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「女子学生の足底面に関する研究」
山 神 眞 岡 田 泰 士 緒 足は,第2の心臓と言われている。そして,近年,足の裏がとみに注目され 研究されてきている。足の裏ほ遺伝だけでなく,個人の生活様式や社会環境の 影響を著しく受仇 ひいては身体の状況さえも表すものである。 (1)(2) ところで,足の裏,特に足底面に関する研究は,Hellebr・andtによる足睨印画 (3)採取の方法(SohlenabdruCk)に端を発し,Curetonのpedo−graphによるfoot・
(4)(5)printsからのJumpingRatioの算出へと進歩した。そして,わが国でも青田が
接地足舵撮影特殊装置を考案し,その写真から種々の足底面に関する計測結果(6)(7) を報告している。しかし,この方法は撮影時の立体姿勢保持における基本的条件
(8) についての充分な検討がなされていない。そこで平沢はその問題を補うために,Pedoscope用ITV装置を考案し,接地足睨採取における困難性を解決すると
(9)(10) ともに,接地足択と直立能力との関連やStasiologyからみた左足と右足の関係
(11) 等を追究している。一・方,森田と有富は,最近,F社が開発した圧力測定フイ
ルム(商品名,プレスケール)を用いて足底面に分布する圧ブコの測定を試み, 足の機能解剖学的特性について検討している。しかし,このプレスケールを使 用しての研究成果ほ,まだほとんど発表されていないというのが実状である。 そこで,本研究ではピドスコープと同様の原理で作られたフットスコープ及 びプレスケ・−ルを用いて,−・般女子学生の立位姿勢における足底面を観察し, その特徴を浮き彫りにすることを目的とした。160 山神眞一・岡田泰士 測定方法 1.被 検 者
一・般女子学生28名(年齢18.3±0‖46歳,身長159.7±463cm,体重554±
7.15kg)2.測定装置
① フットコ1−ブ(トーヨーフィジカル社製)ほ,接地足脈面(Contactsurface Of−f00tSOle,以下足底面)を投影し,且つそこに落下する重心点を同時に記 録する装置である。 ② プレスケール(富士フイルム社製)ほ.,超低圧用圧力測定フイルムの名称 であり,それぞれの圧力値に応じてプレスケ・−ルのシートに赤色の発色が色 の濃淡として写し出される特殊なフイルムである。このフイルムは発色させ る際に何等の現像処理を施す必要もなく,瞬時に加圧状態を視覚的に把握で きるという特色を持つ。すなわち,このプレスケールは,測定操作が簡易で あり被検者に精神的,肉体的負担を与えない足底面の有効な測定方法と言え る。3..測定手順
① フットコープ上で被検者に安楽な立位婆勢で約20秒間,前方の目印(目の 高さと同じ)を注視させ,その間の足底面を16mmカメラにより撮影する。 ② ①と同様な立位姿勢をプレスケールのシー・ト上でもとらせ,その際の足底 面圧を測定する。4.分析項目
① フツースコープについての分析項目ほ,足底面のアーチ角度,Hline(平沢 ライン)及びHL(HlineLerl蛮h)とした。 ② プレスケ・−ルについての分析項目は,足底面圧の圧力値とその分布状態と した。尚,足底面の測定に関するブロックダイヤグラムは図1に,また,足女子学生の足底面に関する研究 161 nacモー・シぎンアナライサー& naeスポーティアスmod¢1200
圏壷
Aフイルム:l05〃測定範囲 5−25句/伊・参考仇とl.て3ノーS叫/○■ J■ さ Cフイルム:951」 q 正 pほ全土10%以下H■廣l車札正にて)
● ≡富 ● ≡ ● ⋮ ●一〇 ●芦○介
16mmカメラ くブレスケール〉マット用 圧力換算マーク 富 d 0 0 0 −. _ H ●■ ■■ ■、 ■ ■ 一 ...● ● ● ● ● ● ● ● プレスケール 透明なガラス棚」
苛
Aシート 保接周 支持体(紙) 保措府 中間個 発色剤僧 プットスコープ ・・・・・・・一和也利付 中間層 支持体(紙) \ 図1 足底面の測定に関するブロックダイヤグラム 底面の計測項目と足底面圧の分布区分は図2に示した通りである。 結果と考察 1.アーチ角度について ア1−チの角度を最初に問題にしたのは,R.P.SchwarItZ(1928)である。そし (l功 て,HH.Clarkeはアーチの高さとア、−チ角度との間に097の高い相関があ 3引鑑ることを報告し,後にT。K。CuretonはSand box methodによって0.86∼0 96の係数を得て,先のH‖H.Clarkeの結果を容認している。すなわち,足底面 のアーチ角度がアーチの外からの高さ(縦のアーチ)をかなり高い確率で示し ているということである。 今回用いたアーチ角度の測定法は,H.H.Clarkeの方法である。図2に示す ように足底面の母指球のエッジと踵のエッジに触れて内側線刷を引き,母指球 のエッジの接点とアーチの最も深い点とを結ぶ線(B)との接合角度をアーチ角度 とした。 H”H.ClarIkeによれば,大人の平均角度は42度で,30度以下の者は足の矯正
山神虞一・・岡田春士 162 Left Right 図2 足底面の計測項目と足底面圧の分布区∴分 表1 アーチ角度 単位:度 が必要であり,30∼35度の者は境界線上にあって再検査が必要であるという。 表1は,被検老全員の左足の足底面についてのアーチ角度を示している。本
研究の被検者28名の内,H」且Clarkeの言う大人の平均角度42度を下回った
のは右足のアーチ角度での5名であったが,その範囲は37度∼41度であり,矯 正を必要とするものほいなかった。また,被検者のアーチ角度の平均値は,右足が48.5±6.44度,左足が50.1±4。75度であり,左右差についてみてみると
左足の方がやや大きい慣向を示しているが,統計的な有意差は認められなかっ た。しかし,標準偏差をみると右足の方が左足よりも大きく,右足の方が個人 差が大きいことがわかる。 2..足底面圧について プレスケールの測定手順に従い,午後1時←2時の間(−・日の内で平均的な 足底面が得られる)に足底面圧を測定した。図3は,足底面に発生した圧力分女子学生の足底面に関する研究 163 布の一例を示している。そして,表2は,被検老毎の足底面圧の測定値を図2 の分布区分に基づいて示したものである。これをみると,すべての被検者にお いてMI部分の足底面圧が6つの分布区分の中で最も小さいことがわかる。こ の部分は,いわゆるア、−チの形成部分であり,至極当然の結果と言えよう。ま た,この部分の左右差についてほア・−チ角度の場合と同様に統計的な有意差は 認められず,左右対称性の圧力分布/くクー・ソを示した。 次に,被検名聞で圧力分布を比較検討するために,被検老毎に総足底面圧を 100%としたときの各分布区」分への割合を算出した。その結果は,表3に示した
通りである。まず,被検者の平均値より,左右足ともにBO,MO,BI,FO,
FI,MIの順で足底面圧が大きいのがわかる。これは,立位姿勢時の足底面での 圧力分布の標準的な分布状態を意味するものであり,また,この分布状態は歩 行動作時の足底面の接地順序と同じであることから,立位姿勢における足底面 の圧ブコ分布と歩行動作時の足部の接地の仕方との間に何等かの関連性があるも のと推察される。尚,この足底面圧分布と同じ分布の/くターンを示した被検老 は右足で1人(Sub…13),左足で4人(Sub.3,4,21)であった。 ここで,被検老全員を足底面圧の分布状態からいくつかのタイプに分類する ことを試みてみた。その際の分類の基準は,表4の通りである。この分類方法 によって被検者は7つのタイプに分類された。すなわち,前足部圧力集中型, ・ . ・、 . ● ■′ ■● ■●’■ヽ ▼●■■■− ■ ll● ● ■ ・て11く?.・ ′■●●■ ● ● ● ●● ■■●● ■ ●1:・:■ −●●●● ● 図3 足底面圧の圧力分布の一例山神虞−・・岡田泰士
表2 足底面圧の測定値 164
(右 足) (左 足)
SUBNO FI FO MI MO BI BO TOTAI. FI FO MI MO BI BO TOrAL 1 333 227 10 366 380 2611577 221230 08 505 568 586 2118 2 239 243 04 265 3615981710 211208 24 387 319 8201969 3 189 23116 261153 5261376193 25013 362 2916581767 4 249192 45 411480 777 2154 258 273 33 461392 5731990 5 281210 04 543 305 727 2070 201278 01428 326 7201954 6 336 43210 430 354 690 2252114 356 04 231338 7741817 7 259 240 05 470 381 493 1848 357 255 02 657 394 430 2095 8 199 398 00 349 341840 2127 294 405 09 487 247 632 2074 9 386 36211258 309 4801806 380 29215 318 438 910 2353 10 257 27016 787 241883 2454 559 495 32 512 432 587 2617 11 357 302 09 516 210 5821976 456 51211485 307 433 2204 12 264 306 20 314 658 569 2131425 39718 430 532 748 2550 13 192 20415 442 282 7031838 303 21511438 489 5401996 14 185 462 00 519 361756 2283 545 754 00 605 426 664 2994 15 270 39519 304 238 5431769 352 36717 247 32。6 636194.5 16 27915518 366 273 5011592 441188 40 298 300 5651832 17 499 393 31454 522 538 243 7 402195 47 497 534 375 2050 18 294 384 08 339 333 692 2050 224 239 01333 233 3751405 19 206 325 01518 300 677 2027195 385 02 450 392 3911815 20 205 327 23 551219 7712096 265 25917 376 384 6321933 21 302 483 25 650 380 773 2613 308 310 37 452 439 6912237 22 474 539 43 561398 8712886 251374 35 465 5018712497 23 450 2L72 08 297 509 492 2028 205 346 01329197 5441622 24 370 218 22 225 426 5321793 287 22016 235195 3341287 25 342 369 26 359 532 573 2201576 337 27 205 238 4491832 26 224 244 05152 232 4671324 262 23412124 234 38.41250 27 586 31143 38−4 434 517 2275 438 377 51579 456 647 2548 28 255 40010 430 279 6041978 222 50510 490 353 676 2256 単位:kg/cげ
女子学生の足底面に関する研究 表3 分布区分毎の足底面圧の割合 165 足) (左 MO BI BO FI FO MI SUB NO FI 7 6 2 8 8 6 5 5 7 4 7 3 0 2 7 00 3 7 6 7 9 9 5 9 5 7 4 0 7 1 7 8 6 2 0 0 8 2 9 9 7 2 2 <U 8 6 1 2 ハU 4 3 5 4 0 5 0 2 4 3 2 3 4 2 3 3 2 1 2 2 2 3 3 1 2 2 3 3 3 3 2 2 3 2 3 00 2 5 7 7 6 8 9 ごU 5 9 9 5 2 7 .4 1 6 6 9 6 1 2 2 0 7 9 7 6 6 6 9 6 8 8 1 8 6 3 0 4 4 6 6 6 6 1 9 9 0 2 5 3 8 7 5 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 1 1 1 2 1 2 1 1 2 1 1 1 1 1 1 4 5 5 6 0 9 9 2 7 3 2 7 00 4 2 6 3 3 2 8 7 5 2 9 7 9 7 7 23 19 20 23 21 12 31 23 13 19 22 16 21 20 12 16 24 23 24 19 20 18 20 18 11 9 22 21 ▲4 2 7 7 1 2 1 4 6 2 5 7 6 0 9 2 3 1 1 9 6 4 1 2 5 <U O 4 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 1 1 0 1 1 1 2 0 9 6 2 6 2 6 2 5 4 9 2 6 00 2 9 2 5 0 2 4 9 0 3 1 4 7 8 4 0 0 4 3 4 9 2 9 2 8 3 5 0 5 00 0 9 7 1 3 3 5 1 7 8 00 4 2 1 2 1 1 1 2 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 2 1 1 4 7 9 0 3 3 0 2 2 4 7 6 2 2 1 1 6 9 7 7 8 0 6 3 4 0 2 00 0 0 0 3 0 6 7 4 6 1 0 6 5 00 8 4 9 5 0 3 3 <U 2 2 1 1 7 9 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 2 3 2 1 6 0 2 1 1 6 7 5 6 0 5 7 2 1 7 5 1 00 4− 00 6 2 3 7 0 3 7 6 6 5 8 6 5 0 6 9 6 6 9 6 8 3 0 1 2 3 3 6 9 0 4 9 6 5 2 0 1 3 3 3 3 3 2 3 2 3 2 2 3 3 3 3 2 3 3 3 2 3 2 2 2 3 2 3 1 1 1 3 7 7 6 0 1 8 6 9 3 8 4 2 4 2 8 4 5 8 1 8 2 5 1 1 4 1 1 2 4 5 0 6 7 9 0 0 5 5 3 7 1 6 4 0 4 3 5 3 4 7 9 4 1 3 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 1 2 1 1 2 1 1 2 5 0 1 2 1 4 4 3 1 1 7 1 8 2 0 ごU 5 6 3 9 4 6 5 3 5 9 7 3 5 9 9 6 9 5 6 4 2 6 4 4 2 7 3 8 6 5 広U 4 9 4 2 6 1 6 1 2 1 1 1 2 1 2 1 1 3 2 1 2 2 1 2 1 1 2 2 2 1 1 1 1 1 1 2 6 2 2 1 2 5 3 <U 6 6 5 9 8 0 1 1 3 4 0 1 0 5 4 2 2 4 9 5 0 0 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 ハU O l l 1 0 1 1 0 1 0 4 2 00 9 2 2 0 7 0 <U 3 4 1 2 3 7 1 7 ∧U 6 5 7 4 2 8 4 7 2 4 4 6 8 0 9 3 8 0 1 5 4 1 0 2 9 6 8 6 5 8 8 3 2 6 8 3 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 2 1 1 1 1 2 2 1 1 1 1 0 7 5 6 9 0 4 4 5 7 4 5 1 3 5 5 3 2 QU 5 4 2 6 5 9 ︵VU 9 1 4 3 1 3 4 4 9 1 0 00 2 0 8 5 7 0 4 0 9 1 6 2 0 5 6 5 2 1 1 2 2 1 1 2 1 1 1 2 1 1 2 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1
平 均151156 08 201175 309 158 162 09 198
180 294 漂準偏差 449 360 055 506 512 551 541 431068 463 374 646
(単位:%)山神眞一・・岡田泰士 表4 足底面圧のタイプ分類の基準 166 右 足 前足部(FI+FO) への圧力集中の 307以上 判定基準 後足部(BI+BO) への圧ブコ集中の 判定基準 外側部(FO+MO十BO) への圧力集中の 判定基準 (注上記の数値は,被検老の平均値を示す。単位kg/伽℡) 表5 足底面圧のタイプ分類 足底面圧のタイプ(7種類) 右 足 足 前足部(FI+FO) 圧力集中型 1,9,17,27 6,24,25,27 後足部(BI+BO) 圧力集中型 2,4,12,16
21
外側部(FO+MO+BO) 力型 10,19, 20,21 圧集中 前足部・外側部 (FI+FO+MO十BO) 6,11,15,22,28 23,28 圧力集中型 後足部・外側部 (BI+FO+MO+BO) 3,5,8,13,14 5,6,20,22 圧力集中型 前足部・後足部 (FI+FO+BI+BO) 23,24,25,26 6 圧力分散型 前足部・後足部・外側部 (FI十BI+FO+MO十BO) 圧力分散型 その他 7女子学生の足底面に関する研究 167 後足部圧力集中型,外側部圧力集中型,前足部・外側部圧力分散型,後足部・ 外側部圧力分散型,前足部・後足部圧力分散型,前足部・後足部・外側部圧力 分散型及びその他の合計7つのタイプである。被検者の中で左右足共に同じタ イプを示したのほ前足部圧力集中型のSub..27,外側部圧力集中型のSub19, 前足部・外側部圧力分散型のSub‥28,後足部・外側部圧力分散型のSubい3と Sub‖5,前足部・後足部圧力分散型のSub‖26及びその他のSub.7であった。そ して,この7つのタイプに全被検老の足底面圧を分類したのが表5である。全 体としてほ,タイプの分類に左右の足底面圧のバランスをまとれているが,その 中で外側部圧力集中型に関しては,左足の該当者が右足に比べて少なかった。 このことは,左足の方が右足よりも前足部と後足部で体重を支える割合が大き いことを意味するものである。 結 本研究は,人間の最も重要な基本姿勢と言われる立位姿勢における足底面の 特徴を浮き彫りにするために,−・般女子学生を対象としてフットスコープとプ
レスケ岬スを用いた足底面の測定を試みた。そして,以下の結論を得た。
1.ア・−チ角度については,左足の方が右足よりも大きい傾向を示したが,個 人差は右足の方が大きかった。 2.立位姿勢における足底面の圧力分布と歩行動作時の足部の接地の仕方との 関連性が示唆された。 3.立位姿勢における足底面圧の分布/くタ・−ソは,前足部圧力集中型,後足部 圧力集中型,外側部圧力集中型,前足部・外側部圧力分散型,後足部・外側 部圧力分散型,前足部・後足部圧力分散型,前足部・後足部・外側部圧力分 散型及びその他の合計7つのタイプに分類できる。 参 考 文 献 (1)He11ebrandt:FAetal,AmJPhysiol,121(456),1938 (2)Hellebr’andt:F.A etal,AmJPhysiol,121(471),1938 (3)T KCur・etOn:RelationshipofPhysicalFitnesstoAthleticPerformanceandSports, TheJournaloftheAmerican Medica】Assocjation162(12),1956山神員一・・岡田泰士
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