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802.11ac技術の機器組込み時に理解しておきたいこと

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802.11ac 技術の機器組込み時に理解しておきたいこと

White Paper: WP15EW0101

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はじめに

IEEE802.11ac(以下、11ac) は、2007 年に登場した規格 IEEE802.11n(以下、11n)に比べ、より高速でより ⼤容量のデータ転送を実現できる規格です。無線 LAN 通信の仕様策定を⾏っている⽶国電気電⼦学会(IEEE) より、2014 年 1 月正式版が発表されています。

本書では、11ac の技術的な実現方法の基本部分に解説を加えながら、実環境下での 11ac 技術運用を考え た場合の最善な機器組込みへの選択肢について記しています。

11ac

の市場受容

11acの強みとなる高速化且つデータ伝送の⼤容量化のメリットにより、有線 LAN に近い品質を無線 LAN で実現する事が理論上は可能になります。

11acはギガビットイーサネット利用を想定した無線 LAN 規格で家庭用、コンシューマー向けブロードバ ンド無線ルーターとしてまず普及が進み、さらにタブレット端末やスマートフォンなどのモバイル端末に も 11ac 対応が浸透、特にスマートフォン市場で半数近いシェアをもつ⽶国 Apple 社の iPhone 6 が 2014 年 秋から 11ac 技術を搭載したことで、今後一層、11ac 技術の普及を後押ししていくことが予測されています。 一方で、現在急速に、企業ネットワークインフラとしての採用も進みつつあります。(IT pro by 日経コン ピュータの調査によると、2014 年 6 月時点における企業ネットワークで、11ac 対応の無線 LAN アクセス ポイント使用率は 14%である事を公表しています。)上記の技術受容の裾野が拡⼤する流れに呼応する形で、 産業、医療、サイネージなど、様々な市場で、業務用途の 11ac 技術実装の関心が高まっています。 たとえば、産業・医療分野では、11ac 技術を適用することで、⾞載用カメラや医療用カメラによる映像 伝送の高速化が挙げられます。また、⼤容量データ通信のメリットを⽣かし、装置同士によるシリアル通 信では、無線の通信時間が短縮される為、ノイズの影響を縮小する事で安定化に効果をもたらし、高い安 定性をもったシステム構築や高品質な製品化、もしくは従来無し得なかった製品の無線化が可能となりま す。 サイネージ分野では、より高画質、高音質なコンテンツを流す事ができ、今後 4K 対応ディスプレイがサ イネージ分野でも普及が進むことから、11ac 対応準備が迫られることが考えられます。

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11ac

の 2 フェーズによる技術進化

次に 11ac 技術の主なメリットである、高速⼤容量のデータ伝送の仕組みを簡単に解説します。 11acは、11n の拡張技術を使用した 11n の後継となる第 5 世代の無線 LAN 規格です。5GHz 帯を使用し、 11nの最⼤伝送送度(600Mbps)の約 11.5 倍に相当する 6.93Gbps の超高速通信が可能になります。その高 速化を担うコア技術として、MIMO(8x8)、変調方式の向上(256QAM)、利用帯域の拡⼤(160MHz)、MU-MIMO などが挙げられます。 Wave 1と Wave2 11acは、規格上「Wave1」と「Wave2」という2つのフェーズ存在し、段階的に技術進化をするステップ を踏んでいます。各々のフェーズは次の特⻑を持っています。 Wave1は、最⼤ 1.3Gbps の伝送送度で、最⼤ストリーム数「3x3」、最⼤周波数帯域幅「80MHz」、SU-MIMO (Single user-MIMO)の機能を搭載しています。Wave2 は、最⼤ 6.93Gbps の伝送速度で、最⼤ストリーム 数「8x8」、最⼤周波数帯域幅「160MHz」、MU-MIMO(Multi user-MIMO)の機能を搭載しています。 下記表 1 は、項目ごとに 11n と 11ac(Wave1、Wave2)の機能/性能を比較しています。尚、現在、市場に 流通している 11ac 対応製品は Wave1 技術が中心です。

11n 11ac (Wave1) 11ac (Wave2) 周波数 2.4GHz帯 / 5GHz 帯 5GHz帯 5GHz帯 最⼤伝送速度 (※理論値) 600Mbps 1.3Gbps 6.93Gbps MIMO最⼤ストリーム数 4x4 3x3 8x8 MIMO機能 シングルユーザ シングルユーザ マルチユーザ 変調方式 BPSK、QPSK、 16QAM、64QAM BPSK、QPSK、 16QAM、64QAM、 256QAM BPSK、QPSK、 16QAM、64QAM、 256QAM 最⼤周波数帯域幅 40MHz 80MHz 160MHz 電波最適化機能 ビームフォーミング - ビームフォーミング

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11acを支える機能

① MIMO(Multiple Input Multiple Output)

MIMOは、送信データを複数の信号(ストリーム)に分割し、複数のアンテナで同時伝送します。従い アンテナ数が多いほど無線通信を高速化が可能になります。11n の MIMO の最⼤ストリーム数は「4x4」で すが、11ac の Wave2 技術では「8x8」まで拡張可能です。

また Wave1 はシングルユーザ MIMO(SU-MIMO)機能を搭載し、無線 LAN 親機と従来通りに端末 1 台単位 で通信する仕様ですが、Wave2では、無線 LAN 親機と複数の端末と同時に通信できるマルチユーザ MIMO (MU-MIMO)機能が新たに搭載されます。

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② 変調方式

デジタルデータを電波に乗せて伝達する仕組みを「変調方式」と呼びます。1回の変調(1シンボル) で多くの情報量を送信できれば通信速度の高速化が図れます。11n の 64QAM では 6 ビット(26=64)の信

号を送信可能であるのに対し、11ac の 256QAM では、1.3 倍に当たる 8 ビット(28=256)の情報を 1 度に

送信する事ができます。

多数変調方式 BPSK QPSK 16QAM 64QAM 256QAM

伝送ビット配置 1シンボル当たりのビット数 1ビット 2ビット 4ビット 6ビット 8ビット 表 2. 各変調方式の 1 シンボル当たりのビット数 ③ 周波数帯域 複数の通信チャネルを複数使用することで、使用可能な帯域幅が広がり、多くのデータを一度に送信で きるチャネルボンディング技術で、11n では 2 チャネル分の 40MHz に対して、11ac の Wave2 では 4 倍に 当たる 8 チャネル分の 160MHz まで拡張しており、より無線通信の高速化が図れます。 無線規格 11n 11ac (Wave2) チャネルボンディング 使用帯域幅 8チャネル 2チャネル 40MHz 160MHz

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④ ビームフォーミング: ビームフォーミングは複数アンテナ(最⼤ 8 本)の位相を調整して、指向性を作り、受信端末に最適な 信号強度で伝送する技術です。既述の MU-MIMO と組み合せる事で、複数のクライアントに向けて、特定 の方に電波出⼒を集中させることも可能になります。 図 2. MU-MIMO とビームフォーミングの組合せ技術

ビームフォーミング 無し

ビームフォーミング あり

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Wave2

技術実装が抱える課題

Wave1と Wave2 では機能・性能について差異があり、性能数値や機能比較では Wave2 の方が優れている 事をここまでで確認しました。 一方で、実際の機能特性や利用環境、実装難度の視点で Wave2 の是非を考慮した場合、複数の課題が存 在することも事実です。代表的なものを以下に記します。 課題①: チャネルボンディング帯域の確保 使用可能な帯域幅が広がり、多くのデータを一度に送信できるチャネルボンディング技術は、そのメリ ットを最⼤限に発揮させる為には、帯域を占有できるクリアな無線電波環境を確保できることが条件です。 使用環境や干渉の影響によっては、Wave2 の最⼤帯域幅 160MHz が確保されず、本来性能が発揮できない 可能性が考えられます。最⼤帯域幅を常に担保できるような環境の整備には一定のチャレンジが伴います。 課題②: MU-MIMO 実装の難易度 Wave2機能の MU-MIMO とビームフォーミングを組み合せ、アクセスポイント(親機)から複数のクラ イアント(⼦機)に向けて、特定方向に電波出⼒を指向させる事で、親機と⼦機との通信間で親機から特 定エリアに向け、強い出⼒で電波を放出する場合、⼦機を越えた放射線上の他の機器へ干渉する恐れがあ ります。逆に、⼦機が発信した電波が、親機を越えて他の機器へ干渉を与える可能性もあります。特定の 機器同士で高速データ通信が⾏いながら他の機器への影響を考慮した機能実装検討が必要です。 課題③: 適切な Wave2 評価環境の確保 Wave2特有の新規技術を特定のアプリケーションにあわせて正しく性能評価を⾏うためには、最適化さ れた環境設置だけでなく、高額な試験測定装置と知識とスキルをもつエンジニアが必要です。また、製品 評価を⾏う際も、各機能の評価基準の現実的な妥当性設定に課題が挙げられます。

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ニーズに即した適切な 11ac 機能実装を

Wave2の技術は今後⼤きなポテンシャルを含んでいる一方で、現時点では、そのメリットを最⼤限に発 揮させる際に多くの課題の解決策をまだこれから検証していく必要がある現状です。 また、アプリケーションによっては、Wave2 への 11ac 技術の軸が移⾏した後も、運用が比較的シンプルで、 多アンテナ化によるホスト CPU への過⼤負荷・コストアップや消費電⼒への対策を軽減できる Wave1 技術 も適切な選択肢でありつづけます。

今後、11ac 技術実装ニーズは加速していくなかで、Wave1 と Wave2 の技術差の正しい理解に基づき、顧客 ニーズと実現性の両視点の実態を把握した、正しい 11ac 技術の採用検討が必要です。

silex

の取り組み

弊社では、機器組込み用の無線 LAN モジュール製品を展開しており、Wave1 対応の 11ac 対応無線 LAN モジュールも既にご用意しています。11ac の技術実装に関するご相談がございましたら、弊社営業担当者 までお問い合わせください。

11ac(Wave1)対応 無線 LAN モジュール『SX-PCEAC』 URL: http://www.silex.jp/products/module/sxpceac.html

参照

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