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第 1 章 実 は, 鼻 炎 は 様 々 5 ハンノキとその 花 粉 図 6 6 アレルギー 性 鼻 炎 患 者 の 右 鼻 腔 内 の 写 真 11

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10  No.4687●2014. 2. 22 ハ ンノキ 属 (カバノキ科) ス     ギ ヒ ノ キ 科 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 木本の花粉凡例: 0.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼50.0個/cm2/日 50.1∼個/cm2/日 草本の花粉凡例: 0.05∼1.0個/cm2/日 1.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼個/cm2/日

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春先を中心とした花粉カレンダー (文献1より引用) シラカン バ (カバノキ科) イ ネ 科 ブ タ ク サ 属 (キク科) 花粉名 地域 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 木本の花粉凡例: 0.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼50.0個/cm2/日 50.1∼個/cm2/日 草本の花粉凡例: 0.05∼1.0個/cm2/日 1.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼個/cm2/日

3

初夏から秋を中心とした花粉カレンダー (文献1より引用) ヨ モ ギ 属 (キク科) カナムグラ (アサ科) 花粉名 地域 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 北 海 道 東 北 関 東 東 海 関 西 九 州 木本の花粉凡例: 0.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼50.0個/cm2/日 50.1∼個/cm2/日 草本の花粉凡例: 0.05∼1.0個/cm2/日 1.1∼5.0個/cm2/日 5.1∼個/cm2/日

4

秋を中心とした花粉カレンダー (文献1より引用)

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第 1章   実は, 鼻炎は 「様々」 ゴールデンウィークが終わる頃,カモガヤなどのイネ科の花粉症の症状が始まる。イ ネ科花粉症は秋にも症状の再燃・増悪をみる。このほか,秋の花粉症としては,ブタク サ,ヨモギなどのキク科花粉症がみられる。 診断はまず通年性か,季節性か,持続期間はどれほどか,例年同じ時期に発症するか, アレルギー性結膜炎などの眼症状は伴うか,など詳細な医療面接から始まる。さらに耳 鼻咽喉科医は前鼻鏡などを用いて鼻内所見から情報を得る。通年性アレルギー性鼻炎の 場合,粘膜の色調は蒼白で浮腫状を呈する(図6)。季節性アレルギー性鼻炎の場合は, 感染性急性鼻炎同様に発赤,充血を呈することが多い。また,鼻汁好酸球検査は耳鼻咽 喉科医でなくても容易に行うことができる。その鼻炎がアレルギー性のものか否かを診 るには非常に有用である。通常,鼻汁中にはほとんど好酸球は認められず,もし鏡検で 複数確認されれば, アレルギー性鼻炎もしくは後述の好酸球増多性鼻炎の可能性が高 い。RAST(radioallergosorbent test)法などにより血清特異的IgE抗体の測定を行い, 自覚症状との合致があるか否かを確認する。 アレルギー性鼻炎である以上,原因抗原の同定は最終的には不可欠である。スクラッ チテスト,あるいはプリックテストといった皮膚テストも診断的意義は同じである。最

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ハンノキとその花粉

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アレルギー性鼻炎患者の右鼻腔内の写真 発作時(抗原吸入時)には鼻粘膜は著しい浮腫を起こ し,多量の水様性鼻汁が認められる。色調は蒼白と表 現される。

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 No.4687●2014. 2. 22 20 る。その際,耳鼻科医,アレルギー科医でなくても,免疫療法を行う医師は正確なア レルギー性鼻炎の診断,原因抗原の同定を行う必要性に迫られるであろう。 1)奥田 稔:鼻アレルギー ─基礎と臨床 .医薬ジャーナル社 , 2005, p236-7. ✎増野 聡

2

アレルギー検査の概要

アレルギー性鼻炎の検査の流れを図1に示す。アレルギーの検査は,アレルギー性か 否かを鑑別する検査と原因抗原を同定する検査にわけられる。前者には問診,鼻鏡検査, 画像検査,血液・鼻汁好酸球検査,血清非特異的

IgE

抗体定量が,後者には皮膚テスト, 血清特異的

IgE

抗体検査,誘発テストが含まれる。しかし,前者に分類される検査の一 部は後者の抗原の同定にも有用である。 文献

1

鼻炎の症状による診断 通年性 アレルギー性鼻炎 花粉症 急性鼻炎(かぜ) 慢性副鼻腔炎 慢性鼻炎 発症期 年中,不定 毎年花粉飛散期 不定,1∼2週 年中 年中 くしゃみ 通年性 シーズン中 初期のみ 無 無 鼻漏 水性 水性 初期水性,後粘膿性 粘膿 粘性 鼻閉 持続性 シーズン中 1∼2週 持続性 持続性 眼症状 合併(弱い) 合併 時に 無 無 咽頭症状 かゆみ かゆみ 多くに痛み 時に異常感 時に異常感 咳痰 無 無 しばしば 時に 無 発熱 無 熱感 しばしば 時に 無 (文献1より改変)

2

鼻粘膜炎症の検査による鑑別 通年性アレルギー性 鼻炎花粉症 急性鼻炎(かぜ) 慢性副鼻腔炎 慢性鼻炎 鼻汁細胞 好酸球 好中球 好中球 好中球 鼻粘膜 浮腫 発赤浮腫 肥厚時に鼻茸 肥厚,腫大 X線陰影増強 時に軽度 時に軽度 必発 無 血液好酸球増加 時に 無 無 無 血液好中球増加 無 時に 無 無 アレルギー検査 陽性 陰性 陰性 陰性 (文献1より改変)

(4)

第 2章   アレルギー性鼻炎の診断と検査 もちろん,これらすべての検査をすべての医療機関で行うのは無理である。必要な検 査を選別し,その検査の示す意味と有用性を理解した上で診断に至ることが必要である。

1

問診の重要性

問診では,抗原の同定という観点からは家族歴,発症年齢,発症期,職業,住居歴, 自宅や職場の環境などが重要になる。 アレルギー性鼻炎は遺伝的要素の強い疾患であり,家族歴の聴取は重要である。特に 幼少の患者においては,本人から訴えを聴取できず症状を把握することが難しいため, 家族歴の聴取は病態の把握において大きなカギとなりうる。 症状の発症期を正確に把握することは,通年性アレルギーなのか季節性アレルギーな のかの鑑別に非常に有用である。しかし,この両者は混在する可能性があることを認識 しなければならない。また,症状は通年性のようであっても,鑑別診断の観点からは慢 性副鼻腔炎の存在を考慮する必要がある上に,抗原の同定という観点からは複数の季節 性アレルギーを発症している可能性も視野に入れなければならず,さらにはこの両者の 併発もありうる。 アレルギー性鼻炎の年齢層別有病率を図2に示す。近年のアレルギー性鼻炎の低年齢 化は著しく,5歳以下の小児であっても好発期の問診の結果によってはスギ花粉症を頭 問 診 耳鼻咽喉科診察(鼻鏡検査) 画像検査 鼻汁採取(好酸球染色) アレルギー検査への振り分け 血中好酸球 血清特異的IgE抗体検査 皮膚テスト 誘発テスト アレルギー日記 アレルギー説明書の交付 診断・治療方針の決定 インフォームド・コンセント 治療開始

1

検査の流れ (文献1より改変)

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 No.4687●2014. 2. 22 32 抗

PGD

²

TXA

²

薬を長期に使用する場合は肝機能を定期的に検査する。その後,花粉 飛散量の増加とともに症状の増悪がみられる場合には,早めに鼻噴霧用ステロイド薬を 追加する。さらに,治療内容をステップアップする(49ページ表 4参照)1) 鼻噴霧用ステロイドの初期療法への使用に関してはエビデンス不足との指摘もある が,以下の報告がすでになされている。 ①スギ花粉症を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験で,鼻噴霧用ステロイ ドによる初期療法を行うことで,シーズン中の鼻症状を有意に抑制しさらに眼症状の増 悪も抑える2) ②抗ヒスタミン薬または鼻噴霧用ステロイドで初期治療を行い,症状増悪時には同 じ抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイドの併用療法となるランダム化比較試験におい て,鼻噴霧用ステロイドの初期治療が飛散ピーク時の症状増悪を有意に抑制する3) 今後,鼻噴霧用ステロイドが初期療法に有用であるとのエビデンスがさらに重ねられ る可能性がある。 1)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版 ( 改訂 第7版 ).ライフ ・ サイエンス , 2013, p61.

2) Makihara S, et al:Allergol Int. 2012; 61(2): 295-304.

3) Takahashi G, et al:Allergol Int. 2012; 61(1): 155-62.

✎松根彰志

2

通年性アレルギー性鼻炎の治療

鼻アレルギー診療ガイドラインでは,治療の重要な柱として

5

つの項目が掲げられて いる。その内容は49ページ表 4に重症度との関連で示されているように,①患者との コミュニケーション,②抗原の除去と回避,③薬物治療,④アレルゲン免疫療法,⑤ 手術療法の

5

つである1)。④アレルゲン免疫療法は後述(38ページ,3「根治療法」)する ので,ここではそれ以外について記述する。

1

患者とのコミュニケーション

まずは,患者の話をよく聞いて治療への意欲,病気や治療法への理解,医師への信頼 を高めることが重要である。これは,保存的または外科的治療以前の問題で,いかなる 疾患を治療する場合にも基本となる事柄である。 文献

(6)

第 3章   的確な治療選択とは

患者のタイプに応じた治療

2

抗原の除去と回避

通年性アレルギー性鼻炎の原因となる主な吸入抗原はダニ(ハウスダスト)なので, これを生活の場から取り除くことで症状は抑えることができる。部屋の中のダニが増え ないように,部屋の中の風通しをよくしてこまめに掃除し,ダニの巣になりやすいソフ ァーやカーペットを避け,ペットを遠ざけることなどが有効であると言われている2) また,日常生活でできることとして,アレルギー性鼻炎は自律神経(副交感神経)の 働きが関与するので,日常生活に気を配り自律神経の働きを整え,免疫機能を正常に保 つことの重要性を指導する。

3

薬物治療

症状を比較的短期間に除く方法として,種々の薬物治療がある(表1)。現在,重症度 や症状のタイプに応じた薬物療法が推奨されている(48ページ表 3参照)1)。わが国で歴 史的に,また現在でも最も使われているのは抗ヒスタミン薬である。抗ヒスタミンはく しゃみ,水様性鼻漏の症状に対して即効性があり強力である。本来,ヒスタミンは中枢 神経や鼻粘膜などに広く分布し,表2 3)に示すように重要な機能を担っている。そのた め,この作用を抑制することは症状の抑制にとどまらず,副作用として種々の弊害をも たらす。最も代表的なものとして,眠気などの中枢神経抑制や口渇などの抗コリン作用 がある。中枢神経抑制の症状には,必ずしも自覚的な眠気を伴わない集中力,判断力, 作業能力の低下といったインペアードパフォーマンス(impaired performance)と呼ば れる症状も含まれる。こうした中枢神経抑制の副作用発現はヒスタミンによる中枢神経 のヒスタミン(H1)受容体占拠による。占拠率が高い抗ヒスタミン薬ほど中枢神経抑制 作用が強いことになる(図1)4) こうした中で,新世代の理想的な抗ヒスタミン薬とはどのようなものか(表3)3)を検 討する国際的な場[注1]が約10年前に設立され活動している。最近では,副作用を少なく し,かつ症状に対する抑制効果を十分持つ抗ヒスタミン薬が開発され,第

2

世代抗ヒス タミン薬として広く処方されている。第2世代の抗ヒスタミン薬を第1世代と比較した 特徴を表4に示す。

[注 1]新世代抗ヒスタミン薬について討議を行うConsensus Group Meeting on New Generation

Antihistamine(CONGA):英国サザンプトン大学の Holgate 教授が中心となって設立され た。

(7)

 No.4687●2014. 2. 22 54

2

鼻噴霧用ステロイド薬の使い方

1

アレルギー性鼻炎の全体像と治療薬

アレルギー性鼻炎の症状出現には,アレルギー性炎症に伴う鼻粘膜過敏性の亢進が重 要だと考えられている。喘息が下気道のアレルギー性炎症であるのと同様に,アレルギ ー性鼻炎は上気道のアレルギー性炎症であり,症状はそれら潜在的なアレルギー性炎症 の上に出現するものであるため,その全体像は氷山に例えられる(図5)。 下気道 喘息症状 気流制限 気道過敏性 気道炎症 喘息・アレルギー性鼻炎の根本には気道の炎症が存在する。 表面の症状は全体像の氷山の一角でしかない。 上気道 鼻炎症状 鼻腔抵抗上昇 気道過敏性 気道炎症

5

アレルギー性鼻炎の全体像 反復する抗原曝露による鼻粘膜過敏性亢進のメカニズムとして,最小持続炎症(mini-mal persistent inflammation;MPI)が知られている1)。これは,軽度な抗原曝露によ って症状は発現しなくても鼻粘膜に好酸球や好中球などの細胞浸潤がみられ,さらに上 皮細胞におけるICAM-1発現が亢進するなど炎症が惹起されている状態を指す。MPI による鼻粘膜過敏性の亢進はさらなる抗原曝露による症状出現につながるため,MPI の抑制は症状出現の予防において重要な課題である。鼻噴霧用ステロイド薬は強力な抗 炎症作用を示し,この

MIP

の抑制に大きな役割を果たす。 以前は喘息でもβ2刺激薬による対症療法が中心であったが,近年では吸入ステロイ ド薬,抗ロイコトリエン薬(抗LTs薬)をコントローラー(長期管理薬),β2刺激薬をリ リーバー(発作治療薬)として用いている。「One way, One disease」の言葉の通りにア

レルギー性鼻炎に当てはめると,抗ヒスタミン薬のみによる対症療法を離脱し,鼻噴霧 用ステロイド薬,抗LTs薬をコントローラー,抗ヒスタミン薬をリリーバーとして用 いるというのが現在の治療方針である(図6)。 わが国では点鼻薬は血管収縮薬のイメージが強く,どうしても頓用として使われるこ とが多い。しかし,鼻噴霧型ステロイドについてはこの持続した抗炎症作用を狙って使 用するため継続して使われることが望ましく(図7),この点について患者には十分な説 明を要する。

(8)

アレルギー性鼻炎   Q & A

Q

1

何歳頃からスギ花粉症になるのでしょうか?

アレルギー性鼻炎

Q

&

A

A

A

A

ハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎が小児の病気であるのに対し,スギ花粉 症は若者の病気であるというのがこれまでの認識であった。アレルギー疾患では抗原に 感作されて抗原特異的IgEが出現するため,季節性のスギ花粉では飛散期に感作されて も非飛散期にすぐ減少し,毎年感作を繰り返し免疫機構の成熟も重なって10代後半か ら発症するというのが通説であった。 しかし近年は,小児期のスギ花粉症の発症が増加傾向にある。就学前の幼児でも春に なるとくしゃみ,鼻汁,目のかゆみがあり,血液検査を行うとスギ特異的I

g

Eが陽性で あるという場面に遭遇する。生活環境の近代化や大気汚染も関与しているだろうし,昭 和40年代に植林されたスギが抗原力の強い花粉を飛ばす樹齢まで成長したというのも 原因のひとつであろう。 スギ花粉症の低年齢化は小児期のQOL低下をもたらし,学習能力の低下につながる 懸念があるが,同時に喘息発症のリスクを上昇させる問題もある。実際,7歳未満のア レルギー性鼻炎の罹患は喘息への移行のリスクを上げるとの報告もあるため,幼児期の アレルギー性鼻炎の診断は正確に行われることが望ましく,診断がつけば早期のアレル ゲン免疫療法の開始も検討すべきである。 同時に幼児期には感染性の鼻炎も多く, アレルギー性鼻炎か否かの診断が困難であ る。両親や兄弟にアレルギー疾患があるかという家族歴や,患児に幼児湿疹,下痢,ア トピー性皮膚炎,小児喘息などのアレルギー歴があるかについての聴取を手掛かりに, 可能であれば疑わしい症例には積極的に血清総IgEと抗原特異的IgEの測定を行って頂 きたい。 アレルギー性鼻炎は小児喘息やアトピー性鼻炎に比べて自然寛解が少ない。奥田1) よると,小学校1年生を対象とした5年間の追跡調査では,アレルギー性鼻炎の軽快は

Q

2

アレルギー性鼻炎は自然に治りますか?

参照

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