存した CYP2Bl誘導が検出され,その発現レノウレは80mgkg群に対する相対値として,20,5,l.25,Omgkg群にお いてそれぞれ27.5,4.95,1.10,0.33%であった.同様な用量依存的発現がへマトキシリンによる核染色の有無 に関わらずM-PER切片においても認められた(1.25,Omが唱群では若干低値).未染色の場合,最大47%の 値のバラツキが,80mgkg群において認められた.80mgkg群に対する20,5,1.25,Omgkg群の相対的な発 現レベルは,未染色で3S.6,727,0.21,0.鵬%,ヘマトキシリン染色で18.1,2.49,0.01,0.把であった.托Ⅴ耶e 叫e(-)m∝kRT標本においては,PCRによる増幅は認められなかった. 増幅可能なmRNA分子の相対量 Mr陀恥切片における増幅可能なmRM分子の相対量を検討するために,PB処置(80m蜘,3日間) されたラットの肝臓における遺伝子発現レベルを未固定凍結切片と比較した.未固定凍結切片およびM-PEl盲 切片からのM収量は10岬l厚切片においてそれぞれ35.4Hl.3および42.1土6.On如皿2であったb=5).1∼1,00O Pgの範囲のtdalmでの,CYP2BlおよびGAPDHの相対的な発現量をTable2-2に示した.両遺伝子の発現シグナルは1pgの山鹿右RNAにおいても検出可能であったが,M-PET岳切片と未固定凍結切片から抽出したtotalRJm のいずれにおいても,RTpCRに用いるtotalm%が減少すると値のバラツキは大きくなった.CVの値から判 断して,未固定凍結切片およびM-PET5いずれにおいても1,㈱pgとl00pgtotalmの範囲で発現値のバラツキ が小さかった.両者を比較すると,M,PET5切片において増幅可能なmRNAの若干の減少が認められた(CYP2Bl で88.2∼98.5%,100pgでP<0.05;GAPDHで76.5∼86.3%,1(X粕pgでP<0.05). mm発現レベルとRTぜCRに用いた他1m量の直線性 Fig.24は,PB処置ラットの肝臓から作製した未固定凍結切片とM-PET5切片における回帰曲線の比較を 示している(データはThble2).M-PET岳切片において,解析に用いたRM量と発現量の間の直雛はCYP2Bl, GA馴DHいずれにおいても非常に高く,未固定凍結切片とほぼ同等であった.未固定凍結切片における発現レ ベ/レとtotalm%との相関係数はCY陀Blで0.997,GAPDHで0.990であり,M-PETi切片における相関係数 はCYP2Blで0.991,GAPDHで0.982であった. RT反応およびリアルタイムf℃RのプロセスおけるmM発現データのバラツキについて,生後10日の 雄ラットMR)Aから抽出した同一m溶液を用いて4遺伝子について検討した(F短.2-5).5∼45喝の範囲 のtotalRNA量において,CVで評価した遺伝子発現のバラツキは大部分20%以内であった.加えて,解析に 用いたto血Ⅷ削A量と4種の標的遺伝子の発現量はいずれも高い相関性を示した(R値はERα:0.972,ERβ:0.985, GÅrl:0.965,GAPm:0.985). HE染色切片におけるmMの相対量 職ble2-3は,ヘマトキシリン染色されたMmTb切片と未染色のM-PETi切片におけるmm分子の相対
量の比較を示している.未染色およびヘマトキシリン染色切片からのm収量毎画加血,1叫m厚)はそれ
ぞれ873土276匪尋,136i354b=5)であった.cYP2BlおよびGAPDHの発現レベルを1,10ngのtotalRNAで 検討した結果,へマトキシリン染色切片では,増幅可能mRJm量の0∼20%の減少がCYP2Blにおいて認められた(戸く0.05)・解析に使用するRM量を1/10にすることにより(10喝→1n∂,染色の有無に関わらずCY円Bl
とGAPDHの発現畳もほぼ1/10に減少した. マイクロダイセクションした子ラットMpOAにおけるmRNA発現解析 幼君ラットMpOAにおけるERaの発現量の性差が免疫染色により報告されていることから(Ⅶkosuka al.,1997),ERctmRNAの発現レベルをマイクロダイセクションした生後10日のラットMPOAにおいて検討し た肝短.2-6).同時に,MpOAにおいては明らかな性差が無いことが免疫染色とhs血ハイプリダイゼーショ ンにより報告されているERP(0血脱etal.,2002)についても,そのniRNA発現レベルについて検討した.E mmの発現レベルは,2種類のノーマライゼーション法hotalRM量当たりおよびGAPDH発現量当たり) いずれにおいても雌で雄より高かった.一方で,ERβmmの発現レベルに性差は認められなかった.同日齢 のラット脳のERα免疫染色においては,脳の視床下部領域の核に明らかな陽性反応が認められた肝垣.2-7A). マイクロダイセクションしたMPOAに相当するエリア(600Ⅹ100町岬l)において計測したERα陽性細胞数は 雌において雄より高値であったげ短.2-7A,B). mRNA発現解析に必要な細胞数 M-PET岳切片におけるniRNA発現の定量的な測定に必要な細胞数を検討するために,PB処置(80mgkgMay, 3日間)したラット肝臓の10一皿厚切片(へマトキシリン染色)を用い,月刊、葉中間帯からランダムに半径30 ∼100pmのエリアをマイクロダイセクションした.CYP2BlとGAPDHに関し,ワンステップリアルタイム RrPCRを実施した.職ble24はそれぞれの遺伝子におけるマイクロダイセクションした標本と標準溶液のうち 測定下限に位置する溶液の也托Sholdcycle(CT)間の差を表わしている.CYnBlにおいては,半径100Limを1 枚(細胞数約52個)用いた場合に,測定下限を上回った.GAPDⅢにおいては,半径50一皿以上の標本の大部 分がCTで判定した測定下限を超えた.個々の標本間のバラツキはCT値間の差のCVで表現した.両遺伝子にお いて,データのバラツキはマイクロダイセクションしたエリアが大きくなるにつれて減少し,細胞数208個に 相当するエリアを使用することにより大幅にバラツキが減少した.標本間のバラツキは,GAPDHと比較して CY陀Blで大きかった
マイクロダイセクションされた組織額域の面積と他心右RNA収量の関係
職ble2-5は,ヘマトキシリン染色したラットM-PER切片からマイクロダイセクションした各組織面積に おけるM収量を示している.組織面積の増加とともに,餌収量は比例的に増加した.1nかI11は肋G胱n
8uα℃S旧It卸eを用いたm定量の検出限界(説明書に記載)であるので,我々の使用している蛍光光度計で は他Im量の検出限界は250Ⅹ250岬1(細胞数約1鋸個)であった.
考察
本研究において,未固定凍結切片と比較して,M-PET岳切片に存在する増幅可能なmmの量の減少はわ ずかなものであった.M-PET旨から抽出された肋1Mの質がわずかに低下していたことは,増幅可能なm餌 量がわずかに減少していたことと相関する可能性が示唆される.一方で,凍結切片を10分間メタカーン溶液中 で固定してもtotalRNAの質は維持されていたことから,メタカーンそれ自身はRNA分子の質には影響を及ぼ さないと考えられる.凍結切片は取扱いの容易さや簿切された後の切片におけるRMの安定性の面でパラフ ィン包埋切片に劣ることから,薄切やそれに続くマイクロダイセクションにおける取扱いに関する利点を考慮 すれば,パラフィン包埋と組み合わせたメタカーン固定はマイクロダイセクションされた標本におけるmRNA 発現解析において明らかに有益な手法である. 本研究においては,へマトキシリンの短時間染色による発現解析に対する影響は明確なものではなかった が,一般的には,ヘマトキシリンによる組織染色はg切nOnlicD他の抽出効率とf℃R増幅の両方に悪影響を与え る(M血胱dd.,2㈱;鮎Ⅰ也d由っ20∝)).有機溶媒系の固定液(カルノア,メタカーン)により固定された組織 切片中のポリヌクレオチドは,免疫染色やh s血ハイプリダイゼーションの操作中に水溶液中に放出される OJrieli-Shovaletal.,1992;Uneyamaetal.,2002).しかしながら,M-PET5切片はへマトキシリンにおいて短時間(1 ∼10秒)で染色することが可能でありNneyamaetal.,2002),このことが本研究においてヘマトキシリン染色 後の抽出可能な餌の減少が非常に限定されたものであった要因である可能性が示唆される.本研究において は,増幅可能なmmのヘマトキシリン染色後における相対量の減少もわずかなものであった(0∼20%). Uneyzmaetal.(2002)は,HE染色はM-PET岳切片におけるImの収率や質には影響を与えないが,genmicm のPCR増幅に影響を及ぼすことを報告している.へマトキシリンは職qDNA匹咄Ⅷen駅活性の維持に重要な2 価陽イオン0晦2+)に影響を与え(αm成d.,1996),このような影響は切片全体を剥ぎ取ったような大きな標 本をPCR解析に充てるようなケースにおいて明らかであることが報告されている@血仇etal.,1998;Muraseet d.,2(X粕).しかしながら,そのような阻害効果はマイクロダイセクションされた微小領域を解析するときには 無視できる程度である可能性が示唆される¢血getalり2001).今回研究の結果と同様に,へマトキシリン染色はマイクロダイセクションされた微小領域の解析においてはRTPCRに影響を及ぼさないとする報告もある (Im狐Ii血ietal.,2001). 増幅可能なmRNAの相対量の検討において(Thble2-2),100pgのtotalRNAを使用すれば発現レベルは大き くはばらつかなかったが(CV<20),GAPDH遺伝子のCT値間の差のバラツキの小ささとそれに対応する組織 サイズから考えて(Thble24),肝組織では半径100一皿の円領域x4枚,すなわち約200細胞(Thble2-5のm 収率で換算すると2ngに相当)が実際のmRNAの発現解析に最低限必要だと考えられた.CYP2Blの発現レベ ルは,GAPDⅢと比較すると208細胞を用いても標本間にバラツキが認められた.pB処置により発現誘導され るCY陀Blの量はラットの肝小葉の部位により異なり,門脈周辺部位において高発現している伸助1訂dd., 1卵2).本研究においては,肝小葉の中間帯を解析に用いたが,各標本におけるCY陀Bl発現量のバラツキはこ の部位による転写量の違いを反映している可能性が示唆される. 本研究においては,Rjtxhfluo隅Centdyeを用いて也由右RNA濃度を測定し(この方法では1miの総反 応液においては1ngが検出限界),マイクロダイセクションされた肝細胞100個から約1ngのtotalmを得 た.もし,mRNA発現レ/勺レのノーマライゼーションを也也㌃RNA量当たりで行うのであれば,今回の実験条 件では,合計で3喝以上(ラット肝の10ト皿厚切片においては,300細胞以上に相当)の他心右RNAが必要で ある収NA濃度の測定にl喝,それに続くリアルタイムRr陀Rに2ng).もし,蛍光マイクロプレートリー ダーが利用できるのであれば,tOblRM濃度の測定に用いる溶液の容量は少なくすることが可能である.他の ノーマライゼーション法として,内標遺伝子の発現レベルを使うことも可能であり,GAPDHなどのハウスキ ーピング遺伝子がしばしばこの目的に使用される.しかし,1種類のハウスキーピング遺伝子によるノーマラ イゼーションの危雛が報告匹∝dd.,2002;1もc加00dd.,2002)されており,出生直後∼離乳のラットにおい ては,GAPDH発現の性差がいくつかの脳領域において報告されている岬errot-Sinaletal.,2001).しかし,今回 実施したMpOAにおける検討においては,いずれのノーマライゼーション法においてもERαの発現量の性差 は明らかであった. 本研究の結論として,M-PET岳はマイクロダイセクションした微小領域におけるリアルタイムRrPCRを用 いたmRNA発現解析において有益な手法であることが示された(へマトキシリン染色切片においても解析可
能).ホルマリン固定・パラフィン包埋した組織におけるmRNA発現解析の高い精度を報告している研究もあ るが(軸∝bはdっ2001,2002),ホルムアルデヒドは核酸を修飾して高頻度の再現性のなし酒己列変異の要因とな る他,短い断片しか増幅できない匝扇飾d吋S血涙眼mdd.,2002)ため,分子解析においては限られた用途に しか利用できない.パラフィン包埋切片におけるmとタンパク質の双方への利用性も合わせて考慮すると (Shibutanietal.,2(X氾;ShibumiandUneyama,2002;Uneyamaetal.,2002),メタカーン固定は特異的な細胞集団にお ける標的遺伝子の様々な解析において幅広く利用できる優れた手段である.
小括
脳の機能障害を解析する新たな手法として,マイクロダイセクション法により採取したMPOAにおける性 分化関連遺伝子のmMの定量解析を計画した.その際,標的組織のm餌発現解析において一般的に使用 される未固定・凍結切片において,SDN-pOAを含むMpOAの一定領域を常に正確に採取するのは事実上不可 能であり,かつ,未固定組織においては薄切からマイクロダイセクション操作の過程におけるmmの分解が 無視できない.そこで,パラフィン包埋しても各種の分子解析に有用性が見出されているメタカーン固定法を 利用して,M-PE取切片から抽出した微量tdalMを用いたリアルタイムRI二f℃Rによるmm発現レベル の定量的解析のための実験手法の確立を行い,その精度を検証した.M-PET岳切片における遺伝子発現の忠実 性に関して,PBを投与したラット肝臓におけるCY陀BlのPB用量依存的な誘導を検証し,ヘマトキシリン染 色の有無に関わらず,未固定・凍結組織と比較して遜色のない結果を得た.M-PET§切片からの餌収量は, 未固定・凍結切片と同等であり,へマトキシリン染色によっても大きく損なわれなかった.標的遺伝子の発現レ ベルと解析に用いた血RM量との相関は1∼1,(X氾搾の間で非常に高く(相関係数袖.98),回帰曲線は未固 定・凍結切片におけるものとほぼ等しかった.解析に必要な細胞数は,対象とする組織や遺伝子によって最適化 すべきものであるが,10四n厚のラット月刊蕨切片からマイクロダイセクションした微小領域における測定値の バラツキから判断すると,正確な測定には200個以上の細胞が必要であった.これらの結果から,M-PETゝ切 片は,mRNAの定量解析に関して未固定・凍結組織におけるそれに匹敵する精度を示すことが証明された.こ れにより,内分泌作用のある化学物質に暴露されたラットの脳をメタカーン固定・パラフィン包埋し,その M-PET岳切片からMPOAをマイクロダイセクションすることにより,MPOAにおける性分化関連遺伝子の発現 変動を定量的に評価することが可能であることが明らかとなった.第3章
脳の性分化臨界期に内分泌かく乱作用が懸念されている化学物質を暴露されたラットの
WOAにおける性分化関連遺伝子発現レベルの定量解析
緒言
視床下部に存在するMmは,発育過程のラットの脳においてYLアミノ酪酸(GABA)アゴニストに対し て雌雄で異なる反応性を示し仏ugeretal.,2001),性成熟後の行動の性差に影響を及ぼす(MeiselandSachs, 1朔;Num弧,1卵4).SDN-mはMpOAの中央部に存在し,その正常な分化は内分泌系に作用する化学物質に より影響を受け,結果としてそのサイズが変化することが知られているげ加r孤d叫岱,1993;Fe愕皿dd., 20∝);Rh光Sdd.,19卯らり.これまでに5種類の内分泌かく乱作用が懸念されている化学物質伽ⅨC,DNP, GEN,B払,NP)について,その周産期暴露による産子の脳の性分化に与える影響をSDN-mA体積を測定す ることにより評価したが,生殖内分泌システムに明らかな影響を及ぼす1200坪mMXCにおいてもその体積に 変化は認められなかった(M彷血mlidd.,2003;嘲dd.,2∝舶).これら一連の研究結果の他にも,弱いホル モン様物質暴露によるSDN-POAサイズの変化に関しては一貫性のない結果も示されていることからげ加r andHughes,1993;FergLmetal.,2㈱;均erkeetal.,1994;Reghteretal.,1995;Hanyetal.,1999),SDN-mAの体積測 定はEDCsの周産期暴露の内分泌中枢への影響を検出するには感度が高くない手法である可能性が示された (第1章参照). SDN-Ⅰ℃Aの体積測定にかわるEDCsによる内分泌中枢への影響を直接評価する手法として,脳の性分化 期のMPOAにおいて性分化関連遺伝子の発現変動を定量的に解析することを計画した.しかし,脳は部位特異 的な機能を有しており,定量的な発現解析の結果を正しく評価するためには,MpOA特異的な遺伝子発現解析 の手法を確立することが必要となった.そこで,MPOAの部位同定や取扱いが凍結切片と比較して容易である M-PETs切片を用いて,部位特異的な遺伝子発現解析の手法の確立をおこなった.その結果,M-PET岳切片から の払LMRbtx*MicrbBemによるマイクロダイセクションおよびそれに続くリアルタイムRTpCRにより,組 織中の特定細胞集団における定量的な遺伝子発現解析が可能であることが実証された(T軸dd.,2∝河b)(第 2章参照). 本研究においては,第2章で確立した手法を用いて,周産期に内分泌作用のある化学物質の暴露を受けた ラット産子のMPOAにおける性分化関連遺伝子の定量的発現解析を実施した.性分化関連遺伝子としては,ERα,ERβ,PrPgeStmereCqtOr伊R),Stemidreceptorco-aCtivatw(SRC11,SRCr2,GnRHおよびcalbindin-D(CALB) を選択した.ERαおよびERβは視末下部において共に部位特異的な分布を示して高発現しており(0肋dd., 2α妃;Y止osubdd.,1997),その遮断薬投与により脳や行動の雄化が阻害されることから,性分化に重要な役割 を果たしている(McEwenetal.,1977).PRは脳の性分イヒ期のMPOAにおいてその発現量に明らかな性差があり, この発現量の二型性は外因性のステロイドにより影響を受ける(¢血bsd止,2肥b).視床下部におけるSRC-1 あるいはSRC,2は,性ステロイドにより誘発される雌における性行動の制御に関与している(A印加址由dd., 2α氾).ラット新生子視床下部におけるSRC-1蛋白質の減少は,雄において発育期以降の雄型行動の障害の要 因となる仏ug訂etal.,2(X氾).GnRHはブローカ対角帯,中隔野核と同様,MPOAにおいても合成され(Witkinet d.,1982),GnRH遺伝子はそのプロモーター領域にエストロゲン応答配列を持っている帥止dd.,19別). CALBは,カルシウムイオノフォアによるグリア細胞の細胞死(W血雨etal.,1999)と同様,神経細胞において も興奮性神経伝達物質に対する保護作用を有しているげ卸郡血C血鮎dd.,1卵8;McM血皿dd.,1卵8).ラ ットにおいては,CALBは生後8∼26日の間はSDNぜOA神経細胞に特異的に高発現しており,雌の幼君動物 をテストステロンあるいはエストラジオール処理することによりその発現量が増加し,雄の幼君動物を去勢す ることにより発現量が減少することが知られている(Sicbはれ2㈱). 本研究においては,まず初めに,エストロゲン作用の陽性対照物質であるEEを周産期に暴露し,ラット 産子の脳の性分化完了時期のMPOAにおける性分化関連遺伝子発現量の性差およびEEによる影響について検 討した.次に,一連の内分泌かく乱影響に関する研究において,生殖内分泌関連システムに明らかな影響を及 ぼしたMXC,性成熟後の雌雄生殖器に弱い病理組織学的変化を認めたDDⅣ,および生殖内分泌関連システム に明らかな影響を及ぼさなかったGENを選択し,EEに関する検討において投与による影響あるいは雌雄によ る発現量の差が認められた遺伝子について,MpOAにおける発現解析を実施した.発現レベルのノーマライゼ ーション法としては,tOtalRNA当たりと2種類のハウスキーピング遺伝子(GAPDHおよびhypxa出血e-guanine 匝0画1血野1廿肌S丘【a駆岬)の発現量当たりによる方法を併用した.
方法
試薬および動物 MXC(CAS#72-43-5,Purity:画eレ95%)はSigmaChemicalCo.(St.山肌血,MO)から,DNP匿AS 把8553-12-0,Ld#ELR24柑,叫:>98%)は和光純薬工業抹式会社(叫J甲孤)からそれぞれ購入した. GEN(CAS朋4♭72-0)はChangetal.(1994)によって報告されている方法で合成し,純度は97%を超えるものと した.EEは第1章で使ったものと同一のロットを使用した.第1章と同一の施設からC喝Sp)IGSラットを 購入し,飼育条件も第1章と同一とした.EEに関する実験においては,EEの0.5坪m混餌投与による生殖内 分泌毒性は,SFdietに混じるよりも通常のCRF-1に混じたほうがより強く表れることが判明していたことか ら(Masutmietal.,2醐b),実験期間中の基礎飼料としてCRF-1を選択した.MXC,DINPおよびGENに関す る実験においては,SF一元tを実験期間中の基礎飼料として選択した. 実験デザイン EEとMXCの動物実験は,それぞれに対照群をもつ別々の独立した実験として実施した.DNPとGEN に関しては,同じタイミングで実施し,対照群の動物を共有した.EEの実験においては,母動物をランダムに 2群に分類し(7匹/群),EEを0あるいは0.5押mとなるようにCRF-1に混じて妊娠15日から自由摂食さ せた.生後10日において,7匹の産子(1匹/母動物)から断頭によって脳を採取し,残りの産子は他の解析 に使用するためそのまま飼育した.0.5坪mEEをCRF-1に混じて周産期投与した際の生殖内分泌システムへの 影響をTbble3-1に示す.MXC,DmⅣおよびGENの実験においては,母ラットは妊娠3日に入荷後ただちに SFd放で飼育した.各実験において,母動物を妊娠15日に4群に分けて(3匹/群),MXCの0,24,240, 1200ppm群,およびDINPの4,(桝),20,000ppm,GENの1,00ppm,無添加群をそれぞれ設定した.MXCの 投与量は,1200ppmMXCでは0.5ppmEEと類似の明らかな生殖内分泌システムへの影響を誘発し,下垂体ホ ルモン陽性細胞率の変動をその下の用量である240膵rIlから認めた過去の研究結果から選択した(T血1e3-1). DNPの20,WppmEj:性成熟後の精巣と卵巣に弱い病理学的な変化を認めた用量であり,GENの1,000即mは 性成熟後の雄に体重減少を認めたが,雌雄いずれにおいても生殖内分泌システムへの影響がみられなかった用量である(Tめk3-1).いずれの実験においても生後10日において全子動物を断頭し,脳を採取した. 組織標本の作製,マイクロダイセクション,tO血RNA抽出 採取した産子の脳はただちにメタカーン伍℃)で固定し,第2章においてMpOAにおけるマイクロダイ セクションおよびリアルタイムRTIPCRによるERaおよびERβの発現解析を実施した方法でtotalmを調製 した. リアルタイムRTぜCR 9種の遺伝子肛Rα,ERP,PR,GnRH,SRC-1,SRC-2,CALB,GAPDE,HPRT)について,リアルタ イムRTぜCRにより発現解析を実施したh=6/群).GAPDHとI廿RTはその他の遺伝子の発現量をノーマライ ズするために測定した.RT反応は第2章のMPOAにおける方法と同様に実施した.RTに用いたtotalRNA%は, EEの実験では雌雄共に24ng,MXCの実験では雄は42ng,雌は19ng,DNPとGENの実験では雄は22ng,雌 は10喝であった.リアルタイム忙Rに使用したプライマーおよびプローブの配列を¶血1e3-2に示す.sYBR⑧ G托飢システムにおいては,ERβとPRのmmレベルを測定した(合計25山の反応液中に,丹1のRT産物 12.5plの2xQuamiTbcfrMSYBR@GreenICRMasterMk,300nMのプライマー).本システムにおいては,初期 矧酎ヒ950C:15分の後,舛OC:15秒,アニーリング30秒,720C:30秒の3ステップを50サイクル実施した(ア ニーリング温度はERPで540C,Rで530C).ThqMan⑧p血およびTbqMan⑧MGBprbtxシステムにおいては, ERα,GnRH,SRC-1,SRC-2,CALB,HpRTのmRNAレベルを測定した(合計25plの反応液中に,lL11のRr 産物,12.5plの2xThqM皿⑧umiversalPCRMasterMix,900nMのプライマー,250nMのプローブ).GAPDH に関しては,プライマー濃度を100nMに減らし,200dⅥのプローブを加えた.本システムにおいては,1ス テップの500C:2分,初期活性化950C:10分の後,950C:15秒,600C:60秒の2ステップを50サイクル実施し た.RTの陰性対照として,reVerSe廿肌SCriptase(-)m∝kRT標本をpcR実験毎に設定した. 統計解析 3群以上の比較においては(MXCおよびDINPの解析),データはBartlett,stestにより等分散性の検討を
実施した.群間の等分散が認められたときは,一元配置分散分析を実施し,有意な場合は,投与群の平均値を 対照群のものとDumeu,stestにより比較した.B加1ett,stestにより不等分散であった場合は,Km血-W濾is,sH
testにより群間の差を検討し,有意な場合は,DumeaJypemnk-SumteStを実施した.2群間の比較においては(EE およびGENの解析),等分散性を確認後,S山血t,s紬或による解析を実施した.