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(1)

メキシコにおける

M&A及び合弁事業

主要な考慮事項

(2)

目次

目次

 法制度概観  M&Aに関連する法律/規制  外国投資法  外国投資家によるM&Aに特有の法律/規制 会社組織の種類  会社組織の種類  会社組織の選択  買収形態の選択  M&Aプロセス  メキシコ市場への参入に際して外国投資家が繰り返し陥る誤り  買収契約  合弁事業及び株主間契約  準拠法の選択  仲裁条項  企業結合規制 労働法制のフレ ムワ ク  労働法制のフレームワーク  メキシコ会社のデュー・ディリジェンス  別紙:税法のフレームワーク

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法制度概観

法制度概観

 連邦共和制:  メキシコ合衆国は、32の行政区(1つの連邦に結ばれた31の州と1つの連邦特別区)から 構成されている、代表民主制の連邦共和国である。各州は、それぞれ独自の国会と憲法 典を有する。連邦特別区とは、メキシコ合衆国の首都であるメキシコ・シティである。 各州は郡に分かれる。政治体制は大統領制であり、大統領が国家元首と行政府の長を兼 各州は郡に分かれる。政治体制は大統領制であり、大統領が国家元首と行政府の長を兼 ねている。  メキシコの法制度は、連邦法、州法及び郡法から構成されている。連邦法は、商業に関 する事項のような国家的関心にかかる全ての分野を規制しており、州法及び郡法は、連 邦法を補完し その地域に関する事項を規制している 邦法を補完し、その地域に関する事項を規制している。  大陸法制度:  メキシコの法制度は大陸法制度であり、法制度は成文化されている(例えば、民法典、 連邦租税法 連邦商法典) 連邦租税法、連邦商法典)。  司法制度:  メキシコの司法権は、連邦、州及び郡の裁判所によって構成される。各州は、独自の司 法制度を組織できるが 般的には 第 審裁判所と控訴審裁判所が設けられている 法制度を組織できるが、一般的には、第一審裁判所と控訴審裁判所が設けられている。  民事及び商事訴訟は、通常は州裁判所に提起される。第一審裁判所の判断に対しては、 常に控訴審裁判所による審査を受けることができる。

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M&Aに関連する法律/規制

M&Aに関連する法律/規制

メキシコにおけるM&Aに関連のある法律及び規制は、以下のとおりである。

 商事会社一般法 (Ley General de Sociedades Mercantiles): 同法は連邦法であり、とりわけ、

商事会社の形態と株主/社員の権利を規定している。

 メキシコ証券市場法 (メキシコ証券市場法 (Ley de Mercado de Valores): 同法は連邦法であり、とりわけ、従来型Ley de Mercado de Valores): 同法は連邦法であり、とりわけ、従来型

の会社組織に比較して投資家に対して高い柔軟性を提供できる、SAPIという会社組織につ いて規定している。

 メキシコ競争法 (Ley Federal de Competencia Económica): 同法は独占禁止に関する事項を規

制する連邦法であり、企業結合審査、すなわち競業会社間又はその他の経済活動主体間の 買収及びその他の形態での企業結合の審査について規定している。

 商法典(Código de Comercio): 同法は連邦レベルでの商業活動について規律している。  民法典: メキシコには連邦民法典(Código Civil Federal)の他に、連邦特別区及び各州固有の

民法典が存在するが、後者の内容は全般的に連邦民法典に酷似している。民法典は、婚姻 や相続といった分野とともに、資産に関する事項(不動産・動産、占有権、地役権等)や 債務に関する事項(契約、代理、抵当権、登記等)等を規定している。

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外国投資法

外国投資法

連邦法である外国投資法(Ley de Inversión Extranjera)(以下「FIL」という。)は、とりわけ、外国

人 外国法人 よるメキシ 投資 とおり規律 る 人・外国法人によるメキシコへの投資について、以下のとおり規律している。  一般的に、法律により特に制限されていない限り、外国人・外国法人はメキシコにおける投資 活動をすることができる。ほとんどの事業分野において、メキシコ政府は、外資による所有を 禁止又は制限していない 禁止又は制限していない。  メキシコ政府に留保されている事業分野は、原子力エネルギー、郵便、港湾・空港管制等であ る。  メキシコ人及びメキシコ法人のために留保され、外資による投資が認められていない事業分野 は、国内陸上輸送、開発銀行等である。  外資による投資が10%から49%まで段階的に制限されている事業分野は、国内航空輸送、エア タクシ 輸送 特別航空輸送 保険会社 両替商 倉庫会社 港湾管理 ラジオ放送等である タクシー輸送、特別航空輸送、保険会社、両替商、倉庫会社、港湾管理、ラジオ放送等である 。  49%を超える所有に政府の許可が必要とされている事業分野は、船舶への港湾サービス、鉄道 建設及び鉄道事業、空港管理会社、法務サービス、保険代理店、信用情報サービス等である。 建設及び鉄道事業、空港管理会社、法務サ ビス、保険代理店、信用情報サ ビス等である。

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外国投資法

(2) 「中立株式」

外国投資法

(2):「中立株式」

 FILでは、外国投資家は、投資がメキシコ人又はメキシコ法人のために留保され、外資に 投資が きな 事業 も 該事業 事業を営 業 経 よる投資ができない事業分野についても、当該事業分野で事業を営むメキシコ企業の経 済的持分の過半数を所有することを許容している。  同法は、議決権がない又は制限されている「中立株式」(“neutral shares”)に表象される 「中立投資」(“neutral investments”)を許容している 「中立投資」( neutral investments )を許容している。

 外国投資委員会(Comisión Nacional de Inversiones Extranjeras)に認可された会社のみが、か

かる「中立株式」を発行することができる。このような会社が証券取引所に上場する場 合には、国家銀行・証券委員会も中立株式の発行を承認しなければならない。

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外国投資家による

M&Aに特有の法律/規制

外国投資家による

M&Aに特有の法律/規制

 国家外国投資登録所(Registro Nacional de Inversiones Extranjeras)(以下「RNIE」という。)

おける登録 における登録:  対内投資が行われたメキシコ法人、メキシコで商業活動に従事している外国人・外国 法人及び対内投資に関連する信託については、RNIEに登録しなければならない。  法的な代表者の選任:  メキシコ会社の株主である外国法人又は外国人は、メキシコ国内に法的な代表者(代 理人)を置くことができる。法的な代表者は、メキシコ人又は外国人のいずれでも構 わない。(法的な代表者を)外国人とする場合、(入国審査用紙上の)FM3又はFM2の 就労ビザが必要である。  入国条件:  メキシコで働こうとする外国人は、就労ビザ等の全ての入国条件を満たさなければな らない。

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会社組織の種類

会社組織の種類

 株式会社 (Sociedades Anónimas 、略して「S.A.」という。):

 S.A.は有限責任の法人であり、その資本は複数の株式に細分化されている。株式は、 普通株式(議決権)又は優先株式(通常議決権が制限され、優先的に配当を得られ る)のいずれかとなる。

 S.A.の主要な機関は株主総会 (Asamblea de Accionistas)であり、通常取締役会( Consejo de Administración)によって運営される。取締役会が一般的であるが、単独の 取締役(Administrador Único)を置くことも可能である。  2名以上の株主が必要である。定時株主総会は、会社の住所地において、年1度は最 低開催されなければならない。全員一致の書面による同意をもって会議に代えるこ とができる。合併など特定の事項については、臨時株主総会でのみ決議される必要 がある。  全取締役を外国人とすることも可能であるが、現地の状況について知識のある現地 の人材を取締役会に置くことが推奨される。

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会社組織の種類

(2)

会社組織の種類

(2)

 投資促進会社 (Sociedad Anónima Promotora de Inversión、略して「S.A.P.I」という。):  S.A.の別の形態である。この形態は、少数株主の権利を強化し、より柔軟に異なる権 利を有する株式の発行を可能とし、かつ、株主間契約を有効なものとするために創 設された。特に合弁企業のための組織形態としてより一般的になりつつある。最終 的にメキシコの株式市場で資金を調達することが予定されている会社の 当面の会 的にメキシコの株式市場で資金を調達することが予定されている会社の、当面の会 社形態としても利用されている。閉鎖会社であり、その株式を証券取引所に登録す る必要は無い。メキシコのいかなる会社であっても、適切な会社手続に従うことで 、いつでもS.A.P.Iに組織変更することが可能である。

 株式市場会社 (Sociedad Anónima Bursatil、略して「S.A.B.」という。):

 S.A.の別の形態である。適用のある条件や許可に従い、メキシコの株式市場において 資本/証券の募集をすることができる。S.A.B.は株式会社として運営されるが、証券 市場法(Ley del Mercado de Valores)の規定に服する。メキシコの大会社の多くはS.A.B

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会社組織の種類

(3)

会社組織の種類

(3)

 合同会社 (Sociedades de Responsabilidad Limitada、略して「S.de R.L.」という。):  S.de R.L.は有限責任の法人である。

 S.de R.L.においては、資本は持分(partes sociales)に細分化される。それぞれ価値の 異なる持分を発行することも可能であるが、譲渡可能な証券に表象させることはで 異なる持分を発行することも可能であるが、譲渡可能な証券に表象させることはで きない。持分は譲渡によって移転されるが、S. de R.L.の他の社員は優先的取得権を 有する。  S. de R.L.の主要な機関は社員総会 (Asamblea de Socios)である。S.de R.L.は 通常執行 役員会 (Consejo de Gerentes)によって運営される。執行役員会が一般的であるが、 単独の執行役員(Gerente Único)を置くことも可能である。

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会社組織の選択

会社組織の選択

 一般的な会社組織:  株式会社 (S.A.又はS.A.P.I.)とS. de R.L.が、外国投資家によって利用される最も一般 的な会社である。  有限責任: 全 有 責 株 責  3種類の会社は全て有限責任の法人である。すなわち、株主の責任は、法人に対する 自己の持分に対する支払に限定される。  ガバナンス:  3種類の会社全てにおいて 最終的な意思決定機関は株主総会又は社員総会であり  3種類の会社全てにおいて、最終的な意思決定機関は株主総会又は社員総会であり、 法人の運営を取締役会、執行役員会又は個人に委任することができる。  S.de R.L.の場合、ガバナンスに関する株主間契約の有効性が争われる可能性があり、 従って、かかる事項は組織の付属定款に規定される。S.A.及びS.A.P.I.の株主間におけ る株主間契約の利用は、法律によって認められている。  租税:  例えば、メキシコの組織が、投資家の母国において、税務上パートナーシップとし ての処遇を受けることが重要である場合に S de R L が利用されることがある S de ての処遇を受けることが重要である場合に、S. de R.L.が利用されることがある。S. de R.L.に対してかかる税務上の処遇を与えている唯一の国は、アメリカ合衆国である。

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会社組織の選択

(2)

会社組織の選択

(2)

S.A.P.I.の選択:  S.A.P.I.はベンチャー・キャピタル又は合弁企業に適しており、ガバナンスに関する より柔軟な法律上の規定が定められている。  S.A.P.I.は異なる投資家に異なる権利や制限を付する種類株式を発行できるという点S.A.P.I.は異なる投資家に異なる権利や制限を付する種類株式を発行できるという点 で柔軟性が高い。S.A.P.I.の株主は新株発行に際して新株引受権を放棄することがで きる。  S.A.P.I.の株主間契約は、先買権、ドラッグ・アロング及びタグ・アロングなど、多 様な譲渡制限を課すことができる。  S.A.P.I.の株主間契約においては、バイ・セルやプット・オプションなど、エグジッ トのための多様な方法を有効に利用することができる。  S.A.P.I.は自己株式取得が制限されない。

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買収形態の選択

買収形態の選択

メキシコ会社を買収しようとする外国投資家は、買収形態について、様々な選択肢を有している。  株式の取得(相対取引):  株式の買収は、外国投資家が会社を買収するための方法として一般的なものである。  株式買収と資産買収のメリット・デメリットは、他の法域と同様である。株式買収は、事業用資産の買収 に比べ、一般的により容易かつ迅速に実現できる。対象会社がクロージング後も存続する株式買収におい、 般 り容易 実現 。 象会社 後 存続す 株 買 ては、法人格否認を禁止するメキシコ法上の制限が適用され、また、承継者としての責任も負わない。  株式の相対取引による購入においては、契約で合意しない限り、少数株主にはコントロール・プレミアム を共有する権利がない。  対象会社が公開会社の場合であっても、取得対象が公開会社である対象会社の株式の30%未満で、株式市 場外で合意され かつその他の要件に従う限り 株式取得を相対取引とすることが可能である 場外で合意され、かつその他の要件に従う限り、株式取得を相対取引とすることが可能である。  資産の取得:  対象会社の資産の取得、又は主要な資産のみの取得により、買収者は、資産に伴う責任を売主会社に残し て、承継しないことができる。但し、責任が資産に付着・付随したり、契約で合意した場合等、一定の場 合は この限りでない 合は、この限りでない。  責任が資産に付随する可能性のある場合としては、労働、税務及び環境に関する責任が含まれる。  売主の事業用資産の実質的に全てを対象とする買収の場合、買収者は、クロージングの時点で、これらの 資産に付随する従業員の使用者となり、かかる従業員に対する売主の労働法上の義務の全てを承継する。 雇用に関するいかなる福利及び/又は条件を修正することも許されない。以上の問題は、全従業員を買収 者において雇用すべく、売主がクロージングの時点で彼らを解雇し、完全な解雇手当を支払う場合には発 生しない。  環境に関する責任は、会社が新たな土地を取得した後に、土地所有以前に行われた行為について、当該会 社に対して追求される可能性がある。しかし、法人格否認の制限は依然適用される。  承継者の税務上の責任のリスクは 事例毎の分析が必要である。  承継者の税務上の責任のリスクは、事例毎の分析が必要である。

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買収形態の選択

(2)

買収形態の選択

(2)

 増資による株式取得(相対取引):  対象会社の新株の引受け及び対象会社への払い込みを通じて買収を行うことができる。これにより、対 象会社の資本が増加し、他の株主は希釈化を受ける。  このオプションでは、株主から、新株発行に係る新株引受権の放棄を受ける必要がある。メキシコ法は かかる新株引受権について規定しており、また、株主の法律上の権利を強化するため、付属定款がかか る権利を株主に付与していることが一般的である。  公開買付による株式取得(公開取引):  対象会社の株式取得に向けて公開買付を行うことにより、公開会社である対象会社を買収する。公開買 付はメキシコ証券法の規制に服する 外国の買収者にと て 般的な形態ではない 付はメキシコ証券法の規制に服する。外国の買収者にとって一般的な形態ではない。  メキシコでは、メキシコの株式市場において公開会社の普通株式の30%以上を取得する場合、公開買付 が強制される。  合併/分割:  合併/分割:  メキシコにおいてfusión又はescisiónとして知られるものである。合併すなわちfusiónは、二つの会社が統合 し、二社のうち一社が消滅するか、又は二社とも消滅して新たな一社を設立するものである。escisiónす なわち分割は、会社が、解散・清算してその資本及び資産を二つ以上の法人に分割するか、又は解散・ 清算を伴わずにその資本又は資産の一部を他の法人に移転するものである。算  合併による買収の場合、移転可能な資産及び負債は合併会社によって承継される。移転不可能な資産及 び負債のうち一定のもの(一定の政府による許認可や契約を含む。)については、より詳細な事例毎の 分析が必要な場合がある。

(15)

M&Aプロセス

M&Aプロセス

M&Aのプロセス:  メキシコにおいて標準的なM&A取引の手法及びプロセスは、他のクロスボーダーの国際 取引におけるものと同様である。予備的合意においては、秘密保持条項や独占交渉条項 が規定され、デュー・ディリジェンスのプロセスが定められる。  交渉:  交渉は通常買収者と対象会社の株主との間で行われ、関連する会社の取締役会の間で行 われるものではない。多くの場合、対象会社は、上場している場合であっても、同族に よって支配されている。  デュー・ディリジェンス:  一般的に 係属中の訴訟(民事 税務及び労働訴訟)や潜在的なクレーム(労働及び税  般的に、係属中の訴訟(民事、税務及び労働訴訟)や潜在的なクレ ム(労働及び税 務)を特定するため、完全かつ詳細なデュー・ディリジェンスが必要とされる。対象会 社は、メキシコの複数の都市に所在する裁判所において多数の訴訟にまきこまれている 可能性がある。

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メキシ

市場

の参入に際して外国投資家

メキシコ市場への参入に際して外国投資家

が繰り返し陥る誤り

 現行法上の抜け穴やギャップの不知。

メキシコ弁護士が必要

。  コーポレート・ガバナンスの仕組みの有効性を過大評価(又は会社の支配的持分の影響力を 過小評価)(「ペーパー・ボード」)。

親族による支配の場合、その性質や範囲を早期の段階で

過小評価)( ボ ド」)。

親族による支配の場合、その性質や範囲を早期の段階で

把握することが重要。

 関連する全ての意思決定における株主総会の権限を過小評価(又は経営陣の権限を過大評価)。 M&A

プロセスの初期段階から主要株主の関与を確保することが必要

。  それぞれの会社形態に特有の少数株主と大株主の権利を混同(例えば、S.A.P.IがS.A.と「同じ である」と思い込んでしまうのはよくある誤りである)。例としては、議決権株式の10%を 保有しているS.A.P.I.の株主は、法律によって取締役会のメンバーを任命することができるが、 他方 S A においては 25%の議決権株式を有する株主しか取締役会メンバ 人を任命する 他方、S.A.においては、25%の議決権株式を有する株主しか取締役会メンバー一人を任命する ことができないのが通常である。

投資家が大株主となるのか少数株主となるのかに応じた権

利と制限の分析を慎重に行う必要がある。

(17)

メキシ

市場

の参入に際して外国投資家

メキシコ市場への参入に際して外国投資家

が繰り返し陥る誤り

(2)

 委任及び法的な意思疎通(例えば訴訟の係属中におけるもの)の形式を忘れる。例えば、取 締役(CEO)が任命されると、(当然に)代理権を有すると思い込んでしまう場合である。

メキシコの法律制度は形式を重視する持つため、法的形式を知悉しておく必要がある。

 デッドロックの解決方法やエグジット条項を規定しない。合弁事業に参加する当事者による 、よく見られる一般的な誤りである。

メキシコでは、特に同族によって支配されている事業

に参加する場合、深刻な結果を招く可能性がある。

 取引を開始する時点で、裁判又は代替的手法による紛争解決に関する条項について綿密な分 析を行わない。

メキシコでは、準拠法や裁判管轄に関する条項は一般に執行可能であるが、

訴訟には時間もコストもかかることを理解することが重要である。

腐敗防止についてのデ ディリジェンスの重要性を忘れる メキシコでは 2012年に「  腐敗防止についてのデュー・ディリジェンスの重要性を忘れる。メキシコでは、2012年に「 公契約における連邦腐敗防止法」(Ley Federal Anticorrupción en Contrataciones Públicas)が制定さ

れており、このことは重要である。

潜在的な責任を避けるべく、連邦による公の入札に参加

するにあたり会社が予防的な腐敗防止規定を遵守しているか否かを確認する必要がある。

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買収契約

買収契約

 典型的な契約条件: クロスボーダーでメキシコ会社を買収する場合における買収契約は、一般的 に米国や他の法域における買収契約と類似しており 表明保証 ク ジング前及びク ジング に米国や他の法域における買収契約と類似しており、表明保証、クロージング前及びクロージング 後の誓約条項、クロージング条件、補償条項、クロージングメカニズム、紛争解決条項が含まれて いる。  表明保証:しばしば広範囲なものとなっている。  クロージング前及びクロージング後の誓約条項:通常規定されている。  クロージング条件:取引対象が株式であれ資産であれ、売買取引を発効させるため必要とされる可 能性のある、メキシコ法特有の法形式に従うよう注意する必要がある。 リスク移転メカニズム エスクロ 口座の開設 ホ ルド バック ディダクティブル バスケッ  リスク移転メカニズム:エスクロー口座の開設、ホールド・バック、ディダクティブル、バスケッ ト、キャップ及びアーン・アウトを含む、クロージング前の行為又は事実に基づくクレームに対す る補償条項が一般的である。  相手方の契約違反により直接かつ即時の結果として生じた損害のみが補償される可能性があ る それゆえ 法律上 派生損害 付随的損害 間接損害等のすべての損害について メキ る。それゆえ、法律上、派生損害、付随的損害、間接損害等のすべての損害について、メキ シコ法に従って補償請求できるとは限らない。  売主に対する競業禁止:営業及び職業選択の自由に対する憲法上の根拠が存在しており、判例上、 競業禁止条項の制限を意味すると解されてきた。通常、競業禁止条項の効力は、特定の分野及び一 定の期間に限定され さらに 競業しないことに対する追加的対価が条件とされる事案もある 定の期間に限定され、さらに、競業しないことに対する追加的対価が条件とされる事案もある。  売主の従業員又は役員に対する制約:競業禁止条項及び勧誘禁止条項は、メキシコの労働裁判所で 争われる可能性がある。通常、裁判所は、競業禁止義務が営業秘密への考慮によって限定されてい る条項のみを有効と認める。

(19)

合弁事業及び株主間契約

合弁事業及び株主間契約

 典型的な契約条件:他の主要な法域における株主間契約においてみられる典型的な契約条件 多くを含 例 ば 拒 権 執 役 会 び 締役会 バ 任 び の多くを含んでいる。例えば、拒否権、執行役員会及び取締役会のメンバーの選任(及び関 連する議決権行使指示)、プット・オプション、コール・オプション、優先交渉権及び先買 権、タグ・アロング、ドラッグ・アロング、新規株式公開及び証券登録請求権等があげられ る。  S. de R.L.における特に厳しい利用制限:ガバナンスに関連する条項がS. de R.L.の株主間契約 の形式である場合には、その有効性が争われる可能性がある。しかし、この条項がS. de R.L. の付属定款に適切に組み込まれている場合には、いくつかの例外はあるものの、通常争われ ることがなくなる。S.A.P.I.及びS.A.の形態では、株主間契約の有効性や、それらの株主間契な な 。 及 態 、株 間契約 有効性 、そ 株 間契 約に様々な条項を組み入れる柔軟性が、明示的に認められている。  契約条件の秘密保持:メキシコの営利法人の付属定款は、公正証書で具体化され、会社の存 在、存続期間、会社形態、会社の目的、その他の事項について言及している。付属定款は、 当初 設立時の株主やパートナーによって承認され 法律上必要とされる特定の要件に従っ 当初、設立時の株主やパートナーによって承認され、法律上必要とされる特定の要件に従っ て行われる株主又はパートナーの決議によって変更される。多くの場合、株主は株主間契約 のいくつかの条項が付属定款の形式で公開されることは望まないだろう。  エグジット: S.A.P.I.及びS.A.を規律している法律の条項も、バイ・アウト、プット・オプシ 「 ガ 他 仕組 グジ を成功さ 欠な ョン、「ショットガン」又は他の仕組みといった、エグジットを成功させるために不可欠な 典型的な条項を明示的に認めている。この意味で、外国投資家が少数株主又は多数株主のい ずれであれ、S.A.P.I.又はS.A.は合弁事業にとり魅力的な選択肢となりうる。

(20)

準拠法の選択

準拠法の選択

 準拠法:当事者によって選択できる。当事者が異なる法域を合意する場合もあるが、多くの 場合は メキシ 法が指定される 場合は、メキシコ法が指定される。  日本法の選択:日本法を選択することに制約はないが、メキシコ法人の付属定款はメキシコ 法に従う必要がある。  強行法規:売買のいくつかの要素は いかなる場合であっても メキシコ法の強行法規に従  強行法規:売買のいくつかの要素は、いかなる場合であっても、メキシコ法の強行法規に従 う必要がある(例 合弁会社のコーポレート・ガバナンス)。(例えば資産の場所や性質の ような)他の要素については、事案毎に複数国の法令の分析の一部として考慮すべきであ る。  株主間契約:典型的にはメキシコ法によって規律される。これは法律上の要件ではないが、 株主間契約において選択された準拠法と付属定款(メキシコ法)の不一致は望ましくない。 前述したとおり、場合によっては、株主間契約の有効性が争われる可能性がある。

(21)

仲裁条項

仲裁条項

 仲裁:当事者は排他的な紛争解決方法として仲裁を選択することができる。メキシコ国 外 おける仲裁廷を選択する と はメキシ 国内外 仲裁地 お ( よう 外における仲裁廷を選択すること、又はメキシコ国内外の仲裁地において(ICCのよう な)仲裁機関を選択することに法律上制限はない。取引によって生じる争いを解決する ために、メキシコにおける仲裁がより広く一般的となっている。メキシコは「外国仲裁 判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)」の締約国である。しかし、こ とは事案毎に慎重に考慮しなければならな のことは事案毎に慎重に考慮しなければならない。  仲裁条項の執行:メキシコ法では、一般的に、契約当事者が排他的な紛争解決方法とし て仲裁を選択することを認めている。仲裁判断は、ほとんどの種類の請求について、メ キシコにおける拘束力を認められている メキシコ国外の仲裁地における仲裁人による キシコにおける拘束力を認められている。メキシコ国外の仲裁地における仲裁人による 判断を執行するためには、メキシコ連邦商法典(Código de Comercio)を含む適用され る法の要件を充足する必要がある。

形式に注意しなければならない。

 仲裁判断に対する異議申し立てのリスク:仲裁判断がメキシコの裁判において争われる仲裁判断に対する異議申し立てのリスク:仲裁判断がメキシコの裁判において争われる リスクが存在する。メキシコの商法は、仲裁判断の取消に関して、ニューヨーク条約の 文言をそのまま用いているが、実務上、メキシコの裁判所は、ニューヨーク条約におい て理解されている「公序」という概念を、条約の明示の趣旨よりも広い範囲で適用して いることが知られている。それゆえ、準拠法と仲裁地の選択についての事案に応じた分 いることが知られている。それゆえ、準拠法と仲裁地の選択に いての事案に応じた分 析は非常に重要である。準拠法及び仲裁地の選択は、当事者の国籍のみならず複数国の 法令の分析結果によって定められるべきである。

(22)

企業結合規制

事前届出義務

企業結合規制:事前届出義務

 クロージング前の届出義務:一定の経済的基準を超えるM&A取引は、メキシコ競争法(Ley )上 ク ジ グ前 届出書を提出する義務が課され る 届 de Competencia Económica)上、クロージング前に届出書を提出する義務が課されている。届 出は連邦競争委員会(Comisión Federal de Competencia Económica 、以下「COFECE」という。) に対して行わなければならない。  対象取引:「集中」とは、合併、買収、及び、単一の取引又は複数の関連する取引におい対象取引 集中」とは、合併、買収、及び、単 の取引又は複数の関連する取引におい て、競業会社、サプライヤー、カスタマー、その他の経済主体間で、会社、団体、パート ナーシップ、株式、資産又は持分を結合させるその他類似の行為を示す。COFECEは事前届 出が不要とされる取引に関しても、調査する権限を有している。  待機期間:標準的な届出であれば 待機期間は届出完了(すべての必要情報が提供された  待機期間:標準的な届出であれば、待機期間は届出完了(すべての必要情報が提供された とき)後、60営業日である。特に複雑な届出の場合、COFECEの議長が待機期間をさらに40 営業日延長できる。  「ファスト・トラック」という一定の取引については、待機期間がわずか15営業日と が適 ば が なる。これが適用されるのは、例えば、買主が市場に新規参入するような場合であ る。  届出時期:届出はクロージング前、又は対象事業の支配権が別の方法で移転するよりも前 になされなければならない。合併の場合、合併契約が効力を生じる以前に届出がなされな になされなければならない。合併の場合、合併契約が効力を生じる以前に届出がなされな ければならない。  届出準備:当事者は通常、共同して、事前届出の準備及び提出を行う。正当な理由がある と認められる状況において、買主が単独で届出を行うことが許される場合がある。

(23)

企業結合規制

届出基準

企業結合規制:届出基準

メキシコの企業結合規制は、3種類の届出基準を規定している。以下の米ドルで表示された届出 基準額 賃金 得 れ 数式 基づくも あ 金額 概算額 あ 基準額は、メキシコにおける最低賃金から得られる数式に基づくものであり、金額は概算額であ る。以下の届出基準のいずれかが充足された場合には、義務的な企業結合届出が求められる。 1) 対象取引により、 約91 百万米国ドル以上の価値を有するメキシコ国内の株式又は資産が、直 1) 対象取引により、 約91 百万米国ドル以上の価値を有するメキシ 国内の株式又は資産が、直 接的又は間接的に移転される場合 2) 対象取引が、 約91百万米国ドル以上のメキシコ国内における資産又はメキシコ国内より生じ る年間売上を有する企業の 35%以上の株式又は資産の取得に関するものである場合 又は る年間売上を有する企業の、35%以上の株式又は資産の取得に関するものである場合、又は、 3) 対象取引が、単独又は合計で約245百万米国ドル以上のメキシコ国内資産又は国内売上を有す る2以上の企業に関するもので、かつ、対象取引により、約43百万米国ドル以上のメキシコ国内 の株式又は資産が移転される場合

(24)
(25)

企業結合規制

問題解消措置

企業結合規制: 問題解消措置

対象取引が競争法上の問題又は関心を生じさせる場合、

COFECE

は、以下のいずれかを当事者に課し、又は当事者からの提案を受

は、以下のいずれかを当事者に課し、又は当事者からの提案を受

け入れることができる。

1. 特定の行為を実行し、又は実行しないこと

特定

行為を実行

、又

実行

2. 第三者に対し、特定の資産、権利、パートナーシップ持分又

は株式を売却すること

3. 届出会社が実行することを予定している行為の条件を修正

会社

実行す

を予定

行為

条件を修

し、又は削除すること

4. 競合他社の市場への参加を促進し、競合他社に対し物品又は

サービスへのアクセスを与え又はこれらを販売するための行

為を実行すること

又は

為を実行すること、又は

5. 競争又は自由取引を減少させ、害し、妨げることを防止する

ことを目的とするその他の条件

(26)

企業結合規制

問題解消措置及び制裁

企業結合規制:問題解消措置及び制裁

 停止命令:届出書提出後10営業日以内に、COFECEは、取引に関係する経済主体に対して、 が賛成 決定を出すま 当該企業結合を実行 な よう 命令する とが きる COFECEが賛成の決定を出すまで当該企業結合を実行しないように命令することができる。 この命令は、通常、取引によって影響を受ける市場が競合している場合に行われる。 COFECEが関連する停止命令を発しない場合、経済主体は、自己の責任において、取引を 実行できる。案件の内容に基づいて停止命令が行われるか否かを事前に判断することは きな できない。  問題解消措置及び制裁:COFECEは当事者に取引の中止又は一部分離を命じる権限を有し ている。届出義務にしたがわない場合の制裁として、経済主体の年間収益の最高5パーセ ントの制裁金が課される場合がある また 上記命令に従わなかった個人についても ントの制裁金が課される場合がある。また、上記命令に従わなかった個人についても、 制裁金が課される場合がある。

(27)

労働法制のフレ

ムワ

労働法制のフレームワーク

 連邦労働法の42年ぶりの改正が行われた。  雇用関係の成立:雇用関係は、書面により契約していなくても、役務の提供という事 実関係のみで成立し得る。  雇用期間:原則として、労働契約関係は期限の定めのないものとされ、非常に例外的 な場合で かつ極めて特別な状況においてのみ 有期労働契約が法律上認められる な場合で、かつ極めて特別な状況においてのみ、有期労働契約が法律上認められる。 メキシコでは、随意雇用(employment-at will)をすることはできない。最近可決された 改正により、試用契約、職業訓練のための雇用契約(training employment agreements)及 び時間給の仕組みが許容される。  基本的な労働条件:メキシコ労働法は労働者に有利な制度を規定している:最低賃金、 勤務シフト数の制限、時間外労働に対する割増賃金、年次有給休暇、プロフィット・ シェアリング、産休、退職年金の可能性、労働組合のストライキ権。最近の法改正に より育休が認められる。 より育休が認められる。  集団的労働関係:  製造会社は通常、労働組合と労働協約を締結している。  攻撃的な外部の組合を待つよりも、「友好的」な労働組合と接触した方が良い。  使用者と労働組合との間で合意される内部的な就業規則には、とりわけ、懲戒事 由が含まれる。

(28)

労働法制のフレ

ムワ

(2) 雇用の

労働法制のフレームワーク

(2) :雇用の

終了

 個別的労働契約関係は、以下の方法により終了する:  相当な原因に基づく解雇:労働契約関係は期限の定めのないものとするという 原則のため、労働者を相当な原因なく解雇できない。法律により、使用者が退 ず 職金を支払わずに労働者を適法に解雇できる法律上の原因となる行為が事例毎 に特定され、列挙されている(例外的に、20年を超えて勤続する労働者の場合、 相当な原因に基づいて解雇された場合であっても、長期勤務に対する法定の給 付金(seniority premium)を受け取る権利を有する。この給付金は、勤続1年につ き 分 賃金 割合 計算され そ 計算 られる賃金 最大額は き12日分の賃金の割合で計算され、その計算に用いられる賃金の最大額は、一 日当たり最低賃金の2倍の金額である。)。使用者は、解雇に値する行為があっ たことを知った日から30暦日以内に当該労働者を解雇することができるが、こ の期間を経過すると時効が成立する。  相当な原因に基づかない解雇:相当な原因なく労働者を退職させる場合、使用 者は、前述の長期勤務に対する法定の給付金に加え、賃金総収入の3ヶ月分に相 当する法定違約金(Constitutional Indemnification)を支払わなければならない。この 賃金総収入は、当該労働者に支払われる基本給と全ての福利厚生費の比例的部 賃金総収入は、当該労働者に支払われる基本給と全ての福利厚生費の比例的部 分からなる。管理監督職に指定されている労働者の場合、上記の金銭の支払い に加え、一般に、勤続1年につき20日分の総賃金に相当する金銭も支払われるこ ととなる。仮に訴訟になり、労働者が勝訴した場合には、逸失賃金が適用され

(29)

労働法制のフレ

ムワ

(3) 雇用の

労働法制のフレームワーク

(3) :雇用の

終了

; 仲裁

 個別的労働契約関係は、以下の方法によっても終了する:  辞職:労働者が辞職する場合、当該労働者に支払うべき退職金はないが、当該労働者 が15年以上勤続している場合には、やはり長期勤務に対する法定の給付金としての退 が15年以上勤続している場合には、やはり長期勤務に対する法定の給付金としての退 職金を支給しなければならない。  合意退職:解雇に相当する原因がなくとも労働者を退職させる必要が生じた場合には、 調停・仲裁委員会に対する申立てを回避するため、労働者と協議し、法律上退職に伴 い支給される退職金の満額に相当する退職金を支払うことを条件に退職してもらうの が、一般的な実務の対応である。この取り決めは、合意退職に関する契約として文書 化され、さらに調停・仲裁委員会の認可を受ける必要がある。 労働紛争に関する仲裁: 集団的及び個別的な労働紛争の解決は 必ず仲裁によらなけれ  労働紛争に関する仲裁: 集団的及び個別的な労働紛争の解決は、必ず仲裁によらなけれ ばならない。個別的労働紛争の仲裁は、(州、労働者組織及び使用者組織の各代表から 構成される)三者構成の調停・仲裁委員会により審議される。集団的労働紛争もこれら の委員会で解決されるのが一般的であるが、労働協約において紛争解決のために他の紛 争解決機関を規定している場合には かかる規定に従う(も とも そのようなケ ス 争解決機関を規定している場合には、かかる規定に従う(もっとも、そのようなケース は非常に稀である)。

(30)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

メキシコ会社のデュー・ディリジェンスを行うに当たり、特に重要な分野は、以下のとおりである。  コーポレート分野:  慎重な調査が必要で、近道はない。特に精査すべき書類は、(i)基本定款及び付属定款、(ii)株主総会議事録 (定時総会議事録及び臨時総会議事録)、(iii)取締役会議事録、(iv)株主名簿、(v)変動資本登録簿、(vi)株券、 (vii)委任状、(viii)各種契約書である。 ( )委 、( ) 種契約  知的財産及び商標分野:  特許、商標、ロゴ、ブランド及び知的財産関連の契約(すなわち、技術移転、技術提供、フランチャイズ 契約)は、メキシコ特許庁(Mexican Institute of Industrial Property)に正式に登録し、その承認を受けなければ な な ならない。  人事労務分野:  地位の高い労働者の労働契約には、特別な福利や労働条件(会社支配権の変動により一定の権利が生じる 旨の条項を含む )が存在する場合があり かつこれらの文書は 般的には秘匿されるため 慎重に取り 旨の条項を含む。)が存在する場合があり、かつこれらの文書は一般的には秘匿されるため、慎重に取り 扱う分野である。  労働者の登録上の使用者がどの法人であるか、調査しておくことも重要である。メキシコでは、製造業者 が関係会社である「人材供給会社」を使用者とし、当該会社から事業会社に人材を派遣させることで、 「プロフィットシェアリング」を調整する という手法が日常的に用いられている。収益力の高い企業又 「プロフィットシェアリング」を調整する、という手法が日常的に用いられている。収益力の高い企業又 は高価な不動産又は固定資産を有する企業の場合、このような仕組みを採用しないと、利益の一部を労働 者に支払わなければならない潜在的義務を負う可能性がある。高価な不動産又は固定資産を有する企業の 場合は、当該資産が売却されたときに、当該売却益が「プロフィットシェアリング」のもとで分配される 利益の一部を構成するため、潜在的義務が顕在化することになる。

(31)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

(2)

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

(2)

 人事労務分野(承前): び 確  労働協約及びその権利者となっている労働組合を確認することは必須である。労働組合の 中には非常に好戦的なものもあるので、労働協約の当事者間の交渉経緯及び組合が活動的 か否かを把握することは、買収者の利益になり得る。  環境分野:  環境分野:  メキシコ法は、環境に関する損害に対して、連帯・厳格責任を課す。ここで言う「連帯」 とは、汚染された土地について、前の所有者も現在の所有者も同等に汚染の責任を追及さ れ得ることを意味する。すなわち、新しく土地を購入した会社が、当該土地について購入 前の行為に基づいて損害賠償請求されることもあり得る。ただし、法人格否認の法理の適 用制限が適用される。  環境に関する責任については、原因である土地等の承継者に責任が課されることがあるの で、不動産を取得する前には調査を行うべきである。承継者の責任は、不動産の賃借権の で、不動産を取得する前には調査を行う きである。承継者の責任は、不動産の賃借権の 承継者にも及び得るもので、現賃貸借が効力を生じる前の所有者/賃貸人又は前の賃借人 による行為につき、所有者/賃貸人と連帯で責任を負わされる可能性がある。ただし、法 人格否認の法理の適用制限が適用される。

 (i)工場設備の建築 備付 拡張工事及び操業 (ii)環境資源を利用する活動 及び(iii)実際に

 (i)工場設備の建築、備付、拡張工事及び操業、(ii)環境資源を利用する活動、及び(iii)実際に 又は潜在的に汚染を生じる性質の活動に関する許認可。

 個人又は法人の違反者に対して、多額の制裁金、刑事罰又は行政罰が科される可能性があ る。環境関連の訴訟は、メキシコでは珍しくない。

(32)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

(3)

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

(3)

 腐敗活動分野:

 メ キ シ コ は 、 ト ラ ン ス ペ ア レ ン シ ー ・ イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル の2014 年 の 腐 敗 認 識 指 数 (Corruption Perception Index)において、175ヶ国中103位にランクされている。

 メキシコでは、税関、不動産、農業、物流、健康、石油・ガス及び電力は、特に腐敗活動に よる影響を受ける分野である よる影響を受ける分野である。  メキシコは、 (i)マネーロンダリング及び腐敗活動に関して、OECDの腐敗防止条約(Anti-Bribery Convention)を含む複数の条約を締結し、また(ii)腐敗活動に対処するための法令を制定 している。

 賄賂は、メキシコの連邦刑法(Código Penal Federal) において禁止されている。-メキシコでは個 人のみが犯罪を犯す主体となり得るが、裁判所は、会社に対し、その従業員及び取締役が生 じさせた損害を補償するよう求める可能性がある。

 米国の連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)が 米国会社(日本会社の米国子会社を含む )

 米国の連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)が、米国会社(日本会社の米国子会社を含む。) のメキシコ子会社に適用され得る。

 2012年6月12日、メキシコの「公共契約における連邦腐敗防止法」(Federal Anticorruption Law in Public Contracting )が発効した。当該法律は、メキシコの団体(会社を含む。)及びメキシコ の個人が、メキシコ内外において、公共契約の発注、許認可に関し、公務員に対して違法な 支払を行うことを禁じている。 当該法律の重要な要素は、国際的な射程を持っているとい うことである。

(33)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

(4)

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

(4)

メキシコの「公共契約における連邦腐敗防止

法」

法」

 この法律の適用対象は以下の通りである。  メキシコの連邦公共契約において腐敗活動分野に従事するメキシコ及び外国の個人及 び法人 び法人  外国の公共部門との間における国際的な商取引又はそれによる許認可の付与において 腐敗活動分野に従事するメキシコの個人及び法人  行政罰  個人及び法人は罰金に服する可能性があり、その額は、個人の場合4,800米ドルから 240,000 米ドルの範囲、法人の場合48,000 米ドルから960万米ドルの範囲である。但し、 受領した便益が罰金の額を超えたり その他一定の事由があった場合 当該罰金の額 受領した便益が罰金の額を超えたり、その他 定の事由があった場合、当該罰金の額 は50%増額される。  また、違反者は、個人の場合最大8年間、法人の場合最大10年間、連邦公共契約への 入札参加を禁止されるという罰も受ける可能性がある。  罰金は、行政手続の開始前に自発的に犯罪を申告した場合は最大で70%、係る手続が 開始した後に行為を自白した場合は最大で50%減額され得る。

(34)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

(5)

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

(5)

メキシコの「公共契約における連邦腐敗防止

法」

法」

 行政手続  法律は 違反者を調査する可能性について規定しており 潜在的違反に対処するため  法律は、違反者を調査する可能性について規定しており、潜在的違反に対処するため の行政手続を含んでいる。法律違反を調査し罰則を課す権限を有しているのは連邦公 共行政省(Secretaría de la Función Pública) である。他の行政当局は、各々の権限の範囲内 で罰則を課す権限を有している。 会社及びビジネスパ ソンがとるべき行動  会社及びビジネスパーソンがとるべき行動  会社及びビジネスパーソンは、(i)規制コンプライアンスプログラムを策定し、内部ポ リシーの見直しを行うこと、(ii)腐敗防止トレーニングを提供すること、(iii)会社による 連邦公共契約への入札参加においてアドバイスを求めること、(iv)腐敗活動に対する潜 在的調査に備えること、及び(v)従業員の行為についての定期的評価を実施することに より、準備を整えるべきである。

(35)

メキシコ会社のデ

ディリジ

ンス

(6)

メキシコ会社のデュー・ディリジェンス

(6)

 訴訟分野:  多くのメキシコ会社は、重大な訴訟を経験している。メキシコでは、訴訟が長期化 することが多い。  メキシコ会社が訴訟を経験していることが多い分野は、とりわけ、労働、環境、行 政 租税 知的財産及び一般商事に関する第三者からの請求である 政、租税、知的財産及び一般商事に関する第三者からの請求である。  租税分野:  メキシコでは租税について問題を抱えている会社が多く、慎重に調査する必要があ る 別紙のリストを参照 る。別紙のリストを参照。  不動産分野:

 適切な調査として、通常、現地の法務局(Registro Publico de la Propiedad)で、潜在的

な担保権の負担を含む不動産の背景事情を調べる必要がある 不動産の譲渡は 公 な担保権の負担を含む不動産の背景事情を調べる必要がある。不動産の譲渡は、公 証人の面前で公正証書に記録されなければならず、また、関係する郡の法律及び下 位規則にも適合していなければならない。

(36)

別紙

別紙

税法のフレームワーク

- 連邦税

 所得税: メキシコに税務上の居住地を有する法人及び個人、キャピタル・ゲイン、税務上の非居住者の恒久的 施設(「PE」)に適用される(メキシコはOECDのPEアプロ チに 般的条件では従うが 2つの違いがある 施設(「PE」)に適用される(メキシコはOECDのPEアプローチに一般的条件では従うが、2つの違いがある。 すなわち、建築工事現場のPEと独立代理人サービスを通じてのPEである。)。2012年、2013年、2014年及び 2015年の法人に対する税率は30%である。  付加価値税: 16%の税率(標準税率)を、課税対象となる活動の価値に掛けて税が計算される。課税対象とな る活動は (1)財の譲渡 (2)独立したサービスの提供 (3)キャッシュ・フローを基準とする財の一時的な使用 る活動は、(1)財の譲渡、(2)独立したサ ビスの提供、(3)キャッシュ フロ を基準とする財の 時的な使用 又は収益の供与、及び(4)財又はサービスの輸入である。この税は欧州で制定されているものに極めて類似し ており、所得税とは異なる税である。また、一定の活動に対しては税率が0%とされ、国境地帯の都市では税 率が11%とされている。  物品税: アルコール飲料(ビールを含む。)、シガレット、シガー及びタバコ、ガソリン及びディーゼル、栄 養ドリンク、宝くじ、インターネット及びモバイルサービスの販売及び輸入を課税対象とする。付加価値税 と同じ性質の税である。

(37)

別紙

別紙

税法のフレームワーク

– 地方税; 租税条約

 州/郡税:  所得税はない: 州のレベルでは所得税は課されない。  不動産税(譲渡及び所有): 不動産の譲渡により、買主に地方税が課される(税率は当該不動産が 所在する州・郡によって異なるが、最も一般的な税率は4%である。) 。  不動産不動産 不動産の所有者は、 ヶ月毎に当該所有にかかる税を支払う義務がある。税額は当該不動産: 不動産の所有者は、2ヶ月毎に当該所有にかかる税を支払う義務がある。税額は当該不動産 の価値や当該不動産が所在する州・郡によって異なる。  給与税: 給与税は各州によって制定されており、税率は給与総額の2%から2.5%の間である。  メキシコの租税条約ネットワーク:  メキシコを締約国とする発効済の二重課税防止条約が約50あるが、そのなかには、日本と署名した 租税条約があり、1997年1月1日に完全に発効した。租税条約の交渉及び執行において、メキシコは OECDモデルの条項を取り入れるほか、一部の条項は国連モデルに従っている(建築工事現場のPE 及び「その他所得」の源泉地課税)。

(38)

ご静聴ありがとうございます

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参照

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