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鶏飼料へのメチルセルロース添加が消化率に及ぼす影響-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 第28巻第60弓33∼36,1977 33

鶏飼料へのメチルセルロース添加が消化率に及ぼす影響

血 色

EFFECT OF METHYLCELLULOSE SUPPLEMENT ON DIGESTIBILITY OF DIETIN CHICKENS

YutakaIssHIKI

Thc present experiment was conductedin order toinvestlgate theinfluence ofa dietary

SuPplementofl−3%methylcelluloseonl)therateofpassageof−fbodthroughthealimentarytract

and2)the digestibility of’nutrientsin chickens,uSingSingle comb White LeghornCOCkerels

Withanarti丘cialanus”Thefo1lowlng・reSultswereobtained

Whenchickenswerefもdtheconventionaldiettowhichwasadded2and3%ofmetylcellulose

(withcarmineasamarker)thetimerequiredfbrfoodtopassthroughthealimentarytractwas

SignificantlylnCreaSCd… Protein−・digestibility tended toincreaseand crude−fat digestibility to

decreaseas themetylcellulosesupplement to thedietwasincreased”On theother hand,the

digeStibilityof■nitrogen一丘eeextractswasliLtlea鮎ctedbythedietarysupplementofmetylcellulose.

TheseresultsindicatethatadietarYSupPlementof血etylce11ulosehasnonutritionaleffbctinchick”

enS. 鶏飼料へのMCの添加が,消化管内通過時間および消化率にいかなる影響を及ぼすかについて知るため,人工肛 門を設著した単冠白色レグホ・−ン種オス24羽を用いて実験を行い,次のごとき結果を得た. 慣用飼料とそれに1%,2%および3%のMCを添加した飼料に,さらに標識としてカルミンを添加して消化管 内通過時間を測定した結果,2%および3%添加区で著しく遅延することが認められた. またMC添加による消化率の変化については,粗蛋白質ではMCの盈が多くなるにつれて高くなる傾向を示し, 粗脂肪では反対に低下する傾向が認められた。.−・方,可溶醸窒素物の消化率はMC添加により差がみられなかった. 以上のことからMC添加は栄養的に有意義であるとは考えられをい. 緒 鶏において,食下飼料の消化管内通過速度は,日齢(1),産卵の宥恕(2),飼料の状態(8ト(8)などの諸条件によって左 右されることが知られている… しかし,そのことと飼料の消化率との関係については必ずしも明確にをっていない. すなわち斉藤および木部(4)は,慣用飼料にセルロースを添加した場合に飼料の消化管内通過時間が有意に短縮される ことを認めるとともに,消化率は蛋白質では幾分高くなったが,粗脂肪および可溶無窒素物のそれはかなり低下した と報告した‖ また彼らは,慣用飼料にメチルセルロ、−スを1%添加した場合の消化率についても測定し,可溶無窒素 物は無添加区よりも幾分劣ったが,粗脂肪および組織経ではほとんど差がみられず,またNバランスはやや高くをっ たと報告している.セルロ1−ス添加については飼料の消化管通過時間と消化率に及ぼす影響がかをり明らかにされて いるが,メチルセルロ・−スについてはその添加盈が消化管内通過時間および消化率に及ぼす影響について十分には明 らかにされていない. 本実験では,メチルセルロースを各種の割合で飼料中に添加した場合,その消化管内通過時間ならびに消化率にい かをる影響を及ぼすかにつき調査した.

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香川大学農学部学術報告 ー・ 色 泰 34 実験材料および方法 あらかじめ人工肛門を設著した5カ月齢の単冠白色レグか−ン種オス(体重16−2Ol(g)24羽を各6羽ずつの4群 に分けたのち,個体別に代謝試験用ケー・ジに収容した供試飼料は05%酸化クロムを含む表1に示した組成の基礎 飼料と,それに1%,2%および3%のメチルセルロ、−ス(以下MCと略す,第劇化学薬品KK製)を添加した飼 料を供試鶏各6羽ずつに1日1羽あたり80gを練餌として朝夕2回に等分して強制給飼した. 試験は予備飼育期および本試験期各3日間とし,本試験期の3日間には飼料の消化管内通過時間の測定および消化 試験を行った。すをわち本試験期の第1日目には,上記飼料にカルミン1%を混入し,これを標識として給飼後最初 に着色糞が排出する時間を測定して消化管内通過時間とした.ついで第2日目からの2日間には,人工肛門を中心に 取りつけたポリエチレン製ピーか−・に朝夕2回採糞した小採取した黄ば全量を550C,24時間通風乾燥したのち粉砕し て分析に供した.飼料および糞中のd・般成分はAOAC法(7)により,また酸化クロムはBoLZNら(8)の方法によって それぞれ定慶した..なお各成分の消化率は,飼料中に混入した酸化クロムを指標物質とする指標法によって静出し た.

Tablel.Compositionofbasaldiet

Ingredient 5 5 1 0 0 0 0 0 2 う 4 〇 2 う . 8 3 8 0 5、3 L O O O O O 5 1 1 Yellow corn Wheat bran Defatted rice bIan Soybean meal Fish meal Al払1fA meal Ca carbonate Tri・Caphosphate Sodium chloride Mineralmixturel) Vitaminmixture2) Chromicoxide 1)Containing 8・0%Mn,50%Zn,06%Fe, 0。.1%IandO.06%Cu・ 2)Vitamin A(200,000IU/g)1%,vitamin D3 (30,000ICU/g)0”7%,thiamine HClO小16%, ribo貝avinO.8%,pyridoxincO。16%,CholineHC1 9‖6%,nicotinicacid O.16%,Ca pantothenate O.,32%and fblic acid O′08%by weightハ

結果および考察 飼料の消化管内通過時間を測定した結果は表2に示すごとくである.これによって明らかなごとく,無添加区に対 して2%および3%MC添加区では,消化管内通過時間がいずれも有意に遅延することが認められた.MCはパル プから作られる白色,無味,無臭の高分子化合物(9)で,冷水には容易に溶け,粘度のきわめて高いものであり,その ため合成糊・食品添加物として広く利用されている.したがってMC添加により消化管内通過時間が延長したのは, 飼料中にMCを添加することにより飼料の密度を高くし,表面を滑らかにするため腸管への刺激が少なくなり,そ の結果腸管の揺動運動が緩慢になって消化管内通過を遅延せしめたか,あるいはMCのもつ粘剤としての特性のた め粘度が高められたことが遅延せしめたものと考えられる.斉藤および木部(4〉が,セルロースの添加によって飼料の 消化管内通過時間が有意に短縮されることば,セルロ・−ス添加により飼料の容積を増し,飼料粒子周の間隙が多く,

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第28巻第60号(1977) 鵜飼料へのメチルセルロ・−ス添加が消化率に及ぼす影響 Table2.Effbctofmethylcellulose(MC)supplement

Ontimerequiredfbrftedtopassthroughthe

alilユーentalytraCt (Meanof6birdsj=S‖EM,) 35 Diet Time(minL) Basaldiet 206士16 Basaldiet+1%MC 208土15 Basaldiet+2%MC 265士21* Basaldiet十3%MC 265±20* *Significantlydi蝕rentfiombasaldietat5%level そのため腸壁への刺激が大きくをって蛾動遊動が促進したためであろうとしているが,MCはこのようをセルロい−ス の作用と逆の作用をすると考えられよう 次にMC添加が消化率に及ぼす影響を表3に示Lた..すをわちMCの添加急が増すにつれて,粗蛋白質の消化率 Table3.E熊ctofmethylcellulose(MC)supplementondieトdigestibilityinchickens (Meanof6birds土S・・E.M・) Digestibility(%) Diet

Crude Crude N−fkee Crude

OIg

protein fat extract fiber matter

795土l1 86一8土23 79い5土04 181士1い6 77い8土0.4 Basaldiet Basaldiet+l%MC 81”4j=1。1 84・4j:13 79”9±014 2115土1.4 77.2士0”4 Basaldiet+2%MC 82.4土06 82・6土1・‘7 80・8士04 30・6土2.3* 78.1士Ou3 Basaldiet+3%MC 820土1.1 78.2土1.1* 80。0土0・2 24・4士3。3 76.9土0い5 *Significantlydi恥rentfiombasaldietat5%level は統計的に有意ではないが向上の傾向を示した−そこでMC添加盈と粗蛋白質消化率の相関を求めると,Ⅰ・=0.386, P>0‖05<010となり,ある程度の相関がみられた.粗脂肪の場合は,粗蛋白質の場合とは反対にMCの添加盈が 増すにつれて消化率は低下の傾向を示し,3%MC添加区では無添加区との間に有意差(P<0い05)が認められた.. したがってこれら2成分の消化率の変化は,飼料の消化管内通過時間の変化とかなり対応することが示された.また 可溶無窒素物の場合には,いずれの区間にも有意の差がみられなかったい 一方,粗繊維の場合には,MCの添加によ って消化率が高くなる傾向が示され,2%MC添加区では無添加区との間に有意差(P<0い05)が認められた.しか し,これら各成分を含めた有機物としで求めた備には有意差がみられをかった… 上記のように,飼料中にMCを添加することによって粗蛋白質の消化率が向上する傾向のみられるのは,腸内停 滞時間の延長により消化分解あるいは吸収がより進んだためと解され,木部(10)がMCを添加するとN蓄積盈の増 加と,発育の向上することを報告していることとも関連するものであろう.また,粗脂肪■の消化率が粗蛋白質の場合 とは反対に低下したのは,おそらく代謝性脂質分泌の相対的な高まりや腸管内容物の枯性の高まりにより脂肪消化酵 素の作用が阻書されることが原因になるものと思われる..−・方,粗繊維の消化率がMC添加によって高まる原因に ついては不明であるが,粗繊維が消化されたというよりもむしろ組織推定盈法から生ずる実験誤差によるものの方が 多いと思われる.. 以上のごとく,飼料中にMCを添加すると,粗蛋白質の消化率がヤや向上するといっても,他の栄養素ではほと んどその影響がなく,むしろ脂肪の消化率のようにかえって低下するものもあることから,MC添加によって飼料の 消化管内通過時間が延長されても,飼料のエネルギ・一利用の見地からみて有用と認められる結果は得られなかった.

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一 色 香川大学農学部学術報告 36 引 用 文 献 (1)HILLERMAN,J.P..,KRAIZER,F.汁,WtLSON, W巾0.:jちα肋。y鹿g.,32,332(1953) (2)KAIJPP,B.F,IvEY,J.E、:∫.AgγLRes一り23,721 (1923). (3)BROWNR,T‖G∴J.Co〝砂.励め−,35,12(1922) (4)斉藤道雄・木部久衛:日畜会報,27,109(1956). (5)HEUSER,G.Fu:飽α肋ッ励よ、.,24,20(1945). (6)BLAXTER,K.L,GRAHAM,N.M…,WAIMAN,F W∴ βγ・‖エⅣ〟か.,10,69(1956) (7)A”0.A‖C.:0伍cialMethods of Analysis of theAssociationofO氏cialAgriculturalChemist, 9thed.,284,Washington,A0。A.C.(1960) (8)BoLIN,D.WリKING,RいPりKLOSTERMAN,EhW.: 虎よβ乃Cβ,116,643(1952) (9)林 文夫:♪ゐび釣odJ乃血ゞかツ,2,37(1960) (10)木部久衛:信州大学恩学部紀要,3,32(1963). (1976年9月30日 受理)

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26‑1 ・ 2‑162 (香法 2 0 0

4/6~12 4/13~19 4/20~26 4/27~5/3 5/4~10 5/11~17 5/18~24 5/25~31 平日 昼 平日 夜. 土日 昼

前掲 11‑1 表に候補者への言及行数の全言及行数に対する割合 ( 1 0 0 分 率)が掲載されている。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月.

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月 11月 12月1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月 11月 12月1月 2月 3月.