改訂版
術後リハビリ編
『心臓病と運動』シリーズ
心臓リハビリテーションを行う利点
狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術の術後リハビリテーションの利点
心臓手術は、心臓の血管や弁の悪い部分を治します。
ところが、これだけでは心臓病の症状はとれないことが多いのです。
なぜなら心臓病というのは、心臓が悪くなるにともなって、
手足の筋肉・血管・自律神経系すべてが悪くなるからです。
心臓リハビリテーションを行うと、これらも回復させることができ、
はじめて体全体が良くなります。
心臓手術後のリハビリテーション
心臓病にともなって悪化していた手足の筋肉・
血管や自律神経の働きを改善します。
心臓手術患者さんの約40%に認められる
精神的なダメージを軽くします。
冠動脈硬化症の原因となる冠危険因子を改善して、
冠動脈硬化症の再発を防ぎます。 つないだバイパス血管が閉塞してしまう率が減ります。
術後2週間の運動療法を行った人は、行わなかった人にくらべて、運動能力、心ポンプ機能(心拍
出量)、自律神経機能(副交感神経活性)などが改善しています。
編 者
監 修 牧田 茂 埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科 教授
総監修 伊東 春樹
特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ
ジャパンハートクラブ編
公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 顧問
ヵ ヵ ヵ ヵ ヵ ヵ
■ 参考図書
● 心臓リハビリ・運動療法が可能な施設一覧 http://square.umin.ac.jp/jacr/hospital/
● ジャパンハートクラブ http://www.npo-jhc.org/
■ 関連ホームページ
「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)」(日本循環器学会)
「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版)」(日本循環器学会)
「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改訂版)」(日本循環器学会)
「最新改訂版 心臓病の予防・治療とリハビリ−狭心症・心筋梗塞の最新治療法」(伊東春樹):主婦と生活社、2012年
※このパンフレットの著作権はNPO法人ジャパンハートクラブに帰属します。
転載を希望される場合は事務局(info@npo-jhc.org)までご連絡ください。
参考データ
心臓手術直後から半年間の心臓
リハビリテーションは、その後の
身体機能改善や再発防止を実現
するうえでとても重要です。時間を
やりくりして、ぜひ参加しましょう。
〔2018年4月作成〕
運動能力・体力が向上します
1
運動療法は、心臓手術を受けるに至った冠動脈疾患の危険因子を減らす2次予防だけでなく、
手術を受けたことによるいろいろな問題点を改善します。
運動療法の効果
心臓手術後の運動療法は運動能力を改善させます。
弁膜症の場合、弁置換術によって心機能は正常化しま
すがそれだけでは運動能力は高まりません。血管拡張
能や骨格筋などの末梢機能の改善と相まって運動能
力は良くなります。
骨格筋機能が改善します
2
運動療法を行うと、筋肉の量が増え、質も良くなり、楽
に動けるようになります。体力が向上し、その結果、同
じ労作をしても心臓への負担は少なくなります。
血管がやわらかくなり、
血液の循環がよくなります
3
心臓病の人の手足が冷たいのは、血管が硬くて広が
らないことが原因です。運動療法を行うと血管が広が
りやすくなり、手足が温かくなります。体のすみずみま
で新鮮な血液を運ぶことができるようになるため、筋
肉への栄養補給もスムーズになります。これも、運動
療法によって心臓病の症状がとれる1つの要因です。
精神面においても良好な効果が
あります
6
心疾患患者さんの30∼50%が精神的に不安定(う
つ状態)になるといわれています。精神的なストレスは
冠動脈疾患患者の状態を悪化させ、ときに動脈硬化
病変を不安定にします。運動療法は不安定な精神状
態を改善してくれます。とくに、集団で心臓リハビリテ
ーションを行うと効果が高いといわれ、うつ状態の改
善に伴い寿命も延びるともいわれています。
自律神経が安定します
4
自律神経活性は、心不全の病態や不整脈死と密接に
関連していると考えられています。心臓病では自律神
経活性が乱れ、症状として脈が早くなったり、ドキドキ
したりします。また、手足の血管が細くなって疲れやす
くなり、血栓の元になる細胞を活発にさせて血栓塞栓
症の原因をつくります。心臓手術後に運動療法を行う
と自律神経が安定して、動悸や血栓の心配を減らすこ
とができます。
生活の質(QOL)が改善します
5
運動療法は 生活の質(QOL) を改善します。冠動脈バ
イパス手術後に運動療法を行った場合、85%の患者
さんで仕事への満足度、家庭生活、社会生活、性生活
が改善したと報告されています。
再入院率および医療費を減らします
7
①心臓リハビリテーションは、心臓手術後の再入院率
およびそれにともなう医療費を減少させます。
②再入院の回数が減ると同時に、入院中の医療費も
削減できます。
③抗不安薬の使用頻度も減少します。
冠危険因子を改善させます
8
運動療法は、血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、
LDLコレステロール、総コレステロール、血糖値、体重
などが異常である場合、これらを改善し、冠動脈硬化
症の再発予防に有効です。食事療法を併用すると、さ
らに効果的です。
バイパス血管が長持ちします
9
運動療法を行うことによって術
後のバイパス血管がつまりにく
くなるとの報告があります。運
動療法はバイパス血管を長持
ちさせるといえます。
以上につけ加えて、
冠動脈バイパス術の
場合は…
運動能力・体力が向上します
1
運動療法は、心臓手術を受けるに至った冠動脈疾患の危険因子を減らす2次予防だけでなく、
手術を受けたことによるいろいろな問題点を改善します。
運動療法の効果
心臓手術後の運動療法は運動能力を改善させます。
弁膜症の場合、弁置換術によって心機能は正常化しま
すがそれだけでは運動能力は高まりません。血管拡張
能や骨格筋などの末梢機能の改善と相まって運動能
力は良くなります。
骨格筋機能が改善します
2
運動療法を行うと、筋肉の量が増え、質も良くなり、楽
に動けるようになります。体力が向上し、その結果、同
じ労作をしても心臓への負担は少なくなります。
血管がやわらかくなり、
血液の循環がよくなります
3
心臓病の人の手足が冷たいのは、血管が硬くて広が
らないことが原因です。運動療法を行うと血管が広が
りやすくなり、手足が温かくなります。体のすみずみま
で新鮮な血液を運ぶことができるようになるため、筋
肉への栄養補給もスムーズになります。これも、運動
療法によって心臓病の症状がとれる1つの要因です。
精神面においても良好な効果が
あります
6
心疾患患者さんの30∼50%が精神的に不安定(う
つ状態)になるといわれています。精神的なストレスは
冠動脈疾患患者の状態を悪化させ、ときに動脈硬化
病変を不安定にします。運動療法は不安定な精神状
態を改善してくれます。とくに、集団で心臓リハビリテ
ーションを行うと効果が高いといわれ、うつ状態の改
善に伴い寿命も延びるともいわれています。
自律神経が安定します
4
自律神経活性は、心不全の病態や不整脈死と密接に
関連していると考えられています。心臓病では自律神
経活性が乱れ、症状として脈が早くなったり、ドキドキ
したりします。また、手足の血管が細くなって疲れやす
くなり、血栓の元になる細胞を活発にさせて血栓塞栓
症の原因をつくります。心臓手術後に運動療法を行う
と自律神経が安定して、動悸や血栓の心配を減らすこ
とができます。
生活の質(QOL)が改善します
5
運動療法は 生活の質(QOL) を改善します。冠動脈バ
イパス手術後に運動療法を行った場合、85%の患者
さんで仕事への満足度、家庭生活、社会生活、性生活
が改善したと報告されています。
再入院率および医療費を減らします
7
①心臓リハビリテーションは、心臓手術後の再入院率
およびそれにともなう医療費を減少させます。
②再入院の回数が減ると同時に、入院中の医療費も
削減できます。
③抗不安薬の使用頻度も減少します。
冠危険因子を改善させます
8
運動療法は、血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、
LDLコレステロール、総コレステロール、血糖値、体重
などが異常である場合、これらを改善し、冠動脈硬化
症の再発予防に有効です。食事療法を併用すると、さ
らに効果的です。
バイパス血管が長持ちします
9
運動療法を行うことによって術
後のバイパス血管がつまりにく
くなるとの報告があります。運
動療法はバイパス血管を長持
ちさせるといえます。
以上につけ加えて、
冠動脈バイパス術の
場合は…
心臓手術の後、どの時期からどの様な運動を開始したら良いのでしょうか。
運動療法の方法 ①
運動療法の開始時期
1
運動療法開始時の注意点
2
一般に30mから200mの歩行負荷が可能となった
術後4∼10日目頃に、心肺運動負荷試験またはそれ
に代わる運動負荷試験を行い、運動器具を使用した
有酸素運動を主体とした運動療法を開始します。術後
1週間目からの有酸素運動療法は、安全に、また感染
や死亡率を増加させることなく施行でき、バイパスの
開存率を改善するといわれています。
有酸素運動
3
運動の強さとしては、有酸素運動レベルが望ましいと
されています。すなわち、軽く息がはずむ程度の強さ
での運動です。自転車エルゴメータ、トレッドミル、歩
行、エアロビクスなどを、運動負荷試験の結果をもとにし
て、自分に合わせた強さで行うのが有酸素運動です。
以下の点がクリアされている場合に、
運動療法を開始することができます。
なお、ペーシングワイヤーは運動療法の禁忌となりま
せんが、抜いた日の運動療法は控えます。
レジスタンストレーニング
4
レジスタンストレーニングは、ウェイトマシンやフリー
ウェイト、ゴムチューブなどを使って筋肉に抵抗を与
え、筋肥大や神経系を活性化し筋機能を高めるトレー
ニングです。
心臓手術後のレジスタンストレーニングには、手足を
動かさないで力を入れるタイプの運動(等尺性運動)
よりも、手足を動かしながら力を入れる運動(等張性
運動)を8∼10種類ほどリズミカルに行うことが推奨
されます。
開心術後の患者さんは、胸骨の切開を行っていること
が多いため、術後3ヵ月間は上肢に過大な負荷がかか
るレジスタンストレーニングは避けた方がよいとされ
ています。
呼吸の運動
5
手術で胸骨を切ると、息を吸っ
た時に傷が痛んだり、創が開く
のではないかとの不安感で、自
然と浅い呼吸になってしまいます。その結果、肺に痰
が詰まったり、ハーハーした早い呼吸になって息切れ
感が出現します。術後の早い時期に、なるべく早く胸
帯をはずし、ゆっくりと深く呼吸をする練習を行うこと
によってこれらの合併症を予防することができます。
原疾患や術式の違いに留意
6
術後の心臓リハビリは、疾患の原因や手術方法の違い
で留意すべき点が異なります。
術後に残存する狭窄の程度が、運動療法を行う上で
重要となります。また、人工心肺を用いないで手術を
行った場合は、運動能力の低下は少なく術後の回復も
早いことから、術後の早期(術後3∼7日)から運動療
法を開始することができます。
家庭での運動療法
7
心臓リハビリテーションは、入院中のみならず生涯にわ
たって必要なものなので、退院後の運動療法も重要で
す。自宅での運動療法も適切に行えば、病院での運動
療法と同様の効果が得られます。
発熱がなく、炎症反応が順調に
改善傾向を示している
①
貧血はあったとしても、ヘモグロビン濃度が
8g/dL以上で改善傾向にある
④
新たな心房粗動・細動などの不整脈がない
*レジスタンストレーニングの開始時期については
担当医とよく相談してください。
③
心膜液・胸水貯留がひどくない
心膜液
②
冠動脈バイパス術後
①
弁膜症の場合は、罹病期間が長いため、弁置換術で血
行動態が改善しても、慢性心不全として末梢機能が低
下していることが多くあります。したがって、術後の問
題だけでなく慢性心不全として慎重に心臓リハビリを
行う必要があります。
弁膜症の弁置換術後
②
3∼7日
心臓手術の後、どの時期からどの様な運動を開始したら良いのでしょうか。
運動療法の方法 ①
運動療法の開始時期
1
運動療法開始時の注意点
2
一般に30mから200mの歩行負荷が可能となった
術後4∼10日目頃に、心肺運動負荷試験またはそれ
に代わる運動負荷試験を行い、運動器具を使用した
有酸素運動を主体とした運動療法を開始します。術後
1週間目からの有酸素運動療法は、安全に、また感染
や死亡率を増加させることなく施行でき、バイパスの
開存率を改善するといわれています。
有酸素運動
3
運動の強さとしては、有酸素運動レベルが望ましいと
されています。すなわち、軽く息がはずむ程度の強さ
での運動です。自転車エルゴメータ、トレッドミル、歩
行、エアロビクスなどを、運動負荷試験の結果をもとにし
て、自分に合わせた強さで行うのが有酸素運動です。
以下の点がクリアされている場合に、
運動療法を開始することができます。
なお、ペーシングワイヤーは運動療法の禁忌となりま
せんが、抜いた日の運動療法は控えます。
レジスタンストレーニング
4
レジスタンストレーニングは、ウェイトマシンやフリー
ウェイト、ゴムチューブなどを使って筋肉に抵抗を与
え、筋肥大や神経系を活性化し筋機能を高めるトレー
ニングです。
心臓手術後のレジスタンストレーニングには、手足を
動かさないで力を入れるタイプの運動(等尺性運動)
よりも、手足を動かしながら力を入れる運動(等張性
運動)を8∼10種類ほどリズミカルに行うことが推奨
されます。
開心術後の患者さんは、胸骨の切開を行っていること
が多いため、術後3ヵ月間は上肢に過大な負荷がかか
るレジスタンストレーニングは避けた方がよいとされ
ています。
呼吸の運動
5
手術で胸骨を切ると、息を吸っ
た時に傷が痛んだり、創が開く
のではないかとの不安感で、自
然と浅い呼吸になってしまいます。その結果、肺に痰
が詰まったり、ハーハーした早い呼吸になって息切れ
感が出現します。術後の早い時期に、なるべく早く胸
帯をはずし、ゆっくりと深く呼吸をする練習を行うこと
によってこれらの合併症を予防することができます。
原疾患や術式の違いに留意
6
術後の心臓リハビリは、疾患の原因や手術方法の違い
で留意すべき点が異なります。
術後に残存する狭窄の程度が、運動療法を行う上で
重要となります。また、人工心肺を用いないで手術を
行った場合は、運動能力の低下は少なく術後の回復も
早いことから、術後の早期(術後3∼7日)から運動療
法を開始することができます。
家庭での運動療法
7
心臓リハビリテーションは、入院中のみならず生涯にわ
たって必要なものなので、退院後の運動療法も重要で
す。自宅での運動療法も適切に行えば、病院での運動
療法と同様の効果が得られます。
発熱がなく、炎症反応が順調に
改善傾向を示している
①
貧血はあったとしても、ヘモグロビン濃度が
8g/dL以上で改善傾向にある
④
新たな心房粗動・細動などの不整脈がない
*レジスタンストレーニングの開始時期については
担当医とよく相談してください。
③
心膜液・胸水貯留がひどくない
心膜液
②
冠動脈バイパス術後
①
弁膜症の場合は、罹病期間が長いため、弁置換術で血
行動態が改善しても、慢性心不全として末梢機能が低
下していることが多くあります。したがって、術後の問
題だけでなく慢性心不全として慎重に心臓リハビリを
行う必要があります。
弁膜症の弁置換術後
②
3∼7日
運動療法の方法 ②
心筋梗塞・開心術後急性期のリハビリテーションプログラム
ここでは心臓血管研究所付属病院のリハビリテーションプログラムをお示しします。
病日 手術当日 1-2病日 2-3病日 4-5病日 5-6病日 7病日 10-12病日 17-20病日
リハビリ場所
ドレーン抜去 心筋電極(ペーシングワイヤー)抜去
リハビリ運動 30m歩行 1日2∼3回 100∼200m歩行 1日2∼3回
安静度
ベッド上 トイレ歩行可 病棟内自由
清拭 介助洗髪 洗髪可 ペーシングワイヤー抜去翌日よりシャワー・入浴可
検査時車椅子 検査時介助歩行 検査時歩行可
氷片・飲水
食事開始(塩分6g、5分粥より)
娯楽
ラジオ テレビ・新聞・雑誌
負荷検査
CPX2回目
一般病棟
立位・足踏み
30m歩行負荷 100∼200m歩行負荷
抜管
処置
食事
看護・ケア
ICU
* 心肺運動負荷検査(CPX)の結果によっては、通院型リハビリテーションへの切り変えも可能です。
監視型運動療法 退院指導、他に栄養や生活指導・服薬
この頃から
通院リハも可能
運動療法室
通院リハビリテーション
病院内自由
禁食
CPX3回目
* 一般的な術後経過における予定です。合併症を有する患者さんは別プログラムとなり、手術の種類によっても多少異なります。
* 入浴・シャワーは創部治癒過程の遅延や発熱がなく、ペーシングワイヤーの抜去後であれば、7病日以降可能です。
心肺運動負荷検査(CPX)
ロビーで談話
運動療法の方法 ②
心筋梗塞・開心術後急性期のリハビリテーションプログラム
ここでは心臓血管研究所付属病院のリハビリテーションプログラムをお示しします。
病日 手術当日 1-2病日 2-3病日 4-5病日 5-6病日 7病日 10-12病日 17-20病日
リハビリ場所
ドレーン抜去 心筋電極(ペーシングワイヤー)抜去
リハビリ運動 30m歩行 1日2∼3回 100∼200m歩行 1日2∼3回
安静度
ベッド上 トイレ歩行可 病棟内自由
清拭 介助洗髪 洗髪可 ペーシングワイヤー抜去翌日よりシャワー・入浴可
検査時車椅子 検査時介助歩行 検査時歩行可
氷片・飲水
食事開始(塩分6g、5分粥より)
娯楽
ラジオ テレビ・新聞・雑誌
負荷検査
CPX2回目
一般病棟
立位・足踏み
30m歩行負荷 100∼200m歩行負荷
抜管
処置
食事
看護・ケア
ICU
* 心肺運動負荷検査(CPX)の結果によっては、通院型リハビリテーションへの切り変えも可能です。
監視型運動療法 退院指導、他に栄養や生活指導・服薬
この頃から
通院リハも可能
運動療法室
通院リハビリテーション
病院内自由
禁食
CPX3回目
* 一般的な術後経過における予定です。合併症を有する患者さんは別プログラムとなり、手術の種類によっても多少異なります。
* 入浴・シャワーは創部治癒過程の遅延や発熱がなく、ペーシングワイヤーの抜去後であれば、7病日以降可能です。
心肺運動負荷検査(CPX)
ロビーで談話
改訂版
術後リハビリ編
『心臓病と運動』シリーズ
心臓リハビリテーションを行う利点
狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術の術後リハビリテーションの利点
心臓手術は、心臓の血管や弁の悪い部分を治します。
ところが、これだけでは心臓病の症状はとれないことが多いのです。
なぜなら心臓病というのは、心臓が悪くなるにともなって、
手足の筋肉・血管・自律神経系すべてが悪くなるからです。
心臓リハビリテーションを行うと、これらも回復させることができ、
はじめて体全体が良くなります。
心臓手術後のリハビリテーション
心臓病にともなって悪化していた手足の筋肉・
血管や自律神経の働きを改善します。
心臓手術患者さんの約40%に認められる
精神的なダメージを軽くします。
冠動脈硬化症の原因となる冠危険因子を改善して、
冠動脈硬化症の再発を防ぎます。 つないだバイパス血管が閉塞してしまう率が減ります。
術後2週間の運動療法を行った人は、行わなかった人にくらべて、運動能力、心ポンプ機能(心拍
出量)、自律神経機能(副交感神経活性)などが改善しています。
編 者
監 修 牧田 茂 埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科 教授
総監修 伊東 春樹
特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ
ジャパンハートクラブ編
公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 顧問
ヵ ヵ ヵ ヵ ヵ ヵ
■ 参考図書
● 心臓リハビリ・運動療法が可能な施設一覧 http://square.umin.ac.jp/jacr/hospital/
● ジャパンハートクラブ http://www.npo-jhc.org/
■ 関連ホームページ
「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)」(日本循環器学会)
「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版)」(日本循環器学会)
「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改訂版)」(日本循環器学会)
「最新改訂版 心臓病の予防・治療とリハビリ−狭心症・心筋梗塞の最新治療法」(伊東春樹):主婦と生活社、2012年
※このパンフレットの著作権はNPO法人ジャパンハートクラブに帰属します。
転載を希望される場合は事務局(info@npo-jhc.org)までご連絡ください。
参考データ
心臓手術直後から半年間の心臓
リハビリテーションは、その後の
身体機能改善や再発防止を実現
するうえでとても重要です。時間を
やりくりして、ぜひ参加しましょう。
〔2018年4月作成〕