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奈良・平安期における子ども観の多様性

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Academic year: 2021

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奈良・平安期における子ども観の多様性

攻 ス 専 一 一

教 形 田 校 関 ι j s f i i 一 回 口 学 人 -研究目的と方法 古くから「七つまでは神の子Jとしづ言葉が 残っている。そのような,子ども観は,はたし て古代日本における人間形成にどのような役割 を果たし,子どもはどのような形で大人たちに 理解されていたのだろうカも f銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしか めやもjは,山上憶良の歌であり,

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親にとって 子どもが一番であるJ と歌う。「子等を思ふ歌J は,当時の広く子を持つ親の実感を歌ったもの であるとも把握できる。 また,

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子宝jとし、う考え方の対極ととらえら れるような,

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子捨てJとしりた慣習も存在して いた。一見,対極とも受け取れる,二つの考え 方は,共存していたのであろうカもこれは,当 時の人々が持コ子ども観が一様で、なかったこと を示しているのではないだろうかも 教育史分野や関連諸分野において子ども観に 関する研究の蓄積があるD 先行研究を大尉する と,通史的に子ども観の変遷を追ったもの,あ る社会属性に特徴的な子ども観をとらえようと したものがある。しかし,それらの研究は,① 通史的な研究が中世以降のものとなっているこ とに象徴されるように古代から中古までの子 どもの歴史には十分な研究がなされていないこ と,②「ある一定の社会の中に行き渡っている, 子どもとはこういうものであるjといった子ど も観が強調され,実態に即して子ども観をみる

指導教官:梶井一暁

視長ヰ多様性についての検討は進んでいなし、こ と,③一つの作品,もしくは,一つの階級や男 女それぞれの教育についての個別的な研究がな されているだけであり,備轍的,比較的な視点 からの作業が進んでいないこと,などの課題を 残している白 本論文では,このような研究伏況を踏まえ, 古代,特に奈良,平安断吃の子ども観につして, その多様性に留意して考察を進めた。その際, 階級差,性差としりた考察軸を設け,複B尉句に 子ども観を追ったo そして,子どもたちの生き た状況,大人たちの子どもへの思いを少しでも 多く描き出すことを目的とした。 作業を進めるにあたり,ある一つの作品を取 り上伏それに集中的に考察を加える手法を取 らず,あえて,より広範の資料にあたることを 優先した。律令,和歌,説話,物語, 日記,な どの資料群である。また,積極的に当時の絵画 資料として絵巻物も利用した。 ・各章の概略 第一章では,子ども観を考察していく上で欠 かせない,子どもの定義を行い,

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神から人間J として認識される年齢を見出した。また,子ど もにとって「憂けく辛いj時代で、あったことを, 時代背景を踏まえながら考察した。 第二章では,子ども観の諸相を,階級という 考察軸を用いて検討した。貴族特有の f甑メ」 からみられる子ども観や庶民の厳しし、現実を背 p o

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景にした子ども観を提示した。また,両

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断汲に おいて,微少な差異を含みつつ,共通点も看取 される子ども観として f子宝J

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相応」とし、う考 え方についても言及した。 第三章は,階級差に留意しながらも,性差に 着目し,子ども観のあらいだ、しを行った。一例 だが,貴族男子に象徴される「継承者jとする 子ども観,女子に対する婚姻に伴う子ども観を 瞥見した。また,自活させようとする親の思惑 や「后がねjたる女子への期待など階級差との 関連性も見出せる子ども観も提示した。 -考察 階級軸,性差軸を設けることにより,様々な 子ども観を見出すことができたと考える。一作 品や

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断汲に注視す寸Lば,そのような子どもたち の幅広い様相も,あるモデルとしての一つの子 ども像に収数されてしまう。しかし,その生活 や実態に着目すると,それぞれの現実ヰ喋境に 応じた多様な子ども観もうかがえたのである。 極論村もは大人の数だけ子ども観が存在して いたともいえる。様々な大人や子どもの生活現 実に支えられて,現出する子ども観である以上, 一見,それは,雑多とも取れる。されど,大人 たちの,子どもは見守られるべき存在であり, 保護すべき存在とする考え方は共通していた。 例えば,七歳に満たない子どもは,現世におい て罪を犯すことのない,もしくは罪に問えない 存在だ、とする子ども観があった。七歳までの子 どもの教育が,一般に放任の下にあったことは, これに関係していよう。神と人間の中間的存在 と見なされる七歳までの子どもは,それゆえ教 育の対象とならなかったので、ある。 また,裏を返せば「七歳以降は人間の子Jで あり,

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七歳からは人間社会の一一員Jとして大人 たちが見なす存在だ、ったので、はなかろうかo

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七 歳J周辺を境に,大人たちは,子どもたちに対 して,何らかの人間的色合いを付け始めていっ た。そして,子どもたちに,本来抱いていた様々 な思いを付加していった。その色合いや思いの ひだこそが,大人たちの子ども観の多様性を形 成していったので、はないだろうカ元そこで付加 せられていく様々な色は,階級,性差,嫡庶, 長幼などから渉み出たものだといえるだろうD 本論文を通じ,意思を尊重し,自由で,制約 を設けない大人は少ないと感じた。職掌にも表 れたが,大人が,子どもを従属化におき,階級 や身分,性に縛りつけた実態もうかがえたから である。現荘とは異なる生活環境の中で,当時 の親,社会が抱いた子ども観は,今日の私たち が描くものとは,異質な部分を含むであろうD もちろん,これは良い,悪いをいうのではないD しかし,時折,当時の人々が垣間見せた,子ど もが,精一杯自らの人生を生き,自分なりの生 き方や幸せを見つければ良いとし、う考え方は, 現庄にも通底する部分を持つであろう。それは, 親心として通念的,普遍的に抱くものであるよ うに思える。つまり,親として本来誰もが持ち えた子ども観であるといえる。そのような子ど も観の共通基盤には,子どもに向けられた「愛 情jがあったと思いたいD自明のことであるが, 親子聞の「愛情J,大人たちが見守る「愛情」は, 当時,確かに存在していたのである。 -課題 子ども観の研究は様々なアプローチをとる ことができる。本論文が試みた多様性に着目し た考察は,その一つである。本論文では,中世 への視点や東アジアの中の日本とし、った視点か ら,子ども観の変化に関する時系列的な考察, 大陸文化受容との影響関係、の検討などは行えな かった。今後の課題である白 -

参照

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