Title
気液二相流ボイド率分布とミスト濃度・粒径分布のCT測定
法に関する研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
坂井, 臣司
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 乙第020号
Issue Date
2000-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1692
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 坂 井 臣 司(岐阜県) 博 士(工学) 乙第 20 号 平成12 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 気液二相流ポイド率分布とミスト濃度・粒径分布のCT測定法に関する研究
(Study on CT Measurement Methods for Distributions of Void
Fraction,Mist Concentration andIts Particle Sizein Two-Phase Flow)
学位論文審査委員 (主査) 教 授 若 井 和 憲 (副査) 教 授 井 上 晃 教 授 熊 田 雅 爾 教 授 隅 田 勲
論文内容の要旨
本論文は,気液二相流の研究開発にとって重要なポイド率やミストの測定のために,主としてコンピュータトモグラフィ(CT)を用いて新しく開発した分布測定法に関する研究をまとめた
ものである. 第1章序論では研究の目的および論文の構成について述べている.これまでに多くのポイド 率やミスト測定法が開発されてきたが,特に二次元分布測定については,いずれも最近二相流 の高度な解析にとっては十分とは言えず,一般にポイド率分布などの二次元分布画像を求める には,X線やγ線などを利用したCTを用いるのが最適と考えられてきている.しかし取り扱い に制限のある放射線などを用いるのは一般の研究者にとって容易ではなく,これらに制限なく詳細な二次元ポイド率分布またはミスト濃度分布測定に適用できるワイヤ電極CTや光学CT
を用いた新しい方法を開発することの必要性を示している. 第2章においてはポイドやミス.トの母体となる気液二相流におけるこれまでの研究の発展と 現状などを明らかにし,これらの研究にとってポイド率やミスト濃度粒径分布測定がいかに重 要であるか,特にポイド率やミスト濃度・粒径分布測定法を中心に調べている.そしてそれらの 測定法の問題点,改良すべき点を検討し,本測定法の開発に至った経緯などを明らかにしている・ 第3章においては,電極プローブ法によるポイド率測定において,従来のしきい値のより適切 な設定方法を見出し,その限界を知るとともにそれを超えるための一つの新しい考え方として, ファジィルールの適用を試みている.まず実際にポイド信号の電圧および電圧勾配に対していく つかのしきい値を設定し,その測定結果より精度の限界を明らかにしている.従来法のいずれの しきい値設定法よりファジィにより求めた本法が精度的に優れていることを確認した上で,ワ イヤ電極CT測定値の検証に用いている. 第4章では,電極プローブ法を拡張した新しいワイヤ電極CTによるポイド率分布測定法の-80-概要と特徴などを説明し,本測定法の独創性と有用性を明らかにしている.まず基礎式の検討の ため気液二相流中に置かれたワイヤ電極まわりの二相流シミュレーションプログラムにより数 値解析を行い,基礎実験により測定原理の妥当性を調べている.つぎにいずれの結果も本法が基 本的に測定可能であることを示した上で,実際にポイド率を測定するための主装置およびそれ らに関連する付属機器の構成や信号処理法について検討を行っている.ハード的な問題として CTスキャナを構成するワイヤ電極の種々特性を調べ,ソフト的にCT計算に必要な投影データ の最適条件などを調べている.これらの問題を明らかにした上でCTによるポイド率分布の測 定結果を多くのカラー画像やグラフなどにより示し,電極プローブ法などと比較し直管の断面 時間平均ポイド率は±15%以内で一致することを実証している.応用例では,動特性としてス ラグ流のポイド率分布を高速測定により試みており,さらに垂直および水平に置かれた曲がり 管の時間平均ポイド率分布を測定し写真や考えられる物理現象などに矛盾なく説明できること を明らかにしている. 第5章は,ミスト濃度分布の高速測定を可能にする多チャンネル光学CTによる新しい方法に ついて述べている.その特徴はミスト粒径補正のための粒径分布をミスト濃度と同時に測定し, その信頼性の向上と高速化の両方を計った点である.まずMie散乱法によるミストの粒径測定 法および光学CT法の概要と原理を述べ本法の独創性と有用性について明らかにしている.次 にCTアルゴリズムの開発および高速多チャンネル光学CTスキャナをはじめ,関連する装置や 付属機器の構成および信号処理法について検討し,散乱光強度分布と測定値の関係や,精度およ び適応範囲などについて明らかにしている.そしてノズルから噴出する各噴霧断面のミスト濃 度分布の測定結果を示し,ミスト発生器の消費量から求めた結果と比較し両者はよく一致して いることを確認している.またミスト粒径分布の測定値の頻度分布を対数正規分布で整理し,同 時に測定されるミスト速度の頻度分布と,応用例として自由液面上の気泡破裂によるミスト粒 径度数分布やミスト速度についても示している. 第6章の結論においては,X線など取り扱いに制限のある放射線などを用いることなく安価, 安全にしかも精度良く,電極ワイヤCT法や光学CT法がポイド率分布およびミスト濃度分布測 定に適用できることを上記の数々の実験や解析から実証したことなど述べている.
論文審査結果の要旨
本論文は,気液二相流の研究開発にとって重要なポイド率やミストの測定のために,主としてコンピュータトモグラフィ(CT)を用いて新しく開発した分布測定法に関する研究をまとめた
ものである.第1章序論で本論文の目的とするバックグランドを明確にし,第2章ではさらに 本論文で扱おうとする方法の位置づけを詳細に論じている. 第3章においては,電極ブロープ法によるポイド率測定において,従来法のいずれのしきい 値設定法よりここで提案しているファジィによる方法が精度的に優れていることを確認した上で,ワイヤ電極CT測定値の検証に供している.この内容は,日本機械学会論耳集(B編),63-612,
pp.2713-2718(1997)に公表されており,とくに,しきい値法を多用してきた審査委員が評価を与
えている. 第4章では,電極プローブ法を拡張した新しいワイヤ電極CTによるポイド率分布測定法を提 案し,まずCTアルゴリズムの妥当性を二相流のシミュレーションデータを計算機により発生 させて調べている.つぎに,実際にポイド率を測定するための装置を構成し,誤差の要因,データ -81一処理の方法などハード,ソフトの面から様々に検討を行っている.さらにこれを,電極プローブ 法などと比較し直管の断面時間平均ポイド率は±15%以内で一致することを実証するととも に,動特性としてスラグ流のポイド率分布を高速測定,さらに垂直および水平に置かれた曲がり 管の時間平均ポイド率分布を測定し他の方法から類推される事実とは物理現象に矛盾なく説明 できることを明らかにし,実用性の高いことを示している.この内容については,日本機械学会