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欲求不満場面における感情理解と感情表出 : 絵画欲求不満テストに表情写真を用いて

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欲求不満場面における感情理解と感情表出

-絵画欲求不満テストに表情写真を用いて-佐 々木

宏 之

は じめに 表情 は、他者の感情状態 を理解 し、他者 に自分の感情 を伝 えるための重要な手段である。 特 に言語 を習熟 していない乳幼児 にとっては最大のコミュニケーシ ョンツールであ り、流 暢 に言葉 を操 る大人に して も微妙 な感情のニュアンスを伝 えるときなどに表情の果たす役 割は大 きい。 また逆 に、表情 は本心 を悟 らせ ない ようカモ フラージュす る際にも利用 され る。親密 な人間関係の維持 を図って不満 を笑顔で押 し隠すのはその一例である。 日本では 感情 を露わに しない ことが美徳 とされ、例 えば、賞賛 に対するはにかみの笑みは嫌味のな い好 ま しい性格 を印象づけるのに役立 った りす る。 対 してアメリカでは、贈 り物 をもらっ た ときには表情で喜びを表現することが期待 される。 この ように、場面 に応 じて適切 に感情 を表 出す る慣習 は表示規則 と呼 ばれる

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9)

表示規則 を十分認識 していれば、他者の表情 を見た とき に、他者がおかれた背景文脈 と照 らし合わせ て、表情 に隠 された本当の心情 も推測で きる。 こうした判断に利用 される規範 を解読規則 といい

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、表示規則 とは表裏一体の関係 にある。 表示規則や解読規則 に関する研究 には、先 に例示 した ような文化差 に着 日した もの と

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、発達心理の観点か ら児童期 における表示規則の獲得 を取 り上げた ものな どがある

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4)

詳細 については中村

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9

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3)

の総説 を参照 されたい。 感情理解の個人差 表情 による感情理解 は もっぱら文化的差異 との関連か ら検討 され、個人差 を扱 った研究 は見 られない。確かに、表示規則や解読規則 は社会 ・文化 における暗黙のルールであるか ら、個人の性格特性 よりも文化的差異 に注 目が集 まるのは当然であろう。 一方、表情研究 -の分野で不安傾向などの個人差が認め られるのは、表情刺激 に対する無意図的な反応 にお いてであ り、不安傾向の高い被験者が恐れや怒 りの表情写真 に対 して意図せず注意 を向け て しまうことが知 られている

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。 この場合の個人差 は、 表情 を見 た ときに自動的に作用す る脳の働 き (扇桃体 と呼 ばれる表情認知 を司 る脳 の活 動) に現れるものであ り

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5

)

、解読規則の下で 「背景文脈 と表情 を照 ら

(2)

し合わせて感情状態 を推測する」とい うような高度な推論過程 とは異なる点に注意 しなけ ればならない。 それでは、背景文脈 に伴 う表情理解 に個人差が生 じることはないのであろうか。本研究 では

、p-

F

ス タデ ィ日本語版 (住田 ら,

1

9

8

7

)

の分析手法 を表情 による感情理解の分析 に 応用 し、感情理解の個人差 を検討 した

。p-

F

ス タディは投影法の心理テス トの一つで、対 人的な欲求不満場面 を描写 した24の漫画絵 か ら構成 される (図1)。 被験者 はセ リフの噴 出 しに入 る発話内容 を想像 し、その反応内容の分析か ら攻撃的性格特性 と問題解決スキル が診断 される。個 々の反応 は、発話内容 に含 まれる攻撃性の 「方向」 と 「型

に基づいて 分類 され、 2つの分類次元 (各 3水準)の組み合わせ による計 9つのカテゴリーに当ては め られる。 今 回の実験 には

p-

F

ス ダデ イの図版の代 わ りに怒 り、笑み、悲 しみの表情写真 を用いた。 欲求不満場面 には、不可抗力で遅刻 した状況 を想定 した。 また、分析では分類 カテゴリー を

3

つ に単純化 している (詳細 は後述)。 もともと

p-

F

ス タデ ィ図版の人物画 には顔が描 かれていないのだが、それは投影法の心理 テス トの目的が、唆味な刺激の解釈 に現れる個 人の傾性の分析 にあるためで、た とえ無表情 に措かれた として もその顔が反応 を限定する 要因になって しまうか らである。 よって本研究の ように顔写真 を提示 した場合、発話内容 に個人差が生 じず、一様 な反応 になる可能性があるだろう。 その一方で、我 々は本心 と異 なる表情が表出 されることも知っているので、表情の読み取 りには性格特性 を反映 した多 様性が見 られるか もしれない。そこで実験では、表情写真の人物の発話内容 を尋 ねるとと もに、その人物 に対 してどの ような態度 をとるか を尋ね、そこに現れる感情理解 と感情表 出を分析 した。 また、前述 したように表情認知の個人差 については不安傾向 との関連 を検 討 されることが多いため

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)

、欲求 不満場面 における表情理解 にも不安傾向が影響すると予想 し、特性不安尺度 を用いて被験 者の不安傾向 を調べた。 --: ]三 子 図 1 p-Fスタディ図版を参考に作成 - 1

(3)

8-欲求不満場面における感情理解 と感情表出 (佐々木) 図 2 怒り、笑み、悲 しみの表情刺激 方 法 被験者 新潟中央短期大学 の学生

1

7

4

名 と暁星学 園看護科 の学生

3

5

名が調査 に参加 した。回答者 の性別 は男性

1

7

名、女性

1

9

2

名だった。 手続 き 怒 り、笑み、悲 しみの表情 を示す男性の顔写真がA3用紙の左側 に並べ て提示 された (図 2)。顔写真 は直径4セ ンチの円形内に頭部のみが見 えるよう切 り出 されている。 それぞれ の顔写真 についてイメージす るよう指示 される欲求不満場面 は、 「コンサー トに行 くため に友人 と待 ち合わせ を していたのだが、電車が事故で遅れて待 ち合わせ時間に遅刻 して し まった」 とい う状況である。 被験者の第一の課題 は、遅刻理 由を開いた "友人"が写真の ような表情 を示 しなが らどの ように発言 したか記入す ることだった。 続いて第二の課題で は、後 日今度 はその友人が電車の事故で遅刻 した ときに "自分"が どの ように発言す るか を記入 した。 これ ら

2

つの課題 をそれぞれの顔写真 に対 して順 に行 うよう求め られた。各 表情の並 び順 は被験者 間で カウンターバ ランスが とられた。 用紙の右半分 にはSTAI日本語版 (清水 ・今栄,2001)の特性不安尺度が提示 された。 特性不安尺度 は、「憂 うつである

「ささいなことに思いわず らう」 な ど、普投 の心の状態 を表現 した20の項 目か ら構成 されてい る。 各項 目について 「全 くそ うでない

「い くぶん そ うである

「ほぼそ うである

「全 くそ うである」 の うち もっともあてはまる もの を選 ん で回答 した。 この尺度 の

α

係数 は

.

8

5

で、再 テス トの信頼性係数は

.

8

0

に保 たれた ことが こ 示 されている。被験者 は先 の発言記入課題 に続 けて、特性不安尺度 に回答す るよう求め ら れた。 結果

2

0

9

名の うち、記入洩れのある回答、不真面 目な回答 、課題 を理解 していない回答 を除

(4)

外 し

、1

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名の回答か ら分析 を行 った

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91

名の特性不安尺度の

α

係数は

.

8

3

であった。 表1 各表情における発話内容の分類 (N =191) 表情 話者 分 類 他 責 無 責 共感 怒 り 友人 自分 笑顔 友人 自分 悲 しみ 友人 自分 97.9 1.0 1.0 66.5 27.7 5.8 2.6 78.0 19.4 3.1 68.1 28.8 53.9 13.1 33.0 20.9 42.9 36.1 注 : 数値の単位 はパーセント。合計が100にならないのは小数第2位を省略しているため。 発話内容の分類 本来

p-

F

ス タデ ィでは、発話内容 を攻撃性 の 「方向」と 「型

か ら分類す る。攻撃性の 方向は他責 (他者や事物 に向ける)、 自責 (自分 自身に向ける)、無責 (どこにも向けない) の

3

水準で、反応の型 は障害優位 (障害 その ものに注 目)、自我防衛 (結果責任 に注 目)、 要求固執 (欲求不満の解決 に注 目)の

3

水準 に分 け られる。 そ して、 これ らの組み合わせ による計

9

つの下位分類 に被験者の反応 を当てはめるのが通常の分析法 に則 った分類であ る。 しか し、本実験の欲求不満場面 は、遅刻 した当人が加害者であると同時 に電車事故の 被害者 にもなるため、同情 を寄せ る発言な ど本来の分類 に当てはまらない反応が数多 く見 られた。 また、その他の反応 にも偏 りが見 られることか ら、発話内容 を他積、無責、共感 の

3

つのカテゴリーに分類す ることに した。他責 は

p-

F

スタデ ィでい う他責達巡反応 また は他罰反応で、「参 ったな

「遅い よ」など、障害 を強調 した り相手 を攻撃 した りして不満 を露わにす る言動である。無責 は

p-

F

ス タデ ィの無責選巡反応 または無罰反応 に相当 し、 「大丈夫だ よ

「仕方 ない」の ように障害 を軽視 した り相手 を許 した りす る言動である。 共 感は

p-

F

ス タデ ィにはない分類で、「大丈夫 だった ?

「大変だったね」 な ど、相手- の心 r配や共感 を示す言動である。 表 1は各表情 における発話内容 を分類 した結果である。怒 りの表情では友人、 自分 とも に他貴反応が多 く、 自分の発話内容 には無責反応 も見 られた。笑みの表情では他責反応 は ほとん ど見 られず無責反応が多い。 また友人、 自分のいずれに も共感反応が見 られた。悲 しみの表情では、友人の発話内容は他責反応が多 く無責反応 は少 ない。対照的に自分の発 話内容 は無責反応が多 く見 られ、他責反応 は少 なかった。以上の ように、表情 によって発 話内容が大 きく異 なることがわかった。 - 2

(5)

0-欲求不満場面における感情理解 と感情表出 (佐々木) 0 0 0 0 0 0 0

0

0 8 7 6 5 4 3 2 1 度 数 0 1 2 3 応報反応数 図3 応報反応 の出現頻度 次 に、感情理解が感情表 出に及ぼす影響 を検討す るために、友人の発話内容 と自分の発 話内容の一致度 について検討す る。友人の発話内容 に合 わせ て同分類の反応 をす る ときの 自分の発話内容 を応報反応 とした (例 えば、友人の他責反応 に対 して自分 も他責反応 を し た とき)。図

3

が示す ように大半の被験者

(

7

7

%)

2

つ以上の表情 において応報反応 を行 っている。 不安傾向 との関連

1

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名の被験者 の うち、特性不安尺度得点の下位

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名 を特性不安低群 とし、上位

7

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名 を特性不安高群 とした。低群 の尺度得点の平均 は

42.

8

(範 囲

23-49)

で、高群 の平均 は

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0

.

0

1

(範囲

5

4-7

3

)

だ った。各表情 における友人 と自分 の発話 内容 について、反応 の内 訳 を二群 間で比較す る と、いずれの条件 において も二群 間に有意 な差 は認め られなかった (

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次 に、応報反応 について二群 間の比較 を行 う。表2は友 人の他責 反応、無責反応、共感反応 に対す る応報反応の割合 を高群低群 ご とに算 出 した ものである。 ガイ二乗検定の結果、他責反応 に対す る応報反応 は低群 よ り高群の方が有意 に少 ない こと がわか った (x2(1)

-3.

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。 表2 応報反応 にお ける不 安特性 反応分類 低群(N

=

80) 高群(N

=

79) 応報 /全体 % 応報 /全体 % 77/121 63.6 57/73 78.1 35/46 76.1 64/125 51.2 64/73 87.7 33/39 84.6 計 169/240 70.4 161/237 67.9

(6)

考察 本研究の目的は欲求不満場面 における感情理解の個人差 を調べ ることであった。実験で は、表情写真の人物の発話 とそれに対する自分の発話 を記述 させ、その発話内容 について

f

LF

ス タデ ィを模 した分類手法か ら感情理解 と感情表出の個人差 を測定 した。その結果、 怒 りと笑みの表情 に対する感情理解 は被験者間の一致が見 られたが、悲 しみの表情 に対す る感情理解 にはばらつ きが生 じた。同様 に、怒 りと笑みの表情 を示 した人物 に対す る感情 表出にも被験者間の一致が見 られ、悲 しみの表情 を示 した人物 に対 しては感情表出のばら つ きが生 じた。す なわち、他者の怒 りの表情か らは不満 を強 く表す他責反応 を、笑みの表 情か らは寛容 な態度 を示す無責反応 を読み取 り、その人物 に対する自身の発話 も、怒 りの 表情 には他責反応、笑みの表情 には無責反応 を多 く示 した。 したがって、怒 りと笑みの表 情 に対する感情理解 には、表示規則や解読規則 と同様 の固定化 した図式があるといえる。 一方、悲 しみの表情理解は唆昧 さを含み、直接 間接 に不満 を表す反応の他 に、不満 を抑 え つつ相手 を心配す る反応 も現れた。 これに対す る自身の感情表出は、感情理解 とは対照的 に他責反応が もっとも少 な くな り、寛容な態度や共感的な態度 を示す割合が多 くなった。 この悲 しみの表情 に見 られる個人差 は どの ように説明で きるだろうか。 ここでは表情の認 知心理学的研究 と対人認知の社会心理学的研究 を参照 しなが ら考察 を試みる。 表情の識別の しやす さに関する研究によれば、幸福以外の表情では視認度 に違いはない とされているが (桐 田,

1

9

9

3

)

、無表情の顔が表情顔 に変化するアニメーシ ョンを使 った実 験では、提示時間が1秒以下 になると悲 しみの表情の識別性 は著 しく低下することが確か め られている (Kamachieta1.,2001)。また、悲 しみ顔 の画像 にぼか しを入れた場合で も、 その弁別感度は大 きく損 なわれて しまう (Endoeta

1

.,

1

9

9

5

)

。つ ま り、悲 しみの表情認知 は低時間解像 ・高空間解像のいわゆる持続型の応答特性 をもち、悲 しみの表情の同定 には 時間をかけた精査が必要だ とい うことが示唆 される。 もちろん、表情認知 と表情か らの感 情 の推測 を同列 には語 れない とはい え、悲 しみの表情 の識別 に認知的 な努力 (cognitive effort)を要す ることは、悲 しみの表情理解 に暖昧 さが生 じる要因に もなってい る と思 わ れる。 もう-?の説明は責任帰属の理論 を踏 まえた考察である。責任帰属 とは、何 らかの被害 を受けた ときに、加害者の行為の原因を推測す る過程 を指す。責任帰属のモデルによれば、 加害行為は意図性、正当性、制御可能性 により分類 される (大測,

1

9

9

3)

。この分類 に当て はめると、本実験の事故 による遅刻 は非意図的で制御不能 な加害行為である。 したが って、 (冷静な責任判断 をせず に)他責反応 を示 した友人に対 しては、感情 にまかせた無思慮 な 態度 を汲み取 っていることが推察で きるであろう。 また、無責反応 には意図性、制御可能 性 を考慮 した寛容 な態度 を、共感反応 には責任の所在 に注 目しない温情的な態度 を、表情 - 2

(7)

2-欲求不満場面における感情理解 と感情表出 (佐々木) か ら汲み取 っていることになるであろう。 さて、そこで悲 しみ表情 に対す る反応のばらつ きについてだが、友人の発話内容で他責反応 と共感反応が大半 を占めている とい う結果 は、 いずれに しろ "友人は責任 の所在 について客観的な判断 を していない" と捉 えた ことを意 味す る。 つ ま り悲 しみの表情 における反応の唆昧 さは、責任帰属 に関す る意識の低 さを、 自分本位の態度 と′して表すか (他責反応)、あるいは共感的 ・他者依存 的な態度 として表 すか (共感反応)の個人差 を映 し出 しているのか もしれない。 感情理解 と感情表出の関係 については、総 じて相手の態度 に応 じた感情表出をすること が多 く、「囚人のジレンマ」ゲームに見 られる応報戦略 (山岸,

1

9

9

0

)

の形が採 られた。た だ し本研究では、各被験者が

3

つの表情すべ てについて反応す る被験者内要因の実験手続 きを採用 したため、各表情 に対す る反応の独立性の低 さが応報的な方略への偏向 を招いた のか もしれない。そ うした可能性 に もかかわ らず、応報戦略 を採用す るか否かの判断には 不安傾向特性の影響が見 られ、不満 を露わに した友人-の態度 に不安傾向による個人差が 見 出 された。不安傾向の高群 は低群 に比べ て他責反応の返報性が少 な く、応報的 な方略選 択 を採 って対人不安 を自ら煽 るよ りも、不満 を押 し隠す ことで円満 な人間関係 を維持 しよ うとす る性格特性が現れた といえるであろう。 結語 本研究では、悲 しみ顔の感情理解 に個人差が生 じることを確認 した。第三者的な立場か ら欲求不満場面 を解釈 させ ることで、そこに投影 される攻撃性 を探 る

p-

F

ス タデ ィと違い、 実験 の欲求不満場面では当事者 として関わるため、潜在的 な攻撃性 を表面化す る試み とは な らなか った。 しか し、悲 しみ顔 の解釈 に見 られた唆昧 さは、悲 しみの表情が投影法的な 研究手法 に利用 し得 ることを示唆 している。残念 なが ら、今 回着 目した不安特性 は、悲 し み顔 における暖昧 さとの間に関係性が見出 されなかったが、今後の研究 においては不安傾 向以外 の性格特性 との関連か らも検討す ることが必要であろう。 謝辞 この論文 は新潟中央短期大学平成17年度卒業論文 において発表 された丸 山雄基氏 (現黒 条保育園保育士) との共同研究 をもとに作成 された。 本研究 は同氏 との議論 を通 して着想 を得 た ものであ り、本来な らば共同執筆者 として名 を連 ねるべ き共同研究者である。同氏 の本研究への貢献 に対 し、 ここに記 して深謝す る。

(8)

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