APL と OR
(
4
)
生産管理への適用
菅原一郎・秋山達男
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1
.
APL の特徴と生産管理
生産管理業務そのものの担当範囲が拡大の傾向
にあって,それを支えるコンピュータ・システム
は単なる事務の機械化による人員削減を目的とし
て導入改善されるものではなくなってきつつあ
る.製品と生産方法の多様化,マーケティング管
理や財務管理との矛盾のない関係を保つこと,製
造や生産技術と刻々の情報交換が必要なことに対
応し,生産管理システムが中央集中化し,大規模
となった.この完備がかえって,今までにない観
点から管理資料を得て,概算的な損益計算にもと
づく意思決定を複雑で困難にさせる場合がある.
生産管理の業務のうち,企画業務および業務評価
においては常に,不定裂な様式での報告書が必要
であり,小回りのきくプログラミングで瞬時に作
成する場合に APL が利用される.当生産管理に
おいては,業務の担当者がみずから開発した AP
L プログラムがあり,ンミュレーション的な実験
から懸案事項の記録にいたるまで各種稼働してい
る.次にその一部を紹介したい.
2
.
部品生産計画のためのクイ・7 ク・ 4ナイジン
グ
2
.
1
導入のねらい
当野洲工場はコンピュ -jt 組立てに必要な主要部品を
生産する部品工場であって,最終製品の機種別にある基
本計画と受注・生産計画の後,部品番号単位の受注を得
ている.受注部品点数は約 1 万点であって,部品の生産
計画を立てるまでの約 2 カ月間にその顔触れと量が大き
く変動する.直接の説明変数は最終製品の生産計画の変
動であり,これをいかに仕掛品を含めた短期部品生産計
すがはら
いちろう,あきやま
たつお
日本アイ・ビ
ー・エム帥
6
3
0
(
3
2
)
図 1
クイック・サイジングと生産管理情報システム
画に反映させるかが,機械設備と製造要員の効果的利用
に結びっくという背景があった.大規模な生産管理情報
システムを経由すると,部品番号単位の精度の高い変動
が自動的に反映できるが,製造ラインの準備には,製造
するうえでの難易度が識別できる程度の数量変動幅で十
分であり,約 2 カ月間の対策の遅れの影響のほうが大で
ある.需要の予測には常に解は 1 つでないことと,部品
レベルにした生産量の生産能力とのすり合わせのために
は何度もシミュレーション的な実験を繰返す必要があっ
て,担当者自身のロジックによる APL プログラムが作
成された.ついでながら,生産計画の担当者とそれを判
断するマネジメントが交代するつど,加味する要素と集
計の単位が変更されたことは興味深い.
2
.
2
運用
まず,生産管理情報システムと当クイック・サイジン
オベレ}ションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.ハ V A リ パリ h A7 I h nυ ハ V 一一予叩
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APL ターミナルから会話型インプットをする例 (B/M
均的部品必要量を GT 単位で与える.製品,部品のリー
ド・タイムと歩留り,予測係数もワーク・スペースに蓄
える.これらのインプットは,会話型でなされるため,
係数を変えながら実験を繰返すことができる.部晶表と
係数表を用いて部品展開をすれば部品の製造指示時の影
響量が算出できる.一般のパーソナル・コンピュータで
のオベレーションと同様に電算処理部門を経ないで瞬時
に結果を得るのであるが,パーソナル・コンピュータと
の違いは,パッチの生産管理情報システムの本体で保持
する約 1 万点の部品の生産量の集計と望む単位で比較計
算ができることである.総合すればいまだ発注・受注の
業務が始まらないレベルでの基本計画に沿った部品生産
計画ができ,早期に生産設備と人員配置が開始できる.
図 2
グとは並列に存在する(図 1 ).最終製品の長期にわたる
販売の基本計画は各組立て工場に生産の割当てがなさ
れ,その枠にしたがって受注がなされるが,両者の差異
は次の基本計画に反映されるか,または製品の生産計画
にリスクとして反映される.製品の生産計画ではオプシ
ヨン等の組合せを分析し,生産に要する部品を細かく指
定し組立て工場の生産能力を時間的に加味して,部品工
場へ発注する.この段階で,部品工場の生産計画として
は必ずしも部品単位でなく,製品の台数の変動とそれに
ともなう Group Technology 単位での影響量である.
まず,部品工場として受注の基礎となっている前回基
本計画と今回基本計画の差を APL プログラムによって
ワーク・スベースに蓄える.対象となった機種に対し平
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223 224 225 ::133APL ターミナんから会話型アウトプットをする例(部品製造量の調整)
図 3
このクイック・サイジングの精度が
高ければ,部品番号単位の詳細な受注
が始まった時点でも生産能力がすでに
パランスをとってあり,円滑な製造指
園内国外一ー構成部品の搬入、、
輸入 γ\最終製品の出荷
組立て・検査示ができることになる.ケース・スタ
¥
、|カード生産
ディとして,最大生産能力と現在の生
米国産計画との差が工場としての余裕であ
って,どの製品の受注を多くすれば部
ヨーロツノぐ ブラジル・米国への
輸出品を供給できるかの実験をし,マーケ
ティングへのフィードパックとするこ
ともできる.基本計画とは別に,受注
米国
実績を用いる需要予測法を APL プロ
グラムにインターフェイスし,製品出
荷量の最可能値に沿った部品生産計画
ヨー
を試みたこともある.インプットの実
際は図 2 の例のとおりであり,アウト
プットの 1 つには図 3 がある.
時間
ブラジル・ 米国への輸出
3
.
輸入におけるリードタイム
管理
図 4
1
BM部品供給の分担モデル(部晶表)
3
.
1
背景
当野洲工場は,海外姉妹工場とコンピュータの組立て
に必要な部品を互いに協力し合って生産している.その
ため,部品表の上に日本国内調達,米国各工場,ヨーロ
ッパ各工場が供給元としてあらわれる(図 4
)
.
現代の生産管理でいわれる「必要な時に必要な量 J の
調達が輸入業務に求められる.当工場では,生産用の構
成部品として約 1 万2000品目,設備保全のための部品と
試験用のサンプルとが約8000品目でそれぞれ輸入業務の
部品(物流)
);(都税関
東京税関 物流センター 輸出入管理 ンステム 東京・本社APL
リードタイム I~
全イ:引ス|
管理システム4
,
/可滋賀・酬工場
1
各事業所対象である.輸出入業務の帳票であるインボイスの件数
にして,米国からは約 350 件/月,その他の国から約 200
件/月であって,これらの貨物が供給元の発送を起点、と
し,輸出の通関,運輸,輸入の通関,園内の運搬を経て
当工場に到着するまで進捗管理をし,短時間に部品が供
給される必要がある.細かし、分析と対策が大きな改善を
もたらす分野でありながら,全社的な輸出入業務が税関
に対し一本化されていることと効率上の観点で東京に大
規模システムを置いて集中管理をする組織が確立されて
インボイス (データ転送)
し、る.当工場の占める全体に対する割合は,貨物重
量にして約 5%, インボイス処理件数にして約
13%にすぎず大規模システムに当工場特有の処
理を組みこませるよりは,小規模で小回りのき
くシステムを補助として連結させるほうが良い
と考えられる(図 5
)
.
当工場特有な処理として必要であったのは,
1) 当工場向け分だけについての集計, 2) 工場内
の注文担当者がいつでも端末装置で照会できる
こと, 3) 生産管理システムからの各種リストと
常に必要な順番での比較ができる, 4) 工場とし
て搬入すべき最新の優先順位が刻々伝達できる
こと, 5) 物流,法的手続の状況説明が文章で記
録伝達できること,最終的に, 6) 組織構造の改
善上必要な管理資料を提供すること,があげら
図 5
輸入集中管理システムと工場リードタイム管理システム
れる.
6
3
2
(
3
4
)
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.オベレーションズ・リサーチ
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図 8
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34 R- 日 KA.CRE
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ー町田ーーーーーーーーーーー自由ー・ーーーーーーー---14以下順に APL プログラムによる管理を説明する.
ボイスの書類上の不備による遅れ,問題解決が期待され
3.2 輸入貨物全体を把握する輸入台帳
る日,対策に当っている担当者名,部品を必要として督
まず当工場輸入業務担当部門は,日本へ送られたイン
促している担当者,電話番号が記録されているため,刻
ボイスをデータ転送と印刷によって入手する.その内容
々の追跡が具体的であって,実質的なリードタイムの短
からインボイスの番号ごとに,インボイス作成日,日本
縮となる.需要は注文する時点と搬入する時点では構成
への到着目,送り主である海外姉妹工場名,含まれるケ
部品において常に変動するが,これに柔軟に対処できる
ースの番号,貨物の種類を端末装置より入力する.当工
ことも工場の能力の 1 つであって,搬入への督促もラッ
場への貨物搬入状況を知らせる日報から搬入日を更新す
シュと称し番号を付して追跡される.この特別な追跡の
る.日本到着を含めて,いまだ当工場の搬入がなされて
ために図 7 のような未通関リストを印刷している.対象
ないため,検収,入庫の業務ができないでいるものを取
はいまだインボイスが日本へ到着していないものから開
出し,古い順に印刷したものが図 6 の未搬入リストであ
始きれ,電報によって知り得た送り主でのケース番号に
み一般に APL プログラムにおいては,印刷は,会話
もとづく.工場内外で行なわれた追跡のいろいろな段階
型でそのつど必要な内容と様式が選摂できるという長所
での実施日,たとえば書類を点検した日や通関への申告
があり,このリストはその l つである.このリスト上の
書の作成日が記録される.通関の予定日は,その後の段
到着から今日までの日数は,あらかじめ目標とされてい
取りのために重要である.
る標準日数とくらべられ,対策を要求することとなる.
搬入されたインボイス単位に月ごとの実績として, リ
該当インボイスごとに調査し,状況をコードまたは文章
一ドタイムを集計した管理資料が図 1 と図 2 である.送
で入力したものがコメントとして表示されている.イン
り主を米国とその他の地域とに分けたリードタイムの分
SOURCE PLANT ALL. NOT YASU ぬRRIυED ITEHS - RUSH ITEHS AS OF 19日 2/07/29 PAOE 9
RUS REQ.NO F EX-P INSP _CAL 同 DEC 町PER _DEL ES-Y
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UDCB2 岨 04 回目 13B 0 ミU629101 _田町 001 山ーーーー同ーーーー_._- ---市 一一一- ----ー岨回目 US-091 X 白峰山町 .HIGU CHI ・ 23B6 __ー国向制匂山
--_._-E叩帽 p・- -岡崎司助_.. 0 P560933 959 00ヲ組向ー- -叩-- --吋却問司自恒 同ー--・ーー叩ーー司明 us-O日 5 X 0407.NAKA HORI _ー田町田ー回国曲目副畑・恒明 F UDCB2-07- 日 160 H ミU61667B 9B4 042 Bl A _ 0622 062B _】ー目 白山ーーーー 21 2_ー島町ー_ Y 0611.0629 時田--- ._--ーーーー- -ー自由 PEND
UDC82 ・ 07-B070 D F544532 990 050 Bl U • 061'7 0623 山山岨 062日 叫叩沼恒 25 ____._.__岨 0615.0624 _ーーーー ーー--“'ー_ ____ PEND
UDCB2-0B- 日 037 D F544676 990 074 B1 _ 会 0720 0724 .'叩 H.. 0727 切回 3 白山山山__ X 0702,0726 ___副 嶋幽閉勾僻目白ー---- -ーーー ー明ーー四割問目白由叩 o P300923 _司_ 090 同時 叩但 0723 _,_ー司由明白山町四同・即時町---一ーーー ーーーーー- Y 問時間-.-司自白『ーー句--・叩 ----
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図 7
布と累積がグラフでひと目でわかる. 2 つのグラフは,
グラムで行なっている例を紹介する.図 5 のように当工
物理的に貨物が送り主から当工場に届くまでのリードタ
場は京都税関に近く,東京通関の貨物とは別に京都税関
イム,インボイスが作成されてから当工場までのリード
に通関申請を行ない,来通関貨物の移送を許可され搬入
タイム園内での貨物が届くリードタイムの 3 種類につ
しているものがある.これをみなし貨物と呼ぴ,それを
いて印刷することができる.この実績は生産管理システ
搬入し管理する建物をみなし上屋と呼ぶ.目的はリード
ムの発注処理において係数として反映され,輸入業務体
タイムの短縮であって,緊急を要して混載による航空運
系の効率化の基礎となりうる.
賃節約の対象外の貨物が多い.税関から義務づけられた
なお,これらの副産物として,当工場に搬入されてい
台帳管理の一環として図 10,図 11 が作成される.それぞ
るインボイスの件数を国別,姉妹工場別,部品の技術水
れみなし貨物の通関許可までの物流と過去からの記録が
準別・生産用部品別などの幅広い管理資料として入手す
印刷されている.これらの内容も 511] に集計され,件数や
ることが可能となった.事故を起こしたインボイスのみ
重量,関税額の合計が管理資料として使用されている.
を集めて,その原因別・姉妹工場別に分類することによ
3
.
4
その他のリスト
って,事故発生比率を示し,改善要求を印刷し送付する
以上のリスト以外に,輸出入業務には多くの例外処理
といった,データにもとづく効率化が行なわれた.
があり,必要なステップを確認するために APL による
3.3 みなし上屋台帳
チェッタ・シートがある.たとえば,注文と異なるもの
関係官庁から義務づけられた資料の作成を APL プロ
や,不良品の返品のやりとりについて,ちょうど業務日
8
3
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3
6
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F a m-図
誌のように日付を入力し,手落ちを防ぐもの
がある.このデータが APL で保持されると
前述のように,必要な様式で好みどおりの集
計が手軽にでき,
リードタイムの目標管理が
容易となった.
これら適用例は,数理科学的水準としては
低い平凡なものであるが,あたかも記憶力と
コミュニケーションに優れた能力を示す秘書
を得たような結果をもたらすものである.
システム・テーブルの更新
生産管理システムは工場運営全般をつかさ
どり,コンピュータの稼働時間のうち占める
割合が最も大きい.システムの性格は多くの
係数の集約であるシステム・テープルを参照
することで定義される.図 12 のように,当生
産管理システムのテープルの多くは,エン
ド・ユーザーである生産管理部門が APL プ
ログラムを用いてデータ・セットを作成しシ
ステムへ入力している. APL 以外の入力と
しては,パンチ・カード,オンラインがある
が,ランの締切まで十分な時聞をもつこと,
係数を報告書もしくは説明書としてまとめあ
4
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図 9
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